JP3369334B2

JP3369334B2 - 美白化粧料

Info

Publication number: JP3369334B2
Application number: JP29220894A
Authority: JP
Inventors: 俊雄引間
Original assignee: カネボウ株式会社
Priority date: 1994-10-31
Filing date: 1994-10-31
Publication date: 2003-01-20
Anticipated expiration: 2018-01-20
Also published as: JPH08127525A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は色黒の皮膚を速やかに淡
色化する効果を有する美白化粧料に関する。さらに詳し
くは、色黒の皮膚を速やかに淡色化する効果を有する美
白化粧料に関する。

【０００２】

【従来技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、肌のしみやそばかす等の予防や治療を目的とする美
白化粧料には、Ｌ−アスコルビン酸およびその誘導体、
ハイドロキノン誘導体、コウジ酸等のピロン類、プラセ
ンターエキス等の胎盤抽出物が配合されている。

【０００３】これらの物質は、メラニン生成の抑制、生
成したメラニンの淡色漂白作用等の効果を有し、美白効
果を有する物質として広く知られている。しかし、これ
らの物質は、例えばＬ−アスコルビン酸およびその誘導
体は、保存安定性が不十分であったり、紫外線による炎
症防止効果が十分に認められないことが多い。また、ハ
イドロキノン誘導体は安全性が十分ではないなど問題が
ある。このようにメラニンの生成抑制効果、メラニンの
淡色漂白作用、炎症防止効果、安全性等において総合的
に優れる美白化粧料を得ることは困難である。

【０００４】一方、中国名「火棘」は、その果実が漢方
名「赤陽子」として、脾臓を健やかに保つ、消化不良の
治療等の薬効が知られている。また、チロシナーゼ活性
阻害効果やメラニン生成抑制効果があり、この抽出物を
配合した美白用化粧料が提案されている（特開平５−５
５８７０号公報）。しかし、これを単独で配合した場合
は、美白効果は充分には満足できるものではなかった。

【０００５】そこで本発明者らは鋭意研究した結果、意
外にも後記美白化粧料がメラニンの生成抑制効果、メラ
ニンの淡色漂白作用、炎症防止効果、安全性等、総合的
に優れていることを見出し本発明を完成するに至った。

【０００６】本発明の目的は、色黒の皮膚を速やかに淡
色化する効果を有する美白化粧料を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、Ｌ−アスコルビン酸リン酸塩、グラブリジン、イ
ンドメタシン、２−フェニルベンズイミダゾール−５−
スルホン酸から選ばれる１種又は２種以上と、バラ科ピ
ラカンタ属の一種である中国名「火棘」の果実の溶媒抽
出物を含有することを特徴とする美白化粧料である。

【０００８】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に用いられるＬ−アスコルビン酸リン酸塩は、従来
から用いられている公知の美白剤であり、Ｌ−アスコル
ビン酸リン酸のナトリウム塩，カリウム塩，マグネシウ
ム塩，カルシウム塩，バリウム塩，アンモニウム塩，モ
ノエタノールアミン塩，ジエタノールアミン塩，トリエ
タノールアミン塩，モノイソプロパノールアミン塩，ジ
イソプロパノールアミン塩，トリイソプロパノールアミ
ン塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。

【０００９】Ｌ−アスコルビン酸リン酸塩の美白化粧料
中の含有量は、化粧料の処方成分全量を基準として、
０．００１〜３０重量％が好ましく、更に好ましくは
０．１〜１０重量％の範囲内である。

【００１０】本発明に用いられるグラブリジンは、天然
には甘草の一種であるＧｌｙｃｙｒｒｈｉｚａｇｌａ
ｂａＬｉｎｎｅｖａｒ．（通称名：ロシア・アフガ
ン・トルコカンゾウ）に微量含まれる。グラブリジンの
製法としては、甘草の根またはその水抽出残渣（例えば
グリチルリチンを抽出した残渣）を有機溶媒で抽出す
る。抽出溶媒としては、メタノール、エタノールなどの
低級脂肪酸アルコール、アセトンなどの低級脂肪族ケト
ン、ジオキサン、エチルエーテルなどのエーテル類、塩
化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチルな
どのエステル類、ヘキサンなどの炭化水素類の有機溶媒
の１種又は２種以上の混合物を使用することができる。
抽出する甘草は、約５〜１５倍量の上記原料に浸漬し、
常温で静置するか還流下に加熱する。抽出液から溶媒を
留去して得られる抽出物は、通常５〜１０％程度のグラ
ブリジンを含有している。精製は、例えば順相シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーおよび逆相シリカゲルクロ
マトグラフィーにより処理した後、アセトンから再結晶
する方法により、比較的容易にグラブリジンの純品を得
ることができる。精製はほかにも合成吸着体によるカラ
ムクロマトグラフィーなどの任意の有機化合物の精製手
段を採用して行うことができる。

【００１１】グラブリジンの含有量は、乾燥固形物量
で、化粧料の処方成分全量を基準として、０．００１〜
３．０重量％が好ましい。

【００１２】本発明に用いられるインドメタシンは、ｐ
−メトキシフェニルヒドラジンとアセトアルデヒドより
ヒドラゾンを合成し、これをピリジン中でｐ−クロロベ
ンゾイルクロライドでアシル化しベンゾイル体とする。
これを加水分解しヒドラジン体として、レブリン酸と酢
酸中で加熱閉環してインドメタシンを得ることができ
る。

【００１３】インドメタシンの含有量は、乾燥固形物量
で、化粧料の処方成分全量を基準として、０．００１〜
１．０重量％が好ましい。

【００１４】本発明に用いられる２−フェニルベンズイ
ミダゾール−５−スルホン酸は公知化合物であり、商品
名「ＥＵＳＯＬＥＸ２３２」としてメルク社（ドイツ）
から販売されている。

【００１５】２−フェニルベンズイミダゾール−５−ス
ルホン酸の含有量は、化粧料の処方成分全量を基準とし
て、０．００１〜２０重量％が好ましく、更に好ましく
は０．０１〜１０重量％の範囲内である。

【００１６】本発明に用いられる中国名「火棘」の果実
である漢方名「赤陽子」の有効成分（以下「火棘抽出
物」と略記する）は、水またはメタノール，エタノー
ル，プロパノール等の低級アルコール、またはそれらの
混液により抽出される。抽出液はそのまま化粧料に配合
することも可能であるが、これを凍結乾燥法やスプレー
ドライ法等で粉末化して使用するほうがが好ましい。ま
た、抽出液を液液分配、吸着クロマトグラフィー等の手
段で精製して、液状のものあるいは粉末化したものを配
合することも可能である。

【００１７】その配合量は化粧料全量中、抽出物に換算
して０．００１〜５重量％が好ましく、更に好ましくは
０．０１〜２重量％である。

【００１８】本発明の化粧料には、上記原料の他に、色
素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤、保湿
剤、紫外線吸収剤などを、本発明の目的を達成する範囲
内で適宜配合することができる。

【００１９】本発明の化粧料の剤型としては通常のもの
が適用され、たとえばクリーム、乳液、化粧水、パッ
ク、エッセンスなどが挙げられる。この化粧料は、乳液
の場合、油相及び水相をそれぞれ加熱溶解したものを乳
化分散して冷却する通常の方法により製造することがで
きる。

【００２０】

【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
詳述する。尚、実施例に示す％とは重量％である。実施
例に記載の皮膚色明度回復試験法、官能評価試験は下記
のとおりである。また、以下実施例で用いた火棘の抽出
物の調製方法は下記の通りであるが、本発明の範囲はこ
れらのみに限定されるものではない。

【００２１】（火棘抽出物の調製法）火棘の乾燥果実
５．００ｇを９０℃の熱水５０ｍｌに浸漬し、３時間煮
沸の後に濾過し、得られた抽出液をダイヤイオンＨＰ−
２０（三菱化成工業（株）製）のカラム（φ３ｃｍ×１
１ｃｍ，Ｖｔ＝８０ｍｌ）に負荷後、８００ｍｌの１０
％エタノール水溶液で洗浄した。ついで、４００ｍｌの
４０％エタノール水溶液で溶出し、溶出液を減圧濃縮し
た後、凍結乾燥して固形物１．０４ｇを得た。

【００２２】（１）皮膚色明度回復試験法被験者２０名の背部皮膚にＵＶ−Ｂ領域の紫外線を最小
紅斑量の２倍照射し、試料塗布部位と非塗布部位を設定
して各々の皮膚の基準明度（Ｖ0 値，Ｖ0 ´値）を測定
した。引き続いて塗布部位には試料を１日２回ずつ１５
週間連続塗布した後、３，６，９，１２，１５週間後の
塗布部位及び非塗布部位の皮膚の明度（Ｖn 値，Ｖn ´
値）を測定し、下記の判定基準にしたがって皮膚色の回
復を評価した。尚、皮膚の明度（マンセル表色系Ｖ値）
は高速分光色彩計で測定して得られたＸ，Ｙ，Ｚ値より
算出した。また評価は被験者２０名ついて、３週間後及
び６週間後の評価点の平均値で示した。

【００２３】（２）官能評価試験色素沈着に悩む被験者２５名が試料を３週間連用し美白
効果を評価した。結果は「美白効果があった」と回答し
た被験者の人数で示した。

【００２４】実施例１〜６，比較例１〜６Ｌ−アスコルビン酸リン酸塩、グラブリジン、インドメ
タシン、２−フェニルベンズイミダゾールから選ばれる
１種又は２種以上（以下有効成分と略称する）と火棘抽
出物を表１の組成において配合し、下記の調製方法に基
づいてスキンクリームを調製した。

【００２５】調製方法（Ａ）を７０℃、Ｂを５０℃にて均一に溶解し、（Ａ）
を攪拌しながら（Ｂ）を（Ａ）に注入して乳化分散した
後、攪拌しながら温度３０℃まで冷却して調製する。

【００２６】

【表１】

【００２７】

【表２】

【００２８】これらのスキンクリームを試料として前記
の試験を実施し、得られた結果を表３に示す。

【００２９】

【表３】

【００３０】これらの結果から分かるように、本発明の
実施例１〜６のスキンクリームは十分な美白効果が認め
られた。一方、比較例１〜６のスキンクリームは、十分
な効果が認められず、本発明の実施例に比べて劣ってい
た。

【００３１】

【発明の効果】以上記載のごとく、本発明が色黒の皮膚
を速やかに淡色化する効果を有し、官能的にもすぐれた
美白化粧料を提供することは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩＡ６１Ｋ 7/00 Ａ６１Ｋ 7/00 Ｘ

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】Ｌ−アスコルビン酸リン酸塩、グラブリ
ジン、インドメタシン、２−フェニルベンズイミダゾー
ル−５−スルホン酸から選ばれる１種又は２種以上と、
バラ科ピラカンタ属（ＲｏｓａｃｅａｅＰｙｒａｃａ
ｎｔｈａ）の１種である中国名「火棘」（Ｐｙｒａｃａ
ｎｔｈａｆｏｒｔｕｎｅａｎａ）の果実の溶媒抽出物
を含有することを特徴とする美白化粧料。
【請求項２】「火棘」の果実の抽出溶媒が水、メタノ
ール、エタノール、プロパノールまたはその混液であ
る、請求項１記載の美白化粧料。