JP3368312B2 - 半導体基板用研磨布のドレッサーおよびその製造方法 - Google Patents

半導体基板用研磨布のドレッサーおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板の平面
化研磨工程で、研磨布の目詰まりや異物除去を行う際に
使用されるドレッサーに関する。
【0002】
【従来の技術】集積回路を製造する所定の段階で、ウエ
ーハやウエーハ表面に導電体・誘電体層が形成された半
導体基板の表面を研磨することが必要である。一般に半
導体基板は研磨されて、高い隆起や結晶格子損傷、引っ
かき傷、粗さ等の表面欠陥、または埋もれた異物粒子を
研磨除去される。この研磨工程は、半導体装置の信頼性
および品質を改良するために行われる。通常、この工程
は、ウエーハ上に種々の装置および集積回路を形成する
間に行われる。この研磨工程ではまた、化学スラリーを
導入することにより、半導体表面のフィルム間に容易に
より大きな研磨除去速度および選択度を与えるようにす
る。この研磨工程はしばしば、化学的かつ機械的平面化
(CMP;Chemical Mechanical Planarization)と呼ば
れる。一般に、CMP工程は、薄いかつ平坦の半導体材
料を制御された圧力および温度下で湿った研磨表面に対
して保持し、かつ回転させる工程を含む。
【0003】CMP工程では、例えば5〜300nm程度
の粒径を有するSiO2 粒子を苛性ソーダ、アンモニヤ
およびエタノールアミン等のアルカリ溶液に懸濁させて
pH9〜12程度にした、いわゆるコロイダルシリカか
らなる化学スラリーとポリウレタン樹脂等からなる研磨
布が用いられ、例えば図1に示す研磨装置により研磨が
行われる。
【0004】図1に示す研磨装置において、1は半導体
基板、2は研磨ヘッド、3は研磨ヘッド2を回転するモ
ータ、4は研磨ヘッド変位機構、5は研磨布、6は回転
テーブル、7は回転テーブル6を回転するモータ、8は
化学スラリーを示す。通常、研磨時には、化学スラリー
8を流布しながら、半導体基板1を研磨布5に当接させ
て、研磨ヘッド2と回転テーブル6を相対回転させるこ
とにより、研磨が行われる。そして、研磨布5のドレッ
シング法としては、研磨布5に水または、化学スラリー
8を流しながらダイヤモンド電着砥石またはブラッシ等
を用いたブラッシングにより、研磨布の表面や内部の目
詰まり、異物の除去を行っていた。
【0005】CMP工程で使用されるドレッサーは、切
削や研削で使用される従来のダイヤモンド工具とは、次
の点で本質的に異なっている。切削工具ではダイヤモン
ドが少量脱落してもダイヤモンド脱落後の新生面に別の
ダイヤモンドが残っていれば切削能力の低下にはならな
いのに対して、CMPドレッサーでは研磨布や半導体基
板表面を傷つけるためダイヤモンドの脱落が少量でも許
容されない点、また、湿式で低い回転数で使用されるの
で切削工具で求められる耐熱性や極端な耐摩耗性は必要
ないが、アルカリ水溶液に対する耐食性が求められる点
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の研磨布のドレッ
シング法においては、ダイヤモンド電着砥石またはブラ
ッシ等を用いたドレッシングを行っていたので、ダイヤ
モンド電着砥石を用いた場合は半導体基板や研磨布の表
面にスクラッチキズが入ったり、ブラッシを用いた場合
は研磨布内部の目詰まりを確実に除去することが困難で
あった。そのため、このような研磨布により研磨する
と、半導体基板の品質が劣化し、品質にばらつきを生
じ、歩留まりの低下を招く問題があった。また、研磨布
の表面形状に変化が生じると、半導体基板と研磨布との
接触面のうち局部的に当たる箇所が発生し、この局部的
な接触により研磨布表面の目詰まりが促進される。この
ため、使用時間とともに研磨速度が低下し、加工精度の
悪い半導体ウエーハが製造される不具合があった。高品
質の半導体基板を得るために研磨布の均一ドレッシング
は不可欠であり、これを可能とするドレッサーが望まれ
ていた。ダイヤモンド電着砥石では、しばしばダイヤモ
ンド粒の脱落や欠損が起り、研磨布や半導体基板にキズ
を付ける原因となる。このため、ダイヤモンド粒の脱落
や欠損のないドレッサーが求められていた。そこで、本
発明は、研磨布のドレッシングにおいて、スクラッチキ
ズを最小限に抑え、安定した研磨速度が得られるドレッ
サーを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、Au,Ag,
CuおよびTiから選ばれる1種以上を含有する融点7
00℃〜1100℃の合金により、金属および/または
合金からなる支持部材に、ダイヤモンド粒がろう付けさ
れ、かつ前記ダイヤモンド粒間の最近接距離が5μm以
上であることを特徴とする半導体基板の平面化研磨工程
で使用される研磨布のドレッサーである。好ましくは、
前記ダイヤモンド粒が、径50μm以上300μm以下
であること、更に、ダイヤモンド粒の最大径が最小径の
1.5倍以内であることを特徴とし、或いは、前記支持
部材がフェライト系ステンレス鋼で、支持部材片面のみ
にダイヤモンド粒がろう付けされたこと、或いは、ダイ
ヤモンド粒が、前記ダイヤモンド粒の体積40%以上が
ろう付け合金に埋まり、かつ前記ダイヤモンド粒にろう
付け合金の被覆のない露出部のあることを特徴とする半
導体基板用研磨布のドレッサーである。
【0008】また、Au,Ag,CuおよびTiから選
ばれる1種以上を含有する融点700℃〜1100℃の
合金により、金属および/または合金からなる支持部材
片面に、ダイヤモンド粒をろう付けされ、ろう付けされ
た前記支持部材片面側で、ダイヤモンド粒表面に被覆さ
れたろう付金属を研磨してダイヤモンド粒の一部を露出
させることで、半導体基板用研磨布のドレッサーが製造
できる。
【0009】
【発明の実施の形態】Au,Ag,CuおよびTiから
選ばれる1種以上を含有する融点700℃〜1100℃
の合金により、金属および/または合金からなる支持部
材に、ダイヤモンド粒がろう付けされ、かつ前記ダイヤ
モンド粒間の最近接距離が5μm以上であることを特徴
とする半導体基板用研磨布のドレッサーは、ダイヤモン
ド粒の脱落によりスクラッチキズを最小限に押さえるこ
とができる。その結果、研磨布の半導体基板研磨速度が
安定化し、研磨速度の低下が改善され、加工精度が高
く、歩留まりの高い半導体製造が可能となる。
【0010】ろう付け合金をAu,Ag,CuおよびT
iから選ばれる1種以上を含有する融点700℃〜11
00℃の合金とするのは、比較的低温でろう付けでき、
ダイヤモンドとの高い接合強度が得られるためである。
この合金は、真空中700℃から1100℃程度で溶融
しダイヤモンドとの濡れ性が良く、接合強度も高くでき
る。1100℃以上のろう付け温度では、ダイヤモンド
の表面炭化や劣化が起るので好ましくない。低いろう付
け温度では、接合強度が得られない。更に、この合金は
アルカリ水溶液に対しても溶出が少なく耐食性があるの
で好ましい。ろう付け合金の厚さは、ダイヤモンド粒径
の1〜3倍の厚さが適当である。薄すぎるとダイヤモン
ドとろう付け合金との接合強度が低くなり、厚すぎると
ろう材と支持部材との剥離が起りやすくなる。
【0011】ダイヤモンド粒の径は、50μm以上30
0μm以下とすることが好ましい。更に好ましくは、前
記ダイヤモンド粒の最大径が最小径の1.5倍以内であ
るとすると効果的である。これによって、図3に示すよ
うにろう付け15されたダイヤモンド粒10の露出部分
14の凹凸が少なくなり、効果としてドレッサー表面の
粗度変化が少なくなる。そして、局所的な研摩時の応力
集中が回避されることでダイヤモンドの脱落が防止さ
れ、安定した研磨速度が得られる。
【0012】50μmより小さい微粒や300μmより
径の大きいダイヤモンドを含むと、研磨布のドレッシン
グ効率が落ちたり、図2に示すようにダイヤモンド粒の
重なり16やろう付け合金に埋まらない部分14が大き
くなることにより接合が不完全になったりすることがあ
る。ダイヤモンド粒が、支持部材表面に対し、垂直方向
に重なり無くろう付けされていることが重要である。ま
た、微粒なダイヤモンドは凝集しやすい傾向があり、凝
集してクラスター状になった場合は、ドレッシング速度
が不安定になったり、脱離しやすくなるので好ましくな
い。ダイヤモンド粒同士の距離は、近すぎるとダイヤモ
ンド粒のろう材への接合速度が得られないので、最近接
距離を5μm以上とする必要がある。ダイヤモンド粒の
分散、つまりダイヤモンド粒同士の最近接距離は、十分
なドレッシング速度を得るためにダイヤモンド粒径の5
倍以内が実用的である。
【0013】支持部材9は、フェライト系ステンレス鋼
で、支持部材片面のみにダイヤモンド粒がろう付された
ものが好ましい。フェライト系ステンレス鋼は、アルカ
リ水溶液に対して耐食性が高く、加工が容易で、Au,
Ag,CuおよびTiから選ばれる1種以上を含有する
ろう付け合金との接合強度も高い。更に片面をダイヤモ
ンド粒をろう付けしない面とすることで、例えば磁石に
よる着脱が可能になり、作業効率の向上に大きく寄与で
きる。
【0014】ダイヤモンド粒が、前記ダイヤモンド粒の
体積で40%以上ろう付け合金に埋まり、かつ前記ダイ
ヤモンド粒にろう付け合金の被覆のない露出部14のあ
ることが好ましい。図3に示すように、ダイヤモンド粒
のろう付け合金15に埋まっている部分13が体積で4
0%以上であると、ろう付け合金との接合強度を維持す
るのに有効である。図2の15のように、ろう付け合金
で全て表面が被覆され、ダイヤモンド粒表面の露出14
がないと、ドレッシング速度が低下するとともに、ドレ
ッシング中にろう付け合金の研磨屑が発生するので好ま
しくない。
【0015】ダイヤモンド粒とろう付け合金との接合強
度を維持しつつ、ダイヤモンド粒の露出部を得るには、
ろう付け後に、ダイヤモンド粒表面に被覆されたろう付
け金属を研磨してダイヤモンド粒の一部を露出させるこ
とが有効である。
【0016】
【実施例】本実施例では、半導体ウエーハを研磨した研
磨布の表面に、毎分3〜5リットル水を流しながら1分
間ドレッシングを行った。その後、前記研磨布を使用し
て、200枚研磨後に表面にキズが発生したウエーハ
数、一定時間研磨後のウエーハ研磨速度を調査した。2
00枚のウエーハの研磨には約10時間を要した。結果
を表1に示す。ウエーハ表面キズ、ダイヤモンド粒の
径、ろう付け金属中への埋没体積%、露出部分等の観察
は、電子顕微鏡で行った。実施例4〜10のドレッサー
は、真空中950℃で30分間保持し、ろう付けした。
その後、炉から取り出し、ろう付けされた面を#500
エメリー研磨紙で研磨し、ダイヤモンド粒を露出させ
た。実施例4〜10のドレッサーは、ダイヤモンド粒の
最近接距離を、何れも10μm〜20μmとした。これ
に対し、比較例1〜3のドレッサーにおけるダイヤモン
ド粒の最近接距離は0〜3μmである。
【0017】本発明によるドレッサーは、従来のドレッ
サーに比べて大幅にウエーハ表面のスクラッチキズ発生
が低下し、研磨布の劣化を防止することができる。その
ため、研磨速度の低下も改善され、加工精度の高い半導
体基板を製造することが可能となり、歩留まりの向上を
図ることができる。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、半導体基板や研磨布の
スクラッチキズを最小限に押さえ、研磨布の目詰まりを
除去し、研磨布表面を常時新しい時と同様に保磁するこ
とが可能となり、研磨布の使用時間に伴う研磨速度の低
下も改善でき、加工精度の高い半導体基板を安定して製
造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のCMP工程を採用した研磨装置概略図。
【図2】従来のドレッサーの断面模式図。
【図3】本発明のドレッサーの断面模式図。
【符号の説明】
1 半導体基板 2 研磨ヘッド 3 モータ 4 研磨ヘッド変位機構 5 研磨布 6 回転テーブル 7 モータ 8 化学スラリー 9 支持部材 10 ダイヤモンド粒 11 ろう付け合金 12 ダイヤモンド粒のろう付け合金に埋まっていな
い部分 13 ダイヤモンド粒のろう付け合金に埋まっている
部分 14 ダイヤモンド粒の露出部 15 ダイヤモンド粒がろう付け合金に被覆された部
分 16 ダイヤモンド粒が重なってろう付けされた部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/304 B24B 37/00 B24B 53/12 B24D 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Au,Ag,CuおよびTiから選ばれ
    る少くとも1種を含有する融点700℃〜1100℃の
    合金により、金属および/または合金からなる支持部材
    に、ダイヤモンド粒がろう付けされ、かつ前記ダイヤモ
    ンド粒間の最近接距離が5μm以上であることを特徴と
    する半導体基板の平面化研磨工程で使用される研磨布の
    ドレッサー。
  2. 【請求項2】 ダイヤモンド粒が、径50μm以上30
    0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導
    体基板用研磨布のドレッサー。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンド粒の最大径が最小径の1.
    5倍以内であることを特徴とする請求項2記載の半導体
    基板用研磨布のドレッサー。
  4. 【請求項4】 支持部材がフェライト系ステンレス鋼
    で、支持部材片面のみにダイヤモンド粒がろう付けされ
    たことを特徴とする請求項1,2または3の何れかに記
    載の半導体基板用研磨布のドレッサー。
  5. 【請求項5】 ダイヤモンド粒が、前記ダイヤモンド粒
    の体積40%以上がろう付け合金に埋まり、かつ前記ダ
    イヤモンド粒にろう付け合金の被覆のない露出部のある
    ことを特徴とする請求項1,2,3または4の何れかに
    記載の半導体基板用研磨布のドレッサー。
  6. 【請求項6】 Au,Ag,CuおよびTiから選ばれ
    る1種類以上を含有する融点700℃〜1100℃の合
    金により、金属および/または合金からなる支持部材片
    面に、ダイヤモンド粒をろう付けし、ろう付けされた前
    記支持部材片面側で、ダイヤモンド粒表面に被覆された
    ろう付け金属を研磨してダイヤモンド粒の一部を露出さ
    せることを特徴とする半導体基板用研磨布のドレッサー
    製造方法。
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