JP3367056B2 - フェノール及びメチルエチルケトンの製造方法 - Google Patents

フェノール及びメチルエチルケトンの製造方法

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JP3367056B2 JP34433392A JP34433392A JP3367056B2 JP 3367056 B2 JP3367056 B2 JP 3367056B2 JP 34433392 A JP34433392 A JP 34433392A JP 34433392 A JP34433392 A JP 34433392A JP 3367056 B2 JP3367056 B2 JP 3367056B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェノール及びメチルエ
チルケトンの製造方法に関するものである。更に詳しく
は、本発明はsec−ブチルベンゼンを出発原料とする
フェノール及びメチルエチルケトンの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】sec−ブチルベンゼンを酸化してse
c−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドとし、次に
該sec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを硫
酸により分解し、フェノールとメチルエチルケトンとす
る技術は公知である(特開昭48−80524号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、メチルエチ
ルケトンに要求される品質規格のひとつとして、純度及
び過マンガン酸カリウム退色性が定められている(JI
S K 8900)。しかしながら、上記の技術により
得られるメチルエチルケトンは、該純度及び過マンガン
酸カリウム退色性の規格を満足し難いという問題があっ
た。
【0004】メチルエチルケトンを精製する方法として
は、次の方法が知られている。特公昭45−41205
号公報には、メチルエチルケトンと共沸混合物を形成す
るt−ブタノールをゼオライト触媒を用いてイソブチレ
ンに分解した後、分離する方法が開示されている。ま
た、特公昭57−35167号公報には、ロジウム又は
白金を含む触媒の存在下、粗製メチルエチルケトンを水
素と接触させることにより、過マンガン酸カリウム退色
性を改善する技術が開示されている。更に、特公昭47
−33323号公報には、メチルエチルケトン中のアル
デヒド類を酸性亜硫酸アルカリ金属塩又は亜硫酸アルカ
リ金属塩との付加物を形成させて除去する方法が開示さ
れている。しかしながら、これらの方法をsec−ブチ
ルベンゼンを出発原料としてフェノールとメチルエチル
ケトンを得る技術に適用した場合、精製の効果が不十分
であるという問題があった。
【0005】かかる現状に鑑み、本発明が解決しようと
する課題は、sec−ブチルベンゼンを酸化してsec
−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドとし、次に該
sec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを酸性
触媒により分解し、フェノールとメチルエチルケトンと
するフェノール及びメチルエチルケトンの製造方法であ
って、JIS規格を十分に満足する高品質のメチルエチ
ルケトンを得ることができるフェノール及びメチルエチ
ルケトンの製造方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、メチルエ
チルケトンの純度及び過マンガン酸カリウム退色性に影
響を与える因子について詳細に検討した。その結果、純
度に影響を与えるものがカルボン酸類及びカルボン酸エ
ステル類であること、また過マンガン酸カリウム退色性
に影響を与えるものが不飽和ケトン類及びアルデヒド類
であることを見出した。更に、本発明者は、かかる特定
の不純物を効率的に除去する方法について検討し、本発
明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、sec−ブチルベン
ゼンを出発原料としてフェノール及びメチルエチルケト
ンを製造する方法であって、下記の工程を含むことを特
徴とするフェノール及びメチルエチルケトンの製造方法
に係るものである。 酸化工程:sec−ブチルベンゼンを酸化してsec−
ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを主成分とする
酸化反応液を得る工程 濃縮工程:酸化反応液を蒸留により濃縮し、塔底部から
sec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを主成
分とする塔底液を得、塔頂部からsec−ブチルベンゼ
ンを主成分とする留出液を得、該留出液を酸化工程へリ
サイクルする工程 分解工程:濃縮工程の塔底液を酸性触媒と接触させるこ
とにより、sec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサ
イドをフェノールとメチルエチルケトンに分解する工程 第1中和工程:分解工程で得られた分解液をアルカリ水
溶液により中和し、油層と水層に分離し、水層の一部を
再度第1中和工程へリサイクルする工程 第1蒸留工程:第1中和工程で得られた油層を蒸留に付
し、フェノールを主成分とする塔底液及びメチルエチル
ケトンを主成分とする留出液を得る工程 アルカリ洗浄工程:第1蒸留工程で得られた留出液をア
ルカリ水溶液で洗浄することにより、カルボン酸類、カ
ルボン酸エステル類、不飽和ケトン類及びアルデヒド類
を除去する工程 精製工程:アルカリ洗浄後の油層を中和後蒸留し、メチ
ルエチルケトンを分離回収する工程
【0008】以下詳細に説明する。本発明の酸化工程と
は、sec−ブチルベンゼンを酸化してsec−ブチル
ベンゼンハイドロパーオキサイドを主成分とする酸化反
応液を得る工程であり、たとえば次のとおり行われる。
すなわち、液体のsec−ブチルベンゼンを、90〜1
50℃の温度、1〜10kg/cm2 Gの圧力下、酸素
含有ガスと接触させることによりsec−ブチルベンゼ
ンハイドロパーオキサイドとする。
【0009】本発明の濃縮工程とは、酸化反応液を蒸留
により濃縮し、塔底部からsec−ブチルベンゼンハイ
ドロパーオキサイドを主成分とする塔底液を得、塔頂部
からsec−ブチルベンゼンを主成分とする留出液を得
る工程である。濃縮工程における蒸留の条件は、要する
にsec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを主
成分とする塔底液とsec−ブチルベンゼンを主成分と
する留出液が得られるように設定すればよく、たとえば
塔底温度50〜150℃、塔頂圧力1〜200torr
があげられる。
【0010】本発明の分解工程とは、濃縮工程の塔底液
を酸性触媒と接触させることにより、sec−ブチルベ
ンゼンハイドロパーオキサイドをフェノールとメチルエ
チルケトンに分解する工程である。酸性触媒としては、
硫酸、無水硫酸、過塩素酸、リン酸などが用いられる。
酸性触媒の使用量は、通常0.01〜1wt%であり、
温度は通常50〜100℃の範囲である。
【0011】本発明の第1中和工程とは、分解工程で得
られた分解液をアルカリ水溶液により中和し、油層と水
層に分離し、水層の一部を再度中和工程へリサイクルす
る工程である。中和のために用いられるアルカリとして
は、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの水酸化物、
炭酸塩、重炭酸塩などが使用できる。アルカリの使用量
は、水層のpHを通常5〜11、好ましくは6〜10に
維持するのに十分な量である。温度は常温〜90℃、油
層/水層の重量比は0.5〜5が好ましい。中和工程
は、中和されるべき液層とアルカリ水溶液とを十分に接
触させ、その後油層と水層とを分離できればよく、たと
えば攪拌器付の槽、ラインミキサー、パイプミキサーな
どが用いられる。第1中和工程においては、排水量を減
少させるために、中和工程で使用後の水層の一部を再度
中和工程でリサイクル使用する。その結果、中和工程の
塩濃度は上昇するが、通常1〜30wt%の塩濃度に維
持することが好ましい。第1中和工程で得られた油層は
次の第1蒸留工程へ送られ、一方水層の一部は廃棄され
る。
【0012】本発明の第1蒸留工程とは、第1中和工程
で得られた分解液を蒸留に付し、フェノールを主成分と
する塔底液及びメチルエチルケトンを主成分とする留出
液を得る工程である。蒸留の条件としては、たとえば塔
底温度150〜200℃、圧力常圧〜500torrが
あげられる。
【0013】本発明のアルカリ洗浄工程とは、第1蒸留
工程で得られた留出液をアルカリ水溶液で洗浄すること
により、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、不飽和
ケトン類及びアルデヒド類を除去する工程である。アル
カリとしてはナトリウム、カリウム、リチウムなどの水
酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などが使用できる。アルカリ
の使用量は、アルカリ洗浄工程における油層のpHを通
常7以上、好ましくは10〜14、更に好ましくは13
〜14となるようにする。油層のpHが低すぎる場合に
は、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、不飽和ケト
ン類及びアルデヒド類の除去が不十分となる。アルカリ
は水溶液として用いることが好ましく、その濃度は10
〜48重量%が好ましい。アルカリ洗浄工程における油
層/水層の重量比は0.5〜10、好ましくは0.5〜
4である。アルカリ洗浄工程における油層/水層の重量
比及び油層のpHと過マンガン酸カリウム退色性に悪影
響を与えるイソブチルアルデヒドの転化率との間には、
密接な関係がある。すなわち、pHが同一であれば、油
層/水層の重量比が小さい方がイソブチルアルデヒドの
転化率は大きく、また油層/水層の重量比が同一であれ
ば、pHが大きい方がイソブチルアルデヒドの転化率は
大きくなる。したがって、容積効率の許す範囲で、油層
/水層の重量比を小さく設定し、かつpHを大きく設定
することにより、イソブチルアルデヒドを効率的に転化
除去することが可能となる。アルカリ洗浄工程は、洗浄
されるべき油層とアルカリ水溶液を十分に接触させて十
分反応し、その後油層と水層とに分離できればよく、た
とえば攪拌器付の槽が用いられる。より好ましくは複数
の攪拌器付の連続混練槽あるいは液々抽出装置タイプの
反応装置が用いられる。
【0014】アルカリ洗浄工程は、本発明において特に
重要な工程である。すなわち、第1蒸留工程で得られた
留出液中に含まれるカルボン酸類、カルボン酸エステル
類及び不飽和ケトン類の実質上全部、並びにアルデヒド
類の大部分は、このアルカリ洗浄工程において除去さ
れ、カルボン酸類、カルボン酸エステル類及び不飽和ケ
トン類はそれぞれ約0.1重量ppm以下、アルデヒド
類は約10重量ppm以下にすることができる。なお、
カルボン酸とは主に酢酸及び蟻酸であり、製造装置に対
する腐食の問題を発生させる。カルボン酸エステル類と
は主に酢酸エチル及び蟻酸エチルであり、特に酢酸エチ
ルは蒸留のみによっては十分に除去できないという問題
を有する。不飽和ケトン類とは主にメチルビニルケトン
であり、それをわずか1重量ppmでも含有するメチル
エチルケトンは過マンガン酸カリウム退色試験を満足し
ないものとなる。また、メチルビニルケトンはメチルエ
チルケトンと沸点差が2℃しかなく、蒸留によっては経
済的には分離困難である。
【0015】アルデヒド類とは主にアセトアルデヒド及
びイソブチルアルデヒドであり、このうちイソブチルア
ルデヒドはメチルエチルケトンと沸点が接近しており、
蒸留だけによっては経済的には十分に分離できず、わず
か50重量ppm程度のイソブチルアルデヒドによりメ
チルエチルケトンの過マンガン酸カリウム退色試験を満
足しない。
【0016】なお、アルカリ洗浄工程において、メチル
エチルケトンとホルムアルデヒドから新たに3−メチル
−3−ブテン−2−オンが生成する。3−メチル−3−
ブテン−2−オンはわずか2重量ppm存在してもメチ
ルエチルケトンの過マンガン酸カリウム退色試験を満足
しないが、アルカリ洗浄後の第2蒸留工程にて分離可能
である。
【0017】本発明の精製工程とは、アルカリ洗浄後の
油層を中和後蒸留し、メチルエチルケトンを分離回収す
る工程である。精製工程の好ましい具体例として、下記
の第2中和工程及び第2蒸留工程を含む精製工程をあげ
ることができる。 第2中和工程:アルカリ洗浄後の油層を硫酸水溶液によ
り中和し、油層と水層に分離する工程 第2蒸留工程:第2中和工程で得られた油層を蒸留に付
し、油層中に含有されるアルデヒド類及び3−メチル−
3−ブテン−2−オンを含むタール分を除去しメチルエ
チルケトンを回収する工程
【0018】第2中和工程とは、アルカリ洗浄後の油層
を硫酸水溶液により中和し、油層と水層に分離する工程
である。次の第2蒸留工程で、アルカリ洗浄後の油層の
蒸留を行なう際、油層のpHが重要である。アルカリ洗
浄において、メチルエチルケトン及び不純物のイソブチ
ルアルデヒドからアルドール縮合型の二量体付加物が生
成する。この二量体付加物が、第2蒸留の際、pHが1
0以上のアルカリ性領域では、分解逆反応が起こり、イ
ソブチルアルデヒドが再生し、イソブチルアルデヒドが
増加混入してしまう。このイソブチルアルデヒドは既述
のように過マンガン酸カリウム退色性物質である。しか
もバッチ蒸留においては初期留分に復活が認められて回
収率が低下し、連続蒸留においては歩留まりが悪くなる
ために、JIS規格に合格するメチルエチルケトンの収
量が減少する事になり、分解逆反応を抑えたい物質であ
る。一方pHが7以下の中性あるいは酸性領域であれば
分解逆反応はほとんど起こらず留出分中にイソブチルア
ルデヒドが混入することはない。従って、アルカリ洗浄
後の油層の蒸留を行なう際、蒸留前に中和する事により
イソブチルアルデヒドの混入を防ぐ事が可能である。
【0019】中和のために用いられる酸としては、硫
酸、塩酸、硝酸などが使用できる。酸の使用量は、水層
のpHを通常7以下、好ましくは6〜4に維持するのに
十分な量である。温度は常温〜90℃、好ましくは60
〜80℃、油層/水層の重量比は0.5〜4が好まし
い。中和工程は中和されるべき液層と酸水溶液とを十分
に接触させ、その後油層と水層とを分離できればよく、
たとえば攪拌器付の槽、ラインミキサー、パイプミキサ
ーなどが用いられる。
【0020】第2中和工程においては、排水量を減少さ
せるために、中和工程で使用後の水層の一部を再度中和
工程でリサイクル使用することが好ましい。その結果、
第2中和工程の塩濃度は上昇するが、通常0.5〜15
重量%、好ましくは2〜10重量%の塩濃度に維持する
ことが好ましい。
【0021】第2蒸留工程とは、第2中和工程で得られ
た油層を蒸留に付し、油層中に含有されるアルデヒド類
及び3−メチル−3−ブテン−2−オンを含むタール分
を除去しメチルエチルケトンを回収する工程である。
【0022】蒸留の条件としては、たとえば塔底温度7
0〜100℃、塔頂圧力400〜600mmHgがあげ
られる。アルカリ洗浄によって新たに生成した3−メチ
ル−3−ブテン−2−オンあるいはタール分により過マ
ンガン酸カリウム退色試験を満足せず、このままではJ
IS規格を満足しない。そこでアルカリ洗浄後の油層を
第2蒸留工程にて蒸留し、わずかに残ったイソブチルア
ルデヒド、3−メチル−3−ブテン−2−オン及びター
ル分を除去することにより、JIS規格を十分に満足す
るメチルエチルケトンを分離回収することができる。
【0023】ここでタール分とは、メチルエチルケト
ン、不飽和ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸エステ
ル類のアルドール縮合反応生成物を含む高沸点化合物で
ある。
【0024】上記の第2中和工程及び第2蒸留工程を用
いることにより、アルカリ洗浄後の油層中に少量残留す
るアルデヒド類、3−メチル−3−ブテン−2−オン及
びタール分が、目的物であるメチルエチルケトンから分
離され、アルデヒド類の含有量が極めて低いメチルエチ
ルケトンを得ることができる。
【0025】更に、本発明においては、第2中和工程と
第2蒸留工程の間に、下記の水洗工程を介在させること
が好ましい。 水洗工程:第2中和工程で得られた油層を水洗する工程
【0026】温度は常温〜90℃、好ましくは60〜8
0℃、油層/水層の重量比は1〜4が好ましい。水洗工
程は水洗されるべき油層と水洗水とを十分接触させ、そ
の後油層と水層とを分離できればよく、たとえば攪拌器
付の槽、ラインミキサー、パイプミキサーなどが用いら
れる。かかる水洗工程を用いることにより、後続の蒸留
塔における各種塩類の析出・堆積を防止することがで
き、安定的な長期運転が可能となる。
【0027】以上説明した本発明により、フェノールと
共に、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、不飽和ケ
トン類及びアルデヒド類の含有量が極めて少なく、純度
及び過マンガン酸カリウム退色性に関するJIS規格を
十分に満足するメチルエチルケトンを得ることができ
る。
【0028】
【実施例】次に、実施例により本発明を説明する。 実施例1 蟻酸エチル90重量ppm、酢酸エチル230重量pp
m、メチルビニルケトン2400重量ppm、ホルムア
ルデヒド40重量ppm、イソブチルアルデヒド0.1
68重量%を含む第1蒸留工程の留出液であるメチルエ
チルケトン溶液について、次のとおり実施した。該留出
液100gに20重量%の水酸化ナトリウム水溶液10
0gを添加し、70℃で30分間攪拌することによりア
ルカリ洗浄工程を実施した。その後、油層と水層を分離
し、油層についてガスクロマトグラフィーで分析した。
その結果、蟻酸エチル、酢酸エチル及びメチルビニルケ
トンは不検出であり、3−メチル−3−ブテン−2−オ
ン200重量ppm、イソブチルアルデヒド10重量p
pmであった。また油層のpHを測定すると13であっ
た。次にアルカリ洗浄工程で得られた油層80gに8%
芒硝水20gを加え、10重量%の硫酸水溶液0.26
gを添加し、70℃で5分間攪拌することにより、pH
を6とし、第2中和工程を実施した。次に中和油層に4
0gの水を添加し、70℃で10分間攪拌して水洗工程
を実施した。その結果芒硝濃度は中和油層中に30重量
ppm存在したものが水洗油層には1重量ppm以下に
なった。更に水洗油層を蒸留(圧力500mmHg、塔
底温度68〜88℃)し、純度99.1%(JIS規格
は99%以上)のメチルエチルケトンを得た。このメチ
ルエチルケトンはタール分、3−メチル−3−ブテン−
2−オン及びイソブチルアルデヒドは不検出で過マンガ
ン酸カリウム退色性についてもJIS規格を満足した。
【0029】比較例1 実施例1の第1蒸留工程の留出液について、アルカリ洗
浄、中和、水洗工程を実施することなく蒸留のみを実施
した。その結果得られたメチルエチルケトンの純度は9
9.9重量%であったが、酢酸エチル230重量ppm
及びメチルビニルケトン240重量ppmを含有してお
り、過マンガン酸カリウム退色性を調べたところ、直ち
に退色し、JIS規格を満足しなかった。
【0030】比較例2 実施例1の留出液について、アルカリ洗浄工程のみを実
施した。その結果得られたメチルエチルケトンは、3−
メチル−3−ブテン−2−オンを200重量ppm、タ
ール分を1重量%含有しており、過マンガン酸カリウム
退色性を調べたところ、直ちに退色し、JIS規格を満
足しなかった。
【0031】比較例3 実施例1の第1蒸留工程の留出液について、アルカリ洗
浄工程を実施後、中和、水洗工程を実施することなく、
蒸留のみを実施した。その結果得られたメチルエチルケ
トンの純度は99.1%であったが、蒸留の初期留分中
にイソブチルアルデヒドが20〜60重量ppm含有
し、イソブチルアルデヒドの復活が起こり、過マンガン
酸カリウム退色試験を満足しない留分が10%程度存在
した。
【0032】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、s
ec−ブチルベンゼンを出発原料とするフェノール及び
メチルエチルケトンの製造方法であって、純度及び過マ
ンガン酸カリウム退色性についてのJIS規格を十分に
満足する高品質のメチルエチルケトンを得ることができ
るフェノール及びメチルエチルケトンの製造方法を提供
することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 49/10 C07C 49/10 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (56)参考文献 特開 平6−172239(JP,A) 特開 平5−178772(JP,A) 特開 平5−178773(JP,A) 特開 平5−229972(JP,A) 特開 昭62−114922(JP,A) 特開 昭61−5034(JP,A) 特開 昭57−45127(JP,A) 特開 昭51−133239(JP,A) 特開 昭51−125333(JP,A) 特開 昭50−50311(JP,A) 特開 昭48−80524(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 27/12 C07C 37/08 C07C 39/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 sec−ブチルベンゼンを出発原料とし
    てフェノール及びメチルエチルケトンを製造する方法で
    あって、下記の工程を含むことを特徴とするフェノール
    及びメチルエチルケトンの製造方法。 酸化工程:sec−ブチルベンゼンを酸化してsec−
    ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを主成分とする
    酸化反応液を得る工程 濃縮工程:酸化反応液を蒸留により濃縮し、塔底部から
    sec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサイドを主成
    分とする塔底液を得、塔頂部からsec−ブチルベンゼ
    ンを主とする留出液を得、該留出液を酸化工程へリサイ
    クルする工程 分解工程:濃縮工程の塔底液を酸性触媒と接触させるこ
    とにより、sec−ブチルベンゼンハイドロパーオキサ
    イドをフェノールとメチルエチルケトンに分解する工程 第1中和工程:分解工程で得られた分解液をアルカリ水
    溶液により中和し、油層と水層に分離し、水層の一部を
    再度中和工程へリサイクルする工程 第1蒸留工程:第1中和工程で得られた油層を蒸留に付
    し、フェノールを主成分とする塔底液及びメチルエチル
    ケトンを主成分とする留出液を得る工程 アルカリ洗浄工程:第1蒸留工程で得られた留出液をア
    ルカリ水溶液で洗浄することにより、カルボン酸類、カ
    ルボン酸エステル類、不飽和ケトン類及びアルデヒド類
    を除去する工程 精製工程:アルカリ洗浄後の油層を中和後蒸留し、メチ
    ルエチルケトンを分離回収する工程
  2. 【請求項2】 アルカリ洗浄工程における油層のpHが
    7以上である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ洗浄工程における油層/水層の
    重量比が0.5〜10である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 精製工程が、下記の工程を含む工程であ
    る請求項1記載の方法。 第2中和工程:アルカリ洗浄後の油層を硫酸水溶液によ
    り中和し、油層と水層に分離する工程 第2蒸留工程:第2中和工程で得られた油層を蒸留に付
    し、油層中に含有されるアルデヒド類及び3−メチル−
    3−ブテン−2−オンを含むタール分を除去しメチルエ
    チルケトンを回収する工程
  5. 【請求項5】 第2中和工程と第2蒸留工程の間に、下
    記の工程を介在させる請求項4記載の方法。 水洗工程:第2中和工程で得られた油層を水洗する工程
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