JP3362479B2 - 回転電機の回転子 - Google Patents
回転電機の回転子Info
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Description
渦電流の流れる部分の材質を改良した回転電機の回転子
に関する。
する発電設備に用いられている発電機の回転子の界磁巻
線を押さえるウェッジとしては、一般に鉄やアルミの合
金が用いられている。
に対応して大容量の発電設備が建設されるようになって
いる。これに伴い、ガスタービンあるいはコンバインド
サイクル発電設備を始動するための始動装置も大容量の
ものが要求されるようになり、サイリスタ始動方式が注
目されるようになった。これは、発電設備を始動する際
に発電設備中の同期発電機を可変速の電動機として作動
させ、この電動機から得たトルクによってガスタービン
を自力昇速可能速度まで加速する方式である。
加する交流電源の周波数に依存している。従って、同期
発電機を可変速運転するためには、周波数可変の交流電
源が必要であり、その周波数は可変速電動機の回転速度
に応じて制御できるものでなければならない。周波数電
源を得る目的で、サイリスタなどの半導体素子をもちい
た周波数変換装置が利用されている。
順変換部と直流を交流に変換する逆変換部とからなって
いる。この周波数変換装置をもちいて発電設備を始動す
る際、発電機の電機子巻線には方形波電流を流す。方形
波電流には高調波電流が含まれており、その電流は下式
のように表わすことができる。
電流を誘起する。回転子のウェッジに流れる渦電流はウ
ェッジとウェッジとの繋ぎ目においてティースに移行し
て流れる。渦電流は端部においてリティニングリング及
びダンパリングに移行して、回転子の円周方向に流れ
る。また、磁極部においてはクロススロットの付近でク
ロススロットの端に電流が集中して流れる。これらの回
転子表面に流れる渦電流により損失が発生し、その結
果、回転子表面の温度が上昇する。
し、始動時の低速回転の際には十分な冷却性能がないた
め、始動時の温度上昇が問題となり、発電機に悪影響を
与えることになる。また、電力系統には種々の電気機器
が発生する高調波電流が含まれているため、発電機は常
に高調波電流が流れている状況にある。
るには、発電機の回転子の界磁巻線を押さえるウェッジ
及びダンパに渦電流を集中させることが考えられる。ウ
ェッジとして一般に用いられている鉄では、回転子の抵
抗とウェッジの抵抗とがほぼ等しいため、ウェッジに渦
電流を集中させることができない。同じくウェッジとし
て一般に用いられているアルミでは、ウェッジに渦電流
を集中させることはできるが、低速回転時等で発生する
恐れのある電蝕に対して弱いという問題がある。
には銅に数パーセントのシリコンとニッケルを加えた銅
合金を使用しているが、電蝕に対して配慮されていな
い。特公昭63−12931 号公報には上述の組成の他にジル
コニウムを使用しているが、電蝕及びウェッジ等に対し
て配慮されていない。
に関しては、材料強度及び耐熱強度があまり大きくない
ため、電流を多く流すことには問題がある。
た回転電機の回転子を提供することにある。
め、本発明の回転電機の回転子は、軸方向に連続した溝
を周方向に複数設け、溝内に回転子巻線を収納すると共
に、回転子巻線が遠心力で飛び出すのを防止するウェッ
ジを回転子表面付近溝内に収納し、ウェッジは、Cu合
金からなり、合金組成は、Si0.3〜2% ,Ni2〜
6%,Al2〜6%含有し、残部が銅から成るように構
成した。
合金を使用すると、この銅合金は導電率が良いから、電
気抵抗が小さく、温度上昇が少なく、回転子表面の温度
上昇を抑えることができると共に、機械的強度が強く、
耐電蝕性に優れているので、例えばウェッジがティース
に衝突してもスパークにより変形しにくく、ウェッジの
破損を防止できる。
説明する。図1は同期発電機の回転子1であり、回転子
1の部分断面図が図2,図3である。
に主軸1Aを備え、主として鉄心2と界磁巻線3とより
成る。縦溝4とティース5は回転子1の周方向に沿って
複数個形成されていると共に、軸方向に伸びている。界
磁巻線3及びウェッジ6は縦溝内に収納されている。ウ
ェッジ6は界磁巻線外周側の縦溝4内に配置され、軸方
向に複数個分割して、界磁巻線3が縦溝4より外部に飛
び出すのを防止している。ダンパリング7は主軸側のウ
ェッジ端に接続して、回転子1の周方向に沿って取り付
けられ、ダンパリング7の上側にはリティニングリング
8を配置している。リティニングリング8は界磁巻線
3,ダンパリング7等を回転子1に固定している。2A
はクロス.ロットである。
600rpm であるが、始動時の低速回転数例えば約数1
00rpm 以下で回転する。このため、回転子1のウェッ
ジ6には遠心力が働き、この高遠心力に耐える材料強度
が必要となる。また、回転子に誘起される渦電流をウェ
ッジ6に集中させるためには、回転子表面に比べてウェ
ッジ6が高い導電率を有している必要がある。
上昇との関係について示したものである。回転子1に誘
起される渦電流ISは、電機子巻線に流れる高調波電流I
2 に比例する。即ち、Is∝I2の関係にある。
流Isとの関係は次式で表わせる。 ΔT ∝R・Is 但し、R:回転子表面の抵抗 従って、回転子表面の温度上昇は渦電流の流れる回転子
表面の抵抗の大きさに比例する。つまり、回転子表面の
渦電流の流れる部分の抵抗を小さくすれば、回転子表面
の温度上昇を抑えることができる。
子のウェッジとして使用する場合、必要となる材料強度
と導電率の基準は、IACS[Intertional Annealed
Copper Standard(国際軟銅標準)]によれば、以下の
ように規定されている。
ッジ6の材料強度及び導電率について説明する。
Si合金の本発明の材料の強度及び導電率を示す特性図
である。
(A)に示すように、Siは上記(1)を得るために、
Si=0.2% 以上必要である。しかし、同図(B)よ
りSi=1.5%を越えると、導電率が上記(2)を下
回る。従って、Siは0.2%〜1.5%が好ましい。
0.5% 以上必要である。しかし、同図(B)よりNi
=5%を越えると、導電率が上記(2)を下回る。従っ
て、Niは0.5%〜5%が好ましい。
るために0.05% 以上必要である。しかし、Zrが4
%を越えると、導電率が上記(2)を下回る。従って、
Zrは0.05%〜4%が好ましい。
合金は図7に示すように電蝕部が割れやすい。しかし、
(0.05%〜4%)のZrを本発明のCu−Si(0.
2%〜1.5%),Ni(0.5%〜5%)合金に添加す
ると、電蝕部の割れは著しく少なくなる。
i(0.2%〜1.5%),Ni(0.5%〜5%),Zr
(0.05%〜4%)合金を使用した場合を説明する。
を流れる成分は、ウェッジ6が軸方向に分割されている
ため、ウェッジ6の切目ではティース5へ迂回して流れ
る。このため、ウェッジ6とティース5の接合面の電気
抵抗で局部的に回転子1の温度が上昇したり、双方の電
位差によりアークが発生し、電蝕によりウェッジ6とテ
ィース5の接合部が溶解する。
えばサイリスタ始動初期時は、ウェッジ6に働く遠心力
が十分ではないために、回転子1が図3(A)のように
上側の時には、ウェッジ6が縦溝4の間隙を介して矢印
Aのようにティース5より離れ、ウェッジ6とティース
5との間にスパークを発生する。更に、回転子1が移動
して、図3(B)の下側に来ると、ウェッジ6が重力g
により矢印Bのようにティース5に衝突する。
Zr−Ni−Si合金を使用したので、この合金は上述
のように導電性が良く、渦電流Isが流れても、温度上
昇が少なく、機械的強度が大きく、ウェッジ6がティー
ス5に衝突しても、変形しにくいと共に、図8に示すよ
うに、耐電蝕性に優れているので、スパークが生じにく
く、ウェッジ6が溶損しにくい。
明のCu−Si(0.2%〜1.5%),Ni(0.5%〜
5%)合金に添加すると、電蝕部の割れは著しく少なく
なるので、更に、ウェッジ6が溶損しにくい。
ジの耐電蝕性の比較を示している。耐電蝕性に対して、
従来の鉄やアルミ製のウェッジに比べ、本発明の銅合金
のウェッジは約50倍の耐力を有している。
気抵抗で局部的に回転子1の温度が上昇するが、本発明
のウェッジ銅合金の材料の機械的強度及び導電率特性は
図5に示すように、導電率が良いから、電気抵抗が小さ
く、温度上昇が少ないと共に、機械的強度が強く、ウェ
ッジ6がティース5に衝突しても変形しにくく、ウェッ
ジ6の破損を防止できるので、巻線3が縦溝4から飛び
出すことがない。
合金の強度及び導電率を示している。
は、0.3(vol%)以上必要である。しかし、Al2O3が
20(vol%)を越えると同図(B)より、導電率が上記
(2)を下回る。従って、Al2O3は(0.3%〜20v
ol%)が好ましい。
より明らかなように他のFe,Al金属より良く、ウェ
ッジに使用すれば上記と同様な効果を達成することが出
来る。
合金にAlを添加した場合である。Cu−Al−Ni−
Si合金の場合、合金の成分を適切に選ぶと室温で約5
0kg/mm2 以上の0.2% 耐力と約20%IACSの導
電率を有する合金となる。
とおりである。
得るためには、同図(A)に示すように2%以上必要で
ある。しかし、Alが6%を越えると同図(B)より、
導電率が上記(2)を下回る。従って、Alは(2%〜
6%)が好ましい。
には、(2%〜6%)が好ましい。Siは導電率が上記
(2)を満足するためには、(0.3%〜2%)が好まし
い。
Ni(2%〜6%),Si(0.3%〜2%)合金を回
転電機のロータウェッジ6に使用すると、ウェッジに対
する材料強度と導電率の基準を満たすことができるた
め、高調波によって誘起される回転子表面の温度上昇を
抑えることができ、上述と同様な効果を達成することが
出来る。
渦電流の流れる部分に使用する合金として、次の合金を
使用できる。
Si合金,Cu−Ti−Fe合金,Cu−Ag合金,C
u−Cr合金,Cu−Zr−Cr−Al合金,Cu−T
i−Si合金,Cu−Co−Si合金を使用する。
ス微粒子(Al2O3,TiO2,Y2O3,BN,AlN
等)を、マトリックス中に分散させた銅合金を使用する
酸化物,窒化物等のセラミックス微粒子(Al2O3,T
iO2,Y2O3,BN,AlNetc.)をマトリックス中
に分散させた銅合金を使用することにより、耐熱性に優
れた、ウェッジ及び回転子の渦電流の流れる部分に使用
する合金の材質として使用できる。
sが流れた際には、渦電流Isの流れている部分が温度
上昇するが、この温度上昇は、場合によっては局所的に
数百℃まで達する恐れがあるため、ウェッジの耐熱性が
問題となる。本発明の酸化物,窒化物を使用したウェッ
ジであれば、充分に温度上昇にたえることができる。ま
た回転子の端部は、中央部に比べ運転時の温度上昇が大
きく、また回転子を製造する際にリティニングリングを
焼きばめするため、耐熱性に優れた材質を使用する必要
がある。
抑えるため、低抵抗の材質を使用することが望ましい。
銅合金を用い、中央部に導電性の高い銅合金を用いてい
る。また従来のウェッジを使用している回転電機に対し
ても、同じ大きさの銅合金に交換するだけで、高調波に
対する耐量を上げることができる。
が、ダンパリングの渦電流Isが流れる部分に本発明の
銅合金を使用してもよい。
発明の銅合金を使用したので、この銅合金は導電率が良
いから、電気抵抗が小さく、回転子表面の温度上昇を抑
えることができる。従って、機械的強度が強く、耐電蝕
性に優れているので、渦電流が流れる部分の部材も破損
しにくと共に、例えばウェッジがティースに衝突した時
のスパークにより変形しにくく、ウェッジ等の本発明の
銅合金の破損を防止できる。
である。
ェッジが上側及び下側に移動した時の部分断面図であ
る。
を示す説明図である。
用したCu−Ni−Si−Zr合金の強度及び導電率を
示す特性図である。
電蝕性を示す特性図である。
す特性図である。
示したCu−Al2O3合金の強度及び導電率を示す特性
図である。
て示したCu−Al−Ni−Si合金の強度及び導電率
を示す特性図である。
ース、6…ウェッジ、7…ダンパリング、8…リティニ
ングリング。
Claims (5)
- 【請求項1】軸方向に連続した溝を周方向に複数設け、
該溝内に回転子巻線を収納すると共に、該回転子巻線が
遠心力で飛び出すのを防止するウェッジを回転子表面付
近溝内に収納した回転電機の回転子において、前記ウェ
ッジは、Cu合金からなり、前記合金組成は、Si0.
3〜2% ,Ni2〜6%,Al2〜6%含有し、残部
が銅から成ることを特徴とする回転電機の回転子。 - 【請求項2】前記銅合金は、酸化物粒子及び窒化物粒子
の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記
載の回転電機の回転子。 - 【請求項3】前記酸化物粒子は、Al2O3,TiO2 ,
Y2O3の少なくとも1つからなることを特徴とする請求
項2に記載の回転電機の回転子。 - 【請求項4】前記窒化物粒子は、BN及びAlNの少な
くとも一方からなることを特徴とする請求項2に記載の
回転電機の回転子。 - 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載の銅合金
を回転子鉄心の端部に設けられたダンパリングに用いた
ことを特徴とする回転電機の回転子。
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