JP3360943B2 - レ−ザ発振装置およびその波長選択方法 - Google Patents
レ−ザ発振装置およびその波長選択方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は波高選択素子としてエ
タロンを用いて単一縦モード発振のレーザ光を得るとと
もにそのレーザ光の波長掃引を行うレーザ発振装置に関
する。 【0002】 【従来の技術】たとえば、ヘンシュ型色素レ−ザ発振装
置において、単一縦モ−ド発振を維持しながら波長掃引
を行う場合、従来は図5に示す構成のレ−ザ発振装置が
採用されていた。すなわち、同図中1は光共振器であ
る。この光共振器1はレ−ザ媒質としての色素セル2の
両端にグレ−テイング3と出力ミラ−4とを所定の間隔
で対峙させて配置してなる。 【0003】上記色素セル2とグレ−テイング3との間
には、プリズム式のビ−ム拡大器5とエタロン6とが設
けられている。上記色素セル2は励起光Sによって励起
される。それによって、上記色素セル2からはレ−ザ光
Rが発生するようになっている。色素セル2から発生し
たレ−ザ光Rはビ−ム拡大器5でビ−ム径が拡大され、
エタロン6とグレ−テイング3とで波長選択されて上記
出力ミラ−4から発振出力される。この出力ミラ−4か
ら出力されたレ−ザ光Rは出力モニタ7によって出力が
検出され、その検出信号はフィ−ドバック装置8に入力
されるようになっている。 【0004】上記出力ミラ−4にはピエゾ素子からなる
第1のプッシャ9が設けられている。この第1のプシャ
9は、上記フィ−ドバック装置8からの駆動信号によっ
て作動し、上記出力ミラ−4を上記光共振器1の光軸方
向に沿って駆動する。それによって、出力ミラ−4から
出力されるレ−ザ光Rは縦モ−ド間隔が変えられ、波長
掃引される。 【0005】上記エタロン6は、第2のプッシャ11に
よって上記光軸方向に沿って駆動されるとともに、第1
のピエゾモ−タ12によって上記光軸を中心として回転
駆動されるようになっている。上記第2のプッシャ11
と上記第1のピエゾモ−タ12は、上記フィ−ドバック
装置8からの駆動信号によって駆動されるようになって
いる。 【0006】上記グレ−テイング3は第2のピエゾモ−
タ13によって上記光軸を中心として微小範囲内で回転
駆動される。上記第2のピエゾモ−タ13は、上記フィ
−ドバック装置8からの駆動信号によって駆動される。 【0007】このような構成のレ−ザ発振装置におい
て、出力ミラ−4から出力されるレ−ザ光Rの波長掃引
は、出力ミラ−4を第1のプッシャ9で駆動し、縦モ−
ド間隔を微少に変えることで行う。 【0008】図4(a)はグレ−テイング3とエタロン
6との選択帯域に縦モ−ドが1本だけ存在し、単一の縦
モ−ド発振が行われている状態を示している。しかしな
がら、フィ−ドバック装置8の時定数が適性でなかった
り、制御系にノイズを受けるような環境で出力ミラ−4
を駆動して縦モ−ド間隔を変える、つまり波長掃引を行
うと、図4(b)に示すように縦モ−ドとエタロン6の
透過ピ−クがずれ、グレ−テイング3とエタロン6との
中心の選択帯域に2本の縦モ−ドが存在し、単一の縦モ
−ド発振にならないということがある。 【0009】そのような場合、掃引中においても単一縦
モ−ド発振を維持するため、出力モニタ7が検出する縦
モ−ドの検出信号によって第1のピエゾモ−タ12を駆
動し、図4(c)に示すように上記縦モ−ドにエタロン
6の透過ピ−クを一致させることで、単一縦モ−ド発振
を維持した波長の掃引を行なうようにしている。 【0010】ところで、単一縦モ−ド発振の状態で、波
長掃引を行うために、出力ミラ−4を駆動して共振器長
を制御する際、上述したような種々の原因によって図3
(a)に示す状態から図3(b)に示すような状態とな
ることがある。すなわち、単一縦モ−ド発振の場合には
図3(a)に示すように1本の縦モ−ドがエタロン6の
透過ピ−クに一致し、中心のエタロンモ−ドm1 だけか
ら発振出力され、その両側のエタロンモ−ドm2 からの
発振出力は認められない。 【0011】しかしながら、図3(b)のようにマルチ
モ−ド発振となった場合には、後述する理由によって中
心のエタロンモ−ドm1 からの発振に加え、その両側の
エタロンモ−ドm2 の波長でも発振するため、結果的に
複数の波長でのレ−ザ発振を生じ、発振スペクトルが乱
れるという現象がある。 【0012】発明者は、このような現象が生じる原因に
ついて究明した結果、つぎのようなことを見出した。つ
まり、波長掃引に際し、出力ミラ−4を駆動して縦モ−
ドを変えたとき、その縦モ−ド間隔が、波長選択素子と
して使用しているエタロン6のFSR(Free Spectral
Range )の整数倍でなく、半整数倍のとき、中心のエタ
ロンモ−ドm1 内の縦モ−ドが2本となる、マルチモ−
ド発振となると、両側のエタロンモ−ドm2 内には縦モ
−ドが1本となる。すると、中心のエタロンモ−ドm1
での発振閾値は大きくなり、両側のエタロンモ−ドm2
での発振閾値は小さくなるから、閾値の小さくなった両
側のエタロンモ−ドm2 での発振が起こり易くなり、複
数の波長でのレ−ザ発振が生じるということが分かっ
た。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来のレ
−ザ発振装置は、光共振器長を変えて波長掃引する際、
種々の原因でマルチモ−ド発振になると、複数の波長で
のレ−ザ発振が生じ、スペクトルに乱れを生じるという
ことがあった。 【0014】この発明は上記事情に基づきなされたもの
で、その目的とするところは、波長掃引の際にマルチモ
ード発振となっても、中心のエタロンモードの両側のエ
タロンモードでの発振が生じ、出力されるレーザ光のス
ペクトルが乱れるということがないようにしたレーザ発
振装置を提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】この発明のレ−ザ発振装
置は、レ−ザ媒質を挟んで対峙して配置されたグレ−テ
イングと出力ミラ−とからなる光共振器と、この光共振
器内の上記レ−ザ媒質とグレ−テイングとの間に設けら
れたエタロンと、上記出力ミラ−を駆動してこの出力ミ
ラ−から出力されるレ−ザ光の縦モ−ド間隔を変える駆
動手段と、上記出力ミラ−から出力されるレ−ザ光の縦
モ−ド間隔を測定するスペクトルモニタと、上記駆動手
段によって縦モ−ド間隔を変えるときに上記スペクトル
モニタによる測定結果にもとづいて上記縦モ−ド間隔を
上記エタロンのFSRの整数倍に設定する設定手段とを
具備したことを特徴とする。 【0016】 【0017】 【作用】上記装置によれば、縦モード間隔を、上記エタ
ロンのFSRの整数倍に設定することで、波長掃引の際
に、中心のエタロンモードでの発振がマルチモードとな
っても、エタロンの中心モードの両側のモードもマルチ
モードとなって発振閾値が増すため、中心モードの両側
のモードでの発振が発生しずらくなる。 【0018】 【実施例】以下、この発明の一実施例を図1と図2を参
照して説明する。なお、図5に示す従来構造と同一部分
には同一記号を付して説明を省略する。すなわち、この
実施例は出力ミラ−4と出力モニタ7との間のレ−ザ光
Rの光路に、サンプリングミラ−21が45度の角度で
傾斜して配置されている。このサンプリングンミラ−2
1はレ−ザ光Rの一部を反射し、大半を透過する構成と
なっている。 【0019】上記サンプリングミラ−21で反射したレ
−ザ光Rはスペクトルモニタ22に入射する。このスペ
クトルモニタ22はファブリペロ−方式の光スペクトラ
ムアナライザ(通常、光スペアナという)が用いられ、
そのスペクトルモニタ22のFSRとその間隔からレ−
ザ光Rの縦モ−ド間隔が比例計算により計測できる。 【0020】すなわち、スペクトルモニタ22の周波数
分解能Δν´(縦モ−ド間隔)は下記(1)式で求める
ことができる。 Δν´=FSR/F …(1)式 ただし、Fはスペクトルモニタ22のフィネスである。 【0021】たとえば、スペクトルモニタ22のFSR
が3000MHzで、フィネスFが125の場合、周波数分解
能Δν´は24MHzとなり、通常の単一の縦モ−ド発
振のヘンシュ型発振器の縦モ−ド間隔1000MHzに対し
て十分な分解能が得られる。 【0022】したがって、上記周波数分解能Δν´がレ
−ザ光Rの縦モ−ド以下になるよう、スペクトルモニタ
22のFSRとフィネスFを選択することで、レ−ザ光
Rの縦モ−ド間隔Δνの測定が可能となる。 【0023】縦モ−ド間隔Δνと光共振器長Lは下記
(2)式で示される。 Δν=c/2L …(2)式 ただし、cは光速である。 【0024】上記スペクトルモニタ22によって検出さ
れたレ−ザ光Rは、電気信号に変換されてフィ−ドバッ
ク装置80に入力される。このフィ−ドバック装置80
は、スペクトルモニタ22からの信号によって、エタロ
ン6のFSRの整数倍で、しかも共振器長Lが最も短く
なる縦モ−ド間隔Δνを決定し、その決定に基づく駆動
信号によって出力ミラ−4に設けられた駆動素子23を
駆動するようになっている。この駆動素子23は上記出
力ミラ−4を第1のプッシャ9よりも大きなストロ−ク
で駆動することができる。 【0025】すなわち、この実施例のフィ−ドバック装
置80は、単にグレ−テング3やエタロン6を駆動する
だけでなく、波長掃引の際に、共振器長Lを所定の条件
に設定するよう、駆動素子23を作動させて出力ミラ−
4を駆動するようになっている。 【0026】縦モ−ド間隔Δνと共振器長Lとの関係は
上記(2)式で示される。そのため、上述したように共
振器長Lを最も短くできる縦モ−ド間隔Δνを決定すれ
ば、中心のエタロンモ−ドm1 に立つ縦モ−ドの数を少
なくできる。つまり、発振がマルチモ−ドになるのを押
さえるとができる。 【0027】つぎに、上記構成のレ−ザ発振装置によっ
て波長掃引を行なう場合について説明する。まず、レ−
ザ媒質2を励起光Sで励起し、レ−ザ光Rを出力ミラ−
4から発振出力させる。そして、そのレ−ザ光Rの波長
掃引を行なう場合には、駆動素子23を作動させ、出力
ミラ−4を光軸方向に駆動する。それによって、光共振
器長Lを変えて波長掃引することができる。 【0028】その際、上記出力ミラ−4から発振出力さ
れたレ−ザ光Rの一部はスペクトルモニタ22に入射
し、電気信号に変換されてフィ−ドバック装置80に入
力される。このフィ−ドバック装置80ではスペクトル
モニタ22から入力された電気信号によってレ−ザ光R
の縦モ−ド間隔Δνを算出し、その縦モ−ド間隔Δν
を、光共振器1内に設けられたエタロン6の既知であ
る、FSRと比較する。 【0029】その比較結果に基づいて上記フィ−ドバッ
ク装置80は、エタロン6のFSRの整数倍で、しかも
共振器長Lが最も短くできる縦モ−ド間隔Δνを算出
し、その算出結果に基づいて上記駆動素子23に駆動信
号を出力して出力ミラ−4を駆動し、共振器長Lを補正
する。 【0030】このように、共振器長Lが設定されれば、
波長掃引の際に、種々の原因で図2(a)に示すシング
ルモ−ド発振の状態、つまり中心のエタロンモ−ドm1
に縦モ−ドが1本の状態から図2(b)に示すマルチモ
−ド発振になり、中心のエタロンモ−ドm1 内に縦モ−
ドが2本存在しても、両側のエタロンモ−ドm2 内の縦
モ−ドも2本になる。そのため、両側のエタロンモ−ド
m2 の発振閾値が増すため、その両側のエタロンモ−ド
m2 での発振が起こりにくいから、中心のエアタロンモ
−ドm1 以外のモ−ドでの発振によるスペクトルの乱れ
を防止することができる。 【0031】なお、上記一実施例では出力ミラ−4を駆
動する駆動素子23をフィ−ドバック装置80からの駆
動信号によって作動させるようにしたが、スペクトルモ
ニタ22によって検出されたレ−ザ光Rの波形から縦モ
−ド間隔Δνを求め、その結果に基づいて上記出力ミラ
−4を手動で駆動することで共振器長を設定してもよ
い。 【0032】 【発明の効果】以上述べたようにこの発明は、波長掃引
するために、出力ミラ−を光軸方向に駆動して縦モ−ド
間隔を変えるときに、その縦モ−ド間隔を波長選択用の
エタロンFSRの整数倍に設定するようにした。 【0033】そのため、波長掃引の際、中心のエタロン
モ−ドに2本の縦モ−ドが立ってマルチモ−ドとなった
とき、両側のエタロンモ−ドにも2本の縦モ−ドが立
ち、その発振閾値が増大するので、両側のエタロンモ−
ドでの発振が起こるのを防止することができる。つま
り、主発振モ−ド以外のモ−ドでの発振を押さえること
ができるから、複数の波長でのレ−ザ発振が生じずら
い。
タロンを用いて単一縦モード発振のレーザ光を得るとと
もにそのレーザ光の波長掃引を行うレーザ発振装置に関
する。 【0002】 【従来の技術】たとえば、ヘンシュ型色素レ−ザ発振装
置において、単一縦モ−ド発振を維持しながら波長掃引
を行う場合、従来は図5に示す構成のレ−ザ発振装置が
採用されていた。すなわち、同図中1は光共振器であ
る。この光共振器1はレ−ザ媒質としての色素セル2の
両端にグレ−テイング3と出力ミラ−4とを所定の間隔
で対峙させて配置してなる。 【0003】上記色素セル2とグレ−テイング3との間
には、プリズム式のビ−ム拡大器5とエタロン6とが設
けられている。上記色素セル2は励起光Sによって励起
される。それによって、上記色素セル2からはレ−ザ光
Rが発生するようになっている。色素セル2から発生し
たレ−ザ光Rはビ−ム拡大器5でビ−ム径が拡大され、
エタロン6とグレ−テイング3とで波長選択されて上記
出力ミラ−4から発振出力される。この出力ミラ−4か
ら出力されたレ−ザ光Rは出力モニタ7によって出力が
検出され、その検出信号はフィ−ドバック装置8に入力
されるようになっている。 【0004】上記出力ミラ−4にはピエゾ素子からなる
第1のプッシャ9が設けられている。この第1のプシャ
9は、上記フィ−ドバック装置8からの駆動信号によっ
て作動し、上記出力ミラ−4を上記光共振器1の光軸方
向に沿って駆動する。それによって、出力ミラ−4から
出力されるレ−ザ光Rは縦モ−ド間隔が変えられ、波長
掃引される。 【0005】上記エタロン6は、第2のプッシャ11に
よって上記光軸方向に沿って駆動されるとともに、第1
のピエゾモ−タ12によって上記光軸を中心として回転
駆動されるようになっている。上記第2のプッシャ11
と上記第1のピエゾモ−タ12は、上記フィ−ドバック
装置8からの駆動信号によって駆動されるようになって
いる。 【0006】上記グレ−テイング3は第2のピエゾモ−
タ13によって上記光軸を中心として微小範囲内で回転
駆動される。上記第2のピエゾモ−タ13は、上記フィ
−ドバック装置8からの駆動信号によって駆動される。 【0007】このような構成のレ−ザ発振装置におい
て、出力ミラ−4から出力されるレ−ザ光Rの波長掃引
は、出力ミラ−4を第1のプッシャ9で駆動し、縦モ−
ド間隔を微少に変えることで行う。 【0008】図4(a)はグレ−テイング3とエタロン
6との選択帯域に縦モ−ドが1本だけ存在し、単一の縦
モ−ド発振が行われている状態を示している。しかしな
がら、フィ−ドバック装置8の時定数が適性でなかった
り、制御系にノイズを受けるような環境で出力ミラ−4
を駆動して縦モ−ド間隔を変える、つまり波長掃引を行
うと、図4(b)に示すように縦モ−ドとエタロン6の
透過ピ−クがずれ、グレ−テイング3とエタロン6との
中心の選択帯域に2本の縦モ−ドが存在し、単一の縦モ
−ド発振にならないということがある。 【0009】そのような場合、掃引中においても単一縦
モ−ド発振を維持するため、出力モニタ7が検出する縦
モ−ドの検出信号によって第1のピエゾモ−タ12を駆
動し、図4(c)に示すように上記縦モ−ドにエタロン
6の透過ピ−クを一致させることで、単一縦モ−ド発振
を維持した波長の掃引を行なうようにしている。 【0010】ところで、単一縦モ−ド発振の状態で、波
長掃引を行うために、出力ミラ−4を駆動して共振器長
を制御する際、上述したような種々の原因によって図3
(a)に示す状態から図3(b)に示すような状態とな
ることがある。すなわち、単一縦モ−ド発振の場合には
図3(a)に示すように1本の縦モ−ドがエタロン6の
透過ピ−クに一致し、中心のエタロンモ−ドm1 だけか
ら発振出力され、その両側のエタロンモ−ドm2 からの
発振出力は認められない。 【0011】しかしながら、図3(b)のようにマルチ
モ−ド発振となった場合には、後述する理由によって中
心のエタロンモ−ドm1 からの発振に加え、その両側の
エタロンモ−ドm2 の波長でも発振するため、結果的に
複数の波長でのレ−ザ発振を生じ、発振スペクトルが乱
れるという現象がある。 【0012】発明者は、このような現象が生じる原因に
ついて究明した結果、つぎのようなことを見出した。つ
まり、波長掃引に際し、出力ミラ−4を駆動して縦モ−
ドを変えたとき、その縦モ−ド間隔が、波長選択素子と
して使用しているエタロン6のFSR(Free Spectral
Range )の整数倍でなく、半整数倍のとき、中心のエタ
ロンモ−ドm1 内の縦モ−ドが2本となる、マルチモ−
ド発振となると、両側のエタロンモ−ドm2 内には縦モ
−ドが1本となる。すると、中心のエタロンモ−ドm1
での発振閾値は大きくなり、両側のエタロンモ−ドm2
での発振閾値は小さくなるから、閾値の小さくなった両
側のエタロンモ−ドm2 での発振が起こり易くなり、複
数の波長でのレ−ザ発振が生じるということが分かっ
た。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来のレ
−ザ発振装置は、光共振器長を変えて波長掃引する際、
種々の原因でマルチモ−ド発振になると、複数の波長で
のレ−ザ発振が生じ、スペクトルに乱れを生じるという
ことがあった。 【0014】この発明は上記事情に基づきなされたもの
で、その目的とするところは、波長掃引の際にマルチモ
ード発振となっても、中心のエタロンモードの両側のエ
タロンモードでの発振が生じ、出力されるレーザ光のス
ペクトルが乱れるということがないようにしたレーザ発
振装置を提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】この発明のレ−ザ発振装
置は、レ−ザ媒質を挟んで対峙して配置されたグレ−テ
イングと出力ミラ−とからなる光共振器と、この光共振
器内の上記レ−ザ媒質とグレ−テイングとの間に設けら
れたエタロンと、上記出力ミラ−を駆動してこの出力ミ
ラ−から出力されるレ−ザ光の縦モ−ド間隔を変える駆
動手段と、上記出力ミラ−から出力されるレ−ザ光の縦
モ−ド間隔を測定するスペクトルモニタと、上記駆動手
段によって縦モ−ド間隔を変えるときに上記スペクトル
モニタによる測定結果にもとづいて上記縦モ−ド間隔を
上記エタロンのFSRの整数倍に設定する設定手段とを
具備したことを特徴とする。 【0016】 【0017】 【作用】上記装置によれば、縦モード間隔を、上記エタ
ロンのFSRの整数倍に設定することで、波長掃引の際
に、中心のエタロンモードでの発振がマルチモードとな
っても、エタロンの中心モードの両側のモードもマルチ
モードとなって発振閾値が増すため、中心モードの両側
のモードでの発振が発生しずらくなる。 【0018】 【実施例】以下、この発明の一実施例を図1と図2を参
照して説明する。なお、図5に示す従来構造と同一部分
には同一記号を付して説明を省略する。すなわち、この
実施例は出力ミラ−4と出力モニタ7との間のレ−ザ光
Rの光路に、サンプリングミラ−21が45度の角度で
傾斜して配置されている。このサンプリングンミラ−2
1はレ−ザ光Rの一部を反射し、大半を透過する構成と
なっている。 【0019】上記サンプリングミラ−21で反射したレ
−ザ光Rはスペクトルモニタ22に入射する。このスペ
クトルモニタ22はファブリペロ−方式の光スペクトラ
ムアナライザ(通常、光スペアナという)が用いられ、
そのスペクトルモニタ22のFSRとその間隔からレ−
ザ光Rの縦モ−ド間隔が比例計算により計測できる。 【0020】すなわち、スペクトルモニタ22の周波数
分解能Δν´(縦モ−ド間隔)は下記(1)式で求める
ことができる。 Δν´=FSR/F …(1)式 ただし、Fはスペクトルモニタ22のフィネスである。 【0021】たとえば、スペクトルモニタ22のFSR
が3000MHzで、フィネスFが125の場合、周波数分解
能Δν´は24MHzとなり、通常の単一の縦モ−ド発
振のヘンシュ型発振器の縦モ−ド間隔1000MHzに対し
て十分な分解能が得られる。 【0022】したがって、上記周波数分解能Δν´がレ
−ザ光Rの縦モ−ド以下になるよう、スペクトルモニタ
22のFSRとフィネスFを選択することで、レ−ザ光
Rの縦モ−ド間隔Δνの測定が可能となる。 【0023】縦モ−ド間隔Δνと光共振器長Lは下記
(2)式で示される。 Δν=c/2L …(2)式 ただし、cは光速である。 【0024】上記スペクトルモニタ22によって検出さ
れたレ−ザ光Rは、電気信号に変換されてフィ−ドバッ
ク装置80に入力される。このフィ−ドバック装置80
は、スペクトルモニタ22からの信号によって、エタロ
ン6のFSRの整数倍で、しかも共振器長Lが最も短く
なる縦モ−ド間隔Δνを決定し、その決定に基づく駆動
信号によって出力ミラ−4に設けられた駆動素子23を
駆動するようになっている。この駆動素子23は上記出
力ミラ−4を第1のプッシャ9よりも大きなストロ−ク
で駆動することができる。 【0025】すなわち、この実施例のフィ−ドバック装
置80は、単にグレ−テング3やエタロン6を駆動する
だけでなく、波長掃引の際に、共振器長Lを所定の条件
に設定するよう、駆動素子23を作動させて出力ミラ−
4を駆動するようになっている。 【0026】縦モ−ド間隔Δνと共振器長Lとの関係は
上記(2)式で示される。そのため、上述したように共
振器長Lを最も短くできる縦モ−ド間隔Δνを決定すれ
ば、中心のエタロンモ−ドm1 に立つ縦モ−ドの数を少
なくできる。つまり、発振がマルチモ−ドになるのを押
さえるとができる。 【0027】つぎに、上記構成のレ−ザ発振装置によっ
て波長掃引を行なう場合について説明する。まず、レ−
ザ媒質2を励起光Sで励起し、レ−ザ光Rを出力ミラ−
4から発振出力させる。そして、そのレ−ザ光Rの波長
掃引を行なう場合には、駆動素子23を作動させ、出力
ミラ−4を光軸方向に駆動する。それによって、光共振
器長Lを変えて波長掃引することができる。 【0028】その際、上記出力ミラ−4から発振出力さ
れたレ−ザ光Rの一部はスペクトルモニタ22に入射
し、電気信号に変換されてフィ−ドバック装置80に入
力される。このフィ−ドバック装置80ではスペクトル
モニタ22から入力された電気信号によってレ−ザ光R
の縦モ−ド間隔Δνを算出し、その縦モ−ド間隔Δν
を、光共振器1内に設けられたエタロン6の既知であ
る、FSRと比較する。 【0029】その比較結果に基づいて上記フィ−ドバッ
ク装置80は、エタロン6のFSRの整数倍で、しかも
共振器長Lが最も短くできる縦モ−ド間隔Δνを算出
し、その算出結果に基づいて上記駆動素子23に駆動信
号を出力して出力ミラ−4を駆動し、共振器長Lを補正
する。 【0030】このように、共振器長Lが設定されれば、
波長掃引の際に、種々の原因で図2(a)に示すシング
ルモ−ド発振の状態、つまり中心のエタロンモ−ドm1
に縦モ−ドが1本の状態から図2(b)に示すマルチモ
−ド発振になり、中心のエタロンモ−ドm1 内に縦モ−
ドが2本存在しても、両側のエタロンモ−ドm2 内の縦
モ−ドも2本になる。そのため、両側のエタロンモ−ド
m2 の発振閾値が増すため、その両側のエタロンモ−ド
m2 での発振が起こりにくいから、中心のエアタロンモ
−ドm1 以外のモ−ドでの発振によるスペクトルの乱れ
を防止することができる。 【0031】なお、上記一実施例では出力ミラ−4を駆
動する駆動素子23をフィ−ドバック装置80からの駆
動信号によって作動させるようにしたが、スペクトルモ
ニタ22によって検出されたレ−ザ光Rの波形から縦モ
−ド間隔Δνを求め、その結果に基づいて上記出力ミラ
−4を手動で駆動することで共振器長を設定してもよ
い。 【0032】 【発明の効果】以上述べたようにこの発明は、波長掃引
するために、出力ミラ−を光軸方向に駆動して縦モ−ド
間隔を変えるときに、その縦モ−ド間隔を波長選択用の
エタロンFSRの整数倍に設定するようにした。 【0033】そのため、波長掃引の際、中心のエタロン
モ−ドに2本の縦モ−ドが立ってマルチモ−ドとなった
とき、両側のエタロンモ−ドにも2本の縦モ−ドが立
ち、その発振閾値が増大するので、両側のエタロンモ−
ドでの発振が起こるのを防止することができる。つま
り、主発振モ−ド以外のモ−ドでの発振を押さえること
ができるから、複数の波長でのレ−ザ発振が生じずら
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のレ−ザ発振装置を示す全
体構成図。 【図2】(a)は同じくこの発明のシングルモ−ドでの
発振状態の説明図、(b)は同じくマルチモ−ドでの発
振状態の説明図。 【図3】(a)は従来のシングルモ−ドでの発振状態の
説明図、(b)は同じくマルチモ−ドでの発振状態の説
明図。 【図4】(a)〜(c)はレ−ザ媒質の発振帯域、グレ
−テイングの選択帯域、エタロンの選択帯域、縦モ−ド
および発振モ−ドの関係を示した説明図。 【図5】従来のレ−ザ発振装置を示す構成図。 【符号の説明】 1…光共振器、2…色素セル、3…グレ−テイング、4
…出力ミラ−、6…エタロン、8…フィ−ドバック装
置、22…スペクトルモニタ、23…駆動素子。
体構成図。 【図2】(a)は同じくこの発明のシングルモ−ドでの
発振状態の説明図、(b)は同じくマルチモ−ドでの発
振状態の説明図。 【図3】(a)は従来のシングルモ−ドでの発振状態の
説明図、(b)は同じくマルチモ−ドでの発振状態の説
明図。 【図4】(a)〜(c)はレ−ザ媒質の発振帯域、グレ
−テイングの選択帯域、エタロンの選択帯域、縦モ−ド
および発振モ−ドの関係を示した説明図。 【図5】従来のレ−ザ発振装置を示す構成図。 【符号の説明】 1…光共振器、2…色素セル、3…グレ−テイング、4
…出力ミラ−、6…エタロン、8…フィ−ドバック装
置、22…スペクトルモニタ、23…駆動素子。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01S 3/00 - 3/30
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 レーザ媒質を挟んで対峙して配置された
グレ−テイングと出力ミラーとからなる光共振器と、こ
の光共振器内の上記レーザ媒質とグレーテイングとの間
に設けられたエタロンと、上記出力ミラーを駆動してこ
の出力ミラーから出力されるレーザ光の縦モード間隔を
変える駆動手段と、上記出力ミラーから出力されるレー
ザ光の縦モード間隔を測定するスペクトルモニタと、上
記駆動手段によって縦モード間隔を変えるときに上記ス
ペクトルモニタによる測定結果にもとづいて上記縦モー
ド間隔を上記エタロンのFSRの整数倍に設定する設定
手段とを具備したことを特徴とするレーザ発振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14436294A JP3360943B2 (ja) | 1994-06-27 | 1994-06-27 | レ−ザ発振装置およびその波長選択方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14436294A JP3360943B2 (ja) | 1994-06-27 | 1994-06-27 | レ−ザ発振装置およびその波長選択方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0818141A JPH0818141A (ja) | 1996-01-19 |
JP3360943B2 true JP3360943B2 (ja) | 2003-01-07 |
Family
ID=15360348
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14436294A Expired - Fee Related JP3360943B2 (ja) | 1994-06-27 | 1994-06-27 | レ−ザ発振装置およびその波長選択方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3360943B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4639663B2 (ja) * | 2004-07-01 | 2011-02-23 | 旭硝子株式会社 | 波長可変ミラーおよび波長可変レーザ |
JP2008016698A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Sony Corp | レーザ光源システムおよびレーザ光源の制御方法 |
-
1994
- 1994-06-27 JP JP14436294A patent/JP3360943B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0818141A (ja) | 1996-01-19 |
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