JP3360427B2 - 押出成形用樹脂組成物 - Google Patents
押出成形用樹脂組成物Info
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Description
に関し、さらに詳細には、包装用フィルムまたはシート
類の押出成形に用いる押出成形用樹脂組成物に関する。
くは、例えばポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、アイオノマーなどのポリオレフィン系樹脂をヒー
トシール層として使用している。しかし、ポリオレフィ
ン系樹脂フィルム単体では、ヒートシール性は良いが、
衝撃強度や剛性といった面では延伸ポリアミドやポリエ
チレンテレフタレートフィルムに比べ劣るという不都合
を有する。一方、延伸ポリアミドやポリエチレンテレフ
タレートフィルムは、単体では衝撃強度や剛性の面で優
れているが、ポリオレフィン系樹脂フィルムと比較して
ヒートシール性が劣る不都合を有する。そこで、材料に
要求される性能を充分に満足させるため、ポリオレフィ
ン系樹脂を他の適当なフィルムに積層した形態をとるも
のが多く提案されている。このような積層体の多くは共
押出、共押出コーティング、ドライラミネートなどの加
工法を用いて製造される。
は、例えば、(a)低密度ポリエチレン、(b)エチレ
ン−α−オレフィン共重合体及び(c)低結晶性乃至非
結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体からなる積層
フィルムのヒートシール層形成に用いられる押出成形用
樹脂組成物が開示されている(特公昭62−41529
号公報)。しかし、(c)低結晶性乃至非結晶性エチレ
ン−α−オレフィン共重合体成分を使用した場合、フィ
ルム表面のべたつき感を生じたり、フィルム同士、ある
いは、フィルムと金属等との接触によるブロッキングを
生じるという問題があった。このため、得られたフィル
ムやシート類は、従来より包装工程などにおいて作業の
効率が低下するという不都合を有していた。また、該組
成物はFDAやPLのような食品衛生に関する規定に十
分に適合せず、食品包装用途としての使用を制限される
という問題があった。
発明が解決しようとする課題は、包装用フィルム、特に
食品包装用途等の押出成形に用いる好適な押出成形用樹
脂組成物を提供する点に存する。
について鋭意検討した結果、製膜性、押出負荷などの押
出加工性が向上し、しかも包材として要求される性能を
併せ有する押出成形用樹脂組成物を見出し本発明を完成
させた。
及び(C)を含有する押出成形用樹脂組成物100重量
部であって、該組成物がメルトフローレートが0.5〜
30g/10分であり、該組成物100重量部に対し
て、(D)フェノール系熱安定剤及びフォスファイト系
熱安定剤からなり、それらの混合比が80対20〜25
対75(重量比)である熱安定剤0.01〜0.5重量
部、及び、高級脂肪酸、脂肪酸の金属塩、炭素数16〜
22の脂肪酸アミド、飽和脂肪族アルコールのステアリ
ン酸エステルから選ばれる(E)スリップ剤0.5重量
部以下を含有することを特徴とする押出成形用樹脂組成
物に係るものである。 (A):示差走査熱量計による融解ピーク温度が80〜
120℃に観測されるエチレン系重合体5〜80重量部 (B):密度0.90〜0.93g/cm3、示差走査
熱量計による最高融解ピーク温度が110℃を超えて観
測される、エチレンとα−オレフィンとの共重合体5〜
80重量部 (C):密度0.90〜0.92g/cm3、示差走査
熱量計による最高融解ピーク温度が80〜110℃の範
囲内に観測され、冷キシレン可溶分が30重量%以下で
ある、エチレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共
重合体5〜70重量部
用いる(A)成分のエチレン系重合体は、示差走査熱量
計による融解ピーク温度が80〜120℃の範囲に観測
されるエチレン系重合体である。示差走査熱量計による
融解ピーク温度とは、JIS K7121の3−(2)
項に示される、昇降温速度5℃/分の条件により測定さ
れ、さらにJIS K7122に基づき、融解熱量を測
定することにより得られた吸熱曲線の1個、ないし複数
個存在する吸熱ピークの内、最大の吸熱面積を有する吸
熱ピークの温度をいう。この測定は、パーキンエルマー
7型DSC装置を用いて行われる。(A)成分の融解ピ
ーク温度が、80℃未満では樹脂の熱安定性が悪く、フ
ィルム状態で表面のべたつきなどが生じ、融解ピーク温
度が120℃を越えると低温シール性が阻害され易い。
(A)成分のメルトフローレート(MFR)は、0.5
〜30g/10分の範囲が好ましい。MFRはJIS
K7210に従って、190℃、2.16kg荷重の条件
で測定される。
R)は、1.30〜2.00の範囲が好ましい。SR
は、MFR測定時に採取されたストランドの直径を測定
し、下記の式より求めることができる。 SR=ストランドの直径(mm)/オリフィスの内径(m
m) 本発明で用いる(A)成分のエチレン系重合体は、低密
度ポリエチレンを始めエチレンと各種コモノマーを用い
た共重合体を含むものであり、一般に酸素または各種有
機過酸化物、アゾ化合物、アセトキシム、アミン酸化合
物などを重合開始剤として、高圧ラジカル重合法により
重合される。使用されるコモノマーとしては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カル
ボン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メ
タクリル酸イソブチル等の炭素数が4〜8の不飽和カル
ボン酸のエステル化物、酢酸ビニル等のビニルエステル
類等が挙げられる。
用いることができる。コモノマー含量は、通常0〜20
重量%であり、不飽和カルボン酸のエステル化物の場合
は、通常0〜25重量%である。(A)成分のエチレン
系重合体としては、例えば先に述べた低密度ポリエチレ
ンを始め、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−
メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共
重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン−アク
リル酸イソプロピル共重合体、エチレン−アクリル酸n
−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸t−ブチル共
重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エ
チレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタ
クリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−
プロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソプロピ
ル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合
体、エチレン−メタクリル酸t−ブチル共重合体、エチ
レン−メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体等のエチレンと一種のコモノマーとの
共重合体や、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル
共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸メチル共
重合体、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸エチル共
重合体、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸メチル共
重合体、エチレン−アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、
エチレン−メタクリル酸−アクリル酸メチル共重合体、
エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチル共重合
体、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重
合体、エチレン−メタクリル酸−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸メチル共重合
体、エチレン−メタクリル酸エチル−アクリル酸メチル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸メチル共
重合体等のエチレンと二種以上のコモノマーとの共重合
体が挙げられる。また、(A)成分は、一種のエチレン
系重合体のみならず二種以上のエチレン系重合体を用い
てもよい。
−オレフィン共重合体は、密度が0.90〜0.93g
/cm3 、好ましくは0.905〜0.925g/cm
3 、より好ましくは0.910〜0.923g/cm3
のエチレン−α−オレフィン共重合体である。密度が
0.90g/cm3 未満の場合、シール強度改良効果が
認めにくく、密度0.93g/cm3 を越えるものは、
低温シール性が発現しにくい。(B)成分は、示差走査
熱量計による最高融解ピーク温度が110℃を超えて観
測されるものである。示差走査熱量計による最高融解ピ
ーク温度とは、JIS K7121の3−(2)項に示
される昇降温速度5℃/分の条件により測定され、さら
にJIS K7122に基づき、融解熱量を測定するこ
とにより得られた吸熱曲線の1個、ないし複数個存在す
る吸熱ピークの内、最高吸熱ピークの温度をいう。この
測定は、パーキンエルマー7型DSC装置を用いて行わ
れる。また、(B)成分は、この吸熱曲線より求められ
る110℃を超える融解熱量が、20J/g以上である
のが好ましい。(B)成分のMFRは、0.5〜30g
/10分の範囲が好ましい。MFRは、JIS K72
10に従って190℃、2.16kg荷重の条件で測定さ
れる。本発明で用いる(B)成分のエチレン−α−オレ
フィン共重合体は、一般にエチレンとα−オレフィンを
用いて、イオン重合法により、少なくとも遷移金属を含
む固体系触媒成分と有機アルミニウム化合物からなる触
媒の存在下で、通常30〜300℃、常圧〜3000kg
/cm2 、溶媒の存在下または無溶媒下、気−固、液−
固または均一液相下で製造される。
例えば酸化クロム、酸化モリブデン、三塩化チタン、四
塩化チタン−アルキルアルミニウム、四塩化チタン等の
チタン化合物−塩化マグネシウム化合物等のマグネシウ
ム化合物−(塩化)アルキルアルミニウム等が挙げられ
る。α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテ
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、
デセン−1、ドデセン−1、3−メチルブテン−1、
3,3−ジメチルブテン−1、4−メチルペンテン−1
等の炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。こ
れらα−オレフィンは一種のみならず二種以上用いても
よい。また、(B)成分のα−オレフィンの含有量は、
通常0.2〜8モル%である。(B)成分のエチレン−
α−オレフィン共重合体としては、例えばエチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エ
チレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−
1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレ
ン−デセン−1共重合体、エチレン−ドデセン−1共重
合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体等の
エチレンと一種のα−オレフィンとの共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテ
ン−1−ヘキセン−1共重合体等のエチレンと二種以上
のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。また、
(B)成分は、一種のエチレン−α−オレフィン共重合
体のみならず二種以上のエチレン−α−オレフィン共重
合体を用いてもよい。本発明で用いる(C)成分のエチ
レン−α−オレフィン共重合体は、密度0.90〜0.
92g/cm3 、好ましくは0.902〜0.918g
/cm3 、より好ましくは0.904〜0.915g/
cm3 、示差走査熱量計による最高融解ピーク温度が8
0〜110℃の範囲内に観測され、冷キシレン可溶分
(CXS)が30重量%以下、好ましくは15重量%以
下、より好ましくは8重量%以下である、エチレンとα
−オレフィンとの共重合体である。
フィルムにべたつきを生じ、ブロッキングし易くなる。
密度が0.92g/cm3 を越えるものは、発明の目的
である低温シール性を発現しにくい。示差走査熱量計に
よる最高融解ピーク温度とは、上記(B)成分の規定と
同様である。最高融解ピーク温度が、80℃未満では、
フィルム、ペレット状態で表面のべたつきなどが生じ、
110℃を越えると低温シール性が阻害され易い。冷キ
シレン可溶分は、FDAの第177章第1520節に記
載される、キシレンによる最大溶出量測定法により測定
される。具体的には、樹脂5±0.001gをフラスコ
中で加熱したキシレン1000ml中に2時間加熱・還
流させた後、25±0.5℃の条件で3時間以上冷却・
放置し、その後、濾紙を使用し、自然濾過にて700m
l以上採取した濃縮物を100℃で60分真空乾燥を行
い、採取した抽出物をデシケータ中で一夜放置後、重量
測定して測定され、その値は、次の計算式で求められ
る。 この冷キシレン可溶分が30重量%を越えるものは、フ
ィルム表面のベタツキやブロッキングを生じ易い。
10分が好ましい。MFRは、JIS K7210に従
って190℃、2.16kg荷重の条件で測定される。
(C)成分は、ゲルパーミネーションクロマトグラフ
(GPC)法により測定された分子量分布が、3.5以
下のものが好ましい。この分子量分布は、Waters
製ゲルパーミネーションクロマトグラフィー150C型
を使用し、カラムに東ソー製GMH6−HT、溶媒にo
−ジクロルベンゼン、145℃の温度条件で測定される
方法である。本発明で用いる(C)成分のエチレン−α
−オレフィン共重合体は、一般にエチレンとα−オレフ
ィンを用いて、イオン重合法により、チーグラー系触媒
もしくは、メタロセン系触媒の存在下で、通常30〜3
00℃、常圧〜3000kg/cm2 、溶媒の存在下も
しくは無溶媒下、気−固、液−固または均一液相下で製
造される。チーグラー触媒としては、例えば三塩化バナ
ジウム、四塩化バナジウム等のバナジウム化合物と有機
アルミニウム化合物との複合触媒、またメタロセン触媒
としては、遷移金属を含む特定の構造を有する化合物、
例えば、シクロアルカジエニル骨格を有する配位子を含
む遷移金属化合物等と、有機アルミニウム化合物等が挙
げられる。
テン−1等の炭素数3〜4のα−オレフィンが挙げられ
る。これらα−オレフィンは一種のみならず二種用いて
もよい。また、α−オレフィンを2種以上用いる場合
は、炭素数3〜4のα−オレフィンを少なくとも1種以
上用いていれば、炭素数が4を越えるα−オレフィン、
例えばペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デ
セン−1、3,3−ジメチルブテン−1、4−メチルペ
ンテン−1等を用いてもさしつかえない。ただし、炭素
数3〜4のα−オレフィンと炭素数が4を越えるα−オ
レフィンの割合は、炭素数3〜4の全α−オレフィンが
(C)成分に含まれる全α−オレフィン100モル%に
対し、50モル%以上含まれる。(C)成分に含まれる
全α−オレフィンの含有量は、通常1〜8モル%であ
る。 (C)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体
としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−ブテン−1共重合体等のエチレンと一種のα−オ
レフィンとの共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン
−1共重合体、エチレン−ブテン−1−ヘキセン−1共
重合体、エチレン−ブテン−1−オクテン−1共重合
体、エチレン−ブテン−1−デセン−1共重合体等のエ
チレンと二種以上のα−オレフィンとの共重合体が挙げ
られる。また、(C)成分は一種のエチレン−α−オレ
フィン共重合体のみならず、二種以上のエチレン−α−
オレフィン共重合体を用いてもよい。本発明の押出成形
用樹脂組成物は、(A)エチレン系重合体5〜80重量
部、(B)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体
5〜80重量部及び(C)エチレン−α−オレフィン共
重合体5〜70重量部からなる100重量部を均一に溶
融混合して得られる。
樹脂組成物の押出成形時、溶融膜が不安定となりフィル
ム幅や、膜厚の変動を起こす。一方、(A)成分の混合
割合が80重量部を超えると本発明の目的とするヒート
シール強度、ホットタック性、破袋強度などのバランス
上好ましくない。 (B)成分の混合割合が5重量部未満の場合、本発明の
目的であるシール強度、破袋強度が得られず、80重量
部を越える場合、押出成形時に樹脂圧力が高く、あるい
はダイから押出された溶融膜の溶融張力が小さくなり、
製膜安定性を損なう。 (C)成分の混合割合が5重量部未満の場合、本発明の
目的である低温シール性、ヒートシール強度、破袋強度
が得られず、一方、70重量部より多いと押出成形時の
樹脂圧力が上昇し、モーター負荷が過大となる為、好ま
しくない。このような混合割合の各成分を均一に溶融混
合してなる本発明の樹脂組成物は、そのMFRが0.5
〜30g/10分、好ましくは0.8〜20g/10
分、より好ましくは1〜15g/10分の範囲にある。
MFRが0.5g/10分より小さい場合、樹脂組成物
を押出成形すると押出機の樹脂圧力が上昇し、また、樹
脂の製膜時に膜切れなどの問題を生じ易くなる。MFR
が30g/10分より大きくなると、ヒートシール強度
や破袋強度が低下すると同時に、製膜性に問題を起こし
易い。このMFRは、JIS K7210に従って19
0℃、2.16kg荷重の条件で測定される。また、本発
明は前記樹脂組成物(A)〜(C)成分の合計100重
量部に対して、さらに(D)フェノール系熱安定剤及び
フォスファイト系熱安定剤からなり、それらの混合比が
80対20〜25対75(重量比)である熱安定剤0.
01〜0.5重量部、及び、高級脂肪酸、脂肪酸の金属
塩、炭素数16〜22の脂肪酸アミド、飽和脂肪族アル
コールのステアリン酸エステルから選ばれる(E)スリ
ップ剤0.5重量部以下を均一に溶融混合して得られた
樹脂組成物である。
満ではフィルム成形時に樹脂組成物が熱劣化を起こすこ
とがあり、0.5重量部を越えるとブロッキングや着色
の問題を生じる。(E)成分の添加量が、0.5重量部
を越えると滑りすぎるばかりではなく、印刷性、ヒート
シール性が悪化し好ましくない。本発明で用いる(D)
成分のフェノール系熱安定剤としては、例えば、2,6
−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラ
キス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRG
ANOX1010)、n−オクタデシル−3−(4’−
ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロ
ピオネート(IRGANOX1076)及びステアリル
−β(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート等が挙げられる。これらの中でもステア
リル−β(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート等が好ましい。また、本発明で用い
る(D)成分のフォスファイト系熱安定剤としては、例
えば、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシル
フォスファイト、トリデシルフォスファイト、ジステア
リルペンタエリスリトールジフォスファイト、4,4’
−ビスフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)、ビス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ペンタエリストールジフォスファイト及
びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフ
ァイト等が挙げられる。これらの中でもトリス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等が好まし
い。
ト系熱安定剤の混合比は、熱安定性効果及び着色防止の
点から80対20〜25対75(重量比)の範囲であ
り、更に好ましくは60対40〜30対70(重量比)
の範囲である。本発明で用いる(E)成分のスリップ剤
は、高級脂肪酸、脂肪酸の金属塩、炭素数16〜22の
脂肪酸アミド、飽和脂肪族アルコールのステアリン酸エ
ステルから選ばれるものであり、示差走査熱量計による
融解ピーク温度が80℃以上のものが好ましい。融解ピ
ーク温度の測定方法は、前記(A)成分と同じである。
本発明で用いる(E)成分のスリップ剤としては、例え
ばベヘニン酸(融解ピーク温度:80℃)等の高級脂肪
酸、パルチミン酸マグネシウム(融解ピーク温度:12
9℃)、ステアリン酸カルシウム(融解ピーク温度:1
45℃)、ステアリン酸亜鉛(融解ピーク温度:140
℃)等の脂肪酸とのアルミニウム塩、カルシウム塩、マ
グネシウム塩等の金属塩、エルカ酸アミド(融解ピーク
温度:84℃)、ステアリン酸アミド(融解ピーク温
度:103℃)、ベヘニン酸アミド(融解ピーク温度:
110℃)等の炭素数16〜22の脂肪酸アミド、飽和
脂肪族アルコールのステアリン酸エステルである。これ
らの中でもエルカ酸アミド等が好ましい。また、本発明
の樹脂組成物は必要に応じ、(D)成分及び(E)成分
の他に、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等を添加する
ことができる。ブロッキング防止剤としては、例えばシ
リカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。また、
帯電防止剤としては、例えば炭素数8〜22の脂肪酸の
グリセリンエステル、ソルビタンエステル、しょ糖エス
テル、ポリエチレングリコールエステル等が挙げられ
る。
は逐次的に溶融混合することにより得られる。本発明の
樹脂組成物は、優れた押出成形性を有するとともに、ヒ
ートシール層として要求される特性を満足させるもので
ある。本発明の樹脂組成物は、複合フィルム、シート、
アルミニウム箔、セロファン、紙などに単独あるいは他
の樹脂と共押出ラミネート加工し、それらを積層フィル
ムやシートに成形し、使用することもできる。
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 実施例1 (A)成分として、低密度ポリエチレン(密度0.91
2g/cm3 、MFR9g/10分、SR1.80、融
解ピーク温度105℃)30重量部、(B)成分とし
て、エチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体(MFR
12g/10分、密度0.912g/cm3 、最高融解
ピーク温度122℃、110℃以上の融解熱量28J/
g、ヘキセン−1含量5.0モル%)30重量部、及び
(C)成分として、エチレン−ブテン−1共重合体(M
FR12g/10分、密度0.905g/cm3 、分子
量分布2.2、最高融解ピーク温度91℃、CXS抽出
量2重量%、ブテン−1含量5.8モル%)40重量
部、(D)成分のフェノール系熱安定剤としてステアリ
ル−β(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート0.15重量部、(D)成分のフォ
スファイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)フォスファイト0.12重量部、及び
(E)成分のスリップ剤としてエルカ酸アミド0.1重
量部を単軸押出機で150℃にて押出混練し、ペレット
とした。この均一に溶融混合された樹脂組成物のMFR
は10g/10分であった。厚み15μmの2軸延伸ナ
イロンフィルム(ユニチカ製 エンブレムON)を基材
とし、その上に、イソシアネート系アンカーコート剤
(日本曹達製 T120、T300)を塗布し、シリン
ダー先端温度310℃の条件で溶融混練した樹脂(低密
度ポリエチレン、住友化学工業製スミカセンL705、
MFR7g/10分、密度0.918g/cm3 )を厚
み20μm、シリンダー先端温度290℃の条件で溶融
混練した前記樹脂組成物を厚み40μmのフィルム構成
となるように、押出ラミネート加工を行い、評価用フィ
ルムを得た。押出ラミネート加工は、住友重機械工業製
65mmφ共押出ラミネーターを使用し、マルチスロッ
ト方式Tダイス、冷却ロールにセミマットロール(25
℃)を装備し、加工速度80m/分の条件で行った。押
出加工時のダイの開口部と積層物の樹脂膜の幅の差を示
すネックインは、両側合計値で118mm、押出機の負荷
を示す樹脂圧力値は、168kg/cm2 であった。押
出ラミネート加工により得られた積層フィルムの性能を
下記の測定法により評価した。その結果を表1に示す。
産業製ヒートシーラーを用い、シール面圧1.0kg/
cm2 、シール時間1.0秒、シール幅10mmの条件で
押出加工方向に垂直になるようにヒートシールを行っ
た。シールバーの温度(ヒートシール温度)を5℃ずつ
変えて同様にヒートシールを行った。シール面に直角方
向に幅15mmの試片を切出し、ショッパー型引張試験機
を用いて、200mm/分の速度で180°剥離強度を測
定した。 a.シール強度 上記条件で測定した最高シール強度を表す。 b.低温シール性 上記条件で測定したシール強度が2kg/15mm幅を越え
る最低温度を表す。
略す) 押出加工方向と平行になるように切出された25mm幅
のフィルムのシーラント層同士を合わせ、フィルムの一
方の端部に20gの荷重をかけておき、テスター産業製
ヒートシーラーを用いてシール面圧1.3kg/c
m2 、シール時間0.3秒、シール幅20mmの条件でヒ
ートシールを行う。シール終了から0.14秒後にシー
ル面に荷重による剥離力がかかる様に調整し、これによ
り剥離した距離を測定した。シールバーの温度(ヒート
シール温度)を5℃ずつ変えて同様の試験を行う。 a.剥離距離 上記方法により測定される最小剥離距離を表す。 b.低温ホットタック性 上記方法により測定された剥離距離が5mm以下となる温
度を表し、5mm以下にならない場合は最小剥離距離を示
す温度を表す。
産業製ヒートシーラーを用い、シール面圧1.0kg/
cm2 、シール時間1.0秒、シール幅10mmの条件で
押出加工方向に垂直にし、シールバー温度170℃にあ
わせ、ヒートシールを行う。シール面に直角方向に幅1
5mmの試片を切出し、東洋精機製T型ストログラフを使
用し、剥離速度200mm/分、180°剥離の強度を8
0±1℃雰囲気下で測定した。
に評価した。 ○・・・問題なし、△・・・ややブロッキング不良、×
・・・加工不可
び(C)成分の混合比をそれぞれ30重量部、60重量
部及び10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法
で樹脂組成物を作製した。この均一に混合された樹脂組
成物のMFRは9.6g/10分であった。また、実施
例1と同条件で押出加工を行った結果、ネックインは1
25mm、押出機樹脂圧力は、175kg/cm2 であっ
た。さらに、実施例1と同様に積層フィルムの性能を評
価した結果を表1に示す。
び(C)成分の混合比をそれぞれ70重量部、20重量
部及び10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法
で樹脂組成物を作製した。この均一に混合された樹脂組
成物のMFRは8.9g/10分であった。また、実施
例1と同条件で押出加工を行った結果、ネックインは9
3mm、押出機樹脂圧力は、142kg/cm2 であっ
た。さらに、実施例1と同様に積層フィルムの性能を評
価した結果を表1に示す。
び(C)成分の混合比をそれぞれ10重量部、70重量
部及び20重量部とした以外は、実施例1と同様の方法
で樹脂組成物を作製した。この均一に混合された樹脂組
成物のMFRは9.7g/10分であった。また、実施
例1と同条件で押出加工を行った結果、ネックインは1
41mm、押出機樹脂圧力は、186kg/cm2 であっ
た。さらに、実施例1と同様に積層フィルムの性能を評
価した結果を表1に示す。
体(MFR 7g/10分、SR1.63、融解ピーク
温度93.7℃、メタクリル酸メチル含量15重量%)
30重量部とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂
組成物を作製した。この均一に混合された樹脂組成物の
MFRは9.1g/10分であった。また、実施例1と
同条件で押出加工を行った結果、ネックインは120m
m、押出機樹脂圧力は、169kg/cm2 であった。
さらに、実施例1と同様に積層フィルムの性能を評価し
た結果を表1に示す。
FR 8g/10分、密度0.880g/cm3 、分子
量分布2.1、最高融解ピーク温度59℃、CXS抽出
量98重量%、ブテン−1含量11モル%)40重量部
とした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂組成物を作
製した。この均一に混合された樹脂組成物のMFRは
8.6g/10分であった。また、実施例1と同条件で
押出加工を行った結果、ネックインは128mm、押出機
樹脂圧力は、178kg/cm2 であった。さらに、実
施例1と同様に積層フィルムの性能を評価した結果を表
1に示す。積層したフィルムは過度のブロッキングを生
じ、自動充填機を使用しての充填加工を行うことができ
なかった。
(A)成分として使用したものと同じ低密度ポリエチレ
ン100重量部とした以外は、実施例1と同様に押出加
工した。その結果、ネックインは86mm、押出機樹脂圧
力は、138kg/cm2 であった。実施例1と同様に
積層フィルムの性能を評価した結果を表1に示す。
て、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体(MFR 6g
/10分、SR1.50、融解ピーク温度94.7℃、
酢酸ビニル含量10重量%)100重量部とした以外
は、実施例1と同様に押出加工した。押出加工条件は実
施例1のシーラント層の押出機のシリンダー先端温度を
260℃に設定して加工した。この時のネックインは8
2mm、押出機樹脂圧力は、176kg/cm2 であっ
た。実施例1と同様に積層フィルムの性能を評価した結
果を表1に示す。
(B)成分として使用したものと同じエチレン−ヘキセ
ン−1ランダム共重合体100重量部とした以外は、実
施例1と同様に押出加工した。押出加工条件は実施例1
と同様であるが、加工時、押出加工機の樹脂圧力が上昇
し、また、Tダイスより押出された溶融膜が安定せず、
一定の厚みのラミネート加工ができなかった。
(C)成分として使用したものと同じエチレン−ブテン
−1共重合体100重量部とした以外は、実施例1と同
様に押出加工しようとしたが、加工時、押出加工機の樹
脂圧力が上昇し、また、Tダイスより押出された溶融膜
が安定せず、一定の厚みのラミネート加工ができなかっ
た。
形用樹脂組成物は、優れた押出加工性を有するだけでな
く、低温シール性、ヒートシール強度、ホットタック
性、破袋強度等の面で包材としての要求性能を充分に満
足する。本発明の押出成形用樹脂組成物は、主として食
品、薬品、工業用品、雑貨などの包材として用いられ、
各種の積層フィルムやシートは、成形された押出成型物
をヒートシール層とすることで、例えば、菓子、スナッ
ク、ふりかけ、粉末スープ等の乾燥食品、ハム、ソーセ
ージ、蓄肉等の肉製品、こんにゃく、漬物、味噌、液状
スープなどの水物食品等の各種食品や、液体洗剤、液体
薬品などの包装に、その優れた特性を生かして有効に使
用することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】下記(A)、(B)及び(C)を含有する
押出成形用樹脂組成物100重量部であって、該組成物
がメルトフローレートが0.5〜30g/10分であ
り、該組成物100重量部に対して、(D)フェノール
系熱安定剤及びフォスファイト系熱安定剤からなり、そ
れらの混合比が80対20〜25対75(重量比)であ
る熱安定剤0.01〜0.5重量部、及び、高級脂肪
酸、脂肪酸の金属塩、炭素数16〜22の脂肪酸アミ
ド、飽和脂肪族アルコールのステアリン酸エステルから
選ばれる(E)スリップ剤0.5重量部以下を含有する
ことを特徴とする押出成形用樹脂組成物。 (A):示差走査熱量計による融解ピーク温度が80〜
120℃に観測されるエチレン系重合体5〜80重量部 (B):密度0.90〜0.93g/cm3、示差走査
熱量計による最高融解ピーク温度が110℃を超えて観
測される、エチレンとα−オレフィンとの共重合体5〜
80重量部 (C):密度0.90〜0.92g/cm3、示差走査
熱量計による最高融解ピーク温度が80〜110℃の範
囲内に観測され、冷キシレン可溶分が30重量%以下で
ある、エチレンと炭素数3〜4のα−オレフィンとの共
重合体5〜70重量部 - 【請求項2】ヒートシール層形成に用いる請求項1記載
の押出成形用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21254494A JP3360427B2 (ja) | 1993-11-29 | 1994-09-06 | 押出成形用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-298276 | 1993-11-29 | ||
JP29827693 | 1993-11-29 | ||
JP21254494A JP3360427B2 (ja) | 1993-11-29 | 1994-09-06 | 押出成形用樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07196862A JPH07196862A (ja) | 1995-08-01 |
JP3360427B2 true JP3360427B2 (ja) | 2002-12-24 |
Family
ID=26519293
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21254494A Expired - Fee Related JP3360427B2 (ja) | 1993-11-29 | 1994-09-06 | 押出成形用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3360427B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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JP5164307B2 (ja) * | 2004-04-09 | 2013-03-21 | 東ソー株式会社 | 押出ラミネート用樹脂組成物及びそれを用いた積層体 |
JP4603286B2 (ja) * | 2004-04-21 | 2010-12-22 | 大日本印刷株式会社 | 分包用積層体およびそれを用いた分包用包装袋 |
-
1994
- 1994-09-06 JP JP21254494A patent/JP3360427B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07196862A (ja) | 1995-08-01 |
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