JP3360246B2 - ショーケース用冷凍システム及びそのシステムの運転方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】 本発明は、ショーケース用
冷凍システム及びそのシステムの運転方法に係わり、特
に昼間の消費電力を低減し、冷凍能力を最大限に活用す
るショーケース用冷凍システム及びそのシステムの運転
方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】 一般のスーパーマーケット等の小売店
舗においては、ショーケース用冷凍機が店舗機器の中で
大きな受電容量を占めている。この種の冷凍機の選定
は、開店中の最大負荷に対応して、大きな容量の機種が
選定されている。

【０００３】ところが、夜間のショーケースの電力負荷
は、昼間の電力負荷に比較して減少しているため、冷凍
機の夜間余剰能力は大きくなり、能力を充分に発揮でき
ず、無駄な稼動状態となっていた。

【０００４】このような欠点を改善して、夜間の業務用
蓄熱調整契約時間帯を活用すべく、色々な発明がされて
いる。

【０００５】夜間電力を利用して蓄冷し、昼間この冷熱
を冷房に活用する技術が知られている。

【０００６】また軽負荷時の余剰能力を氷蓄熱し、冷凍
負荷時の増大時にも対応できる氷蓄熱冷凍装置も知られ
ているが、氷蓄熱槽を別途形成している。

【０００７】しかしながら、この種の冷凍システムは、
いずれも蓄熱槽内にエネルギーを貯え、消費電力が増大
するときこの貯えたエネルギーを活用するという２種モ
ードの切換選定運転であるため、エネルギーの有効活用
の点で不充分となる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】 本発明の課題は、上
述した欠点を改善して、消費電力の低減化を図るべく、
３種の運転モードのうちから１つを選定して運転して、
ランニングコストの低減化を行うことにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】 図面を参考にして説明
する。本発明に係わるショーケース用冷凍システムは、
ショーケース３０の冷却に供したガス冷媒を圧縮機１１
に導入する還流パイプ４０と、受液槽１４からショーケ
ース３０に液化冷媒を供給するところの供給パイプ４１
に供給された液化冷媒を，蓄熱槽２０内に導入し，蓄熱
槽２０内の水を冷却し，氷を作成し，還流パイプ４０に
導入させる電磁弁２３及び膨張弁２２と、蓄熱槽２０内
の冷水を熱交換器２１へ導き，熱交換した後に，蓄熱槽
２０へ導く冷水循環ポンプ２４と、圧縮機１１から出た
冷媒ガスを液化凝縮するための空冷凝縮器１３に導入す
る運転モードと冷媒ガスを空冷凝縮器１３の迂回路に導
入する運転モードとのうちどちらかの運転モードで出力
する三方電磁バルブ１２と、空冷凝縮器１３又はその迂
回路から出た液化冷媒又は冷媒ガスを熱交換器２１に導
入する運転モードと熱交換器１３の迂回路に導入する運
転モードとのうちどちらかの運転モードで出力する三方
電磁弁２５とを備え、圧縮機１１から出た冷媒ガスを空
冷凝縮器１３及び熱交換器２１の迂回路を経て，液化冷
媒を受液槽１４に導入すると共に，蓄熱槽２０内に液化
冷媒を導入し且つ熱交換器２１に冷水を導入しない夜間
運転と、圧縮機１１から出た冷媒ガスを空冷凝縮器１３
及び熱交換器２１を経て，液化冷媒を受液槽１４に送る
と共に熱交換器２１に冷水を導入し且つ蓄熱槽２０内に
液化冷媒を導入しないピークシフト運転と、 圧縮機１１
から出た冷媒ガスを空冷凝縮器１３の迂回路及び熱交換
器２１を経て液化冷媒を受液槽１４に送ると共に，熱交
換器２１に冷水を導入し且つ蓄熱槽２０内に液化冷媒を
導入しないピークカット運転と、を備えた３種の運転モ
ードの中から一つを選定することを特徴とするものであ
る。

【００１０】本発明に係るショーケース用冷凍システム
の運転方法は、夜間にショーケースと蓄熱槽とを冷却す
る夜間運転と、昼間の消費電力の大なる一定の時間帯に
前記蓄熱槽に貯えた冷媒エネルギーを前記ショーケース
に供給するピークカット運転と、前記一定の時間帯を除
く昼間の時間帯に、凝縮器により液化凝縮した冷媒をさ
らに前記熱交換器に導入するピークシフト運転と、を備
えた３種の運転モードを持つ請求項１に記載のショーケ
ース用冷凍システムにおいて、三方電磁バルブ１２，三
方電磁弁２５，電磁弁２３，冷水循環ポンプ２４を操作
することによって、前記３種の運転モードの中から一つ
を選定することを特徴とするものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態のショーケ
ース用冷凍システムの夜間の運転動作状態図である図１
を参照すると、冷却に供したガス冷媒を還流パイプ４０
の中を通過させて圧縮機１１に導入し、ここでガス冷媒
を所定の圧力まで圧縮した後、三方電磁バルブ１２によ
り、空冷凝縮器１３に導入し、空冷凝縮器１３を介さな
い経路には導入されない。空冷凝縮器１３は、ファンを
使用した強制空冷であるがこの他に水冷による冷却液化
装置でもよい。

【００１２】空冷凝縮器１３から導出された液化冷媒
は、次に三方電磁弁２５を介し、熱交換器２１の方には
導出されず、受液器１４に導かれここに一時貯えられ
る。圧縮機１１，三方電磁バルブ１２，空冷凝縮器１
３，受液器１４を１つのユニットにして冷凍機１０とす
ると取扱いに便利である。

【００１３】次に受液器１４に導入された液化冷媒は、
供給パイプ４１を介して、ショーケース３０と蓄熱槽２
０との冷却に供される。ショーケース３０への液化冷媒
を供給するための電磁バルブ３１と膨脹バルブ３２を通
過して、ショーケース３０の内部を冷凍状態または冷蔵
状態に保持する。冷却に供された冷媒は、還流パイプ４
０に導入される。

【００１４】この種のショーケース３０は１台のみ図示
されているが、実際には多数台並列に接続されている。

【００１５】一方、供給パイプ４１に供給された冷媒
は、電磁弁２３、膨脹弁２２を介して、蓄熱槽２０内に
導入され、蓄熱槽２０内に貯えられた水を冷却して氷を
作成する。ここで、冷却エネルギーが貯えられる。蓄熱
槽２０，熱交換器２１，三方電磁弁２５，膨脹弁２２，
冷水循環ポンプ２４を１つのユニットにして氷蓄熱応用
システム装置２７とすると取扱いに便利である。

【００１６】このように、夜間運転では、複数のショー
ケースと、蓄熱槽２０を含む氷蓄熱応用システム装置２
７とに、冷媒を供給する。

【００１７】夜間のショーケース３０は、冷凍又は冷蔵
品の出入れがなく、ナイトカバーを被せてあるため、冷
却エネルギーが少量で済み、ここで生じた冷却余剰能力
を、蓄熱槽２０の冷却に割り当てる。

【００１８】以上のように、昼夜の電力の使用を平準化
するための、電力会社の業務用蓄熱契約制度の適用を受
けることができ、安価な電力を活用することができる。

【００１９】次に、上述した本発明の実施の形態におけ
る昼間のピークシフト運転動作状態図を示す図２を参照
すると、この運転では夜間に貯えた蓄熱槽２０内の冷熱
を冷水循環ポンプ２４を動作させ、熱交換器２１へ導
き、ここで冷熱エネルギーを放出して、三方電磁弁２５
から供給された冷媒と熱交換して、液化冷媒をさらに冷
却して逆流防止弁２６を介して受液器１４に一時貯え
る。以下は、図１の夜間運転と共通して、ショーケース
３０等を冷却する。

【００２０】ここで夜間に貯えた蓄熱槽内のエネルギー
をも活用するため、それだけ昼間の冷却能力が低消費電
力で実現できる

【００２１】尚、昼間のショーケース３０は、物品の出
入れがあり、より多くの冷却能力が要求されるが、その
冷却能力の一部を夜間にエネルギーを貯えていた蓄熱槽
２０が受け持つことができる。このため、昼間の消費電
力を低く抑えることができる。

【００２２】以上のピークシフト運転においては、三方
電磁弁２５の切換と、電磁弁２３の閉鎖と、ポンプ２４
の稼動操作とが手動又はパーソナル・コンピュータ等に
よりあらかじめ設定された時刻に自動的に操作される。

【００２３】次に、上述した本発明の実施の形態におけ
る昼間のピークカット運転動作状態図を示す図３を参照
すると、空冷凝縮器１３が稼動せず、三方電磁バルブ１
２の操作により迂回して、三方電磁弁２５に導かれる。
従って、液化冷媒はフル稼動する熱交換器２１のみで達
成される。このピークカット運転においては、空冷凝縮
器１３が稼動しないので、それだけ省エネルギー運転と
なる。

【００２４】尚、熱変換器２１の熱交換能力は、循環ポ
ンプ２４の循環水量の調整によることが好ましい。

【００２５】また、上述した蓄熱槽２０は、冷媒と水と
を熱交換するための製氷コイルが収納された蓄熱槽であ
り、放熱ロスを少なくするため、断熱構造となってい
る。これは、氷の融解潜熱を利用したものであり、小体
積で済む。この蓄熱槽２０は一台とは限らず、必要蓄熱
エネルギーに応じて数台用意される。蓄熱槽２０は、中
小容量のものでは製氷コイルなどの内部構造物まで、工
場で組み込んだ一体構造の工場生産品が、品質面、経済
面で有利となる。製氷形態はスタティック型製氷方式で
あり、製氷熱媒は冷媒（直膨）方式であり、融解方法は
外融式であり、熱媒は冷水であり、その特徴はコイルの
外表面に製氷し、氷の外周から融解し、低温冷水取出し
が可能であり、システムが単純で、ユニット化しやすい
等である。

【００２６】熱交換器２１は、蓄冷水と冷媒とを熱交換
し、凝縮器１３の凝縮圧力を下げて運転できる制御機能
を持っている。

【００２７】冷凍機１０のユニットは、使用する負荷に
応じて複数系統設置される。これらの複数系統に対し
て、各々製氷コイルを接続する。

【００２８】尚、図示されていない能力制御や、運転制
御、異常検出等の制御は、ユニット毎に構成され、危険
状態の分散化が図られている。

【００２９】膨脹弁２２及び膨脹バルブ３２は、バラン
ス式であり、凝縮圧力が低下しても、充分な制御機能を
持ち、運転することができる。

【００３０】冷水循環ポンプ２４は、上述したピークシ
フト及びピークカット運転時には、各々最適な水量を送
るため、回転数の制御を行う。

【００３１】冷媒回路切換器となる三方電磁弁２５は、
ピークカット時に高圧冷媒ガスを、ピークシフト時には
凝縮冷媒液を送出するように、自動制御にて切換を行
う。

【００３２】蓄熱コントロール制御盤は、図示はしてい
ないが、氷蓄熱応用システム装置２７に備えられ、運転
モード切換指令や、蓄熱量検知、システム機器の運転状
態監視などのスケジュールはあらかじめ設定されてお
り、システム全体を効率的に制御する役割を持ってい
る。

【００３３】上述した本発明の実施の形態における消費
電力（縦軸）と時間帯（横軸）との関係を示す図４の説
明図を参照すると、２２時から翌日８時までは、上述し
た夜間運転Ａ状態（図１）となり、ショーケース３０と
蓄熱槽２０とが冷却負荷となる。次のピークシフト運転
Ｂでは上述した夜間帯と１５時前後とを除く時間帯で、
ショーケース３０だけが冷却負荷となり、蓄熱槽２０内
に貯えた冷熱エネルギーは熱交換器２１から放熱され、
冷却に寄与する。１５時前後の２又は３時間程度は、上
述したピークカット運転状態Ｃ（図３）となり、冷凍機
１０内の空冷凝縮器１３が稼動せず、低消費電力化が図
られる。この際には、熱交換器２１がフル稼動してい
る。

【００３４】このように消費電力が従来では図４の実線
で示したようにピーク値があったが、本発明の実施の形
態によれば、点線で示したように均一化することができ
た。

【００３５】

【発明の効果】 以上の通り、本発明は次の効果があ
る。 （イ）昼間にピークカット方式とピークシフト方式とを
適宜組み合わせるので、より均一化した消費電力が得ら
れる。 （ロ）ピークカット運転時の消費電力を大きく、例えば
６０％削減できる。 （ハ）ピークシフト運転時の消費電力を或る程度、例え
ば２０％削減できる。 （ニ）全電気料金を大幅に節約できる。 （ホ）初期投資は若干増加するものの、ランニングコス
トが低減するため、結局は経費節減につながる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態のショーケース用冷凍シス
テムにおける夜間運転状態図である。

【図２】本発明の実施の形態における昼間ピークシフト
運転状態図である。

【図３】本発明の実施の形態における昼間ピークカット
運転状態図である。

【図４】本発明の実施の形態における効果を示す説明図
である。

【符号の説明】

１０ 冷凍機 １１ 圧縮機 １２ 三方電磁バルブ １３ 空冷凝縮器 １４ 受液器 ２０ 蓄熱槽 ２１ 熱交換器 ２２ 膨脹弁 ２３ 電磁弁 ２４ 冷水循環ポンプ ２５ 三方電磁弁 ２６ 逆流防止弁 ２７ 氷蓄熱応用システム装置 ３０ ショーケース ３１ 電磁バルブ ３２ 膨脹バルブ ４０ 還流パイプ ４１ 供給パイプ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ショーケース（３０）の冷却に供したガ
   ス冷媒を圧縮機（１１）に導入する還流パイプ（４０）
   と、受液槽（１４）からショーケースに液化冷媒を供給
   するところの供給パイプ（４１）に供給された液化冷媒
   を，蓄熱槽（２０）内に導入し，蓄熱槽内の水を冷却
   し，氷を作成し，還流パイプに導入させる電磁弁（２
   ３）及び膨張弁（２２）と、蓄熱槽内の冷水を熱交換器
   （２１）へ導き，熱交換した後に，蓄熱槽へ導く冷水循
   環ポンプ（２４）と、 圧縮機から出た 冷媒ガスを液化凝縮するための空冷凝縮
   器（１３）に導入する運転モードと冷媒ガスを空冷凝縮
   器の迂回路に導入する運転モードとのうちどちらかの運
   転モードで出力する三方電磁バルブ（１２）と、 空冷凝縮器又はその迂回路から出た液化 冷媒又は冷媒ガ
   スを熱交換器に導入する運転モードと熱交換器の迂回路
   に導入する運転モードとのうちどちらかの運転モードで
   出力する三方電磁弁（２５）とを備え、 圧縮機から出た冷媒ガスを空冷凝縮器及び熱交換器の迂
   回路を経て，液化冷媒を受液槽に導入すると共に，蓄熱
   槽内に液化冷媒を導入し且つ熱交換器に冷水を導入しな
   い夜間運転と、 圧縮機から出た冷媒ガスを空冷凝縮器及び熱交換器を経
   て，液化冷媒を受液槽に送ると共に熱交換器に冷水を導
   入し且つ蓄熱槽内に液化冷媒を導入しないピークシフト
   運転と、 圧縮機から出た冷媒ガスを空冷凝縮器の迂回路及び熱交
   換器を経て液化冷媒を受液槽に送ると共に，熱交換器に
   冷水を導入し且つ蓄熱槽内に液化冷媒を導入しないピー
   クカット 運転と、 を備えた３種の運転モードの中から一つを選定すること
   を特徴とするショーケース用冷凍システム。
2. 【請求項２】 夜間にショーケースと蓄熱槽とを冷却す
   る夜間運転と、昼間の消費電力の大なる一定の時間帯に
   前記蓄熱槽に貯えた冷媒エネルギーを前記ショーケース
   に供給するピークカット運転と、前記一定の時間帯を除
   く昼間の時間帯に、凝縮器により液化凝縮した冷媒をさ
   らに前記熱交換器に導入するピークシフト運転と、を備
   えた３種の運転モードを持つ請求項１に記載のショーケ
   ース用冷凍システムにおいて、三方電磁バルブ（１
   ２），三方電磁弁（２５），電磁弁（２３），冷水循環
   ポンプ（２４）を操作することによって、前記３種の運
   転モードの中から一つを選定することを特徴とするショ
   ーケース用冷凍システムの運転方法。