JP3359540B2 - 多層プリント配線基板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、有機樹脂
を含む絶縁層の表面に銅などの低抵抗金属を主体とする
配線層や金属ペーストが充填されたスルーホール導体等
を具備する半導体素子収納用パッケージなどに適した多
層プリント配線基板を作製する際に好適な多層プリント
配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】現在の多層プリント配線基板は、プリプレ
グと呼ばれる有機樹脂を含む平板の表面に銅箔を接着し
た後、これをエッチングして微細な回路を形成して複数
の配線板を作製し、この複数の配線板を積層した後、所
望位置にマイクロドリルによりスルーホール用の孔明け
を行い、そのホール内壁にメッキ法等の手法により金属
を付着させたスルーホール導体により配線層間を接続し
て製作されている。
【0003】ところが、スルーホール導体は絶縁基板に
対して貫通しているため、積層数が増加するとスルーホ
ール導体数も増加し、その結果、配線に必要なスペース
が確保できなくなることが問題となっている。
【0004】一方、電子機器の軽薄短小化によりプリン
ト配線板の多層化、配線の微細化の要求が強く望まれて
いる。そこで、このような要求に対応して、スルーホー
ル中に金属粉末を含む金属ペースト等を充填した後に積
層して多層配線基板を作製する技術が開発されている。
このようなスルーホール導体はIVH(インタースティ
シャルビアホール)またはブラインドビアホールと呼ば
れている。この方法は、上記のスルーホールにメッキを
行って各層の導通をとる方法に比較して、高密度の多層
配線基板の作製が可能であり、様々の方法が開発されて
いる。
【0005】一方、配線層は、主として、銅箔のエッチ
ング加工により形成されるが、その場合、エッチングに
よる配線層形成前に、絶縁基板を形成する熱硬化性樹脂
を硬化させておく必要がある。これは、未硬化の樹脂は
強度が低く吸湿性があるためにエッチング等の処理に耐
えることができないためである。このために、従来の多
層配線基板では予め1層毎の配線基板を完成させた後、
この配線基板を複数層積層し再度熱処理して配線基板間
を接着させることが必要となり、積層硬化工程を2度以
上繰り返すことが必要となり、未硬化樹脂を一括して積
層硬化する工程は不可能であった。
【0006】また、従来から、複数の配線基板を積層圧
着する方法としては、複数の配線基板を一対の金属から
なる加圧パンチ間に配置して、その上下から圧力を印加
するとともに加熱処理する、いわゆるホットプレス法が
主として行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、先に未硬化または半硬化の樹脂を含む絶縁基板に、
スルーホールを形成して導電性ペーストを充填した後
に、別途作製した回路を転写することで、絶縁層に対し
てエッチング処理などの工程を経ることなく回路形成が
可能であるために、個々の配線基板に対する硬化処理を
必要とせず、未硬化状態の配線基板を積層して、一括に
積層し、硬化させることが可能となることを提案した。
【0008】しかし、この方法には2つの課題がある。
第1に、未硬化状態の樹脂は粘度が低いため、その絶縁
基板への回路の転写や、一括積層圧着の処理を前述した
ようなホットプレス法により行うと、図5に示すよう
に、上下からの圧力に対して絶縁基板31が側方に移動
したり、絶縁基板31の樹脂の流動化により配線基板3
2内に形成したスルーホール導体33が変形して、スル
ーホール導体33の断線やスルーホール導体33と導体
配線層34との接続不良が生じるという問題があった。
第2に、一般的に導電性ペーストを充填したスルーホー
ル導体の抵抗値がメッキなどにより形成された従来のス
ルーホール導体に比較して高いことである。そのため、
金属ペーストを印刷あるいはスルーホール中に充填した
後に、印刷された配線層を加圧して緻密化したり、さら
には、印刷後の配線層に通電加熱を行う事など様々な改
良が行われているが、スルーホール導体の低抵抗化は難
しいのが現状であった。
【0009】
【0010】従って、本発明の目的は、スルーホール導
体の変形が少なく、しかも低抵抗を有するスルーホール
導体を形成することのできる多層プリント配線基板の製
造方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点について鋭意検討した結果、有機樹脂を含む複
数の軟質シート、あるいは有機樹脂を含む軟質シートと
金属箔とからなる被処理物を積層圧着するに際し、この
被処理物に対して、気体または液体を圧力媒体として弾
性部材を介して被処理物に対して、等方的に圧力を印加
すると、被処理物の変形などがなく、従って、金属粉末
を含む導体ペーストを充填したスルーホール導体を有す
る配線基板を積層した場合においても、基板の樹脂の流
動やスルーホール導体の変形を防止しスルーホール導体
の信頼性が向上することを見いだし、本発明に至った。
【0012】
【0013】
【0014】即ち、本発明の多層プリント配線基板の製
造方法は、有機樹脂からなる軟質の絶縁シートに対し
て、厚み方向に貫通するスルーホールを形成し、そのス
ルーホール内に金属粉末を含む導体ペーストを充填し
て、スルーホール導体を形成する工程と、該スルーホー
ル導体を形成した絶縁シートの表面に他の絶縁シートま
たは回路状に形成された金属箔を重ね合わせて重畳体を
作製する工程と、液体または気体を圧力媒体として弾性
部材を介して前記重畳体に圧力を印加して積層圧着する
工程とを具備することを特徴とするものであり、さらに
は、前記積層圧着工程と同時に、またはその後に前記ス
ルーホール導体に電流、特に、電圧1〜200V、パル
ス幅1〜1000m秒、通電電流1〜500A/cm2
のパルス電流を印加する工程と具備することを特徴とす
るものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
(積層装置)本発明の積層装置は、重畳体、特に、有機
樹脂を含む複数の軟質シート、あるいは有機樹脂を含む
軟質シートと金属箔とからなる重畳体からなる被処理物
に対して適用されるものである。具体的には、軟質シー
トとしては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを含み、
熱により可塑状態、または未硬化または半硬化状態の樹
脂を含むものであり、その他にセラミックスや繊維状な
どのフィラー成分を含んでいてもよい。また、金属箔
は、銅箔などの所定厚みの金属箔からなり、また、この
金属箔は、所定の樹脂シート表面に形成されたものであ
ってもよく、その場合には、前記軟質シートに対して、
金属箔が直接接するように積層される。
【0016】図1に、本発明の積層装置の一例を示す概
略配置図を示した。図1の積層装置1によれば、金属な
どの剛体からなる断面が略コ状の枠体2を有し、その開
放部には、ゴムなどの弾性部材3が取付られ、封止部4
により、枠体2と弾性部材3によって囲まれるキャビテ
ィ5内を封止している。そして、このキャビティ5は、
加圧制御手段6と連通しており、加圧制御手段6から加
圧された気体や液体の圧力媒体7がキャビティ5内に送
られ、キャビティ5内は高圧状態に維持され、その結
果、その圧力は弾性部材3により外力として付勢され、
弾性部材3が圧力付与面として作用するように構成され
ている。
【0017】そして、弾性部材3と面する位置には、被
処理物8を支持するための支持部材9が、その支持面が
弾性部材3と平行となるように配置されている。支持部
材9は、枠体2と同様、剛性の高い金属などから構成さ
れている。また、支持部材9には、所望により、被処理
物8を加熱するための加熱ヒータ10が内部に設けられ
ている。加熱ヒータ10は、加熱制御手段11と接続さ
れている。また、支持部材9内には、加熱後の冷却を行
うための冷却手段(図示せず)を設けておいてもよい。
【0018】かかる積層装置を用いて、被処理物を積層
圧着処理するには、まず、支持部材9の表面に、被処理
物8を載置した後、被処理物8と弾性部材3とが接触す
るか、または近接する位置に配置した状態で、支持部材
9と枠体2とを適当な固定手段で固定する。例えば、図
1では、支持部材9と枠体2とを螺子12により固定さ
れている。
【0019】このようにして被処理物8を積層装置1内
にセットした後、圧力制御手段6によりキャビティ5内
の圧力媒体7に圧力を付与することにより、弾性部材3
を介して、被処理物8に圧力が付与される。また、圧力
付与に伴い、加熱制御手段11により被処理物8中の樹
脂分が軟化する温度に加熱してもよい。
【0020】本発明の積層装置によれば、被処理物8に
は、弾性部材3を介して圧力が印加される結果、図2に
示すように、弾性部材3が被処理物8を外形に整合して
変形するために、被処理物8に対して等方的に圧力が付
与されることになる。そのために、有機樹脂を含む複数
の軟質シート、あるいは有機樹脂を含む軟質シートと金
属箔とからなる被処理物8は、変形することなく、寸法
精度に優れた積層体を形成することができる。
【0021】なお、上記の積層装置においては、被処理
物への圧力は、1〜200kg/cm2 程度であること
が望ましく、圧力が1kg/cm2 よりも低いと、積層
圧着が難しく、200kg/cm2 よりも高いと、基板
の変形が大きくなり寸法精度が劣化するなどの弊害が生
じる可能性があるためである。
【0022】また、被処理物への加熱温度は、被処理物
中の樹脂の種類により適宜調製することが必要である
が、概して熱可塑性樹脂の場合には、60〜120℃、
Bステージ状態の熱硬化性樹脂の場合には、60〜15
0℃が適当である。
【0023】さらに、本発明によれば、上記の積層装置
において、さらに電流を印加する手段を設けることがで
きる。この電流印加手段は、例えば、被処理物8と、弾
性部材3との間に第1の電極板13を設け、また被処理
物8と支持部材9との間に第2の電極板14を設け、こ
の一対の電極板13、14に対して、電流制御手段15
により電流を印加することにより、被処理物8に電流を
印加することもできる。なお、前記第2の電極板14
は、支持部材9を金属などの導電性部材により構成した
場合には、支持部材9をもって代用できる。また、被処
理物8への加熱手段としては、上記の加熱ヒータ10の
設置に限られることなく、前記一対の電極板13、14
による通電加熱であってもよい。
【0024】また、電流印加手段により、パルス電流を
印加する場合には、被処理物の上下面に直接接触するよ
うに配置された一対の電極板13、14に接続される電
流制御手段15は、パルス電源16と、それらを制御す
る制御ユニット17から構成され、電極板13、14と
直接接触する被処理物8に対して制御ユニット17に制
御された所定条件のパルス電流が印加できるように構成
される。
【0025】なお、本発明の積層装置においては、支持
体9上の載置される被処理物8は、枠体2と支持体9に
より密閉された空間に保持され、その空間は、真空ポン
プ18により減圧された状態に保たれることが望まし
い。これは、積層時に内部に気体がトラップされるのを
防止することができる。
【0026】(多層プリント配線基板の製造方法)次
に、上記の積層装置を用いた多層プリント配線基板の製
造方法について説明する。本発明における配線基板の製
造方法によれば、まず、図3(a)に示すように、有機
樹脂からなる軟質の絶縁シート20に対して、厚み方向
に貫通するスルーホールを形成し、そのスルーホール内
に金属粉末を含む導体ペーストをスクリーン印刷や吸引
処理しながら充填して、スルーホール導体21を形成す
る。
【0027】具体的には、まず、絶縁シートとして、前
述したような熱硬化性有機樹脂、または熱硬化性有機樹
脂とフィラーなどの組成物を混練機や3本ロールなどの
手段によって十分に混合し、これを圧延法、押し出し
法、射出法、ドクターブレード法などによってシート状
に成形した後、熱硬化性樹脂を半硬化させる。半硬化に
は、樹脂が完全硬化するに十分な温度よりもやや低い温
度に加熱する。
【0028】そして、この半硬化状態の絶縁層に対し
て、バイアホールを形成する。このバイアホールの形成
は、ドリル、パンチング、サンドブラスト、あるいは炭
酸ガスレーザ、YAGレーザ、及びエキシマレーザ等の
照射による加工など公知の方法が採用される。
【0029】なお、絶縁シートを形成する有機樹脂は、
通常、熱硬化性樹脂、あるいは高融点の耐熱性熱可塑性
樹脂、又は、これらの樹脂からなる組成物等が用いられ
る。
【0030】熱硬化性樹脂としては、絶縁材料としての
電気的特性、耐熱性、および機械的強度を有する熱硬化
性樹脂であれば特に限定されるものでなく、例えば、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素
樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマイレイドト
リアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン
樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ア
リル樹脂、等が使用できる。
【0031】また、上記の絶縁シート20中には、絶縁
基板あるいは配線基板全体の強度を高めるために、有機
樹脂に対してフィラーを複合化させることもできる。有
機樹脂と複合化されるフィラーとしては、SiO2 、A
2 3 、ZrO2 、TiO2 、AlN、SiC、Ba
TiO3 、SrTiO3 、ゼオライト、CaTiO3
ほう酸アルミニウム等、ガラスクロスなどの無機質フィ
ラーや、アラミド樹脂からなる不織布、織布などを用い
てもよい。なお、有機樹脂とフィラーとは、体積比率で
15:85〜50:50の比率で複合化されるのが適当
である。
【0032】一方、スルーホール導体21に充填される
金属ペーストは、銅粉末、銀粉末、銀被覆銅粉末、銅銀
合金などの、平均粒径が0.5〜50μmの金属粉末を
含む。金属粉末の平均粒径が0.5μmよりも小さい
と、金属粉末同士の接触抵抗が増加してスルーホール導
体の抵抗が高くなる傾向にあり、50μmを越えるとス
ルーホール導体の低抵抗化が難しくなる傾向にある。
【0033】また、導体ペーストは、前述したような金
属粉末に対して、前述したような結合用有機樹脂や溶剤
を添加混合して調製される。ペースト中に添加される溶
剤としては、用いる結合用有機樹脂が溶解可能な溶剤で
あればよく、例えば、イソプロピルアルコール、テルピ
ネオール、2−オクタノール、ブチルカルビトールアセ
テート等が用いられる。
【0034】上記の結合用有機樹脂としては、前述した
種々の絶縁シートを構成する有機樹脂の他、エポキシ樹
脂なども使用される。この有機樹脂は、前記金属粉末同
士を互いに接触させた状態で結合するとともに、金属粉
末を絶縁シートに接着させる作用をなしている。この有
機樹脂は、金属ペースト中において、0.1乃至40体
積%、特に0.3乃至30体積%の割合で含有されるこ
とが望ましい。これは、樹脂量が0.1体積%よりも少
ないと、金属粉末同士を強固に結合することが難しく、
低抵抗金属を絶縁層に強固に接着させることが困難とな
り、逆に40体積%を越えると、金属粉末間に樹脂が介
在することになり粉末同士を十分に接触させることが難
しくなり、スルーホール導体の抵抗が大きくなるためで
ある。
【0035】次に、上記のようにしてスルーホール導体
21を形成した絶縁シート20の表面に導体配線層22
を形成する。この導体配線層22は、絶縁シート20の
表面に金属箔を貼り付けた後、エッチング処理して回路
パターンを形成する方法、絶縁シート20表面にレジス
トを形成して、メッキにより形成する方法があるが、図
3では、転写法について説明する。この転写法は、図3
(b)に示すように、金属箔を貼り付けた樹脂フィルム
24上でエッチングなどの処理により回路パターンを形
成して導体配線層22を形成した後、図3(c)に示す
ように、樹脂フィルム24と絶縁シート20とを積層圧
着した後、図3(d)に示すように、樹脂フィルム24
を剥がして、導体配線層22が形成された単一の配線基
板25を作製する。
【0036】導体配線層22は、例えば、銅、銀、アル
ミニウム、金の群から選ばれる少なくとも1種、または
2種以上の合金を主体とする低抵抗金属を含むことが望
ましく、特に、銅または銅を含む合金が最も望ましい。
また、場合によっては、導体組成物として回路の抵抗調
整のためにNi−Cr合金などの高抵抗の金属を混合、
または合金化してもよい。さらには、配線層の低抵抗化
のために、前記低抵抗金属よりも低融点の金属、例え
ば、半田、錫などの低融点金属を導体組成物中の金属成
分中にて2〜20重量%の割合で含んでもよい。
【0037】そして、上記図3(a)〜(d)と同様に
して作製した単一の配線基板25を位置合わせして、重
ね合わせ、加熱しながら積層加圧し、絶縁シート20中
の熱硬化性樹脂が硬化するに十分な温度に加熱して一括
して完全硬化させることにより、図3(e)に示すよう
な多層プリント配線基板26を形成することができる。
【0038】本発明によれば、上記一連の製造工程にお
いて、積層圧着する工程、即ち、図3(b)の樹脂フィ
ルム24から金属箔からなる導体配線層22を半硬化状
態の絶縁シート20に転写する時、あるいは、図3
(e)の単一の配線基板25を複数層積層して一括加熱
しながら圧着させる時に、前記図1に示した積層装置を
用いる。上記のいずれの場合においても、絶縁シート2
0は、未硬化または半硬化の状態であり、軟質な状態に
ある。従って、従来のホットプレスなどの一軸加圧処理
を行うと、絶縁シート20が変形したり、スルーホール
導体21が変形するなどの問題がある。これに対して、
図1の積層装置1を用いて、被処理物に等方的に圧力を
印加することにより、絶縁シート20が変形したり、ス
ルーホール導体21が変形することなく、高寸法精度で
積層圧着することができる。
【0039】具体的には、図3(b)の工程において
は、スルーホール導体21を有する絶縁シート20と、
金属箔からなる導体配線層22が形成された樹脂フィル
ム24とを重ね合わせた後、これを積層装置1の支持部
材9上に載置して10〜100kg/cm2 の圧力を印
加する。また、所望により加圧と同時に50〜120℃
に加熱することにより、絶縁シートが変形したり、それ
に伴いスルーホール導体21が変形することなく、金属
箔からなる導体配線層22を絶縁シート20の表面に埋
め込み、転写させることができる。
【0040】また、図3(e)の工程においては、複数
の配線基板25を重ね合わせたものを図1の積層装置1
の支持部材9の上で載置して、5〜100kg/cm2
の圧力を印加すると同時に、150〜250℃に加熱す
ることにより、絶縁シートが変形したり、それに伴いス
ルーホール導体21が変形することなく、配線基板25
同士を高寸法精度で積層圧着し、一括硬化することがで
きる。
【0041】また、本発明によれば、図3(b)または
(e)の積層圧着工程において、配線基板に電流を印加
することが望ましい。上記の金属ペーストによって形成
されるスルーホール導体21は、金属粉末の集合体によ
って形成されるが、一般にこれらの金属粉末の表面には
大気中の酸素と反応して酸化膜が存在する。このような
粉末間を結合させるための前記有機樹脂は金属粉末間の
導通を妨げている。
【0042】そこで、スルーホール導体21に電流、特
にパルス電流を印加することにより、粉末間の酸化膜や
有機樹脂を除去し、さらには金属粉末間の接触部を放電
溶接することができる結果、スルーホール導体21の低
抵抗化を図ることができるのである。
【0043】また、図3(b)の転写工程において、ス
ルーホール導体21に電流を印加するためには、電極板
13とスルーホール導体21またはスルーホール導体2
1と電気的に接続する導体配線層22とを電極板13と
電気的に接続して処理を行えばよい。また、図3(e)
の工程で、配線基板25のスルーホール導体21に対し
て電流を全体にわたり印加するには、電極13を最上面
の所望の導体配線層22と電気的に接続し、また、電極
板14を最下面の導体配線層22と接続して処理を行え
ばよい。
【0044】このパルス電流を印加する場合には、図4
に示すように、電圧(V)が1〜200V、パルス幅
(H)が1〜1000m秒、通電電流1〜500A/c
2 のパルス電流を印加することが望まれる。これは、
電圧が1V未満であれば低抵抗化の効果が少なく、また
200Vを越えると部分的に発熱が起こり絶縁基板を傷
める場合があるためである。また、1パルス通電時間
(t)3秒以下、パルス間隔(T)が3秒以下の条件で
パルス電流を印加することが望まれる。
【0045】また、パルス電源16は、直流パルス電源
であることが望ましい。それは、正弦波よりも矩形波の
ほうが、粒子間の放電が起こりやすく、表面の清浄作用
が高く、また交流よりも直流の方が一旦清浄された粒子
表面に汚れ等が付着しにくいためである。また、直流パ
ルス電流は、パルスの立ち上がりをシャープにするため
に図4(b)に示すように、パルスの立ち上がり時の電
圧を一時的に高めた波形も有用である。
【0046】また、このパルス電流の印加の後、あるい
は同時に通電加熱処理を行ってもよい。この通電加熱
は、電極板13、14を通じて被処理物に対して所定の
電圧を印加して配線層に通電することにより被処理物を
加熱することができると同時に、さらに配線層の低抵抗
化を図ることができる。この通電処理は、電圧10〜1
00V、基板100cm2 当たり電流3〜50Aの直
流、交流のいずれでもよく、通電による加熱温度は10
0〜300℃の範囲であることが望ましい。この時の加
熱温度が300℃よりも高いと絶縁層を形成する耐熱性
の高い樹脂の分解が起こり、100℃よりも低いとさら
なる低抵抗化の効果が小さいためである。この通電加熱
によって、金属粒子同士の結合が強固となり、配線層の
抵抗を下げることができるのである。
【0047】また、この通電加熱処理は、前述した加圧
処理またはパルス電流の印加処理と同時に行うことがで
きる他、加圧処理またはパルス電流の印加処理後に行う
ことができる。パルス電流の印加処理と同時に行う場合
には、具体的には、直流のパルス電流と直流電流とを合
わせた波形、図4(c)に示すように、つまり直流波形
の上部が矩形波となった電流を配線層に印加すると、通
電加熱による作用と、パルス電流印加による放電溶接作
用とを同時に付加することができる。
【0048】また、被処理物へのパルス電流や直流電圧
印加時に、配線層の状態を把握し電気特性を安定させる
ため、パルス電流および/または直流電流印加時に、電
極板13、14間の電圧を製品抵抗測定ユニットによっ
て測定し、その抵抗変化をもとにパルス電流および/ま
たは直流電流の印加等をフィードバック制御することが
望ましい。これによって被処理物の抵抗値のばらつきを
少なくすることができる。
【0049】
【実施例】 実施例1 ビスマレイミドトリアジン樹脂とアラミド不織布とのプ
リプレグを用い、厚さ100μmの半硬化状態の絶縁シ
ートを形成した。そして、この絶縁シートに、直径が1
00μmのスルーホールを形成し、そのスルーホール内
に平均粒径8μmの銅粉末90体積%と、セルロースか
らなる有機樹脂0.5体積%を固形成分として、これを
2−オクタノールを溶媒として混合して調製された銅ペ
ースト充填し乾燥した。
【0050】一方、厚さ25μmのポリエチレンテレフ
タレート樹脂(PET)製のシートを予め貼り付けた厚
さ12μmの銅箔を用い、公知のレジスト法等により銅
箔をエッチングして回路パターンを形成した。
【0051】次に絶縁シートと、銅箔により形成された
回路パターンを有する樹脂フィルムを位置合わせしなが
ら、貼り合わせを行った。その後、図1に示した積層装
置を用いて静水圧加圧を用いて、50℃、50kg/c
2 の温度と圧力により加圧加熱後、PETフィルムを
剥がすことによって導体配線層を絶縁シートに転写し、
単層の配線基板を作製した。その後、同様にして作製し
た配線基板を4枚積層し、再び、図1の積層装置を用い
て、250℃、66kg/cm2 の温度、圧力の条件で
更に、一括して硬化させると同時に配線基板間を強固に
接着固定して、多層プリント配線基板を作製した。
【0052】得られた多層プリント配線基板に対して、
導体配線層−スルーホール導体−導体配線層の抵抗を測
定するとともに、多層プリント配線基板を切断して、ス
ルーホール導体の変形の有無を確認した。また、多層プ
リント配線基板に対して、−65℃15分、140℃1
5分の熱サイクルを100回印加後に同様に導体配線層
−スルーホール導体−導体配線層の抵抗を測定した。
【0053】実施例2 実施例1の工程において、樹脂フィルムからの銅箔から
なる回路パターンを図1の積層装置によって転写した後
に、電圧7V、通電電流50A/cm2 、パルス幅30
msecのパルス電流を1分間印加する以外は、全く同
様にして多層プリント配線基板を作製し同様に評価を行
った。結果は表1に示した。
【0054】実施例3 実施例1の工程において、樹脂フィルムからの銅箔から
なる回路パターンを図1の積層装置によって転写した後
に、電圧5V、通電電流100A/cm2 、パルス幅5
0msecのパルス電流を0.5分間印加した後、さら
に10V、150A/cm2 の条件で通電加熱を行う以
外は、全く同様にして多層プリント配線基板を作製し、
同様に評価を行った。結果は表1に示した。
【0055】比較例 実施例1で作製したスルーホール導体を形成した半硬化
状態の絶縁シートに、実施例1で作製した銅箔からなる
回路パターンが形成された樹脂フイルムを重ね合わせ、
これをホットプレス装置の一対の加圧パンチ間に設置し
て、50℃、50kg/cm2 の温度と圧力により加圧
加熱後、PETフィルムを剥がすことによって回路パタ
ーンを絶縁シートに転写し、単層の配線基板を作製し
た。その後、同様にして作製した配線基板を4枚積層
し、再び、ホットプレス装置を用いて、250℃、66
kg/cm2 の温度、圧力の条件で更に、一括して硬化
させると同時に配線基板間を強固に接着固定して多層プ
リント配線基板を作製した。
【0056】得られた多層プリント配線基板に対して、
導体抵抗、スルーホール導体の変形の有無および熱サイ
クル後の導体抵抗を測定した。結果は表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果から明らかなように、従来のホ
ットプレス法では、スルーホール導体の変形が認めら
れ、熱サイクル試験後において、導体配線層とスルーホ
ール導体間での導体抵抗が大きく低下した。これは、ス
ルーホール導体の変形による導体配線層とスルーホール
導体との接続不良によるものと推察される。
【0059】また、本発明の積層装置を用いた場合、ス
ルーホール導体の変形は認められず、また、熱サイクル
後の導体抵抗の低下は小さいものであった。
【0060】なお、パルス電流を印加、さらにはパルス
電流と通電加熱を行うことにより、導体抵抗はさらに低
下し、低抵抗で且つ信頼性に優れた配線基板を作製する
ことができた。
【0061】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の積層装置に
よれば、配線基板を作製する際の未硬化または半硬化状
態の軟質なシートを積層圧着処理する場合において、シ
ートの変形なく積層圧着することができる。しかも、ス
ルーホール導体を有する多層の配線基板の製造にかかる
積層装置を用いることにより、絶縁シート内にスルーホ
ール導体の変形を防止し、安定性に優れた配線基板を製
造でき、しかも電流印加によりスルーホール導体の低抵
抗化を同時に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層装置の一例を説明するための概略
配置図である。
【図2】本発明の積層装置による作用を説明するための
図である。
【図3】本発明の多層プリント配線基板の製造方法を説
明するための工程図である。
【図4】本発明におけるパルス電流の波形を示した図で
ある。
【図5】従来の積層方法による配線基板の構造を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 積層装置 2 枠体 3 弾性部材 4 封止部 5 キャビティ 6 加圧制御手段 7 圧力媒体 8 被処理物 9 支持部材 10 加熱ヒータ 11 加熱制御手段 12 螺子 13、14 電極板 15 電流制御手段 16 パルス電源 17 制御ユニット 18 真空ポンプ 20 絶縁シート 21 スルーホール導体 22 導体配線層 24 樹脂フィルム 25 配線基板 26 多層プリント配線基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 35/00 B32B 15/08 H05K 3/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機樹脂からなる軟質の絶縁シートに対し
    て、厚み方向に貫通するスルーホールを形成し、そのス
    ルーホール内に金属粉末を含む導体ペーストを充填し
    て、スルーホール導体を形成する工程と、該スルーホー
    ル導体を形成した絶縁シートの表面に他の絶縁シートま
    たは回路状に形成された金属箔を重ね合わせて重畳体を
    作製する工程と、液体または気体を圧力媒体として弾性
    部材を介して前記重畳体に圧力を印加して積層圧着する
    工程とを具備することを特徴とする多層プリント配線基
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記積層圧着工程と同時に、またはその後
    に前記スルーホール導体に電流を印加する工程と具備す
    ることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記電流が、電圧1〜200V、パルス幅
    1〜1000m秒、通電電流1〜500A/cm2のパ
    ルス電流である請求項2記載の多層プリント配線板の製
    造方法。
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