JP3358761B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP3358761B2
JP3358761B2 JP21811094A JP21811094A JP3358761B2 JP 3358761 B2 JP3358761 B2 JP 3358761B2 JP 21811094 A JP21811094 A JP 21811094A JP 21811094 A JP21811094 A JP 21811094A JP 3358761 B2 JP3358761 B2 JP 3358761B2
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秀夫 山口
博史 麻生
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば空気調和機用
コンプレッサ(圧縮機)がOFFの状態で、かつ車両の
ウインドガラスが曇りそうな状態を検知した時にヒート
モードからヒート/デフロストモードに切換わるオート
エアコンディショナのような車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上述例の車両用空調装置として
は、例えば特開平2−120114号公報に記載のよう
な装置がある。
【0003】すなわち、空気調和機用コンプレッサの運
転状態を検出するコンプレッサ状態検出手段と、車両の
ウインドガラスの曇り状態を検出する曇り状態検出手段
と、少なくともヒートモードとヒート/デフロストモー
ドとのモード切換えを行なう空調モード変更手段と、上
述のコンプレッサ状態検出手段によりコンプレッサのO
FF(停止)状態が検出され、かつ上述の曇り状態検出
手段によりウインドガラスの曇り状態が検出された時
(より具体的にはウインドガラスが曇りそうな時)に、
上述の空調モード変更手段を駆動してヒートモード(主
として足元部に暖房用の熱風を吹出すモード)からヒー
ト/デフロストモード(ヒートモードとデフロストモー
ドとを同時に実行するモードのことで、デフロストモー
ドとはウインドガラスの曇りを解消するために必要箇所
に熱風を吹出すモードの意)に切換えるモードコントロ
ール手段とを備えた車両用空調装置(オートエアコンデ
ィショナ)である。
【0004】この従来の車両用空調装置によればウイン
ドガラスの曇り状態が検出された時、空調モードをヒー
トモードからヒート/デフロストモードに切換えて例え
ばデフロスタ吹出口およびサイドデフロスタ吹出口から
ウインドガラスに熱風を吹出し、ウインドガラスの曇り
を防止することができる利点がある反面、次のような問
題点があった。
【0005】つまりオートエアコンディショナでヒート
モードが用いられる時には急速暖房を達成する目的で大
風量の熱風がヒート吹出口から吹出され、上述のモード
コントロール手段により空調モード変更手段を介して空
調モードがヒートモードからヒート/デフロストモード
に切換えられると、デフロスタ吹出口から吹出された大
風量の熱風がウインドガラスに当った後にドライバの頭
部方向へ跳ね返るため、ドライバに頭熱感を与える問題
点があった。
【0006】なお、上述の従来装置においてはウインド
ガラスが曇りそうな時に空調モードをヒートモードから
ヒート/デフロストモーデに切換えるが、日射量などの
外部雰囲気状態からドライバが頭熱感を覚えそうな時に
は、即時ヒートモードに戻しているが、風量によっては
必ずしもヒートモードに戻さなくても、ヒート/デフロ
ストモードのままで充分な場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明の請求項1記
載の発明は、暖機前においてはオートエアコンディショ
ナの急速暖房時のデフロスト風量を所定低風量以下に制
限して、ドライバの頭熱感を防止することができると共
に、暖機後においてはデフロスト風量を所定値以上に制
御して、ウインドガラスの曇りを解消することができる
車両用空調装置の提供を目的とする。
【0008】この発明の請求項2記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の目的と併せて、ウインドガラス払拭
用のワイパが作動するような降雨時等(湿度が高い時)
において既存の手段を有効利用してウインドガラスの曇
り状態を検出することができる車両用空調装置の提供を
目的とする。
【0009】この発明の請求項3記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の目的と併せて、湿度センサ等の湿度
検出手段によりウインドガラスの曇り状態を正確に検出
することができる車両用空調装置の提供を目的とする。
【0010】この発明の請求項4記載の発明は、上記請
求項1,2もしくは3記載の発明の目的と併せて、外気
温度に対応してデフロスト風量を補正することで、ウイ
ンドガラスの曇り度合に対応したデフロスト風量を供給
することができ、ウインドガラスの曇り度合に応じてよ
り一層確実に除去することができる車両用空調装置の提
供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載
の発明は、空気調和機用コンプレッサの運転状態を検出
するコンプレッサ状態検出手段と、車両のウインドガラ
スの曇り状態を検出する曇り状態検出手段と、少なくと
もヒートモードとヒート/デフロストモードとのモード
切換えを行なう空調モード変更手段と、上記コンプレッ
サ状態検出手段によりコンプレッサのOFF状態が検出
され、かつ上記曇り状態検出手段によりウインドガラス
の曇り状態が検出された時、上記空調モード変更手段を
駆動してヒートモードからヒート/デフロストモードに
切換えるモードコントロール手段とを備えた車両用空調
装置であって、エンジン冷却水の水温を検出する水温検
出手段と、上記水温検出手段で検出された水温がエンジ
ン暖機前の低水温かエンジン暖機後の高水温かを判別す
る暖機判別手段と、上記暖機判別手段の判別結果に基づ
いて暖機前はデフロスト風量を所定低風量以下に制限す
ると共に、暖機後は上記ヒートモードからヒート/デフ
ロストモードへ切換わった時にデフロスト風量を所定値
以上に制限するデフロスト風量制限手段とを備えた車両
用空調装置であることを特徴とする。
【0012】この発明の請求項2記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の構成と併せて、上記曇り状態検出手
段は上記ウインドガラス払拭用のワイパ操作手段のON
時に車両のウインドガラスの曇り状態を検出する車両用
空調装置であることを特徴とする。
【0013】この発明の請求項3記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の構成と併せて、上記曇り状態検出手
段は車室内の湿度を検出する湿度検出手段で構成された
車両空調装置であることを特徴とする。
【0014】この発明の請求項4記載の発明は、上記請
求項1,2もしくは3記載の発明の構成と併せて、外気
温を検出する外気温検出手段と、上記外気温検出手段の
検出出力に基づいて外気温が低い時は外気温が高い時に
対してデフロスト風量を大に補正するデフロスト風量補
正手段とを備えた車両用空調装置であることを特徴とす
る。
【0015】
【発明の作用および効果】この発明の請求項1記載の発
明によれば、図8にクレーム対応図で示すように、コン
プレッサ状態検出手段P1は空気調和機用コンプレッサ
P2の運転状態(ONもしくはOFFの状態)を検出
し、曇り状態検出手段P3は車両のウインドガラスの曇
り状態を検出(詳しくは曇りそうな状態を検出)し、空
調モード変更手段P4は空調のモードを少なくともヒー
トモードとヒート/デフロストモードとに切換え、モー
ドコントロール手段P5は上述のコンプレッサ状態検出
手段P1によりコンプレッサP2のOFF(停止)状態
が検出され、かつ上述の曇り状態検出手段P3により車
両のウインドガラスの曇り状態が検出された時、上述の
空調モード変更手段P4を駆動して、空調のモードをヒ
ートモードからヒート/デフロストモードに切換える
が、暖機判別手段P6はエンジン冷却水の水温を検出す
る水温検出手段P7で検出された水温がエンジン暖機前
の低水温かエンジン暖機後の高水温かを判別し、上述の
デフロスト風量制御手段P8は上記暖機判別手段P6の
判別結果に基づいて暖機前においてはデフロスト風量を
本来のオートエアコンディショナのヒートモード時の大
風量から所定低風量以下に制限し、暖機後においては空
調モードがヒートモードからヒート/デフロストモード
へ切換わった時にデフロスト風量を所定値以上に制御す
る。
【0016】なお、コンプレッサP2のON時には空調
装置により除湿作用が奏されるので、ウインドガラスの
曇りに対する影響が極めて僅少であり、このためコンプ
レッサP2のOFF時にのみ上記作用を行なうことで省
エネルギ化を図る。このように上述のデフロスト風量制
御手段が暖機前においてはオートエアコンディショナの
急速暖房時のデフロスト風量を所定低風量以下に制限す
るので、ウインドガラスに当った後にドライバの頭部方
向へ跳ね返る熱風の量の低減を図って、ドライバの頭熱
感を防止することができる効果がある。
【0017】また暖機後においては上述のデフロスト風
量制御手段がウインドガラスに向けて吹出されるデフロ
スト風量を所定値以上に制御するので、ウインドガラス
の曇りを解消することができる効果がある。
【0018】この発明の請求項2記載の発明によれば、
上記請求項1記載の発明の効果と併せて、上述の曇り状
態検出手段はウインドガラス払拭用のワイパ操作手段の
ON時に車両のウインドガラスの曇り状態を検出する。
つまり上述のウインドガラス払拭用のワイパが作動する
ような降雨時等(湿度が高い時)において既存の手段を
有効作用してウインドガラスの曇り状態を検出するの
で、特別な曇り状態検出手段を別途設ける必要がなく、
構成の簡略化を図ることができる効果がある。
【0019】この発明の請求項3記載の発明によれば、
上記請求項1記載の発明の効果と併せて、上述の曇り状
態検出手段を、車室内の湿度を検出する湿度検出手段で
構成したので、乗員数の変化や天候条件の変化その他に
起因してウインドガラスに曇りが発生する要因となる湿
度を良好に検出することができ、この結果、ウインドガ
ラスの曇り状態を正確に検出することができる効果があ
る。
【0020】この発明の請求項4記載の発明によれば、
上記請求項1,2もしくは3記載の発明の効果と併せ
て、外気温を検出する外気温検出手段の検出出力に基づ
いて、上述のデフロスト風量補正手段は外気温が低く比
較的ウインドガラスに曇りが生じやすい時には、外気温
が高い時に対してデフロスト風量を大に補正する。
【0021】このように、上述のデフロスト風量補正手
段が外気温に対応してデフロスト風量を補正するので、
ウインドガラスの曇り度合に対応したデフロスト風量を
供給することができ、ウインドガラスの曇りをその度合
に応じてより一層確実に除去することができる効果があ
る。
【0022】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は車両空調用装置を示し、第1図におい
て、外気取入口1と、内気取入口2とを備えた内外気切
替えボックス3を設け、この内外気切替えボックス3内
に内外気切替えドア4を配設すると共に、上述の内外気
切替えボックス3に連通するファンハウジング5には、
ブロアモ―タ6により駆動されるファン7を配設して、
ブロアユニット8を構成している。
【0023】上述のファンハウジング5の空気吐出口1
2には連通ダクト13を介してク―ラハウジング14を
連通し、このク―ラハウジング14内にエバポレ―タ
(蒸発器)15を介設して、ク―ラユニット16を構成
している。
【0024】上述のク―ラユニット16の次段には、連
通ダクト17を介してヒ―タケ―ス18を連設してい
る。
【0025】このヒ―タケ―ス18は、デフロスタ連通
口19、ベント連通口20、ヒ―ト連通口21にそれぞ
れデフロスタドア22、ベントドア23およびヒ―トド
ア24を開閉可能に取付けると共に、上述のヒ―タケ―
ス18内に冷風通路25と連通する混合室26を設ける
一方、ヒ―タコア側通路27にはヒ―タコア28を配設
し、かつ該ヒ―タコア28の上位には送風を上述の冷風
通路25とヒ―タコア側通路(温風通路)27とに分配
するエアミックスドア29を配設し、かつ上述のヒ―タ
コア側通路27の出口部にも小型のエアミックスドア3
0を配設することで、ヒ―タユニット31を構成してい
る。
【0026】前述のデフロスタ連通口19には、デフロ
スタホ―スを介してデフロスタノズル32を取付け、こ
のデフロスタノズル32には車両のフロントウインドに
曇り止め用の温風を送風するデフロスタ吹出口33,3
3と、左右のサイドウインドに曇り止め用の温風を送風
するサイドデフロスタ吹出口34,34とを形成してい
る。
【0027】また、前述のヒ―ト連通口21には、ヒ―
タダクト35を連結し、このヒ―タダクト35の先端に
は運転席側および助手席側の足元へ温風を送風するヒ―
ト吹出口36…を形成している。
【0028】さらに前述のベント連通口20には、左右
のベンチレ―ション37,37を連結し、これらの各ベ
ンチレ―ション37,37にはベント吹出口38と、ロ
アベント吹出口39,39と、サイドベント吹出口4
0,40とを形成している。
【0029】なお、前述のエアミックスドア29,3
0、デフロスタドア22、ベントドア23およびヒ―ト
ドア24はインストルメントパネルに配設した空調設定
部41(図2参照)によりそれぞれ手動制御される。
【0030】図2は車両用空調装置の制御回路を示す。
同図において空気調和機用コンプレッサ9はエンジン1
0に出力軸に嵌合した原動プーリ、ベルト、およびマグ
ネットクラッチ11を介して駆動される。
【0031】一方、CPU50は、エンジン10の冷却
水の水温を検出する水温検出手段としての水温センサ4
2、外気温を検出する外気温検出手段としての外気温セ
ンサ43、ウインドガラス払拭用のワイパ操作手段とし
てのワイパスイッチ44、車室内の湿度を検出する湿度
検出手段としての湿度センサ45、空調設定部41、空
気調和機用コンプレッサ9のON、OFFを検出する検
出ライン48等からの必要な各種信号入力に基づいて、
ROM46に格納されたプログラムに従って、内外気切
換えドア4、ブロアモータ6、デフロスタドア22、ベ
ントドア23、ヒートドア24、エアミックスドア2
9,30を駆動制御しまたRAM47は図3に示すよう
なマップM1やデータ等を記憶する。
【0032】ここで、上述の各ドア4,22,23,2
4,29,30は本来、ドア駆動用アクチュエータを介
して駆動されるが、ここでは図示の便宜上、アクチュエ
ータを省略した状態で図示している。
【0033】また図3に示すマップM1は横軸に外気温
度TA をとり、縦軸にウインドガラスが曇らないための
必要デフロスト風量VDTをとって、上記外気温度TA
対する必要デフロスト風量VDTを実験的に求めたマップ
であり、このマップM1における外気温度TA に対する
必要デフロスト風量VDTの傾向は外気温度TA が低い
程、必要デフロスト風量VDTが大となる傾向にある。
【0034】さらに上述のCPU50は、空気調和機用
コンプレッサ9の運転状態を検出するコンプレッサ状態
検出手段(図5に示すフローチャートの第2ステップS
12参照)と、車両のウインドガラスの曇り状態(詳し
くは曇りそうな状態)を検出する曇り状態検出手段(図
5に示すフローチャートの各ステップS13,S14参
照)と、少なくともヒートモードとヒート/デフロイト
モードとのモード切換えを行なう空調モード変更手段
(CPU50それ自体参照)と、上述のコンプレッサ状
態検出手段(図5の第2ステップS12参照)によりコ
ンプレッサ9のOFF状態が検出され、かつ上述の曇り
状態検出手段(図5の各ステップS13,S14参照)
により車両のウインドガラスの曇り状態が検出された
時、上記空調モード変更手段(CPU50参照)を駆動
してヒートモードからヒート/デフロストモードに切換
えるモードコントロール手段(図5のフローチャートに
示す第6ステップS16参照)と、上述の水温センサ4
2で検出された水温がエンジン暖機前の低水温かエンジ
ン暖機後の高水温(この実施例では80℃)かを判別す
る暖機材判別手段(図4のフローチャートに示す第2ス
テップS2参照)と、上述の暖機判別手段の判別結果に
基づいて暖機前はデフロスト風量VDEF を所定低風量以
下に制限するデフロスト風量制限手段(デフロスト風量
制限手段の1つで、図4に示すフローチャートの第7ス
テップS7参照)と、上述の暖機判別手段の判定結果に
基づいて暖機後は上記ヒートモードからヒート/デフロ
ストモードへ切換わった時にデフロスト風量VDEF を所
定値以上に制御するデフロスト風量アップ手段(デフロ
スト風量制御手段の1つで、図5に示すフローチャート
の第7ステップS17参照)と、上述の外気温センサ4
3の検出出力に基づいて外気温度が低い時は外気温度が
高い時に対してデフロスト風量を大に補正するデフロス
ト風量補正手段(図7に示すフローチャート第3ステッ
プS23参照)とを兼ねる。
【0035】このように構成した車両用空調装置の作用
を図4、図5、図7に示すフローチャートおよび図6に
示すタイムチャートを参照して、以下に詳述する。な
お、以下の説明に用いる各記号の内容は次の通りであ
る。
【0036】VDEF …デフロスト風量 V1 …頭熱感の発生しない限界デフロスト風量 a…湿度に相当する曇り判定値 VA …トータル風量 α…風量増加用の一定値 VDT…ウインドガラスが曇らないための必要デフロスト
風量 図4に示すフローチャートの第1ステップS1で、CP
U50は水温センサ42の出力などの必要な各種信号の
読込みを実行し、次の第2ステップS2で、CPU50
は暖機判別を行なう。
【0037】この第2ステップS2で、例えばエンジン
冷却水の水温が80℃未満の低温で、暖機前(ウオーム
アップ制御中)であることが判別された場合には第4ス
テップS4に移行する一方、例えばエンジン冷却水の水
温が80℃以上の高温で、暖機後であることが判別され
た場合には第3ステップS3に移行して、この第3ステ
ップS3で暖機後ルーチン(図5参照)による処理を実
行する。上述の第4ステップS4で、CPU50はウオ
ームアップ中のトータル風量VA とその時のモードダン
パ開度θM との双方からデフロスト風量VDEF を計算す
る。
【0038】次に第5ステップS5で、CPU50は求
められたデフロスト風量VDEF と限界デフロスト風量V
1 との大小を比較し、VDEF ≧V1 のNO判定時には次
の第6ステップS6に移行し、VDEF ≧V1 のYES判
定時には別の第7ステップS7に移行する。
【0039】上述の第6ステップS6で、CPU50は
DEF =VDEF とし、先の第4ステップS4で求められ
たデフロスト風量VDEF を維持する。つまり、この第6
ステップS6での処理は現行のデフロスト風量VDEF
頭熱感の発生しない限界デフロスト風量V1 以下である
ため、空調モードがヒート/デフロストモードであって
も、ドライバは上記風量により頭熱感を覚えないので、
空調モードをヒートモードに変更することなく、ヒート
/デフロストモードを保持して、ウインドガラスの曇り
を晴らすことを優先させるための処理である。
【0040】一方、上述の第7ステップS7では、V
DEF =V1 で現状のデフロスト風量VDEF が頭熱感の発
生しない限界デフロスト風量V1 と同等もしくはそれ以
上であるので、VDEF =V1 となるようにモードをヒー
ト側へシフトさせ、デフロスト風量VDEF を強制的に限
界デフロスト風量V1 まで低下させる。
【0041】すなわち、デフロスト風量制御手段(第7
ステップS7参照)が暖機前においてはオートエアコン
ディショナの急速暖房時のデフロスト風量VDEF を所定
低風量以下としての限界デフロスト風量V1 に制限(図
6のタイムチャートにおける時点t1 〜t2 間参照)す
るので、ウインドガラスに当った後にドライバの頭部方
向へ跳ね返る熱風の量の低減を図って、ドライバの頭熱
感を防止することができる効果がある。
【0042】しかも、第4ステップS4で求められたデ
フロスト風量VDEF が限界デフロスト風量V1 以下の時
は、ドライバは頭熱感を覚えないため、空調モードをヒ
ートモードに変更することなく、ヒート/デフロストモ
ードを維持させて、ウインドガラスの曇りを晴らすこと
を優先させる(第6ステップS6参照)。
【0043】次に図5のフローチャートを参照して暖機
後の処理について述べると、同図の第1ステップS11
で、CPU50は湿度センサ45の出力、ワイパスイッ
チ44の出力、検出ライン48の出力などの必要な各種
信号の読込みを実行する。次に第2ステップS12で、
CPU50は空気調和機用コンプレッサ9がOFFモー
ドか否かを判定し、コンプレッサ9のONモード時(N
O判定時)には空気調和機本来の除湿機能が作用するの
で第5ステップS15に移行して、この第5ステップS
15で通常制御を実行する。
【0044】一方、上述の第2ステップS12で、コン
プレッサ9がOFFモードであると判定されたYES判
定時には、次の第3、第4ステップS13,S14に移
行する。なお、これらの各ステップS13,S14は平
行処理される。上述の第3ステップS13で、CPU5
0は湿度センサ45で検出された現行の湿度と曇り判定
値aとを比較し、現行の湿度が曇り判定値a以上のYE
S判定時には次の第6ステップS16に移行する一方、
現行の湿度が曇り判定値a以下のNO判定時には上述の
第5ステップS15に移行する。
【0045】上述の第3ステップS13での処理と平行
して、第4ステップS14では、CPU50はワイパス
イッチ44がONか否かを判定し、ワイパスイッチ44
のON時(ワイパが作動するような降雨時等において湿
度が高いと見なされる時)には上述の第6ステップS1
6に移行し、ワイパスイッチ44のOFF時には別の第
5ステップS15に移行する。
【0046】上述の第6ステップS16で、CPU50
は曇りを晴らす目的で、吹出口をヒートモードからヒー
ト/デフロストモードに変更し、次の第7ステップS1
7で、CPU50はトータル風量VA に風量増加用の一
定値αを加算した値をトータル風量更新値(VA =VA
+α)とする。
【0047】つまり、暖機後においては上述のデフロス
ト風量アップ手段(第7ステップS17参照)がウイン
ドガラスに向けて吹出されるデフロスト風量を所定値以
上(VA +α)に制御(図6のタイムチャートにおける
時点t2 以降参照)するので、ウインドガラスの曇りを
解消することができる効果がある。
【0048】次に図7のフローチャートを参照してデフ
ロスト風量の補正処理について述べると、同図の第1ス
テップS21で、CPU50は外気温センサ43からの
外気温度などの必要な各種信号の読込みを実行する。
【0049】次に第2ステップS22で、CPU50は
トータル風量VA とその時のモードダンパ開度θM から
デフロスト風量VDEF を計算する。次に第3ステップS
23で、CPU50は図3に示すマップM1から現行の
外気温度TA に対応する必要デフロスト風量VDTの読込
みを実行する。なお、このマップM1からの読込み処理
に代えて必要デフロスト風量VDTを演算により求める演
算手段としてもよいことは勿論である。
【0050】次に第4ステップS24で、CPU50は
現行のデフロスト風量VDEF と必要デフロスト風量VDT
との大小を比較し、VDEF <VDTのNO判定時には曇り
が充分に晴らされるので処理を終了して第1ステップS
21にリターンする一方、VDEF <VDTのYES判定時
には次に第5ステップS25に移行する。
【0051】この第5ステップS25で、CPU50は
必要デフロスト風量VDTと限界デフロスト風量V1 との
大小を比較し、VDT<V1 のYES判定時には次の第6
ステップS26に移行する一方、VDT<V1 のNO判定
時には別の第7ステップS27に移行する。
【0052】上述の第6ステップS26で、CPU50
はデフロスト風量VDEF が必要デフロスト風量VDTとな
るようにモードをヒート/デフロストモード側へシフト
し、上述の第7ステップS27で、CPU50はデフロ
スト風量VDEF が限界デフロスト風量V1 となるように
モードをヒート/デフロスト側へシフトする。
【0053】このように上述のデフロスト風量補正手段
(第3ステップS23参照)が外気温TA に対応してデ
フロスト風量を補正するので、ウインドガラスの曇り度
合に対応したデフロスト風量を供給することができて、
ウインドガラスの曇りをその度合に応じてより一層確実
に除去することができる効果がある。
【0054】以上要するに、上述のデフロスト風量制御
手段が(具体的にはデフロスト風量制限手段で、図4の
第7ステップS7参照)暖機前においてはオートエアコ
ンディショナの急速暖房時のデフロスト風量VDEF を所
定低風量以下(この実施例ではV1 )に制限するので、
ウインドガラスに当った後にドライバの頭部方向へ跳ね
返る熱風の量の低減を図って、ドライバの頭熱感を防止
することができる効果がある。
【0055】また暖機後においては上述のデフロスト風
量制御手段(具体的にはデフロスト風量アップ手段で、
図5の第7ステップS17参照)がウインドガラスに向
けて吹出されるデフロスト風量を所定値以上(この実施
例ではVA +α)に制御するので、ウインドガラスの曇
りを解消することができる効果がある。
【0056】また、上述の曇り状態検出手段はウインド
ガラス払拭用のワイパ操作手段(ワイパスイッチ44参
照)のON時に車両のウインドガラスの曇り状態を検出
する。つまり上述のウインドガラス払拭用のワイパが作
動するような降雨時等(湿度が高い時)において既存の
手段(ワイパスイッチ44参照)を有効作用してウイン
ドガラスの曇り状態を検出するので、特別な曇り状態検
出手段を別途設ける必要がなく、構成の簡略化を図るこ
とができる効果がある。
【0057】さらに、上述の曇り状態検出手段を、車室
内の湿度を検出する湿度検出手段(湿度センサ45参
照)で構成したので、乗員数の変化や天候条件の変化そ
の他に起因してウインドガラスに曇りが発生する要因と
なる湿度を良好に検出することができ、この結果、ウイ
ンドガラスの曇り状態を正確に検出することができる効
果がある。
【0058】加えて、外気温を検出する外気温検出手段
(外気温センサ43参照)の検出出力に基づいて、上述
のデフロスト風量補正手段(図7の第3ステップS23
参照)は外気温が低く比較的ウインドガラスに曇りが生
じやすい時には、外気温が高い時に対してデフロスト風
量を大に補正する。
【0059】このように、上述のデフロスト風量補正手
段(第3ステップS23参照)が外気温に対応してデフ
ロスト風量を補正するので、ウインドガラスの曇り度合
に対応したデフロスト風量を供給することができ、ウイ
ンドガラスの曇りをその度合に応じてより一層確実に除
去することができる効果がある。
【0060】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明のコンプレッサ状態検出手段は、実
施例のCPU50制御による第2ステップS12(図5
参照)に対応し、以下同様に、曇り状態検出手段は、第
3ステップS13(図5参照)および第4ステップS1
4(図5参照)に対応し、空調モード変更手段は、CP
U50に対応し、モードコントロール手段は、第6ステ
ップS16(図5参照)に対応し、水温検知手段は、水
温センサ42に対応し、暖機判別手段は、第2ステップ
S2(図4参照)に対応し、デフロスト風量制御手段
は、暖機前のデフロスト風量制限手段(図4の体7ステ
ップS7)と、暖機後のデフロスト風量アップ手段(図
5の第7ステップS17)との双方に対応し、ワイパ操
作手段は、ワイパスイッチ44に対応し、湿度検出手段
は、湿度センサ45に対応し、外気温検出手段は、外気
温センサ43に対応し、デフロスト風量補正手段は、第
3ステップS23(図7参照)に対応するも、この発明
は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用空調装置を示す断面図。
【図2】車両用空調装置の制御回路ブロック図。
【図3】RAMに記憶させたマップの説明図。
【図4】頭熱感防止処理を示すフローチャート。
【図5】曇りの晴らし処理を示すフローチャート。
【図6】タイムチャート。
【図7】デフロスト風量補正処理を示すフローチャー
ト。
【図8】クレーム対応図。
【符号の説明】
9…空気調和機用コンプレッサ 42…水温センサ 43…外気温センサ 44…ワイパスイッチ 45…湿度センサ 50…CPU(空調モード変更手段) S2…暖機判別手段 S7…デフロスト風量制限手段(デフロスト風量制御手
段) S12…コンプレッサ状態検出手段 S13,S14…曇り状態検出手段 S16…モードコントロール手段 S17…デフロスト風量アップ手段(デフロスト風量制
御手段) S23…デフロスト風量補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠野 安広 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 石川 俊和 広島県安芸郡府中町新地3番1号 ナル デック株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−174019(JP,A) 特開 昭58−174017(JP,A) 特開 昭58−170615(JP,A) 実開 昭59−76410(JP,U) 実開 昭60−11811(JP,U) 実開 昭62−203716(JP,U) 実開 昭63−32017(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 3/00 B60H 1/00 101 B60S 1/54

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空気調和機用コンプレッサの運転状態を検
    出するコンプレッサ状態検出手段と、車両のウインドガ
    ラスの曇り状態を検出する曇り状態検出手段と、少なく
    ともヒートモードとヒート/デフロストモードとのモー
    ド切換えを行なう空調モード変更手段と、上記コンプレ
    ッサ状態検出手段によりコンプレッサのOFF状態が検
    出され、かつ上記曇り状態検出手段によりウインドガラ
    スの曇り状態が検出された時、上記空調モード変更手段
    を駆動してヒートモードからヒート/デフロストモード
    に切換えるモードコントロール手段とを備えた車両用空
    調装置であって、エンジン冷却水の水温を検出する水温
    検出手段と、上記水温検出手段で検出された水温がエン
    ジン暖機前の低水温かエンジン暖機後の高水温かを判別
    する暖機判別手段と、上記暖機判別手段の判別結果に基
    づいて暖機前はデフロスト風量を所定低風量以下に制限
    すると共に、暖機後は上記ヒートモードからヒート/デ
    フロストモードへ切換わった時にデフロスト風量を所定
    値以上に制限するデフロスト風量制限手段とを備えた車
    両用空調装置。
  2. 【請求項2】上記曇り状態検出手段は上記ウインドガラ
    ス払拭用のワイパ操作手段のON時に車両のウインドガ
    ラスの曇り状態を検出する請求項1記載の車両用空調装
    置。
  3. 【請求項3】上記曇り状態検出手段は車室内の湿度を検
    出する湿度検出手段で構成された請求項1記載の車両空
    調装置。
  4. 【請求項4】外気温を検出する外気温検出手段と、上記
    外気温検出手段の検出出力に基づいて外気温が低い時は
    外気温が高い時に対してデフロスト風量を大に補正する
    デフロスト風量補正手段とを備えた請求項1,2もしく
    は3記載の車両用空調装置。
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