JP3358675B2 - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

記録装置及び記録方法

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JP3358675B2 JP26678393A JP26678393A JP3358675B2 JP 3358675 B2 JP3358675 B2 JP 3358675B2 JP 26678393 A JP26678393 A JP 26678393A JP 26678393 A JP26678393 A JP 26678393A JP 3358675 B2 JP3358675 B2 JP 3358675B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを噴射して記録
する、いわゆるインクジェット記録装置及び記録方法に
関し、より詳細には、大規模ラージアレイ方式のインク
ジェットにおいて、簡単な構成で、しかも信頼性の高い
新規な原理や構造を有する記録装置及び記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録法は、記録時におけ
る騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点
において、最近関心を集めている。その中で、高速記録
が可能であり、しかも所謂普通紙に特別の定着処理を必
要とせずに記録の行える、いわゆるインクジェット記録
法は極めて有力な記録法であって、これまでにも様々な
方式が提案され、改良が加えられて商品化されたものも
あれば、現在もなお実用化への努力が続けられているも
のもある。
【0003】このようなインクジェット記録法は、いわ
ゆるインクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛
翔させ、記録部材に付着させて記録を行うものであっ
て、例えば、本出願人により、特公昭56−9429号
公報に提案されている。この公報のものは、液室内のイ
ンクを加熱して気泡を発生させてインクに圧力上昇を生
じさせ、微細な毛細管ノズルからインクを飛び出させて
記録するものである。
【0004】その後、この原理を利用して多くの発明が
なされた。例えば、特公平3−5992号公報に記載の
発明がある。この公報のものは、液体を吐出するための
熱エネルギーを発生する発熱体が形成された基板と、該
基板の前記発熱体に対応し、基板に接合され、前記液体
を吐出するためのオリフィスおよび前記液体を前記発熱
体部分へ供給するための液室を形成する液体案内部とを
有するインクジェットヘッドブロックの複数が、該複数
のインクジェットヘッドブロックのそれぞれに共通な板
の上下領域面に設けられているというものである。この
ような構成をとった場合、インクジェットヘッドブロッ
クを記録紙幅全域をカバーするように配列することによ
り、いわゆるフルラインタイプのマルチノズルヘッドが
実現し、1分間に数10枚というような高速のプリンタ
が実現する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フルラインタイプでは、ノズル数も非常に多くなり、例
えば、A4サイズの紙の短手方向をカバーする例で考え
ると、400dpiの配列密度とした場合、3000個以上も
のノズル数となり、ノズルの目づまり対策といった信頼
性面の課題が問題点となる。また、別の問題点として、
各インクジェットヘッドブロックのつなぎ目の精度不足
による白スジ(白抜け)や黒スジの発生という画質上の
問題点もある。
【0006】ところで、このような白スジや黒スジの問
題は、例えば、特開平3−58848号公報に開示され
ているような、いわゆる大規模ラージアレイ方式によっ
てフルラインタイプのマルチノズルヘッドを形成すれば
解決できる。しかしながら、この方法でも依然として、
ノズルの目づまりという問題点は解決できない。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、大規模ラージアレイ方式のインクジェットに
おいて、新規でしかも従来にはない簡単な構成で、目づ
まり等の信頼性の問題点を解決できる記録装置及び記録
方法を提案すること、また、このような記録装置及び記
録方法において、安定したインク噴射あるいはバラツキ
のないインク噴射を行い、高画質な記録装置及び記録方
法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、(1)インクを収納するインク貯留容器
と、該インク貯留容器内のインクに接触し表面にイン
ク層を形成する回転ローラと、インク飛翔方向に細長形
状の発熱体を複数個列状に有する発熱体基板とより成
り、前記発熱体の列前記発熱体基板端部に形成さ
、該端部が前記回転ローラの表面のインク層に接触
し、前記複数個の発熱体が個別に駆動可能であること、
更には、(2)前記インク層は、前記回転ローラのイン
ク層面にブレードを接触させてほぼ一定の厚さとしたこ
と、更には、(3)前記(1)又は(2)において、前
記発熱体基板は、前記インク層と接触する面に前記複数
個の発熱体をそれぞれ離間せしめる流路壁を設けたこ
と、更には、(4)前記(3)において、前記インク層
の厚さは、前記流路壁の高さより厚いこと、更には、
(5)前記(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記発
熱体基板は、退避機構により前記回転ローラから退避可
能であること、更には、(6)前記(1)〜(5)のい
ずれかにおいて、前記回転ローラと前記発熱体基板は、
調整機構により互いの位置関係を調整可能としたこと、
更には、(7)前記(1)〜(6)のいずれかにおい
て、前記回転ローラは、端部の直径が中央部の直径より
大きい段付きローラであること、或いは、(8)回転ロ
ーラの表面にインク層を形成し、該インク層にインク飛
翔方向に細長形状の発熱体を接触させ、前記インク層中
に瞬時に気泡を発生させ、該気泡の作用力により、前記
インク層のインクの一部を飛翔させて、被記録体にイン
クを付着させることを特徴としたものである。
【0009】
【作用】回転ローラはインク貯留容器に接触し、該回転
ローラの表面にインク層を形成する。該インク層はブレ
ードにより余分なインクが除去され、一定の厚さを有す
るインク層になる。このようなインク層に対して発熱体
基板が接触する。該発熱体基板は、個別に駆動可能な複
数個の発熱体列を有しており、該発熱体列には画像特報
に応じて信号パルスが入力され、該パルスに応じて気泡
が発生し、該気泡の作用力によりインク層の一部が紙に
向って飛翔する。
【0010】
【実施例】実施例について、図面を参照して以下に説明
する。図1は、本発明による記録装置の一実施例を説明
するための構成図で、図中、1はインクタンク(インク
貯留容器)、2はインク、3はインク層(一定の厚さに
なっていない)、4はブレード、5は回転ローラ、6は
インク層(ブレードにより一定の厚さになっている)、
7は発熱体基板、8は発熱体、9はインク滴、10は紙
である。
【0011】インクタンク1に浸された回転ローラ5
(図では反時計回り)は、その表面にインクの層3を形
成する。このインク層3は、ブレード4によって余分な
インクがかきおとされ、ほぼ一定の厚さのインク層6と
なる。該インク層6に対して、発熱体8が接触せしめら
れ、該発熱体8には、画像情報に応じて信号パルスが入
力され、該入力パルスに応じてインク中で気泡が発生
し、該気泡の作用力によりインク層6の一部が飛翔し、
紙10に記録するというものである。
【0012】図2(a)〜(c)は、発熱体近傍の拡大
図で、図中、11は気泡、12は成長したインク柱、1
3は飛翔インク滴で、その他、図1と同じ作用をする部
分は同一の符号を付してある。図2(a)は定常状態、
図2(b)は気泡の発生状態、図2(c)はインク滴の
飛翔状態を各々示している。
【0013】図2(a)に示す定常状態において、発熱
体8に信号パルスが入力されると、図2(b)に示すよ
うに、気泡11が発生し、その作用力によってインク層
6の一部が隆起し、インク柱12が形成される。ここ
で、信号パルスの経続時間は、数μs〜10数μsが望
ましく、長くても30μsまでとされる。これは、あま
り長時間発熱体8に通電しても、いったん気泡11が発
生すると、通常は数μs〜10数μs後には気泡は最大
の大きさになり、その後、通電しつづけても、気泡の状
態(大きさ)はほとんど変化せず、通電が無駄になるか
らである。さらに、無駄な通電を続けることにより、発
熱体8を破損せしめるからである。
【0014】図2(b)に示すように、気泡11が最大
になった時点では、すでに通電はとめられており、その
後、気泡11は周囲のインクおよび発熱体基板7に熱を
うばわれ、収縮して消滅する。その際、前記インク柱1
2は、その根本がくびれ、やがてそこで分離して、図2
(c)に示すように、飛翔インク滴13となり、最終的
に気泡が完全に消滅し、図2(a)に示すように、もと
の定常状態となる。本発明のインク飛翔は、主に、気泡
の瞬時的な成長によるものであるが、より厳密には、該
気泡の作用力による飛翔速度と、回転ローラの外周の接
線方向に作用する接線加速度によってもたらされる速度
との合成によって飛翔する。
【0015】次に、本発明を構成する各構成要素につい
て説明する。まず、回転ローラについて説明する。例え
ば、ステンレス(なかでもSUS303,SUS304
が望ましい)のような耐インク性に優れた材料よりな
り、その直径はφ5〜φ20mm程度とされ、その回転数
は、100〜1000rpmとされる。インクの粘度とローラの回
転数、さらにはブレードと回転ローラの隙間を適当に選
ぶことにより、回転ローラの外側に形成されるインク層
の厚さは20〜100μmとされる(これは、最終印写
密度に依存し、この例では、200〜600dpi相当の
印写に好適に用いられる条件である)。他の耐インク性
に優れた材料としては、例えば、Niがある。これ以外
に、例えば、Al(アルミニウム)などは加工性が良い
が、耐インク性が悪いため、表面に適切な保護膜(たと
えば、Al23,Auあるいは樹脂材料)を設ける必要が
ある。
【0016】次に発熱体基板について説明する。図3
(a),(b)は、本発明における発熱体基板の例を示
す図で、図3(a)は斜視図、図3(b)は図3(a)
におけるA−A断面図である。図中、21は第1電極
(制御電極)、22は第2電極(アース電極)、23,
24はボンディングパッド、31は基板(Si)、32
は蓄熱層(SiO2)、33は発熱体(HfB2)、34
は電極(Al)、35は保護層(SiO2)、36は電
極保護層(Resin)、37は耐キャビテーション保
護層(Ta)、38は発熱部、39は電極部で、その
他、図1及び図2と同じ作用をする部分は同一の符号を
付してある。
【0017】各発熱体は、それぞれ第1電極(制御電
極)21,第2電極(アース電極)22に接続され、ま
た、それぞれの電極は、その端部にボンディングパッド
を23,24を有し、外部の画像情報入力手段(図示せ
ず)に接続され、各々の発熱体8は独立に駆動可能であ
る。なお、第2電極22は、複数個の発熱体(第1電
極)に対して1つの共通の第2電極とすることも可能で
ある。このような発熱体列は、例えば、400dpiの配
列密度で3072個設けられ、A4サイズ紙の短手方向をカ
バーできるような印写幅とされる。
【0018】このような大きなサイズの発熱体基板7
は、例えば、サーマルヘッドなどを製作する際に使用さ
れる。グレーズ層を設けたアルミナ基板に、スパッタリ
ング等の薄膜形成技術やフォトリソーエッチング等のパ
ターン形成技術を駆使して製作される。また、近年は、
Siウエハもφ8インチ以上のものもできるようになっ
たので、Siウエハによっても形成できる。そこで、こ
こでは、Siウエハを用いてこのような発熱体基板を製
作する方法を簡単に説明する。
【0019】最初に、Siウエハ31は、例えば、拡散
炉中でO2,H2Oのガスを流しながら800〜1000℃の高
温にさらされ、表面に熱酸化膜SiO2を1〜2μm成長
させる。該SiO2は蓄熱層32として働き、後述の発熱
体で発生した熱が基板の方へ逃げないようにし、インク
の方向に効率良く伝わるようにするためのものである。
【0020】次に、発熱体33および電極34等の形成
方法について説明する。図3(b)は、発熱体部近傍の
詳細断面図である。蓄熱層SiO2の上には発熱体層が形
成されるが、該発熱体を構成する材料として有用なもの
には、タンタルーSiO3の混合物,窒化タンタル,ニク
ロム,銀−パラジウム合金,シリコン半導体,あるいは
ハフニウム,ランタン,ジルコニウム,チタン,タンタ
ル,タングステン,モリブデン,ニオブ,クロム,バナ
ジウム等の金属の硼化物があげられる。金属の硼化物の
うち、最も特性の優れているのは、硼化ハフニウムであ
り、次いで、硼化ジルコニウム,硼化ランタン,硼化タ
ンタル,硼化バナジウム,硼化ニオブの順となってい
る。
【0021】発熱体33は、前述の材料を用いて電子ビ
ーム蒸着やスパッタリング等の手法を用いて形成するこ
とができる。発熱体の膜厚は、単位時間当りの発熱量が
所望通りとなるように、その面積や材質及び熱作用部分
の形状及び大きさ,更には実際面での消費電力等に従っ
て決定されるものであるが、通常の場合、0.001〜5μ
m,好適には0.01〜1μmとされる。本発明の実施例で
は、HfB2を2000Åスパッタリングした例を示した。
【0022】電極34を構成する材料としては、通常使
用されている電極材料の多くのものが有効に使用され、
具体的には、たとえば、Al,Ag,Au,Pt,Cu等が
あげられ、これらの使用して蒸着等の手法で所定位置に
所定の大きさ,形状,厚さで設けられる。本発明では、
Alをスパッタリングにより1.4μm形成した。
【0023】保護層35に要求される特性は、発熱体で
発生された熱を記録液体に効果的に伝達することを妨げ
ずに、記録液体より発熱体を保護するということであ
る。保護層35を構成する材料として有用なものには、
例えば、酸化シリコン,窒化シリコン,酸化マグネシウ
ム,酸化アルミニウム,酸化タンタル,酸化ジルコニウ
ム等があげられ、これらは、電子ビーム蒸着やスパッタ
リング等の手法を用いて形成することができる。
【0024】また、炭化ケイ素,酸化アルミニウム(ア
ルミナ)等のセラミック材料も好適に用いられる材料で
ある。保護層の膜厚は、通常は0.01〜10μm、好
適には0.1〜5μm、最適には0.1〜3μmとされる
のが望ましい。本発明では、スパッタリングによりSi
2を1.2μm形成した。さらに、本発明では、発熱体
領域を気泡発生によるキャビテーション破壊から保護す
るために、耐キャビテーション保護層37として、Ta
をスパッタリングにより4000Å形成した。また、電極保
護層36としてResin層を2μm形成している。
【0025】図4は、本発明における発熱体基板の他の
実施例を示す図で、図中、40は流路壁で、その他、図
3と同じ作用をする部分には同一の符号を付してある。
前述のようなプロセスによって製作された発熱体基板
を、図1のようにインク層を表面に形成した回転ローラ
と組合せて本発明の原理によるインク飛翔を行うことが
できるが、より安定したインク飛翔を行うためには、各
発熱体を離間せしめるような流路壁40を形成する。
【0026】図5(a)〜(c)は、流路壁の形成工程
を説明するための図で、図5(a)は発熱体基板の断面
図、図5(b)は露光状態を示す図、図5(c)は現像
後の状態を示す図である。図中、41は基板(Siある
いはアルミナ)、42は発熱体、43は保護膜などの薄
膜、44はフォトレジスト、44aは露光に現像後に形
成される流路壁、45はフォトマスク、46は露光して
現像後に形成される流路である。
【0027】図5(a)は、発熱体基板を示しており
(図3(a)の矢印方向から見た図)、次の図5(b)
に示す工程では、図5(a)に示した発熱体基板の上
に、例えば、1000〜2000cpのフォトレジスト44をスピ
ンコーティング、ディップコーティングあるいはローラ
コーティングによって、10数μm〜30μm程度にコ
ートされる。この厚さは、最終的には流路壁の高さにな
り、安定したインク飛翔を得るためには、前述の回転ロ
ーラの表面に形成されるインク層の厚さと密接な関係が
あり、インク層の厚さよりは薄くされる。30μm以上
の厚さのレジスト層を得たい場合には、液状のフォトレ
ジストではなく、ドライフィルムタイプのフォトレジス
トを用いればよい。ドライフィルムタイプのフォトレジ
ストを使用すれば、厚さ100μm程度のレジスト層ま
で形成することができる。その場合には、熱と圧力をか
けて基板上にラミネートすることによってレジスト層は
形成される。
【0028】続いて、図5(b)に示すように、発熱体
基板面に設けたフォトレジスト44上に所定のパターン
を有するフォトマスク45を重ね合せた後、該フォトマ
スク45の上部からの露光を行う。このとき、発熱体4
2の設置位置と前記パターンの位置合せを行っておく必
要がある。図5(c)は、前記露光済みのフォトレジス
ト44の未露光部分を炭酸ナトリウム水溶液等のアルカ
リ現像液にて溶解除去した工程を示す説明図である。次
に、基板41に残されたフォトレジストの露光された部
分44aの耐インク性向上のため、熱硬化処理(例え
ば、150〜250℃で30分〜60時間加熱)、また
は紫外線照射(例えば、50〜200mW/cm2又はそれ
以上の紫外線強度)を行い、充分に重合硬化反応を進め
る。前記熱硬化と紫外線による硬化の両方を兼用するの
も効果的である。
【0029】図6(a)〜(d)は、本発明における発
熱体基板の退避機構を示す図で、図中、51は回転ロー
ラ、52は発熱体基板、53は発熱体基板保持部材、5
4は回転軸、55はストッパ保持部材、56はストッ
パ、57は支持体、58は基台、59,60は高さ調整
ネジ、61は排液タンク、62はクリーニング液噴射ノ
ズル、63は空気噴射ノズル、64は保護キャップであ
る。なお、図6では、本発明の特徴部分を説明するため
の図であるため、説明に必要なものしか図示しておら
ず、インクタンクなどは省略している。
【0030】図6(a)は、本発明で通常記録している
状態を示している。図6(b)は、記録を停止して発熱
体基板52を回転ローラ51から退避させる時の様子を
示している。ここで、ストッパ保持部材55は支持体5
7に取り付けられており、雌ネジを切られており、スト
ッパ56は雄ネジが切られている。従って、記録を再開
する際には、退避していた発熱体基板52は、発熱体基
板保持部材53とともに回転軸54を支点にして回転し
て、回転ローラ51の近傍にまで移動させられる。ここ
で、回転ローラ51と発熱体基板52の位置関係が適当
な関係になるように、ストッパ56が発熱体基板保持部
材53に当たって位置が決められる。なお、ストッパ5
6は雄ネジであり、発熱体基板保持部材53、すなわ
ち、発熱体基板52が止まる位置をネジによって調整す
ることができる。
【0031】さらに、本発明では、支持体57がそれに
取り付けられた高さ調整のための雌ネジ59と高さ調整
ネジ60により、基台58に対して高さ調整を行うこと
ができるようになっている。これは、この図は断面図で
あるため、反対側が見えていないが、発熱体基板52の
長手方向(紙幅方向)の反対側にも高さ調整のための雌
ネジ(図示せず),高さ調整ネジ(図示せず)があり、
両方の雌ネジと高さ調整ネジとによって、発熱体基板5
2の長手方向の微妙な高さ調整を可能としている。
【0032】これは、本発明では発熱体と回転ローラ表
面の距離、すなわち、その間のインク層の厚さがインク
飛翔特性に大きな影響を与えるため、発熱体基板52の
端から端まで、つまり紙幅全域にわたって、すべてのイ
ンク飛翔エレメントによる飛翔バラツキをおさえるため
に、発熱体基板52の両端で高さがそろえられるように
したのである。本発明では、発熱体基板52は、回転ロ
ーラ51から退避可能となっており、両者はたえず相対
的な位置関係を変えている。そのため、記録時に両者が
本来の正確な位置関係を維持するために、このような調
整機構が必要となる。なお、この調整機構図示の構造の
ものに限定されるものではない。
【0033】図6(c)は、記録が終了して長期使用し
ない場合、あるいは何らかの理由(例えば、紙粉や空気
中に浮遊しているゴミなどが発熱体部に付着したり、イ
ンクが乾燥したりして)で、インク飛翔が不安定になっ
た場合に、発熱体部近傍を清浄化する例を示している。
まず、はじめに、クリーニング液噴射ノズル62から
水、あるいは水をベースにしたクリーニング液を吹きつ
け、次に、空気噴射ノズル63から清浄な空気を噴射し
てクリーニング液を吹きとばすようになっている。この
ようにして、清浄化された発熱体基板は、その後、保護
キャップ64(保護キャップ64を移動させるための装
置は図示せず)をかぶせて、図6(d)に示すように、
次の記録まで待機する、あるいは、清浄化された後、再
び記録を再開するため、図6(a)の状態にもどされ
る。
【0034】なお、図には省略しているが、回転ローラ
51は表面にインク層が形成されており、空気中に浮遊
するゴミや紙粉等で汚れやすいため、非記録時に発熱体
基板52が保護キャップ64により清浄な状態を維持す
るのと同様に、回転ローラ51もカバー機構(図示せ
ず)によりカバーされる。また、図1に示す記録時にお
いても、インクが飛翔する領域を除き、その他はカバー
して、回転ローラ51の表面の汚染を防いでいる。
【0035】図7(a)〜(c)は、本発明による記録
装置の他の実施例を示す図で、本発明の記録部を正面
(インクが飛翔してくる面)から見た図を示している。
図7(a)は、回転ローラにインク層がない様子、図7
(b)は、インク層がうすい(本発明においては不都合
な状態)様子、図7(c)は、本発明が良好に機能する
時の状態の図である。
【0036】図2でインク飛翔原理については説明した
ように、インク層6に接触した発熱体8で、インク層中
に気泡を発生させることによってインク飛翔を行ってい
る。従って、インク層6が確実に発熱体面に接触してい
ることが必須条件(図7(c)の状態)であり、図7
(b)のように、インク層6が薄くて両者が接触しない
ような場合には、インク飛翔が得られない。また、部分
的に空気層が形成されているような場合は、いわゆる従
来のインクジェット方式において、インク流路中に気泡
が存在しているような場合に相当し、発熱体あるいはピ
エゾ素子等のエネルギー作用部で発生したインク噴射圧
が空気の圧縮性という性質によって吸収されてしまい、
噴射ができなくなるという状態と同様な現像になり、本
発明においてもインク飛翔ができなく、あるいはできに
くくなるので、そのような状態は回避されねばならな
い。
【0037】従って、そのためには、インク層の厚さを
十分に厚くし、部分的な空気層の形成が生じないように
する必要がある。従って、本発明では、一般に回転ロー
ラ5のインク層6は、20〜100μmとされるが、前
述のような空気層の発生(図7(b)の状態)を回壁す
るために、回転ローラ5のインク層のない表面から発熱
体8の面までの距離は、少なくとも前記のようなインク
層の厚さより小さく設定されねばならない。
【0038】すなわち、安定したインク飛翔を行うため
に設けられたインク流路壁40(図4)は、回転ローラ
5の面に接触しない程度にかなり近づけられるが、該イ
ンク流路壁40の高さよりインク層6の厚さを大きくす
ることが、空気層のすき間を作らずに、安定したインク
飛翔を行うことができる必須条件であるということがで
きる。このようなインク層6の厚さ、あるいは発熱体8
と回転ローラ5の距離の設定は、前述のように、回転ロ
ーラの回転数やブレードの位置設定,さらにはインクの
物性(おもに粘度)を適切に選ぶことにより、また、図
6に示したストッパ56や高さ調整ネジ60を適切に調
整することにより実現でき、安定したインク飛翔を得る
ことができる。
【0039】図8は、本発明における回転ローラの他の
実施例を示す図で、図中、71はシャフト、72は段差
である。回転ローラ5の端部の直径を中央部の直径より
大きくして段差72を設け、形成されるインク層が両端
部(直径の大きい領域)へ行かないようにしたものであ
る。該段差72は、少なくともインク層の厚さより大き
くされる、つまり、20〜100μmよりも大きく段差
ができるようにされる。こうすることにより、インク層
は記録紙の幅の領域のみに形成される(両端の直径の大
きい領域は、記録紙の幅より大きいところに形成された
非記録領域である)。不要なインクがシャフト71の
方、あるいは回転ローラ5を駆動するモータやギヤ等の
方向へ移動して、汚したり駆動を妨げるような支障をお
こすようなことはなくなる。
【0040】以下に具体例について説明する。以下のよ
うな構成とディメンションと駆動条件でインク飛翔を行
い、飛翔するインクの速度および記録紙上の画素の大き
さを評価した。 ・回転ローラ:ステンレス製(SUS303)で表面を
0.1s以下に仕上げたもの。直径…印写領域φ10m
m,非印写領域(両端)φ10.06mm,回転数600rpm ・発熱体基板:30μm×160μm(抵抗値132
Ω)の大きさの発熱体をアルミナ基板上に400dpiの
配列密度で1列に3072個形成したもの。ドライフィルム
フォトレジストの流路壁あり(インク流路幅32μm,
流路壁高さ25μm) ・インク: グリセリン:45%,エチルアルコー
ル:4.8%,水:48%,C.I.ダイレクトブラック
154(染料):2.2% ・インク層の厚さ:28μm ・発熱体駆動条件:駆動電圧Vo=26V,駆動パルス
幅Pw=7μs,駆動周波数Fo=2kHz このような条件でインク飛翔させたところ、インク飛翔
速度はVj=12.5m/sとなり、記録紙として三菱製紙
製マットコート紙NMを使用して、φ101.3μmの大き
さの画素を得ることができた。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、以下のような効果がある。 (1)請求項1,2,9に対応する効果:全く新規な記
録装置や記録方法によって、記録紙幅領域をカバーでき
る、いわゆるページプリンタタイプの記録装置を実現で
きた。本発明では、従来のインクジェットのような、い
わゆるノズルというものが存在しないので、目づまりと
いう問題がなく、インク飛翔エレメントの数が数1000と
いう数になるにもかかわらず、非常に信頼性が高い。ま
た、従来のインクジェットでは、ノズルを有しているた
め、例えば、エネルギー作用部あるいは流路とノズルの
位置決めを正確に行い、アセンブリして工場出荷してい
たため、その厳密な正確さ(例えば、上記両者の位置決
めは、±0.5μm以内が要求され、大変難しかった)
故、アセンブリコストがかさみ、非常に高価であった
が、本発明では、ウエハプロセスによって発熱体基板を
製作した後は、インク供給装置である回転ローラに近づ
けるだけで完成するため、アセンブリコストは大変安く
できる。しかも、両者の位置決め(左右,紙幅方向)
は、従来のノズルの位置決め等のように±0.5μmな
どという精密さは全く必要なく、例えば、数mmのズレが
あっても全くさしつかえない。すなわち、ノズルとイン
ク流路あるいはエネルギー作用部との精密な位置決めや
アセンブリが不要であるという点が特徴である。 (2)請求項に対応する効果:インク層を一定の厚さ
にしたので、飛翔インク滴形成条件が安定し、高画質記
録が実現できた。 (3)請求項に対応する効果:流路壁を設けたので、
隣接するインク飛翔エレメントの相互干渉を防止でき、
安定したインク飛翔が得られ、高画質記録が実現でき
た。 (4)請求項に対応する効果:インク層と発熱体面に
すき間ができず、あるいは不要な空気層ができないた
め、安定したインク飛翔が得られ、高画質が実現でき
た。 (5)請求項に対応する効果:発熱体基板を退避可能
としたので、紙粉等の異物が付着したり、インクが乾燥
したりして、インク飛翔が不完全になったとしても、退
避場所において、簡単にクリーニングでき、また、もと
の安定したインク飛翔が行えるようになった。また、非
使用時には、退避場所で清浄な状態で発熱体基板を保護
し保管できる。 (6)請求項に対応する効果:回転ローラと発熱体の
位置(高さ)調整を可能としたので、前述のような退避
を行った後で、また、もとの高さに容易に合せられるよ
うになった。また、記録紙幅方向の高さが調整できるの
で、印写領域全域にわたって安定したインク飛翔条件が
得られ、高画質が実現できた。 (7)請求項に対応する効果:段差によりインク層を
記録領域だけにとどめておくことができ、周囲を汚すこ
とがなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による記録装置の一実施例を説明する
ための構成図である。
【図2】 本発明における発熱体近傍の拡大図である。
【図3】 本発明における発熱体基板を示す図である。
【図4】 本発明における流路壁を説明するための図で
ある。
【図5】 本発明における流路壁の形成工程を説明する
ための図である。
【図6】 本発明における発熱体基板の退避機構を示す
図である。
【図7】 本発明による記録装置の他の実施例を示す図
である。
【図8】 本発明における図幅ローラの他の実施例を示
す図である。
【符号の説明】
1…インクタンク(インク貯留容器)、2…インク、3
…インク層、4…ブレード、5…回転ローラ、6…イン
ク層、7…発熱体基板、8…発熱体、9…インク滴、1
0…紙。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを収納するインク貯留容器と、該
    インク貯留容器内のインクに接触し表面にインク層を
    形成する回転ローラと、インク飛翔方向に細長形状の
    熱体を複数個列状に有する発熱体基板とより成り、前記
    発熱体の列前記発熱体基板端部に形成され、該端部
    が前記回転ローラの表面のインク層に接触し、前記複数
    個の発熱体が個別に駆動可能であることを特徴とする記
    録装置。
  2. 【請求項2】 前記インク層は、前記回転ローラのイン
    ク層面にブレードを接触させてほぼ一定の厚さとしたこ
    とを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  3. 【請求項3】 前記発熱体基板は、前記インク層と接触
    する面に前記複数個の発熱体をそれぞれ離間せしめる流
    路壁を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の記
    録装置。
  4. 【請求項4】 前記インク層の厚さは、前記流路壁の高
    さより厚いことを特徴とする請求項3記載の記録装置。
  5. 【請求項5】 前記発熱体基板は、退避機構により前記
    回転ローラから退避可能であることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載の記録装置。
  6. 【請求項6】 前記回転ローラと前記発熱体基板は、調
    整機構により互いの位置関係を調整可能としたことを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録装置。
  7. 【請求項7】 前記回転ローラは、端部の直径が中央部
    の直径より大きい段付きローラであることを特徴とする
    請求項1乃至6のいずれかに記載の記録装置。
  8. 【請求項8】 回転ローラの表面にインク層を形成し、
    該インク層にインク飛翔方向に細長形状の発熱体を接触
    させ、前記インク層中に瞬時に気泡を発生させ、該気泡
    の作用力により、前記インク層のインクの一部を飛翔さ
    せて、被記録体にインクを付着させることを特徴とする
    記録方法。
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