JP3262959B2 - 記録装置 - Google Patents

記録装置

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JP3262959B2
JP3262959B2 JP6815295A JP6815295A JP3262959B2 JP 3262959 B2 JP3262959 B2 JP 3262959B2 JP 6815295 A JP6815295 A JP 6815295A JP 6815295 A JP6815295 A JP 6815295A JP 3262959 B2 JP3262959 B2 JP 3262959B2
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卓朗 関谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを噴射して記録
する、いわゆる、インクジェット記録装置に関し、より
詳細には、大規模ラージアレイ方式のインクジェット記
録装置において、簡単な構成で、しかも、信頼性の高い
新規な原理や構造を有する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録法は、記録時におけ
る騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点
において、最近関心を集めている。その中で、高速記録
が可能であり、しかも、所謂普通紙に特別の定着処理を
必要とせずに記録の行える、いわゆるインクジェット記
録法は極めて有力な記録法であって、これまでにも様々
な方式が提案され、改良が加えられて商品化されたもの
もあれば、現在もなお実用化への努力が続けられている
ものもある。
【0003】このようなインクジェット記録法は、いわ
ゆるインクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛
翔させ、記録部材に付着させて記録を行うものであっ
て、例えば、本出願人により、特公昭56−9429号
公報に提案されている。この公報のものは、液室内のイ
ンクを加熱して気泡を発生させてインクに圧力上昇を生
じさせ、微細な毛細管ノズルからインクを飛び出させて
記録するものである。
【0004】その後、この原理を利用して多くの発明が
なされた。例えば、特公平3−5992号公報に記録の
発明は、液体を吐出するための熱エネルギーを発生する
発熱体が形成された基板と、該基板の前記発熱体に対応
し、基板に接合され、前記液体を吐出するためのオリフ
ィスおよび前記液体を前記発熱体部分へ供給するための
液室を形成する液体案内部とを有するインクジェットヘ
ッドブロックの複数が、該複数のインクジェットヘッド
ブロックのそれぞれに共通な板の上下領域面に設けられ
ているというものである。このような構成をとった場
合、インクジェットヘッドブロックを記録紙幅全域をカ
バーするように配列することにより、いわゆるフルライ
ンタイプのマルチノズルヘッドが実現し、1分間に数1
0枚というような高速のプリンタが実現する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フルラインタイプでは、ノズル数も非常に多くなり、例
えば、A4サイブの紙の短手方向をカバーする例で考え
ると、400dpiの配列密度とした場合、3000個
以上ものノズル数となり、ノズルの目づまり対策といっ
た信頼性面の課題が問題点となる。また、別の問題点と
して、各インクジェットブロックのつなぎ目の精度不足
による白スジ(白抜け)や黒スジの発生という画質上の
問題点もある。
【0006】ところで、このような白スジや黒スジの問
題は、例えば、特開平3−58848号公報に開示され
ているような、いわゆる大規模ラージアレイ方式によっ
てフルラインタイプのマルチノズルヘッドを形成すれば
解決できる。しかしながら、この方法でも依然として、
ノズルの目づまりという問題点は解決できない。
【0007】このような点に鑑み、本出願人は先に、特
願平5−266783号として、従来とは全く概念の異
なる新規な記録装置および記録方法を提案した。ここに
それを要約すると、回転ローラによってくみ上げられ、
ローラ面に形成されたインク層に、発熱体基板を接触さ
せ、インク層中に気泡を発生させて、その気泡の作用力
でインクを飛翔させ、記録を行うというものである。し
かしながら、特願平5−266783号出願時には、お
およその原理が確認されただけであり、より詳細な安定
したインク飛翔条件は明らかにされていなかった。
【0008】本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みなさ
れたものであり、その目的とするところは、第1に、新
規な原理によるインク飛翔記録装置を提案すること、第
2に、そのような記録装置による安定したインク飛翔が
得られる装置の構成条件を提案すること、第3に、その
ような記録装置による隣接インク飛翔エレメント間で、
相互干渉のない安定したインク飛翔が得られる装置の構
成条件を提案すること、第4に、そのような記録装置に
おいて、信頼性が維持できるような構成条件を提案する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)インク貯留容器と、該容器内のイ
ンクに接触し、表面にインク層を形成する回転ローラ
と、該回転ローラの前記インク層に接触し、個別に駆動
可能な複数個の発熱体列を有する発熱体基板とよりなる
記録装置であって、前記発熱体基板は、複数の開口を有
する開口基板を具備し、前記発熱体と開口が対応するよ
うに前記発熱体基板と開口基板とが一定の間隙をもって
積層され、前記インク層から毛管現象でインクを前記発
熱体部まで移動せしめ、前記発熱体に通電することによ
って、前記発熱体部近傍のインクに熱による状態変化を
生じせしめ、その作用力で前記開口よりインクを飛翔さ
せ、被記録体に記録を行うこと、更には、(2)前記発
熱体基板は、前記回転ローラのほぼ法線方向に立てかけ
た状態で配置したこと、更には、(3)前記開口基板
は、隣接する開口間にスリットを有すること、更には、
(4)前記表面にインク層を形成された回転ローラと、
前記開口基板が一定の間隙をもって積層された発熱体基
板とは、相対的に移動可能であることを特徴としたもの
である。
【0010】
【作用】インク貯留容器と、該容器内のインクに接触
し、表面にインク層を形成する回転ローラと、前記イン
ク層に接触し、個別に駆動可能な複数個の発熱体列を有
する発熱体基板とよりなる記録装置であって、該発熱体
基板は、複数の開口を有する開口基板を具備し、前記発
熱体と開口が対応するように前記発熱体基板と開口基板
とが一定の間隙をもって積層され、前記インク層から毛
管現象でインクを前記発熱体部まで移動せしめ、前記発
熱体に通電することによって、前記発熱体部近傍のイン
クに熱による状態変化を生じせしめ、その作用力で前記
開口より、被記録体に記録する。
【0011】
【実施例】図1は、本発明による記録装置の原理的な構
成図で、図中、1はインク容器、2はインク、3はイン
ク供給ローラ、4は該インク供給ローラの表面に形成さ
れたインク層、5はリバースローラ、6は発熱体基板、
7は開口基板、8は飛翔インク滴、9は発熱体で、イン
ク容器1内のインク2にひたせられたインク供給ローラ
3は、その表面にインク層4を形成する。このインク層
4はインク供給ローラ3に近接して設けられたリバース
ローラ5によって均一、かつ、所望の厚さとなるよう調
整される。なお、ここでは、インク層4の厚さ調整をイ
ンク供給ローラと同じ回転方向に回るリバースローラの
例を示しているが、反対側に回転させて厚さ調整を行う
ことも可能である。又、ローラのかわりにブレードをイ
ンク層に接触させてインク層の厚さ調整を行ってもよ
い。ほぼ一定の厚さになったインク層に対して、開口基
板7を開口が発熱体9に対応するようにし、かつ、ある
間隙をもって発熱体基板6に積層されたものを接触す
る。インクはインク層からこの間隙を毛管現象で発熱体
9の位置まで移動する。この発熱体9には、画像情報に
応じて信号パルスが入力され、それに応じてインク中で
熱による状態変化が生じ、気泡が発生し、その気泡の作
用力により開口7aからインク8が飛翔し紙に記録する
というものである。
【0012】図1には、ローラと発熱体基板の配置の仕
方として、2つの例を示しており、図1(a)の場合
は、発熱体基板6の裏面(発熱体が形成されていない
面)をインク層4に接触させた場合であり、この場合
は、インク層4のインクは、まず、発熱体基板6の端面
(図中の矢印A部)でインクのメニスカスを形成し、そ
の後、開口基板7と発熱体基板6の間隙に毛管現象で浸
透していって、発熱体9部に運ばれる。図1(b)の場
合は、開口基板7を積層した発熱体基板6を回転ローラ
4のほぼ法線方向に立てかけた状態で配置し、両基板の
端面をインク層4に接触させている。従って、インクは
最初から両基板の間隙を毛管現象で移動し、発熱体9部
に運ばれる。なお、図1(a)と図1(b)の例を比較
した場合、被記録体(紙)に記録するという点からみる
と、図1(a)の方が液飛翔距離を短かくとれ、有利で
あるが、一方で、インク供給能力からみると、図1
(b)の方が開口基板7と発熱体基板6の間隙をインク
層4に直接接触させているため、有利である。
【0013】図2は、図1(b)に示した例の発熱体近
傍の拡大図であり、図2(a)は定常状態であり、発熱
体9に信号パルスが入力されると、図2(b)に示すよ
うに、気泡10が発生し、その作用力によって開口7a
のインクメニスカスが隆起し、インク柱11が形成され
る。ここで信号パルスの経続時間は、数μs〜10数μ
sが望ましく、長くても30μsまでとされる。これ
は、あまり長時間発熱体に通電しても、いったん気泡が
発生すると、通常は、数μs〜10数μs後には気泡は
最大の大きさになり、その後、通電し続けても、気泡の
状態(大きさ)はほとんど変化せず、通電が無駄になる
からである。さらに、無駄な通電を続けることにより、
発熱体を破損せしめるからである。気泡が最大になった
時点(図2(b))では、すでに通電はとめられてお
り、その後、気泡は、周囲のインクおよび発熱体基板に
熱を奪われ、収縮消滅する。その際、上記のインク柱1
1は、その根本がくびれ、やがて分離してインク柱は飛
翔インク滴12となり(図2(c))、最終的に気泡が
完全に消滅するともとの定常状態となる(図2
(a))。
【0014】次に、本発明を構成する各構成要素につい
て説明する。まず、回転ローラ3について説明すると、
この回転ローラ3は、例えば、ステンレス(中でもSU
303,SU304が望ましい)のような耐インク性に
優れた材料よりなり、その直径はφ5〜φ20mm程度
とされ、その回転数は、100〜1000rpmとされ
る。インクの粘度とローラの回転数、リバースローラの
回転数、あるいはブレードを用いる場合には、さらには
ブレードと回転ローラの隙間を適当に選ぶことにより、
回転ローラの外側に形成されるインク層4の厚さは20
〜100μmとされる。他の耐インク性に優れた材料と
しては、例えば、Niがある。これ以外に、例えば、A
l(アルミニウム)などは加工性が良いが、耐インク性
が悪いため、表面に適切な保護膜(たとえば、Al
23,Auあるいは樹脂材料)を設ける必要がある。
【0015】次に、発熱体基板6について説明する。図
3(a),(b)は、本発明における発熱体基板6の例
を示す図で、図3(a)は斜視図、図3(b)は、図3
(a)におけるA−A線断面拡大図で、図中、21は第
1電極(制御電極)、22は第2電極(アース電極)、
23,24はボンディングパッド、31は基板(S
i)、32は蓄熱層(SiO2)、33は発熱体(Hf
2)、34は電極(Al)、35は保護層(Si
2)、36は電極保護層(Resin)、37は耐キ
ャビテーション保護層(Ta)、38は発熱部、39は
電極部で、その他、図1及び図2と同じ作用をする部分
には、図1及び図2の場合と同一の符号を付してある。
【0016】各発熱体は、それぞれ第1電極(制御電
極)21、第2電極(アース電極)22に接続され、ま
た、それぞれの電極は、その端部にボンディングパッド
23,24を有し、外部の画像情報入力手段(図示せ
ず)に接続され、各々の発熱体33は独立に駆動可能で
ある。なお、第2電極22は、複数個の発熱体(第1電
極)に対して1つの共通の第2電極とすることも可能で
ある。このような発熱体列は、例えば、400dpiの
配列密度で3072個設けられ、A4サイズ紙の短手方
向をカバーできるような印写幅とされる。
【0017】このような大きなサイズの発熱体基板6
は、例えば、サーマルヘッドなどを製作する際に使用さ
れるグレーズ層を設けたアルミナ基板に、スパッタリン
グ等の薄膜形成技術やフォトリソーエッチング等のパタ
ーン形成技術を駆使して製作される。また、近年は、S
iウエハもφ8インチ以上のものもできるようになった
ので、Siウエハによっても形成できる。そこで、ここ
では、Siウエハを用いてこのような発熱体基板を製作
する方法を簡単に説明する。
【0018】最初に、Siウエハである基板31は、例
えば、拡散炉中でO2,H2Oのガスを流しながら800
〜1000℃の高温にさらされ、表面に熱酸化膜SiO
2を1〜2μm成長させる。このSiO2は蓄熱層32と
して働き、後述の発熱体33で発生した熱が基板31の
方へ逃げないようにし、インクの方向に効率良く伝わる
ようにするためのものである。
【0019】次に、発熱体33および電極34等の形成
方法について説明する。図3(b)は、発熱体部近傍の
詳細断面図で、蓄積層(SiO2)32の上には発熱体
層33が形成されるが、該発熱体33を構成する材料と
して有用なものには、タンタルーSiO3の混合物、窒
化タンタル、ニクムロ、銀−パラジウム合金、シリコン
半導体、あるいはハフニウム、ランタン、ジルコニウ
ム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニ
オブ、クロム、バナジウム等の金属の硼化物があげられ
る。金属の硼化物のうち、最も特性の優れているのは、
硼化ハフニウムであり、次いで、硼化ジルコニウム、硼
化ランタン、硼化タンタル、硼化バナジウム、硼化ニオ
ブとなっている。
【0020】発熱体33は、前述の材料を用いて電子ビ
ーム蒸着やスパッタリング等の手法を用いて形成するこ
とができる。発熱体の膜厚は、単位時間当りの発熱量が
所望通りとなるように、その面積や材質及び熱作用部分
の形状及び大きさ、更には実際面での消費電力等に従っ
て決定されるものであるが、通常の場合、0.001〜
5μm、好適には0.01〜1μmとされる。本発明の
実施例では、HfB2を2000Åスパッタリングした
例を示した。
【0021】電極34を構成する材料としては、通常使
用されている電極材料の多くのものが有効に使用され、
具体的には、たとえば、Al,Ag,Au,Pt,Cu
等があげられ、これらを使用して蒸着等の手法で所定位
置に所定の大きさ、形状、厚さで設けられる。本発明で
は、Alをスパッタリングにより1.4μm形成した。
【0022】保護層35に要求される特性は、発熱体3
3で発生された熱を記録液体に効果的に伝達することを
妨げずに、記録液体より発熱体を保護するということで
ある。保護層35を構成する材料として有用なものに
は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化マグネ
シウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコ
ニウム等があげられ、これらは、電子ビーム蒸着やスパ
ッタリング等の手法を用いて形成することができる。
【0023】また、炭化ケイ素、酸化アルミニウム(ア
ルミナ)等のセラミック材料も好適に用いられる材料で
ある。保護層35の膜厚は、通常は0.01〜10μ
m、好適には0.1〜5μm、最適には0.1〜3μmと
されるのが望ましい。本発明では、スパッタリングによ
りSiO2を1.2μm形成した。さらに、本発明では、
発熱体領域を気泡発生によるキャビテーション破壊から
保護するために、耐キャビテーション保護層37とし
て、Taをスパッタリングにより4000Å形成した。
また、電極保護層36としてResin層を2μm形成して
いる。
【0024】次に、本発明の開口基板7について説明す
る。図4は該開口基板の一例を示す図で、例えば、ガラ
ス,金属等のフォトエッチングによって形成される。好
適な実施例としては、コーニング社,HOYA社等から
発売されている感光性ガラスのエッチングによるものが
高精度な開口を形成する例としてあげられる。他の例と
しては、Niのエレクトロフォーミングによる方法も高
精度で、高強度の開口基板を形成するのに良い例として
あげられる。
【0025】図5は、このような開口基板7を図3に示
した発熱体基板6に、発熱体9と開口7aが1対1で対
応するように位置決めして、積層した例を示している。
積層された両基板6,7間には、毛管現象でインクが浸
透していくための間隙Gがあり、その間隙Gは、例えば
数〜数10μmとされる。そのような間隙は、例えば、
両基板を積層する際に間に間隙を形成するためのスペー
サを入れることにより実現できる。他の良い例として
は、両基板を積層、接合する際の接合部材をスペーサと
して利用する方法である。
【0026】図6は、その例を示したものであり、図6
の斜線部13が接合層である。このような接合層は、例
えば、ドライフィルムタイプの接着剤が好適に用いら
れ、厚さも10〜10数μmという具合に所望の厚さを
選ぶことができる。他の良い例として、フォトレジスト
(ドライフィルムタイプ,液状タイプどちらも利用可)
を、図6の斜線部13のようにパターン形成して、スペ
ーサがわりにすることもできる。
【0027】図7は、開口基板の他の例を示しており、
この例では、隣接開口間にスリット7bを設けている。
図8は、図7に示した開口基板7を発熱体基板6に積層
した例である。このような開口基板も、上述のフォトエ
ッチング等の技術によって容易に作製可能である。この
ようなスリット7bを設けた場合の効果としては、隣接
する発熱体を同時あるいはほぼ同時に駆動した場合の相
互干渉を防止できることがあげられる。以下に、その理
由を説明する。
【0028】まず、図5のようなスリットのない場合
で、インクを飛翔させることを考えてみる。発熱体に通
電し、気泡を発生させ、その作用力でインクを飛翔させ
る(図2参照)わけであるが、インクを飛翔させるため
の気泡の作用力はインクを飛翔させる以外に他の方向に
も作用をおよぼし、隣接する発熱体に対応する開口のメ
ニスカスをも振動させる。よって、今1つの発熱体を駆
動させた場合、隣接する発熱体を、その影響をうけてい
る間に駆動させようとすると、インク飛翔特性が著しく
悪くなる(相互干渉による)。よって、安定したインク
飛翔を行うためには、隣接する発熱体による影響がなく
なってから駆動する必要があり、そのためには、数10
〜数100μsディレイを置いてから駆動しなければな
らない。このことは記録スピードの著しい低下をもたら
し、高速記録を行ううえでネックになる。今、このディ
レイを置かずに駆動することを考えると、飛翔インク滴
の質量,速度が均一にならなかったり、ひどい場合に
は、インク飛翔が行われなかったりして画質が著しく悪
いものになる。
【0029】しかしながら、図8に示したように、開口
基板7にスリット7bを設けたものは発生した気泡の不
要な作用力がとなりの発熱体に影響をおよぼす前にスリ
ット部のインクメニスカスによって、その作用力が吸収
されてしまうため、隣りの発熱体部へおよぼす作用力が
非常に小さくなり、無視できるレベルになる。従って、
このようなスリット付きのものの場合は、隣接する発熱
体を同時に駆動しても相互干渉がほとんどないので、均
一なインク飛翔が得られ、高画質、高速記録が可能とな
る。
【0030】次に、本発明の他の特徴について説明す
る。本発明では、図1に示したように、インクを供給す
るローラと、供給されたインクを毛管現象を利用して吸
い上げ、発熱体部へ運び、そこで気泡を発生させて飛翔
を行うための発熱体基板より構成されているが、インク
供給ローラと発熱体基板とは自由に分離可能となってい
る。こうすることのメリットは、信頼性向上が図れると
いうことにある。例えば、前述の先行技術である、特開
平3−58848号公報に記載されているような、通常
のインクジェット装置では、インク供給系からヘッド部
までが密閉系となっているため、インク供給系内の異
物、あるいは、インク中で折出した異物等がノズルに集
まってきて、目づまりを起こすという不良があり、その
ような目づまりが生じた場合は、致命的となる。
【0031】しかしながら、本発明のように、ローラと
発熱体基板が分離可能であるような構成とすると、仮に
インク中に折出した異物があったとしても、図9(b)
に示すように、発熱体基板6をローラ3から分離,移動
せしめ、図9(c)に示すように、発熱体基板6の開口
部、あるいは、間隙部等に水等の洗浄液14をかけるこ
とにより、容易に異物を洗い流すことが可能である。洗
い流した後は、ローラ部に移動せしめ、図9(a)に示
すもとの状態(印写可能状態)とされる。
【0032】なお、本発明の記録装置に使用するインク
は、水、多価アルコールを主成分とする溶媒に染料を2
〜3wt%溶解させた、いわゆる水性系インクである。
代表的な処方例を以下にあげるが、必ずしも、この例に
限定されるものではない。 純水 :48wt% グリセリン :45wt% エチルアルコール :4.8wt% 染料(C.I.ダイレクトブラック154) :2.2wt%
【0033】実験例1 インク供給ローラと、発熱体基板の配置のしかたによる
違いを見るために、図1(a),(b)の2種類の配置
でインク飛翔実験を行った。実験に使用した回転ローラ
は、φ10mmのステンレスローラであり、リバースロー
ラは、φ5mmのステンレスローラである。それぞれ同方
向に300rpm、150rpmで回転させ、供給ローラ表面
にインク層を形成し、発熱体基板を配置した。使用した
発熱体基板は、400dpi配列で、512個の発熱体を
一列に配列したものである。発熱体サイズは、28μm
×130μmであり、抵抗値は、110Ωである。開口
基板は、厚さ40μmの感光性ガラスで、φ30μmの開
口を形成し(スリットなし)、発熱体基板との間に約1
0μmの間隙をおいて積層した。発熱体への通電は、Vo
=26V、Pw=6μsとした。その結果、図1(a),
(b)いずれの配置であっても、飛翔インク滴のスピー
ドはほぼ14〜15m/sが得られたが、駆動周波数の
上限値を比較すると、図1(a)の場合にはFo=2kHz
がほぼ上限であり、それ以上ではインク供給が追いつか
ず、インク飛翔が時々空打ち状態になった。一方、図1
(b)の場合には、その上限はFo=8kHzであった。つ
まり、インク供給ローラの液層面のほぼ法線方向に発熱
体基板を立てかけるように配置した方が、インク供給が
充分に行われ、高速駆動可能であることがわかった。
【0034】実験例2 開口基板にスリットがない場合とある場合との比較を行
った。実験装置,条件等は、実験例1と同じである。な
お、発熱体基板は、法線方向に立てかけた配置とした。
スリット幅は15μm、長さ300μmとした。まず、ス
リットのない場合について、隣接する2つの発熱体を同
時,5μs,10μs,20μs,30μs,40μs,6
0μs,100μsのタイムディレイを置いて駆動し、飛
翔インク滴の飛翔スピードを測定した。その結果、同時
〜40μsのディレイまででは、2つのインク滴のスピ
ードは、2〜10m/sの範囲でバラツキ、均一な飛翔
は得られなかった。しかしながら、60μs,100μs
のディレイを置いた場合、2つのインク滴はほぼ同じ1
4m/sの飛翔速度が得られた。
【0035】次に、スリットのある場合について、同様
の実験を行ったところ、すべての場合について、ほぼ1
3.5m/sの飛翔速度が得られ、飛翔形態もそろって
おり、バラツキはほとんど見られなかった。つまり、隣
接開口間にこのように圧力波を吸収できるようなメニス
カスを形成するためのスリットを設ければ、隣接発熱体
を同時駆動しても安定した飛翔が得られることがわかっ
た。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、以下のような効果がある。 (1)請求項1に対応する効果:全く新規な構成によっ
て、記録紙幅領域をカバーできるいわゆるページプリン
タータイプの記録装置を提案できた。本発明では、従来
のインクジェットのように、インク供給部からノズルま
でが密閉系になっていないため、供給路内の異物がすべ
てノズルに集中して目づまりをおこすという問題が少な
く、インク飛翔エレメント(発熱体部)の数が、数10
00という数になっても非常に信頼性が高い。また、本
発明では、表面にインク層を形成する回転ローラと、開
口基板を積層した発熱体基板とを近接させて記録装置を
構成するというように、インク供給手段が開放系になっ
ているので、万一、インク飛翔部が、紙粉等の異物によ
って汚れ、インク飛翔特性が悪くなったとしても、発熱
体基板を回転ローラから分離し、水等の洗浄液で容易に
清浄化でき、すぐにもとの状態に回復できるため、非常
に信頼性が高い。この点、従来の密閉系のインクジェッ
トでは、いったん目づまりが生じると、ほとんど致命的
になるということを考えると、本発明は非常に優位性が
あると言える。 (2)請求項2に対応する効果:発熱体基板と開口基板
とが一定の間隙をもって積層したものを、インク層を形
成した回転ローラ表面の、ほぼ法線方向に立てかけた状
態で配置したので、上記間隙から容易に毛管現象でイン
クを吸い上げ、インク飛翔エレメント(発熱体部)にイ
ンク供給が行われるため、インク供給不足に起因するイ
ンク飛翔不安定さがなく、高い駆動周波数で安定したイ
ンク飛翔が得られ、高速,高画質の記録装置が実現でき
た。 (3)請求項3に対応する効果:開口基板の隣接する開
口間にスリットを設け、ダンパー作用をするようにした
ので、隣接するインク飛翔エレメント(発熱体部)から
の圧力波によるインク飛翔特性の不安定さ(相互干渉)
をなくすことができ、安定したインク飛翔が得られ、高
画質の記録装置が実現できた。また、相互干渉がないの
で、従来のインクジェットでは、相互干渉がおさまるま
で待って、次の、あるいは、隣りあうインク飛翔エレメ
ント(発熱体部)を駆動するという手法をとっており、
そのタイムラグのために高速化が阻害されていたが、本
発明では、そのような不具合はなく、高速の記録装置が
実現できた。 (4)請求項4に対応する効果:インク層が形成された
回転ローラと、前記開口基板が一定の間隙をもって積層
された発熱体基板とを、相対的に移動可能としたので、
万一、発熱体基板のインク飛翔部が紙粉等の異物によっ
て汚れ、インク飛翔特性が悪くなったとしても、発熱体
基板を回転ローラから分離し、水等の洗浄液で容易に洗
浄化でき、すぐにもとの状態に回復できるため、非常に
信頼性が高い。この点、従来の密閉系のインクジェット
のように、インク飛翔部(ヘッド部)とインク供給部が
一体的に形成され、分離不可能のものでは、いったん目
づまりが生ずると、ほとんど致命的になるということを
考えると、本発明は非常に優位性があると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による記録装置の実施例を説明するた
めの要部構成図である。
【図2】 図1(b)に示した実施例の動作説明をする
ための発熱体近傍の拡大図である。
【図3】 本発明に使用する発熱体基板の一例を示す図
である。
【図4】 開口基板の一例を示す図である。
【図5】 発熱体基板に開口基板を組み合わせた時の斜
視図である。
【図6】 発熱体基板の接合層を説明するための図であ
る。
【図7】 開口基板の他の例を示した図である。
【図8】 図7に示した開口基板を発熱体基板に積層し
た場合の斜視図である。
【図9】 発熱体基板の洗浄方法の一例を説明するため
の図である。
【符号の説明】
1…インク容器、2…インク、3…インク供給ローラ、
4…インク供給ローラ3の表面に形成されたインク層、
5…リバースローラ、6…発熱体基板、7…開口基板、
8…飛翔インク滴、9…発熱体、10…気泡、11…イ
ンク柱、12…インク滴、13…接合層、14…洗浄
水。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク貯留容器と、該容器内のインクに
    接触し、表面にインク層を形成する回転ローラと、該回
    転ローラの前記インク層に接触し、個別に駆動可能な複
    数個の発熱体列を有する発熱体基板とよりなる記録装置
    であって、前記発熱体基板は、複数の開口を有する開口
    基板を具備し、前記発熱体と開口が対応するように前記
    発熱体基板と開口基板とが一定の間隙をもって積層さ
    れ、前記インク層から毛管現象でインクを前記発熱体部
    まで移動せしめ、前記発熱体に通電することによって、
    前記発熱体部近傍のインクに熱による状態変化を生じせ
    しめ、その作用力で前記開口よりインクを飛翔させ、被
    記録体に記録を行うことを特徴とする記録装置。
  2. 【請求項2】 前記発熱体基板は、前記回転ローラのほ
    ぼ法線方向に立てかけた状態で配置したことを特徴とす
    る請求項1に記載の記録装置。
  3. 【請求項3】 前記開口基板は、隣接する開口間にスリ
    ットを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の
    記録装置。
  4. 【請求項4】 前記表面にインク層を形成された回転ロ
    ーラと、前記開口基板が一定の間隙をもって積層された
    発熱体基板とは、相対的に移動可能であることを特徴と
    する請求項1又は2又は3に記載の記録装置。
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