JP3357711B2 - 車両の後部車体構造 - Google Patents

車両の後部車体構造

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JP3357711B2 JP17004593A JP17004593A JP3357711B2 JP 3357711 B2 JP3357711 B2 JP 3357711B2 JP 17004593 A JP17004593 A JP 17004593A JP 17004593 A JP17004593 A JP 17004593A JP 3357711 B2 JP3357711 B2 JP 3357711B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の後部車体構造に
関し、詳しくは車体後部における空力的処理に関する。
【0002】
【従来の技術】車両が直進時に受ける車体前後方向の空
気抵抗(以下、単に空気抵抗という)は、車両の動力性
能や燃費等に大きな影響を及ぼすので、実用性を重視し
た車両においても空気抵抗を小さくすることは重要とな
る。
【0003】実用的な車両における空気抵抗は、車両直
進時に車体表面にできる空気流の境界層が車体後端部で
車体表面から剥離してその下流に形成する渦のある乱れ
た流れ(以下、伴流という)の大きさに大きな影響を受
ける(伴流の大きさが大きいほど車両の空気抵抗が増大
する)ことが知られている。したがって、車両の空気抵
抗を小さくするためには、このような伴流の大きさを小
さくできる車体構造とすることが重要となる。
【0004】従来、空気抵抗を小さくするために、車体
後部側面を車体後方に延びるに従って車幅方向に緩やか
に絞り込んだ車両が知られている。このような車体後部
側面の絞り込みを行った場合、絞り込みを行わない場合
と比べて伴流の大きさを小さくでき、車両の空気抵抗を
効果的に低減できることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、車両の空
気抵抗を大きく低減させるためには、車両の後部側面を
全体的に大きく絞り込むことが有効であると考えられる
が、そうした場合には車両の後部上面の面積が小さくな
ってしまうために、例えば車両の後部に荷室を設けるよ
うな場合においては、荷室の開口部面積をあまり広く確
保できなくなるという問題が生じることになる。また、
絞り込みを行うことには次のような問題もある。
【0006】車両が直進時に横風を受けると、車体両側
面に圧力差が生じて車両には横力が作用することにな
り、この横力の空力中心が車両の重心位置よりも車体前
方に位置した場合には、車両には車体前部を風下側に回
転させる方向のヨーイングモーメントMYが作用するこ
とになる。このようなヨーイングモーメントMYの発生
は、車両が横風を受けたときの操縦安定性(以下、「横
風安定性」という)に悪影響を及ぼすので、車両におい
ては、空気抵抗を小さくするのと同様に、横風を受けた
ときに発生するヨーイングモーメントMYが小さい横風
安定性の高い車体構造とすることが求められる。
【0007】ところが、上述の車体後部側面を絞り込ん
だ車両の場合、その絞り込みの程度を強めるにつれて車
両の空気抵抗は小さくなるのに対し、横力の空力中心は
絞り込みを強めるほど重心よりも車体前方に位置する傾
向が強まり、横風を受けたときに発生するヨーイングモ
ーメントMYが大きくなるという問題が生じるのであ
る。このため、車両における空気抵抗の低減と横風安定
性の向上との両立は一般的に困難であった。
【0008】横風安定性を向上させるには横風を受けた
ときに車両に作用する斜め前方からの空気流の動圧を受
ける部分の面積を車体後部において増大させ、車体後部
を風下側へ回転させるモーメント成分を増大させること
が有効であると考えられており、このような方法として
従来、例えば特開平4-8681号公報に示されているよう
に、車体後部の側面と上面との境界に沿って延びるフィ
ンを立設することが知られている。しかし、このような
フィンを設けるとフィンが車両の斜め後方の視界の妨げ
になるおそれがあるなどの問題が生じる。
【0009】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、その目的は、車両の空気抵抗の低減と横風安定性の
向上との両立が良好に図れ、しかも車両の後部に荷室を
設ける場合には荷室の開口部面積を十分に広く確保でき
るような車両の後部車体構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1記
載の車両の後部車体構造は、車両の後部側面の上下方向
略中央部から下側部分のみに形成された、該下側部分の
少なくとも一部が車体後方に延びるに従って車幅方向内
側に絞り込まれてなる絞込面と、該絞込面から車幅方向
外側に離して設けられ、車体前後方向と略平行な外側面
を有してなる横風受部とを備え、前記絞込面が、前記車
両のクォータパネルの側面の上下方向略中央部から下側
部分の少なくとも一部と、該クォータパネルの側面の下
部において車体前後方向に延設されたリヤバンパの側面
の少なくとも一部とに連続して形成されているととも
に、前記横風受部が、前記車両の車体とは別体の一部材
で構成されて上記クォータパネルと上記リヤバンパとの
間に設けられていることを特徴とする。
【0011】上記「車両の後部側面」とは、車両の後部
において車体前後方向および上下方向に延びる面をい
い、リヤバンパの側面なども含むものである。
【0012】
【作用および発明の効果】上述のように本発明による車
両の後部車体構造では、車両の後部側面の上下方向略中
央部から下側部分の少なくとも一部が絞込面とされてい
ることにより、車両直進時に車両後方に発生する伴流の
大きさを小さくすることができるので、車両の空気抵抗
を低減することが可能となる。
【0013】また、車体前後方向と略平行な外側面を有
する横風受部を備えていることにより、走行中に車両が
横風を受けた際、車両の斜め前方からの空気流の動圧を
横風受部の外側面が効率良く受け、これにより車体後部
を風下側へ向けようとする回転モーメント成分が効果的
に増大することになるので、ヨーイングモーメントMY
の減少が図れ、横風安定性の向上も併せて可能となる。
【0014】なお、上述した従来のフィンとは異なり、
横風受部は車両の後部側面を構成する絞込面の車幅方向
外側の位置に配されるので、横風受部が車両の後方視界
の妨げとなることはない。
【0015】また、絞込面を形成する部分を、車両の後
部側面の上下方向略中央部から下側の部分の少なくとも
一部と限定したことにより、絞込面を車両の後部側面全
体とした場合のように車両の後部上面が狭くなってしま
うことがないので、車両の後部に荷室を設ける場合にお
いても、荷室の開口部面積を十分に広く確保することが
可能となる。
【0016】また、本発明による車両の後部車体構造
は、車両の後部側面の上下方向略中央部から下側の部分
が、クォータパネルの側面およびリヤバンパの側面で構
成されており、絞込面をクォータパネルの側面のみでな
くさらにリヤバンパの側面にまで形成したものである。
これは、本発明では荷室の開口部面積を十分確保するた
め、絞込面を形成する部分を車両の後部側面の上下方向
略中央部から下側と限定しているので、絞込面をクォー
タパネルのみに形成しただけでは十分な空気抵抗の低減
効果が得られない場合に対応するためであり、こうする
ことにより、荷室の開口部面積は十分に確保しつつ、リ
ヤバンパの側面まで絞込面を形成しない場合に比べて、
車両直進時に車両後方に発生する伴流の大きさを小さく
することができるので、車両の空気抵抗を十分効果的に
低減することが可能となる。
【0017】さらに、本発明による車両の後部車体構造
では、横風受部を車体とは別体の一部材で構成したこと
により、横風受部を車両と一体に構成した場合と比べて
車両に横風受部を形成することが容易となる。また、軽
衝突等により横風受部が破損した場合などの横風受部の
交換等による補修も容易となる。
【0018】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明による車両
の後部車体構造の実施例を説明する。
【0019】図1は本発明の第1実施例による車両の後
部車体構造の概略構成を示す車両後部右側の斜視図、図
2は図1に示す横風受部の概略構成を示す斜視図、図3
は図1におけるIII-III線断面図、および図4は図1に
おけるIV-IV線断面図である。
【0020】図1に示す車両1では、クォータパネル2
の側面の上下方向略中央部から下側の部分2aが車体後方
に延びるに従って車幅方向に絞り込まれて絞込面3を形
成している。この絞込面3から車幅方向外側に所定距離
離れた位置には、前体前後方向と略平行な外側面4を有
する横風受部5が設けられている。
【0021】本実施例では、横風受部5はクォータパネ
ル2とは別体の一部材で構成されている。詳しくは図2
に示すように横風受部5は、車体前後方向に延びる水平
部5Aと、この水平部5Aから上方に延びる垂設部5B
とが一体に形成されてなるものであり、図3に示すよう
にボルト・ナットによりクォータパネル2に固定されて
いる。また、横風受部5は、クォータパネル2に取り付
けられた状態においては、基部5Aの外側面5aがリヤバ
ンパ6の車体前後方向に延びる部分6Aの外側面6aと略
面一となり、基部5Aの上面5bがリヤバンパ6の車幅方
向に延びる部分6Bの上面6bと略面一となって、リヤバ
ンパ6と一体感を持つように形成されている。
【0022】図1に示すように車両1の直進時に車体側
面にできる空気流Aの境界層は、車体後端部において車
体表面より剥離して、下流に渦のある伴流Bを放出す
る。この際、車両1は絞込面3を備えているので、絞込
面3を備えていない場合と比べて、発生する伴流Bの大
きさは小さくなる。したがって、車両1の空気抵抗は、
絞込面3を備えたことにより効果的に小さくなる。
【0023】一方、車両1が直進時に車体右側から横風
を受けた場合、車両1は右斜め前方からの空気流を受け
ながら走行することになる。この際、横風受部5の外側
面が右斜め前方からの空気流の動圧を効率良く受けるの
で、車体後部を風下側に向けようとする回転モーメント
が生じる。このため、横風受部5を備えない場合には絞
込面3を備えたことにより過大になると予想される、車
体前部を風下側に向けようとするヨーイングモーメント
Yが打ち消されるので、車両の横風安定性が向上す
る。
【0024】また、絞込面3を形成する部分を、クオォ
ータパネル2の側面の上下方向略中央部から下側の部分
に限定したことにより、絞込面3をクォータパネル2の
側面全体とした場合(そのようにした場合を図1に仮想
線で示す)のように車両の後部上面1aが狭くなってしま
うことがないので、車両の後部に荷室を設ける場合にお
いても、荷室の開口部7の面積を十分に広く確保するこ
とが可能である。
【0025】次に、本発明による車両の後部車体構造の
第2実施例を説明する。図5は本発明の第2実施例によ
る車両の後部車体構造の概略構成を示す車両後部右側の
斜視図、図6は図5に示す横風受部の概略構成を示す
図、図7は図5におけるVII-VII線断面図、および図8
は図5におけるVIII-VIII線断面図である。なお、本実
施例を示す上記各図において、前記第1実施例の構成要
素と同様の要素を示すものについては前記第1実施例と
同一の符番を付すこととし、その詳細な説明は省略す
る。
【0026】本実施例が前記実施例と異なるのは、前記
実施例では絞込面3がクォータパネル2の側面のみに形
成されていたのに対し、本実施例では、図5に示すよう
に、リヤバンパ6の車体前後方向に延びる部分6Aの側
面6aの一部についても、それが車体後方に延びるに従っ
て車幅方向内側に絞り込まれて、絞込面3を形成してい
る点にある。なお、その他の構成については前記実施例
と略同じなので、説明は省略する。
【0027】上述のように絞込面3をリヤバンパ6にも
形成したことにより、リヤバンパ6の側面6aにできる空
気流Aの境界層が車体後端部において車体表面より剥離
することにより形成される伴流Bの大きさを、リヤバン
パ6には絞込面3を形成していない前記実施例の場合に
比べて小さくすることができるので、車両の空気抵抗を
より効果的に小さくすることが可能となる。
【0028】以上、本発明による車両の後部車体構造の
実施例を説明したが、本発明による車両の後部車体構造
は、かかる実施例の具体的態様に限定されるものではな
く、種々の変更を行えることはもちろんである。図の説
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による車両の後部車体構造
の概略構成を示す車両後部右側の斜視図
【図2】図1に示す横風受部の概略構成を示す斜視図
【図3】図1におけるIII-III線断面図
【図4】図1におけるVI-VI線断面図
【図5】本発明の第2実施例による車両の後部車体構造
の概略構成を示す車両後部右側の斜視図
【図6】図5に示す横風受部の概略構成を示す斜視図
【図7】図5におけるVII-VII線断面図
【図8】図5におけるVIII-VIII線断面図
【符号の説明】
1 車両 2 クォータパネル 3 絞込面 4 横風受部の外側面 5 横風受部 6 リヤバンパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇戸 正 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−25366(JP,A) 実開 昭60−188684(JP,U) 実開 平1−65771(JP,U) 実開 平3−60171(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 35/00 B62D 37/02 B60R 19/48 B62D 25/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の後部側面の上下方向略中央部から
    下側部分のみに形成された、該下側部分の少なくとも一
    部が車体後方に延びるに従って車幅方向内側に絞り込ま
    れてなる絞込面と、該絞込面から車幅方向外側に離して
    設けられ、車体前後方向と略平行な外側面を有してなる
    横風受部とを備え 前記絞込面が、前記車両のクォータパネルの側面の上下
    方向略中央部から下側部分の少なくとも一部と、該クォ
    ータパネルの側面の下部において車体前後方向に延設さ
    れたリヤバンパの側面の少なくとも一部とに連続して形
    成されているとともに、前記横風受部が、前記車両の車
    体とは別体の一部材で構成されて上記クォータパネルと
    上記リヤバンパとの間に設けられてい ることを特徴とす
    る車両の後部車体構造。
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