JP3357576B2 - 曲げ加工シミュレーションのワーク要素分割方法 - Google Patents

曲げ加工シミュレーションのワーク要素分割方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、曲げ加工のシミュ
レーション時の要素分割の方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は折り曲機のライン制御システムの
概略構成図である。図9の折り曲機のライン制御システ
ムは、集中局1と、CADパソコン2と、自動プログラ
ミング装置3と、折り曲機4を制御するNC装置5とを
LANに接続したものである。
【0003】一般にV曲げ加工においては、除荷時にス
プリングバックが発生する。このため、図9に示す折り
曲機のライン制御システムでは、オペレータが自動プロ
グラミング装置3を操作してCADパソコン2より所望
の工具画像、ワーク画像、ダイ画像(各画像は断面形状
である)を読み出して画面に表示させる。
【0004】次に、自動プログラミング装置3に、ワー
ク条件、金型条件、工具のストローク量である目標Di
値等(以下総称して曲げ情報という)を入力して、スプ
リングバックを考慮した板材成形のシミュレーション画
像を表示させる。
【0005】また、シミュレーションを行わせるにあた
って工具の形状、ワークの形状等から人間がワークを要
素分割したメッシュ切りを行う。このメッシュ切りは、
等間隔で設定される場合が多い。
【0006】前述のワーク条件は板厚、ヤング率、ポア
ソン比、降状強さ、加工硬化指数等からなっている。ま
た、金型条件は、ダイの溝幅、ダイのR、ダイの溝角
度、パンチ(以下工具という)の先端R、先端角度、工
具の幅等からなっている。
【0007】そして、自動プログラミング装置3は、初
めに図10の(a)に示すように、ワークの断面画像1
1とダイの断面画像12と工具の断面画像13とを表示
し、目標Di値に到達するまで、工具の断面画像13を
下降させながら弾塑性有限要素法を用いて図10の
(b)に示すようにワークの断面画像を変異させた変異
画像14を表示させる。この弾塑性有限要素法において
は、ワークのメッシュ切り(要素分解)を行って画像を
変異させている。
【0008】次に、工具の断面画像13の下降が目標D
i値に到達すると、スプリングバック後のワークの変異
画像を弾塑性有限要素法を用いて求め、図10の(c)
に示すように表示していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、メッシ
ュの生成を人間が行っているので、以下に説明する課題
がある。
【0010】(1) メッシュ間隔が等間隔の場合は、
接点が不十分なためワークと工具との接触部分の変形が
実際のものと相違するという課題がある。
【0011】(2)また、十分な接点を入力したとして
も、等間隔のメッシュでは有限要素法の計算時間が不要
に長くなるという課題がある。
【0012】本発明は以上の課題を解決するためになさ
れたもので、曲げ加工のシミュレーションの過程を実際
のものと一致させ、かつ有限要素法の演算時間を短縮で
きる曲げ加工シミュレーションのワーク要素分割方法を
得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、ダイの断面画
像と工具の断面画像との間に設けられたワークの断面画
像の分割点が求められると、これららの分割点に従っ
て、前記ワークの断面画像にメッシュを生成して、工具
の断面画像を前記目標ストローク量まで下降させながら
有限要素法に従って前記ワークを目標角度まで変形させ
る曲げ加工シミュレーション方法において、入力された
前記ワークの板厚を読み、この板厚に基づいて前記ワー
クの断面画像に対して等間隔に水平線を引く工程と、前
記ワークのワーク条件と、前記ダイの金型条件と、前記
目標角度とに基づいて幾何学的に前記水平線が引かれた
ワークの断面画像を変異させる工程と、このワークの変
異画像から前記工具がワークに接触して変形が激しい部
分と、前記工具がワークに接触しない部分と前記ダイの
Rとワークとが接触する部分と、余剰部分とに分ける工
程と、前記変形が激しい部分は、前記工具先端の円弧長
に係数をかけてメッシュ分割し、また前記ダイのRとワ
ークとが接触する部分の分割は、それぞれ前記ダイのR
長に基づいてメッシュ分割(R/3)し、さらに前記接
触のおこらない部分の分割は、前記ダイのRと接触する
部分のメッシュ分割の幅と、前記変形の激しい部分のメ
ッシュ分割の幅との差が大きくならないようにメッシュ
分割を行う工程とを備えたことを要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本実施の形態の曲げ加工シ
ミュレーション装置の概略構成図である。図1の曲げ加
工シミュレーション装置20は自動プログラミング装置
に内蔵される機能である。
【0015】この曲げ加工シミュレーション装置20
は、オペレータが入力したワーク条件Wi、金型条件k
i、目標角度θi等からなる曲げ情報Jiからワークの
断面画像11をメッシュ分割するワークの断面画像11
の分割点を求める。
【0016】そして、有限要素法のシミュレーションに
おいて、ワークの断面画像11の上線の各分割点に対応
する下線の分割点同士を結んだメッシュを表示部21に
表示した後に、工具の断面画像13を目標D値に到達す
るまで順次下降させながらメッシュ入りワークの変異画
像22する。この変異画像22は、変異したメッシュと
変異画像14とを総称したものである。
【0017】そして、目標D値に到達して工具の断面画
像13を離脱させたときのスプリングバック発生後のメ
ッシュ入りワークの変異画像33の角度θpが目標角度
θiに一致したかどうかを判断し、両角度が一致してい
ないときは、新たに目標Dを求める。また、両方の角度
が一致したときは、求めた目標値D及び関連する曲げ情
報を表示する。
【0018】この曲げ加工シミュレーション装置20
は、図1に示すように、目標ストローク量算出部21
と、曲げ情報設定部23と、要素分割算出部24と、曲
げ加工シミュレーション処理部25と、目標ストローク
量判定部28等を備えている。
【0019】目標ストローク量算出部21は、例えば、
図2に示すように変形後の板を、内R=パンチ先端Rと
仮定し、目標角度のD値(目標ストローク量ともいう)
を求めて曲げ情報設定部23に出力する。つまり、入力
条件から幾何学的に求めている。
【0020】また、目標角度に到達していないことが知
らせられると、再度各条件を入力させて新たに目標D値
を求める。
【0021】曲げ情報設定部23は、オペレータが入力
した曲げ情報Jiを所定の形式にして曲げ加工シミュレ
ーション処理部25に設定する。この曲げ情報Jiは、
図3に示すワーク条件Wi、金型条件Ki、目標角度と
からなる。
【0022】要素分割算出部24は、オペレータによっ
て入力されたワーク条件、金型条件等からワークの断面
画像11を、大きく複数部に分割し、この分割部をさら
に詳細に分割する。この要素分割算出部24について
は、図を用いて詳細に後述する。
【0023】曲げ加工シミュレーション処理部25は、
メッシュ生成手段26と、シミュレーション手段27等
からなる。
【0024】メッシュ生成部26は、ワークの断面画像
11の厚みから水平線を引くための間隔を決め、この間
隔に従って水平線を引いた後に、要素分割算出部24で
求められたワークの断面画像11の上辺の分割点と下辺
の分割点同士を結んだメッシュを生成してワークの断面
画像11内に表示すると共に、生成したメッシュデータ
をシミュレーション手段27に出力する。
【0025】シミュレーション手段27は、工具の断面
画像13を所定の速度で下降させながら有限要素法を用
いてワークの変異形状を求め、この変異形状をワークの
変異画像14として表示する。そして、この工具の断面
画像13が目標D値に到達したとき、工具の断面画像1
3をワークの変異画像15から離脱させる。
【0026】目標ストローク量判定部28は、シミュレ
ーション手段25が目標D値に基づいて工具を下降して
いくときのθi値を順次読み、このθi値が前回のθi
と比較して逆戻りしているかどうかを判定する。
【0027】また、目標D値まで下降させたときの最大
荷重を初期荷重として記憶し、この初期荷重より充分に
大きな荷重となったとき進み過ぎと判断する。
【0028】そして、工具が進み過ぎと判定したときの
荷重に対応するD値を、目標ストローク量算出部21に
出力して、ワーク曲げシミュレーション部25へ中断信
号を送る。
【0029】<動作説明>上記のように構成された曲げ
加工シミュレーション装置の動作を図4のフローチャー
トに従って説明する。本説明では曲げ情報設定部23が
図3に示すワーク条件Wi、金型条件ki、目標ストロ
ーク量(D値ともいう)、目標角度θi等からなる曲げ
情報Jiを、ワーク曲げシミュレーション処理部25に
設定する。前述の目標ストローク量は、目標ストローク
量算出部21がワーク条件Wi、金型条件ki等から幾
何学的に求めたものである。
【0030】前述の曲げ情報Jiの入力に伴って、要素
分割算出部24がワーク断面画像11を図5の(a)に
示すようにメッシュ分割する(S1)。
【0031】このメッシュ分割によって、シミュレーシ
ョン手段27は、ワーク条件Wiの板厚tを読み、この
板厚tを等間隔に分割する点wa、wbを求め、この点
を結ぶ水辺線32を引くと共に、前述のメッシュ分割点
同士を結んだメッシュを表示する。
【0032】そして、シミュレーション手段27は、工
具の断面画像13を下降させて、有限要素法によって各
メッシュを変形させ、ワークの断面画像11変異させる
シミュレーションを行う(S2)。例えば、図5の
(b)に示すように工具の断面画像11及びメッシュ入
り変異画像22を変異させて表示する。次に、目標D値
になったかどうかを判定し(S3)、目標D値になって
いなときは、処理をステップS2に戻す。
【0033】また、シミュレーション手段27は目標D
値に到達したときは、有限要素法によるスプリングバッ
ク過程のシミュレーションを行う。
【0034】このとき、前述の処理と同様に、スプリン
グバック後のワークの変異画像の形状に基づいて各メッ
シュを変異させたメッシュ入り変異画像33を図5の
(c)に示すように表示させる。
【0035】従って、曲げ加工のシミュレーションの過
程がオペレータにとっては分かりやすいと共に、シミュ
レーション結果が実際のものと一致する。
【0036】前述のステップS1のメッシュ分割処理に
ついて詳細に説明する。図6は要素分割算出部の動作を
説明するフローチャートである。要素分割算出部24
は、入力された金型条件ki、ワーク条件Wiを読み
(S10)、これらの条件から変形後のワーク形状を幾
何学的に予想する(S11)。例えば、図7に示すよう
にワークを変異させる。
【0037】そして、この変異したワークにおいて、図
7に示すように、工具に接触し変形の激しい部分(A)
と、工具に接触しない部分(B)と、ダイ片Rと接触す
る部分(C)と、余剰部分とに分割した幾何学的予想を
行う(S12)。これらの部分の分割データを第1分割
データという。
【0038】この第1分割データは、(A)部分の長さ
については、図8に示すように、パンチ先端Rに板厚t
とを加算した値を半径とする円弧長に、所定の係数をか
けて求める。また、Aの部分の各分割長は、 パンチ先端Rの円弧長÷K2(K2;定数) (B)の部分の長さについては、図7に示すように、
(A)部分の終点Aeから(C)の始点Caまでとする
(グラデーション)。
【0039】(C)の部分の長さは、図8に示すよう
に、初期のダイ肩R接触位置から(A)長さに幾何学的
に予想したダイ肩R接触位置の直線部分の長さまでとす
る(ダイ肩Rの円弧長÷3)。但し、余剰値を含ませて
もよい。
【0040】これらの各部の始点、終点は、具体的には
パンチ先端R=Rp、板厚=t、目標角度=θ、V幅=
V、係数Kとすると、以下に示す式で求める。
【0041】
【数1】 次に、要素分割算出部24は、ワークの各部(A、B、
C、D)を、それぞれ更に細かく分割する(S13)。
この分割データを第2分割データという。
【0042】例えば、図7に示すように(A)部を変形
に対応できるように工具先端Rの円弧長を元に係数をか
けるて細かく分け、(C)部をダイ片Rとの転がり/滑
り込み接触に対応できるように円弧長÷3の大きさで切
り、(B)を(A)(C)の差が大きすぎて計算上応力
集中等が発生しないようグラデーション状にメッシュ分
割を行う。また、(D)は余剰分なので適当に分割す
る。
【0043】このような、第2分割データと、前述の第
1分割データとをワーク曲げシミュレーション処理部2
5のメッシュ生成手段26に出力する(S14)。
【0044】メッシュ生成手段26は、線32を引いた
後に、ワークを複数部に分けた各分割長である第1デー
タに基づいてワークをメッシュ分割した後に、第2分割
データに基づいて各部を更に細かく分けたメッシュを生
成して表示する。
【0045】このメッシュデータは、シミュレーション
手段27に送出される。シミュレーション手段27は、
工具の断面画像13を下降させながら有限要素法によっ
て各メッシュを変形させるシミュレーションを行う。
【0046】すなわに、自動的にメッシュ分割を行って
いる。このため、ワークと工具との接触部分の変形が実
際のものと相違するということがないし、かつメッシュ
間隔が変形状況、接触状況等によって相違しているの
で、計算時間が不要に長くなるということがない。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ワークの
断面画像を幾何学的に変異させて、ワークの変形が激し
い部分と、工具がワークに接触しない部分と、ダイのR
とワークとが接触する部分と、余剰部分とに分ける。
【0048】そして、これらの部分は、接触する部分を
最も細かく分割し、かつ接触しない部分を次に細かくメ
ッシュ分割し、さらに変形が激しい部分は、余剰部分の
次に細かく分割し、これらの分割点に基づくメッシュ分
割を行って有限要素法によるシミュレーションを行わせ
る。
【0049】このため、曲げ加工のシミュレーションの
過程を実際のものと一致させ、かつ有限要素法の演算時
間を短縮できるという効果が得られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の曲げ加工シミュレーション装置
の概略構成図である。
【図2】本実施の形態の目標ストローク算出部を説明す
る説明図である。
【図3】曲げ情報Jiを説明する説明図である。
【図4】曲げ加工シミュレーション装置の動作を説明す
るフローチャートである。
【図5】ワークの断面画像の変異過程を説明する説明図
である。
【図6】要素分割算出部の動作を説明するフローチャー
トである。
【図7】ワークの分割を説明する説明図である。
【図8】分割部長の算出の方法を説明する説明図であ
る。
【図9】折り曲機のライン制御システムの概略構成図で
ある。
【図10】従来のメッシュ分割を説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
1 集中局 2 CADパソコン 3 自動プログラミング装置 4 折り曲機 5 NC装置 20 曲げ加工シミュレーション装置 21 目標ストローク量算出部 23 曲げ情報設定部 24 要素分割算出部 25 ワーク曲げシミュレーション部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 5/01 - 5/04 G05B 19/4068 G06F 17/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイの断面画像と工具の断面画像との間
    に設けられたワークの断面画像の分割点が求められる
    と、これららの分割点に従って、前記ワークの断面画像
    にメッシュを生成して、工具の断面画像を前記目標スト
    ローク量まで下降させながら有限要素法に従って前記ワ
    ークを目標角度まで変形させる曲げ加工シミュレーショ
    ン方法において、 入力された前記ワークの板厚を読み、この板厚に基づい
    て前記ワークの断面画像に対して等間隔に水平線を引く
    工程と、 前記ワークのワーク条件と、前記ダイの金型条件と、前
    記目標角度とに基づいて幾何学的に前記水平線が引かれ
    たワークの断面画像を変異させる工程と、 このワークの変異画像から前記工具がワークに接触して
    変形が激しい部分と、前記工具がワークに接触しない部
    分と前記ダイのRとワークとが接触する部分と、余剰部
    分とに分ける工程と、前記変形が激しい部分は、前記工具先端の円弧長に係数
    をかけてメッシュ分割し、また前記ダイのRとワークと
    が接触する部分の分割は、それぞれ前記ダイのR長に基
    づいてメッシュ分割(R/3)し、さらに前記接触のお
    こらない部分の分割は、前記ダイのRと接触する部分の
    メッシュ分割の幅と、前記変形の激しい部分のメッシュ
    分割の幅との差が大きくならないようにメッシュ分割を
    行う工程とを 有することを特徴とする曲げ加工シミュレ
    ーションのワーク要素分割方法。
  2. 【請求項2】 前記工具の断面画像の下降が前記目標ス
    トローク量に到達したときは、前記工具の断面画像を前
    記有限要素法で再び変異させる工程とを有することを特
    徴とする請求項1記載の曲げ加工シミュレーションのワ
    ーク要素分割方法。
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