JP3357444B2 - ナイキストポイント検索方法 - Google Patents

ナイキストポイント検索方法

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JP3357444B2 JP35216193A JP35216193A JP3357444B2 JP 3357444 B2 JP3357444 B2 JP 3357444B2 JP 35216193 A JP35216193 A JP 35216193A JP 35216193 A JP35216193 A JP 35216193A JP 3357444 B2 JP3357444 B2 JP 3357444B2
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
  • Dc Digital Transmission (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、デジタルフィルタ、及
びナイキストポイント検索方法に関する。さらに詳しく
いえば、本発明は、デジタル通信における伝送特性をナ
イキスト条件に合致させるためなどに用いられるデジタ
ルフィルタ、及び、受信側で符号間干渉が生じない時刻
を検索するためのナイキストポイント検索方法に関す
る。
【0002】本発明は、特に、16QAMの使用が予定
される移動体無線の受信装置に適用可能であるが、それ
のみに限定されない。
【0003】
【従来の技術】デジタル通信においては、伝送特性がナ
イキスト条件を満たせば、符号間干渉は生じないことが
知られている。そこで、そのような伝送特性を形成する
目的で、送信装置、受信装置にフィルタを備えることが
一般的に行われている。なお、このようなフィルタを、
本明細書ではナイキストフィルタ、あるいは、整合フィ
ルタと記す。
【0004】ナイキストの理論によれば、伝送特性がナ
イキスト条件を満たすと、符号r0の受信波形r(t) は、
図9(b) の(ア) に示すように、 r(t0)=r0 r(t0 ± kT) =0 となる。ここで、時刻t0は符号r0の受信時刻、k は k≧
1の整数、Tは符号間隔である。なお、t0、(t0 ± k
T) のように、互いの符号の符号間干渉が生じない時刻
を、本明細書ではナイキストポイントと記す。
【0005】前記ナイキストフィルタは、FIR(Finit
e Impulse Response) フィルタ、または、非巡回型フィ
ルタと呼ばれるデジタルフィルタで構成することができ
る。ただし、このようなデジタルフィルタの用途はナイ
キストフィルタに限られる訳ではない。
【0006】図9(a) は、このようなFIRフィルタの
構成を示す信号フロー図である。同図(a) において、20
0 は入力信号を1クロック分だけ遅延させて出力する遅
延手段である。各遅延手段200 の入力と出力とは、タッ
プと呼ばれる。201 は乗算手段である。また、H1 〜H
n は、各タップに乗じる係数である。
【0007】FIRフィルタは、前記遅延手段200 を連
ね、それらの入出力が形成する前記タップに前記係数H
1 〜Hn をそれぞれ乗じて、それら乗算結果を全て加算
するようにして構成される。なお、このような乗算を、
本明細書ではタップ計算と呼ぶ。
【0008】同図(a) においては、前記乗算結果の加算
が加算手段202 で行われ、その加算結果がフィルタリン
グされた信号Y(n) となることが示されている。
【0009】このように、FIRフィルタは、連ねた
(n−1)個の遅延手段に対して、n個の乗算手段、n
個の係数、及びn個の乗算結果を加算する加算手段から
構成される。
【0010】前記ナイキストフィルタを通過させた受信
信号においては、伝送特性が前記ナイキストフィルタに
よってナイキスト条件を満たすように調整されていれ
ば、ナイキストポイントが存在するはずである。しか
し、受信側においては、前記符号間隔Tは既知であって
も、ナイキストポイントは既知ではない。
【0011】そこで、従来より、伝送信号に既知信号を
挿入し、受信側においては、この既知信号を受信信号か
ら検知して、ナイキストポイントを推定するナイキスト
ポイント検索方法が提案されている。
【0012】図9(b) に基づき、このような従来のナイ
キストポイント検索方法について説明する。同図(b) に
おいて、(ア) は受信信号の既知信号成分である。ただ
し、受信信号には、例えば(イ) のような別の符号成分も
重畳される。t0、(t0 ± kT)は、前記したように、ナ
イキストポイントである。
【0013】(ウ) は、受信信号と既知信号との相関を指
示する評価値である。このような評価値の算出方法は、
既知信号の性質、例えば、位相、振幅などに基づいて設
定される。また、該評価値は、既知信号の受信時刻t0
極値となるように、その算出方法が設定されるものとす
る。
【0014】前記評価値の計算は、 t1+ kr U ( kr は、 kr ≧0である整数) の時刻において行われる。ここで、Uは前記評価値の計
算間隔である。従来のナイキストポイント検索方法にお
いては、このような時刻に計算される前記評価値と所定
値とを比較し、前記評価値が前記所定値よりも前記極値
に近づく時刻を探すことが行われる。
【0015】同図(b) においては、時刻(t1 +2U) に
おける前記評価値QA が前記所定値PA よりも前記極値
に近いので、そのような時刻(t1 +2U) がナイキスト
ポイントであると推定されたことを示している。なお、
前記のような受信信号と既知信号との相関を指示する評
価値を求めることを、本明細書では既知信号検出処理と
呼ぶ。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のナイ
キストポイント検索方法においては、推定されるナイキ
ストポイントと真のナイキストポイントとの間に生じる
誤差ΔTが、最大で前記計算間隔Uに達する。このよう
なナイキストポイントの推定誤差ΔTは受信誤り率を増
加させるものであるので、前記計算間隔Uをできるだけ
短くすることが望まれている。
【0017】このとき、前記評価値の計算対象となる受
信信号は前記ナイキストフィルタを通過している必要が
あるので、前記計算間隔Uを短くすると、前記ナイキス
トフィルタにおいても、その計算間隔は短くなる。
【0018】さらに、前記ナイキストフィルタを同じ畳
み込み区間に渡るFIRフィルタで構成するのであれ
ば、そのように計算間隔を詰めると、前記遅延手段が増
加し、前記タップ計算も増加する。
【0019】このように、デジタル通信の受信装置にお
いては、受信誤り率を低下させるために、 ・FIRフィルタのタップ数を増やし、かつ、FIRフ
ィルタの計算間隔をより短くすること ・既知信号検出処理をより短い間隔で行うこと が求められている。
【0020】ところが、このようなFIRフィルタを適
用したナイキストフィルタ、既知信号検出処理を、例え
ばDSP(Digital Signal Processor)を用いて実現しよ
うとするとき、それらに必要な単位時間あたりの演算量
が前記のように増加すると、使用するDSPも増やす必
要が生じてくる。
【0021】使用するDSPが増加すると、実装スペー
スの増加、消費電力の増加、コストの増加などが伴う。
そのため、特に車載する通信装置のように小型・軽量が
求められる技術分野においては、前記単位時間あたりの
演算量を減少させることが望まれている。
【0022】本発明の技術的課題は、このような問題に
着目し、デジタルフィルタ、及びナイキストポイント検
索方法において、受信誤り率を抑制可能としながらも、
それらに必要な単位時間あたりの演算量を減少させるこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】図1(a) に、請求項1の
デジタルフィルタの原理図を示す。デジタルフィルタ
は、信号を遅延させてタップを形成する遅延手段を有す
る非巡回型のデジタルフィルタであって、遅延手段1、
2、3のように、遅延前、または、遅延後のタップにお
いてタップ計算を行わない遅延手段を設けたものであ
る。
【0024】図1(b) に、請求項1のナイキストポイン
ト検索方法の原理図を示す。請求項1のナイキストポイ
ント検索方法においては、WS のように、受信信号に含
まれる既知信号に対して極値を示す特性を有する前記受
信信号と前記既知信号との相関を指示する評価値の算出
方法が設定されることを前提とする。
【0025】そのような前提において、請求項1のナイ
キストポイント検索方法は、前記評価値を前記受信信号
のサンプリング値に対して求め、前記評価値の極値近傍
からナイキストポイントを検索する際に、前記評価値の
大きさに応じて、前記評価値の計算間隔を、Q1 、Q2
、Q3 、Q4 に対しQ5 、Q6のように、前記評価値が
前記極値に近いほど短くなるように切り換える。
【0026】図1(c) に、請求項2のナイキストポイン
ト検索方法の原理図を示す。請求項2のナイキストポイ
ント検索方法は、そのような請求項1のナイキストポイ
ント検索方法において、前記受信信号のサンプリング値
を現時点での計算間隔よりも短い間隔で所定時間に渡っ
て記憶しておく。
【0027】そして、Q11〜Q12のように、前記評価値
の変化量が前記極値を経過してしまったことを指示する
際には、記憶しておいた前記サンプリング値から、Q12
に対しQ13のように、時間経過を逆に辿って、より短い
時間間隔で前記評価値を計算する。
【0028】
【作用】従来のデジタルフィルタにおいては、その計算
間隔を長くすれば単位時間あたりの演算量は減少する。
しかし、そのような構成では、フィルタリングされた信
号の出力間隔も長くなり、ナイキストフィルタに適用し
たときに、後段の既知信号検出処理の実行間隔も長くせ
ざるを得なくなる。つまり、そのように演算量を減少さ
せると、ナイキストポイントの推定誤差が大きくなり、
受信誤り率も増大する。
【0029】そこで、デジタルフィルタは、一部のタッ
プ計算を間引くことによって、単位時間あたりの演算量
を減少させる。一部のタップ計算を間引けば、デジタル
フィルタの計算間隔を短くすることでフィルタリングさ
れた信号の出力間隔を短くしても、単位時間あたりの演
算量は減少する。
【0030】そして、このようにしてフィルタリングさ
れた信号の出力間隔を短くすれば、ナイキストフィルタ
に適用したときに、後段の既知信号検出処理の実行間隔
を短くすることが可能になる。つまり、ナイキストポイ
ントの推定誤差を小さくして受信誤り率を抑制すること
が可能になる。
【0031】同図(a) においては、遅延手段1の出力が
形成するタップ、及び遅延手段2の出力が形成するタッ
プにおけるタップ計算が間引かれ、前記遅延手段1の入
力が形成するタップ、及び遅延手段3の出力が形成する
タップにおけるタップ計算が乗算手段4においてそれぞ
れ行われ、それらの乗算結果が加算手段5において加算
されることが示されている。ただし、同図をもって本発
明におけるタップ計算の間引き間隔などを限定するもの
ではない。
【0032】請求項1のナイキストポイント検索方法
は、受信時刻が既知信号の受信時刻から離れているかど
うかを推定し、既知信号の受信時刻から離れている時間
帯における既知信号検出処理の実行間隔を長くすること
によって、単位時間あたりの演算量を減少させる。
【0033】そして、請求項1のナイキストポイント検
索方法は、既知信号の受信時刻に近い時間帯における既
知信号検出処理の実行間隔は短くすることで、ナイキス
トポイントの推定誤差を小さくし、受信誤り率を抑制す
ることを可能にする。
【0034】同図(b) においては、前記評価値と所定値
Pj とを比較し、前記評価値が該所定値Pj よりも前記
極値から離れていれば3TM 毎に評価値Q1 、Q2 、Q
3 、Q4 を求め、前記評価値が該所定値Pj よりも前記
極値に近ければTM 毎に評価値Q5 、Q6 ・・を求める
ことが示されている。ただし、同図をもって本発明にお
ける既知信号検出処理の実行間隔を限定するものではな
い。
【0035】このとき、前記評価値の特性や、既知信号
の受信時刻から離れている時間帯における前記既知信号
検出処理の実行間隔によっては、前記評価値の極値にあ
たる時刻を、既知信号の受信時刻に近い時間帯における
前記既知信号検出処理の実行間隔以上に経過してしまう
ということが生じる可能性がある。
【0036】そこで、請求項2のナイキストポイント検
索方法は、前記受信信号のサンプリング値を記憶してお
き、このように記憶した前記受信信号のサンプリング値
を基に時間経過を逆に辿って既知信号検出処理を行うこ
とにより、ナイキストポイントの推定誤差を小さくし、
受信誤り率を抑制することを可能にする。
【0037】同図(c) においては、前記評価値が所定値
LASTよりも前記極値から離れていれば6TM 毎に評価
値Q10、Q11、Q12を求め、このように求めた評価値を
連結する線分の傾斜が、極値R1 と該極値R1 から6T
M 戻った時刻における評価値R2 とを結ぶ線分の傾斜よ
りも緩やかであれば、記憶しておいた前記受信信号のサ
ンプリング値からTM 逆上った時刻における評価値Q13
を求めることが示されている。ただし、同図をもって本
発明における既知信号検出処理の実行間隔を限定するも
のではない。
【0038】
【実施例】次に、本発明によるデジタルフィルタ、及び
ナイキストポイント検索方法が、実際上どのように具体
化されるのかを、実施例で説明する。
【0039】〔 デジタル通信システムの概要について
〕先ず、図2に基づき、デジタル通信システムの概要
について説明する。同図において、20は送信装置であ
り、21は受信装置である。
【0040】前記送信装置20においては、送信データが
整合フィルタ22に入力される。該整合フィルタ22の出力
は、D/A変換部23においてアナログ信号に変換され
る。該アナログ信号は、送信部24において変調され、送
信される。
【0041】このとき、前記整合フィルタ22における計
算、前記D/A変換部23におけるアナログ信号への変換
は、クロック信号発生部25が発生するクロックに同期し
て行われる。
【0042】前記受信装置21においては、前記送信装置
20の送信信号が受信部26において受信される。該受信部
26においては、受信信号を復調することが行われる。復
調された信号は、A/D変換部27において、デジタル信
号に変換される。該デジタル信号は、整合フィルタ28に
入力する。
【0043】前記整合フィルタ28の出力は、データ復調
部29において受信データに変換される。また、前記整合
フィルタ28の出力は、既知信号検出部30にも入力する。
該既知信号検出部30においては、前記整合フィルタ28の
出力から既知信号を検出してナイキストポイントを検索
することが行われる。
【0044】このとき、前記データ復調部29において
は、前記既知信号検出部30が検索した既知信号のナイキ
ストポイントを基準にして、符号間隔毎に受信データを
復調することが行われる。また、前記A/D変換部27に
おけるデジタル信号への変換、前記整合フィルタ28にお
ける計算、前記データ復調部29における受信データの復
調は、クロック信号発生部31が発生するクロックに同期
して行われる。
【0045】〔 本発明の実施例の構成について 〕次
に、本発明を前記整合フィルタ28、前記既知信号検出部
30に適応する場合を想定し、図3に基づいて、本発明の
実施例について説明する。前記A/D変換部27から出力
されるデータは、DSP40のポート40a に入力する。
【0046】該ポート40a に入力した前記データは、レ
ジスタ40b に記憶される。このとき、前記ポート40a か
ら演算部40c に対し割込要求が出力される。前記レジス
タ40b に記憶されたデータは、前記演算部40c によって
読込まれる。前記演算部40cにおいては、後述する制御
が実行される。
【0047】前記DSP40、ROM42、RAM43におい
ては、それらが接続するバス41を介して、相互にデータ
転送が行われる。前記ROM42には、前記DSP40にお
いて実行される前記制御の制御手順が記憶される。前記
RAM43には、前記DSP40において実行される前記制
御に必要なデータが記憶される。
【0048】前記ROM42には、同図(b) に示すタップ
係数h1 〜hm も記憶される。該タップ係数h1 〜hm
は、後述する整合フィルタ演算に用いられる。
【0049】同図(c) は、前記RAM43に記憶されるデ
ータの一例である。該領域には、サンプル数、現インデ
ックス、サンプリング値が記憶される。サンプリング値
の傍に付してある番号は、それらサンプリング値のイン
デックス番号である。以下では、該領域をサンプリング
値記憶領域と記す。
【0050】〔 サンプリング値記憶制御の制御手順に
ついて 〕次に、図4に示すフローチャートに基づい
て、前記DSP40において実行されるサンプリング値記
憶制御の制御手順について説明する。該制御は、前記ポ
ート40a から前記演算部40c に対して前記割込要求が出
力されると、実行中である制御を一時的に中断して実行
される。
【0051】ステップH50においては、前記レジスタ40
b に記憶されているデータを読出すことが行われる。該
データは、一時的に前記RAM43に記憶される。続くス
テップH51においては、前記サンプリング値記憶領域の
現インデックスが読出され、前記RAM43に確保される
変数INXに記憶される。
【0052】なお、前記サンプリング値記憶領域のサン
プル数、現インデックスは、別途に実行される初期化制
御(図示せず)によって、0に初期化されるものとす
る。
【0053】続くステップH52においては、前記変数I
NXに1が加えられる。該加算によって前記変数INX
がNLASTを超過したときは、ステップH53の判定によっ
て、制御はステップH54に移行する。そうでなければ、
制御はステップH55に移行する。ステップH54において
は、前記変数INXに1が代入され、制御はステップH
55に移行する。
【0054】ステップH55においては、前記変数INX
が前記サンプリング値記憶領域の現インデックスに代入
される。続くステップH56においては、前記サンプリン
グ値記憶領域の現インデックスが指示するインデックス
に対応する前記サンプリング値記憶領域のサンプリング
値に、前記ステップH50において読込まれた前記データ
が記憶される。
【0055】続くステップH57においては、前記サンプ
リング値記憶領域のサンプル数が、前記RAM43に確保
される変数CNTに代入される。続くステップH58にお
いては、前記変数CNTとNLASTとが比較される。前記
変数CNTがNLAST以上であれば、該制御は終了する。
【0056】一方、前記変数CNTがNLASTよりも小さ
ければ、制御はステップH59に移行する。ステップH59
においては、前記変数CNTに1を加えた値が、前記サ
ンプリング値記憶領域のサンプル数に記憶される。そし
て、該制御は終了する。該制御が終了すると、該制御に
より中断されていた制御の実行が再開される。
【0057】〔 ナイキストポイント検索制御の制御手
順について(その1) 〕次に、図5に示すフローチャ
ートに基づいて、前記DSP40において実行されるナイ
キストポイント検索制御の制御手順について説明する。
該制御は、上位制御(図示せず)が行う同期保護によっ
て既知信号受信時刻が近づいたと判断されるとき、ある
いは、非同期状態にあるとき、上位制御により起動され
る。
【0058】ステップH70においては、前記RAM43に
確保される変数Nに定数KN が加えられる。なお、前記
変数Nは、前記初期化処理によって0に初期化されるも
のとする。また、前記変数Nに対する加減算は、加減算
結果が前記NLASTよりも大きければNLASTをさらに減
じ、加減算結果が0以下であればNLASTをさらに加える
ようにして計算される。
【0059】続くステップH71においては、インデック
ス N、(N−L)、・・・・、(N−(m−1)L) で指標される前記サンプリング値記憶領域のサンプリン
グ値が読出され、前記RAM43に確保される変数 x(0)、x(−L)、・・・・、x(−(m−1)
L) に記憶される。ここで、mは前記タップ係数の個数であ
る。また、Lは定数である。なお、前記サンプリング値
記憶領域のサンプリング値記憶容量は、 NLAST > (m−1)L を満たすように確保される。
【0060】続くステップH72においては、前記変数 x(0)、・・・、x(−(m−1)L) が読出され、後述する整合フィルタ演算が行われる。該
整合フィルタ演算の演算結果y()は、前記RAM43に
記憶される。なお、該演算結果y()については、最新
の所定個数が記憶される。それらを新しい順に、 y(0)、y(−1)、・・・、y(q) と記す。
【0061】続くステップH73においては、前記演算結
果 y(0)、・・・、y(q) が読出され、既知信号検出処理(詳細は図示せず)が行
われる。該ステップで得られる前記評価値は、変数ER
に記憶される。
【0062】続くステップH74においては、前記変数E
Rと定数P1 とが比較される。該定数P1 は、前記評価
値の極値をER0 として、前記評価値が下へ凸であれ
ば、 P1 > P2 > ER0 を満たし、前記評価値が上へ凸であれば、 P1 < P2 < ER0 を満たすように選択される。ここで、P2 は、後述する
定数である。なお、同図においては、前記評価値が下へ
凸になるように前記既知信号検出処理が設定されている
ものとする。
【0063】前記変数ERが前記定数P1 以上であれ
ば、制御は前記ステップH70に戻る。そうでなければ、
制御はステップH75に移行する。なお、前記評価値が上
へ凸であれば、これらの分岐条件におけるそれぞれの大
小関係は逆になる。
【0064】ステップH75においては、前記変数ERが
変数Emin に代入される。そして、制御はステップH76
に移行する。
【0065】ステップH76においては、前記変数Nに1
が加算される。続くステップH77においては、前記ステ
ップH71と同様に、前記サンプリング値記憶領域のサン
プリング値が前記変数x()に読出される。続くステッ
プH78においては、前記ステップH72と同様に、後述す
る整合フィルタ演算が行われる。
【0066】続くステップH79においては、前記ステッ
プH73と同様に、前記既知信号検出処理が行われ、前記
評価値が前記変数ERに記憶される。そして、制御はス
テップH80に移行する。
【0067】ステップH80においては、前記変数ERと
前記変数Emin とが比較される。前記変数ERが前記変
数Emin 以上であれば、制御はステップH82に移行す
る。そうでなければ、制御はステップH81に移行する。
なお、前記評価値が上へ凸であれば、これらの分岐条件
におけるそれぞれの大小関係は逆になる。
【0068】ステップH81においては、前記変数Emin
に前記変数ERが代入される。そして、制御は前記ステ
ップH76に戻る。
【0069】ステップH82においては、前記変数Emin
と前記定数P2 とが比較される。前記変数Emin が前記
定数P2 以上であれば、該制御は終了する。そうでなけ
れば、制御はステップH83に移行する。なお、前記評価
値が上へ凸であれば、これらの分岐条件におけるそれぞ
れの大小関係は逆になる。
【0070】ステップH83においては、前記変数Nから
1が減算され、前記RAM43に記憶される。そして、該
制御は終了する。
【0071】該減算結果は、データ復調処理(図示せ
ず)に渡される。データ復調処理においては、該減算結
果をN’として、インデックス N’+KSYM SYM (KSYM =1、2、3・
・・・) で指標される前記サンプリング値記憶領域のサンプリン
グ値から受信データを復調することが行われる。
【0072】ここで、NSYM は、時系列に隣合う符号間
において前記ポート40a に入力されるデータ数である。
また、N’の加算は、前記変数Nの加算と同様に、前記
LASTを超過した場合はさらにNLASTが減じられるもの
とする。
【0073】〔 ナイキストポイント検索制御の制御手
順について(その2) 〕次に、図6に示すフローチャ
ートに基づいて、前記DSP40において実行されるナイ
キストポイント検索制御の制御手順の別例について説明
する。なお、同図において、前記符号と同一符号を付し
たステップは、同一符号で対応する前記ステップと同等
であるので、説明を省略する。
【0074】本例においては、前記ステップH74におい
て、前記変数ERが前記定数P1 以上であれば、制御は
ステップH91に移行する。そうでなければ、制御はステ
ップH90に移行する。
【0075】ステップH91においては、変数TMPに前
記変数ERが代入される。そして、制御は前記ステップ
H70に移行する。
【0076】ステップH90においては、前記変数Emin
に前記変数ERが代入される。続くステップH92におい
ては、変数Aに、前記変数TMPから前記変数Emin
減じた結果が代入される。
【0077】続くステップH93においては、前記変数A
と定数αとが比較される。該定数αは、前記評価値が前
記極値ER0 をとる時刻からKN SMP だけ逆上った時
刻における前記評価値の値から、前記極値ER0 を減じ
た値に設定される。ここで、TSMP は、前記ポート40a
にデータが入力される間隔である。
【0078】前記変数Aが定数αよりも大きければ、制
御は前記ステップH76に移行する。そうでなければ、制
御はステップH94に移行する。なお、前記評価値が上へ
凸であれば、これらの分岐条件におけるそれぞれの大小
関係は逆になる。
【0079】ステップH94においては、前記変数Nから
1が減算される。続くステップH95においては、前記ス
テップH71と同様に、前記サンプリング値記憶領域のサ
ンプリング値が前記変数x()に読出される。続くステ
ップH96においては、前記ステップH72と同様に、後述
する整合フィルタ演算が行われる。
【0080】続くステップH97においては、前記ステッ
プH73と同様に、前記既知信号検出処理が行われ、前記
評価値が前記変数ERに記憶される。そして、制御はス
テップH98に移行する。
【0081】ステップH98においては、前記変数ERと
前記変数Emin とが比較される。前記変数ERが前記変
数Emin 以上であれば、制御はステップH100 に移行す
る。そうでなければ、制御はステップH99に移行する。
なお、前記評価値が上へ凸であれば、これらの分岐条件
におけるそれぞれの大小関係は逆になる。
【0082】ステップH99においては、前記変数Emin
に前記変数ERが代入される。そして、制御は前記ステ
ップH94に戻る。
【0083】ステップH100 においては、前記変数E
min と前記定数P2 とが比較される。前記変数Emin
前記定数P2 以上であれば、該制御は終了する。そうで
なければ、制御はステップH101 に移行する。なお、前
記評価値が上へ凸であれば、これらの分岐条件における
それぞれの大小関係は逆になる。
【0084】ステップH101 においては、前記変数Nに
1が加算され、前記RAM43に記憶される。そして、該
制御は終了する。
【0085】該加算結果は、前記データ復調処理に渡さ
れる。データ復調処理においては、該加算結果をN’と
して、インデックス N’+KSYM SYM (KSYM =1、2、3・
・・・) で指標される前記サンプリング値記憶領域のサンプリン
グ値から受信データを復調することが行われる。
【0086】〔 整合フィルタ演算について 〕次に、
図7に示すデータフロー図を基に、前記整合フィルタ演
算について説明する。
【0087】前記のように前記RAM43に記憶される変
数 x(0)、x(−L)、・・・・、x(−(m−1)
L) には、前記タップ係数 h1 、h2 、・・・・hm がそれぞれ乗じられる。同図においては、乗算手段110
においてこのような乗算が行われることが示されてい
る。
【0088】そして、前記乗算結果は全て加算される。
この加算結果は、前記y(0)となる。同図において
は、加算手段111 においてこのような加算が行われるこ
とが示されている。
【0089】〔 作動についての説明 〕次に、図8に
示すグラフに基づいて、前記ナイキストポイント検索制
御の作動について説明する。同図(a) において、縦軸は
前記変数ER、横軸は前記変数Nを示している。また、
(ア) は前記評価値を示している。同図(a) において、前
記評価値は下へ凸であるとする。(イ) は前記評価値の極
値である。また、同図(a)においては、前記定数KN
4であるとする。
【0090】いま、N=10であるとき、前記ステップH
70、H71、H72、H73が実行されて前記変数ERがQ
100 になったものとする。該値Q100 が、前記定数P1
よりも大きければ、再度、前記ステップH70、H71、H
72、H73が実行される。このとき、前記変数ERがQ
101 になったものとする。
【0091】該値Q101 が、前記定数P1 よりも小さけ
れば、今度は、前記ステップH75、H76、H77、H78、
H79が実行される。このとき、前記変数ERがQ102
なったものとする。該値Q102 が前記Q101 よりも小さ
ければ、前記ステップH81を経て、再度、前記ステップ
H75、H76、H77、H78、H79が実行される。このと
き、前記変数ERがQ103 になったものとする。
【0092】同図(a) の(ウ) のように該値Q103 が前記
102 よりも大きく、かつ、前記Q102 が前記定数P2
よりも小さければ、今度は、前記ステップH80、H82、
H83が実行される。このとき、前記N’=19が記憶され
る。
【0093】また、同図(b) において、縦軸は前記変数
ER、横軸は前記変数Nを示している。また、(ア) は前
記評価値を示している。同図(b) において、前記評価値
は下へ凸であるとする。(イ) は前記評価値の極値であ
る。また、同図(b) においては、前記定数KN =4であ
るとする。
【0094】いま、N=26であるとき、前記ステップH
70、H71、H72、H73が実行されて前記変数ERがQ
111 になったものとする。該値Q111 が、前記定数P1
よりも大きければ、前記ステップH91を経て、再度、前
記ステップH70、H71、H72、H73が実行される。この
とき、前記変数ERがQ112 になったものとする。
【0095】該値Q112 が前記定数P1 よりも小さく、
(Q112 −Q111 )が前記定数α以下であれば、今度
は、前記ステップH94、H95、H96、H97が実行され
る。このとき、前記変数ERがQ113 になったものとす
る。該値Q113 が前記Q112 よりも小さければ、前記ス
テップH99を経て、再度、前記ステップH94、H95、H
96、H97が実行される。このとき、前記変数ERがQ
114 になったものとする。
【0096】同図(b) の(ウ) のように該値Q114 が前記
113 よりも大きく、かつ、前記Q113 が前記定数P2
よりも小さければ、今度は、前記ステップH98、H100
、H101 が実行される。このとき、前記N’=33が記
憶される。
【0097】
【発明の効果】デジタルフィルタは、前記のように、一
部のタップ計算を間引くようにして構成されるので、従
来とは異なって、フィルタリングされた信号の出力間隔
を短く保ち、かつ、畳み込み区間を長く保ったままで、
単位時間あたりの演算量を減らすことが可能になった。
【0098】そのため、デジタルフィルタをナイキスト
フィルタに適用して、単位時間あたりの演算量を減少さ
せながらも、ナイキストフィルタを通過させた受信信号
を短い間隔で得ることが可能になり、ナイキストポイン
トの推定誤差を小さくして、受信誤り率を抑制すること
が可能になった。
【0099】そして、デジタルフィルタにおいては、こ
のように単位時間あたりの演算量が減少するので、例え
ばDSPの使用個数が減り、装置の小型・軽量・低コス
ト化が可能になった。
【0100】請求項1のナイキストポイント検索方法
は、前記のように、受信時刻が既知信号の受信時刻から
離れている時間帯においては既知信号検出処理の実行間
隔を長くするので、従来とは異なって、単位時間あたり
の演算量は減少した。
【0101】そして、請求項1のナイキストポイント検
索方法においては、このように単位時間あたりの演算量
が減少するので、例えばDSPの使用個数が減り、装置
の小型・軽量・低コスト化が可能になった。
【0102】請求項2のナイキストポイント検索方法
は、前記のように、受信信号のサンプル値を記憶してお
き、受信時刻が既知信号の受信時刻を経過してしまった
ときには、記憶しておいた受信信号のサンプル値を基に
時間を逆上って既知信号検出処理を行うので、ナイキス
トポイントの推定誤差を小さくして、受信誤り率を抑制
することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を示すブロック図と、タイム
チャートである。
【図2】デジタル通信システムの概要を示すブロック図
である。
【図3】本発明の実施例を示すブロック図と、データ構
成図である。
【図4】サンプリング値記憶制御の制御手順を示すフロ
ーチャートである。
【図5】ナイキストポイント検索制御の制御手順を示す
フローチャートである。
【図6】ナイキストポイント検索制御の制御手順の別例
を示すフローチャートである。
【図7】整合フィルタ演算の演算方法を示すデータフロ
ー図である。
【図8】実施例の作動を示すグラフである。
【図9】従来のFIRフィルタの構成を説明する信号フ
ロー図と、従来のナイキストポイント検索方法を説明す
るタイムチャートである。
【符号の説明】
1、2、3 遅延手段 4 乗算手段 5 加算手段 27 A/D変換部 40 DSP 40a ポート 40b レジスタ 40c 演算部 41 バス 42 ROM 43 RAM

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受信信号に含まれる既知信号に対して極
    値を示す特性を有するようにその算出方法が設定される
    評価値を前記受信信号の所定時間毎のサンプリング値か
    ら算出し、算出された評価値の極値であるナイキストポ
    イントを検索するナイキストポイント検索方法におい
    て、 前記評価値の大きさに応じて、前記評価値を算出する算
    出間隔を、前記評価値が前記極値に近いほど算出間隔が
    短くなるように切り換えることを特徴とするナイキスト
    ポイント検索方法。
  2. 【請求項2】 請求項1のナイキストポイント検索方法
    において、 前記受信信号のサンプリング値を算出する算出間隔が短
    くなるように切換えられた時、サンプリング値を所定時
    間に渡って記憶しておき、前記評価値の変化量が前記極
    値を経過したことを検出した時には、時間経過を逆に辿
    って記憶しておいた前記サンプリング値を読出し、評価
    値の極値を求めることを特徴とするナイキストポイント
    検索方法。
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