JP3355942B2 - 蒸気滅菌器の運転方法 - Google Patents

蒸気滅菌器の運転方法

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JP3355942B2 JP18831996A JP18831996A JP3355942B2 JP 3355942 B2 JP3355942 B2 JP 3355942B2 JP 18831996 A JP18831996 A JP 18831996A JP 18831996 A JP18831996 A JP 18831996A JP 3355942 B2 JP3355942 B2 JP 3355942B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、医療用器具等を
滅菌するために用いられる蒸気滅菌器の運転方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、蒸気滅菌器は、被滅菌物を滅
菌槽内に密閉収納し、この滅菌槽に蒸気発生器からの蒸
気を送り込むことによって加熱菌している。この滅菌
程に先立つ前処理程として、前記滅菌槽とこれに収
容した被滅菌物を予熱するとともに、被滅菌物を含め
前記滅菌槽内の空気を排除している。前記滅菌槽およ
び被滅菌物の予熱は、滅菌程時に送り込まれる蒸気の
凝縮を抑制するために必要であり、前記滅菌槽内の空気
排除は、滅菌程において供給される蒸気を被滅菌物
の内部まで作用させるために必要である。滅菌程は、
前記のように、前記滅菌槽内蒸気を送り込む程であ
り、蒸気が被滅菌物と接触し、凝縮する際に放出される
熱によって被滅菌物を加熱し滅菌している。そのため
前処理程で充分に予熱が行われたとしても若干量の
水滴が生じてしまう。また、前処理程における予熱が
分な場合には、より大量の水滴が発生する。そこ
で、滅菌程の後に、滅菌程において被滅菌物に付着
した水滴を除去する後処理程を行している。この後
処理程では、真空乾燥の原理を応用したものが一般的
である。この真空乾燥は、前記滅菌槽を一定の温度に保
温した状態で、前記滅菌槽に対して真空排気と空気の導
入を繰り返し行うことにより、蒸発を促進し乾燥させる
ものである。
【0003】このような蒸気滅菌器において、業時
等、最初に作動させた場合(冷態起動時)、前記滅菌槽
の予熱に時間がかかるが、2回目以降は、前記滅菌槽全
体が加熱されているので、この予熱に要する時間
は少なくて済む。また、前記滅菌槽内収容する被滅菌
物の量種類によっては、前記滅菌槽内の空間容積や、
被滅菌物内の残留空気量が変化するため、空気の排除時
間にも変動が生じる。そのため、前処理程を一律の時
間で行うように設定した場合は、予熱不足あるいは予熱
過多となり、また残留空気量にも差が生じるため、つぎ
の滅菌程で滅菌不良あるいは滅菌過多を招き、適正な
滅菌が行われない。また、過剰に前処理程を行うの
は、時間や蒸気電力等の無駄使いである
【0004】さらに、前記蒸気滅菌器においては、手術
衣や患者用衣服等の被滅菌物は、カストと呼ばれる滅菌
用金属缶内収容して滅菌している。このようなカスト
内の被滅菌物を充分に乾燥するだけの時間をとろうとす
れば、後処理程の時間が非常に長いものになり、実際
の使用にそぐわない。しかも、後処理程において
滅菌槽内を水封式真空ポンプ等によって空気を排除しな
がら乾燥させる場合、真空ラインの洩れ等もあって長時
間を要する。前記蒸気滅菌器における各程の処理時間
は、一般に、特定の被滅菌物に関する滅菌所要時間の実
験データに基づいて必要時間を推測することによって決
定するほかなく、実際の現場では前記蒸気滅菌器の取扱
者の経験と勘にたよっている。そのため、滅菌作業の各
程にばらつきを生じ易く、安全側に考えて、幾分長め
程時間を設定して行っている。このことは、時間
と、蒸気や動力(電力)を無駄に消費していることにな
る。
【0005】そこで、前記蒸気滅菌器の下方に取り付け
られた温度検出手段により、滅菌工程開始時に、前記
菌槽内の温度あるい前記滅菌槽内で凝縮したドレン温
度等を計測することによって、前記滅菌槽内の温度が所
定の滅菌温度に到達したかどうかを判定し、これが滅菌
温度となった時点で滅菌の開始と判し、予め決められ
た時間にしたがって滅菌を行う方法が提案されている。
しかし、この方法では、滅菌工程開始時の前記滅菌槽内
温度に基づいて滅菌工程の所要時間を制御するもので
あり、それ以前の前処理工程については、従来と変わり
はない。また、この方法において、前記滅菌槽の温度
を、前記滅菌槽内の蒸気温度と区別して検出するのは難
しく、また蒸気温度の変化を捉えるのは難しい。また、
ドレンの排出量を測定することによって、被滅菌物の種
類,量,温度,水滴の量等による熱容量を判定する方法
も提案されているが、この方法ではドレンが前記滅菌
槽内の被滅菌物に付着したり、前記カスト内に残留する
等して必ずしもその全量が排出されるとは云えず、ま
給される蒸気の乾き度が低い場合には、蒸気中の液滴
分をドレンとして計測してしまうため、必ずしも正確
判定することができない。また、ドレン流量の流量計が
高価なこともあって、前記蒸気滅菌器自体のコストを上
昇させるという問題もある。以上のように、前記蒸気滅
菌器において、効率的な運転を行う上では、前記前処理
程において、負荷の大小に関わらず、前記滅菌槽内の
空気を確実に排除するとともに、被滅菌物を所定の温度
まで昇温させておくことが重要な課題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、前処理程において、滅菌槽のみならず
被滅菌物の内部まで確実に昇温させることができ、しか
も滅菌槽内の空気の排除を確実に行ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明
は、滅菌槽内の被滅菌物を所定の温度に昇温するととも
に、前記滅菌槽内の空気の排を行う前処理程を行っ
た後、被滅菌物を滅菌する滅菌程を行う蒸気滅菌器の
運転方法であって、前処理時、前記滅菌槽内蒸気
を導入し、この蒸気の導入を前記滅菌槽内が所定圧
なるまで継続し、その後蒸気を排出することによって前
記滅菌槽内の空気を排除し、この蒸気の導入と排出を行
う操作を所定回数行い、前記滅菌槽内の上部と下部の温
度を監視し、両者の温度差が一定以上の場合、前記操作
の繰返し回数を増加させることを特徴としている。
【0008】さらに、請求項2に記載の発明は、滅菌槽
内の被滅菌物を所定の温度に昇温するとともに、前記滅
菌槽内の空気の排除を行う前処理工程を行った後、被滅
菌物を滅菌する滅菌工程を行う蒸気滅菌器の運転方法で
あって、前処理工程時、前記滅菌槽内へ蒸気を導入し、
この蒸気の導入を前記滅菌槽内が所定圧力となるまで継
続し、その後蒸気を排出することによって前記滅菌槽内
の空気を排除し、この蒸気の導入と排出を行う操作を所
定回数行い、前記滅菌槽内の上部と下部の温度を監視
し、両者の温度差が第一設定値以上の場合、この温度差
が前記第一設定値より低い第二設定値以下になるまで、
前記操作を繰り返し行うことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態に
ついて説明する。この発明は、医療用,製薬用等の用途
蒸気滅菌器に適用して用いられるもので、滅菌槽内へ
の蒸気の導入とこの滅菌槽からの蒸気の排出を行うこと
によって被滅菌物の予熱と空気の排出とを行う前処理
程を行った後、前記滅菌槽内収容した被滅菌物を滅
菌する滅菌程を行う蒸気滅菌器を基本的な構成とする
ものである。ここでいう蒸気と、飽和蒸気および過熱
蒸気の両者を含むものであり、さらに飽和蒸気は、液滴
分を含まない乾き飽和蒸気と、多少とも液滴分を含む湿
り飽和蒸気を含む。ここ、この発明において、前処理
工程時の蒸気は、前記滅菌槽内の空気の排除と、被滅菌
および滅菌槽の予熱とを行う目的からすれば、過熱蒸
気が好ましく、飽和蒸気の場合には、なるべく液滴分
少なく、乾き度の高い飽和蒸気を用いる。
【0010】この発明において、前処理程では、前記
滅菌槽内所定圧力まで蒸気を導入した後、この蒸気を
前記滅菌槽から排出する一連の操作を繰り返し行うが、
この繰返し回数を増減させる回数増減手段を備えてい
る。ここで、前記滅菌槽内への蒸気の導入は、導入する
蒸気によって前記滅菌槽内を大気圧以上の圧力に加圧す
ることである。また前記滅菌槽内の蒸気を排出するこ
とで、この排出の際に前記滅菌槽内の空気も同時に排
される。さらに、この排出に際しては、真空ポンプ等の
真空吸引手段を用いる場合と用いない場合を含む。ま
た、前記滅菌槽への蒸気の導入と前記滅菌槽からの蒸気
行う操作は、蒸気の導入後、即座に排行う
場合と、導入終了時点の圧力を所定時間維持した後、排
行う場合も含んでいる。さらに、前記操作繰返
回数の増減は、前記の一連の処理をそのまま増減した回
数だけ繰り返す場合と、一回の処理に要する時間を短縮
し、一定時間当りの繰り返し回数を増減する場合とを
含んでいる。
【0011】このように、前記蒸気滅菌器において、被
滅菌物を前記滅菌槽内収容した後、前処理程を行う
に当り、前記滅菌槽内への蒸気の導入と排出を繰り返
行うことにより、前記滅菌槽と被滅菌物を予熱すると
ともに、この蒸気と空気の比重差を利用して被滅菌物
内の空気を含めて前記滅菌槽内の空気を排除する。この
際、前記回数増減手段によって、前記滅菌槽への蒸気の
導入と前記滅菌槽からの蒸気の出を行う操作の繰返
回数を増減することで、前記滅菌槽内収容する被滅菌
物の状況供給される蒸気の状況必要な滅菌処理内容
等に対応して、時間や蒸気等を浪費することく、被滅
菌物の予熱と前記滅菌槽内の空気の排除を確実に行う
【0012】また、この発明において、蒸気導入時の
滅菌槽内の圧力が一定時間内に所定圧達しない場
合には、前記滅菌槽への蒸気の導入と前記滅菌槽からの
蒸気の出を行う操作の繰返し回数を増加させる。すな
ち、前記滅菌槽内収容した被滅菌物の種類,量,温
度,湿り具合,水滴の量等によって熱容量が異なり、特
に滅菌作業開始時においては被滅菌物冷たく、蒸気
凝縮しやすいため、蒸気の供給量に対して圧力上昇は少
なく、規定の圧力に到達するまでの時間が長くなる。そ
こで、この圧力の上昇率の違いに基づいて負荷状況を知
ることができ、この負荷状況により、前記操作の繰返
回数を増減させる。
【0013】また、蒸気導入時、前記滅菌槽内が所定圧
達しない場合においては、前記の他に、前記滅菌槽
へ導入される蒸気自体の圧力が低い場合もあり、この
場合も同様とする。すなわち、この場合は、前記の負荷
大きい場合と異なり、時間の経過によっても、前記
菌槽内は所定圧力まで上昇しない。そのため、一定時間
を区切ってその時間内において前記滅菌槽内の圧力が
上昇するかどうかで判する。特に、この場合には、
滅菌槽内蒸気を導入する前に,すなわちその蒸気の
供給配管や蒸気発生器側において蒸気の圧力を検出し、
この蒸気の圧力が所定値よりも低い場合には、前処理
時、蒸気の導入と排操作の繰返し回数を規定の回
数に対して増加させる。
【0014】また、この発明においては、前記滅菌槽内
の上部と下部の温度を監視し、両者の温度差が一定以上
の場合には、蒸気の導入と排出の操作の繰返し回数を増
させる。すなわち、空気は蒸気よりも比重が重いた
め、前記滅菌槽内に空気が残留していると、蒸気を導入
しても前記滅菌槽内の下方に残留する空気の温度は上昇
し難く、空気の残留分だけ温度の上昇が低下するためで
ある。特に、この場合、前記滅菌槽内の上部と下部にお
ける温度差が第一設定値以上の場合には、この温度差が
前記第一設定値より低い設定値以下になるまで
気の導入と排出を繰り返す。
【0015】さらに、この発明においては、前処理
において、前記滅菌槽内の圧力が所定圧力に達しない場
合であっても、この圧力が滅菌可能な圧力以上である場
合には、この圧力でもって滅菌程の時間を延長して運
転を継続する。したがって、この発明によれば、前記
菌槽への供給蒸気の圧力が低い場合においても、滅菌温
度を下げた状態で滅菌を行うことができる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の具体的実施例を図面に基づ
いて詳細に説明する。ここで、図1は、この発明に係る
運転方法における制御パターンの例を説明するための
図面であり、図2は、この発明に係る運転方法を適用す
る蒸気滅菌器の一例を示す説明図である。
【0017】まず、図2を参照しながら、この発明を適
用する蒸気滅菌器の一例について、説明する。図2にお
いて、被滅菌物を収容するための滅菌槽1は、耐圧扉
(図示省略)を設けた被滅菌物の出入口があり、この耐
圧扉を閉じることで前記滅菌槽1内を完全に密閉するこ
とができるようになっている。前記滅菌槽1には、その
比較的上部に蒸気発生器(図示省略)からの第給蒸ラ
イン2を接続してあり、後述するように、前記滅菌槽1
内の上方から蒸気を供給するように構成してある。この
給蒸ライン2には、その蒸気流れ方向上流側から
順に、蒸気の供給を制御する第給蒸弁3,圧力調整の
ための給蒸圧調整弁4を設けてあり、それらの間に蒸気
加熱用の熱交換器5を設けてある。この熱交換器5に
は、前記蒸気発生器からの第給蒸ライン6を接続して
あり、この第給蒸ライン6の途中に設けた第給蒸弁
7の開閉制御によって、蒸気の供給を制御する。また、
前記給蒸ライン6からの蒸気は、前記熱交換器5内
において、前記給蒸ライン2内を流通する蒸気を加
熱した後、前記ドレンライン8を介して排出される
が、この第ドレンライン8の途中には、第スチーム
トラップ9を設け、ドレンのみを排出する。
【0018】前記滅菌槽1は、その周囲を取り囲む加
管10を備えている。この加熱管10には、前記蒸気発
器からの第給蒸ライン11を接続してあり、この第
給蒸ライン11の途中には、蒸気の供給を制御するた
めの第給蒸弁12を設けてある。また、前記給蒸
ライン11からの蒸気は、前記加熱管10内を流通し、
前記滅菌槽1を加熱した後、前記加熱管10の終端に接
続した第ドレンライン13を介して排出されるが、こ
の第ドレンライン13の途中には、第スチームトラ
ップ14を設け、前記第ドレンライン8同様ドレ
ンのみを排出する。
【0019】前記滅菌槽1には、一端に空気フィルタ1
5を備えた給気ライン16を接続してあり、この給気ラ
イン16の途中には、空気の流通を継断する給気弁17
設けてある。
【0020】前記滅菌槽1の底部には、排出ライン18
を接続してあり、この排出ライン18の途中に冷却装置
19を設けている。この冷却装置19は、この実施例で
冷却液によって前記排出ライン18内の流体を冷却
する熱交換器として例示するもので、途中に冷却液の供
給を制御するための冷却液制御弁20を備えた冷却液供
給ライン21と排水ライン22とを接続してある。この
冷却装置19の動作は、前記冷却液制御弁20の開閉操
作により冷却液の供給および停止を制御することによ
って行う。ここで前記排水ライン22は前記排出ライ
ン18と合流させてもよい。
【0021】前記排出ライン18は、前記冷却装置19
の下流側で、真空ライン23および排気ライン24の2
系統に分岐している。また、前記滅菌槽1の底部には、
ドレンライン25を接続している。前記真空ライン
23には真空制御弁26および真空ポンプ27を
、前記排気ライン24には排気弁28を設け、前記
ドレンライン25には、第スチームトラップ29
設けてある。ここで、前記真空制御弁26は、前記排
出ライン18を介して前記滅菌槽1内を真空吸引する際
に開放する
【0022】さらに、前記蒸気滅菌器には、運転を制御
するための制御装置30を設けてあり、この制御装置3
0は、前記蒸気滅菌器の運転状態を監視する検出手段か
らの信号に応じて、予め設定された手順に基づいて、
真空ポンプ27や前記各制御弁を適切に制御する。
こで、図示する実施例においては、前記検出手段とし
て、前記滅菌槽1内の圧力を監視する第圧力検出手段
31と、前記滅菌槽1内の温度を前記排出ライン18内
のドレン温度に基づいて監視する第温度検出手段32
が設けられている。また、この実施例においては、前記
給蒸ライン2から前記滅菌槽1内噴出する蒸気の
温度を検出するために、前記滅菌槽1内における前記
給蒸ライン2からの蒸気の噴出部に第温度検出手段
33を設けてある。そして、前記制御装置30は、この
温度検出手段33からの検出信号と、前記第圧力
検出手段31からの検出信号に基づいて、前記滅菌槽1
内の圧力と、前記滅菌槽1内における蒸気噴出部分にお
ける蒸気温度を比較演算することにより、この蒸気の過
熱度を判するように構成してある。すなわち、圧力が
同じであれば、蒸気の温度が高いほど過熱度が高
【0023】以下、前記蒸気滅菌器における運転の流れ
を説明し、その中で、この発明に係る運転方法を説明す
る。ここで、以下の説明において、前記各制御弁はその
動作を明記してなければ基本的に閉じているものとす
る。また、前記滅菌槽1内の圧力の変動を図1を参照し
ながら説明する。
【0024】ず最初に、前記滅菌槽1の予熱を行う
が、この実施例では被滅菌物の収納前に、前記滅菌槽1
の内外から蒸気を用いて予熱を行う(予熱工程)すな
ち、前記,第給蒸弁3,12を開放し、前記
気発生器からの蒸気を前記,第給蒸ライン2,1
1を介してそれぞれ前記滅菌槽1および前記加熱管10
供給する。前記給蒸ライン11からの蒸気は、
加熱管10内を流れ、前記滅菌槽1を外側から加温す
る。一方、前記給蒸ライン2からの蒸気は、前記
蒸圧調整弁4によって第一設定圧力P0(たとえば、2
kg/cm2G)に調整した後、前記滅菌槽1内へ流入し、
前記滅菌槽1を内側から加熱する。そして、前記滅菌槽
および前記加熱管10内供給された蒸気は、凝縮し
た後、前記ドレンライン13および前記ドレン
ライン25から排出される。
【0025】以上の操作により、前記滅菌槽1は、前記
耐圧扉を含めて全体が予熱される。このとき、前記
給蒸弁7を開放し、前記蒸気発生器からの蒸気を前記
給蒸ライン6から前記熱交換器5供給することによ
り、前記給蒸ライン2を流れる蒸気を加熱して、前
滅菌槽1内過熱蒸気を供給するようにしてもい。
これによって、前記滅菌槽1内に生じるドレン量を減少
させることができる。以上の操作は、特に1日の最初
動時あるいは同日であっても時間の経過により前記
菌槽1が冷えている状態での起動時,すなわいわゆる
冷態起動時においては行う必要があるが、連続した滅
菌作業時には省略することができる。この後、前記
給蒸弁3を閉じ、前記排気弁28を開くことにより、
前記滅菌槽1内を大気圧としておく。ここで前記
給蒸弁12は、そのまま開として前記加熱管10内に蒸
気を流通させた状態を維持し、前記加熱管10は、前記
滅菌槽1を所定の温度に維持するための保温手段として
機能させるのが好ましい。
【0026】そして、前記圧力検出手段31によっ
、前記滅菌槽1内の圧力が大気圧となっていることを
確認した後、前記耐圧扉を開いて滅菌物を前記滅菌槽
1内搬入し、前記耐圧扉を閉じて前記滅菌槽1を密閉
する。そして、前処理工程を行う。すなわち、前記
,第給蒸弁3,7を開放し、前記蒸気発生器からの
蒸気を前記,第給蒸ライン2,6から、前記滅菌
槽1および前記熱交換器5それぞれ供給する。ここ
で、前記給蒸ライン2においては、蒸気は前記熱交
換器5内流入して加熱されて過熱蒸気となり、前記
蒸圧調整弁4によって前記第一設定圧力P0に調整され
た後、前記滅菌槽1内流入する。前記滅菌槽1内
入した過熱蒸気は、図1に示すように時間とともに前
第一設定圧力P0となるまで上昇を続ける。この
、過熱蒸気は被滅菌物に接し、被滅菌物の温度を上
昇させる。
【0027】ここで、前記滅菌槽1内蒸気を正圧(大
気圧以上の圧力)で導入するのは、前記滅菌槽1内にお
ける蒸気温度を高温に維持し、短時間で被滅菌物およ
前記滅菌槽1の温度を上昇させるためである。従来、一
般に行われているように、減圧(大気圧以下)状態で蒸
気を導入し、真空吸引によって排気すると、真空吸引に
よって減圧した分、飽和蒸気温度が低下し、被滅菌物の
予熱が妨げられる。しかし、前のように正圧下で高
温の蒸気を導入すれば、こうした現象は生じない。前記
滅菌槽1内へ導する蒸気は、過熱蒸気が望ましいが
飽和蒸気でもよい。過熱蒸気が望ましい理由は、同じ圧
力では少なくとも飽和蒸気温度以上の温度であるため、
被滅菌物を短時間で予熱することができるためである。
さらに、飽和蒸気の場合には被滅菌物の加熱に応じて
即時に凝縮し、水滴となって被滅菌物に付着するが、過
熱蒸気の場合は、飽和蒸気との間に熱量の差を有してい
るため、水滴を蒸発させ、蒸気中取り込むことがで
き、滅菌程における滅菌効果の低下や、後処理程に
おける乾燥時間の長期化を抑制することができる。
【0028】前記制御装置30は、前記圧力検出手
段31からの信号に基づいて、前記滅菌槽1内の圧力上
昇を監視しており、前記滅菌槽1内が、蒸気の導入開始
から,すなわ前記給蒸弁3を開いてから一定時間
内に所定の圧力値まで上昇するかどうかを判する。こ
の所定の圧力値とは、この実施例においては、前記第一
設定圧力P0より若干低い第二設定圧力P1としてい
る。前記第一設定圧力P0は、前記制御装置30におい
て、蒸気の導入と排の操作を切り替えるタイミングを
する圧力として設定したものであり、前記第二設定
力P1を前記第一設定圧力P0より若干低く設定した
理由は、圧力の検出誤差等を考慮したためと、前記判定
を幾分早めにうためである。したがって、前記第二設
力P1は、前記第一設定圧力P0と同じとしても差
し支えない。
【0029】ここで、前記滅菌槽1内の圧力が前記第二
設定圧力P1まで上昇しない場合には、前記滅菌槽1内
の被滅菌物による負荷が大きい場合と、前記給蒸ラ
イン2からの蒸気の圧力が低い場合とがある。
【0030】前者の負荷が大きい場合について説明する
と、つぎのとおりである。すなわち、前記滅菌槽1内の
温度上昇にともない被滅菌物の温度は上昇するが、この
上昇の度合は、前記滅菌槽1の上昇の度合より若干遅れ
る。これは、熱伝達の遅れによるものであり、さらに被
滅菌物の表面温度が上昇しても中心の温度が低く、表
面の熱が中心部向かって伝えられるためである。ま
た、被滅菌物にもともと含まれている水分の蒸発によっ
ても熱を消費するため、この遅れが生じる。したが
て、被滅菌物の量,種類水分量によって所定の温度
に昇温するまでに消費される熱量は異なる。すなわち、
前記滅菌槽1内導入した過熱蒸気は、被滅菌物に熱を
奪われることにより、飽和蒸気となり、さらに凝縮水と
なる。そのため、前記滅菌槽1内導入された過熱蒸気
の体積の増加に差が生じ、前記滅菌槽1内の圧力が所定
の圧力値に到達するまでの時間に差が生じることにな
る。
【0031】一方、前記蒸気発生や配管の不具合等に
より、蒸気の圧力が低い場合には、前記滅菌槽1内の圧
力は、供給される蒸気の圧力以上は上昇しない。特に、
この圧力が前記第一設定圧力P0以下の場合には、時間
の経過によっても前記不具合が解消されない限りは前記
第一設定圧力P0に到達しない。したがって現実に
は、一定時間内に所定の圧力まで上昇するかどうかに
よって判定している。
【0032】前記のように、前記制御装置30が、
時間内に前記滅菌槽1内の圧力が前記第一設定圧力P0
まで上昇したと判すれば、前記給蒸弁3を閉じ、
前記排気弁28を開放することによって、前記滅菌槽1
から過熱蒸気を排出する。前記滅菌槽1からの過熱蒸気
の排出の際には、前記滅菌槽1に残留する空気が、空気
よりも比重の軽い過熱蒸気によって押出されるように
して排される。ここで、前記滅菌槽1の上前記
給蒸ライン2を接続し、底部に前記排出ライン18を
接続することによって、この比重差による空気の排
効率良く行うことができる。
【0033】このようにして、一回目の蒸気の導入およ
び排出が行われるが、この後、この導入および排出の操
作は、予め設定してある規定回数(図1に示す実施例に
おいては実線で示すように2回)繰り返し行う
【0034】また前記制御装置30は、前記滅菌槽1
内の圧力が定時間内に前記第一設定圧力P0まで上昇
しない場合にも、定時間経過後に、前要領によって
前記滅菌槽1からの蒸気の排出を行うが、この後の過熱
蒸気の導入および排出の操作は、前記規定回数を増加さ
せ(図1に示す実施例においては二点鎖線で示すように
3回)、この回数だけ前記操作を実行する。このよう
に、蒸気の導入と排出の繰返回数を増加させることに
より、前記滅菌槽1および被滅菌物の予熱と前記滅菌槽
からの空気の排除を確実に行うことができる。
【0035】ここで、前記滅菌槽1内の圧力が前記第二
設定圧力P1まで上昇するかどうかの監視は、蒸気の導
入操作ごと毎回行うようにしてもよい。さらに、この
とき、前記制御装置30は、前記滅菌槽1内の圧力が、
滅菌処理を行うために最低限必要な第三設定圧力P2
たとえば、1kg/cm2G)以上であるかどうかも判
しており、前記滅菌槽1内の圧力が、前記第三設定圧力
P2以上に上昇した場合には、つぎの処理程への移行
を許可し、上昇しない場合には、その旨の警報信号を発
するとともに、以後の滅菌処理を停止する。
【0036】以上の過熱蒸気の導入と排出の繰返しによ
って、被滅菌物をその中心部まで効果的に加熱するとと
もに、被滅菌物中に含まれる空気を分に排し、後の
滅菌程における蒸気の加熱むら等を軽減する。
【0037】さらに、前記滅菌槽1からの蒸気の
際には、前記滅菌槽1内の圧力が大気圧となる前に前記
真空制御弁26を開放し、前記真空ポンプ27を作動さ
せることにより、排出の時間を短縮することができる。
すなわち、前記排気弁28の開放のみによって排出
場合、前記滅菌槽1内の圧力が高い場合には、排
急速に行われるが、前記滅菌槽1内の圧力が大気圧に近
づくと、圧力差が小さくなるため排気は緩慢になる。そ
こで、前記滅菌槽1内の圧力が大気圧に近付いたとき
前記真空ポンプ27を作動させると、前記滅菌槽1内の
圧力は短時間で大気圧となる。ここで、前記真空ポンプ
27による吸引は、前記滅菌槽1内が大気圧となった時
点で停止させても、大気圧よりも若干減圧した状態で停
止させるようにしてもよい。
【0038】つぎに、滅菌工程について説明する。過熱
蒸気の導入と排出を規定回数または調整された回数繰り
返した後、前記排気弁28を閉鎖し、前記給蒸弁3
を開放するとともに前記給蒸弁7を閉鎖することに
より、前記熱交換器5による前記給蒸ライン2の加
熱を中断し、前記滅菌槽1内飽和蒸気を導入する。こ
こで、前記制御装置30は、前記前処理程において
滅菌槽1内の圧力が前記第一設定圧力P0まで上昇し
た場合には、前記第一設定圧力P0の蒸気でもって滅菌
を行うように設定する。一方、前記前処理程において
前記滅菌槽1内の圧力が前記第一設定圧力P0には到達
しないが、前記第三設定圧力P2以上に上昇した場合に
は、前記第一設定圧力P0以下の低い圧力での滅菌を
ように設定する。この低圧での滅菌においては、図1
に二点鎖線で示すように前記第一設定圧力P0で滅菌処
理を行う場合よりも時間を延長して行う。そして、前記
滅菌槽1内の圧力および温度が、滅菌に必要な値となっ
た時点で、滅菌時間のカウントを開始する。このとき、
前記滅菌槽1内導入された飽和蒸気は、その一部が凝
縮するが、ドレンは前記ドレンライン25から排出
される。ここで、前記滅菌槽1内は、前記前処理程の
段階で内部の空気が除去され、被滅菌物も中心部まで確
実に昇温されているため、の滅菌程において前記
菌槽1内の温度を滅菌に必要な温度まで確実に昇温する
ことがき、たこれ以後の程で過剰な凝縮水を生じ
ることはない。
【0039】そして、予め設定した滅菌時間に達する
と、前記第給蒸弁3を閉じて前記滅菌槽1内への飽和
蒸気の供給を停止するとともに、前記排気弁28を開放
して後処理移行する。この実施例における後処理
程は、前の真空乾燥の原理を応用したものを例示し
ている。すなわち、この後処理程においては、前記
気弁28の開放により前記滅菌槽1内の蒸気を排出し、
前記滅菌槽1内の圧力が略大気圧にまで低下した段階
で、前記排気弁28を閉じる。そして、前記真空ポンプ
27を起動した後、前記真空制御弁26を開放すること
により、前記滅菌槽1内を減圧状態にする。この減圧状
態では、飽和蒸気圧が低下しており、また 滅菌槽1
は前記加熱管10により保温状態にあるため、液滴の蒸
発が促進される。この真空吸引を一定時間継続する。前
滅菌槽1内所定の到達圧力まで減圧した後は、前記
給気弁17を一時的に開き、前記空気フィルタ15を介
して清浄空気を前記滅菌槽1内導入する。ことき
清浄空気の導入は、前記滅菌槽1内の圧力が大気圧とな
るまでは行わず、前記給気弁17を閉じた後は、引き続
き前記真空ポンプ27により減圧を行う。ここで、前記
の蒸気の排出および真空吸引に際しては、前記冷却液制
御弁20を開放し、前記冷却装置19冷却水を供給す
ることにより、前記排出ライン18内流入した蒸気を
冷却し、凝縮させて凝縮水として排出することにより、
排出時間を短縮することができる。
【0040】以上の真空吸引と空気の導入とを所定回数
繰り返した後は、前記給気弁17を開いて、前記滅菌槽
1内が大気圧となるまで前記滅菌槽1内清浄空気を導
入する。この後、前記耐圧扉を開いて前記滅菌槽1から
被滅菌物を取り出して、全程が終了する。ここで
加熱管10への蒸気の供給は、この後、滅菌作業を行
わない場合は停止して、前記蒸気滅菌器の運転を終了
し、滅菌作業の予定がある場合は継続して、前記滅菌槽
1を保温し、待機状態にしておく。
【0041】また、前記のような真空乾燥の原理を応用
した後処理程の他に、過熱蒸気によるパージによって
後処理程を行うことも可能である。すなわち、前記
程終了後、前記滅菌槽1が略大気圧にまで低下した
後も前記排気弁28を開放しておき、さら前記
給蒸弁3,7を開放して、前記熱交換器5によって
前記給蒸ライン2内の蒸気を加熱することにより、
前記滅菌槽1内過熱蒸気を供給する。この操作によっ
て、前記滅菌槽1内は再び過熱蒸気によって満たされる
ことになり、被滅菌物に付着する水滴は過熱蒸気からの
熱により蒸気となり、過熱蒸気の一部として取り込ま
熱蒸気とともに排出されるから、被滅菌物は効率良く
乾燥する。このようにして、所定時間パージを行った
後、前記,第給蒸弁3,7を閉じ、前記真空ポン
プ27を起動した後、前記真空制御弁26を開放し、
滅菌槽1内を真空吸引することにより過熱蒸気およ
凝縮水を排除する。この過熱蒸気の排出に際しても、
冷却液制御弁20を開放し、前記冷却装置19冷却
水を供給することにより、前記排出ライン18内流入
した過熱蒸気を冷却し、凝縮させて凝縮水として排出す
るため、排出時間が短縮される。この過熱蒸気の排出後
は、前記給気弁17を開いて前記滅菌槽1を外気と通じ
させ、前記空気フィルタ15を通過した清浄空気を前記
滅菌槽1内に導入して前記滅菌槽1内を大気圧とし
後、前記耐圧扉を開いて被滅菌物を取り出し、全程を
終了する。
【0042】さらに、この実施例においては、前記
温度検出手段33によって蒸気の温度を検出することに
より、蒸気の過熱度を検出する構成としてあり、この
熱度に応じて、前記前処理および前記後処理
あるいは延長するように制御する機能も備えてい
る。すなわち、蒸気過熱度が高いほど比重が軽く、空
気との比重差が大きくなるため、前記前処理程におけ
る空気の排効率が良くなり、前記前処理程の時間を
短縮することができる。また、過熱蒸気に取り込まれ
液滴量が増大するため、被滅菌物の乾燥が効率良く行わ
れることになり、この乾燥の際の使用蒸気量が少なくて
済み、前記後処理程(特に前パージに要する時間)
を短縮することができる。また、過熱度が高いほど蒸気
の保有熱量が大きいため、被滅菌物の予熱が効率良く
れ、前記前処理短縮することができるため、消
費蒸気量も削減することができる。逆に、過熱度が低い
場合には、その過熱度に応じて、前記各工程を延長して
実行することで所望の滅菌性能を得ることができる。
また、このようにして検出された過熱度に応じて、前記
給蒸ライン6から前記熱交換器5への供給蒸気量を
調整し、前記給蒸ライン2から前記滅菌槽1供給
される蒸気の過熱度を所定の値に維持することにより、
前記負荷判定の精度を高めることができ、負荷の判定結
果に基づく前記程の制御の精度も高めることができ
る。
【0043】以上の実施例においては、前記滅菌槽1に
付けた前記圧力検出手段31によって前記滅菌
槽1内の圧力を監視して、前記滅菌槽1内への蒸気の
前記滅菌槽1からの蒸気の出を行う操作につい
て、そ繰返し回数の調整を行うかどうかを判するよ
うにしているが、前記滅菌槽1内の圧力を監視する他
に、前記給蒸ライン2の蒸気の圧力を監視すること
によっても前記操作の繰返し回数の調整の判行う
とができる。具体的には、図2に示すように、前記
給蒸ライン2における前記給蒸圧調整弁4の下流側に第
圧力検出手段34を設け、この第圧力検出手段34
からの圧力検出信号に基づいて、導入される蒸気の圧力
が所定時間内に前記第一設定圧力P0あるい前記第二
設定圧力P1に達するかどうかを判定し、また前記第三
設定圧力P2以上であるかどうかを判し、前記操作の
繰返し回数の調整を判する。
【0044】さらに、前記構成においては、前記滅菌槽
1内の圧力や、前記滅菌槽1内へ導入される蒸気の圧力
に基づいて前記操作の繰返し回数の調整を判する他、
前記滅菌槽1内の温度の分布を監視することによって
判定することができる。すなわち、図2に示すように、
前記滅菌槽1内の上部の温度を監視する第温度検出手
段35と、前記滅菌槽1内の下部の温度を監視する第
温度検出手段36とを取り付ける。そして、前記制御装
置30によって、前記,第温度検出手段35,3
6からの温度検出信号に基づいて、前記滅菌槽1内の上
部と下部の温度を監視する。図3に示すように、前記
菌槽1内の上部と下部の温度差が第一設定たと
ば、5℃)以上の場合には、前記操作繰返し回数を増
させる。
【0045】このように、前記滅菌槽1内の温度の分布
を監視することによって、前記操作の繰返し回数の調整
を判定することができる理由は以下のとおりである。
すなわち、前のように空気は蒸気よりも比重が重い
ため前記滅菌槽1の下方に滞留する傾向にあり、しかも
蒸気よりも比熱が小さいため温度が上昇しにくい傾向に
ある。そのため、前記滅菌槽1内に空気が残留している
と、蒸気を導入しても前記滅菌槽1内の下方に残留する
空気の温度は上昇し難く、空気の残留分だけ温度の上昇
が低下するためである。
【0046】このようにして前記滅菌槽1の上部と
下部の温度差を監視することにより、空気の残留量(
るいは排除率)を把握することができるため、前記滅菌
槽1内の上部と下部の温度差が前記第一設定以上の場
合には、この温度差が第設定以下になるまで、前
作を繰り返し行うことも可能である。前記第二設定
は、前記第一設定より低い値であり、前記,第
温度検出手段35,36の取付位置による測定誤差や、
温度検出手段自体の測定誤差を勘案し、たとえば2℃程
度に設定する。
【0047】以上のように、前記構成においては、前記
操作の繰返し回数を増減するに際しては、前記前処理
程における最初の蒸気の導入時点から判定することが
き、被滅菌物の量種類に合った適正な前処理程を実
することができるため、滅菌不良を防止して、常に所
望の滅菌効果ることができる。しかも、従来のよう
最初から前記各工程の所要時間を長めに設定してお
く必要がいため、滅菌過剰を防止して、時間と蒸気や
動力(電力)の浪費を防止することができ、運転コスト
の低減を図ることができる等、種々の効果を有する。
【0048】さらに、前記構成においては、前記滅菌槽
1内の圧力変化率を監視することにより、前記滅菌槽内
の負荷を判定することもできる。すなわち、被滅菌物の
量が少なく比熱が少なく乾燥しているものほど、図
4に実線で示すように前記第一設定圧力P0までの到
達時間T1は短くなり、逆に被滅菌物の量が多く比熱
が大きく湿っているものほど、図に点線で示すよう
、前記第一設定圧力P0までの到達時間T2は長くな
る。したがって、この到達時間が短いほど(圧力上昇の
変化率が大きいほど)、前記蒸気滅菌器における負荷は
小さく、この到達時間が長いほど(圧力上昇の変化率が
小さいほど)、前記蒸気滅菌器における負荷は大きいと
する。
【0049】以上の負荷判定は、前記前処理工程におい
て、蒸気(過熱蒸気,飽和蒸気を含む。)を前記滅菌槽
1内導入する際の前記滅菌槽1内の圧力変化に基づい
て判定することができるため、処理が単純で少なく、負
荷判定装置としても低コストで構成することができるた
め、信頼性が高くなる。さらに、この負荷判定は、前記
前処理程における最初の給蒸時、前記滅菌槽1内の圧
力上昇に基づいて判されるため、この結果に基づいて
前記前処理程を含め、以後の前記程を短縮あるい
は延長させるように制御することができる。ここで、
程の短縮あるいは延長は、前記程がパージ等
のように一定の状態を保持するのみの場合には、時間そ
のものの短縮あるいは延長であり、前記程が前記
蒸気の導入と排のように一連の操作を繰り返すものの
場合には、一回の操作の所要時間の短縮あるいは延長
または操作の繰返し回数の増減である。
【0050】さらに具体的に説明すると、前記前処理
程においては、一回目の蒸気の導入および排出の後、こ
の導入および排出の繰返し回数を、前記負荷状況の判定
結果に基づいて行う。すなわち、負荷状況の判定結果が
高負荷である場合には、蒸気の導入および排繰返
回数を増加させ、逆に低負荷である場合には、蒸気の導
および排繰返し回数を減少させる。また、前記
程においては、前記負荷状況の判定結果が高負荷で
ある場合には滅菌時間を延長し、逆に低負荷である場
合には、滅菌時間を短縮する。さらに、前記後処理
において、真空吸引と空気の導入の繰り返し回数は、
負荷状況の判定結果に基づいて、負荷状況の判定結
果が高負荷である場合には、繰返し回数を増加させ、逆
に低負荷である場合には、繰返し回数を減少させる。ま
た、前記後処理程において、蒸気のパージによって被
滅菌物の乾燥を行う場合、このパージ時間は、負荷状況
の判定結果が高負荷である場合には延長し、逆に低負荷
である場合には短縮する。
【0051】
【発明の効果】の発明によれば、滅菌槽内収容する
被滅菌物の状況や供給される蒸気の状況や必要な滅
菌処理内容に対応して、時間や蒸気等を浪費すること
く、被滅菌物の予熱と滅菌槽内の空気の排除を確実に
ことができる。すなわち、滅菌槽内の上部と下部の温
度差に基づいて前記操作の繰り返し回数を増加させるこ
とにより、滅菌槽内の空気の残留率(あるいは排除率)
に対応した適切な前処理程を行い、被滅菌物の予熱と
滅菌槽内の空気の排除を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における
制御パターンの一例を説明するための図面である。
【図2】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法を適用す
る蒸気滅菌器の一例を示す説明図である。
【図3】この発明に係る蒸気滅菌器の運転方法における
制御パターンの他の例を説明するための図面である。
【図4】蒸気滅菌器の負荷を判定するための判定要領を
説明するための図面である。
【符号の説明】
1 滅菌槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−83351(JP,A) 特開 平4−295367(JP,A) 特公 昭64−3503(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 2/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 滅菌槽1内の被滅菌物を所定の温度に昇
    温するとともに、前記滅菌槽1内の空気の排を行う前
    処理程を行った後、被滅菌物を滅菌する滅菌程を
    蒸気滅菌器の運転方法であって、前処理時、前記
    滅菌槽1内蒸気を導入し、この蒸気の導入を前記滅菌
    槽1内が所定圧となるまで継続し、その後蒸気を排
    することによって前記滅菌槽1内の空気を排除し、この
    蒸気の導入と排出を行う操作を所定回数行い、前記滅菌
    槽1内の上部と下部の温度を監視し、両者の温度差が一
    定以上の場合、前記操作の繰返し回数を増加させること
    を特徴とする蒸気滅菌器の運転方法。
  2. 【請求項2】 滅菌槽1内の被滅菌物を所定の温度に昇
    温するとともに、前記滅菌槽1内の空気の排除を行う前
    処理工程を行った後、被滅菌物を滅菌する滅菌工程を行
    う蒸気滅菌器の運転方法であって、前処理工程時、前記
    滅菌槽1内へ蒸気を導入し、この蒸気の導入を前記滅菌
    槽1内が所定圧力となるまで継続し、その後蒸気を排出
    することによって前記滅菌槽1内の空気を排除し、この
    蒸気の導入と排出を行う操作を所定回数行い、前記滅菌
    槽1内の上部と下部の温度を監視し、両者の温度差が第
    一設定値以上の場合、この温度差が前記第一設定値より
    低い第二設定値以下になるまで、前記操作を繰り返し行
    ことを特徴とする蒸気滅菌器の運転方法。
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