JPS6034391B2 - 蒸気滅菌機の空気障害除去方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、医療用の器具、材料、例えばメス、ピンセ
ット、かん子、織帯、手術衣等の被滅菌物を蒸気滅菌す
る際に、滅菌行程に先立って予め滅菌機内および被滅菌
物内の空気を排除し、滅菌効果が空気の存在のため妨げ
られることのないようにする空気障害除去方法に関する
。

空気障害を除去する排気行程には、高予備真空法、下方
移動法、間欠排気法（陽圧）、間欠真空法（陰圧）、真
空給蒸法等があるが、本発明は、今日広く行なわれてい
る真空給蒸法を対象としたものであって、滅菌室内の空
気排除が十分に行なわれたことを迅速に且つ自動的に判
断して、無駄な排気行程の延長、或は空気排除の不足を
生じることなく排気行程を終了させる方法を得ることを
目的としたものである。

本発明は、真空ポンプによる吸引および少量の蒸気吹込
み（給蒸）を交互に繰返して滅菌室内空気および被滅菌
物に含まれる空気を排除する際に、給蒸後の滅菌室内空
気の湿度と、吸出される空気の温度との差が、残留空気
量が多い程大きいことは着目し、この現象を利用したも
のである。

以下、図面を参照して本発明を説明する。第１図は、蒸
気滅菌機の要部の基本形を略示する。

１は密着する蓋２を備えた耐圧性の滅菌室で、弁３を備
えた給蒸用の管４（滅菌、乾燥行程のときは滅菌蒸気、
滅菌空気を通される）により適度に減圧された蒸気を供
給され、また弁５、真空ポンプ６を有する排除用の管７
により低圧にされるようになっている。

蓋２で密閉して滅菌室１内の空気を真空給蒸法により排
除するには、弁３を閉じた状態で真空ポンプ６を運転し
弁５を開き、管７を通して滅菌室内の空気を排除し、そ
の後弁５を閉じ真空ポンプ６を停止させ、弁３を開いて
管４から少量の減圧蒸気を室１内に送り、次いで再び弁
３を閉じ、弁５を開き真空ポンプ６を運転して室１内を
低圧にする操作を数回繰返して行なう。

この排気行程における滅菌室内の圧力変化の状態は、第
２図の曲線ａのようになる。

第２図の曲線ａは、滅菌室内の圧力が時間と共に変化す
る状況を示し、Ｔ，時間の真空ポンプ６の運転により滅
菌室１内の圧力はＰｏからＰ，に低下する。

その後の管４からの少量の給蒸によりＴ２時間後に圧力
がＰ２に高まる。再び真空ポンプによる排気を開始する
と、Ｔ３時間後に圧力がＰ３になり、真空ポンプ停止、
弁３からの給蒸によりＴ４時間後に圧力はＰ４になり、
更にＴ５時間の真空ポンプ運転により滅菌室１内の圧力
はＰ５となり、空気排除がこれで十分に行なわれたなら
ば、その後真空ポンプ６を停止して滅菌室１内に高圧、
多量の滅菌用蒸気を管４を通して吹込み滅菌、乾燥行程
に移行する。このような波状の真空吸引、給蒸をどの程
度繰返せば空気障害を排除できるかは、場合により異な
って一定しない。

即ち、被滅菌物の種類（例えば繊維室、金属、試験管や
瓶等の容器）、形状、量等によって被滅菌物に含有され
る空気の量、破滅菌物から惨出する空気の速度等に差が
あるためである。従って空気排除のためには、これらの
条件を考慮して経験的に処理時間を決め、且つ処理時間
を多目にして安全な操業が行なえるようにされるが、こ
れでは作業に熟練を要し、しかも能率が悪くなり無駄も
多くなる。本発明は、空気排除が十分に行なわれた時期
を自動的に検出し判断して排気行程を終了するようにし
て上記の不都合をなくすものである。

第３図は、本発明の方法を実施する蒸気滅菌機の要部を
例示し、第１図の基本構造のものに、温度検出器８を、
途中にニードル弁９を設けた細管１０で滅菌室１に接続
し、排除用の管７に温度検出器１１を接続したものであ
る。

温度検出器８，１１は、例えば白金熱電対のような検出
温度を電気量に変換するものとし、例えばその出力導線
を第４図のように接続して温度検出器８，１１の出力の
差を演算器１２へ送り、検出器８，１１で検出した温度
の差が、例えば３℃程度に降下すれば、空気排除行程終
了の信号を出すようにしたものである。これは、破滅菌
物に空気が含まれていると、真空吸引後の給蒸により、
含有空気中の湿気が蒸発するので温度検出器１１で検知
する温度は、検出器８の検知する温度より低くなる現象
を利用したものである。

ニードル弁９、総督１川ま被滅菌物中の湿気が滅菌室に
惨出し滅菌室内の温度が低下する状況に合せて滅菌室内
の気体を温度検出器８に通すようにしたものである。第
５図は本発明の方法による空気排除行程の動作順序を例
示する。

図中、真空ポンプはＶＰで示している。始動スイッチ１
３を押すと、真空ポンプ６が始動し、弁５が開く。

弁３は始動前から閉じられており、これにより滅菌室１
内は減圧される。この運転をＴ，時間（約２分）継続し
たならば付設のタイマ（図示されていない）により真空
ポンプ６を停止させ弁５を閉じ、弁３を開いて滅菌室内
に少量の減圧蒸気（絶対圧力約０．８気圧）を吹込む。
この結果温度検出器８，１１に現われる温度差出力を演
算器１２に入れ、温度差が所定の３℃に達していれば、
排気行程を終了して滅菌、乾燥行程１４へ移行させ、温
度差が３℃に達しなければ、これを弁別して弁３を閉じ
、再び始動時の処理を繰返させる。このような動作を自
動的に行なわせるために演算器１２と協働して弁３，５
（通常、電磁弁、モータ弁が使用される）や真空ポンプ
６を駆動する装置が付設される。本発明の方法は、蒸気
滅菌機における空気障害排除をこのようにして行なうか
ら、空気排除が十分行なわれない間は、排気処理を繰返
し行なわせ、空気排除が十分行なわれると、排除行程を
終了させる動作が自動的に行なわれるので、迅速に空気
障害除去の処理を終了して次の滅菌、乾燥行程へ移行で
きるようになり、前述した不都合を除くことができるの
である。

なお、上記の実施例では、排除行程終了時期を検知する
ために温度検出を行なっているが、温度検出器８，１１
による温度検出は、残留空気の有無、量を温度を媒介と
して検知するもののであるから、代りに湿度センサを使
用することもできるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は通常の蒸気滅菌機の空気障害排除に関する基本
的な構成を示す略図、第２図は滅菌室内の圧力変化を示
す級図、第３図は本発明の方法を実施するための装置を
付設した蒸気滅菌機の略図、第４図は２個の温度検出器
の接続を示す略図、第５図は本発明の方法による空気障
害排除動作を示す図である。 １：滅菌室、２：蓋、３：弁、４：管、５：弁、６：真
空ポンプ、７：管、８：温度検出器、９：ニードル弁、
１１：温度検出器、１２：演算器、１３：始動スイッチ
、１４：滅菌、乾燥行程。 第１図 第２図 第３図 第４図 第５図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 弁３を設けた給蒸用の管４と、弁５および真空ポン
   プ６を設けた排除用の管７とを、密閉可能の滅菌室１に
   通じさせた蒸気滅菌機における、給蒸と真空排除とを交
   互に行なう空気排除工程において、給蒸後の滅菌室１内
   の温度または湿度と、排出される気体の温度または湿度
   とを検出し、両温度または湿度の差を電気量に変換して
   演算器に導入し、滅菌室内の空気排除の良否を判断させ
   ることを特徴とする蒸気滅菌機の空気障害除去方法。