JP3355592B2 - 透明導電膜基板 - Google Patents

透明導電膜基板

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JP3355592B2 JP26116594A JP26116594A JP3355592B2 JP 3355592 B2 JP3355592 B2 JP 3355592B2 JP 26116594 A JP26116594 A JP 26116594A JP 26116594 A JP26116594 A JP 26116594A JP 3355592 B2 JP3355592 B2 JP 3355592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明導電膜基板に係り、
特に液晶表示装置に用いられる予め液晶配向処理がなさ
れた透明導電膜基板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、対向した1組の透明基
板間に液晶を挟持したパネルに偏光板を配置して構成さ
れている。上記の透明基板には、電気信号を加えるため
の透明電極が設けられており、この透明電極は種々のパ
ターニングされた透明導電膜から形成されている。そし
て、対向した透明基板の透明電極間に電気信号を加える
ことにより、外部から入射する光を変調し情報を表示す
ることができる。
【0003】このような液晶表示装置において実用可能
な表示コントラストを得るには、透明基板間に挟持され
た液晶を初期配向させる必要性がある。液晶を初期配向
させる方法としては、種々のパターニングされた透明導
電膜が形成された透明基板上にポリイミド等の有機材料
を塗布、硬化後、この有機材料膜をナイロン樹脂系ある
いはビニル樹脂系の繊維で作成されたラビング布で一定
方向に擦ることにより配向力を付与するラビング法があ
る。
【0004】また、液晶を初期配向させる他の方法とし
て、種々のパターニングされた透明導電膜が形成された
透明基板上に酸化珪素等の無機材料を斜め方向から真空
蒸着する斜め蒸着法が挙げられる。
【0005】さらに、液晶を初期配向させる他の方法と
して、種々のパターニングされた透明導電膜が形成され
た透明基板上に直接、あるいは、透明基板上に形成した
酸化珪素等の無機材料膜やポリイミド等の有機材料膜上
に、イオンを電気的に加速して照射することにより配向
処理を施すイオンビーム照射法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ラビング法は、ラビング布を有機材料膜表面に機械的に
擦りつけるため、ラビング布から脱落した繊維や塵の発
生などにより、そのままの状態で使用すると表示欠陥を
生じるという問題があった。また、TFT(薄膜トラン
ジスタ)素子等のアクティブマトリックス液晶ディスプ
レイにおいては、ラビング時の摩擦により静電気が発生
し、素子が静電破壊されることがあるという問題もあっ
た。
【0007】また、上述の斜め蒸着法は、ラビング法に
よる配向処理よりも比較的良好な配向性能を得ることが
できるが、基板温度、蒸着条件等の最適条件の範囲が比
較的狭く、また、大面積での面内分布が悪いために生産
性が劣るという問題点があった。さらに、上述のように
パターニングされた透明導電膜が形成された透明基板上
に無機材料を斜方蒸着するため、透明導電膜のエッジ部
分では無機材料の付着量が所定量に達しない箇所が生
じ、このようなエッジ部分の蒸着状態は透明導電膜上や
透明導電膜の存在しない基板上における蒸着状態とは異
なり、配向特性の劣化が生じたり表示欠陥の原因になる
という問題もあった。
【0008】さらに、上述のイオンビーム照射法は、斜
め蒸着法と同様にラビング法の問題点を解決するための
方法であるが、透明導電膜のエッジ部分では段差があり
イオンビームが照射されにくい箇所が発生したり、イオ
ンビームの入射方向が異なって配向状態に変化が生じる
という問題があった。また、パターニングされた透明導
電膜が形成された透明基板上に直接イオンビームを照射
する場合、透明導電膜上と基板上とでのイオンビームに
よる溝形成状態が異なり、このため、透明導電膜のエッ
ジ部分を境に配向状態が変化して配向不良を生じるとい
う問題があった。
【0009】本発明は上述のような事情に鑑みてなされ
たものであり、配向特性の劣化による表示欠陥を生じな
い液晶表示装置を可能とする予め液晶配向処理がなされ
た透明導電膜基板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は透明基板と、該透明基板の一方の面
に形成された複数の第1線状溝部と、該第1線状溝部形
成面上に形成され表面に複数の第2線状溝部を有する透
明導電膜とを備え、前記第1線状溝部は相互にその長手
方向が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜90
00Åの範囲であり、前記第2線状溝部は相互にその長
手方向が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜9
000Åの範囲であり、前記透明導電膜は斜め蒸着法に
よって形成され、蒸着物質の柱状体が実質的に平行に配
列した膜であるような構成とした。
【0011】また、本発明は透明基板と、該透明基板の
一方の面に形成され表面に複数の第1線状溝部を有する
配向膜と、該配向膜上に形成され表面に複数の第2線状
溝部を有する透明導電膜とを備え、前記第1線状溝部は
相互にその長手方向が実質的に平行であり、かつ、深さ
が100〜9000Åの範囲であり、前記第2線状溝部
は相互にその長手方向が実質的に平行であり、かつ、深
さが100〜9000Åの範囲であるような構成とし
た。
【0012】
【作用】透明基板に形成された第1線状溝部、あるい
は、透明基板に設けられた配向膜に形成された第1線状
溝部は、その長手方向が相互に実質的に平行であり、か
つ、深さが100〜9000Åの範囲であり、この第1
線状溝部を有する面上に形成された透明導電膜は、第1
線状溝部の形状をほぼ忠実に再現した複数の第2線状溝
部を有し、透明導電膜のエッジ部分の段差でも配向制御
されない箇所が生じることがなく、上記の第1線状溝部
および第2線状溝部により透明導電膜基板上には透明基
板と透明導電膜とにおいて差のない配向特性が発現され
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0014】図1は本発明の透明導電膜基板の一部を示
す平面図であり、図2は図1のII−II線における拡大部
分断面図である。図1および図2に示されるように、本
発明の透明導電膜基板1は、透明基板2と、この透明基
板2の一方の面に形成された複数の第1線状溝部3と、
第1線状溝部3の形成面上に形成され第2線状溝部5を
有する透明導電膜4とを備えている。第1線状溝部3
は、相互にその長手方向(図1では矢印で示される方
向、図2では紙面に垂直な方向)が実質的に平行であ
り、かつ、深さが100〜9000Å、好ましくは30
0〜2000Å、さらに好ましくは500〜1000Å
の範囲である。第1線状溝部3の深さが100Å未満で
あると第1線状溝部の形状が第2線状溝部に反映されな
くなり(第2線状溝部が形成されない状態となり)、9
000Åを超えると第1線状溝部上に形成される透明導
電膜4に断線を生じる危険性があり好ましくない。
【0015】そして、透明導電膜4は、第1線状溝部3
を有する透明基板2上に形成されたものであり、第1線
状溝部3の形状をほぼ忠実に再現した複数の第2線状溝
部5を有している。したがって、第2線状溝部5は、相
互にその長手方向が実質的に平行であり、かつ、深さが
100〜9000Å、好ましくは300〜2000Å、
さらに好ましくは500〜1000Åの範囲であるとと
もに、各第2線状溝部5の長手方向は、その直下に位置
する第1線状溝部3の長手方向と同一方向である。
【0016】本発明の透明導電膜基板1を構成する透明
基板2としては、石英ガラス、パイレックスガラス、合
成石英板等の可撓性のないリジット材、あるいは、透明
樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有するフレキ
シブル材を用いることができる。このなかで、特にコー
ニング社製7059ガラスは、熱膨張率の小さい素材で
あり寸法安定性および高温加熱処理のおける作業性に優
れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカ
リガラスであるため、アクティブマトリックス方式によ
る液晶表示装置に適している。
【0017】透明基板2に形成されている第1線状溝部
3は、透明基板2にイオンビームを斜方方向から照射し
て形成することができる。この場合、雰囲気圧力1×1
-5〜2×10-5Torr程度のチャンバー内に透明基板2
を載置するとともに、この透明基板2の斜め上方にイオ
ン銃を配設し、このイオン銃からイオンビームを透明基
板2に照射する。イオンビームの照射方向は、透明基板
面の法線から50〜85°の範囲、好ましくは70〜8
0°の範囲で傾斜した方向とする。照射イオンとして
は、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、ヘリウ
ム、酸素、窒素、水蒸気、四フッ化炭素、六フッ化炭素
等のガスイオンを使用することができ、イオン銃として
は、公知のカウフマン型イオン銃等を使用することがで
きる。
【0018】このようにして透明基板2形成される複数
の第1線状溝部3は、上記のように相互にその長手方向
が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜9000
Åの範囲にあるため、透明基板2には、挟持された液晶
をプレチルト角が発生した状態で第1線状溝部3の長手
方向に沿った方向に配向するような配向処理が施された
ことになる。
【0019】一方、透明導電膜基板1を構成する透明導
電膜4は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびその合金等
を用いて形成されたものであり、その厚みは1μm以
下、好ましくは0.01〜0.5μm程度である。そし
て、透明導電膜4の膜厚は、上記の第1線状溝部3の深
さよりも大きいことが重要であり、第1線状溝部3の深
さをA、透明導電膜4の膜厚をBとした場合、1<B/
A<20、好ましくは1<B/A<10であるようにす
る。透明導電膜4の膜厚Bが第1線状溝部3の深さA以
下の場合(1≧B/A)、第1線状溝部3上において透
明導電膜4に断線が発生し易くなり、一方、第1線状溝
部3の深さAに対して透明導電膜4の膜厚Bが大きすぎ
る場合(B/A≧20)、第1線状溝部3が埋もれてし
まい、第2線状溝部5が形成できなくなり好ましくな
い。このような透明導電膜4は、スパタッリング法、真
空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成す
ることができる。
【0020】このような透明導電膜基板1を用いて液晶
を挟持した場合、常に液晶の配向はプレチルト角が発生
した状態で第1線状溝部3および第2線状溝部5の長手
方向に沿った方向となる。そして、図3に示されるよう
に、パターニングされた透明導電膜4が存在する領域
と、透明導電膜4が存在せず透明基板2が露出する領域
とが併存しても、前者の領域では第2線状溝部5の長手
方向に沿った方向に液晶が配向され、また、後者の領域
では第1線状溝部3の長手方向に沿った方向に液晶が配
向されることになり、さらに、透明導電膜4のエッジ部
分においても液晶の配向状態が変化することがないた
め、透明導電膜基板1の全面において均一な配向状態が
可能となる。
【0021】本発明において、特に斜め蒸着法により透
明導電膜4を形成する場合、上述のように第1線状溝部
3が形成されている透明基板2上に成膜するため、未処
理の透明基板上に斜め蒸着する場合に比べて面内分布性
がよく、基板温度、蒸着条件等の最適条件の範囲が比較
的広くなり生産性が向上する。
【0022】但し、斜め蒸着法により形成された透明導
電膜4は、上記の蒸着物質の柱状体が実質的に平行に配
列した膜であり、この柱状体が透明基板2の法線に対し
て傾斜する角度により透明導電膜4上の液晶の配向方向
が90°異なるため、柱状体の配列は以下に述べるよう
な2種の態様とする必要がある。
【0023】まず、図4に概略的に示されるように、透
明導電膜4を構成する柱状体4aは、第1線状溝部3お
よび第2線状溝部5の長手方向(図4に矢印Aで示され
る方向)に平行であり、かつ、透明基板2の法線からの
傾き角度θが60〜75°の範囲となるように配列する
ことができる。このような透明導電膜4を備えた透明導
電膜基板1を用いて液晶を挟持した場合、透明導電膜4
上での液晶の配向はプレチルト角が発生した状態で第1
線状溝部3および第2線状溝部5の長手方向(柱状体4
aの傾斜方向)に沿った方向となる。
【0024】また、透明導電膜4を構成する柱状体4a
は、図5に概略的に示されるように、第1線状溝部3お
よび第2線状溝部5の長手方向(図5において紙面に垂
直な方向)に対して垂直であり、かつ、透明基板2の法
線からの傾き角度θが40〜60°の範囲となるように
配列することができる。このような透明導電膜4を備え
た透明導電膜基板1を用いて液晶を挟持した場合、透明
導電膜4上での液晶の配向はプレチルト角が発生した状
態で第1線状溝部3および第2線状溝部5の長手方向に
沿った方向(柱状体4aの傾斜方向と垂直な方向)とな
る。
【0025】上述のように斜め蒸着法によって透明導電
膜4を形成することにより、透明導電膜基板1を用いて
液晶を挟持した場合、常に液晶の配向はプレチルト角が
発生した状態で第1線状溝部3および第2線状溝部5の
長手方向に沿った方向となる。そして、図3に示される
ように、パターニングされた透明導電膜4が存在する領
域と、透明導電膜4が存在せず透明基板2が露出する領
域とが併存しても、前者の領域では透明導電膜4を構成
する柱状体4aの傾斜角度に応じて第2線状溝部5の長
手方向に沿った方向に液晶が配向され、また、後者の領
域では第1線状溝部3の長手方向に沿った方向に液晶が
配向されることになり、さらに、透明導電膜4のエッジ
部分においても液晶の配向状態が変化することがないた
め、透明導電膜基板1の全面において均一な配向状態が
可能となる。
【0026】図6は本発明の透明導電膜基板の他の例を
示す図2相当の拡大部分断面図である。図6に示される
本発明の透明導電膜基板11は、透明基板12と、この
透明基板12の一方の面に形成された配向膜13と、配
向膜13の表面に形成された複数の第1線状溝部14
と、配向膜13上に形成され第2線状溝部16を有する
透明導電膜15とを備えている。また、第1線状溝部1
4および第2線状溝部16は、相互にその長手方向(図
6において紙面に垂直な方向)が実質的に平行であり、
かつ、深さが100〜9000Å、好ましくは300〜
2000Å、さらに好ましくは500〜1000Åの範
囲である。すなわち、透明導電膜基板11は、上述の透
明導電膜基板1が透明基板2に直接第1線状溝部3を形
成したものであるのに対し、透明基板12上に形成した
配向膜13に第1線状溝部14を形成した点で異なる。
【0027】透明導電膜基板11を構成する配向膜13
は、酸化アルミニウム系、酸化珪素系、酸化チタン系、
酸化タンタル系および窒化珪素系の無機化合物、ポリイ
ミド系、ポリアミド系、ポリウレタン系およびポリ尿素
系の有機化合物のなかの少なくとも1種を含むような膜
であり、厚みは0.01〜1μm、好ましくは0.05
〜0.5μm程度とすることができる。無機化合物から
なる配向膜13の形成は、スパタッリング法、真空蒸着
法、CVD法等の一般的な成膜方法により行うことがで
き、また、有機化合物からなる配向膜13の形成は、種
々の印刷法等、公知の塗布方法により行うことができ
る。このような配向膜13への第1線状溝部14の形成
は、上述の例と同様にイオンビーム照射法により行うこ
とができる。そして、透明基板12に直接第1線状溝部
を形成するのではなく、配向膜13に第1線状溝部14
を形成することにより、第1線状溝部を透明基板12
(配向膜13)の表面に対して斜めの角度をもって形成
することがより容易になり、液晶配向におけるプレチル
ト角を大きくすることができる。
【0028】尚、透明導電膜基板11を構成する透明基
板12、透明導電膜15は、上述の透明導電膜基板1を
構成する透明基板2、透明導電膜4と同様のものとする
ことができるので、ここでの説明は省略する。
【0029】次に、具体的な実施例を示して本発明を更
に詳細に説明する。 (実施例1)厚さ1.1mmの研磨済みのコーニング7
059ガラス基板の一方の面に、以下のようにイオンビ
ーム照射装置を用いて斜方から加速粒子を照射して第1
線状溝部を形成した。イオンビーム照射装置はカウフマ
ン型イオン銃を使用したものであり、このカウフマン型
イオン銃は、交流電源に接続されたプラズマ発生室と加
速電極と引き出し電極を介して真空槽内の基板取付治具
に固定された基板へイオンを照射する装置である。ま
た、イオン照射の対象物であるガラス基板が絶縁体であ
るため、真空槽内には中和用フィラメントを配置した。
さらに、真空槽には、ガス流量制御装置を介して導入用
ガスボンベが、また、バルブを介して真空ポンプがそれ
ぞれ接続されている。基板取付治具に固定されたガラス
基板は、その法線と照射イオンの照射方向とがなす角度
を50〜85°の範囲で設定することが可能なものとし
た。
【0030】このようなイオンビーム照射装置を用い
て、まず、真空ポンプにより真空槽内を1×10-5〜2
×10-5Torrの真空度に到達させた後、Arガスをガス
流量制御装置を通して真空槽内に導入し、2×10-4
5×10-4Torrの圧力としてプラズマ発生室にて導入さ
れたガスをプラズマ状態とした。そして、加速電極に1
00〜500V、引き出し電極に100〜1000Vの
電圧を印加させ、発生させたイオンに運動エネルギーを
付与してガラス基板上に照射して第1線状溝部を形成し
た。この際、中和用フィラメントを作動させて熱電子を
放出することにより、絶縁物であるガラス基板のイオン
照射による帯電を中和した。
【0031】上記のようにして形成された第1線状溝部
は、相互にその長手方向が実質的に平行であり、深さは
下記の表1に示されるとおりであった。
【0032】その後、各ガラス基板上に下記の成膜条件
でスパッタリング法により酸化インジウムスズ(IT
O)の透明導電膜(厚みは下記の表1に示されるもの)
を形成した。
【0033】ITO成膜条件 ・雰囲気ガス : Ar=100sccm、O2 =3sccm ・雰囲気圧力 : 5×10-3 Torr ・RFパワー : 2.5kW ・成膜レート : 100Å/分 このようにして形成された透明導電膜を所定のパターン
に加工して透明導電膜基板(試料1〜6)を作製した。
【0034】次に、この透明導電膜基板を1対使用し、
透明導電膜を相互に対向させ、基板間に封止樹脂、スペ
ーサ、TN(ツィストネマチィック)液晶を配設、充填
してTN液晶セルとした。
【0035】
【表1】 このTN液晶セルのうち、試料1〜4の透明導電膜基板
を使用したものは、液晶の完全な均一配向を示した。し
かし、試料5の透明導電膜基板を使用したものは、第1
線状溝部の深さが不十分なため、特に透明導電膜上にお
いて液晶の均一な配向は不可能であった。一方、試料6
の透明導電膜基板は、透明導電膜の厚みに対して第1線
状溝部が深すぎて透明導電膜に断線が発生し、使用に供
し得なかった。
【0036】上記の第1線状溝部の形成における処理条
件は、処理ガス圧を放電可能範囲にすることは当然であ
るが、処理ガス圧が高いほどイオン引き出し電極により
引き出されるイオン量は多くなり処理時間は短くなっ
た。但し、ガス圧が高すぎるとイオンの直進性が悪くな
り規則性のある溝部の形成は困難であった。また、引き
出し電極に印加する電圧を大きくしても処理時間を短く
することができた。さらに、ガラス基板の法線に対する
イオン照射の角度は、80°の時が最も効果的であり、
液晶分子のプレチルト角は1°程度得られた。 (実施例2)実施例1にて使用したのと同じコーニング
7059ガラス基板上にスパッタリング法により配向膜
としてSiO2 膜(厚み2000Å)を形成した。そし
て、このSiO2 膜に実施例1と同様にしてイオンビー
ム照射により第1線状溝部を形成した。
【0037】上記のようにして形成された第1線状溝部
は、相互にその長手方向が実質的に平行であり、深さは
下記の表2に示されるとおりであった。
【0038】その後、各ガラス基板のSiO2 膜上に実
施例1と同じ成膜条件でスパッタリング法により酸化イ
ンジウムスズ(ITO)の透明導電膜(厚みは下記の表
2に示されるもの)を形成した。
【0039】このようにして形成された透明導電膜を所
定のパターンに加工して透明導電膜基板(試料1〜3)
を作製した。
【0040】次に、この透明導電膜基板を1対使用し、
透明導電膜を相互に対向させ、基板間に封止樹脂、スペ
ーサ、TN(ツィストネマチィック)液晶を配設、充填
してTN液晶セルとした。このTN液晶セルは、液晶の
完全な均一配向を示した。
【0041】
【表2】 (実施例3)実施例1にて使用したのと同じコーニング
7059ガラス基板上にCVD法により配向膜としてS
34 膜(厚み2000Å)を形成した。そして、こ
のSi34 膜に実施例1と同様にしてイオンビーム照
射により第1線状溝部を形成した。
【0042】上記のようにして形成された第1線状溝部
は、相互にその長手方向が実質的に平行であり、深さは
下記の表3に示されるとおりであった。
【0043】その後、各ガラス基板のSi34 膜上に
斜め蒸着法により酸化インジウムスズ(ITO)の透明
導電膜(厚みは下記の表3に示されるもの)を形成し
た。上記の斜め蒸着法は、蒸着方向が第1線状溝部の長
手方向に平行で、かつ、ガラス基板の法線から60〜7
5°の範囲となるようにして行った。
【0044】このようにして形成された透明導電膜を所
定のパターンに加工して透明導電膜基板(試料1〜3)
を作製した。
【0045】次に、この透明導電膜基板を1対使用し、
透明導電膜を相互に対向させ、基板間に封止樹脂、スペ
ーサ、TN(ツィストネマチィック)液晶を配設、充填
してTN液晶セルとした。このTN液晶セルは、液晶の
完全な均一配向を示した。
【0046】
【表3】 (実施例4)実施例1にて使用したのと同じコーニング
7059ガラス基板上にCVD法により配向膜としてS
34 膜(厚み2000Å)を形成した。そして、こ
のSi34 膜に実施例1と同様にしてイオンビーム照
射により第1線状溝部を形成した。
【0047】上記のようにして形成された第1線状溝部
は、相互にその長手方向が実質的に平行であり、深さは
下記の表4に示されるとおりであった。
【0048】その後、各ガラス基板のSi34 膜上に
斜め蒸着法により酸化インジウムスズ(ITO)の透明
導電膜(厚みは下記の表4に示されるもの)を形成し
た。上記の斜め蒸着法は、蒸着方向が第1線状溝部の長
手方向に対して垂直であり、かつ、ガラス基板の法線か
ら40〜60°の範囲となるようにして行った。
【0049】このようにして形成された透明導電膜を所
定のパターンに加工して透明導電膜基板(試料1〜3)
を作製した。
【0050】次に、この透明導電膜基板を1対使用し、
透明導電膜を相互に対向させ、基板間に封止樹脂、スペ
ーサ、TN(ツィストネマチィック)液晶を配設、充填
してTN液晶セルとした。このTN液晶セルは、液晶の
完全な均一配向を示した。
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば透
明導電膜のエッジ部分の段差でも配向制御されない箇所
が生じることがなく、第1線状溝部および第2線状溝部
により透明導電膜基板上には透明基板と透明導電膜とに
おいて差のない配向特性が発現され、配向特性の劣化に
よる表示欠陥を生じない液晶表示装置を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電膜基板の一部を示す平面図で
ある。
【図2】図1のII−II線における拡大部分断面図であ
る。
【図3】本発明の透明導電膜基板の他の例を示す図2相
当の部分断面図である。
【図4】本発明の透明導電膜基板を構成する透明導電膜
の形成態様を説明する図である。
【図5】本発明の透明導電膜基板を構成する透明導電膜
の他の形成態様を説明する図である。
【図6】本発明の透明導電膜基板の他の例を示す図2相
当の部分断面図である。
【符号の説明】
1,11…透明導電膜基板 2,12…透明基板 3,14…第1線状溝部 4,15…透明導電膜 5,16…第2線状溝部 13…配向膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 G02F 1/1343

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、該透明基板の一方の面に形
    成された複数の第1線状溝部と、該第1線状溝部形成面
    上に形成され表面に複数の第2線状溝部を有する透明導
    電膜とを備え、前記第1線状溝部は相互にその長手方向
    が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜9000
    Åの範囲であり、前記第2線状溝部は相互にその長手方
    向が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜900
    0Åの範囲であり、前記透明導電膜は斜め蒸着法によっ
    て形成され、蒸着物質の柱状体が実質的に平行に配列し
    た膜であることを特徴とする透明導電膜基板。
  2. 【請求項2】 前記第1線状溝部は、前記透明基板にイ
    オンビームを斜方方向から照射して形成されたものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜基板。
  3. 【請求項3】 前記透明導電膜は、厚みが1μm以下で
    あることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    透明導電膜基板。
  4. 【請求項4】 前記透明導電膜は、酸化インジウムスズ
    系、酸化亜鉛系および酸化スズ系のいずれかの物質によ
    り形成されたものであることを特徴とする請求項乃至
    請求項のいずれかに記載の透明導電膜基板。
  5. 【請求項5】 透明基板と、該透明基板の一方の面に形
    成され表面に複数の第1線状溝部を有する配向膜と、該
    配向膜上に形成され表面に複数の第2線状溝部を有する
    透明導電膜とを備え、前記第1線状溝部は相互にその長
    手方向が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜9
    000Åの範囲であり、前記第2線状溝部は相互にその
    長手方向が実質的に平行であり、かつ、深さが100〜
    9000Åの範囲であることを特徴とする透明導電膜基
    板。
  6. 【請求項6】 前記第1線状溝部は、前記配向膜にイオ
    ンビームを斜方方向から照射して形成されたものである
    ことを特徴とする請求項に記載の透明導電膜基板。
  7. 【請求項7】 前記配向膜は、酸化アルミニウム系、酸
    化珪素系、酸化チタン系、酸化タンタル系および窒化珪
    素系の無機化合物、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリ
    ウレタン系およびポリ尿素系の有機化合物のなかの少な
    くとも1種を含むことを特徴とする請求項または請求
    に記載の透明導電膜基板。
  8. 【請求項8】 前記透明導電膜は、厚みが1μm以下で
    あることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか
    に記載の透明導電膜基板。
  9. 【請求項9】 前記透明導電膜は、酸化インジウムスズ
    系、酸化亜鉛系および酸化スズ系のいずれかの物質によ
    り形成されたものであることを特徴とする請求項乃至
    請求項のいずれかに記載の透明導電膜基板。
  10. 【請求項10】 前記透明導電膜は、斜め蒸着法によっ
    て形成され、蒸着物質の柱状体が実質的に平行に配列し
    た膜であることを特徴とする請求項乃至請求項のい
    ずれかに記載の透明導電膜基板。
  11. 【請求項11】 前記透明導電膜を構成する前記柱状体
    は、前記第1線状溝部の長手方向に平行であり、かつ、
    前記透明基板の法線から60〜75°の範囲の傾きにな
    るように配列していることを特徴とする請求項1乃至請
    求項4および請求項10のいずれかに記載の透明導電膜
    基板。
  12. 【請求項12】 前記透明導電膜を構成する前記柱状体
    は、前記第1線状溝部の長手方向に対して垂直であり、
    かつ、前記透明基板の法線から40〜60°の範囲の傾
    きになるように配列していることを特徴とする請求項1
    乃至請求項4および請求項10のいずれかに記載の透明
    導電膜基板。
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