JP3738990B2 - 液晶配向膜、該液晶配向膜の製造方法、液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents

液晶配向膜、該液晶配向膜の製造方法、液晶パネルおよび液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示に関し、より詳細には、イオンビームといった荷電粒子線の多重照射により配向処理されたDLC、ポリイミドといった材料から形成される液晶用の配向膜、該配向膜の製造方法、該配向膜を使用する液晶パネル、および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、コンピュータ、セルラ電話などの表示手段として近年広く使用されており、その特性の向上がますます要求されている。液晶表示装置は、通常、離間して配置された透明なガラス基板の間に液晶組成物を保持させた液晶パネルを含んで構成される。液晶組成物は、少なくとも液晶分子を含んで構成されており、ガラス基板の液晶組成物に向く側には、液晶分子を配向させるための機能が与えられた膜、いわゆる配向膜が形成されている。上述した配向膜は、液晶分子を均一に所定の方向に並べるために使用され、配向膜を与えるための液晶配向技術は、液晶表示装置の表示特性を決定する重要な技術となっている。
【0003】
これまで、上述した液晶配向技術としては種々のものが提案されてきている。現在最も一般的な配向処理方法は、例えばポリイミド膜を配向膜として使用し、ポリイミド膜を一方向に布でラビング処理する方法である。上述したラビング法は簡便ではあるものの、物理的にポリイミド膜をこすることによりポリイミド膜に対して配向特性を付与するために、後述するような種々の不都合が指摘されている。
【0004】
上述した不都合とは、具体的には、
(1)配向性の均一さを確保することが困難であること、
(2)ラビング処理時の筋跡が残りやすいこと、
(3)配向方向の制御およびプレチルト角の選択的な制御が可能ではなく、また広視野角を得るために用いられるマルチドメインを使用した液晶パネルには適さないこと、
(4)ガラス基板からの静電気による薄膜トランジスタ素子の破壊や、配向膜の破壊が生じ、歩留まりを低下させること、
(5)ラビング布からのダスト発生による表示不良が発生しがちであることなどを挙げることができる。
【0005】
さらに、高視野角化を達成するためのインプレーン・スイッチング・モード(IPSモード)で駆動される液晶表示法においては、ラビングにより発現するプレチルト角による視野角依存性を抑制するために、従来では液晶分子に対してスプレー配向(パラレル配向)を与えるように配向膜を配置している。図13には、ガラス基板80、82の間にパラレル配向された液晶分子88の概略図を示す。
【0006】
図13に示すように、IPSモードで駆動される液晶パネルにおいては、従来の液晶配向技術により得られる配向膜84、86では、充分なアンカリング・エネルギーを与えるべく配向処理を行うと、配向角とプレチルト角とが同時に規定されてしまうことになり、配向角と、プレチルト角とを選択して制御することが困難である。このため、所定のアンカリング・エネルギーを与えるように配向処理が施される場合には、プレチルト角を可能な限り小さくしようとしてもプロセス条件などにより決定されるプレチルト角が常にガラス基板近傍において残ってしまうことになり、視野角依存性が生じてしまうという不都合がある。
【0007】
このため、従来の配向膜では、液晶分子に対してパラレル配向を使用して光学特性のキャンセルを試みたとしても、基板近傍でのプレチルト角のため視野角特性が低下してしまうことが避けられないことになる。また、上述した視野角特性のために、従来の配向膜では、液晶分子のアンチ−パラレル配向を採用することができない、という制限もあった。
【0008】
図14には、従来の配向膜によるパラレル配向を使用したIPSモードで駆動される液晶表示装置の視野角特性を、黒の等輝度線図として示した図である。図14に示した従来の液晶表示装置における配向膜は、プレチルト角が5°とされ、それぞれの配向膜の配向方向は、図13に示すようなパラレル配向となるように配置されている。図14に示されるように、従来のIPSモードで駆動される液晶表示装置の輝度特性は、表示側ガラス基板の偏光方向およびアレイが形成される側のガラス基板の偏光方向に対して不均一に分布しており、従来の配向膜を使用する場合には、パラレル配向を使用したとしても大きな視野角特性を生じさせる。
【0009】
上述した種々の問題点を解決するため、ラビング法以外にも、特開2000−227595号公報においては、紫外線硬化型のポリイミドを使用し、紫外線硬化型のポリイミドに対して偏光された紫外線を照射することで、安定、かつ一様に制御されたプレチルト角を得る方法が開示されている。
【0010】
特開2000−227595号公報において開示される配向処理技術は、非接触で配向処理を与えることができるため、静電気の発生や、ダストの発生を抑制することが可能であり、また配向角とプレチルト角とを選択して制御可能なこと、マルチドメイン構成を採用する液晶パネルに対しての適用性もあることなど、画素分割による高視野角へも適用することができるといえる。
【0011】
しかしながら、偏光紫外線を使用した液晶配向技術は、表面における物理的性質を変化させずに、ポリイミド膜の表面近傍における光化学反応を使用して異方性を生じさせるので、液晶分子に対するアンカリング・エネルギーが低くならざるを得ず、バックライトに対する異方性の低下、それに伴う液晶パネルの信頼性の低下という不都合を生じさせることになる。また、製造上の観点からみても、偏光紫外線を大面積にわたり均一に照射することが必要となるので、照射装置の問題から大サイズの液晶パネルに対応できないといった不都合があることも知られている。
【0012】
したがって、これまで液晶表示装置に使用される配向性御された配向膜を高い信頼性で製造することが可能な配向処理技術が望まれていた。また、高いアンカリング・エネルギーを与えつつ、高い信頼性で配向角およびプレチルト角を容易に選択的に制御することが可能な非接触配向処理技術が必要とされていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、配向性御され、高いアンカリング・エネルギーを与えつつ、配向角およびプレチルト角を選択して容易に制御することが可能な液晶配向膜、該液晶配向膜の製造方法、該液晶配向膜を含む液晶パネルおよび液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配向膜としてダイアモンド状炭素(DLC)膜またはポリイミド膜に対して荷電粒子線を照射することにより配向膜を形成させる際に、異なった照射量の荷電粒子線を使用して多重照射を行うことにより、配向角およびプレチルト角を容易に調節可能であることを見出すことによりなされたものである。
【0015】
本発明においては、配向膜に対して第1のイオンビームにより第1の配向処理を施し、その後に第1のイオンビームよりも低いイオン照射量の第2のイオンビームを使用して、さらに配向膜に対して第2の配向処理を施す。本発明においては、第1のイオンビームおよび第2のイオンビームの照射を使用し、第1のイオンビームと第2のイオンビームとの配向膜に対する相対角度を制御することで、配向角およびプレチルト角の選択的制御が可能となる。本発明により与えられる配向角およびプレチルト角の大きさは、第2のイオンビームの配向膜に対する照射量に応じて制御できる。
【0016】
すなわち、本発明によれば、互いに離間して配置されるガラス基板の間に形成されるセルと、該セルに保持される液晶分子とを含んで構成される液晶表示装置に使用され、前記ガラス基板の前記液晶分子に向いた側に配置される液晶配向膜であって、前記液晶配向膜は、照射方向の異なる荷電粒子線により多重照射されることで前記液晶分子に対する配向特性が付与された液晶配向膜が提供される。
【0017】
本発明の前記液晶配向膜は、少なくともダイアモンド状炭素(DLC)膜またはポリイミド膜を含んで構成されることが好ましい。前記互いに離間して配置されるガラス基板にそれぞれ配置される液晶配向膜は、前記液晶分子がアンチ−パラレル配向を与えるように配置されることが好ましい。前記液晶表示装置は、インプレーン・スイッチング・モードで駆動されることが好ましい。
【0018】
また、本発明によれば、互いに離間して配置されるガラス基板の間に形成されるセルと、該セルに保持される液晶分子とを含んで構成される液晶表示装置に使用され、前記ガラス基板の前記液晶分子に向いた側に配置される液晶配向膜の製造方法であって、
前記製造方法は、
前記ガラス基板上に液晶配向膜を堆積させるステップと、
前記液晶配向膜を照射方向の異なる荷電粒子線により多重照射するステップと
を含む液晶配向膜の製造方法が提供される。
【0019】
本発明においては、前記液晶配向膜を荷電粒子線により多重照射するステップは、
第1のイオンビームにより前記液晶配向膜を配向処理するステップと、
前記第1のイオンビームにより配向処理された後の液晶配向膜を第2のイオンビームにより配向処理するステップとを含むことが好ましい。本発明においては、前記第2のイオンビームによる配向処理は、前記第2のイオンビームの照射量を、前記第1のイオンビームの1/5〜1/50として行われることが好ましい。
【0020】
本発明においては、前記第2のイオンビームにより、前記液晶配向膜の前記液晶分子に対する配向角を制御するステップを含むことが好ましい。本発明では、前記第2のイオンビームにより、前記液晶配向膜の前記液晶分子に対するプレチルト角を制御するステップを含むことができる。本発明においては、第2のイオンビームによる配向処理により、前記液晶配向膜に対して5°以下のプレチルト角を生成することが好ましい。
【0021】
本発明においては、前記プレチルト角を制御するステップを、前記第2のイオンビームの照射量を、前記第1のイオンビームの照射量の1/30〜1/50として施すステップを含むことができる。
【0022】
さらに、本発明においては、互いに離間して配置されるガラス基板と、
前記ガラス基板の間に形成されるセルと、
前記セル内に保持される液晶分子と、
前記ガラス基板の前記液晶分子に向いた側に配置され、かつ異なった方向からの荷電粒子線により多重照射されて前記液晶分子に対する配向特性が付与された液晶配向膜と、
前記セルを透過する光線の透過性を制御するための光学部材と、
を含む液晶パネルが提供される。
【0023】
本発明の液晶パネルにおいては、前記液晶配向膜は、ダイアモンド状炭素(DLC)膜またはポリイミド膜を含んで構成されることが好ましい。本発明においては、前記液晶配向膜は、5°以下のプレチルト角を前記液晶分子に対して与えることが好ましい。本発明においては、前記液晶パネルは、前記液晶分子がアンチ−パラレル配向されたインプレーン・スイッチング・モードで駆動されることが好ましい。
【0024】
また、本発明によれば、上述した液晶パネルと、
前記セルを透過して光学的表示を与えるための光線を発生させるためのバックライト・ユニットと、
前記セルを透過する光線の透過性を制御するための光学部材と、
を含む液晶表示装置が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明するが、本発明は、後述する実施の形態に限定されるものではない。図1には、縦電解モードで駆動される本発明の液晶表示装置10の概略断面図を示す。図1(a)は、縦電界を加えることにより駆動される液晶表示装置の断面図であり、図1(b)は、例えばIPSといった横電界を加えることにより駆動される液晶表示装置の断面図である。まず縦電解モードで駆動される液晶表示装置について詳細に説明すると、図1(a)に示すように本発明の液晶表示装置10は、対向して配置されたガラス基板12a、12bの間に液晶組成物14が充填されている。ガラス基板12a、12bの両端部には、ガラス基板12a、12bの間に充填された液晶組成物14が漏れ出さないように、シール材/封止材(以下、シール材と記す。)16a、16bが配設されていて、液晶セルを形成している。
【0026】
ガラス基板12a、12bとしては、ソーダ石灰ガラスといったアルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノ・ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、サファイアガラスなどを含む無アルカリガラスなどを挙げることができるが、(1)透明であり、(2)均質で、サイズ依存性が無く、(3)耐熱性を有し、(4)化学的に安定であれば、いかなるものでも本発明において用いることができる。
【0027】
上述したシール材16a、16bとしては、これまで知られたいかなる材料でも用いることができ、具体的には例えばエポキシ樹脂といった熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂などを挙げることができるが、本発明においてはこれ以外にも適切な特性を提供することができる限り、いかなる樹脂材料でも用いることができる。
【0028】
図1(a)を参照してさらに本発明の液晶表示装置10について説明すると、ガラス基板12a、12bの液晶組成物14に向いた側には、透明電極18a、18bが形成されていて、液晶組成物14に対して電界を引加することができる構成とされている。この透明電極18a、18bは、種々の材料から構成することができ、具体的には上述した材料としては、金属、ITO、ATO、IZO、SnO、Inといった金属酸化物を挙げることができる。本発明においては、上述した導電性材料の中でも透明性、着色性といった点から、ITOを用いることが好ましい。また、これらの透明電極18a、18bは、適切に透明電極18a、18bを形成できる限り、蒸着、スパッタリング、例えばマグネトロン・スパッタリング、CVDといったいかなる方法でも形成することができる。
【0029】
上述した透明電極18a、18bのさらに液晶組成物14に向いた側には、液晶を配向を与えるための配向膜20a、20bが形成されている。これらの配向膜20a、20bは、本発明においては、不活性ガス雰囲気中で、例えばマグネトロン・スパッタリングにより形成されるダイアモンド状炭素(DLC)膜とすることができる。また、本発明において使用することができる配向膜としては、可溶性ポリイミドを使用し、スピンコーティングといった適切な方法により成膜されるポリイミド膜を挙げることができる。以下、本発明においては、説明の都合上、DLC膜を配向膜20a、20bとして使用するものとして説明する。
【0030】
本発明において用いられる不活性ガスとは、He、Ne、Ar、Kr、Xeといったいわゆる希ガス、およびこられのいかなる混合物を含むものである。また、本発明においては、必要に応じて上述した以外の化学的に不活性な窒素といったガスを添加して用いることができる。さらに、図1に示した本発明の液晶表示装置10においては、スペーサ22がガラス基板12a、12bの間に配置されていて、ガラス基板12a、12bの間の間隔を維持しているのが示されている。
【0031】
図1(a)に示される液晶表示装置10には、さらに図示しないTFTといったスイッチング素子が形成されており、例えば本発明の液晶表示装置10をアクティブ・マトリックス駆動することが可能とされている。図1(a)に示されるように、本発明の液晶表示装置10は、これらの要素が対向した偏光板24a、24bの間に配置されて、バックライト・ユニット26により与えられる光と、ガラス基板12a、12bに引加される電界により配向する液晶組成物14に含まれる液晶分子とにより、表示素子として機能する構成とされている。また、図1(a)に示した本発明の液晶表示装置10においては、カラー表示を行わせるために図示しないカラーフィルタを用いることもできる。
【0032】
図1(a)に示した液晶表示装置において用いることができる液晶組成物14としては、ツイスト・ネマチック型、スーパー・ツイスト・ネマチック型、コレステリック型などの液晶分子を含む液晶組成物14を挙げることができる。本発明において使用することができる液晶組成物14は、通常、液晶分子の他、種々のカイラル添加剤、染料などが添加され、所望する特性が与えられている。
【0033】
図1(b)には、本発明の液晶表示装置の他の実施の形態である、いわゆるIPSモードで駆動される液晶表示装置の概略断面図を示す。図1(b)に示した液晶表示装置は、透明電極18a、18bが互いに対向する櫛形電極とされ、この透明電極18a、18bが、一方のガラス基板12b上に形成されている。透明電極18a、18bの間に電圧を印加すると、電界ELが透明電極18aの間において生成され、横向きの電界が液晶分子LMに加えられる構成とされている。また、透明電極18a、18bは、配向膜20bにより被覆されていて、配向膜20bは、液晶分子LMを拘束すると共に、透明電極18a、18bを絶縁する構成とされている。
【0034】
上述した各構成要素は、図1(b)に示すように偏光板24a、24bの間に配置されており、透明電極18aの間に発生する電界に応じて透過性を変化する構成とされている。透明電極18a、18bの間に電界が加えられると、電極18a、18bの間において横向きの電界ELが生成される。電界ELが加えられた液晶分子LMは、図1(b)に示すように配向を変化させ、バックライト・ユニット26により照射される光線の透過性を制御する構成とされている。
【0035】
また、図1(b)に示した横電界モードで駆動される液晶表示装置においては、カイラル添加剤を添加しない液晶組成物14を使用することができるし、必要に応じて液晶分子LMの他にカイラル添加剤といった添加剤を添加した液晶組成物14を使用することもできる。さらに、図1(b)に示される各構成要素については、液晶組成物14を除き、本質的には図1(a)において説明したと同様の材料を使用して構成することができる。
【0036】
図2は、本発明の配向膜20a、20bとしてDLC膜を使用する場合に、DLC膜を製造するために使用することができる製造装置の概略図である。図2に示されるように、本発明において配向膜として用いるDLC膜は、マグネトロン・スパッタリング法により形成することができる。図2に示すように、本発明の配向膜の製造にあたっては、容器30内に配置された搬送ステージ32上に保持されたガラス基板34に、グラファイト・ターゲットなどを使用してDLC膜36を堆積させる。
【0037】
この際のDLC膜の膜厚は、例えば0.1nm〜5nmの範囲とすることができる。その後、ガラス基板34は、搬送ステージ32により、図示しない配向処理部へと移動される。配向処理部には、イオンビームといった荷電粒子線を発生させるための手段、例えばイオンガンが配置されており、堆積されたDLC膜36に対して荷電粒子線を照射することによりDLC膜36に対して配向処理を行うことができる構成とされている。
【0038】
図3は、上述した配向処理部において施される本発明の荷電粒子線による配向処理のプロセスを示した概略図である。本発明において使用することができる荷電粒子線としては、膜表面に対して適切なエネルギーで衝突でき、表面の物理的・化学的状態を変化させることができる限り、電子線、イオンビームといったこれまで知られたいかなる荷電粒子線でも用いることができる。しかしながら、本発明においては、処理性、取扱性、液晶表示装置10の各電気要素に対する影響といった点から、荷電粒子線としてはアルゴンイオンを含む、イオンビームを用いることが好ましい。
【0039】
さらに図3に基づいて本発明を説明すると、図3(a)が、第1のイオンビームによる第1の配向処理を示した図であり、図3(b)が第2のイオンビームによる第2の配向処理を示した図である。本発明においてはまず、図3(a)に示すように、第1のイオンビームによりガラス基板34上に堆積されたDLC膜36に対して配向処理を施す。この際の処理は、図3(a)に示されるように、符号Pで示された端部が搬送ステージの矢線Xで示される搬送方向に向いた状態で行われる。イオンガン38は、第1のイオンビームを発生させており、第1のイオンビームによる配向処理は、イオンガン38を、DLC膜36に対して適切な配向性を付与することができるような角度で設置し、DLC膜36と共にガラス基板34を搬送ステージ32により矢線Xで示される方向へと搬送させつつ施される。
【0040】
本発明における配向処理においては、第1のイオンビームによる第1の配向処理の後、図3(b)に示すように、DLC膜36に対して第2のイオンビームを使用した第2の配向処理を行う。この第2の配向処理は、ガラス基板34の搬送方向を、例えば、搬送ステージ32上でガラス基板34を回転させ、図3(b)の符号Pが、搬送ステージの搬送方向とは反対となるように変化させてイオンガン40と、DLC膜36との相対的な処理方向を変える。その後、イオンガン40により発生される第2のイオンビームによりDLC膜36に対する第2の配向処理を加えることにより行われる。
【0041】
本発明においては、第1のイオンビームにより加えられる第1の配向処理のDLC膜36に対する相対的な方向と、第2のイオンビームにより加えられる第2の配向処理のDLC膜36に対する相対的な方向とが異なる限り、上述したように、搬送ステージを回転させることが必要とされるわけではない。
【0042】
例えば、本発明の別の実施の形態においては、第1の配向処理と第2の配向処理とを施す際に、イオンガン38と、イオンガン40とのガラス基板34の搬送方向に対する相対的な配置を予め変化させておき、ガラス基板34の回転を行わせることなく、搬送ステージの一方向への移動に応じて、第1の配向処理と、第2の配向処理とが加えられる構成とすることができる。また本発明においては、特定の実施の形態としてイオンビームによる処理を2段階で行うものとして説明するが、必要とされる配向特性を得ることができる限り、本発明においては2段階以上の配向処理を施すことも可能である。
【0043】
さらに、本発明の別の実施の形態においては、装置的に許容される限りイオンガンを複数用いるのではなく、単一のイオンガンを用いて、多重処理を行うことも可能である。例えば、第1のイオンビームによる配向処理を行った後、イオンガンのDLC膜36に対する相対的な位置を変化させた後、DLC膜36に対して第2のイオンビームを同一のイオンガンから照射させてイオンビームの多重照射を行うことができる。さらに本発明においては、上述した実施の形態の他にも、DLC膜36に対する相対的な処理方向を変化させることができる限り、いかなる手法または構成を用いることができる。
【0044】
本発明においてイオンビームの照射量は、イオンビームの電流値、イオンガンの角度、搬送ステージの速度などを制御することにより変化させることができる。特に第2のイオンビームによる第2の配向処理の条件を選択することで、配向膜20a、20bの配向角およびプレチルト角を選択して制御することが可能となる。上述した要素のうち、イオンガンの角度を変化させるのは、配向制御の点からは制御範囲が限られるため大きく配向特性を変化させることには不向きであり、搬送ステージの速度を変化させ、ガラス基板34を回転させてイオンビームとの相対的な角度を変化させることによるイオンビームの照射方向の変化を用いることが、より広い範囲で配向角およびプレチルト角を変化させるには適切である。
【0045】
本発明において搬送ステージの速度を速めることにより配向角またはプレチルト角を制御する場合には、イオンビームによるDLC膜36への照射量が相対的に小さくなる。このため、搬送ステージの速度を単に速めるのみでは配向力、すなわちアンカリング・エネルギーが小さくなる傾向となり、配向処理プロセスには好ましくない影響を与えがちである。このため、本発明においては、搬送ステージの速度およびガラス基板34の回転、イオンビームの電流値を制御して、比較的大きな照射角度を使用しつつ、第2のイオンビームによる第2の配向処理で配向特性を付与することが好ましい。
【0046】
本発明において使用するイオンビームの多重照射は、第1のイオンビームおよび第2のイオンビームの照射量を同一として行うことも可能ではあるが、第1のイオンビームの照射量と第2のイオンビームの照射量とを異ならせて多重処理して、配向処理することが好ましい。本発明においては、イオンビームの照射量とは、単位時間あたりにDLC膜36に照射されるイオンの数に比例する量を意味する。したがって、本発明においては上述したイオンの数は、具体的には例えば(1)イオンガンのグリッド電圧を調節する、(2)イオン発生量を増加させる、(3)加速電圧を調節する、(4)イオンビームに対する搬送ステージの速度を調節するなどにより変化させることができる。上述した方法のうち、イオンガンにおけるイオン発生量を増加させること、およびグリッド電圧を調節することで、大きくイオンビームの照射量を調節することができる。
【0047】
本発明におけるイオンビームの照射量Exは、種々の観点から決定することができるが、例えばイオンガンにおいて、イオンを発生させるためのイオン発生電流の電流値Iと、イオンガンのグリッド電圧Vと、搬送ステージの速度Vstとを使用して、イオンガンの安定な動作状態の下では下記近似式(1)により得られる値を、照射量Exとして使用することができる。
【0048】
【数1】
Figure 0003738990
(上式中、Cは定数である。)
【0049】
本発明においては、第2のイオンビームの照射量Iを第1のイオンビームの照射量I以下に設定して配向処理を施すことが、第1のイオンビームにより与えられた配向を第2のイオンビームにより調節するという観点から好ましく、さらには、本発明においては第2のイオンビームの照射量Iと、第1のイオンビームの照射量Iとの比I/Iを、配向角を制御する場合には、1/5〜1/50の範囲とすることができ、またプレチルト角を制御する場合には、比I/Iを、1/30〜1/50の範囲とすることが好ましいことが見出された。
【0050】
図4は、本発明の配向制御による液晶分子の配向変化を示した模式図である。DLC膜36には、第1のイオンビームにより方向Aから第1の配向処理が施される。液晶分子42は、第1のイオンビームにより処理された直後は、第1のイオンビームにより表面が改質されたDLC膜36に対して、第1のイオンビームの照射方向に沿って配向することになる。その後本発明にしたがい、DLC膜36が15°角度がずれた矢線Bの方向から照射される第2のイオンビームにより処理されると、DLC膜36の表面には、矢線Bの方向からの第2のイオンビームによる改質が与えられる。
【0051】
この第2のイオンビームによる配向処理は、第1のイオンビームにより与えられた特性を、第2のイオンビームの照射量に応じて、第2のイオンビームの特性に近づいて行くように変化させることとなり、第2のイオンビームの照射量に応じて配向方向が変化することになる。図4には、第2のイオンビーム照射により配向角の変化した状態での配向方向を、液晶分子44により示している。
【0052】
図5は、本発明によりプレチルト角を制御する場合の概念図である。図5においては、矢線Cの方向に沿って照射された第1のイオンビームは、第1の配向処理をDLC膜36に与え、液晶分子は、プレチルト角に沿って配向し、これが図5において符号48で示されている。図5に示した実施の形態においては、本発明にしたがって、その後第2のイオンビームを、第1のイオンビームとは、180°反対の矢線Dで示される方向から照射して、第2の配向処理を与えている。図5に示されるように、DLC膜36の表面状態は第2のイオンビームの照射により改質され、本発明においては、180°反対方向から加えられる第2の配向処理により液晶分子50のプレチルト角を選択的に低下させることが可能であることが見出された。
【0053】
本発明においてプレチルト角を制御する際には、目的とする液晶表示装置の特性において適宜プレチルト角を設定することができる。特にIPSモードで駆動される液晶表示装置を構成する場合には、本発明により0°〜5°の範囲でプレチルト角度を設定することが、後述するように広い適用性を付与する目的から好ましい。図5においては、プレチルト角の低下した状態での液晶分子を符号50で示している。
【0054】
図4および図5に示されるように、本発明によれば、第1のイオンビームと第2のイオンビームの照射方向および照射量に応じて、配向角およびプレチルト角を選択して制御することができることがわかる。すなわち、第2のイオンビームの照射方向を選択することにより、第2の配向処理により配向角を選択的に変化させることができる。また、本発明では、図5に示すように、第2の配向処理を180°反対方向から加えることにより、所定の配向角を保持させたまま、プレチルト角のみを低下させることが可能となる。これらの配向角およびプレチルト角の選択制御は、単に配向膜に対する第2のイオンビームの方向および照射量を選択することにより行うことができ、本発明によれば、容易に配向特性を制御することができることがわかる。
【0055】
図6は、本発明によるイオンビームの多重照射により形成されたDLC膜36を含むガラス基板34を使用して、IPSパネルを構成する場合の液晶分子の配向を示した図である。図6に示されるように、本発明により形成されたDLC膜36を使用する場合には、基板近傍における液晶分子52のプレチルト角を約0°とすることができる。このため、本発明の液晶パネルにおいては、パラレル配向の他にもアンチ−パラレル配向を採用することが可能となり、視野角依存性のない、面内輝度のばらつきの少ない良好な特性を有するIPSパネルを提供することができる。なお、アンチ−パラレル配向とは、液晶分子の配向方向が、アレイが形成される側と、表示側(CF側)とにおいて互いに反対方向となる配向を意味する。
【0056】
図7は、上述したプレチルト角と、表示特性との関係を、本発明により製造されるIPSパネルの中間調における輝度特性をシミュレーションすることにより示した図である。中間調(I50)における輝度は、理想的にはプレチルト角の有無にかかわらずに一定であることが、良好な表示特性を与えるためには好ましい。これを示すため、図7には、アレイ側のガラス基板のプレチルト角をφ、表示側(CF側)のガラス基板のプレチルト角をθとして、中間調(I50)の輝度比(I50(θ、φ)/I50(0、0))がプロットされている。上述したように良好な表示特性を与えるためには、中間調における輝度比は、変動しない、すなわち1付近であることが好ましい。本発明により製造される配向膜によれば、図7の破線で示されるように、輝度比をほぼ0.95〜1.05の範囲とするアンチ−パラレル構成を与えることが可能であることが示される。
【0057】
図8は、本発明の配向膜を使用した液晶表示装置の分解斜視図を示す。
図8に示す本発明の実施の形態の透過型液晶表示装置58は、透過型液晶表示装置58の有効画面を画成するための表示用ウインドウ60を画成する上部フレーム62と、バックライト・ユニット64と、上部フレーム62とバックライト・ユニット64との間に配置された液晶表示パネル66と、スペーサ68と、拡散シート70と、プリズム・シート72といった光学特性制御部材を含んで構成されている。
【0058】
バックライト・ユニット64は、下側ケース74上に載置されていて、上部フレーム62と一体として保持されることで、透過型液晶表示装置58を構成している。図8に示した液晶パネルは、本発明により形成された配向膜を含んだガラス基板の間に液晶組成物が保持されて形成されている。配向膜は、プレチルト角が低くされた、アンチ−パラレル型の配向処理が施され、上述したIPSパネルとして構成されている。本発明により形成されたIPSパネルは、視野角特性が改善され、きわめて良好な表示特性を与えることが可能とされている。
【実施例】
以下、本発明を実施例をもってより詳細に説明するが、本発明は、後述する実施例にも限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
ガラス基板上に下記条件の下でマグネトロン・スパッタリング法によりDLC膜を堆積させた。
ターゲット: 焼結炭素ターゲット
キャリア : Ar、圧力1Pa
放電出力: 1kW
マグネット間隔: 6cm
磁石/基板間隔: 5cm
磁石の磁束密度: 0.0250T
【0060】
堆積したDLC膜に対してイオンガンからアルゴンイオンを含む第1のイオンビームを照射して第1の配向処理を行った。また、第2の配向処理は、第2のイオンビームを第1のイオンビームに対して15°傾けて照射して行った。第2のイオンビームの照射量は、第1のイオンビームの照射量の1/8とした。また、実施例1においては、第2のイオンビームの照射の際の搬送ステージの搬送速度を0mm/s、20mm/s、60mm/s、120mm/sの範囲で変化させ、搬送ステージの速度の配向角への影響を検討した。
【0061】
液晶分子の配向角を、偏向子を使用して測定した結果を図9に示す。図9には、第1のイオンビームの照射角度を0°(基準値)とし、横軸に搬送ステージの速度(mm/s)、縦軸に配向角(°)をとって示している。第2のイオンビームは、第1のイオンビームに対して15°傾けて照射されているので、図9においては、搬送ステージを固定したまま第2のイオンビームを照射し続けることで、第2のイオンビームの与える配向角(15°)となっているのが示される。
【0062】
図9に示されるように、第2のイオンビームの照射に際して搬送ステージの速度を大きくすることにより、第2のイオンビームの照射量が減少し、この結果配向処理における第2のイオンビームの影響が小さくなって行き、配向角が第1のイオンビームで与えられる基準方向(0°)へと近づいているのが示される。すなわち、図9によれば、第2のイオンビームの照射量が多くなればなるほど、第1のイオンビームにより与えられた配向特性が失われ、第2のイオンビームによる配向特性に近づくことが示されている。図9に示されるように、本発明により、異なった方向からの第1のイオンビームの照射により、配向角を容易に制御することが可能であることがわかる。
【0063】
(実施例2〜4)
実施例1の通りに堆積させたDLC膜に対して、第2のイオンビームの照射量を変化させて配向処理を施し、プレチルト角の制御について検討を加えた。また、実施例2〜4においては、第2のイオンビーム照射に際して、搬送ステージの搬送方向を180°変化させ、かつ搬送ステージの速度の影響を検討するために、搬送速度を、50mm/s、80mm/s、100mm/s、130mm/s、150mm/sの範囲で変化させて第2の配向処理を行った。実施例2〜4で使用した第2のイオンビームの条件および搬送ステージの速度を表1に示す。
【0064】
表1中、ビームドーズ量(I)は、ファラデーカップを使用して計測されたアルゴンイオンビームの電流値である。得られた結果を、図10および図11に示す。実施例2〜実施例4では、第1のイオンビームは、アルゴンイオンビームを使用し、照射角度35°、加速エネルギー200eV、イオン発生電流350mA、グリッド電圧700V、搬送ステージ速度20mm/s、ビームドーズ量164μAで一定とした。
【0065】
【表1】
Figure 0003738990
【0066】
図10は、本発明により生成されるプレチルト角を、搬送ステージの速度に対してプロットした図である。図10に示されるように、本発明により生成されるプレチルト角は、実施例2〜実施例4で示されるように第2のイオンビームの強度が高くなるにつれ、同一の搬送ステージ速度においても低下する、すなわち、180°方向からの第2のイオンビームの影響により、プレチルト角を小さくすることができることが示される。また、搬送ステージの速度が遅くなればなるほど、同様に第2のイオンビームの影響が強く反映されることが示されている。
【0067】
図11には、本発明により生成されたプレチルト角を、搬送ステージの速度の逆数に対してプロットした図を示す。図11において、ステージ搬送速度の逆数が0の場合とは、現実的には搬送ステージの搬送速度が無限大、すなわち第2のイオンビームの影響がない場合に、第1の配向処理により与えられるプレチルト角(約7.5°)に対応する。
【0068】
図11に示されるように、本発明によれば、第2のイオンビームの照射量および照射角度に関連して、プレチルト角を、配向角とは独立して制御できることがわかる。さらには、図11に示されるように、本発明において第2のイオンビームの照射量または搬送ステージの速度を調節することにより、配向性を維持させたまま、プレチルト角を0°とすることが可能であることも示されている。このことは、本発明により製造される配向膜は、特にIPSパネルにおける視野角依存性を改善することが可能であることを示すものといえる。
【0069】
(実施例5)
本発明によりプレチルト角を0°として製造した配向膜を使用して、図1に示されるIPSパネルを製造し、その表示特性について、クロスニコル下での黒の輝度について検討を加えた。また、図12においては、輝度の分布を、輝度(cd/m)等高線として、輝度特性を示している。最も表示特性が良好であると考えられるアンチ−パラレル配向について得られた結果を、図12に示す。図12は、縦の破線が、TFTアレイが形成された側のガラス基板の偏光軸に対応する方向であり、横の破線が透過側のガラス基板の偏光軸に対応する方向である。
【0070】
図12に示されるように、本発明の配向膜を使用して製造されたIPSパネルの輝度特性は、図14に示される従来の配向膜を使用したIPSパネルに比較して、きわめて等方的な分布を示していることがわかる。このことは、本発明の配向膜を使用した液晶表示装置は、視野角特性の少ない、良好な表示特性を与えることができることを示すものである。
【0071】
(実施例6)
実施例1と同様にしてガラス基板上に配向膜を形成させ、実施例1と同等にして第1のイオンビームにより配向処理を与えた。このようにして得られた配向膜にフォトレジストを塗布し、パターニングして配向膜をパターン状に露出させた。パターン状に露出した配向膜に対して第2のイオンビームを実施例1と同様にして施し、露出した部分の配向膜の配向角を変化させた。その後、レジストをストリッピングして配向膜全面を露出させ、マルチドメイン表示に使用可能な配向膜を形成した。
【0072】
上述した配向膜を含むガラス基板を使用してマルチドメイン方式の液晶表示装置を製造し、表示特性を評価したところ、良好な表示特性を得ることができた。
【0073】
(実施例7)
実施例7として配向膜としてポリイミドをガラス基板上にスピンコーティングして焼成させた後、実施例1と同様にしてポリイミド膜に対して配向処理を行ったところ、良好な配向特性を得ることができた。
【0074】
これまで説明したように、本発明によれば、配向性御され、高い信頼性で製造することが可能であり、高いアンカリング・エネルギーを与えつつ、高い信頼性で配向方向およびプレチルト角を容易に制御することが可能な配向膜、該配向膜の製造方法、該配向膜を含む液晶パネルおよび液晶表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示装置の概略断面図。
【図2】 本発明によるDLC膜を製造するための製造装置を示した図。
【図3】 本発明の配向処理プロセスを示した概念図。
【図4】 本発明により配向角が制御される液晶分子を示した概略図。
【図5】 本発明によりプレチルト角が制御される液晶分子を示した概略図。
【図6】 本発明によるプレチルト角0°とされたアンチ−パラレル配向の液晶分子の配向を示した図。
【図7】 本発明により得られるIPSパネルの中間調の表示特性のシミュレーション。
【図8】 本発明の液晶表示装置の分解斜視図。
【図9】 本発明による配向角を、搬送ステージの速度に対してプロットした図。
【図10】 本発明によるプレチルト角を、搬送ステージの速度に対してプロットした図。
【図11】 本発明によるプレチルト角を、搬送ステージの速度の逆数に対してプロットした図。
【図12】 本発明によるIPSパネルの表示特性を示した図。
【図13】 従来のパラレル配向の液晶分子の配向を示した図。
【図14】 従来の配向膜を使用したパラレル配向のIPSパネルの表示特性を示した図。
【符号の説明】
10…液晶表示装置
12a、12b…ガラス基板
14…液晶組成物
16a、16b…シール材
18a、18b…透明電極
20a、20b…配向膜
22…スペーサ
24a、24b…偏光板
26…バックライト・ユニット
30…容器
32…搬送ステージ
34…ガラス基板
36…DLC膜
38…イオンガン
40…イオンガン
42、44、46、48、50、52…液晶分子
58…透過型液晶表示装置
60…表示用ウインドウ
62…上部フレーム
64…バックライト・ユニット
66…液晶パネル
68…スペーサ
70…拡散シート
72…プリズム・シート
LM…液晶分子
EL…横方向に生成される電界

Claims (14)

  1. 互いに離間して配置されるガラス基板の間に形成されるセルと、該セルに保持される液晶分子とを含んで構成される液晶表示装置に使用され、前記ガラス基板の前記液晶分子に向いた側に配置される液晶配向膜であって、前記液晶配向膜は、照射方向の異なる荷電粒子線により多重照射されることで前記液晶分子に対する配向特性が付与され、前記多重照射は、第1のイオンビームと、第1のイオンビームとは異なる方向から異なる照射量によってなされる第2のイオンビームとを含み、第2のイオンビームの照射方向および照射量を選択することによって選択的に制御された配向角またはプレチルト角を含む液晶配向膜。
  2. 前記液晶配向膜は、少なくともダイアモンド状炭素(DLC)膜またはポリイミド膜を含んで構成される、請求項1に記載の液晶配向膜。
  3. 前記液晶配向膜は、5°以下のプレチルト角を前記液晶分子に対して与える、請求項1または2のいずれか1項に記載の液晶配向膜。
  4. 前記互いに離間して配置されるガラス基板にそれぞれ配置される液晶配向膜は、前記液晶分子がアンチ−パラレル配向を与えるように配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向膜。
  5. 前記液晶表示装置は、インプレーン・スイッチング・モードで駆動される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶配向膜。
  6. 互いに離間して配置されるガラス基板の間に形成されるセルと、該セルに保持される液晶分子とを含んで構成される液晶表示装置に使用され、前記ガラス基板の前記液晶分子に向いた側に配置される液晶配向膜の製造方法であって、
    前記製造方法は、
    前記ガラス基板上に液晶配向膜を堆積させるステップと、
    前記液晶配向膜を照射方向の異なる荷電粒子線により多重照射するステップと
    を含み、
    前記多重照射するステップは、
    前記第1のイオンビームにより前記液晶配向膜を配向処理するステップと、
    前記第1のイオンビームにより配向処理された後の液晶配向膜を第2のイオンビームにより前記第1のイオンビームとは異なる方向から異なる照射量によって配向処理するステップとを含み、
    前記第2のイオンビームにより配向処理するステップは、前記第2のイオンビームの照射を、前記第1のイオンビームとの照射方向から任意の角度ずれた方向から行い、前記液晶配向膜の前記液晶分子に対する配向角を選択的に変化させるステップと、前記第2のイオンビームの照射を、前記第1のイオンビームの照射方向の180°反対方向から行い、前記液晶配向膜の前記液晶分子に対するプレチルト角を選択的に低下させるステップとを含む
    液晶配向膜の製造方法。
  7. 第2のイオンビームによる配向処理により、前記液晶配向膜に対して5°以下のプレチルト角を生成する
    請求項に記載の製造方法。
  8. 前記第2のイオンビームによる配向処理は、前記第2のイオンビームの照射量を、前記第1のイオンビームの1/5〜1/50として行われる、
    請求項6または7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記プレチルト角を選択的に低下させるステップを、前記第2のイオンビームの照射量を、前記第1のイオンビームの照射量の1/30〜1/50として施すステップを含む
    請求項またはのいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 互いに離間して配置されるガラス基板と、
    前記ガラス基板の間に形成されるセルと、
    前記セル内に保持される液晶分子と、
    前記ガラス基板の前記液晶分子に向いた側に配置され、かつ異なった方向からの荷電粒子線により多重照射されて前記液晶分子に対する配向特性が付与された液晶配向膜と、
    前記セルを透過する光線の透過性を制御するための光学部材と、
    を含む液晶パネルであって、
    前記多重照射は、第1のイオンビームと、第1のイオンビームとは異なる方向から異なる照射量によってなされる第2のイオンビームとを含み、第2のイオンビームの照射方向および照射量を選択することによって選択的に制御された配向角またはプレチルト角を含む液晶パネル。
  11. 前記液晶配向膜は、ダイアモンド状炭素(DLC)膜またはポリイミド膜を含んで構成される、請求項10に記載の液晶パネル。
  12. 前記液晶配向膜は、5°以下のプレチルト角を前記液晶分子に対して与える、請求項10または11のいずれか1項に記載の液晶パネル。
  13. 前記液晶パネルは、前記液晶分子がアンチ−パラレル配向されたインプレーン・スイッチング・モードで駆動される、
    請求項1012のいずれか1項に記載の液晶パネル。
  14. 請求項1013のいずれか1項に記載の液晶パネルと、
    前記セルを透過して光学的表示を与えるための光線を発生させるためのバックライト・ユニットと、
    前記セルを透過する光線の透過性を制御するための光学部材と、
    を含む液晶表示装置。
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