JP3355507B2 - 電線締付型機器の取付工具 - Google Patents

電線締付型機器の取付工具

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JP3355507B2
JP3355507B2 JP24686994A JP24686994A JP3355507B2 JP 3355507 B2 JP3355507 B2 JP 3355507B2 JP 24686994 A JP24686994 A JP 24686994A JP 24686994 A JP24686994 A JP 24686994A JP 3355507 B2 JP3355507 B2 JP 3355507B2
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良壱 斎藤
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義雄 斎藤
直樹 相原
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Tohoku Electric Power Co Inc
Sumiden Transmission and Distribution Systems Products Corp
Kitanihon Electric Cable Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マニピュレータハンド
等を用いて、事故点表示器などの電線締付型機器を電線
に取り付けるための工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より高圧配電線の短絡事故や地絡事
故などの事故点を発見する手段として、例えば、図17
および18に示すものが知られている。これは、表示器
本体60に、押さえ金具61と締付ボルト62を対向して枢着
したものである。表示器本体60は、円筒状の下部63と、
下部63から山形に隆起して、押さえ金具と締付ボルトの
両枢着部64,65 を結ぶ径方向に細長く形成された上部66
を具え、この上部66の中間には直交する電線受け部67が
設けられている。一方、押さえ金具61は、本体60の上部
66に対応した長さをもつ断面が[状の溝型部材で、中間
に電線受け部67に対応した電線押さえ部68が設けられ、
開放端部には締付ボルト62が係合するU字型の切欠69が
設けられている。また、締付ボルト62はほぼ水平状態か
ら垂直状態に回動でき、押さえ金具61を締め付けるため
のナット70が螺合されている。
【0003】そして、図18(B)に示すように、表示
器本体の底面に表示板71があり、常時は黒く表示されて
いるが、異常時は表示板が回転して扇状の箇所が白く表
示されるため、これを地上から確認することで異常を検
知する。
【0004】電線に取り付ける際は、まず電線受け部に
電線を配し、押さえ金具を閉じて本体との間に電線を挟
み込む。次に締付ボルトを回動し、押さえ金具端部の切
欠にこれを係合する。最後に、締付ボルトに螺合された
ナットを締め付けて押さえ金具を固定する。実際の事故
点探索では、このような表示器を電線線路の所定箇所に
多数取り付けておく。そして、例えば短絡事故が発生し
た場合、電源側より事故点までの区間には過電流が流
れ、表示器が一斉に異常表示されるため、表示器が動作
した範囲を確認すれば、事故点の位置が判明できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
表示器の電線への取り付けは、従来、バケット車に乗っ
た作業者が手作業で行っていた。しかし、人手による活
線作業では感電など安全上の問題がある。だからといっ
て送電を停止させるのも好ましくない。一方、近年、マ
ニピュレータ車を用いたロボット工法が電柱作業などで
用いられているが、このような表示器を取り付けるのに
好適なマニピュレータ用工具は提案されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】従って、本発明はマニピ
ュレータ等で操作できる電線締付型機器の取付工具を提
供するもので、その第一の特徴は、電線締付型機器本体
に枢着された押さえ金具を閉じて電線を挟み込み、押さ
え金具に対向して前記本体に枢着された締付ボルトを回
動して押さえ金具の端部に締付ボルトを係合させ、表示
器を電線に取り付ける工具であって、該工具は、前記機
器を保持する環状の枠部と、この枠部と一体で、締付ボ
ルトの押し上げ棒が具えられる胴部を有し、該押し上げ
棒は、胴部の案内孔内で弾性体により付勢され、胴部に
挿通された止めピンと係脱して突出することで締付ボル
トを押し上げるよう構成したことにある。
【0007】第二の特徴は、電線締付型機器の押し金具
を閉じることに連動して押し出し棒を突出できるよう、
止めピンと同軸状に一体化された外筒と、胴部に固定さ
れると共に、外筒に内接し、止めピンに外接する内筒を
具え、内筒は、その外周に螺旋方向沿いのカム溝が形成
され、外筒は、これを貫通し、内筒のカム溝に係合する
レバーを具えると共に、内筒に対して一定の回転方向に
付勢され、レバーの端部は、電線締付型機器の押さえ金
具を閉じる際、押さえ金具と当接するよう構成されたこ
とにある。第三の特徴は、枠部にはめ込んだ電線締付型
機器を容易かつ確実に保持できるよう、枠部の外周から
内周に貫通し、螺旋状のキー溝を有する回転軸と、枠部
と一体で前記キー溝に嵌合するキーと、前記回転軸の先
端に連結された電線締付型機器の保持具を設けたことに
ある。第四の特徴は、マニピュレータ等で本発明工具を
保持し、電線締付型機器を電線に取り付ける際、電線締
付型機器の所定位置に電線を確実かつ容易に配置できる
よう、枠部に電線ガイドを立設したことにある。第五の
特徴は、電線締付型機器を枠部から取り外す際、押し上
げ棒がその妨げとならないよう、押し上げ棒の端部を揺
動自在に構成したことにある。第六の特徴は、電線締付
型機器の押さえ金具を閉じるまで、締付ボルトを押し上
げ棒の端部に保持できるよう、胴部に締付ボルトの保持
金具を設けたことにある。第七の特徴は、電線締付型機
器を枠部から取り外す際、レバーがその妨げとならない
よう、レバーの端部を揺動自在に構成したことにある。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 〔実施例1〕 [構 成]図1は本発明工具の平面図、図2はその側面
図で、この工具は表示器を保持する環状の枠部1と、こ
の枠部1と一体の胴部2を有する。 {枠部}まず枠部1は、その内周に溝が形成され、そこ
に表示器の保持具3A,3B がはめ込まれている。この保持
具3A,3B には、固定式と可動式の2種類があり、枠部に
1はめ込まれた表示器を可動式の保持具3Aと固定式の保
持具3Bの間で締め付けて表示器の固定を行う。 (表示器の保持具)可動式の保持具3Aは、枠部内周の1
/4程度の長さをもつ円弧状の金属片で、一対が対称に
配置されて、ほぼ内周の半周分に対応している。そし
て、各保持具には、枠部1の外周から内周に貫通して螺
合されたアイボルト4が連結されている。一方、固定式
の保持具3Bは、枠部内周の半周程度の長さをもつ円弧状
の金属片で、前記可動式の保持具3Aと対向してボルトで
固定されている。表示器の締め付け・解除は、アイボル
ト4をマニピュレータで回転することにより、保持具3A
を進退させて行う。
【0009】(電線ガイド)また、枠部1の外周には電
線Cを表示器の所定位置に配置し易くするための電線ガ
イド5が立設されている。電線Cは、枠部1に保持され
た表示器の所定位置(枠部1から胴部2への軸線に直交
する枠部1の直径上:「図1の破線参照」)に配置され
るが、マニピュレータで保持した本工具を電線に近接さ
せた際、作業者から工具や電線までは距離があるため、
電線が所定位置にあるかどうかを確認するのは容易では
ない。このため、枠部1の外周における対称位置に、一
対の取付金具6を蝶ボルト7で固定し、この金具6の取
付孔に棒状の電線ガイド5を固定した。電線ガイド5
は、電線Cの配置される枠部1のほぼ直径上に対応して
設けられているので、両電線ガイド5に電線Cが当接し
たことで、電線が表示器の所定位置にあることを確認で
きる。なお、取付金具6のボルト孔は長孔になってお
り、長孔の範囲で取付金具6をスライドすることによっ
て電線ガイド5の位置を調整し、電線の径が異なる場合
にも枠部1の直径上に電線を位置できるよう構成してい
る。
【0010】{胴部}一方、胴部2は、広狭の矩形傾斜
面で山型に形成された上部と、中間の平面とこの前後に
つながる2つの傾斜面で突出して構成された下部と、対
向する平面で構成される両側部と、前記上部の傾斜面に
つながる位置決め板8が対向された前部とをもつ金属塊
である。胴部2は枠部1を下方から貫通するボルトによ
り枠部1に一体化されており、位置決め板8は丁度枠部
1に立設された格好となる。この位置決め板8は、表示
器の向きを決めるためのもので、表示器を枠部にはめ込
む際は、締付ボルトの枢着部が位置決め板8の間にはま
り込む向きに合わせる。
【0011】(押し上げ棒)また、この胴部2には、図
3に示すように、押し上げ棒9の案内孔10と、止めピン
11の挿入孔12が形成されている。案内孔10は、枠部1に
近接する胴部2の上方に上部開口を有し、枠部1から離
反した胴部2の下方に底部開口を有する貫通孔で、枠部
中心から胴部に至る軸線上で約55°上向きに傾斜して
形成されている。また、挿入孔12は胴部側面から案内孔
10にまで達する孔で、案内孔10に直交して形成されてい
る。
【0012】このような案内孔内には、枠部1に保持さ
れた表示器の締付ボルト62を丁度押し上げる方向に押し
上げ棒9が嵌挿されている。常時は後退した状態にある
が、表示器の電線に取り付け時は突出して表示器の締付
ボルト62を回動し、これを押さえ金具の端部に係合させ
る。
【0013】押し上げ棒9は、図4に示すように、中心
に位置するガイドピン13,ガイドピン13に外嵌される筒
部14,筒部14の先端に枢着される受け部15などからな
る。まず、ガイドピン13は、同図(A)に示すように、
その一端で直接胴部2の案内孔内に固定されるもので、
他端側には長孔16が形成されている。ガイドピン13の一
端は、鍔が形成された筒状の座金17(図3参照)はめ込
まれ、ピンによりこれと一体化されており、ガイドピン
13はこの座金17を胴部案内孔の底部開口に嵌合すること
で胴部2に固定される。
【0014】次に筒部14は、同図(B),(C)に示す
ように、一端が開放され、他端が閉鎖された筒状のもの
で、その内径は閉鎖側がガイドピン13の外径に対応して
狭く形成され、途中から開放側までが広く形成されてい
る。また、閉鎖側端部は二股に形成されると共に、同端
部に近接する筒部外周には、全周におよぶ溝18が形成さ
れている。この溝18は後述する止めピン11と係脱して、
押し上げ棒9を進退させるためのものである。さらに、
この溝18と内径が変わる境界とのほぼ中間位置には、筒
部径方向に貫通するピン孔19が形成されている。
【0015】そして締付ボルトに当接する受け部15は、
同図(D),(E)に示すように、二股に形成された小
片で、筒部14の二股状先端部にはめ込まれて軸で枢着さ
れている。また、受け部15と筒部14の間にピンばね20を
介在して受け部15が若干の遊びをもって揺動するよう構
成した。これは、表示器の取付後、工具を表示器から離
脱させる際、表示器が押し上げ棒9の先端と接触して離
脱の障害となることを防止するためである。
【0016】押し上げ棒9の胴部2への取り付けは、図
3に示すように、先ず座金17にガイドピン13を取り付け
ておき、ガイドピン13にスプリング21を外嵌する。次に
このガイドピン13に、受け部15が枢着された筒部14を外
嵌する。このとき、筒部14の内径が狭い部分はガイドピ
ン13と内接し、スプリング21はガイドピン13、ばね座金
17および筒部14の内径の広い部分で囲まれる空間に内蔵
される。そして、筒部14とガイドピン13の長孔16とを貫
通するピン22を筒部14のピン孔に挿入すると、筒部14は
スプリング21により付勢され、長孔16の範囲で進退でき
ることとなる。後は組み立てられた押し上げ棒9を胴部
2の案内孔10に差し込んで座金17を固定すればよい。
【0017】次に、このような押し上げ棒9を、常時は
案内孔内に引っ込んだ状態に保持し、表示器の取り付け
時に飛び出させるための機構を図5および6に示す。こ
れは、胴部2に固定された内筒23と、内筒23に外接する
外筒24と、外筒24と一体で、内筒23を貫通し、押し上げ
棒9の溝18に係合する止めピン11と、外筒24に固定され
たレバー25などから構成される。
【0018】(内筒)まず、内筒23は、図7に示すよう
に、一端が細く形成された中空円筒状のもので、その内
径も一端側が小さく、他端側が大きく形成されている。
径が変わる境界の端面には、他端まで貫通するねじ孔26
が4箇所に形成されており、ここにねじを挿入して内筒
23を胴部2に固定する。また、外径の大きい部分の外周
には螺旋方向沿いのカム溝27が形成されている。ここに
は後述するレバー25の先端が係合し、レバー25を回動す
ることによって止めピン11を後退させ、これと押し出し
棒の溝18との係合を解除する。そして、外周には中心に
向かうピン孔28が形成され、そこには後述するピン33が
はめ込まれる。
【0019】(外筒)次に、外筒24は、図8に示すよう
に、一端が細く形成された中空円筒状のもので、径の太
い部分は内筒23の外径に対応した内径で、径の細い部分
の内径は止めピン25の外径に対応した内径をもつ。径の
太い部分の外周には、内周にまで達するレバー取付孔29
が形成されている。そして、外筒24の径が変わる境界の
端面にはこの取付孔に達する細孔30が形成され、そこに
レバー25の抜け止めが挿通される。また、同外周には、
内周にまで達する帯状の切欠31がほぼ135°の範囲に
わたって形成されている。この切欠33は後述の引張ばね
32を配する箇所で、図6(B),(C)に示すように、
引張ばね32の一端は内筒のピン33に、他端はこの切欠31
に横架されたピン34に係合される。一方、径の細い部分
の内周には止めピン11がはめ込まれる。止めピン11は外
筒24の径の細い部分の内径に対応した太径部と、内筒23
の径の細い部分の内径に対応した細径部からなり、この
細径部先端が押し上げ棒9の溝18に係脱する。
【0020】(レバー)そして、レバー25は、図5およ
び図6(B)に示すように、一端が前記外筒24のレバー
取付孔に挿入され、その先端が内筒23のカム溝27に係合
された棒状のものである。他端には、レバー25と直交
し、胴部中心線側に伸延する接触ピン35が螺合されてい
る。これは、表示器の押さえ金具を閉じる際、押さえ金
具と当接することでレバー25を回動するためのものであ
る。従って、接触ピン35を回し、表示器の押さえ金具を
閉じた際、同金具に当接するよう突出程度を調整してお
く。なお、図1に示すように、レバー25の他端を屈曲す
るだけでもよい。
【0021】(組み立てと動作)これらの構成部品の組
み立ては、まず胴部側面の止めピン挿入孔に内筒23を位
置合わせし、内筒23の4箇所にねじを挿通して、これを
胴部2に固定する(図5,6参照)。このとき、外筒内
には止めピン11をはめ込んで、両者を一体化しておく。
次に、止めピン11を一体化した外筒24を内筒23に外嵌
し、止めピン11を内筒内に挿入する。続いて、外筒24の
レバー取付孔29と内筒23のカム溝27を位置合わせし、そ
こにレバー25を挿入して、先端をカム溝27にまで到達さ
せる。その後、外筒24の径が変わる境界端面の細孔30か
らピンを差し込んでレバー25を固定する。そして、外筒
24の切欠31から内筒23にピン33を取り付けて引張ばね32
を配し、その一端を内筒のピン33に、他端を外筒24の切
欠31に横架されたピン34に係合する。
【0022】このような構成により、内筒23のカム溝27
の一端は胴部2に近接し、他端は胴部2から離反した配
置となる。また、外筒24は内筒23に対して一定の回転方
向に付勢され、その結果、常時はレバー25の端部がカム
溝27の一端に位置し、止めピン11を案内孔の方向に付勢
する。ここで、押し出し棒9を案内孔に押し込むと、止
めピン11は押し上げ棒9 の溝18に係合して、これを飛び
出さないように保持する。
【0023】なお、本例では上記内筒23,外筒24および
レバー25などを用いて止めピン11を押し上げ棒の溝18に
係脱させたが、この他、外筒24や内筒23を用いず、イン
デックスプランジャを止めピン11として用いてもよい。
インデックスプランジャは、内蔵された圧縮ばねによ
り、常時は突子が突出した状態に保持され、突子と一体
のつまみを引くと突子が後退し、放すと元の状態に復帰
するものである。これを胴部の挿入孔に取り付け、突子
を止めピンとして用いればよい。
【0024】{枠部の首振り機構}さらに、胴部2には
マニピュレータハンドで本工具を保持した際、枠部1を
首振り運動できるようにし、様々な向きに表示器を保持
できるよう構成した。本例では、図1,2に示すよう
に、胴部2の両側に2枚の回動板36を枢着し、回動板36
の端部をブロック状の連結部材37でつないで、垂直(上
下)に回動できるよう構成した。各回動板36の側面には
マニピュレータハンドの先端形状に適合する凹部38を形
成し、工具を挟持した際、すべったり脱落しないよう構
成した。なお、図9および10に示すように、連結部材
37を回動板36に挟持されるブロック部37A と、これと一
体で略半円状の平板部37B で構成し、この平板部37B に
挟持板39を枢着して水平(左右)回動できるよう構成し
てもよい。この場合は、挟持板39の両側にハンドの形状
に適合した凹部40を形成し、ここをハンドで挟持する。
【0025】上記首振り機構により保持した工具の角度
を自由に変えることができるが、角度の保持は、図9お
よび10に示すように、一方の回動板36や挟持板39に設
けられたインデックスプランジャ41,42 を用いて行う。
胴部2あるいは連結部材37には、枢軸を中心とする円弧
上に複数の孔43,44 が形成されており、回動板36や挟持
板39を所定の角度に回動してインデックスプランジャの
突子45,46 をこの孔43,44 にはめ込むと、角度を固定す
ることができる。なお、これらの首振り機構は必要に応
じて設ければよく、首振り機構がない場合は、直接胴部
2をマニピュレータで挟持すればよい。
【0026】[使用手順]次に、このような工具を用い
て、図17および18に示した表示器を配電線に取り付
ける作業手順を説明する。ここでは、昇降できる作業台
から伸延する2本のアームをもったマニピュレータ車に
より作業を行う場合を例とした。各アームの先端には開
閉することで種々のものを挟持できるハンドを具え、こ
のハンドは回転することもできる。
【0027】(1) まず、準備として、回動板36や挟持板
39の角度を所望の角度に固定し、枠部2に電線ガイド5
を取り付けておく。また、押し上げ棒9を案内孔10に押
し込み、止めピン11を溝18に係合させて、押し上げ棒9
が後退した状態に保持されていることを確認する。 (2) 次に、枠部1に表示器をはめ込み、手でアイボルト
4を回して保持具3を締め付け、表示器を枠部1に固定
する。このとき、表示器の向きは、締付ボルト62の枢着
部65が位置決め板8の間にはめ込まれるように合わせ
る。押さえ金具61を開いた状態にしておくことは言うま
でもない。 (3) 表示器の固定ができたら、一方のハンドで工具の回
動板36または挟持板39を挟んで保持し、ハンドが電線に
届く位置までマニピュレータ車の作業台を上昇させる。 (4) 作業台の位置が決まったら、マニピュレータを操作
して保持された表示器の所定位置に電線が位置するよ
う、両電線ガイド5に電線を当接させる。 (5) 表示器の所定位置に電線があることを確認し、他方
のハンドで表示器の押さえ金具を押し付け、これを閉じ
る(図11A参照)。
【0028】(6) このとき、押さえ金具61の側部にレバ
ー25の接触ピン35が当接し、レバー25を回動させる。 (7) レバー25の回動により、その先端は内筒23のカム溝
27に沿って摺動する。このときレバー25と外筒24が一体
であるため、外筒24は回転すると共に胴部2から離反す
る方向にスライドする。そのため外筒24と一体の止めピ
ン11も胴部2から離反する方向にスライドし、押し上げ
棒の溝18から外れる。その結果、押し上げ棒9はスプリ
ング21の弾性により飛び出し、表示器の締付ボルト62を
押し上げてこれを回動させる(図11B参照)。 (8) 回動された締付ボルト62は押さえ金具の端部切欠69
に係合する。 (9) 他方のハンドでインパクトレンチを保持し、これで
ナット70を回して、押さえ金具61を完全に締め付ける。 (10)なお、図12に示すように、表示器の押さえ金具61
と表示器本体60との間は電線の挟持により間隔があり、
レバー25の接触ピン35が押さえ金具61と表示器本体に挟
み込まれることはない。 (11)ナット70の締め付けを完了したら、他方のハンドで
直接枠部のアイボルト4挟むか、ハンドにフックを保持
し、このフックをアイボルト4に引っ掛けてこれを回転
し、表示器の保持具3を後退させる。 (12)そして、マニピュレータを操作して枠部1を表示器
から外し、取り付け作業を終了する。
【0029】このように、本発明工具によれば、マニピ
ュレータで表示器の取り付けができ、活線でも安全な作
業を行うことができる。特に、押さえ金具の閉じ動作に
押し上げ棒の飛び出し動作を連動させることができるた
め、一つの動作で締付ボルトを回動させることができ
る。
【0030】ちなみに、押し上げ棒の止めピンとしてイ
ンデックスプランジャを用いた場合は、表示器の押さえ
金具をハンドで押さえて閉じ、一旦ハンドを放してから
インデックスプランジャを引っ張って押し上げ棒を飛び
出させることになる。従って、押さえ金具の閉じ動作と
押し上げ棒の飛び出し動作という2つの動作を別々に行
わなければならない。なお、本例はマニピュレータハン
ドで操作する場合を例として説明しているが、挟持板の
代わりに筒状の金具を設け、これに絶縁棒を挿入,固定
することで作業者が絶縁棒を保持し、間接活線作業を行
うことができる。即ち、一本の絶縁棒で工具を保持し、
他の絶縁棒でレバーを操作すれば、容易に工具を作動さ
せることができる。
【0031】〔実施例2〕次に、実施例1に若干の変更
を加えた具体例を図13から16に基づいて説明する。
ここでは、主に実施例1との相違点を説明し、共通点は
省略する。図13は本実施例工具の枠部を示す横断面図
で、図14は同工具の使用状態を示す縦断面図である。
【0032】まず第一の相違点は、電線ガイドの構成に
ある。実施例1では棒状であったのに対し、本例では図
14に示すように、V型の切欠81を有する板状のものと
した。このガイド80は、一端側に長手方向沿いの長孔82
が設けられ、それを貫通する蝶ボルト7で枠部1に固定
されており、他端に前記切欠81が形成されている。本例
の場合、このV型の切欠81に電線をはめ込むことで表示
器の中心に電線を位置させる。そして、径の異なる電線
に対応する際には、前記長孔82の範囲でガイド80を上下
に動かし、切欠81の上下位置を調整すればよい。
【0033】第二の相違点は、表示器の保持具の構成に
ある。まず、固定式の保持具83は、図13に示すよう
に、枠部を外周面から径方向に貫通するボルト84で取り
外しできるよう構成し、表示器のサイズや形態に対応し
たものと取り替えができるように構成した。また、可動
式の保持具85は、同図および図15に示すように、枠部
外周にボルト86で固定され、内周に突出したキー87を有
する筒状の軸受け部88と、これに挿入され、前記キー87
と嵌合する螺旋状のキー溝89が形成された回転軸90を具
えるものである。回転軸90の一端には保持具85が連結さ
れ、他端には回転軸90よりも径が太く、棒状の補助レバ
ー91が突出した操作部92が設けられている。さらに、操
作部92と軸受け部88の間において、回転軸90にはスプリ
ング93が外嵌されている。
【0034】表示器の締め付け,解除は、操作部92をマ
ニピュレータハンドで挟持して回転軸を回し、キー87が
キー溝89沿いにスライドして、回転軸90の進退に伴って
保持具85を進退させることで行う。キー溝89の螺旋ピッ
チは、実施例1におけるアイボルト4のねじピッチに比
べてはるかに大きいため、ごく僅かな回転で保持具を進
退させることができる。また、アイボルト4を回転させ
る場合、通常はマニピュレータハンドでフックなどを保
持し、これをアイボルトに係合して行うが、本例の構成
では、フックを用いることなく直接ハンドで操作部を挟
持できる。さらに、補助レバー91を設けることにより、
マニピュレータハンドで操作部92を挟んだ際、補助レバ
ー91がない場合に比べて回転動作が容易にできる。な
お、図13では2つの可動式保持具のうち一方のみがキ
ーとキー溝を用いた構成であるが、双方をこの構成とし
てもよいことは言うまでもない。このように、キーとキ
ー溝を用いた保持具を用いることで、一層容易に表示器
の締め付け,解除が可能となり、表示器を電線に取り付
ける際だけではなく、取り外す際にも、本工具を用いて
表示器を保持することが容易にできる。
【0035】第三の相違点は、レバーの構成にある。実
施例1では、表示器の取付後、工具を表示器から離脱さ
せる際、表示器が押し上げ棒9の先端と接触して離脱の
障害となることを防止するために、その受け部15を揺動
自在に構成している。本例では、これと同様の目的で、
レバーの先端も揺動できるよう構成した。具体的には、
図14に示すように、一端が外筒24に取り付けられた固
定軸94と、この固定軸94の他端に軸支された揺動軸95を
具え、これら固定軸94と揺動軸95にはスプリング96が外
嵌されている。また、固定軸94と揺動軸95の連結は、丸
棒状の固定軸94の他端から軸方向沿いの切欠97を形成
し、揺動軸95の端部をこの切欠97にはめ込み、それを回
転軸98で貫通することで行っている。ここで、この切欠
97は固定軸の端面上から周縁を経て周面を軸方向沿いに
開口するものである。即ち、固定軸端面と周面の対向す
る位置に開口して他端を二股に形成するのではなく、同
端面と周面の一方にのみ開口している。そして、固定軸
94は周面の開口部を上方に向けて取り付けられている。
従って、揺動軸95は固定軸94の周面が開口された上方に
は折れ曲がるが、下方には折れ曲がらないよう構成され
ている。このような構成により、表示器を工具から取り
外す際、レバーの先端が表示器と接触しても、これが上
方に折り曲げられることで取り外しの障害となることを
防止できる。一方、押さえ金具61を閉じた際、レバーは
押し下げられも折り曲げられないため、確実に外筒24を
回動させることができる。
【0036】第四の相違点は、胴部に締付ボルト62の保
持金具を設けたことにある。実際の表示器取付作業時、
表示器を固定した工具をマニピュレータハンドで保持す
るが、このとき作業者がマニピュレータの操作に慣れて
いないと、押し上げ棒の受け部15に締付ボルト62を保持
させることができないことがある。即ち、表示器の押さ
え金具61を閉じるまでは締付ボルト62が受け部15に保持
されていなければならないが、マニピュレータの操作の
仕方によっては表示器が傾き、締付ボルト62が受け部15
から外れて電線受け部67側に回動してしまうのである。
そのため、本例では押さえ金具61を閉じる際、確実に締
付ボルト62を受け部15に保持できるよう締付ボルト62の
保持金具を設けている。
【0037】この保持金具99は、図14および16に示
すように、割りピン状のもので、二股側は締付ボルトの
外形に対応するよう両側に膨出し、屈曲側はねじで胴部
に固定されている。使用する際は、二股側から保持金具
99の間に締付ボルト62をはめ込んで膨出した部分でこれ
を挟持し、締付ボルト62を押し上げ棒の受け部15に保持
した状態に維持する。これにより、表示器がどのように
傾いても、締付ボルト62が表示器の電線受け部側に回動
してしまうこともない。そして、押し上げ棒9が飛び出
す際、これに押し上げられた締付ボルト62は二股の保持
金具99を押し広げ、同金具99から外れることで回動され
る。なお、以上の実施例1および2の説明では、事故点
表示器を例としているが、本発明工具は、電線を挟み付
けることで取り付けられる他の電線締付型機器に適用す
ることができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明工具によれ
ば、従来手作業によっていた電線締付型機器の取り付け
作業をマニピュレータで行うことができる。そのため、
通電を停止する必要がなく作業効率を向上でき、活線作
業でも作業者を感電などの危険から守ることができる。
また、外筒やカム溝をもった内筒を用い、レバー操作に
より押し上げ棒を飛び出させる請求項2記載の構成で
は、電線締付型機器の押さえ金具を閉じる動きに押し出
しピンの飛び出しを連動させることができ、極めて便利
である。さらに、枠部に電線ガイドを設けた請求項3の
構成では、電線締付型機器の所定位置に電線を配置する
ことが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明工具の平面図である。
【図2】本発明工具の側面図である。
【図3】胴部内における押し上げ棒の構造を示す断面図
である。
【図4】押し上げ棒の構成部品を示すもので、(A)は
ガイドピンの平面図,(B)は筒部の断面図,(C)は
筒部の側面図,(D)は受け部の平面図,(E)は受け
部の側面図である。
【図5】本発明工具における押し上げ棒の飛び出し機構
を示す縦断面図である。
【図6】図5の飛び出し機構を示すもので、(A)は内
筒のカム溝とレバーの係合状態を示す説明図,(B)は
横断面図,(C)は外観図である。
【図7】内筒を示すもので、(A)は外観図,(B)は
断面図,(C)は端面図である。
【図8】外筒を示すもので、(A)は平面図,(B)は
縦断面図,(C)は底面図,(D)は横断面図である。
【図9】首振り機構を示す平面図である。
【図10】首振り機構を示す側面図である。
【図11】本発明工具の使用時の説明図で、(A)は押
し上げ棒の飛び出し前の状態を示し、(B)は押し上げ
棒の飛び出し後の状態を示す。
【図12】本発明工具を用いて表示器の押さえ金具を閉
じることによりレバーが回動された状態を示す説明図で
ある。
【図13】図1の工具と一部が異なる本発明実施例の横
断面図である。
【図14】図1の工具と一部が異なる本発明実施例の縦
断面図である。
【図15】キーとキー溝を用いた保持具の進退機構を示
す説明図である。
【図16】締付ボルトの保持金具を示す平面図である。
【図17】表示器を示すもので、(A)は正面図,
(B)は平面図である。
【図18】表示器を示すもので、(A)は側面図,
(B)は底面図である。
【符号の説明】 1 枠部 2 胴部 3,3A,3B 保持具 4 アイボル
ト 5 電線ガイド 6 取付金具 7 蝶ボルト 8 位置決め板 9 押
し上げ棒 10 案内孔 11 止めピン 12 挿入孔 13 ガイドピン 14 筒部
15 受け部 16 長孔 17 座金 18 溝 19 ピン孔 20 ピンば
ね 21 スプリング 22 ピン 23 内筒 24 外筒 25 レバー 26 ねじ
孔 27 カム溝 28 ピン孔 29 レバー取付孔 30 細孔 31 切欠
32 引張ばね 33 ピン 34 ピン 35 接触ピン 36 回動板 37
連結部材 37A ブロック部 37B 平板部 38 凹部 39 挟持板
40 凹部 41,42 インデックスプランジャ 43,44 孔 45,46 突子
60 表示器本体 61 押さえ金具 62 締付ボルト 63 下部 64,65 枢
着部 66 上部 67 電線受け部 68 電線押さえ部 69 切欠 70 ナ
ット 71 表示板 80 ガイド 81 切欠 82 長孔 83 固定式保持具
84 ボルト 85 可動式保持具 86 ボルト 87 キー 88 軸受け
部 89 キー溝 90 回転軸 91 補助レバー 92 操作部 93 スプリ
ング 94 固定軸 95 揺動軸 96 スプリング 97 切欠 98 回転軸
99 保持金具 C 電線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 良壱 宮城県仙台市青葉区一番町3丁目7番1 号 東北電力株式会社内 (72)発明者 八鍬 秀一 宮城県仙台市青葉区一番町3丁目7番1 号 東北電力株式会社内 (72)発明者 斎藤 義雄 宮城県仙台市太白区郡山1丁目2番1号 北日本電線株式会社内 (72)発明者 相原 直樹 宮城県仙台市太白区郡山1丁目2番1号 北日本電線株式会社内 (72)発明者 和田 武 兵庫県伊丹市北河原字当田20番地の2 朝日金属精工株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−170773(JP,A) 実開 平4−101209(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 1/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線締付型機器本体に枢着された押さえ
    金具を閉じて電線を挟み込み、押さえ金具に対向して前
    記本体に枢着された締付ボルトを回動して押さえ金具の
    端部に係合させ、電線締付型機器を電線に取り付ける工
    具であって、 該工具は、前記機器を保持する環状の枠部と、この枠部
    と一体で、締付ボルトの押し上げ棒が具えられる胴部を
    有し、 該押し上げ棒は、胴部の案内孔内で弾性体により付勢さ
    れ、胴部に挿通されて前記押さえ金具の閉じ動作に連動
    る止めピンと係脱して突出することで前記締付ボルト
    を押し上げるよう構成したことを特徴とする電線締付型
    機器の取付工具。
  2. 【請求項2】 止めピンと同軸状に一体化された外筒
    と、 胴部に固定されると共に、外筒に内接し、止めピンに外
    嵌される内筒を具え、 該内筒は、その外周に螺旋方向沿いのカム溝が形成さ
    れ、 前記外筒は、これを貫通し、内筒のカム溝に係合するレ
    バーを具えると共に、内筒に対して周方向に付勢され、 該レバーの端部は、表示器の押さえ金具を閉じる際、押
    さえ金具と当接するよう構成したことを特徴とする請求
    項1記載の電線締付型機器の取付工具。
  3. 【請求項3】 枠部の外周から内周に貫通し、螺旋状の
    キー溝を有する回転軸と、 枠部と一体で前記キー溝に嵌合するキーと前記回転軸の
    先端に連結された電線締付型機器の保持具を具えること
    を特徴とする請求項1または2記載の電線締付型機器の
    取付工具。
  4. 【請求項4】 枠部に電線ガイドを立設したことを特徴
    とする請求項1から3のいずれかに記載の電線締付型機
    器の取付工具。
  5. 【請求項5】 押し上げ棒の端部を揺動自在に構成した
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電
    線締付型機器の取付工具。
  6. 【請求項6】 胴部に締付ボルトの保持金具を設けたこ
    とを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電線
    締付型機器の取付工具。
  7. 【請求項7】 レバーの端部を揺動自在に構成したこと
    を特徴とする請求項2記載の電線締付型機器の取付工
    具。
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