JP3352151B2 - 繊維強化複合材料製碍子 - Google Patents

繊維強化複合材料製碍子

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JP3352151B2
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純 安田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配電線及び送電線等の
絶縁支持材として使用される繊維強化複合材料製碍子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在使用されている碍子の多くは磁器製
である。このような現用の磁器碍子は、既に配電線及び
送電線において長期間の実績を有している。しかし、経
年劣化が少ない反面、重量が重く壊れ易い欠点があっ
た。磁器は高い弾性率(剛性)を持つが反面脆い材料で
あり衝撃に弱く、引張り強度、曲げ強度、圧縮強度等の
力学的強度は低い。送電線等の大きな荷重の架かる絶縁
支持材として使用した場合、多量の磁器を使用する必要
があり、大きくかつ重い支持材となる。従って、このよ
うな磁器製碍子の取り付け作業は大がかりなものとな
り、危険を伴い、さらにぶつかると壊れ易いなど取り扱
いに十分な注意が必要であり、取り付け作業の効率も悪
かった。
【0003】このため碍子をコンパクト化する目的で、
えば繊維強化複合材料製の碍子が検討され提案されて
いる。その構成は、引抜き成形法等で製作された繊維強
化プラスチック棒(以下FRPロッドという)の両端に
端金具を取付けたものである。プラスチックを繊維で強
化した高分子碍子は、軽量で落としたりぶつかったりし
ても壊れることがなく、取り扱いが極めて容易であり、
また、経年劣化に対しても、同種の高分子碍子を用いた
加速劣化試験の結果、20年以上の屋外使用に十分耐え
られることが明らかにされている。
【0004】しかし、このような従来の繊維強化複合材
料製の碍子は、FRPロッドと端金具の接合方法につい
て色々と検討が行なわれてきたが、接合部分の表面性や
接合状態の微妙な違いが引張り強度に大きな影響を与え
た。また、FRPロッドが破壊に至る前に端金具が外れ
るため、十分な引張り強度は得られなかった。従って、
高引張り強度が要求される配電線及び送電線等の絶縁支
持材(例えば、耐張碍子)への適用は出来なかった。
【0005】そこで、FRPロッドに代えて繊維強化複
合材料により、レーストラック形状に成形し、両端の円
弧部に端金具との結合ピンを挿通するようにした碍子
(以下レーストラック製碍子という)が提供されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のレーストラ
ック製碍子は、両端の円弧部の内径Dと肉厚tとの比D
/tの設定に制限があり、FRPの特性を効果的に利用
出来なかった。即ち、引張特性、軽量化、コンパクト化
等で制限があった。また、ボイドレス(気泡なし)のF
RPを作るのが困難であった(特に、両端の円弧部)。
しかも、このままでは、断面が矩形であるため、二次加
工で最終形状(円形断面)にする必要がある。さらに、
トラック間に空間が出来る。この空間には樹脂、コア材
等の充填材が充填されるが、この充填材により、FRP
と充填材の界面部等、長さ方向での亀裂発生の原因とな
る。また、充填材添加による重量増加で充分な軽量化が
出来ない。しかも、繊維の配置、端金具の取り付け等で
作業効率が悪い等の問題点があった。
【0007】本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みて
提案されたもので、その目的とするところは、D/tの
設定が効果的に行なえること、コンパクトな形状で高強
度が得られること、ボイドレスな高品質FRP碍子が得
られること、最終形状として仕上げることが出来るこ
と、軽量、高品質FRP碍子が得られること、量産可能
であること、容易に製作出来、生産性がよいことなどを
可能とした繊維強化複合材料製碍子を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、連続繊維をレーストラック状に巻付けて
樹脂を含浸硬化させて形成された繊維強化複合材料製の
ベース部と、その上に同じまたは別の連続繊維または樹
をレーストラック形状に沿って幅方向の両端部から中
央部にかけて肉厚を漸次厚くして断面半円柱状に形成さ
れた肉盛部とからなり、これをベース部の下面同士が対
向した碍子主体とし、この碍子主体の両端部に前記ベー
ス部下面の湾曲部により連結用孔を形成し、この連結用
孔に挿通された連結具を利用して碍子主体の端部に端金
具を装備させて繊維強化複合材料製碍子を構成したもの
である。この場合、上記碍子主体を、複数枚の突縁状笠
部を外周部にもつ樹脂製のカバー材で被覆してもよい。
ここで、上記の「ベース部の下面同士が対向した」とい
う用語は、下面同士が離隔して対向している場合、連結
用孔部分を除いて密着して対向している場合、および下
面同士が離隔し、かつ連結用孔部分を除いてその対向面
間の中空部を樹脂によって埋める場合などを含むもので
ある。
【0009】また、本発明は、上記ベース部と肉盛部と
を一連一体に構成したことを特徴としている。
【0010】また、本発明は、上記端金具が、外側両端
に取付孔を有することを特徴としている。
【0011】また、本発明は、上記端金具にねじプラグ
が螺合され、ねじプラグの外側面に2つのブラケットを
平行、かつ一体に形成し、このブラケットに連結具用孔
を形成し、この連結具用孔および碍子主体の連結用孔に
連結具を挿通して、碍子主体と端金具とを連結したこと
を特徴としている。
【0012】また、本発明は、上記端金具が、碍子主体
の挿入孔および連結具用孔を有し、前記挿入孔に碍子主
体の端部を挿入すると共に、連結具用孔および碍子主体
の連結用孔に連結具を挿通して、碍子主体と端金具とを
連結したことを特徴としている
【0013】また、本発明は、上記碍子主体の連結用孔
に連結具を挿通してその両端を突出 させると共に、前記
端金具の碍子主体の挿入孔に長手方向案内溝と、これに
続く円周方向案内溝とからなるL形鉤溝を形成し、前記
連結具の碍子主体から突出した両端を端金具のL形鉤溝
に挿入して、碍子主体と端金具とを連結したことを特徴
としている。
【0014】
【作用】本発明の断面円柱状の碍子主体は、コンパクト
な形状で高い引張強度が得られる。また、碍子主体の両
端部に前記ベース部の下面の湾曲部により連結用孔を形
成し、この連結用孔に挿通させた連結具を利用して碍子
主体に端金具を装備させたので、碍子主体に直接引張力
を作用させる場合に比較して、外観が良好であるのみな
らず、取扱いが容易で、かつ引張破断強度を大きくする
ことができる。
【0015】さらに、碍子主体と端金具との連結が強固
であるため、碍子主体と端金具との連結部から破断する
ことがない。
【0016】
【実施例】図1の(A)は本発明の第1実施例の斜視図
でカバー材を除去して示しており、(B)は第1実施例
の分解斜視図、(C)は第1実施例の完成品の斜視図で
カバー材を切断して示している。
【0017】図1の(A)〜(C)において、(1)は
碍子主体、(2)(2)は端金具、(3)(3)は連結
具、(4)(4)は止め金具、(5)は補助カバー、
(6)はカバー材を示している。
【0018】碍子主体(1)は、両端に端金具(2)
(2)への連結用孔(1a)(1a)を長手方向に直交
する方向に形成し、この孔(1a)(1a)を含めて全
体を電気絶縁性の長く連続した繊維でエンドレスのレー
ストラック形状に巻き付けて繊維強化複合材料製のベー
ス部(1f)を形成し、その上に後述する肉盛部(1
b)を形成したものである。
【0019】端金具(2)(2)は、例えば、耐海水性
アルミ合金等の金属で構成され、外側端部に取付孔(2
a)(2a)が形成され、内側端部には、図1の(B)
に示す様に、碍子主体(1)の挿入孔(2b)(2b)
が形成され、この挿入孔(2b)(2b)の奥部両側に
は孔(2c)(2c)が横断して形成されている。尚、
端金具(2)(2)の別の実施例として、図1の(A)
に示す様に、ねじプラグ(2d)を端金具(2)に螺合
させ、このねじプラグ(2d)の外側面に2つのブラケ
ット(2e)(2e)を平行かつ一体に形成し、このブ
ラケット(2e)(2e)に孔(2f)(2f)を設
け、この孔(2f)(2f)に連結具(3)を挿通し、
止め金具(4)で止めて碍子主体(1)の端部をねじプ
ラグ(2d)に連結し、この状態でねじプラグ(2d)
を端金具(2)にねじ込んで連結部(a)を端金具
(2)内に隠すようにしてもよい。
【0020】補助カバー(5)は、例えば、シリコン製
等の樹脂製円筒体であって、碍子主体(1)の両端の端
金具(2)(2)間に嵌合し、碍子主体(1)を被覆さ
せるものである。この補助カバー(5)の上からカバー
材(6)をかぶせて内部を密閉して、図1の(C)に示
す碍子完成品を得る。この場合、内部の空間の空気は排
除して真空とするか、或いは、窒素その他の不活性ガス
または電気絶縁性充填材等を充填するのが好ましい。
【0021】カバー材(6)は、筒体の外周部に複数枚
の突縁状笠部(6a)を有し、全体を電気絶縁材料、例
えば、熱収縮性シリコーンゴム等により形成する。熱収
縮性シリコーンゴムを使用した場合では、補助カバー
(5)上に装着した後、加熱してカバー材(6)を収縮
させることにより、一体化することができ、耐候性及び
汚損時耐電圧にも優れている。カバー材(6)はシリコ
ーンゴムに限らず塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等の電気
絶縁性を有する他の材料で構成することもできる。
【0022】図1に示す第1実施例の組立の一例を示す
と、先ず、繊維強化複合材料で製作される碍子主体
(1)の一端を図1の(B)に示す様に一方の端金具
(2)に連結具(3)と止め金具(4)とで連結し、こ
の状態で碍子主体(1)の他端より、補助カバー(5)
を挿入し、続いて、その上にカバー材(6)を挿入し、
この状態で碍子主体(1)の他端に他方の端金具(2)
を嵌合し、連結具(3)と止め金具(4)とで連結す
る。そして、カバー材(6)が熱収縮性シリコーンゴム
製の場合には、この段階で加熱して熱収縮させ、一体化
させるものである。
【0023】図2の(A)は本発明に係る碍子主体
(1)の実施例を示すもので、ベース部(1f)の周囲
に肉盛部(1b)を固着して図2の(B)に示す様に円
柱形状とし、カバー材(6)を直接装着したものであ
る。この場合の肉盛部(1b)は、エポキシ樹脂、ポリ
エステル樹脂等により、碍子主体(1)との一体化が容
易な樹脂が好ましく、その際、それらの樹脂は、単体で
あってもよいが、電気絶縁性の充填材、繊維を含むもの
であってもよい。また、肉盛部(1b)は、碍子主体
(1)の両端部の連結用孔(1a)(1a)を除く中空
部(1c)を埋めるものであってもよい。
【0024】さらに、碍子主体(1)の周囲に固着する
肉盛部(1b)には、碍子主体(1)と同一組成の連続
繊維に樹脂を含浸させたものを図5の(C)に示す治具
(14)と同様な治具を使用して碍子主体(1)の長手
方向に連続的に巻付けて図2の(B’)に示すような円
柱形状とすることができる。この肉盛部(1b)には、
連続繊維(1b’)を碍子主体(1)と同様に埋設す
る。このような断面形状に巻付けるには、樹脂を含浸さ
せた連続繊維の巻付け密度を、幅方向の両端部から中央
部に向けて漸次高くし、中央部が最大となるようにす
る。
【0025】図2の(C)(D)は碍子主体(1)と端
金具(2)との連結構造例を示すもので、先ず、(C)
は、碍子主体(1)の端部の連結用孔(1a)に連結具
(3)を挿通固着し、両端を突出させておく。そして、
端金具(2)には、連結具(3)の両端突出部を案内す
る長手方向案内溝(2g)と、これに続く円周方向係止
溝(2h)とからなるL形鈎溝(2i)を形成し、これ
に連結具(3)を挿入係止させることによって碍子主体
(1)と端金具(2)とを連結させるようにしている。
(D)は、碍子主体(1)が円柱形状であるため、端金
具(2)も単に円形孔(2j)を形成し、両方の孔(1
a)(2c)に連結具(3)を挿通し、止め金具(4)
で止めるようにしたものを示す。
【0026】図3の(A)(B)(C)は、本発明の第
2実施例を示すものであって、前記実施例の碍子主体
(1)と端金具(2)とを連結した後に連結部(a)及
びベース部(1f)の中空部(1c)を含めて碍子主体
(1)の周囲に樹脂(1d)を被覆固着し、全体を図3
の(B)のように円柱形状としたものである。この場
合、連結具(3)を固定する止め金具(4)は、図3の
(A)に示す様に、割ピンとし、嵩張らないようにして
いる。また、図3の(C)に示すカバー材(6)を一方
の端金具(2)側から挿入し、熱収縮性を利用して固着
させるものである。
【0027】図4の(A)(B)は、本発明の第3実施
例を示すものであって、前記した第2実施例がカバー材
(6)を後から挿入して固着させていたものをさらに発
展させて、碍子主体(1)の周囲に被覆固着させる樹脂
で複数枚の突縁状笠部(6a)を有するカバー材(6)
を構成したもので使用する樹脂は、耐候性と汚損時耐電
圧に優れたものであればよい。
【0028】次に、碍子主体(1)の製造方法の一例を
説明する。図5の(A)に示す様に、厚さ30mm、端
部のR部分が15mmのマンドレル(10)に、エポキ
シ樹脂の入った樹脂バス(11)を通して樹脂含浸させ
たガラスロービングからなる電気絶縁性の連続繊維(1
2)を所定幅及び厚さに巻き付ける。そして、この樹脂
含浸させた連続繊維(12)を巻き付けたマンドレル
(10)を温度130℃°で1時間熱処理後、温度14
0℃で4時間更に熱処理する。樹脂の硬化後、マンドレ
ル(10)から脱型し、幅20mmに切断して図5の
(B)に示す厚さ6mm、直線部分の長さが1mのエン
ドレス状の碍子主体(1)を得る。ここで得られた碍子
主体(1)を図1(B)に示した第1実施例の組立方法
組立て、図1(C)と同様な碍子完成品を得た。こ
の碍子完成品の引張り破断荷重は21トンで、碍子主体
部の重量は512gであった。
【0029】図5の(C)は、他の製造方法を示すもの
で、この場合、両端部の曲率半径が5mmの長円形巻枠
治具(14)にガラスロービングからなる電気絶縁性の
連続繊維(12)を所定幅及び厚さに巻付ける。そし
て、これを円筒状金型(図示省略)に入れ、エポキシ樹
脂を金型内に注入し、温度130℃で1時間熱処理後、
温度140℃で4時間更に熱処理して、金型から脱型
し、図5の(D)(E)に示す様な外径30mmの円柱
形状をした碍子主体(1)を得た。ここで得られた碍子
主体(1)を図4の(A)(B)に示した第4実施例の
方法で碍子完成品を製作した。この碍子完成品の引張り
破断荷重はどの完成品も18トン前後の安定した値を示
した。次に、引抜き成形法で製作した外径30mmの円
柱形状のFRPロッドに端金具を取り付け、碍子を製作
し、その引張り破断荷重を測定した。
【0030】端金具を取付ける方法として、円柱状内
面をもつ端金具内に接着剤をつけ接着させる方法、端
金具をかしめる方法、FRPロッド自体にテーパーや
くぼみをつけたり、くさびを入れたりする等の方法、
円錐状の内面をもつ端金具に埋め込む方法等を用いた。
【0031】引張り破断荷重の測定結果では、どの方法
も端金具の取り付け部で破断し、14トン以上の強度を
示すものは得られなかった。また、最も高い破断荷重を
示したの方法では、接合部の表面状態や取り付け時の
セッティング方法等による測定値のバラツキが大きかっ
た。
【0032】また、図5の(C)の方法で、直径D=1
0mmの引張金具(ピン)間を、1120TEX(日東
紡績株式会社製商品名)のT−ガラス繊維を300回巻
付け、図5の(F)(G)に示すような、両端部の連結
用孔(1a)(1a)の内径D=10mm、外径φ=2
6mmの形状のFRP製の碍子主体(1)を製作し、引
張試験を行なった結果、13.55トンの引張強度が得
られた。
【0033】図6の(A)に示す従来のレーストラック
形FRPで、ピンの直径DとFRP厚さtの比、つまり
D/tと引張強度との間には図6の(B)に示すような
関係がある。D/t=kのときの応力がσ(k)kgf
/mm2のとき、上記本発明品と同じ13.55トンの
引張強度を得るには、引張荷重が加わるFRP部分の断
面積は、13550/σ(k) mm2以上の断面積が
必要となる。
【0034】従って、13.55トンの引張強度を得る
には、外径φ=31.4mm以上が必要となる。外径φ
=31mm、ピンの直径D=16mmのレーストラック
形FRPを用いたFRP碍子について引張試験を行なっ
た結果では、約12.50トンの引張強度が得られた。
この結果、従来のレーストラック形FRP製碍子の場合
では、本発明品より外径で5mm大きなFRPが必要と
なる。
【0035】次に、高引張強度が要求されるFRPを製
作する方法として、前記した図6の(A)に示すレース
トラック形FRPを用いる方法があり、以下これを説明
する。
【0036】この場合、強化用繊維の特性を効果的に発
揮させ、高引張強度碍子を得るには、図6の(B)の関
係からD/tを大きくとる必要がある。D/tの大きい
FRPを従来からある一連型のFRP碍子とすると前述
した通り大きな形状となる。そこで、図7の(C)に示
すような二連型のFRP碍子とすることにより、コンパ
クト化、軽量化が可能で、強化用繊維の特性を効果的に
発揮させ、高引張強度碍子を得ることができる。
【0037】図7は、上記二連型のFRP碍子を得るた
めに、図5の(A)の方法で得られた、幅25mm、厚
さ7mm、直線部分の長さ1,000mmの図5の
(B)に示すエンドレス状の碍子主体(1)を図7の
(A)に示す端金具と連結具が一体となった治具(2
3)(23)にはめ込み、図7の(B)に示した二連型
のFRP碍子主体を得る。これにカバー材(6)をかぶ
せ図7の(C)に示す碍子完成品を得た。この碍子完成
品の引張り破断荷重は48トンであった。
【0038】なお、比較例として、図7の(D)(E)
に示すように、厚さt=3mmの同じで、ピン直径D=
26mmとD=100mmのFRPを製作するために、
ガラス繊維を巻付けた金枠を金型内にセットし、金型内
を10torに減圧して後、30分かけて樹脂を注入し
た。樹脂の硬化後、得られたFRPの含浸状態を比較し
てみると、図7の(D)に示すD=26mmのものの湾
曲部分は、樹脂の含浸不良による白濁が発生しているこ
とが確認されたが、図7の(E)に示すD=100mm
のFRPの湾曲部分には白濁がなく、良好な含浸性が認
められた。両者の湾曲部分の切断面を電子顕微鏡で観察
したところ、D=26mmのものの湾曲部分には、ボイ
ド(気泡)の存在が認められたが、D=100mmのF
RPの湾曲部分には、ボイドは認められなかった。この
ボイドの存在部分は、引張力の作用下では、応力集中に
よる亀裂破断の起点となり、不利である。
【0039】図8は、碍子主体(1)をメガネ型とした
場合の形状形態例を示す。治具に繊維を巻付けてから、
これを金型内に入れ樹脂を注入する方法で図8(A)に
示すメガネ形状の碍子主体(1)を得る。これを図8
(B)に示すように、端金具と連結具が一体となった治
具(24)に取付ける。この治具(24)は、碍子主体
(1)の端部の環状部(1e)を嵌合抱持し得る中央突
起付きの凹部(24a)を有する2つ割構造の挟持体
(24b)(24c)と、両挟持体(24b)(24
c)を結合する結合リング(24d)とからなってい
る。図3の(B)(C)に示す方法でカバー材(6)を
固着させ、図8(C)に示す軽量でコンパクトな碍子完
成品を得た。
【0040】上記実施例と同じ形状で図8の(D)に示
すように、D=12mm、中央部のFRP部分の繊維体
積含有率(Vf値)が60%の碍子用FRPに、引張金
具をセットし、1mm/secの試験スピードで引張試
験を行なった。なお、比較のため、図8の(E)に示す
ように、D=26mm、厚さt=3mmで中央部のFR
P部分のVf値が60%の従来からのFRP材について
同一条件で引張試験を行なった。
【0041】繰り返し試験回数3回行なった測定結果の
平均値で、本発明による図8の(D)のもので、147
Kgf/mm2、図8の(E)に示す従来のもので13
5Kgf/mm2であった。図8の(E)のFRPは、
接合部と中央部の接点で応力集中して破壊したが、図8
の(D)に示す本発明品は中央部で破壊した。この結
果、図8の(E)に示すもので十分な引張強度を得るに
は、D/tを十分大きくする必要があり、さらに大きな
形状となる。
【0042】図9は、図8の変形実施例であって、図8
(A)と同一形状の碍子主体(1)に図9(B)に示す
ように、端金具と連結具が一体となった治具(25)を
取付けたものである。この治具(25)は、図9(A)
に示すように、碍子主体(1)の端部の環状部(1e)
を嵌合抱持し得る凹部(25a)を有する2つ割構造の
挟持体(25b)(25c)と、両挟持体(25b)
(25c)を結合する結合リング(25d)とからな
り、上記凹部(25a)の中央には、碍子主体(1)の
端部の環状部(1e)の孔(1a)と連通する孔(25
e)を有する。そして、碍子主体(1)の端部の環状部
(1e)を両挟持体(25b)(25c)の凹部(25
a)に嵌合抱持させ、結合リング(25d)で結合した
状態で、両挟持体(25b)(25c)の孔(25e)
と碍子主体(1)の端部の環状部(1e)の孔(1a)
とに連結具(図示省略)を挿通し、この連結具によって
碍子主体(1)と治具(25)とを一体化して引張り荷
重による抜脱を防止すると共に、絶縁アーム等への取り
付け部材に兼用させている。この碍子主体(1)にも図
3の(B)(C)に示す方法でカバー材(6)を固着さ
せて碍子完成品(図示省略)とするものである。
【0043】以上、本発明の幾つかの実施例を説明して
きたが、本発明は、これらの実施例に制約されるもので
はなく、例えば、碍子主体(1)の形状については、両
端に連結用孔(1a)(1a)をもつものであれば、例
えば、図8に示すように、形状は任意の形状とすること
ができ、また使用する繊維は、モノフィラメント糸のよ
うな直線状に長く連続した繊維が望ましいけれども、マ
ルチフィラメント糸や紡績糸のような比較的短い繊維に
よって構成されるものでもよく、また織物状繊維、或い
は組み紐状繊維形態等であってもよい。さらに、端金具
(2)との連結構造も、連結具(3)で碍子主体(1)
を連結する方式であればどのような構造でもよい。図
の(A)、図の(B)および図の(A)に示す端金
具(2)と連結具(3)が一体となった治具(23)
(24)(25)を用いてもよい。また、碍子主体
(1)は同時に2体以上使用することができ、また2個
以上の連結具に掛けて使用することもできる。また、カ
バー材(6)についても、笠部(6a)の形状や枚数等
を適宜変更して実施することができるものである。さら
に、本発明の碍子は、配電線、送電線等の耐張碍子に好
適であるが、軽量化・小型化の要求される6〜20KV
級の高圧配電線から、高い引張り強度を要求される60
KV級および、その電圧階級を越える超高圧送電線等の
耐張および引き留め等の支持碍子に適用できる。
【0044】
【発明の効果】本発明の円筒型レーストラック形状のF
RP碍子主体は、コンパクトで高引張強度、高品質のF
RP碍子が得られる。また、碍子主体の両端にベース部
下面の湾曲部により連結用孔を形成し、この連結用孔に
挿通させた連結具を利用して、碍子主体と端金具とを連
結させたので、端金具を利用して送電線や配電線に取付
ることができて便利であり、しかも碍子主体と端金具と
の連結強度が大きく、連結部から破断しない。
【0045】また、本発明の碍子主体は、ベース部と肉
盛部とを一連一体に形成したので、ベース部と肉盛部と
の間で剥離等が生じず、コンパクトでボイドレスで高引
張強度、高品質のFRP碍子が得られる。
【0046】さらに、本発明の端金具は、取付孔を有す
るので、この取付孔を利用して碍子を送電線や配電線に
取付けることができ、取扱いが容易である
【0047】また、本発明は、端金具にねじプラグが螺
合され、ねじプラグのブラケットの 連結具用孔および碍
子主体の連結用孔に連結具を挿通して、碍子主体と端金
具とを連結したことにより、端金具とねじプラグとが螺
合によって連結され、引張荷重に対する破断強度が大き
い碍子が得られる
【0048】また、本発明は、端金具が、碍子主体の挿
入孔および連結具用孔を有し、前記挿入孔に碍子主体の
端部を挿入すると共に、連結具用孔および碍子主体の連
結用孔に連結具を挿通して、碍子主体と端金具とを連結
したことことにより、碍子主体が連結具によって連結さ
れるのみならず、碍子主体の端部と端金具との摩擦力に
よっても連結されるため、引張荷重に対する破断強度が
大きい碍子が得られる。
【0049】また、本発明は、碍子主体の連結用孔に連
結具を挿通してその両端を突出させると共に、端金具の
碍子主体の挿入孔にL形鉤溝を形成し、前記連結具の突
出した両端を端金具のL形鉤溝に挿入して、碍子主体と
端金具とを連結したことにより、碍子主体と端金具との
連結作業が容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1実施例の斜視図でカバー
材を除去しており、(B)は第1実施例の分解斜視図、
(C)は第1実施例の完成品の斜視図でカバー材を切断
してしめしている。
【図2】(A)は本発明に係る碍子主体の実施例を示す
斜視図、(B)はその断面図、(B’)はその変形例例
の断面図、(C)(D)は碍子主体と端金具との連結構
造の他の例を示す斜視図である。
【図3】(A)(B)(C)は本発明の第2実施例品の
製作順序を説明する斜視図である。
【図4】(A)(B)は本発明の第3実施例品の製作順
序を説明する斜視図である。
【図5】(A)は本発明に係る碍子主体の製造装置の一
例を示す要部概略斜視図、(B)はその製品の斜視図、
(C)は本発明に係る碍子主体の製造装置の他の例を示
す要部概略斜視図、(D)はその製品の斜視図、(E)
はその断面図、(F)は(D)の製品の変形例の長手方
向断面図、(G)はその直角方向断面図である。
【図6】(A)はレーストラック型FRPの斜視図、
(B)はレーストラック型FRPの両端の湾曲部の直径
Dと厚さtの比 D/tと引張強度との関係を示す特性
図である。
【図7】(A)(B)(C)は本発明の第4実施例品の
製作順序を説明する斜視図、(D)(E)は引張強度特
性を比較するためにレーストラック型FRPの両端の湾
曲部の直径Dを大小異ならせて製作したものの斜視図で
ある。
【図8】(A)(B)(C)は本発明の第5実施例品の
製作順序を説明する斜視図、(D)(E)は引張強度特
性を比較するために本発明の第5実施例品と従来のレー
ストラック型FRPとを示す斜視図である。
【図9】(A)(B)は本発明の第6実施例品の製作順
序を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 碍子主体1a 連結用孔 1b 肉盛部 1c 中空部 1d 樹脂 1f ベース部 2 端金具2a 孔 2b 挿入孔 2c 連結具用の孔 2d ねじプラグ 2e ブラケット 2f 連結具用の孔 2g 長手方向案内溝 2h 円周方向係止溝 2i L形鉤溝 3 連結具 4 止め金具 5 補助カバー 6 カバー材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 純 愛知県西春日井郡師勝町大字鹿田1751の 2 (72)発明者 岩崎 康彦 滋賀県八日市市上之町2−7−403 (72)発明者 駒谷 嘉信 滋賀県八日市市建部北町297番地 (72)発明者 寺田 裕彦 奈良県桜井市大字茅原629 (72)発明者 野間 敬吾 兵庫県芦屋市若葉町6−2−363 (56)参考文献 特開 昭46−5679(JP,A) 特公 昭35−3724(JP,B1) 米国特許5374780(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 17/00 - 17/54 H01B 19/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続繊維をレーストラック状に巻付けて
    樹脂を含浸硬化させて形成された繊維強化複合材料製の
    ベース部と、その上に同じまたは別の連続繊維または樹
    をレーストラック形状に沿って幅方向の両端部から中
    央部にかけて肉厚を漸次厚くして断面半円柱状に形成さ
    れた肉盛部とからなり、これをベース部の下面同士が対
    向した碍子主体とし、この碍子主体の両端部に前記ベー
    ス部下面の湾曲部により連結用孔を形成し、この連結用
    孔に挿通された連結具を利用して碍子主体の端部に端金
    具を装備させたことを特徴とする繊維強化複合材料製碍
    子。
  2. 【請求項2】 上記ベース部と肉盛部とを一連一体に構
    成したことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合
    材料製碍子。
  3. 【請求項3】 上記端金具が、外側両端に取付孔を有す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化
    複合材料製碍子。
  4. 【請求項4】 上記端金具にねじプラグが螺合され、ね
    じプラグの外側面に2つのブラケットを平行、かつ一体
    に形成し、このブラケットに連結具用孔を形成し、この
    連結具用孔および碍子主体の連結用孔に連結具を挿通し
    て、碍子主体と端金具とを連結したことを特徴とする請
    求項3に記載の繊維強化複合材料製碍子。
  5. 【請求項5】 上記端金具が、碍子主体の挿入孔および
    連結具用孔を有し、前記挿入孔に碍子主体の端部を挿入
    すると共に、連結具用孔および碍子主体の連結用孔に連
    結具を挿通して、碍子主体と端金具とを連結したことを
    特徴とする請求項3に記載の繊維強化複合材料製碍子
  6. 【請求項6】 上記碍子主体の連結用孔に連結具を挿通
    してその両端を突出させると共に、前記端金具の碍子主
    体の挿入孔に長手方向案内溝と、これに続く円周方向案
    内溝とからなるL形鉤溝を形成し、前記連結具の碍子主
    体から突出した両端を端金具のL形鉤溝に挿入して、碍
    子主体と端金具とを連結したことを特徴とする請求項3
    に記載の繊維強化複合材料製碍子。
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