JP3349106B2 - 歯ブラシ - Google Patents

歯ブラシ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐久性に優れると共
に、奥歯を含む歯全体の歯垢除去能に優れた歯ブラシに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から歯ブラシのブリッスル植毛に関
しては、ブリッスルの長さや角度を変えて植毛する等種
々の提案がなされ、また実用にも供されている。而し
て、これら従来の歯ブラシにおけるブリッスル植毛部
は、一般には長方形状の植毛パターンを基本とし、奥歯
用としては植毛台の先端部に狭小植毛部を設けたものが
知られている。然るところ、今回斯かる従来の歯ブラシ
には耐久性上の問題、すなわち使用期間が長くなるにつ
れて毛先、特に奥歯用毛先が外方向に広がり易いと云う
問題があることと、奥歯、特に歯垢の形成・付着が生じ
易い溝がその中央部に存在する臼歯面との全面フィット
性に欠ける結果、意外にも効率的に歯垢を除去し得ず、
従来歯ブラシを用いた歯垢除去率はせいぜい50%が限
度であることが初めて判明した。
【0003】また、最近に至り、植毛台の先部面に、ブ
リッスルを円形状に植毛すると共に、該植毛台の後部面
に、長楕円形のタフト穴を介してブリッスルを植毛した
歯ブラシも報告されている(特表平9−502110
号)。しかしながら、今回斯かる構成においてもブリッ
スルの毛丈が全て同一であるため、未だ外方向の広がり
を十分に防止し得ないと共に、長楕円形のタフト穴に植
毛しているが故に、ブラッシングの際に歯ブラシの摺動
方向が制約を受け易い結果、歯全体の歯垢除去能はむし
ろ低下すると云う問題の存在が明らかとなった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐久性に優
れると共に、奥歯を含む歯全体の歯垢を極めて効率良く
除去することができる歯ブラシを提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、植毛台の先部
面に複数のブリッスル束による直径が5〜15mmで、か
つ密植度が30%以上の略円形状植毛パターン部を有す
ると共に、当該植毛台の後部面に複数のブリッスル束に
よる非円形状植毛パターン部を有し、かつ略円形状植毛
パターン部におけるブリッスル束の毛丈が、非円形状植
毛パターン部におけるブリッスル束の毛丈より短いと共
に、両植毛パターン部におけるブリッスル束の毛先位置
がほぼ同一面上にある歯ブラシにより上記目的を達成し
たものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を示す図
面と共に本発明を更に説明する。
【0007】図1は本発明歯ブラシにおけるブリッスル
植毛部の平面説明図、また図2は同ブリッスル植毛部の
拡断側面説明図を示し、両図において10は柄部で、そ
の先端に連成された植毛台20の先部面21には、最外
郭に位置するブリッスル束30aの各外側を結ぶ仮想線
mが略円形をなすように、適宜本数のブリッスル束30
aをそれぞれ丸型タフト穴に植設して形成した略円形状
植毛パターン部30が設けられている。
【0008】この略円形状植毛パターン部30の直径す
なわち、当該仮想線mが形成する略円の直径は5〜15
mmの範囲内とするのが、特に高い奥歯の歯垢除去率を得
る上で有利である。また、この略円形状植毛パターン部
30の密植度は30%以上とするのが特に好ましい。
尚、ここに密植度は下記数式により求めたものを云う。
【0009】
【数1】
【0010】植毛台20の後部面22、すなわち柄部1
0側の面には、適宜本数のブリッスル束40aをそれぞ
れ丸型タフト穴に植設して形成した非円形状植毛パター
ン部40が設けられている。この後部面22の非円形状
植毛パターン部40の密植度は、先部面21の略円形状
植毛パターン部30の密植度より低く、特に30%未満
とするのが歯垢除去性に優れ、好ましい。尚、非円形状
植毛パターン部の具体的形状は方形状、台形状、半円
状、ひょうたん状等その如何を問わない。
【0011】本発明において、密植度のコントロール方
法としては、例えばタフト穴の穴数や穴径あるいはブリ
ッスルの太さを変える方法が挙げられる。尚、ブリッス
ルの先端加工はその具体的な方法の如何を問わない。
【0012】植毛台20はその先部面21と後部面22
に段差を有し、略円形状植毛パターン部30におけるブ
リッスル束30aの毛丈は、非円形状植毛パターン部4
0におけるブリッスル束40aの毛丈より短くなってい
ると共に、両植毛パターン部30、40におけるブリッ
スル束30a、40aはその毛先位置を植毛台20の植
毛面と平行なほぼ同一面上に揃えて植毛されている。こ
のブリッスル束30aとブリッスル束40aの毛丈の差
は、これを0.8〜4mmとするのが、特に歯垢除去効率
上効果的である。
【0013】次に試験例を挙げて本発明の効果を更に説
明する。
【0014】試験例1 比較品1:図3に示す如く、植毛台の先部面に略円形状
植毛パターン部を有すると共に、当該植毛台の後部面に
非円形状植毛パターン部を有するが、ブリッスル束の毛
丈が全て同一の歯ブラシ。 比較品2:図4に示す如く、植毛台の先部面ブリッスル
束の毛丈が後部面のブリッスル束の毛丈より短いと共
に、当該先部面と後部面におけるブリッスル束の毛先位
置がほぼ同一面上にあるが、先部面に略円形状植毛パタ
ーン部を有しない歯ブラシ。 本発明品:図1及び2に示す歯ブラシ。 上記比較品1、2及び本発明品をそれぞれ用いて柄部長
手軸線方向に表1及び2記載の各ストローク数ブラッシ
ングした後、毛先上端が形成する植毛パターン面の縦方
向伸び率(縦広がり率)と横方向伸び率(横広がり率)
を測定した。その結果は表1及び表2の通りであった。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】試験例2 上記比較品1、2及び本発明品をそれぞれ用いて7名の
パネラーにブラッシングしてもらい、左右上下顎の臼歯
についてQHI法によりブラッシング前後の歯垢量の変
化を測定し、歯垢の除去率を算出した。その結果は表3
の通りであった。
【0018】
【表3】
【0019】試験例3 図1及び2に示す歯ブラシにおいて、略円形状植毛パタ
ーン部の直径と蜜植度を下記表4に記載のものとした歯
ブラシを用い、試験例2と同様にして歯垢の除去率を算
出した。その結果は表4の通りであった。尚、この歯ブ
ラシの毛の材質はナイロン、毛の太さは8/1000イ
ンチ、毛の長さは11mmのものを用いた。
【0020】
【表4】
【0021】
【発明の効果】本発明歯ブラシは、略円形状植毛パター
ン部におけるブリッスル束の毛丈が非円形状植毛パター
ン部におけるブリッスル束の毛丈より短く、強い弾性力
を保持しているため耐久性に優れると共に、奥歯と接触
し易い植毛台の先部面に、臼歯面と対応する略円形状の
ブリッスル植毛パターン部が設けられているため、ブラ
ッシング時に奥歯とのフィット性に優れる結果、奥歯は
もとより従来歯ブラシに比し極めて高い歯全体の歯垢除
去率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明歯ブラシにおけるブリッスル植毛部の平
面説明図。
【図2】本発明歯ブラシにおけるブリッスル植毛部の拡
大側面説明図。
【図3】試験例1及び2で用いた比較品1の歯ブラシを
示すもので、(1)はそのブリッスル植毛部の平面説明
図、(2)は同ブリッスル植毛部の拡大側面説明図。
【図4】試験例1及び2で用いた比較品2の歯ブラシを
示すもので、(1)はそのブリッスル植毛部の平面説明
図、(2)は同ブリッスル植毛部の拡大側面説明図。
【符号の説明】
10:柄部 20:植毛台 21:先部面 22:後部面 30:略円形状植毛パターン部 30a:ブリッスル束 40:非円形状植毛パターン部 40a:ブリッスル束
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 晃嗣 東京都墨田区文花2−1−3 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 吉田 秀徳 東京都墨田区文花2−1−3 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 磯谷 和子 東京都墨田区文花2−1−3 花王株式 会社研究所内 (56)参考文献 実開 平4−104924(JP,U) 特表 平9−502110(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A46B 9/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植毛台の先部面に複数のブリッスル束に
    よる直径が5〜15mmで、かつ密植度が30%以上の
    円形状植毛パターン部を有すると共に、当該植毛台の後
    部面に複数のブリッスル束による非円形状植毛パターン
    部を有し、かつ略円形状植毛パターン部におけるブリッ
    スル束の毛丈が、非円形状植毛パターン部におけるブリ
    ッスル束の毛丈より短いと共に、両植毛パターン部にお
    けるブリッスル束の毛先位置がほぼ同一面上にある歯ブ
    ラシ。
  2. 【請求項2】 非円形状植毛パターン部の密植度が30
    %未満である請求項1記載の歯ブラシ。
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