JP3348462B2 - 高純度テレフタル酸の製造方法 - Google Patents
高純度テレフタル酸の製造方法Info
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Description
造方法に関する。詳しくは、パラキシレンの酸化反応に
より得られた粗テレフタル酸の水溶液を白金族金属の存
在下、水素と接触させ還元精製する際に、不純物の生成
を抑制することにより高純度のテレフタル酸を製造する
方法に関する。
テレフタル酸中には、通常、4−カルボキシベンズアル
デヒド(「4CBA」と略して示す)をはじめとする各
種不純物が比較的多量に含まれており、従来、これを精
製した後、ポリエステルの原料として用いている。
ては、粗テレフタル酸を水素化処理あるいは、酸化処理
する方法が知られている。このうち、テレフタル酸を水
素化処理する方法として、高温、高圧下において粗テレ
フタル酸の水溶液を水素化触媒の存在下に水素還元処理
し、かつ、処理された水溶液からテレフタル酸の結晶を
回収する方法が提案されている(特公昭41−1686
0号公報)。
する方法によれば、粗テレフタル酸中の無機性不純物で
ある金属イオン、及び、有機性不純物の中で最も含有量
の多い4CBAの混入量を著しく低下させることができ
る。しかしながら、4CBA以外の構造不明の有機性不
純物(以下「着色原因不純物」という)を完全に除去す
ることはできず、精製テレフタル酸中にこの着色原因不
純物が一部残存し、例えば、ポリエステル製造時に着色
を引き起こしポリマーの白色度を低下させる。
度テレフタル酸の製造における上記した問題を解決する
ためになされたものであって、高温、高圧下、粗テレフ
タル酸の水溶液を白金族金属触媒の存在下、水素と接触
させて精製する方法、すなわち、水素還元精製する方法
において、水素還元精製する前の高温下で着色原因不純
物が生成するのを抑制して高純度の精製テレフタル酸を
製造する方法を提供することを目的とする。
鑑み、鋭意検討を行った結果、意外なことに原料の粗テ
レフタル酸粒子中の粒径44μm未満のような微粉量を
制限することにより、着色原因不純物の生成が抑制で
き、極めて高純度の精製テレフタル酸を得ることができ
ることを見いだし、本発明に到達した。
化反応により得られた粗テレフタル酸を高温、高圧下、
水に溶解し、該水溶液を白金族金属触媒の存在下、水素
還元精製する方法において、粒径44μm未満の粒子を
7重量%以下含有する粗テレフタル酸を原料として用い
ることを特徴とする高純度テレフタル酸の製造方法に存
する。
レンの酸化反応は、通常、低級脂肪族カルボン酸から成
る溶媒中、特に酢酸溶媒中で、触媒として遷移金属化合
物及び臭素化合物の存在下、分子状酸素により液相酸化
することにより実施される。触媒としての遷移金属化合
物としては、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、クロ
ム等の遷移金属の臭素塩、安息香酸塩、ナフテン酸塩、
酢酸塩等のカルボン酸塩、アセチルアセトナート等が、
また、臭素化合物としては、マンガン、コバルト、鉄、
ニッケル、クロム等の臭素塩、臭化水素酸、臭化ナトリ
ウム、ジブロモエチレン、テトラブロモエタン等が用い
られている。なお、遷移金属の臭素塩は、遷移金属化合
物成分と臭素化合物成分とを兼ねることができる。ま
た、分子状酸素としては、純酸素、空気、純酸素と不活
性ガスとの混合物等が用いられる。
酢酸中で液相酸化してテレフタル酸を製造する場合に
は、原料パラキシレンは、通常、酢酸溶媒に対して1〜
50重量%の割合で用いられる。触媒としてコバルト化
合物またはマンガン化合物と臭素化合物が用いられると
きは、これらの化合物は、溶媒に対して、通常コバルト
原子が10〜5000重量ppm、マンガン原子が10
〜5000重量ppm、臭素原子が10〜10000重
量ppmとなるように用いられる。また、酸化反応器に
供給する分子状酸素は、通常、パラキシレン1モルに対
して酸素として3〜20モルの割合となるように用いら
れる。そして、反応は、通常、反応温度160〜260
℃、反応圧力4〜50kg/cm2 G、滞留時間10〜
200分の範囲で行なわれる。
は、不純物として4CBAを通常50〜10000重量
ppm含んでおり、ポリエステルの原料として用いるた
めに水素還元精製することが好ましい。即ち、粗テレフ
タル酸の水スラリーを加熱し、スラリー中のテレフタル
酸を水に完全に溶解させ、この水溶液を高温、高圧下、
水素の存在下に白金族金属と接触させ、水素還元精製す
る。この後、晶析によって精製テレフタル酸を回収する
方法が採用される。
テレフタル酸を、通常1〜80重量部、好ましくは15
〜65重量部からなる水スラリーを加熱して粗テレフタ
ル酸を水に溶解させ、通常220〜320℃、好ましく
は260〜300℃で水素添加反応を行う。また、水素
供給は、粗テレフタル酸1t/Hあたり、通常、分子状
の水素を0.05〜10Nm3 /H、好ましくは0.1
〜3Nm3 /Hであり、ルテニウム、ロジウム、パラジ
ウム、白金、オスミウム等の白金族金属触媒と、通常1
〜100分間、接触する。この際の反応系内の圧力は通
常、50kg/cm2 以上である。これら白金族金属触
媒は、通常、テレフタル酸の加熱水溶液に不溶性の担
体、例えば、活性炭等に担持させて用いられる。これら
のなかでは、特に、活性炭に担持させたパラジウム(以
下、「Pd/C」と略す)を固定床として用いるのが精
製効果の点から好ましい。このようにして精製処理した
テレフタル酸の水溶液は、次いで、通常70〜180℃
まで冷却され、テレフタル酸を晶析させ、分離して、精
製テレフタル酸を得る。
て、反応器へ供給するためには、通常200℃以上の高
温にすることが必須条件である。粗テレフタル酸の粒子
の未溶解物が残存した状態で反応器に供給されると水素
還元精製ができないばかりか、Pd/Cの固定床で閉塞
のトラブルが起こり、強いてはプラントの停止にも至る
ことになるからである。従って、通常は、未溶解の粗テ
レフタル酸が反応器へ供給されない様に粗テレフタル酸
水スラリー濃度に見合った溶解温度より若干高めの温度
を保つことにより滞留時間を長くして溶解の押しきりを
行う。具体的には、通常、粗テレフタル酸の水スラリー
を加熱し始め、反応温度である220〜320℃の温度
に到達するまでに0.5〜3分、反応温度に達してから
溶解の押し切りを行い水素化処理する前までの時間に3
〜10分程度要する。
フタル酸を曝すことにより粗テレフタル酸中に着色原因
不純物が生成、増加するという避けがたい問題がある。
本発明では、この問題の対策として、水素還元する原料
としての粗テレフタル酸粒子径に着目した点に特徴を有
する。一般に、粗テレフタル酸の粒子の粒度分布は、晶
析時の温度、攪拌等の諸条件の他、分離、乾燥等の各工
程で左右されるが、概ね、平均粒径で50〜150μm
で、且つ、44μm未満の微粉粒子が10重量%以上含
まれている。
て、粒径44μm未満の粒子を7重量%以下、好ましく
は5重量%以下とする。これにより着色原因不純物の生
成を抑制することができる。なお、粒径44μm未満の
微粉の粒子は、粒径が44μm以上の粒子と比較して、
成分的に特に差異があるわけではなく、4CBA量や色
調でも優位な差が存在していない。テレフタル酸粒子を
水に混合してスラリー化し、加熱溶解して水素還元精製
を行った結果として初めて色素原因不純物の顕著な相違
を確認することができる。
の粗テレフタル酸を得る方法は特に限定はないが、通
常、粗テレフタル酸を製造、精製する際の晶析条件、乾
燥条件を適宜、調節を行い、あるいは篩分け、風簸など
の方法を組み合わせるとよい。なお、篩分けなどで除去
した44μm未満の微粒子は、廃棄してもよいが、パラ
キシレンの酸化工程にリサイクルするのが経済的であ
る。
る。実施例において、GPC成分とは、GPC(ゲルパ
ーミュエーションクロマトグラフィー)分析により、標
準ポリスチレン換算で分子量が数百から数万に相当す
る、テレフタル酸製品における着色原因不純物を意味す
る。GPC成分量の比較としては、GPCのクロマトグ
ラムのピーク面積(相対値)を表示した。また、粗テレ
フタル酸中の4CBAの含有率は液体クロマトグラフィ
ーによって測定し、同じく、アルカリ透過率(「T34
0」と略して示す)は、粗テレフタル酸7.5gを2規
定の水酸化カリウム50mlに溶解して光路長1cmの
石英セルにて340mμでの光線透過率で示した。
ィードポンプ、スラリー加熱ライン、スラリー溶解槽、
0.5重量%のPdを活性炭に担持させた触媒を充填し
た水添反応器及び、晶析槽を備えた装置を用いて固定床
流通方式での水添実験を行った。本装置において、各機
器や加熱ラインについては閉塞防止のために電気ヒータ
ーと保温材及び圧力調整器を装備しており、温度、圧力
ができる限り正確に制御されている。
スで十分置換した後、90kg/cm2 Gに加圧した。
次に、計量槽内に仕込んだ水をスラリーフィードポンプ
を用いてスラリー加熱ライン、溶解槽、反応器を経由し
て晶析槽へと順次流通させ、系内の加熱を行った。加熱
ラインの最終部で反応温度の290℃に到達するように
加熱を調整し、次の溶解槽では290℃に保持して溶解
の押し切りを行うように温度を調整した。
の攪拌機付きスラリー化槽で4CBAを2850ppm
を含み、T340が38%の粗テレフタル酸を30重量
部、(平均粒系50〜150μm、44μmの粒子が5
重量%の粒度分布になるようにJIS標準ふるいで分級
したもの)水70重量部に調整したスラリーを計量槽に
移送し、水からスラリーに切り替えてフィード(61/
H)を開始した。
化槽で上記粗テレフタル酸を30重量部、水70重量部
のスラリーに調整した。温度が安定したところで、該ス
ラリーを計量槽に移送し、水からスラリーに切り替えて
フィード(6l/H)を開始した。該スラリーは、高
温、高圧下、水溶液状態で反応器に導入し、水素ガス3
l/Hで水添処理した。水添処理を受けたテレフタル酸
水溶液は、連続的に晶析槽に送られ、テレフタル酸を晶
出させ、100℃の温度で母液を分離後、水洗し、次い
で乾燥させた。得られたテレフタル酸のGPC成分量を
相対値100で示した。
タル酸中に粒径44μm未満の粒子が17重量%含まれ
ていた。)用いた以外は、実施例1と全く同じ装置、条
件で実験したときのGPC成分量の相対値は136であ
った。
布を規定することにより着色原因不純物の生成が抑制さ
れ、色相のよい高純度のテレフタル酸を得ることができ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 パラキシレンの酸化反応により得られた
粗テレフタル酸を高温、高圧下、水に溶解し、該水溶液
を白金族金属触媒の存在下、水素と接触させて精製する
方法において、粒径44μm未満の粒子を7重量%以下
含有する粗テレフタル酸を原料として用いることを特徴
とする高純度テレフタル酸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10831693A JP3348462B2 (ja) | 1993-05-10 | 1993-05-10 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10831693A JP3348462B2 (ja) | 1993-05-10 | 1993-05-10 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06321856A JPH06321856A (ja) | 1994-11-22 |
JP3348462B2 true JP3348462B2 (ja) | 2002-11-20 |
Family
ID=14481624
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10831693A Expired - Lifetime JP3348462B2 (ja) | 1993-05-10 | 1993-05-10 | 高純度テレフタル酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3348462B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008120289A1 (ja) * | 2007-02-28 | 2008-10-09 | Hitachi Plant Technologies, Ltd. | テレフタル酸スラリーの供給方法 |
-
1993
- 1993-05-10 JP JP10831693A patent/JP3348462B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06321856A (ja) | 1994-11-22 |
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