JP3348237B2 - シールド工法における地中探査方法及びシールド掘進機制御方法 - Google Patents

シールド工法における地中探査方法及びシールド掘進機制御方法

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JP3348237B2 JP17615594A JP17615594A JP3348237B2 JP 3348237 B2 JP3348237 B2 JP 3348237B2 JP 17615594 A JP17615594 A JP 17615594A JP 17615594 A JP17615594 A JP 17615594A JP 3348237 B2 JP3348237 B2 JP 3348237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シールド工法におい
て、シールド掘進機に備えた地中探査レーダにより電磁
波を送受信して地盤のゆるみや崩壊等の広がりを有する
異常部分の探査を行う方法、及びその探査結果に基づい
てシールド掘進機を自動制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の技術として、例えば特開平5−
52949号公報には、地中探査レーダの受信アンテナ
の受信信号に含まれる表面伝播波及び反射波の各データ
から、所定の演算式を用いて反射物固有の特性値を演算
し、その演算した特性値を、予め記憶手段に記憶されて
いる特性値と照合することにより、反射物の種類を判別
する方法が開示されている。
【0003】また、特開平5−59882号公報には、
シールド掘進機の回転面板の回転角度を検出するととも
に、地中探査レーダの受信アンテナの受信信号に含まれ
る表面伝播波に基づいて切羽の土質を判別し、これら回
転角度と土質とに基づき切羽探索範囲に沿った土層断面
の探索データを作成して記憶部に記憶し、その記憶され
た各土層断面の探索データに基づき、リング状の複数の
探査画像をディスプレイ上に所定の組み合わせで時系列
表示する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の方法
は、切羽前方に存在する埋もれ木や石や既設構造物等の
障害物の種類を判別するものであり、また後者の方法
は、切羽の土質を一つのファクタとして土層断面を作成
するものである。前者の方法は、障害物からの単一反射
波により判別を行うものであるため、障害物とは言えな
い地山中の異常部分、例えば地山中のゆるみや崩壊など
の、空洞が生じていたり、そこまで至らないまでもそれ
に近い状態になっているような、立体的な広がりを有す
るところは、ゆるみ又は崩壊領域内に存在する土塊や空
隙面からの反射波が混在しており、これと地山境界面
(土質が変わる境界面)からの反射波とを区別できず、
ゆるみや崩壊の存在を判別ができなかった。また、後者
の方法は、表面伝播波から土質の判別を行うため、ゆる
み領域中の土塊や空隙を切羽面のゆるみの層として漠然
とした判別は可能であるが、ゆるみ領域が地山中にどの
程度広がっているのか、その規模を判別することはでき
なかった。
【0005】本発明の目的は、ゆるみや崩壊などの、地
山中で立体的な広がりを有する異常部分の有無ばかりで
なく、その規模までも定量的に的確に判別でき、またそ
の存在を確認したときはシールド掘進機を自動制御でき
るようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による方法は、シ
ールド掘進機のカッタを回転させながら、このカッタに
備えられた地中探査レーダの送信部から、地山内面より
先の地山中まで電磁波を送信し、その反射波をカッタの
1回転中の一定角度ごとに所定時間ずつ受信部で受信し
て次のようなステップで受信信号の解析を行う。 (1)受信電圧レベルをA/D変換して各回転角度ごと
にデジタルの受信データを得るステップ。 (2)その全ての回転角度の受信データに共通して含ま
れる雑音成分を、各回転角度の受信データから除去する
ステップ。 (3)共通雑音除去後の各回転角度の受信データに対
し、地山中の地山境界面からの反射波と、地山境界面以
外からの他の反射波とを区別する閾値を設定し、この閾
値との大小関係を時間的に遡及して比較していくことに
より地山境界面からの受信データのみを抽出するステッ
プ。 (4)その抽出した受信データにつき電圧レベルのピー
ク点を求め、電圧レベルの絶対値が最大なピーク点以降
の設定数のピーク点は除外するステップ。 (5)各ピーク点での電圧レベルの絶対値と閾値との大
小関係を時間的に遡及して比較して、閾値を最初に越え
たピーク点の時間から地山境界面までの距離を各回転角
度ごとに演算するステップ。 (6)各回転角度ごとに求めた距離について複数の回転
角度単位に平均値を求めるステップ。 (7)その平均値がカッタの回転座標系において基準値
を超えて連続していたとき、地山中にゆるみ・崩壊等の
広がりを有する異常部分が有ると判定するステップ。
【0007】上記(6)のステップにおいて、平均値の
演算は、複数の回転角度単位の中で距離が最大である回
転角度と最小である回転角度を除いた回転角度の距離か
ら演算するのが良い。求めた距離の平均値を、回転角度
を横軸としてプロットしてディスプレイ上に表示するこ
ともできる。
【0008】本発明によるシールド掘進機制御方法は、
上記(1)〜(7)の処理により地山中にゆるみ・崩壊
等の広がりを有する異常部分が有ることを判定したと
き、シールド掘進機の推進機構や裏込め注入装置等を制
御する。
【0009】
【作用】本発明では、シールド掘進機のカッタの1回転
中において、一定角度ごとに受信した受信信号をA/D
変換した後、2段階の雑音除去処理を行う。第1段階
は、全ての回転角度の受信データに共通して含まれる雑
音成分を、各回転角度の受信データから除去する。この
ような雑音成分としては、レーダ表面からの表面反射波
(レーダ保護板に反射して受信される波形など)や、シ
ールド掘進機の周囲の泥水又は泥漿材などによる微弱な
反射波や、電磁波の送受信回路上で発生する雑音等で、
このような雑音は、受信データに対する時間軸上の解析
開始点を調整したり周知の雑音除去手法によって除去で
きる。
【0010】ところで、地山中にゆるみ又は崩壊が生じ
ている場合には、その領域内の土塊や空隙面などからも
反射波が生じ、これら土塊や空隙面などを通じてその先
の地山境界面から反射波が帰ってくるので、第1段階の
雑音除去処理後の受信データには、地山境界面からの反
射波に、ゆるみ又は崩壊領域内の土塊や空隙面などから
反射波も加わっていることが多い。しかし、このような
土塊や空隙面などから反射波は、電圧レベルが高くとも
散発的に生ずるのに対し、地山境界面からの反射波は電
圧レベルが高く、時間的にそれ以降は地山中が均一で反
射波が生じないため、反射波が急激に減衰して無くなる
消滅状態となる。
【0011】そこで、第2段階の雑音除去処理では、地
山境界面からの反射波とそれ以降に発生する第1段階の
雑音除去後の残留雑音とを区別する閾値(電圧レベル)
を設定し、各回転角度ごとに閾値との比較を行う。この
場合、閾値は土質や過去の実測値等を考慮して任意に設
定し、時間軸を逆に走査するように、この閾値との大小
関係を時間的に遡及して比較する。このような遡及比較
を行うことにより、反射波の減衰消滅域と、それより時
間的に直前の高レベル域であって巨視的に閾値を越えた
ところを判別できる。すなわち、時系列から見て、ゆる
み又は崩壊領域内の土塊や空隙面などによる高レベル域
は、その後に地山境界面による高レベル域が存在するの
に対し、地山境界面による高レベル域以降には巨視的に
高レベル域が存在しないので、この時系列を遡及して走
査することにより地山境界面に係る受信データのみを抽
出できる。
【0012】共通雑音除去後の各回転角度の受信データ
につき上記のように閾値処理をした場合、地山境界面か
らの反射波の受信波形にはこの閾値を越える電圧レベル
の連続領域が生じる。従って、単に閾値を越えた点の時
間から距離を演算すると、この点は、電圧レベルが最大
(絶対値)となるピーク点(波の頂点)ではないので、
求める距離に誤差が生ずる。そこで、この誤差を極力小
さくするために、共通雑音除去後の各回転角度の受信デ
ータにつき電圧レベルのピーク点を求め、各ピーク点で
の電圧レベルの絶対値と閾値との大小関係を時間的に遡
及して比較し、閾値を最初に越えたピーク点の時間から
地山境界面までの距離を各回転角度ごとに演算する。
【0013】また、地山境界面からの反射波の電圧レベ
ルが高いと、そのリンギング(余波)も大きくなるた
め、リンギングを地山境界面からの反射波と誤認し、地
山境界面までの距離が実際よりも大きくなってしまう。
そこで、リンギングが大きい場合には、電圧レベルの絶
対値が最大なピーク点以降の設定数のピーク点は除外し
て、閾値との比較を上記のように遡及して行う。
【0014】上記のように2段階のしかも時間軸を遡及
する雑音除去処理をすることにより、地山内面からの反
射波等を除いた、地山中の地山境界面からの反射波によ
るデジタルの受信データのみが各回転角度ごとに得られ
るので、その処理後のデータから、土質の比誘電率や電
磁波の伝播時間などをファクタとした既知の距離演算式
により反射面までの距離を演算することによって、地山
境界面までの距離を各回転角度ごとに求めることができ
る。
【0015】ところが、このようにして各回転角度ごと
に求めた距離は、残留雑音の影響で実際値よりも極端に
大きかったり小さかったりすることがある。すなわち、
残留雑音があると、地山境界面までの距離が時系列的に
みてパルス状に大きく変動する。この変動は、後述する
シールド掘進機の自動制御の誤動作の原因となるため、
極力除く必要がある。そこで、複数の回転角度単位に平
均値を求めることで、地山境界面までの距離をカッタの
回転座標系でスムージングする。この場合、距離が最大
である回転角度と最小である回転角度を除いた回転角度
の距離から平均値を求めると、精度が向上する。
【0016】地山中にゆるみ又は崩壊が生じている場合
には、電磁波による測定では、地山境界面までの距離が
見かけ上大きく測定され、しかも距離の大きい領域が、
カッタの回転座標系で広がりをもって連続するので、上
記のように求めた平均値がカッタの回転座標系において
基準値を超えて連続していたとき、地山中にゆるみ・崩
壊等の広がりを有する異常部分が有ると判定する。
【0017】地山中のゆるみや崩壊は、シールド掘進機
前部の上方に生ずることが多い。従って、地中探査レー
ダをシールド掘進機のカッタ面板の前面に取り付けて電
磁波を前方へ指向させて送信するよりも、地中探査レー
ダをカッタ面板の周面に取り付け、電磁波をカッタ面板
の放射方向に送信する方が、ゆるみや崩壊の探査精度は
高くなる。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。
【0019】本実施例では、図1に示すように地中探査
レーダ(以下、レーダと記す)1をシールド掘進機2の
カッタ面板3の周面に埋め込み、レーダ1からの電磁波
をカッタ面板3の周面一個所からその放射方向に発射
し、地山内面より先の地山中からの反射波を同レーダ1
で受信する。レーダ1は、図2に示すように送信用ダイ
ポールアンテナ4と受信用ダイポールアンテナ5とを、
レーダ保護箱6内でシリコン7中に並べて埋設し、この
レーダ保護箱6の蓋を兼ねるレーダ保護板8で両ダイポ
ールアンテナ4・5の前面を保護するとともに、シリコ
ン7とレーダ保護箱6の内面との間に電波吸収体9を配
置したものである。なお、図示していないがカッタ面板
3の前面には、主に前方の障害物を探査するためのレー
ダが取り付けられている。
【0020】レーダ1は、掘進機本体10とこれに対し
て回転するカッタ面板3との間のスリップリング11を
介して、掘進機本体10内の機内制御装置12とケーブ
ルで接続され、更にこの機内制御装置12から中継ケー
ブル13を介して坑外のコンピュータによる解析表示装
置14へ接続されている。また、掘進機本体10内に
は、カッタ面板3の回転を検出するエンコーダ15が設
けられており、このエンコーダ15もケーブルを介して
機内制御装置12に接続されている。
【0021】図3は全体のシステム構成を示す。送信用
ダイポールアンテナ4により電磁波を送信するレーダ1
内の送信部16は、機内制御装置12のレーダ本体制御
表示部17により制御される。一方、受信用ダイポール
アンテナ5で反射波を受信した受信部19からのアナロ
グ受信信号は、機内制御装置12のA/D変換ボード1
9でデジタル信号に変換され、またエンコーダ15の検
出信号は、機内制御装置12のカウンタボード20によ
りカッタ面板3の回転角度として計数される。そして、
これらA/D変換された受信データ及び計数されたカッ
タ回転角度データは、通信ボード21により坑外の解析
表示装置14へ伝送されて後述のように解析される。シ
ールド掘進機2の動作を後述のように自動制御するた
め、解析表示装置14で解析された一部のデータは演算
装置22で演算されてシールド機制御盤23へ送られ
る。
【0022】次に、地山中のゆるみ又は崩壊25(図
1)の有無を、上記のようなシステムによって受信信号
から検出する信号解析の一例について説明する。図4は
そのフローチャートを示す。
【0023】レーダ1の送信用ダイポールアンテナ4か
らの電磁波は、カッタ面板3を回転させてその回転角度
を1度ピッチで検出しながら、カッタ面板3の周面の一
個所から地山中へ向かって放射され、その反射波が受信
用ダイポールアンテナ5によって各回転角度ごとに受信
され、A/D変換されてデジタルの受信データとしてメ
モリに記憶される(図4のステップS1)。そのある角
度での反射波をアナログの電気信号にして表すと、図5
の(A)のように地山中にゆるみや崩壊が無い場合は同
図の(B)のようになり、図6の(A)のように地山中
にゆるみや崩壊が有る場合は同図の(B)のようにな
る。
【0024】地山中にゆるみや崩壊が無い場合の反射波
の波形は、先ずレーダ保護板8を反射した電圧レベルの
大きい表面反射波、次に泥水又は泥漿材24による微弱
な反射波、次に誘電率が異なる(土質が変わる)地中の
境界面である地山境界面26からの大きい反射波の順と
なる。一方、地山中にゆるみや崩壊が有る場合の反射波
の波形は、先ずレーダ保護板8を反射した表面反射波、
次に泥水又は泥漿材24による反射波、次にゆるみ又は
崩壊が生じている領域25内の土塊や空隙面からの反射
波、次に地山境界面26からの反射波の順となる。地山
中にゆるみ又は崩壊が生じている場合には、レーダ1か
ら地山境界面26までの電磁波の到達距離が、ゆるみ又
は崩壊25のために大きくなるため、反射波が発生する
領域が広がり、電圧レベルの高いアナログ電気信号が時
間的に長く生じ、その最終付近に地山境界面26からの
高レベルの反射波が含まれることになる。
【0025】上記のようなカッタ面板3の1度ごとの受
信処理はカッタ面板3の1回転分について行い、1回転
終了後に(ステップS2)、各回転角度の受信データに
対して次のような2段階の雑音除去処理を行う。
【0026】第1段階の雑音処理は、カッタ面板3の1
回転中におけるいずれの回転角度にも共通して含まれて
いる雑音を除去する(ステップS3)。このような雑音
は、前述したようにレーダ保護板8からの表面反射波
や、泥水又は泥漿材24などによる微弱な反射波や、電
磁波の送受信回路上で発生する雑音等である。これらの
雑音は、カッタ1回転中の変動がほとんど無いため、カ
ッタ1回転分の受信波形の平均波形を算出する等して抽
出が可能であり、この平均波形を各回転角度の原波形よ
り差し引くことにより除去できる。また、レーダ保護板
8からの表面反射波は時間的に初期に生ずるため、受信
信号の解析開始点を時間軸上で遅らせることにより、電
圧レベルは大きくとも容易に除去できる。
【0027】問題は、地山中にゆるみ又は崩壊が生じて
いる領域25内の土塊や空隙面からの反射波と、かかる
領域を経由する地山境界面26から反射波の識別である
が、図6の(B)に示したように、時系列から見て、ゆ
るみ又は崩壊領域25内の土塊や空隙面などによる高レ
ベル域は、その後に地山境界面26による高レベル域が
存在するのに対し、地山境界面26による高レベル域以
降には巨視的に高レベル域が存在しない。そこで、第2
段階の雑音処理では、高レベルの閾値を設定して図6の
(B)に矢印Aで示すように時系列を逆に走査し、この
閾値との大小関係を時間的に遡及して比較することによ
って地山境界面26に対応する受信データのみを抽出す
る。これも各回転角度ごとに行う。
【0028】ところが、このように閾値を設定し、図7
に示すようにこれを越えた点の時間T2から地山境界面
26までの距離を演算すると、この点は、電圧レベルが
最大(絶対値)となるピーク点(波の頂点)ではなく、
ピーク点の時間T1との間にΔT分のずれがあるため、
演算する距離にこのΔT相当分の誤差が生ずる。そこ
で、第1段階の雑音除去後の各回転角度の受信データに
対し、図8(A)に示すように受信波形の全てのピーク
点(波の頂点)についてその電圧レベルの絶対値を同図
(B)のように抽出する(ステップS4)。
【0029】また、地山境界面26からの反射波の電圧
レベルが高いと、そのリンギングも大きくなるため、図
9に示すようにリンギングが閾値を越えることがある。
この越えたリンギングによる時間T2により距離を演算
すると、目的とするピーク点の時間T1との間のずれΔ
Tは図7の場合よりも大きいため、それだけ誤差も大き
くなってしまう。そこで、リンギングが大きい場合に
は、上記のように受信波形の全てのピーク点についてそ
の電圧レベルの絶対値を抽出した後、図10に示すよう
に電圧レベルの絶対値が最大なピーク点以降の設定数の
ピーク点(図10の場合は1)は除外してから次の処理
を行う。除外するピーク点の数はリンギングの大きさに
よって任意調整する。
【0030】次に、上記のようにして抽出したピーク点
の電圧レベルの絶対値に対し、高レベルの閾値を設定し
て時系列を逆に走査し、この閾値との大小関係を時間的
に遡及して比較することによって地山境界面26の受信
データの最大値(絶対値)のみを抽出する。これも各回
転角度ごとに行う(ステップS5)。そして、この最大
値に基づき、土質の比誘電率や電磁波の伝播時間などを
ファクタとした既知の距離演算式により反射面までの距
離を演算することにより、地山境界面26までの距離を
各回転角度ごとに求め(ステップS6)、その求めた距
離を、カッタ面板3の回転角度を横軸としてプロットし
て解析表示装置14の画面上に表示する(ステップS
7)。図11はそのプロット表示例である。なお、同図
において横軸は、レーダ1が頂点に位置したときをもっ
て回転角度「0°」とし、これより右側に0°から18
0°、左側に180°から360°を配分して表してあ
る(以下の図も同じ)。
【0031】図11に示すように、反射波の受信データ
を基に各回転角度ごとに求めた距離は、残留雑音のため
実際値よりも極端に大きかったり小さかったりする。そ
こで、これをカッタ面板3の回転座標系でスムージング
するために、複数の回転角度単位でいわゆる移動平均処
理を行う(ステップS8)。図13はその手法を図解し
たもので、いま回転角度が6°の点を注目点とすると、
その左右それぞれ5点のうちの最大点(図では3°の
点)と最小点(図では8°の点)を除いた合計9点につ
いて距離の平均を求め、これを順次1点(1°)ずつ移
動させながら繰り返す。このような移動平均処理によ
り、図11のプロット曲線はスムージングされて図12
に示すようになる。
【0032】スムージング処理した後の距離を、カッタ
面板3の回転角度を横軸としてプロットして解析表示装
置14の画面上に表示すると(ステップS9)、地山中
にゆるみや崩壊が無い場合には図14、ゆるみや崩壊が
有る場合には図15のようになる。その画面上に、ゆる
み・崩壊発生の限界距離を示す基準線27を同時に表示
すると、これを越えていることをもって、地山中にゆる
み又は崩壊が生じていると目視判定できる。また、ゆる
みや崩壊が発生している場合には、距離の大きい領域
が、カッタ面板3の回転座標系で広がりをもって連続す
るので、この基準線27を越えている角度領域からゆる
みや崩壊の規模も想定できる。
【0033】また、このようにプロット表示すると同時
に、地山中のゆるみ又は崩壊の有無を演算処理によって
判定し、その結果が有りのときは警報を発する。また、
必要に応じてシールド掘進機2の動作を自動的に制御す
る。更に、ゆるみや崩壊の規模も必要に応じて演算して
求める。
【0034】地山中のゆるみ又は崩壊を検出したとき行
うシールド掘進機2の自動制御としては、例えば次のよ
うな方法がある。
【0035】1.図16に示すような泥土圧式シールド
掘進機の場合 地山中にゆるみ又は崩壊が発生したとき、主にスクリュ
ーコンベア28の回転数を下げて掘削土砂の取り込み量
を減少させ、切羽面に対するシールド掘進機2の押し付
け圧力を上げることによって対処する。又は、スクリュ
ーコンベア28の回転数はそのままにして、シールド掘
進機2の掘進速度を上げることにより、切羽面に対する
シールド掘進機2の押し付け圧力を上げる。更に、発生
したゆるみ又は崩壊部分がシールド掘進機2のテール端
部に達したときに、その規模に応じて裏込め注入量を増
加させる。
【0036】2.図17に示すような泥水加圧式シール
ド掘進機の場合 ゆるみが発生したとき、まず送排泥ポンプ(図示せず)
の回転数を制御して送泥管29による送泥流量を増加、
又は排泥管30による排泥流量を減少させて切羽水圧を
上げることによって、ゆるみを抑える。それでもゆるみ
が解消しない場合は、シールド掘進機2の掘進速度を上
げて、カッタ面板3を切羽面に押し付けることにより対
処する。更に、発生したゆるみ又は崩壊部分がシールド
掘進機2のテール端部に達したときに、その規模に応じ
て裏込め注入量を増加させる。また、切羽水圧を上げて
もゆるみがなかなか解消しない場合や、頻繁にゆるみが
発生する場合には、泥水の比重・砂分を上げて泥膜が形
成しやすい泥水とする。
【0037】なお、上述した実施例では、レーダ1をカ
ッタ面板3の周面一個所に設けたが、例えば2個のレー
ダを180度だけ離して配置し、その両方からの受信デ
ータを解析すれば、カッタ面板3の半回転で上記と同様
の解析結果が得られるので、レーダ1が1個の場合に比
べ処理スピード及び精度の向上が図れる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果がある。
カッタの一定回転角度ごとに得たデジタルの受信デ
ータに対して、各回転角度ごとに2段階の雑音除去処理
を行い、その第1段階では全ての回転角度について共通
の雑音を除去し、第2段階では、閾値を設定してこの閾
値との大小関係を時間的に遡及して比較していくので、
地山中のゆるみや崩壊領域内の土塊や空隙面からの反射
波があっても、地山境界面からの受信データのみを的確
に抽出することができる。そして、これを基に各回転角
度ごとに地山境界面までの距離を算出してから、複数の
回転角度単位に移動平均処理してスムージングするの
で、地山中で広がりをもって存在するゆるみや崩壊の有
無を定量的に精度良く検出でき、しかもその規模も測定
できる。
【0039】 移動平均処理する場合、距離が最大で
ある回転角度と最小である回転角度を除いた回転角度の
距離から平均値を求めると、精度が向上する。
【0040】 共通雑音除去後の各回転角度の受信デ
ータにつき電圧レベルのピーク点を求め、各ピーク点で
の電圧レベルと閾値との大小関係を時間的に遡及して比
較し、閾値を最初に越えたピーク点の時間から地山境界
面までの距離を各回転角度ごとに演算すれば、地山境界
面からの反射波に閾値を越える領域が連続しても、距離
を正確に求めることができる。また、反射波のリンギン
グが大きい場合には、電圧レベルの絶対値が最大なピー
ク点以降の設定数のピーク点は除外して、閾値との比較
を行うことにより、リンギングによる誤差の発生を防止
できる。
【0041】 求めた距離の平均値を、回転角度を横
軸としてプロットしてディスプレイ上に表示すれば、地
山中のゆるみや崩壊の有無及びその規模を視覚的に把握
できる。
【0042】 地山中のゆるみや崩壊はシールド掘進
機前部の上方(天端)に生ずることが多いので、地中探
査レーダをカッタ面板の周面に取り付け、電磁波をカッ
タ面板の放射方向に送信すれば、ゆるみや崩壊の探査精
度が高くなる。
【0043】 地山中のゆるみや崩壊の発生を上記の
ように精度良く検出して、シールド掘進機を適切に自動
制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法の一例の実施状態の模式図で
ある。
【図2】シールド掘進機のレーダ設置部分の拡大断面図
である。
【図3】システム構成を示すブロック図である。
【図4】信号解析の手順を示すフローチャートである。
【図5】(A)は地山中にゆるみや崩壊が無い場合の反
射波発生態様を示す模式図、(B)はその場合の受信反
射波の波形図である。
【図6】(A)は地山中にゆるみ又は崩壊が有る場合の
反射波発生態様を示す模式図、(B)はその場合の受信
反射波の波形図である。
【図7】閾値を越えた点の時間から距離を演算すると誤
差が生ずることを解説する波形図である。
【図8】電圧レベルのピーク点を求め、各ピーク点での
電圧レベルと閾値との大小関係を時間的に遡及して比較
する処理の解説図で、(A)はピーク点、(B)は抽出
したピーク点の電圧レベルをそれぞれ示す。
【図9】地山境界面からの反射波のリンギングが大きい
ために、求める距離に誤差が生ずることを解説する波形
図である。
【図10】電圧レベルの絶対値が最大なピーク点以降の
設定数のピーク点を除外することを解説する図である。
【図11】地山境界面までの距離をプロット表示した曲
線図で、移動平均処理前のものである。
【図12】移動平均処理後のプロット曲線図である。
【図13】移動平均処理の解説図である。
【図14】地山中にゆるみや崩壊が無いときのプロット
曲線図である。
【図15】ゆるみ又は崩壊が有ったときのプロット曲線
図である。
【図16】ゆるみ又は崩壊が有ったときの泥土圧式シー
ルド掘進機に対する制御例を説明するための図である。
【図17】ゆるみ又は崩壊が有ったときの泥水加圧式シ
ールド掘進機に対する制御例を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 地中探査レーダ 2 シールド掘進機 3 カッタ面板 4 送信用ダイポールアンテナ 5 受信用ダイポールアンテナ 14 解析表示装置 15 エンコーダ 16 送信部 18 受信部 19 A/D変換ボード 22 演算装置 23 シールド機制御盤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−33582(JP,A) 実開 平1−164389(JP,U) 特公 平5−25994(JP,B2) 特公 平4−32919(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 9/00 - 9/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シールド掘進機のカッタを回転させなが
    ら、このカッタに備えられた地中探査レーダの送信部か
    ら、地山内面より先の地山中まで電磁波を送信し、その
    反射波をカッタの1回転中の一定角度ごとに所定時間ず
    つ受信部で受信し、その受信電圧レベルをA/D変換し
    て各回転角度ごとにデジタルの受信データを得るステッ
    プと、 その全ての回転角度の受信データに共通して含まれる雑
    音成分を、各回転角度の受信データから除去するステッ
    プと、 共通雑音除去後の各回転角度の受信データに対し、地山
    中の地山境界面からの反射波と、地山境界面以外からの
    他の反射波とを区別する閾値を設定し、この閾値との大
    小関係を時間的に遡及して比較していくことにより地山
    境界面からの受信データのみを抽出するステップと、 その抽出した受信データにつき電圧レベルのピーク点を
    求め、電圧レベルの絶対値が最大なピーク点以降の設定
    数のピーク点は除外するステップと、 各ピーク点での電圧レベルの絶対値と閾値との大小関係
    を時間的に遡及して比較して、閾値を最初に越えたピー
    ク点の時間から地山境界面までの距離を各回転角度ごと
    に演算するステップと、 各回転角度ごとに求めた距離について複数の回転角度単
    位に平均値を求めるステップと、 その平均値がカッタの回転座標系において基準値を超え
    て連続していたとき、地山中にゆるみ・崩壊等の広がり
    を有する異常部分が有ると判定するステップと、 を含むことを特徴とする、シールド工法における地盤の
    ゆるみや崩壊等の広がりを有する異常部分探査方法。
  2. 【請求項2】求めた距離の平均値を、回転角度を横軸と
    してプロットしてディスプレイ上に表示することを特徴
    とする、請求項1に記載のシールド工法における地盤の
    ゆるみや崩壊等の広がりを有する異常部分探査方法。
  3. 【請求項3】シールド掘進機のカッタを回転させなが
    ら、このカッタに備えられた地中探査レーダの送信部か
    ら、地山内面より先の地山中まで電磁波を送信し、その
    反射波をカッタの1回転中の一定角度ごとに所定時間ず
    つ受信部で受信し、その受信電圧レベルをA/D変換し
    て各回転角度ごとにデジタルの受信データを得るステッ
    プと、 その全ての回転角度の受信データに共通して含まれる雑
    音成分を、各回転角度の受信データから除去するステッ
    プと、 共通雑音除去後の各回転角度の受信データに対し、地山
    中の地山境界面からの反射波と、地山境界面以外からの
    他の反射波とを区別する閾値を設定し、この閾値との大
    小関係を時間的に遡及して比較していくことにより地山
    境界面からの受信データのみを抽出するステップと、 その抽出した受信データにつき電圧レベルのピーク点を
    求め、電圧レベルの絶対値が最大なピーク点以降の設定
    数のピーク点は除外するステップと、 各ピーク点での電圧レベルの絶対値と閾値との大小関係
    を時間的に遡及して比較して、閾値を最初に越えたピー
    ク点の時間から地山境界面までの距離を各回転角度ごと
    に演算するステップと、 各回転角度ごとに求めた距離について複数の回転角度単
    位に平均値を求めるステップと、 その平均値がカッタの回転座標系において基準値を超え
    て連続していたとき地山中にゆるみ・崩壊等の広がりを
    有する異常部分が有ると判定するステップと、 異常部分が有ることを判定したときシールド掘進機の推
    進機構や裏込め注入装置等を制御するステップと、 を含むシールド掘進機制御方法。
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