JP3346975B2 - 光半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

光半導体装置およびその製造方法

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JP3346975B2
JP3346975B2 JP05021996A JP5021996A JP3346975B2 JP 3346975 B2 JP3346975 B2 JP 3346975B2 JP 05021996 A JP05021996 A JP 05021996A JP 5021996 A JP5021996 A JP 5021996A JP 3346975 B2 JP3346975 B2 JP 3346975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置に係わ
り、特に電気信号により高速変調に対応できる半導体光
変調器および半導体レーザ装置として使用できる光半導
体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、幹線系光通信システムの大容量化
の研究開発が盛んに展開されている。半導体レーザが発
振器と変調器とを兼ねる直接変調方式では、その光源を
単一素子により構成できるため、システムの簡易化・低
コスト化を図ることが可能である。半導体レーザにおい
て、高速変調動作を得るためには、緩和振動周波数が高
いことが要求される。このためには、活性層を多重量子
井戸構造から形成する等のレーザ媒質自体の工夫の他
に、低閾値化・高出力化を図ることも極めて重要であ
り、リーク電流を低減することが必須となる。さらに、
注入電流により光強度を直接変調する半導体レーザで
は、素子寄生容量が小さいことも同時に要求される。
【0003】一方、高速変調時の波長チャープが小さ
く、長距離にわたる光伝送が可能な外部変調器方式にお
いては、光源となる半導体レーザとのモノリシック集積
化が可能である電界吸収型半導体光変調器の開発が盛ん
である。この電界吸収型半導体光変調器では、外部から
電圧信号を引加することにより、その光吸収係数を制御
する。ここで、高い消光比を得るためには、光吸収層に
均一に電界が印加されることが要求される。さらに、大
容量の光伝送を実現するには、素子寄生容量が小さく高
速変調動作が可能であることが要求される。
【0004】半導体レーザおよび光変調器に使用される
従来の半導体埋め込み構造の光半導体装置では、半導体
基板に平坦に埋め込んで形成した素子の光導波層ストラ
イプ近傍を狭メサ形状に加工することにより、その素子
寄生容量を低減している。図18は、従来の半導体埋め
込み構造の光半導体装置の導波方向に垂直な断面図であ
る。図中101はn型InP基板、102は光導波層、
103はFeドープ半絶縁性InP埋め込み層、104
はp型InPクラッド層、105はp型InGaAsコ
ンタクト層、106はSiO2 膜、107はAu/Zn
/Auからなるp型オーミック電極、108はTi/P
t/Auからなる配線、109はTi/Pt/Auから
なるボンディングパッド、110はAuGe/Ni/A
uからなるn型オーミック電極を示す。
【0005】この半導体装置は、n型InP基板101
に活性層102を含むメサストライプ111を形成し、
メサストライプ111の両側面をFeドープ半絶縁性I
nP層103により埋め込み、その上にp型InPクラ
ッド層104、p型InGaAsコンタクト層105を
順次形成した後に、Br系エッチャントを用いたウェッ
トエッチング法によりメサストライプ111の両側の領
域に分離溝113を形成することにより作製される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図18に示す構成を有
する光半導体装置においては、素子寄生容量を低減する
ためには、メサストライプ111近傍を狭メサ形状に加
工する必要があり、分離溝113に挟まれたメサストラ
イプ112の幅を小さくする必要がある。しかしなが
ら、Br系エッチャントを用いたウェットエッチング法
では、必然的にサイドエッチングが起こるので、メサス
トライプ112の幅を狭く制御して形成することが困難
である。さらに、狭メサ加工を施した後の構造は平坦性
が悪いので、その構造の上に電極形成をすることが難し
くなる。
【0007】また、図19に示すように、サイドエッチ
ングを伴わないドライエッチング法により分離溝113
を形成して素子の狭メサ加工を行なう場合には、メサス
トライプ112の幅の制御はし易いが、分離溝113の
側面が基板表面に対してほぼ垂直になる。このため、狭
メサ加工後の電極形成工程は極めて困難になる。電極形
成を行っても、特に分離溝113の側面において配線1
08が切断し易く、メサストライプ112上に形成され
るp型オーミック電極107と、分離溝113の外側に
形成されるボンディングパッド109との間を接続する
段差配線が難しいという問題点がある。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、断線のない状態で電極形成をすることができ、
しかも高精度の狭メサ形状を有する高速変調に対応でき
る光半導体装置およびメサ幅の制御が容易であり、電極
形成を容易に行なうことができる光半導体装置の製造方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも光
導波層が形成されたメサストライプを有し、(100)
結晶面を主面とする半導体基板と、前記メサストライプ
の両側面に形成された半導体埋め込み層と、メサストラ
イプ領域および前記半導体埋め込み層上に形成され、
(111)結晶面を側面とする断面略台形状であるスト
ライプ状のクラッド層とを具備することを特徴とする光
半導体装置を提供する。
【0010】また、本発明は、少なくとも光導波層が形
成されたメサストライプを(100)結晶面を主面とす
る半導体基板に形成する工程と、前記メサストライプの
両側面上に半導体埋め込み層を形成する工程と、前記半
導体埋め込み層上に、前記メサストライプの領域を含む
ストライプ状の開口部を有する成長阻止マスクを形成す
る工程と、前記成長阻止マスクを用いて選択成長させる
ことにより、前記メサストライプの領域および前記半導
体埋め込み層上に(111)結晶面を側面とする断面略
台形状であるクラッド層を形成する工程とを具備するこ
とを特徴とする光半導体装置の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。本発明の光半導体装置においては、光導波層
側面は電流ブロック効果を有する半導体層により覆われ
ている。したがって、光半導体装置が光変調器として用
いられる場合には、外部から電圧を印加したときに、光
導波層中に含まれる光吸収層には積層方向(厚さ方向)
に均一に電界を印加することが可能であり、高い消光比
を得ることができる。また、光半導体装置が半導体レー
ザとして用いられる場合には、リーク電流を充分に低減
することが可能であり、低閾値動作・高出力動作を得る
ことができる。
【0012】さらに、クラッド層は、(111)結晶面
を側面とする断面略台形状に形成されている。ここで、
クラッド層は選択成長法により形成することが可能であ
り、その位置およびサイズは、あらかじめ形成した選択
成長阻止マスクパターンにより任意に定めることができ
る。すなわち、クラッド層の幅は、選択成長阻止マスク
間隔により定めることができるため、その制御性に極め
て優れている。また、クラッド層の側面は(111)結
晶面で規定される比較的緩やかな傾斜面となることか
ら、電極形成工程も容易に行なうことができる。
【0013】本発明において、光半導体装置が半導体レ
ーザとして用いられる場合には、光導波層中に活性層を
含み、p型オーミック電極とn型オーミック電極との間
に順バイアスを印加することにより、半導体レーザとし
て用いることができる。一方、光半導体装置が光変調器
として用いられる場合には、光導波層中に光吸収層を含
み、p型オーミック電極とn型オーミック電極との間に
逆バイアスを印加することにより、光変調器として用い
ることができる。
【0014】以下、本発明の実施例を図面を参照して具
体的に説明する。 (実施例1)図1は、本発明の第1の実施例に係わる光
半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。図中1は
(100)結晶面を主面とするn型InP基板を示す。
n型InP基板1の表面上には、光導波層2を形成した
後にメサ加工を施すことにより、メサストライプ11が
形成されている。メサストライプ11の側部には、Fe
ドープ半絶縁性InP埋め込み層3が形成されており、
このFeドープ半絶縁性InP埋め込み層3によりメサ
ストライプ11が挟持された構造となっている。活性層
2およびFeドープ半絶縁性InP埋め込み層3上に
は、(111)結晶面を側面とする断面略台形状のp型
InPクラッド層4が形成されている。p型InPクラ
ッド層4上には、p型InGaAsコンタクト層5が形
成されている。p型InGaAsコンタクト層5上であ
って活性層2の上方には、Au/Zn/Auからなるp
型オーミック電極7が形成されている。また、p型オー
ミック電極7以外の領域には、SiO2 膜6が形成され
ている。さらに、p型オーミック電極7を含む領域上に
は、Ti/Pt/Auからなる配線8が形成されてお
り、配線8と接触するようにTi/Pt/Auからなる
ボンディングパッド9がSiO2 膜6上に形成されてい
る。また、n型InP基板1の裏面上には、AuGe/
Ni/Auからなるn型オーミック電極10が形成され
ている。
【0015】図1に示す光半導体装置の製造工程を図2
(A)〜図2(D)を用いて説明する。まず、図2
(A)に示すように、(100)結晶面を主面とするn
型InP基板1上にInGaAsP/InGaAsP多
重量子井戸構造からなる光導波層2を形成した後、幅4
μmのSiO2 膜14をストライプ状に形成し、このS
iO2 膜14をマスクとしてHBr−HCl系エッチャ
ントを用いてウェットエッチングを行ない、幅1.5μ
m、高さ2μmのメサストライプ11を形成する。次い
で、図2(B)に示すように、有機金属気相成長法によ
りメサストライプ11の両側部をFeドープ半絶縁性I
nP層3を形成して埋め込む。次いで、図2(C)に示
すように、SiO2 膜14を除去した後、メサストライ
プ11を挟むように一対のストライプ状のSiO2 膜1
5を形成する。ここで、SiO2 膜15の幅は5μm、
間隔は6μmである。次いで、図2(D)に示すよう
に、SiO2 膜15を選択成長阻止マスクとして、有機
金属気相成長法によりp型InPクラッド層4およびp
型InGaAsコンタクト層5を順次選択成長させる。
さらに、電極形成工程を経て、図1に示す狭メサ構造の
光半導体装置が形成される。
【0016】図1に示す構造を有する光半導体装置にお
いては、光導波層2の両側面は、電流ブロック効果を有
するFeドープ半絶縁性InP層3により覆われてい
る。このため、光半導体装置が光変調器として用いられ
る場合において、p型オーミック電極7とn型オーミッ
ク電極10の間に逆バイアス電圧を印加したとき、光導
波層2中に含まれる光吸収層には、積層方向に均一に電
界を印加することが可能であり、高い消光比を得ること
ができる。また、光半導体装置が半導体レーザとして用
いられる場合においても、p型オーミック電極7とn型
オーミック電極10との間に順バイアス電圧を印加した
とき、リーク電流を充分に低減することが可能である。
【0017】また、選択成長法により形成されたp型I
nPクラッド層4およびp型InGaAsコンタクト層
5は、分離溝13によってストライプ状に分離されて形
成されている。ここで、分離溝13の位置およびサイズ
は、あらかじめ形成したSiO2 マスク15によって定
まるため、p型InPクラッド層4およびp型InGa
Asコンタクト層5を所望の位置に成長させることがで
き、メサストライプ12の幅を狭く制御することが可能
である。また、選択成長法により形成されたp型InP
クラッド層4およびp型InGaAsコンタクト層5の
側面は(111)結晶面からなり、界面準位の少ない高
品質な面を得ることができる。この結果、メサストライ
プ12の側面でのリーク電流を低減することができる。
さらに、p型InPクラッド層4およびp型InGaA
sコンタクト層5の側面が(111)結晶面で規定され
る比較的緩やかな傾斜面であることから、分離溝13に
おいて配線8が切断されることもなく、メサストライプ
12上に形成されるp型オーミック電極7と、分離溝1
3の外側に形成されるボンディングパッド9との間を接
続する段差配線も容易に形成することができる。
【0018】また、電極形成工程においては、基板表面
にガラスマスクを接触させてp型オーミック電極7、配
線8およびボンディングパッド9のパターニングを行
う。ここで、ストライプ状の分離溝13以外の領域は高
さがほぼ等しい平坦面となっているため、パターニング
工程において活性層2の上面に位置するメサストライプ
12に過度の応力が加えられることがなく、素子に損傷
を与えることなく電極を形成することができる。さらに
は、ボンディングパッド9がメサストライプ12とほぼ
同じ高さに位置するため、ボンディングパッド9にAu
ワイヤをボンディングする際に、誤ってメサストライプ
12に接触して素子を損傷させることもない。
【0019】この実施例においては、メサストライプ1
1をFeドープ半絶縁性InP層3により挟持した構造
となっているが、Feドープ半絶縁性InP層の上面に
n型InP層を積層した2層構造の半導体層によってメ
サストライプ11を挟持する構造でもよい。 (実施例2)次に、本発明の第2の実施例を図3を参照
して説明する。図3は、本発明の第2の実施例に係わる
光半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。図3に
おいて、図1と同一の部分については図1と同一の符号
を付してその説明を省略する。
【0020】図3に示す光半導体装置においては、光導
波層2上にアンドープInP層20(キャップ層)が形
成されている。このアンドープInP層20は、p型I
nPクラッド層4を成長させる際にp型不純物であるZ
nが活性層2中に拡散することを防止する。また、2層
構造のn型InP埋め込み層211 ,212 が埋め込ま
れており、光導波層2およびアンドープInP層20
が、この2層構造のn型InP埋め込み層211 ,21
2 により挟持されている。なお、この場合、n型InP
埋め込み層が2層構造でなく、厚さ方向において上側と
下側で不純物濃度差、例えば厚さ方向において不純物濃
度が順次変化する濃度勾配を有していても良い。
【0021】この素子においては、p型InPクラッド
層4とn型InP層211 とからなるpn接合により、
光導波層2の両側での電流ブロック効果を得ようとして
いる。したがって、素子寄生容量の低減の目的のみなら
ず、リーク電流の低減のためにもメサストライプ12の
幅を狭く形成する必要がある。本発明によれば、p型I
nPクラッド層4およびp型InGaAsコンタクト層
5は選択成長法により形成することが可能であり、その
位置およびサイズは、あらかじめ形成した選択成長阻止
マスクによって定めることができる。したがって、メサ
ストライプ12の幅を狭く制御して形成することが可能
である。さらに、n型InP埋め込み層211 の不純物
濃度は1×1017/cm3 となっており、n型InP埋
め込み層212 およびn型InP基板1の不純物濃度
(1×1018/cm3 )よりも低く設定されている。こ
の結果、p型InPクラッド層4とn型InP層211
とからなるpn接合における空乏層幅を厚くすることが
でき、単位面積当りの寄生容量を低減できる構造となっ
ている。
【0022】さらに、n型InP埋め込み層211 の不
純物濃度が低く設定されているために、p型InPクラ
ッド層4を成長させる際にp型不純物であるZnがn型
InP埋め込み層211 中に拡散し易い。したがって、
実際のpn接合は、再成長界面よりも基板側にずれた位
置に形成されている。この結果、界面準位が多い再成長
界面とは異なる位置で電流ブロック効果を得ることがで
きるため、リーク電流が低減され、低閾値化・高出力化
を図ることが可能となる。
【0023】この実施例では、不純物濃度の異なるn型
InP層211 ,212 によりメサストライプ11の両
側面を覆った構造となっているが、n型InP埋め込み
層の不純物濃度は積層方向に(厚さ方向において上方に
向かって)徐々に変化させてもよいし、あるいは変化さ
せなくてもよい。 (実施例3)次に、本発明の第3の実施例を図4を参照
して説明する。図4は、本発明の第3の実施例に係わる
光半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。図4に
おいて、図1と同一の部分については図1と同一の符号
を付してその説明を省略する。
【0024】図4に示す光半導体装置においては、n型
InP基板1のメサストライプ11以外の領域上にp型
InP埋め込み層22およびn型InP埋め込み層21
を順次形成してなる2層構造の埋め込み層が埋め込まれ
ており、光導波層2がp型InP埋め込み層22および
n型InP埋め込み層21により挟持されている。ま
た、SiO2 膜6上にポリイミド膜16が形成されてお
り平坦化されている。この上に配線8およびボンディン
グパッド9が形成されている。
【0025】この素子では、1本のストライプ状の開口
部のみを有する選択成長阻止マスクを用いることによ
り、メサストライプ12の領域にのみp型InPクラッ
ド層4およびp型InGaAsコンタクト層5を選択成
長させている。メサストライプ12の側面は、ポリイミ
ド膜16により埋め込まれており、単位面積当りの電極
パッド容量を低減した構造となっている。ここで、p型
InPクラッド層4およびp型InGaAsコンタクト
層5の側面は、(111)結晶面で規定される緩やかな
傾斜面となっているため、ポリイミド膜16により素子
表面を平坦化する工程も容易に行うことができる。
【0026】また、本発明によれば、p型InPクラッ
ド層4およびp型InGaAsコンタクト層5は選択成
長法により任意の位置に形成することが可能である。し
たがって、メサストライプ12の幅を狭く制御して形成
することが可能であり、p型クラッド層4とn型InP
埋め込み層21とからなるpn接合23における空乏層
容量を小さく抑えることかができる。さらに、n型In
P埋め込み層21の不純物濃度は1×1017/cm3
低く設定されており、pn接合23における空乏層幅を
厚くすることができるため、単位面積当りの寄生容量も
同時に低減できる構造となっている。
【0027】また、光半導体装置が半導体レーザとして
用いられる場合において、p型オーミック電極7とn型
オーミック電極10の間に順バイアス電圧を印加したと
き、n型InP埋め込み層21とp型InP埋め込み層
22からなるpn接合24において電流ブロック効果が
得られる。pn接合24は再成長界面ではないので、リ
ーク電流を充分に低減することが可能であり、低閾値動
作・高出力動作を得ることができる。 (実施例4)次に、本発明の第4の実施例を図5を参照
して説明する。図5は、本発明の第4の実施例に係わる
光半導体装置の斜視図であり、光変調器31とDFBレ
ーザ33をモノリシックに集積化した構造からなる。図
中34は活性層を含む光導波層であり、35は回折格子
である。また、素子の前端面はSiNX 膜36により無
反射コーティングされており、後端面はSi/SiO2
多層膜37により高反射コーティングされている。
【0028】この素子では、図6に示すSiO2 マスク
15を選択成長阻止マスクとして用いて、p型InPク
ラッド層4およびp型InGaAsコンタクト層5を選
択成長法により形成した。この結果、光変調器領域31
および電極分離領域32では、p型InPクラッド層4
およびp型InGaAsコンタクト層5は(111)面
を側面とする断面略台形状であるストライプ状の溝13
により分離されて形成されており、レーザ領域33で
は、p型InPクラッド層4およびp型InGaAsコ
ンタクト層5が平坦に成長されている。これにより、光
変調器領域31における寄生容量が低減されており、高
速変調動作を得ることができる。さらに、電極分離領域
32ではp型InGaAsコンタクト層5がエッチング
除去されており、光変調器領域31とレーザ領域33の
間の電極分離抵抗は20kΩ以上の高い値が得られてい
る。
【0029】この実施例では、レーザ領域33ではp型
InPクラッド層4およびp型InGaAsコンタクト
層5を平坦に成長した構造となっているが、レーザ領域
33においても、クラッド層およびコンタクト層を選択
成長法によりストライプ状に形成した構造を用いてもよ
い。 (実施例5)高速変調動作が可能な光半導体装置を実現
するためには、単位面積当たりの寄生容量を低減し、か
つ光導波層ストライプ近傍を狭メサ形状に加工すること
が要求される。
【0030】図1の構造において、Feドープ半絶縁性
InP埋め込み層3は、電子をトラップするが、正孔は
トラップしない。したがって、p型InPクラッド層4
から半絶縁性InP埋め込み層3に正孔が注入される
と、注入された正孔とトラップされていた電子とが再結
合し、これによりリーク電流が流れる。特に、半絶縁性
InP埋め込み層3のドーパントであるFeとp型In
Pクラッド層4のドーパントであるZnとは相互拡散し
易いため、p型InPクラッド層4から半絶縁性InP
埋め込み層3へ正孔が注入され易くなり、リーク電流が
増大することがある。さらに、InPクラッド層4のド
ーパントであるZnが半絶縁性InP埋め込み層3中に
拡散すると、半絶縁性InP埋め込み層3が空乏化しに
くくなり、単位面積当たりの寄生容量を増大させてしま
うことがある。
【0031】このリーク電流を低減するには、半絶縁性
InP埋め込み層3とInPクラッド層4との間にn型
半導体層、例えばn型InP電流阻止層を設けることが
有効である。このn型InP電流阻止層は正孔に対して
障壁となるため、p型InPクラッド層4から半絶縁性
InP埋め込み層3に正孔が注入されることを防止す
る。これと同時に、半絶縁性InP埋め込み層3のドー
パントであるFeとp型InPクラッド層4のドーパン
トであるZnとが相互拡散することを防止する。この結
果、リーク電流を充分に低減することが可能であると同
時に、単位面積当たりの寄生容量を増大させることもな
い。しかしながら、通常n型InP電流阻止層は狭メサ
形状に形成されず、したがって、Feドープ半絶縁性I
nP埋め込み層3に引加される電界は、n型InP電流
阻止層を介してメサストライプの幅よりも横方向に広が
って分布する。この場合、p型InPクラッド層4が狭
メサ形状を呈しているにも関わらず、素子寄生容量が増
大するという問題がある。
【0032】そこで、実施例5〜10においては、単位
面積当たりの寄生容量を低減すると同時に、電界が広が
って分布することのない高精度の狭メサ構造を実現する
ことにより、素子寄生容量を低減し、電気信号により高
速変調動作が可能な光半導体装置を提供する。すなわ
ち、本実施例の骨子は、光導波層側面を半絶縁性半導体
層により埋め込み、クラッド層を側面が(111)結晶
面とする狭メサ形状に形成し、かつ半絶縁性半導体層と
クラッド層の間にストライプ状の電流阻止層を設けるこ
とにより、素子寄生容量が極めて小さい狭メサ構造光半
導体装置を提供することである。
【0033】次に、本発明の第5の実施例を図7を参照
して説明する。図7は、本発明の第5の実施例に係わる
光半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。図7に
おいて、図1と同一の部分については図1と同一の符号
を付してその説明を省略する。
【0034】図7に示す光半導体装置においては、Fe
ドープ半絶縁性InP埋め込み層3とp型InPクラッ
ド層4との間に、n型InP電流阻止層40が介在され
ている。このn型InP電流阻止層40は、SiO2
6により分断されており、ストライプ状に形成されてい
る。
【0035】図7に示す光半導体装置の製造工程を図8
(A)〜図8(E)を用いて説明する。まず、図8
(A)に示すように、(100)結晶面を主面とするn
型InP基板1上にInGaAsP/InGaAsP多
重量子井戸構造からなる光導波層2を形成した後、幅4
μmのSiO2 膜14をストライプ状に形成し、このS
iO2 膜14をマスクとしてBr系エッチャントを用い
てウェットエッチングを行ない、幅1μm、高さ2μm
のメサストライプ11を形成する。次いで、図8(B)
に示すように、有機金属気相成長法によりメサストライ
プ11の両側部を厚さ1.8μmのFeドープ半絶縁性
InP層3および厚さ0.3μmのn型InP電流阻止
層40を形成して埋め込む。次いで、図8(C)に示す
ように、SiO2 膜14を除去した後、Feドープ半絶
縁性InP層3上のn型InP電流阻止層40を部分的
にエッチングして除去することにより、光導波層2を挟
んで位置する一対のストライプ状にn型InP電流阻止
層40を加工する。
【0036】さらに、図8(D)に示すように、n型I
nP電流阻止層40を除去した領域に、一対のストライ
プ状のSiO2 膜15を形成する。ここで、SiO2
15の幅は5μm、間隔は6μmである。次いで、図8
(E)に示すように、SiO2 膜15を選択成長阻止マ
スクとして、有機金属気相成長法によりp型InPクラ
ッド層4およびp型InGaAsコンタクト層5を順次
選択成長させる。さらに、電極形成工程を経て、図7に
示す狭メサ構造の光半導体装置が形成される。
【0037】本実施例の方法によれば、n型InP電流
阻止層40をストライプ状に加工する工程と、ストライ
プ状のSiO2 マスク15を形成する工程は、ほぼ平坦
な基板表面上でのパターニングにより行なうことができ
るため、高精度のパターニングが可能である。さらに、
選択成長法により形成されたp型InPクラッド層4お
よびp型InGaAsコンタクト層5の位置およびサイ
ズは、あらかじめ形成したSiO2 成長阻止マスク15
によって任意に定めることができる。したがって、メサ
ストライプ12の幅を狭く制御して形成することが可能
であると同時に、メサストライプ12の下に、ストライ
プ状のn型InP電流阻止層40を精度良く形成するこ
とが可能である。
【0038】また、光導波層2を含むメサストライプ1
1の両側面は、Feドープ半絶縁性InP層3により埋
め込まれているため、単位面積当たりの寄生容量を充分
に低減することが可能である。ここで、n型InP電流
阻止層40は、半絶縁性InP埋め込み層3のドーパン
トであるFeとp型InPクラッド層4のドーパントで
あるZnとが相互拡散することを防ぐため、リーク電流
を低減できると同時に、単位面積当たりの寄生容量が増
大することもない。さらに、n型InP電流阻止層40
は、メサストライプ12の下にストライプ状に形成され
ているため、半絶縁性InP埋め込み層3に印加される
電界がメサストライプ12の幅よりも横方向に広がって
分布することもない。この結果、極めて小さい素子寄生
容量にすることが可能である。 (実施例6)次に、本発明の第6の実施例を図9(A)
〜図9(E)を用いて説明する。図9(A)〜図9
(E)は、本発明の第6の実施例に係わる光半導体装置
の各作製工程における導波方向に垂直な断面図である。
図9において、図7と同一の部分については図7と同一
の符号を付してその説明を省略する。
【0039】まず、図9(A)に示すように、(10
0)結晶面を主面とするn型InP基板1上に光導波層
2を積層したメサストライプ11を形成する。次いで、
図9(B)に示すように、有機金属気相成長法によりメ
サストライプ11の両側部をFeドープ半絶縁性InP
層3およびn型InP電流阻止層40で埋め込む。次い
で、図9(C)に示すように、SiO2 マスク14を除
去した後に、n型InP電流阻止層40上にメサストラ
イプ11を挟むように一対のストライプ状のSiO2
15を形成する。
【0040】次いで、図9(D)に示すように、SiO
2 膜15を選択成長阻止マスクとして、有機金属気相成
長法によりp型InPクラッド層4およびp型InGa
Asコンタクト層5を順次選択成長させる。次いで、図
9(E)に示すように、SiO2 成長阻止マスク15下
のn型InP電流阻止層40をエッチングにより除去す
る。さらに、電極形成工程を経て、図7と同様の構造を
有する狭メサ構造光半導体装置が形成される。
【0041】本実施例において、n型InP電流阻止層
40をストライプ状に加工する工程は、図10に示すよ
うに、自己整合的に行なうことができる。すなわち、図
10(A)に示すように、p型InPクラッド層4およ
びp型InGaAsコンタクト層5を選択成長させた
後、SiO2 成長阻止マスク15上に開口部を有するレ
ジスト層17を形成する。次いで、図10(B)に示す
ように、サイドエッチングを利用してSiO2 成長阻止
マスク15をエッチングにより除去する。これにより、
SiO2 成長阻止マスク15下のn型InP電流阻止層
40が露出されるので、図10(C)に示すように、こ
の露出されたn型InP電流阻止層40をエッチングに
より除去することにより、メサストライプ12の下にス
トライプ状のn型InP電流阻止層40を精度良く形成
することが可能である。 (実施例7)次に、本発明の第7の実施例を図11
(A)〜図11(F)を用いて説明する。図11(A)
〜図11(F)は、本発明の第7の実施例に係わる光半
導体装置の各作製工程における導波方向に垂直な断面図
である。図11において、図7と同一の部分については
図7と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】まず、図11(A)に示すように、(10
0)結晶面を主面とするn型InP基板1上に光導波層
2を積層したメサストライプ11を形成する。次いで、
図11(B)に示すように、有機金属気相成長法により
メサストライプ11の両側部をFeドープ半絶縁性In
P層3で埋め込む。次いで、図11(C)に示すよう
に、SiO2 マスク14を除去した後に、メサストライ
プ11上にSiO2 膜18を、Feドープ半絶縁性In
P層3上にメサストライプ11を挟んで位置する一対の
ストライプ状のSiO2 膜19を形成する。
【0043】次いで、図11(D)に示すように、Si
2 膜18およびSiO2 膜19を選択成長阻止マスク
として、有機金属気相成長法によりn型InP電流阻止
層40を選択成長させる。その後、図11(E)に示す
ように、メサストライプ11上のSiO2 膜18をエッ
チングにより除去する。次いで、図11(F)に示すよ
うに、SiO2 膜19を選択成長阻止マスクとして、有
機金属気相成長法によりp型InPクラッド層4および
p型InGaAsコンタクト層5を選択成長させる。さ
らに、電極形成工程を経て、図7と同様の構造を有する
狭メサ構造光半導体装置が形成される。
【0044】本実施例では、n型InP電流阻止層40
を選択成長させる際と、p型InPクラッド層4および
p型InGaAsコンタクト層5を選択成長させる際
に、SiO2 膜19を共通の成長阻止マスクとして用い
ているため、メサストライプ12と同じ幅を有するスト
ライプ状のn型InP電流阻止層40を形成することが
可能である。 (実施例8)次に、本発明の第8の実施例を図12を用
いて説明する。図12は、本発明の第8の実施例に係わ
る光半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。図1
2において、図7と同一の部分については、図7と同一
の符号を付してその説明を省略する。
【0045】本実施例では、光導波層2を含むメサスト
ライプ11の両側部をFeドープ半絶縁性InP層3お
よびn型InGaAsP電流阻止層41によって埋め込
み、p型InPクラッド層4およびp型InGaAsコ
ンタクト層5を選択成長させた後に、n型InGaAs
P電流阻止層41をストライプ状にエッチングにより加
工している。この場合、図12に示すように、サイドエ
ッチングを利用することにより、n型InGaAs電流
阻止層41の幅をメサストライプ13の幅よりも狭くな
るようにストライプ加工することができる。また、n型
InGaAsP電流阻止層41がエッチング除去された
領域には、ポリイミド膜16が埋め込まれている。この
結果、半絶縁性InP埋め込み層3に印加される電界分
布は、n型InGaAsP電流阻止層41の幅程度にし
か広がらないため、極めて小さい素子寄生容量にするこ
とができる。 (実施例9)次に、本発明の第9の実施例を図13を用
いて説明する。図13は、本発明の第9の実施例に係わ
る光半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。図1
3において、図7と同一の部分については、図7と同一
の符号を付してその説明を省略する。
【0046】本実施例では、メサストライプ12の領域
にのみ、n型InP電流阻止層40、p型InPクラッ
ド層4、およびp型InGaAsコンタクト層5を設け
ており、メサストライプ12の側面はポリイミド膜16
により埋め込まれている。この結果、ボンディングパッ
ド(電極パッド)9の下は、ポリイミド膜16、SiO
2 膜6、および半絶縁性InP埋め込み層3が積層され
た構成になっており、単位面積当たりの電極パッド容量
を低減した構造となっている。また、メサストライプ1
2の側面は(111)結晶面で規定される比較的緩やか
な傾斜面であるため、ポリイミド膜16により素子表面
を平坦化する工程も容易に行なうことができる。 (実施例10)次に、本発明の第10の実施例を図14
を用いて説明する。図14は、本発明の第10の実施例
に係わる光半導体装置の導波方向に垂直な断面図であ
る。図14において、図7と同一の部分については、図
7と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】本実施例では、ボンディングパッド9の下
には、n型InP電流阻止層40を設けていない。ま
た、p型InPクラッド層4およびp型InGaAsコ
ンタクト層5を選択成長させた後、ボンディングパッド
9下のp型InGaAsコンタクト層5をエッチングに
より除去し、さらにプロトン打ち込みによりp型InP
クラッド層4を半絶縁化している。この結果、ボンディ
ングパッド9の下は、SiO2 膜6、プロトン打ち込み
半絶縁性InP層42、および半絶縁性InP埋め込み
層3が積層された構成になっており、単位面積当たりの
電極パッド容量を低減した構造となっている。 (実施例11)光導波層上に半絶縁性InP層を有する
メサストライプを含む狭メサ形状の光半導体装置におい
て、素子寄生容量を低減するためには、メサストライプ
の幅を狭く形成する必要がある。しかしながら、この幅
を狭くすると、p型InGaAsコンタクト層上に形成
されるp型オーミック電極の面積が小さくなり、素子直
列抵抗が大きくなる。したがって、メサストライプ構造
の光半導体装置では、寄生容量および直列抵抗を同時に
低減することが困難である。
【0048】また、メサストライプの形成工程において
は、光導波層の位置に合わせてマスクをパターニングす
るため、メサストライプの幅が狭くなるほど高いマスク
合わせ精度が要求されることになり、メサストライプの
幅を狭く制御することが難しく、製造コストの低コスト
化が困難である。
【0049】さらに、メサストライプを加工した後の表
面は平坦性に欠けるので、その上に電極形成を行うこと
が困難になる。特に、メサストライプの側面に形成され
た配線は切断され易く、p型オーミック電極とボンディ
ングパッドとの間を接続する段差配線も困難である。
【0050】そこで、実施例11,12においては、寄
生容量および直列抵抗を同時に低減することが可能であ
り、電気信号により高速変調動作が可能である光半導体
装置、およびこのような光半導体装置を低コストで、し
かも電極形成を容易に行なうことができる光半導体装置
の製造方法を提供する。
【0051】次に、本発明の第11の実施例を図15を
用いて説明する。図15は、本発明の第11の実施例に
係わる光半導体装置の導波方向に垂直な断面図である。
図15において、図1と同一の部分については図1と同
一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】図15に示す光半導体装置は、メサストラ
イプにおける光導波層2上にInPキャップ層50が形
成されている。したがって、光導波層2およびInPキ
ャップ層50の両側部にFeドープ半絶縁性InP層3
が埋め込まれている。
【0053】また、p型InPクラッド層4には、庇部
4aが設けられている。p型InPクラッド層4の庇部
4aの下には、SiO2 膜6が延出しており、メサスト
ライプ12以外の領域のp型InPクラッド層4の下に
は、InGaAsPスペーサ層52が設けられている。
【0054】次に、図15に示す光半導体装置の製造工
程を図16(A)〜図16(E)を用いて説明する。ま
ず、図16(A)に示すように、(100)結晶面を主
面とするn型InP基板1上に光導波層2およびInP
キャップ層50を積層した後、幅4μmのSiO2 膜5
1をストライプ状に形成する。このSiO2 膜51をマ
スクとしてInPキャップ層50、光導波層2、および
n型InP基板1をエッチングして、幅1μm、高さ2
μmのメサストライプ11を形成する。
【0055】次いで、図16(B)に示すように、有機
金属気相成長法によりメサストライプ11の両側部をF
eドープ半絶縁性InP層3で埋め込み、引き続きSi
2膜51の両側にInGaAsPスペーサ層52を選
択成長させる。次いで、図16(C)に示すように、S
iO2 マスク51を除去した後、InGaAsPスペー
サ層52上に幅12μmの開口部を有する一対のストラ
イプ状のSiO2 膜53を形成する。
【0056】次いで、図16(D)に示すように、Si
2 膜53を選択成長阻止マスクとして、有機金属気相
成長法によりp型InPクラッド層4およびp型InG
aAsコンタクト層5を選択成長させる。次いで、図1
6(E)に示すように、SiO2 膜53を除去し、In
GaAsPスペーサ層52をサイドエッチングする。さ
らに、電極形成工程を経て、図15に示す構造を有する
光半導体装置が形成される。
【0057】本実施例では、エッチングによりメサスト
ライプ11を形成する際およびInGaAsPスペーサ
層52を選択成長させる際に、共通のマスクとしてSi
2膜51を用いている。したがって、p型InPクラ
ッド層4の底面の位置を自己整合的に決めることができ
る。さらに、p型InPクラッド層4の底面の幅は、S
iO2 膜51の幅によって決まり、例えば4μmと極め
て狭く形成されている。この結果、極めて小さい素子寄
生容量にすることができる。
【0058】また、p型InPクラッド層4が庇部4a
を有する断面形状に形成されているので(断面略Τ字形
状を呈するので)、p型InPクラッド層4の底面の幅
が狭いにも拘らず、p型InPクラッド層4の上面の幅
を充分に広く形成することが可能である。したがって、
p型InGaAsコンタクト層5上に形成されるp型オ
ーミック電極7の幅は8μmと広くなる。この結果、素
子寄生容量を低減すると同時に、充分に小さい素子直列
抵抗にすることができる。
【0059】さらに、p型InPクラッド層4およびp
型InGaAsコンタクト層5は、選択成長法によりあ
らかじめストライプ状に形成している。この場合、選択
成長法により形成されたp型InPクラッド層4の側面
は、(111)結晶面により規定される比較的緩やかな
傾斜面となる。したがって、p型InPクラッド層4の
庇部4aの下を誘電体膜により埋め込みさすれば、狭メ
サ12の側面で配線が切断されることもなく、p型オー
ミック電極7とボンディングパッド9との間を接続する
段差配線も容易に形成することができる。
【0060】本実施例では、スピンオングラスを用いて
p型InPクラッド層4の庇部4a下をSiO2 膜6に
より埋め込んでいる。SiO2 膜6は、膜厚を厚くし過
ぎるとクラックが入るという問題点があるが、p型In
Pクラッド層4の庇部4a下の空隙の厚さは例えば0.
5μmであり、SiO2 膜6が割れることはない。ま
た、この空隙の厚さはInGaAsPスペーサ層52の
厚さによって決まり、その制御性にも優れている。さら
に、この場合、誘電体膜を厚くする必要がないので、ポ
リイミド膜等の高分子材料を用いる必要もなく、素子の
信頼性も高い。(実施例12)次に、本発明の第12の
実施例を図17を用いて説明する。図17は、本発明の
第12の実施例に係わる光半導体装置の導波方向に垂直
な断面図である。図17において、図15と同一の部分
については、図15と同一の符号を付してその説明を省
略する。
【0061】本実施例では、1本のストライプ状の開口
部のみを有する選択成長阻止マスクを用いることによ
り、狭メサ12の領域にのみp型InPクラッド層4、
p型InGaAsコンタクト層5を選択成長させてい
る。狭メサ12の側面は、SiO2 膜6で覆われた後、
ポリイミド膜54により埋め込まれており、ボンディン
グパッド9の単位面積当りの容量を低減した構造となっ
ている。この場合、p型InPクラッド層4およびp型
InGaAsコンタクト層5の側面は(111)面で規
定される比較的緩やかな傾斜面となっているので、ポリ
イミド膜54により素子表面を平坦化する工程も容易に
行なうことができる。また、この構造においても、断面
略T字形状であるストライプ状のp型InPクラッド層
4により、素子寄生容量を低減すると同時に、充分に小
さい素子直列抵抗にすることができる。
【0062】本実施例によれば、極めて高精度の狭メサ
構造を容易に形成することが可能であり、電気信号によ
り高速変調可能な光半導体装置を低コストで実現するこ
とができる。
【0063】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。本実施例においては、InGaAsP
系の半導体装置について説明しているが、AlGaIn
P系、InGaAsSb系、ZnCdSSe系等の他の
材料系について本発明を適用することができる。また、
本実施例では、クラッド層上にコンタクト層を積層した
構造について説明しているが、クラッド層と電極金属と
の間で充分に低い接触抵抗を得ることができる場合に
は、コンタクト層を積層しなくてもよい。さらに、本実
施例においては、単体の半導体変調器、単体の半導体レ
ーザ、および光変調器と半導体レーザの集積化光源につ
いて説明したが、他に光導波路、光増幅器等を集積化し
た素子構造においても、本発明は有効である。
【0064】さらに、半導体埋め込み層の導電型も半絶
縁性半導体層に限るものではなく、他にp型半導体層、
n型半導体層、あるいはこれらを積層した構造を用いて
もよい。また、光導波層(活性層)にはバルク材料を用
いても多重量子井戸構造を用いてもよい。さらに、半導
体埋め込み層はInP層に限るものではなく、例えば、
InGaAsP層や、InP層とInGaAsP層を積
層した半導体層を用いてもよい。また、半導体埋め込み
層の導電型や不純物濃度についても、様々な半導体層を
用いることができる。さらには、半導体基板は(10
0)結晶面からのオフ基板を用いてもよく、導電型もn
型基板に限るものではない。その他、本発明の主旨を逸
脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
(111)結晶面を側面とする断面略台形状であるスト
ライプ状のクラッド層を任意の位置に形成することがで
きるので、メサ幅の制御性に優れ、かつ電極形成工程も
容易に可能な狭メサ構造を得ることができる。この結
果、困難な作製工程を伴うことなく、電気信号により高
速変調可能な光半導体装置を実現することができる。
【0066】また、光導波層の両側面を電流ブロック層
により埋め込んであるため、光半導体装置が光変調器と
して用いられる場合には、光導波層に均一に電界を印加
することが可能となり、高い消光比を得ることができ
る。また、光半導体装置が半導体レーザとして用いられ
る場合には、リーク電流を充分に低減することが可能で
あり、低閾値動作・高出力動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置の第1の実施例の導波方
向に垂直な断面図。
【図2】(A)〜(D)は図1に示す光半導体装置の製
造工程における導波方向に垂直な断面図。
【図3】本発明の光半導体装置の第2の実施例の導波方
向に垂直な断面図。
【図4】本発明の光半導体装置の第3の実施例の導波方
向に垂直な断面図。
【図5】本発明の第4の実施例に係る光半導体装置を示
す斜視図。
【図6】本発明の第4の実施例に係る光半導体装置の製
造方法に使用する選択成長阻止マスクの一例を示す斜視
図。
【図7】本発明の光半導体装置の第5の実施例の導波方
向に垂直な断面図。
【図8】(A)〜(E)は図7に示す光半導体装置の製
造工程における導波方向に垂直な断面図。
【図9】(A)〜(E)は本発明の第6の実施例に係る
光半導体装置の製造工程における導波方向に垂直な断面
図。
【図10】(A)〜(C)は本発明の第6の実施例に係
る光半導体装置の製造工程における導波方向に垂直な断
面図。
【図11】(A)〜(F)は本発明の第7の実施例に係
る光半導体装置の製造工程における導波方向に垂直な断
面図。
【図12】本発明の光半導体装置の第8の実施例の導波
方向に垂直な断面図。
【図13】本発明の光半導体装置の第9の実施例の導波
方向に垂直な断面図。
【図14】本発明の光半導体装置の第10の実施例の導
波方向に垂直な断面図。
【図15】本発明の光半導体装置の第11の実施例の導
波方向に垂直な断面図。
【図16】(A)〜(E)は図15に示す光半導体装置
の製造工程における導波方向に垂直な断面図。
【図17】本発明の光半導体装置の第12の実施例の導
波方向に垂直な断面図。
【図18】従来の半導体埋め込み構造の半導体装置の導
波方向に垂直な断面図。
【図19】従来の半導体埋め込み構造の半導体装置の導
波方向に垂直な断面図。
【符号の説明】
1…n型InP基板、2,34…光導波層、3…Feド
ープ半絶縁性InP埋め込み層、4…p型InPクラッ
ド層、4a…庇部、5…p型InGaAsコンタクト
層、6,53…SiO2 膜、7…p型オーミック電極、
8…配線、9…ボンディングパッド、10…n型オーミ
ック電極、11,12…メサストライプ、13…分離
溝、14,15,51…SiO2 マスク、16,54…
ポリイミド膜、20…アンドープInP層、21,21
1 ,212 …n型InP埋め込み層、22…p型InP
埋め込み層、23,24,25…pn接合、31…光変
調器領域、32…レーザ領域、33…電極分離領域、3
5…回折格子、36…無反射コーティング膜、37…高
反射コーティング膜、40…n型InP電流阻止層、4
1…n型InGaAsP電流阻止層、42…プロトン打
ち込み半絶縁性InP層、50…InPキャップ層、5
2…InGaAsPスペーサ層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−160506(JP,A) 特開 平6−232492(JP,A) 特開 平1−146390(JP,A) 特開 平1−321674(JP,A) 特開 平2−192784(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 G02F 1/025

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも光導波層が形成されたメサスト
    ライプを有し、(100)結晶面を主面とする半導体基
    板と、 前記メサストライプの両側面に形成された半絶縁性を有
    する半導体埋め込み層と、 メサストライプ領域および前記半導体埋め込み層上に形
    成され、(111)結晶面を側面とする断面略台形状で
    あるストライプ状のクラッド層と、 前記半導体埋め込み層と前記クラッド層との間に設けら
    れたストライプ状の電流阻止層と、 を具備することを特徴とする光半導体装置。
  2. 【請求項2】少なくとも光導波層が形成されたメサスト
    ライプを有し、(100)結晶面を主面とする半導体基
    板と、 前記メサストライプの両側面に形成された半導体埋め込
    み層と、 メサストライプ領域および前記半導体埋め込み層上に形
    成され、(111)結晶面を側面とし、断面略台形状を
    有し、少なくとも前記メサストライプと接触する面より
    も広いフランジ部を有するストライプ状のクラッド層
    と、前記半導体埋め込み層と前記ストライプ状のクラッド層
    との間に設けられた電流阻止層とを具備し、 前記電流阻止層が絶縁物である ことを特徴とする光半導
    体装置。
  3. 【請求項3】前記半導体埋め込み層上に形成され、前記
    メサストライプ上に形成された前記ストライプ状のクラ
    ッド層と略同じ高さであり、前記ストライプ状のクラッ
    ド層と分離されたクラッド層をさらに具備してなること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の光半導体装置。
  4. 【請求項4】前記半導体埋め込み層には、Feがドープ
    されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体
    装置。
  5. 【請求項5】少なくとも光導波層が形成されたメサスト
    ライプを(100)結晶面を主面とする半導体基板に形
    成する工程と、 前記メサストライプの両側面上に半絶縁性の半導体埋め
    込み層、及び電流阻止層を形成する工程と、 前記電流阻止層上に、前記メサストライプの領域を含む
    ストライプ状の開口部を有する成長阻止マスクを形成す
    る工程と、 前記成長阻止マスクを用いて選択成長させることによ
    り、前記メサストライプの領域および前記電流阻止層
    に(111)結晶面を側面とする断面略台形状であるク
    ラッド層を形成する工程と、 を具備することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】少なくとも光導波層が形成されたメサスト
    ライプを(100)結晶面を主面とする半導体基板に形
    成する工程と、 前記メサストライプの両側面上に半導体埋め込み層を形
    成する工程と、前記メサストライプ両側面側の半導体埋め込み層上にス
    ペーサ層を形成する工程と、 前記スペーサ層上に、前記メサストライプの領域を含む
    ストライプ状の開口部を有する成長阻止マスクを形成す
    る工程と、 前記成長阻止マスクを用いて選択成長させることによ
    り、前記メサストライプの領域および前記スペーサ層
    に(111)結晶面を側面とする断面略台形状であるク
    ラッド層を形成する工程と、前記半導体埋め込み層と前記クラッド層との間に形成さ
    れたスペーサ層を除去する工程と を具備することを特徴
    とする光半導体装置の製造方法。
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