JP3341690B2 - 三相コンデンサの故障検出装置 - Google Patents

三相コンデンサの故障検出装置

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JP3341690B2 JP31552098A JP31552098A JP3341690B2 JP 3341690 B2 JP3341690 B2 JP 3341690B2 JP 31552098 A JP31552098 A JP 31552098A JP 31552098 A JP31552098 A JP 31552098A JP 3341690 B2 JP3341690 B2 JP 3341690B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、進相コンデンサ
等に用いられる三相コンデンサの故障検出装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図9に、特開平10−23658号公報
に開示された従来の三相コンデンサの故障検出装置の構
成図を示す。図において、101aおよび101bは、
それぞれ、内部に3つの内部コンデンサをデルタ接続し
て構成されたほぼ同一静電容量を有する2つの三相コン
デンサであり、それぞれ、開閉器113と、直列リアク
トル112と、主回路導線114a、114b、114
cおよび114d、114e、114fにより三相電源
(U、V、W)に並列に接続されている。また、三相コ
ンデンサ101aおよび101bの入力側には、それぞ
れ、電圧継電器122a、122bに接続された零相変
流器102a、102bが配置されるとともに、三相
(U、V、W)の内の一相(図9では、W相の114c
および114fの場合を例示)を零相変流器102a、
102bの出力端と三相コンデンサ101aおよび10
1bの入力端の間で互いに交錯して接続し、三相コンデ
ンサ101aおよび101bの容量減少や絶縁破壊時に
零相変流器102a、102bに不平衡電流が発生し、
故障が検知されるよう構成されている。
【0003】以下、この従来の三相コンデンサの故障検
出装置の動作について図9により説明する。まず、正常
運転時においては、三相コンデンサ101aおよび10
1bがほぼ同一容量を有していることから、三相電源の
同一相(U、V、W)に接続された主回路導線114a
と114d、114bと114e、および114cと1
14fにはほぼ同一の電流が流れており、こうして、三
相回路の性質から、零相変流器102aによって検知さ
れる主回路導線114a、114b、114fの零相電
流および零相変流器102bによって検知される主回路
導線114d、114e、114cの零相電流はほぼ0
となり、各零相変流器102aおよび102bの二次側
には電圧が発生しない。
【0004】ここで、例えば、三相コンデンサ101b
に容量減少が発生した場合を考えると、三相コンデンサ
101bの容量減少によって主回路導線114fを流れ
る電流値は正常値から変化する。一方、正常に動作して
いる三相コンデンサ101aに接続された主回路導線1
14a、114bの電流には変化がないため、この三相
コンデンサ101bの容量減少に伴う電流の変化によっ
て、主回路導線114a、114bおよび114fには
正常運転時(0電流)からの不平衡電流が発生し、零相
変流器102aの二次側に電圧が発生することになる。
こうして、この零相変流器102aの信号を電圧継電器
122aで検知し、ある一定値(判定値)以上の零相電
流が検出された場合に、例えば、開閉器113を遮断す
るよう構成しておけば、三相コンデンサ101a、10
1bの故障検出と回路保護を図ることができる。
【0005】また、実開平4−121342号公報に
は、高周波フィルタ設備の保護リレー装置として、高周
波フィルタ設備の各分路(i、j)に流れる同一相基本
波電流を検出し、正常運転時の各分路間の同一相基本波
電流比率(rij)と動作時の各分路の基本波電流値
(I(i)、I(j))から、式 I(i)−rij*I(j) によって各分路の差電流を算出し、正常運転時の基本波
電流値を基に定められた判定値とこの差電流を比較し
て、各分路内のコンデンサやリアクトル等の故障を検出
する装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示された特開平10−23658号公報に開示された従
来の三相コンデンサの故障検出装置では、三相コンデン
サ101aまたは101bの故障を零相電流によって検
出するよう構成しているため、故障時に零相変流器10
2aまたは102bによって零相電流が検出されるため
には、2台のしかもほぼ同一静電容量を有する三相コン
デンサ101a、101bを、三相の内の1相を互いに
交錯して配置する必要があり、単一の三相コンデンサの
故障検出手段としては利用できないものであった。
【0007】また、三相コンデンサ101a、101b
の故障を精度よく検出するためには、正常運転時の零相
電流を0に近づけておく必要があり、このためには、2
台の三相コンデンサ101a、101bの静電容量をで
きるだけ同一にしておくとともに微少電流を検出するた
めに高精度の三相コンデンサや零相変流器が必要で、製
品価格が高くなるという問題もあった。また、逆に、2
台の三相コンデンサ101a、101bの静電容量にバ
ラツキがある場合、検出装置の誤動作を避けるためには
故障検出の判定値(電圧継電器122a、122bのス
レッシュホールド値)を大き目に設定しておく必要があ
り、この場合、故障検出が遅れて設備が破壊される危険
性が増大するといった問題点もあった。
【0008】また、実開平4−121342号公報に開
示された高周波フィルタ設備保護リレーでは、正常運転
時の各分路(i、j)間の同一相基本波電流比率(ri
j)と動作時の各分路の基本波電流値(I(i)、I
(j))から、式 I(i)−rij*I(j) によって各分路の差電流を算出し、正常運転時の基本波
電流値を基に定められた判定値とこの差電流とを比較す
ることにより故障を検出するよう構成されているため、
電源電圧の変動によっても上記の差電流が増減すること
になり、その結果、電源電圧の変動が反映されない判定
値と比較した場合に、故障を誤検出するといった問題点
があった。
【0009】また、この従来例では、同一相の電圧が各
分路に印加されているため、各分路間での印加電圧のば
らつきを考慮する必要がないが、各相の電圧にばらつき
がある三相コンデンサの故障検出に上記の式を適用した
場合には、各相の電圧のばらつきによって各相の電流値
が大きく変化し、上式で算出される差電流では一層精度
よく判定ができないといった問題点もあった。特に、こ
の発明が対象としている産業用の進相コンデンサ等に用
いられる三相コンデンサでは、工場等の電圧のアンバラ
ンスや電圧変動が大きい環境で使用されることが多く、
このような使用条件下でも精度よく故障検出が可能な故
障検出装置が求められていた。
【0010】この発明は、従来装置の上記のような問題
点を解消するためになされたもので、この発明の第1の
目的は、単一の三相コンデンサの故障検出において、動
作時の三相電源電圧の相間のアンバランスや電圧変動の
影響を受けにくく、また、三相コンデンサの静電容量の
ばらつきに起因する正常運転時の初期電流のばらつきが
あっても、精度よく故障検出ができる三相コンデンサの
故障検出装置を得ることを目的とする。
【0011】また、この発明の第2の目的は、三相コン
デンサの静電容量のばらつきや三相電源電圧のアンバラ
ンスおよび電圧変動に対する補正処理や故障判定条件の
設定が容易な三相コンデンサの故障検出装置を得ること
を目的とする。
【0012】さらに、この発明の第3の目的は、構成が
簡単で、応答速度が速く、しかも、十分な精度で故障の
検出が可能な三相コンデンサの故障検出装置を得ること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る三相コン
デンサの故障検出装置は、上記の目的を達成するため
に、三相コンデンサに入力される少なくとも2相の電流
を検出する電流検出回路と、上記電流検出回路から出力
される信号を演算し、上記三相コンデンサの故障を判
定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回路での演
算結果を保存する記憶回路とを備えた三相コンデンサの
故障検出装置において、上記信号処理回路は上記電流検
出回路から出力された信号に基づいて三相中の各2相の
電流値比率を算出するものであり、上記記憶回路に保存
された正常運転時の電流値比率と、動作中の対応する電
流値比率とを上記信号処理回路において比較することに
より、上記三相コンデンサの故障を判定、検出するよう
構成したものである。
【0014】また、この発明に係る三相コンデンサの故
障検出装置は、三相コンデンサに入力される少なくとも
2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
路での演算結果を保存する記憶回路とを備えた三相コン
デンサの故障検出装置において、上記信号処理回路は上
記電流検出回路から出力された信号に基づいて三相電流
の電流不平衡率を算出するものであり、上記記憶回路に
保存された正常運転時の電流不平衡率と、動作中の電流
不平衡率とを上記信号処理回路において比較することに
より、上記三相コンデンサの故障を判定、検出するよう
構成したものである。
【0015】また、この発明に係る三相コンデンサの故
障検出装置は、三相コンデンサに入力される少なくとも
2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
路での演算結果を表示する表示器と、故障判定条件を設
定する設定器とを備えた三相コンデンサの故障検出装置
において、上記信号処理回路は上記電流検出回路から出
力された信号に基づいて三相中の各2相の電流値比率を
算出するものであり、上記設定器によって設定された電
流値比率と、動作中の対応する電流値比率とを上記信号
処理回路において比較することにより、上記三相コンデ
ンサの故障を判定、検出するよう構成したものである。
【0016】さらに、この発明に係る三相コンデンサの
故障検出装置は、三相コンデンサに入力される少なくと
も2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出
回路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサ
の故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理
回路での演算結果を表示する表示器と、故障判定条件を
設定する設定器とを備えた三相コンデンサの故障検出装
置において、上記信号処理回路は上記電流検出回路から
出力された信号に基づいて三相電流の電流不平衡率を算
出するものであり、上記設定器によって設定された電流
不平衡率と、動作中の電流不平衡率とを上記信号処理回
路において比較することにより、上記三相コンデンサの
故障を判定、検出するよう構成したものである。
【0017】また、この発明に係る三相コンデンサの故
障検出装置は、上記三相コンデンサに印加される少なく
とも2相の電圧を検出する電圧検出回路を設け、上記電
圧検出回路によって検出された電圧を用いて上記電流検
出回路によって検出された電流の補正を行うよう構成し
たものである。
【0018】また、この発明に係る三相コンデンサの故
障検出装置は、上記電流検出回路から出力された信号に
基づいて算出された各相の電流値を、上記電圧検出回路
によって検出された信号に基づいて算出された対応する
各相の電圧で除すことにより、各相の電流値の補正を行
うよう構成したものである。
【0019】さらに、この発明に係る三相コンデンサの
故障検出装置は、上記信号処理回路にA/D変換器を備
えるとともに、上記電流検出回路から入力された信号の
1/2周期分のデータから当該周期の電流値を算出する
よう構成したものである。
【0020】また、この発明に係る三相コンデンサの故
障検出装置は、上記電流検出回路に交流の電流信号を半
波整流する整流回路を備えるとともに、上記信号処理回
路において、上記電流検出回路から出力された半波整流
された信号を信号の立ち上がりから1/2周期にわたっ
てサンプリングし、上記1/2周期内に電流データが0
となる期間が存在する場合に、当該期間については、上
記1/2周期内の電流データが0でない期間の平均電流
値のいずれかに等しい平均電流が流れているものとし
て、当該周期の電流値の算出を行うよう構成したもので
ある。
【0021】また、この発明に係る三相コンデンサの故
障検出装置は、上記1/2周期内に電流データが0でな
い期間が複数存在する場合、各々の、電流データが0で
ある期間の電流値として、当該期間の継続時間との比が
最も1に近い値となる継続時間を有する上記1/2周期
内の電流データが0でない期間の平均電流値を用いて、
電流値の算定を行うよう構成したものである。
【0022】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明
の実施の形態1である三相コンデンサの故障検出装置の
構成図である。図において、1は内部で3つの内部コン
デンサ1a、1b、1cをデルタ接続した三相コンデン
サであり、電源電圧に含まれる高調波成分や突入電流に
よる三相コンデンサ1への高調波電流の流入を制限する
ための直列リアクトル12a、12b、12cと、三相
コンデンサ1を三相電源に接続、開放する開閉器13
と、主回路導線14a、14b、14cにより三相電源
(U、V、W)に接続されている。
【0023】また、主回路導線14a、14b、14c
には、それぞれ、変流器2a、2b、2cが配置され、
変流器2a、2b、2cによって検出された主回路導線
14a(U相)、14b(V相)、14c(W相)の電
流信号が、電流信号調整回路3a、3b、3cおよび電
流信号線4a、4b、4cを介して信号処理回路6に入
力され、信号処理回路6内で三相コンデンサ1に供給さ
れる各相の電流を常時監視することにより三相コンデン
サ1の故障を検出するよう構成されている。なお、上記
において、変流器2a、2b、2cと電流信号調整回路
3a、3b、3cは、それぞれ、電流検出回路5a、5
b、5cを構成している。
【0024】また、信号処理回路6には、信号処理回路
6での演算結果等を記憶する記憶回路7、信号処理回路
6での演算結果等を記憶回路7に保存するよう指示を出
すセットスイッチ8、信号処理回路6での故障判定に用
いられる故障判定条件を設定する設定器9、信号処理回
路6での演算結果等を表示する表示器10および信号処
理回路6での判定結果に基づいて外部に制御信号を出力
する出力回路11が接続されている。
【0025】以下、この実施の形態1の動作について説
明する。図1において、開閉器13が投入されると、三
相コンデンサ1には、直列リアクトル12a、12b、
12cおよび主回路導線14a、14b、14cを経由
して三相電源から電流が流入し、この主回路導線14
a、14b、14cを流れる各相の電流が、各主回路導
線上に配置された変流器2a、2b、2cによって検出
され、電流信号調整回路3a、3b、3cで信号レベル
が調整された後、電流信号線4a、4b、4cを経由し
て信号処理回路6に入力される。
【0026】こうして、信号処理回路6に入力された電
流信号は、信号処理回路6内のA/D変換器によってサ
ンプリングされ、これらのデジタル化された電流データ
から各相の電流値および各相の電流値比率(すなわち、
U相電流/V相電流、V相電流/W相電流、W相電流/
U相電流の3つ)が算出される。一方、記憶回路7内に
は、あらかじめ対応する3つの電流値比率の故障判定条
件が保存されており、信号処理回路6内ではこの故障判
定条件と動作中の電流値比率が比較されて、三相コンデ
ンサ1の異常や故障が判定、検出される。また、表示器
10では、算出された電流値や電流値比率または故障の
判定結果を表示するとともに、出力回路11では、信号
処理回路6での判定結果に基づいて、外部に制御信号を
出力し、開閉器13を遮断して回路を保護したり、故障
検知の警報発生等が行われる。
【0027】次に、記憶回路7とセットスイッチ8およ
び設定器9の動作について説明する。上記したように、
この実施の形態1においては、セットスイッチ8からの
指示によって信号処理回路6での演算結果(電流値や電
流値比率等のデータ)が記憶回路7に保存できるよう構
成されているため、三相コンデンサ1の正常運転時にこ
のセットスイッチ8を押すことにより、記憶回路7内に
は正常運転時の電流値比率が記憶される。一方、設定器
9からは上記の正常運転時の電流値比率に対してどの程
度電流値比率が変化した場合に故障と判断するかの判定
基準が記憶回路7内に入力でき、こうして、この実施の
形態1の信号処理回路6では、動作中に算出した電流値
比率を上記の操作により記憶回路7に保存された正常運
転時の対応する電流値比率と適時比較し、3つの電流値
比率のうちのいずれかの差異(この実施の形態では、動
作中の電流値比率と正常運転時の電流値比率との比)が
設定器9により設定された判定基準(例えば、90%〜
110%)を超えた時に、三相コンデンサ1に故障が発
生したものと判定し、表示器10や出力回路11に必要
なデータおよび信号を送出する。
【0028】なお、上記および下記において、判定値と
は信号処理回路6の演算結果と比較されて、この値を超
える(以上または以下)場合に故障と判断する値を、ま
た、判定基準とはこの判定値と正常運転時の値の比を、
さらに、故障判定条件とは、これらの判定値や判定基準
等を総称した言葉として使用する。
【0029】次に、以下では、上記した図1の回路の故
障時の各相の電流値の挙動について、三相コンデンサ1
の内部コンデンサ1aが故障した場合を想定してより具
体的に説明する。図1において、主回路導線14a、1
4b、14cに流れる各相の電流値は、三相回路間の相
間に接続された内部コンデンサ1a、1b、1cに流れ
る合成電流値となる。例えば、主回路導線14aに流れ
るU相の電流は、内部コンデンサ1aおよび1bに流れ
る電流の合成値であり、以下、V相の電流は内部コンデ
ンサ1bおよび1cの、また、W相の電流は内部コンデ
ンサ1cおよび1aの合成電流値である。従って、内部
コンデンサ1aの静電容量が低下し、内部コンデンサ1
aへの電流が減少すると、内部コンデンサ1aの電流が
流れるU相とW相の電流が減少するとともに、内部コン
デンサ1aの電流に依存しないV相の電流値は変化しな
い。
【0030】こうして、この故障モードにおいては、信
号処理回路6で算出される3つの電流値比率のうち、U
相電流/V相電流とW相電流/U相電流の値は正常運転
時の値よりも小さく、また、V相電流/W相電流の値は
正常運転時の値よりも大きくなり、上記したように、そ
の差異(この実施の形態では、動作中の電流値比率と正
常運転時の電流値比率との比)があらかじめ設定された
判定基準を超えた場合に、三相コンデンサ1に故障が発
生したと判断され、故障検出が行われる。
【0031】なお、上記の説明から明らかなように、三
相コンデンサ1の内部コンデンサ1a、1b、1cの静
電容量に全くばらつきがなく、また、三相電源の各相の
電圧間にもアンバランスがない場合は、各相に流入する
電流はすべて等しくなるため、上記の電流値比率はすべ
て1となるが、実際の三相コンデンサ1においては静電
容量や電源電圧にばらつきがあり、この場合、上記の3
つの電流値比率は、1とは異なった値を持つことにな
る。従って、この実施の形態1で示したように、初期状
態の正常運転時に取得したこの3つの電流値比率を記憶
回路7内に保存し、動作中の電流値比率をこの電流値比
率と比較するよう構成すれば、三相コンデンサ1の静電
容量や三相電源電圧のばらつきに起因する初期電流値の
ばらつきがあっても、故障検出装置の誤動作を防ぐこと
ができ、また、精度よく故障を検出できる。
【0032】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、信号処理回路6において三相コンデンサ1へ流入す
る各相の電流値から電流値比率を算出し、動作中の電流
値比率を記憶回路7内に記憶された正常運転時の電流値
比率と比較して故障を判定するよう構成したため、三相
コンデンサ1の内部コンデンサ1a、1b、1cの静電
容量や各相に印加される電源電圧にばらつきがあって
も、初期のばらつきがある状態での正常運転時の電流値
比率を基準として故障判定するため、これらのばらつき
の影響を補正でき、高精度で誤動作の少ない故障検出装
置が得られる効果がある。また、内部コンデンサ1a、
1b、1cの静電容量のばらつきが少ない高精度の三相
コンデンサ1を使用する必要がないため、コストの低減
が可能となる効果もある。
【0033】また、セットスイッチ8により、信号処理
回路6で算出された正常運転時の電流値比率を記憶回路
7内に自動的に保存できるよう構成したため、上記の作
業を簡単かつ経験を要することなく行える効果がある。
【0034】さらに、故障検出の判定指標として、各相
の電流値比率を用いたため、三相電源全体の電圧変動に
よって生じる各相の電流値の変動が相殺(三相コンデン
サ1の各相に流入する電流は電源電圧に比例するため)
され、電圧変動の影響を抑えることができるため、電圧
変動が大きい厳しい使用条件下でも高精度で誤動作の少
ない故障検出装置が得られる効果がある。
【0035】なお、上記の説明では、3つの電流値比率
のうちのどれか一つでも判定基準の範囲を超えた場合に
は故障と判断するよう構成した例を示したが、3つ全部
が、また、3つのうちの2つが条件範囲を超えた場合に
故障と判断するよう構成しても良く、また、各相毎に、
この判定基準の設定値を変えてもよい。
【0036】さらに、この実施の形態1では、信号処理
回路6に記憶回路7、セットスイッチ8、設定器9、表
示器10および出力回路11を接続した例を示したが、
上記の説明からも明らかなように、上記の効果を奏する
ためには、表示器10および出力回路11は必須ではな
い。また、判定基準をROMのような形態であらかじめ
記憶回路7内に保存しておく場合は、設定器9も不要で
あり、さらに、三相コンデンサ1の起動後の初期段階で
の電流値比率を正常運転時のデータとして記憶回路7内
に自動的に記憶するよう構成しておけば、手動で記憶回
路7にデータの記憶を指示するセットスイッチ8も不要
となる。
【0037】実施の形態2.また、上記の実施の形態1
では、故障を判定する際の故障判定条件を記憶回路7に
記憶する方法として、セットスイッチ8を押すことによ
り、正常運転時の電流値比率を信号処理回路6から記憶
回路7に自動保存するよう構成した例を示したが、正常
運転時に電流値比率を順次表示器10に表示させ、これ
らの値から正常運転時の電流値比率の変動範囲を確認し
ながら設定器9により手動で故障判定条件(判定値)を
記憶回路7に記憶させるよう構成しても良く、この場
合、初期のばらつきだけでなく、通常運転中に発生する
各相の電源電圧のばらつきや電圧変動等による電流値の
変動も考慮して故障判定条件を設定あるいは変更できる
ため、一層、誤動作が少なく、かつ、高精度に故障を検
出できる故障検出装置が得られる効果がある。なお、こ
のような実施の形態2においては、セットスイッチ8お
よび出力回路11は必須ではなく、また、設定器9を可
変抵抗器等で構成し、判定値を保持できるよう構成すれ
ば記憶回路7を省略することも可能である。
【0038】実施の形態3.また、上記の実施の形態1
において、設定器9から記憶回路7内に故障判定の判定
基準を設定する際に、表示器10で正常運転時の電流値
比率の変動範囲を確認しながら判定基準を設定あるいは
変更すれば、この場合も、通常運転中に発生する各相の
電源電圧のばらつきや電圧変動等による電流値の変動を
考慮して判定基準を設定できるため、一層、誤動作が少
なく、かつ、高精度に故障を検出できる故障検出装置が
得られる効果がある。
【0039】実施の形態4.図2には、この発明の実施
の形態4である三相コンデンサの故障検出装置の構成図
を示す。図において、15a、15b、15cは、それ
ぞれ、主回路導線14a、14b、14cと信号処理回
路6を接続する電圧信号線であり、それぞれ、U相、V
相、W相に印加される電源電圧を信号処理回路6に入力
する電圧検出回路を構成している。なお、図中、図1と
同一符号は、同一または相当部分を示し、説明を省略す
る。
【0040】以下、この実施の形態4の動作について、
信号処理回路6での電流データおよび電圧データの利用
方法(電流データの補正方法)を中心に説明する。それ
ぞれ、電流検出回路5a、5b、5cおよび電圧信号線
15a、15b、15cにより、三相コンデンサ1の各
相の電流信号と電圧信号が信号処理回路6に入力される
と、信号処理回路6では、これらの信号がA/D変換器
によってサンプリングされ、デジタル化されたデータか
ら各相の電流値および電圧値が計算される。
【0041】続いて、上記で計算された各相の電流値が
同一相の電圧値によって割り算されて、各相の電圧値の
ばらつきや電圧変動の影響が補正され、補正後の電流値
から電流値比率が計算されて、信号処理回路6や記憶回
路7等において故障判定の指標として利用される。な
お、この電流値比率等の指標を算出した後の動作や故障
判定条件の設定方法等については、上記の実施の形態1
ないし実施の形態3とまったく同様であり、説明を省略
する。
【0042】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、三相コンデンサ1に印加される各相の電源電圧を信
号処理回路6に入力し、各相の電圧値によって電流検出
回路から入力された各相の電流値を補正するよう構成し
たため、上記の実施の形態1ないし実施の形態3で得ら
れた効果に加えて、各相での電圧変動や相間の電圧のア
ンバランスに対して一層影響されにくく、高精度で、し
かも、誤作動の少ない三相コンデンサの故障検出装置が
得られる効果がある。
【0043】また、上記の実施の形態1等で示した電流
値比率以外の判定指標、例えば、電流値そのもの等を故
障判定の指標として使用しても、各相での電圧変動や相
間の電圧のアンバランスに対して補正処理が可能となる
ため、着目する故障モードに適した判定指標を採用する
ことができる効果がある。
【0044】また、上記電流検出回路から出力された信
号に基づいて算出された各相の電流値を、上記電圧検出
回路によって検出された信号に基づいて算出された対応
する各相の電圧で除すことにより、各相の電流値の補正
を行うよう構成したため、電圧変動に対する補正処理が
簡単で、演算処理が速いため、応答性に優れた故障検出
装置が得られる効果がある。
【0045】なお、上記の説明においては、各相の電流
値を同一相の電圧値で除すことによって補正する例を示
したが、主回路導線14a、14b、14cを流れる電
流値から各内部コンデンサ1a、1b、1cを流れる電
流を算出し、これを電流検出回路15a、15b、15
cから得られた相間電圧によって補正するよう構成する
こともできる。
【0046】また、上記の実施の形態1と同様に、セッ
トスイッチ8を押すことによって正常運転時の電流値比
率を信号処理回路6から記憶回路7に自動保存するよう
構成したり、実施の形態2と同様に、正常運転時に電流
値比率を順次表示器10に表示させ、これらの値から正
常運転時の電流値比率の変動範囲を確認しながら設定器
9により手動で記憶回路7に記憶させるよう構成しても
良く、全く同様の効果が得られる。
【0047】実施の形態5.また、上記の実施の形態1
ないし実施の形態4では、故障判定の指標として、各相
の3つの電流値比率を用いる例を示したが、電流検出回
路5a、5b、5cから入力されるU相、V相およびW
相の三相電流から三相電流の電流不平衡率、例えば、三
相電流の逆相成分/正相成分の比率を算出し、これを用
いて故障判定してもよく、この場合、信号処理回路6で
算出および判定すべき指標が1つになるため、演算およ
び判定時間が少なくなり、故障検出装置の応答性が高ま
る効果がある。
【0048】実施の形態6.さらに、上記の実施の形態
1ないし実施の形態4では、各相の電流値や電圧値を検
出するため、各相の主回路導線14a、14b、14c
のそれぞれに電流検出回路5a、5b、5cや電圧信号
線15a、15b、15cを配置し、3つの相の電流値
や電圧値を直接検出するよう構成したが、三相電流およ
び三相電圧のベクトル和が0となる三相交流回路の性質
を用いて、上記3相の内の2相を検出し、残りの1相を
検出された2相のデータから計算によって求めるよう構
成してもよい。
【0049】実施の形態7.図3には、この発明の実施
の形態7である三相コンデンサの故障検出装置の信号処
理回路6での電流値の算出方法を示す。図において、信
号波形は信号処理回路6に入力される通常運転時の電流
の信号波形であり、Tはその周期である。このように、
この実施の形態7による信号処理回路6では、電流検出
回路5aから図のような信号が入力されると、この電流
信号をA/D変換器によってサンプリング(サンプリン
グ周期=Ts)し、デジタル化された電流データを半周
期(T/2)だけ積算し、平均化することによって、電
流値を算出するよう構成している。
【0050】また、工場等において他の電力機器の影響
を受けながら電源電圧に高調波成分が多く含まれる環境
下で使用される場合には、三相コンデンサ1に流入する
電流波形も図4に示すような高調波成分が含まれた歪ん
だ波形を有しており、半周期内に逆極性の電流が流れる
ような電流波形となるが、この場合も、例えば、逆極性
の信号に対しては絶対値を用いたり、あるいは、二乗平
均値(実効値)を用いることにより、電流値の算出精度
を落とすことなく、全く同様に処理できる。
【0051】こうして、この実施の形態7によれば、半
周期分のデータによって電流値を算出するよう構成した
ため、信号処理回路6内での処理が速くなり、応答速度
の速い三相コンデンサの故障検出装置が得られる効果が
ある。また、コンデンサ回路であるため、各相の電流に
は直流分が発生しないので、半周期分の電流値から1周
期分の電流値を算出しても精度が低下せず、また、ソフ
トウェアによって処理するため付加的な回路を設置する
ことなく逆極性のデータにも対応でき、高調波成分が多
く含まれた電流波形であっても、十分な精度で、しか
も、応答速度の速い三相コンデンサの故障検出装置が得
られる効果がある。
【0052】実施の形態8.図5ないし図8には、この
発明の実施の形態8として、別の三相コンデンサの故障
検出装置での電流値の算出方法を示す。図5は、この実
施の形態8の電流検出回路5aの構成図であり、3aは
電流信号調整器で、この実施の形態においては、主回路
導線14aを流れる電流に対応した変流器2aの2次電
流を電圧に変換する変換抵抗16と、変流器2aと変換
抵抗16によって生成された信号を半波整流する整流回
路であるダイオード17と、半波整流された信号を増幅
する増幅器18から構成されている。なお、以下では、
電流検出回路5aについて説明するが、実際の装置にお
いては、他の電流検出回路5bおよび5cも同様の構
成、動作を有している。
【0053】以下、この実施の形態8の電流検出回路5
aの動作について説明する。図5において、主回路導線
14aに配置された変流器2aによって検出された電流
信号は、変換抵抗16によって電圧に変換された後、ダ
イオード17によって信号のマイナス側がバイパスされ
て半波整流され、増幅器18によって信号処理回路6で
検出できるレベルまで増幅され、信号処理回路6に入力
される。
【0054】一例として、図6には、通常運転時の変流
器2aに発生する電流信号の波形、すなわち、電流信号
調整回路3aに入力される電流波形を上段に、また、電
流信号調整回路3aから出力される電圧信号、すなわ
ち、信号処理回路6に入力される電圧信号の波形を下段
に示す。なお、図中、Tは三相コンデンサ1に流入する
交流電流の周期である。このように、高調波成分の少な
い場合においては、実施の形態7と同様に、信号処理回
路6内で、図6の下段に示された半波整流された電流信
号をA/D変換器によってサンプリング(サンプリング
周期=Ts)し、この電流データを半周期(T/2)に
わたって積算し、平均化することによって、電流値が算
出される。
【0055】一方、三相コンデンサ1に流入する電流波
形に高調波成分が多く含まれる場合には、例えば、図7
に示したように、半周期(T/2)内に逆極性の電流が
流れる期間(図中 Tc1)が発生し、半波整流の結
果、この期間の電流信号調整回路3aからの出力が0と
なるため、上記で説明したような方法では、電流値を正
確に算出することができない。
【0056】そこで、上記図7に示した電流波形を例
に、図8に示したフローチャートを用いて、この実施の
形態8で実施した電流値の算出方法について説明する。
図8において、まず、ステップS1では、電流値の算出
に必要な各種の変数が初期化される。なお、図中、Tr
mは電流信号が正であるm番目(m=1、2、・・)の
期間の継続時間(例として図7のTr1、Tr2を参
照)、Irmは電流信号が正であるm番目の期間の積算
電流値(図7のIr1、Ir2に示された部分の面積に
相当)、Tcnは電流信号が0であるn番目(n=1、
2、・・)の期間の継続時間(例として図7のTc1を
参照)、Teは周期の始まりからの経過時間、mおよび
nは上記の各期間を指定するパラメータ、iはサンプリ
ング周期Tsでサンプリングされた電流データを順番に
指定するパラメータである。
【0057】続いてステップS2では、電流値の計算の
開始点を検出するため、ステップS3の待機ループを繰
り返しながらA/D変換された電流データが監視され、
例えば、一定期間の0信号の後に電流データが正となっ
た点を周期の立ち上がりと判断することにより、計算の
開始点が検出される。
【0058】こうして、ステップS2で周期の開始点が
検出されると、以下、電流値の算出手順に移行する。ま
ず、ステップS4によりi番目(最初は、i=1)の電
流データ(Ii)が取得され、ステップS5で、電流デ
ータ(Ii)が0であるか否かが判定される。ここで、
電流データ(Ii)が0でない場合は、ステップS6を
経てステップS7で電流データが0でない期間の積算電
流値(Irm)と継続時間(Trm)および計算開始点
からの経過時間(Te)が積算され、パラメータ(i)
が次の電流データを指定するため1つ増加、更新され
る。また、電流データ(Ii)が0の場合は、ステップ
S8を経てステップS9で電流データが0である期間の
継続時間(Tcn)および計算開始点からの経過時間
(Te)が積算され、パラメータ(i)が更新される。
【0059】なお、上記の手順において、ステップS6
およびステップS8は、現在取得されている電流データ
(Ii)が、それぞれ、電流信号が正または0である何
番目の期間に属するものかを判定するものであり、ひと
つ前のデータ(Iiー1)と比較して正→0、または、
0→正へと電流データが変化した場合に、期間を指定す
るパラメータmまたはnを1つ更新するよう構成してい
る。
【0060】ステップS7またはステップS9で電流値
や継続時間の積算が行われると、次に、ステップS10
では経過時間(Te)と半周期の時間(T/2)が比較
され、経過時間が半周期以下の場合はステップS4に戻
って電流データの取得から電流値の積算までが繰り返し
行われ、経過時間が半周期を超えた時点で積算を停止
し、ステップS11の電流値の算出に移行する。
【0061】こうして、ステップS11では、上記のス
テップで算出された積算電流値Irm、継続時間Trm
およびサンプリング周期Tsから、信号処理回路6内
で、式 Iam=Irm*Ts/Trm により、電流データが0でないm番目の期間の平均電流
値が算出され、この平均電流値を基に、電流データが0
であるn番目の期間の積算電流値Icnが、当該期間の
継続時間Tcnを用いて、 Icn=Iam*Tcn/Ts で算定され、1/2周期内の全期間(パラメータmおよ
びn)に対してこれらの積算電流値を合計することによ
り、当該1/2周期内の積算電流値(It)が、 It=Σ(Irm)+Σ(Icn) ただし、 Σ(Irm):1/2周期内のIrm(m=1、・・)
の総和 Σ(Icn):1/2周期内のIcn(n=1、・・)
の総和 によって計算され、最後に、この積算電流値を平均化
(1/2周期内のサンプリング個数で割り算)して当該
周期での電流値が算出される。
【0062】なお、図7のように、半周期内に電流デー
タが正となる期間が複数存在する場合、この実施の形態
8では、継続時間の比(Tcn/Trm)(図7におい
ては、Tc1/Tr1またはTc1/Tr2)が最も1
に近い値を有する期間の平均電流値Iam(図7では、
Ir1に相当)を用いてIcn(図7では、Ic1)を
推定することにより、Icnの算定精度を向上するよう
構成している。
【0063】以上、ステップS11を最後に、この周期
での電流値の算出処理が完了するが、信号処理回路6内
では、引き続きこの電流値から電流値比率等が計算さ
れ、記憶回路7内に保存された判定値と比較されて、故
障検出が行われるとともに、この処理が次の周期に対し
ても繰り返される。
【0064】以上のように、この実施の形態8によれ
ば、変流器2aで検出された電流信号をダイオード17
によって半波整流し、単一極性の半周期分の信号から各
相の電流値を算出するよう構成したため、同一のA/D
変換器を用いても両極性の信号を処理する場合に比べ約
2倍(1ビット)の精度でサンプリングできるため、電
流値を高精度に算出できる効果があるとともに、逆極性
の信号によってマイコン等の信号処理回路6が悪影響を
受けることを防止できる効果もある。また、半周期分の
電流データから電流値を算出するため、信号処理回路6
での処理時間が短くなり、応答速度が速い三相コンデン
サの故障検出装置を得ることができるとともに、全波整
流する場合に比べて電流信号調整回路3aの構成が簡単
になって、コスト的に安価な電流検出回路5aが得られ
る効果がある。
【0065】また、半波整流された電流信号に対して、
電流値が0である期間の電流データを同一の半周期内に
観測された電流値が0でない期間の電流データで補完し
て、電流値を算出するよう構成したため、高調波成分が
多い使用環境下にあっても、十分な精度で故障を検出可
能な三相コンデンサの故障検出装置を得ることができる
効果がある。
【0066】さらに、半周期内に電流信号が0でない期
間が複数存在する場合、電流信号が0である期間の電流
データの補正を、当該期間の継続時間に最も近い(継続
時間の比が最も1に近い)継続時間を有する電流信号が
0でない期間の電流データを用いて算定するよう構成し
たため、電流波形の歪みが大きく、逆極性の電流が多く
流れるような場合にも精度よく補正を行うことができる
効果がある。
【0067】なお、上記の図5ないし図8では、電流信
号調整回路3a内のダイオード17が正方向に半波整流
するよう構成した例を示したが、半波整流の方向は正方
向、負方向どちらでも良く、全く同様の効果を奏する。
また、上記の説明では、各電流データの単純和を平均し
て電流値を算出する例を示したが、二乗平均によって実
効値を算出してもよいことは言うまでもない。
【0068】また、上記の実施の形態8では、電流信号
を半波整流して電流値を算出する例を示したが、上記の
実施の形態4において、電圧信号線15a上に半波整流
回路を設置し、上記と同様の方法を用いて各相の電圧値
を算出しても良い。
【0069】さらに、上記実施の形態1ないし実施の形
態8では、三相コンデンサ1として内部コンデンサ1
a、1b、1cがデルタ接続された例を示したが、いわ
ゆるスター接続されたものでもよく、全く同様の効果が
得られる。
【0070】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に示すような効果を奏する。
【0071】電流検出回路から出力された信号に基づい
て、信号処理回路が三相中の各2相の電流値比率を算出
し、記憶回路に保存された正常運転時の電流値比率と、
動作中の対応する電流値比率とを比較することにより、
三相コンデンサの故障を判定、検出するよう構成したた
め、上記三相コンデンサの静電容量や各相に印加される
電源電圧にばらつきがあっても、これらの初期のばらつ
きの影響を補正でき、高精度で誤動作の少ない故障検出
装置が得られる効果があるとともに、三相電源全体の電
圧変動によって生じる各相の電流値の変動が相殺され、
電圧変動が大きい厳しい使用条件下でも高精度で誤動作
の少ない故障検出装置が得られる効果がある。
【0072】また、電流検出回路から出力された信号に
基づいて、信号処理回路が三相電流の電流不平衡率を算
出し、記憶回路に保存された正常運転時の電流不平衡率
と、動作中の電流不平衡率とを比較することにより、三
相コンデンサの故障を判定、検出するよう構成したた
め、上記三相コンデンサの静電容量や各相に印加される
電源電圧にばらつきがあっても、これらの初期のばらつ
きの影響を補正でき、高精度で誤動作の少ない故障検出
装置が得られる効果があるとともに、三相電源全体の電
圧変動によって生じる各相の電流値の変動が相殺され、
電圧変動が大きい厳しい使用条件下でも高精度で誤動作
の少ない故障検出装置が得られる効果がある。
【0073】また、電流検出回路から出力された信号に
基づいて、信号処理回路が三相中の各2相の電流値比率
を算出し、設定器によって設定された電流値比率と、動
作中の対応する電流値比率とを比較することにより、上
記三相コンデンサの故障を判定、検出するよう構成した
ため、上記三相コンデンサの静電容量や各相に印加され
る電源電圧にばらつきがあっても、これらの初期のばら
つきの影響や運転中の電圧変動等を考慮して故障判定条
件を設定でき、高精度で誤動作の少ない故障検出装置が
得られる効果があるとともに、三相電源全体の電圧変動
によって生じる各相の電流値の変動が相殺され、電圧変
動が大きい厳しい使用条件下でも高精度で誤動作の少な
い故障検出装置が得られる効果がある。
【0074】さらに、電流検出回路から出力された信号
に基づいて、信号処理回路が三相電流の電流不平衡率を
算出し、設定器によって設定された電流不平衡率と、動
作中の電流不平衡率とを比較することにより、三相コン
デンサの故障を判定、検出するよう構成したため、上記
三相コンデンサの静電容量や各相に印加される電源電圧
にばらつきがあっても、これらの初期のばらつきの影響
や運転中の電圧変動等を考慮して故障判定条件を設定で
き、高精度で誤動作の少ない故障検出装置が得られる効
果があるとともに、三相電源全体の電圧変動によって生
じる各相の電流値の変動が相殺され、電圧変動が大きい
厳しい使用条件下でも高精度で誤動作の少ない故障検出
装置が得られる効果がある。
【0075】また、三相コンデンサに印加される電圧を
検出する電圧検出回路を設け、上記電圧検出回路によっ
て検出された電圧を用いて電流検出回路によって検出さ
れた電流の補正を行うよう構成したため、三相電源の電
源電圧全体の変動のみならず、各相の電圧変動や相間の
電圧のアンバランスに対しても一層影響されにくく、高
精度で、しかも、誤作動の少ない三相コンデンサの故障
検出装置が得られる効果がある。また、種々の判定指標
に対して、各相の電圧変動や相間の電圧のアンバランス
に対する補正処理が可能となるため、着目する故障モー
ドに適した判定指標を採用できる効果がある。
【0076】また、上記電流検出回路から出力された信
号に基づいて算出された各相の電流値を、上記電圧検出
回路によって検出された信号に基づいて算出された対応
する各相の電圧で除すことにより、各相の電流値の補正
を行うよう構成したため、電圧変動に対する補正処理が
簡単で、演算処理が速いため、応答性に優れた故障検出
装置が得られる効果がある。
【0077】また、上記信号処理回路にA/D変換器を
備えるとともに、上記電流検出回路から入力された信号
の1/2周期分のデータから電流値を算出するよう構成
したため、上記信号処理回路内での処理が速くなり、応
答速度の速い三相コンデンサの故障検出装置が得られる
効果がある。また、コンデンサ回路であるため、各相の
電流には直流分が発生しないので、半周期分の電流値か
ら1周期分の電流値を算出しても精度が低下せず、ま
た、ソフトウェアによって処理するため付加的な回路を
設置することなく逆極性のデータにも対応でき、高調波
成分が多く含まれた電流波形であっても、十分な精度
で、しかも、応答速度の速い三相コンデンサの故障検出
装置が得られる効果がある。
【0078】さらに、上記電流検出回路に交流の電流信
号を半波整流する整流回路を備えるとともに、上記信号
処理回路において、上記電流検出回路から出力された半
波整流された信号を信号の立ち上がりから1/2周期に
わたってサンプリングし、上記1/2周期内に電流デー
タが0となる期間が存在する場合に、当該期間について
は、上記1/2周期内の電流データが0でない期間の平
均電流値のいずれかに等しい平均電流が流れているもの
として、当該周期の電流値の算出を行うよう構成したた
め、同一のA/D変換器を用いても両極性の信号を処理
する場合に比べ約2倍(1ビット)の精度でサンプリン
グでき、電流値を高精度に算出できる効果があるととも
に、逆極性の信号によってマイコン等の上記信号処理回
路が悪影響を受けることを防止できる効果もある。ま
た、半波整流された電流信号に対して、電流値が0であ
る期間の電流データを同一の半周期内に観測された電流
値が0でない期間の電流データで補完して、半周期分の
電流データから電流値を算出するよう構成したため、高
調波成分が多い使用環境下にあっても、十分な精度で、
しかも、応答速度が速い三相コンデンサの故障検出装置
を得ることができる効果がある。
【0079】また、上記1/2周期内に電流データが0
でない期間が複数存在する場合、各々の、電流データが
0である期間の電流値として、当該期間の継続時間との
比が最も1に近い値となる継続時間を有する上記1/2
周期内の電流データが0でない期間の平均電流値を用い
て、電流値の算定を行うよう構成したため、電流波形の
歪みが大きく、逆極性の電流が多く流れるような場合に
も精度よく補正を行うことが可能な三相コンデンサの故
障検出装置を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の構成を示す構成
図。
【図2】 この発明の実施の形態4の構成を示す構成
図。
【図3】この発明の実施の形態7の電流検出回路の信号
波形と電流値の算出方法を示す説明図。
【図4】 この発明の実施の形態7の電流検出回路の別
の信号波形と電流値の算出方法を示す説明図。
【図5】 この発明の実施の形態8の電流検出回路の構
成を示す構成図。
【図6】 この発明の実施の形態8の電流検出回路の信
号波形と電流値の算出方法を示す説明図。
【図7】 この発明の実施の形態8の電流検出回路の別
の信号波形と電流値の算出方法を示す説明図。
【図8】 この発明の実施の形態8の電流値の算出方法
を示すフローチャート。
【図9】 従来の三相コンデンサの故障検出装置の構成
を示す構成図。
【符号の説明】
1 三相コンデンサ 2a、2b、2c 変流器 5a、5b、5c 電流検出回路 6 信号処理回路 7 記憶回路 9 設定器 10 表示器 15a、15b、15c 電圧検出回路(電圧信号線) 17 整流回路(ダイオード)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−23658(JP,A) 特開 平9−327122(JP,A) 特開 昭57−20672(JP,A) 実開 昭57−138069(JP,U) 実開 昭57−108634(JP,U) 実開 昭56−19766(JP,U) 実開 昭53−128847(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/00 G01R 29/16 H02H 7/16

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三相コンデンサに入力される少なくとも
    2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
    路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
    故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
    路での演算結果を保存する記憶回路とを備えた三相コン
    デンサの故障検出装置において、上記信号処理回路は上
    記電流検出回路から出力された信号に基づいて三相中の
    各2相の電流値比率を算出するものであり、上記記憶回
    路に保存された正常運転時の電流値比率と、動作中の対
    応する電流値比率とを上記信号処理回路において比較す
    ることにより、上記三相コンデンサの故障を判定、検出
    するよう構成したことを特徴とする三相コンデンサの故
    障検出装置。
  2. 【請求項2】 三相コンデンサに入力される少なくとも
    2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
    路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
    故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
    路での演算結果を保存する記憶回路とを備えた三相コン
    デンサの故障検出装置において、上記信号処理回路は上
    記電流検出回路から出力された信号に基づいて三相電流
    の電流不平衡率を算出するものであり、上記記憶回路に
    保存された正常運転時の電流不平衡率と、動作中の電流
    不平衡率とを上記信号処理回路において比較することに
    より、上記三相コンデンサの故障を判定、検出するよう
    構成したことを特徴とする三相コンデンサの故障検出装
    置。
  3. 【請求項3】 三相コンデンサに入力される少なくとも
    2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
    路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
    故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
    路での演算結果を表示する表示器と、故障判定条件を設
    定する設定器とを備えた三相コンデンサの故障検出装置
    において、上記信号処理回路は上記電流検出回路から出
    力された信号に基づいて三相中の各2相の電流値比率を
    算出するものであり、上記設定器によって設定された電
    流値比率と、動作中の対応する電流値比率とを上記信号
    処理回路において比較することにより、上記三相コンデ
    ンサの故障を判定、検出するよう構成したことを特徴と
    する三相コンデンサの故障検出装置。
  4. 【請求項4】 三相コンデンサに入力される少なくとも
    2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
    路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
    故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
    路での演算結果を表示する表示器と、故障判定条件を設
    定する設定器とを備えた三相コンデンサの故障検出装置
    において、上記信号処理回路は上記電流検出回路から出
    力された信号に基づいて三相電流の電流不平衡率を算出
    するものであり、上記設定器によって設定された電流不
    平衡率と、動作中の電流不平衡率とを上記信号処理回路
    において比較することにより、上記三相コンデンサの故
    障を判定、検出するよう構成したことを特徴とする三相
    コンデンサの故障検出装置。
  5. 【請求項5】 三相コンデンサに入力される少なくとも
    2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
    路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
    故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
    路での演算結果を保存する記憶回路とを備え、上記記憶
    回路に保存された正常運転時の電流データと、動作中の
    対応する電流データとを上記信号処理回路において比較
    することにより、上記三相コンデンサの故障を判定、検
    出するよう構成した三相コンデンサの故障検出装置にお
    いて、上記三相コンデンサに印加される少なくとも2相
    の電圧を検出する電圧検出回路を設け、上記電圧検出回
    路によって検出された電圧を用いて上記電流検出回路に
    よって検出された電流の補正を行うよう構成したことを
    特徴とする三相コンデンサの故障検出装置。
  6. 【請求項6】 三相コンデンサに入力される少なくとも
    2相の電流を検出する電流検出回路と、上記電流検出回
    路から出力される信号を演算し、上記三相コンデンサの
    故障を判定、検出する信号処理回路と、上記信号処理回
    路での演算結果を表示する表示器と、故障判定条件を設
    定する設定器とを備え、上記設定器によって設定された
    電流データと、動作中の対応する電流データとを上記信
    号処理回路において比較することにより、上記三相コン
    デンサの故障を判定、検出するよう構成した三相コンデ
    ンサの故障検出装置において、上記三相コンデンサに印
    加される少なくとも2相の電圧を検出する電圧検出回路
    を設け、上記電圧検出回路によって検出された電圧を用
    いて上記電流検出回路によって検出された電流の補正を
    行うよう構成したことを特徴とする三相コンデンサの故
    障検出装置。
  7. 【請求項7】 上記三相コンデンサに印加される少なく
    とも2相の電圧を検出する電圧検出回路を設け、上記電
    圧検出回路によって検出された電圧を用いて上記電流検
    出回路によって検出された電流の補正を行うことを特徴
    とする請求項1ないし4記載の三相コンデンサの故障検
    出装置。
  8. 【請求項8】 上記電流検出回路から出力された信号に
    基づいて算出された各相の電流値を、上記電圧検出回路
    によって検出された信号に基づいて算出された対応する
    各相の電圧で除すことにより、各相の電流値の補正を行
    うよう構成したことを特徴とする請求項5ないし7記載
    の三相コンデンサの故障検出装置。
  9. 【請求項9】 上記信号処理回路は、上記電流検出回路
    から入力された信号をデジタル変換するA/D変換器を
    備え、上記A/D変換器によって信号の立ち上がりから
    1/2周期にわたってサンプリングされた電流データか
    ら、当該周期の電流値を算出するよう構成したことを特
    徴とする請求項1ないし8記載の三相コンデンサの故障
    検出装置。
  10. 【請求項10】 上記電流検出回路は、交流の電流信号
    を半波整流する整流回路を備えたものであり、上記信号
    処理回路において、上記電流検出回路から出力された半
    波整流された信号を信号の立ち上がりから1/2周期に
    わたってサンプリングすることにより、当該周期の電流
    値を算出するよう構成された三相コンデンサの故障検出
    装置において、上記1/2周期内に電流データが0とな
    る期間が存在する場合、当該期間については、上記1/
    2周期内の電流データが0でない期間の平均電流値のい
    ずれかに等しい平均電流が流れているものとして、当該
    周期の電流値の算出を行うよう構成したことを特徴とす
    る請求項9記載の三相コンデンサの故障検出装置。
  11. 【請求項11】 上記1/2周期内に電流データが0で
    ない期間が複数存在する場合、各々の、電流データが0
    である期間の電流値として、当該期間の継続時間との比
    が最も1に近い値となる継続時間を有する上記1/2周
    期内の電流データが0でない期間の平均電流値を用い
    て、電流値の算定を行うよう構成したことを特徴とする
    請求項10記載の三相コンデンサの故障検出装置。
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