JP3341520B2 - 光学レンズの製造方法 - Google Patents

光学レンズの製造方法

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JP3341520B2
JP3341520B2 JP04736095A JP4736095A JP3341520B2 JP 3341520 B2 JP3341520 B2 JP 3341520B2 JP 04736095 A JP04736095 A JP 04736095A JP 4736095 A JP4736095 A JP 4736095A JP 3341520 B2 JP3341520 B2 JP 3341520B2
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智子 宮浦
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学レンズの製造方法に
関する。さらに詳しくは加圧成形後に精密研磨加工を要
しない光学レンズの製造方法に関する。この光学レンズ
は、精密加工された型の表面がそのまま転写されること
から、球面レンズはもとより、非球面レンズが製造可能
であり、広範囲のレンズに利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来の光学レンズの製造方法としては各
種提案されているが、いずれの製造方法においても型の
表面の酸化を防止するために、非酸化性ガス雰囲気中で
おこなわれている。
【0003】さらに融着を防止するために特公平2−3
1012号公報のようにガラスプリフォーム表面に真空
蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法によって
炭素膜を形成して離型性を向上させる技術が提案されて
いる。該技術においては軟化状態になるまでガラスと型
を共に加熱して、軟化状態のガラスを該型で成形(加圧
成形)し、次いでガラス表面の炭素膜を酸化処理して除
去することによりレンズを得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特公平2−31012
号公報に記載されているようにガラスに炭素膜を形成す
る場合、一般的な真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレ
ーティング法で得られる膜は硬く伸びにくく、ひび割れ
が生じるため、レンズに傷が付易い。このため加圧成形
によるガラスの変化量に制限が加わるため、得ようとす
るレンズによく似た形状のガラスをあらかじめ準備する
必要があった。
【0005】さらに、炭素膜は常温では化学的に安定で
密着力が強いため、除去するには、例えば高温で酸化処
理をする必要があり、仕上がり形状に損傷を与える危険
性がある。
【0006】また、たとえばチタンを含むガラスなどで
は、炭素膜を形成する過程でガラス成分中のチタンと炭
素が反応し、ガラスが黒く着色してしまう問題がある。
【0007】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、加圧成形時のガラスと型との融着、レンズの変形、
変色あるいは割れ等が問題とならず、型表面形状が忠実
にレンズ表面に転写される光学レンズを製造する方法を
提供すること、およびこの光学レンズの製造に使用され
るガラスプリフォームを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明はまずガ
ラスプリフォーム表面上にガラス材料と反応を生じない
材料で薄層を形成し、次に該薄層を介して前記ガラスを
軟化状態で加圧成形することを特徴とする光学レンズの
製造方法に関する。
【0009】ここで「ガラスプリフォーム」とは、加圧成
形前の予備成形されたガラスをいう。この予備成形物の
形状が基礎的な形状となり、その後の加圧成形によって
レンズを所望の仕上がり形状にする。例えば、仕上がり
形状が凸または凹のレンズである場合、ガラスプリフォ
ームは容積がレンズとほぼ等しい円盤状、円柱状、球面
状または球形状の形状を有する。仕上がり形状とほぼ近
似した形状が好ましい。
【0010】ガラスプリフォームとして使用できるガラ
ス材料は特に限定されないが、例えばSiO2−PbO−
2O系、P25−TiO2−Nb25系、SiO2−B23
−La23系、SiO2−B23−R2O系、SiO2−B2
3−BaO系、P23−Al23−R2O−F系、SiO
2−R2O−PbO系等を挙げることができる。
【0011】上記ガラス材料と反応を生じない材料とし
ては窒化ホウ素、硫化モリブデン等の化合物、または
金、プラチナ、ロジウム、ニッケル、パラジウム等金属
を挙げることができる。特にガラス材料がP25−Ti
2−Nb25系のとき、窒化ホウ素を、SiO2−B23
−La23系やSiO2−B23−R2O系のとき、金を組
み合わせることが好ましい。
【0012】本発明においては、まずガラスプリフォー
ム上にガラス材料を用いて薄層を形成する。薄層は、得
ようとするレンズの面粗度よりも小さい面粗度を有すれ
ば、小さな粒子の堆積した粒子径よりなる層であって
も、金属薄膜であってもよい。
【0013】レンズの面粗度よりも小さな粒子径よりな
る微粉末層は、たとえば窒化ホウ素、硫化モリブデン等
の化合物や、金、プラチナ等の金属などを減圧CVD、
0.01〜10Torrの不活性ガスまたは窒素雰囲気で一
瞬に蒸発させて蒸着することにより得られる。その粒子
の大きさはだいたい0.5μm以下であり、真空度と蒸発
または化学分解の速度を変えることによって容易に実用
範囲(平均粒径)の0.1μm以下、好ましくは0.05
μm以下の微粉末層が得られる。その粒径が0.1μmよ
り大きいと光学レンズの面粗度である0.05μm以下
を達成できなくなる。
【0014】微粉末層の厚みの実用範囲は、100〜5
000Å、好ましくは300〜2000Åである。その
厚みが100Å未満であると、均一に微粉末層を形成す
るのが困難になり、また効果も減少する。5000Åを
越えると、加圧成形による面精度が低下する。
【0015】レンズの面粗度よりも小さな面粗度を有す
る金属薄膜は、たとえば金、プラチナ、ロジウム、ニッ
ケル、パラジウム等の高温時にも比較的伸び性があり、
ガラスと反応しないIb族およびVIII族の遷移金属
であり、真空蒸着やスパッタ、イオンプレーティングに
よって得られる。この金属薄膜は、上述の微粉末層のよ
うに粒子が堆積した層とは異なり、非晶質または、多結
晶質またはそれらの混ざりあった状態のなめらかな薄膜
として形成されている。
【0016】金属薄膜の厚みの実用範囲は、10〜50
0Å、好ましくは10〜200Åである。その膜厚が1
0Å未満であると、均一な薄膜を形成するのが困難にな
り、また効果も減少する。500Åを越えると、加圧成
形により製造されるレンズの面精度が低下する。
【0017】薄層形成後、上記薄層を介してガラスプリ
フォームを軟化状態で加圧成形する。ガラスと型表面と
の間に薄層を介在させて、ガラスが軟化した状態で加圧
成形していることから、加圧成形時の型との融着を防止
することができる。金型により加圧成形する際に、ガラ
スプリフォームは金型表面の形状に応じて変形するが、
特にガラスプリフォーム表面に形成された薄層が金属薄
膜の場合、その伸び性により、ガラスの変形量に応じて
伸長、変形する。従って、ガラスの型への融着やガラス
の割れが生じることなく、金型の形状がガラス表面に正
確に転写される。
【0018】加圧成形する際の型についてはガラスプリ
フォームと対向する表面層が重要である。気孔等の欠陥
がなく、ち密で鏡面状に精密加工することができ、加熱
に対して十分な硬度および強度を有する等、型としての
一般的条件を備えているものであれば、本発明では型の
母材とその表面層の材料において特に限定する必要はな
い。従って、型材料として高価な材料の使用を必要とせ
ず、広範囲な型材料から適宜選定することができる。
【0019】「軟化状態で加圧成形する」とは、加圧成形
時における要件であり、加圧成形前にガラスプリフォー
ムと型とをそれぞれ独立して、または同時に加熱する。
また、被成形物と型の両方の温度は、同一でもよいし、
異なってもよい。
【0020】加圧成形の圧力は、型の表面形状がガラス
プリフォームに転写するのに十分な圧力であればよい。
【0021】加圧成形後、ガラス上の薄層を除去する。
薄層が微粉末層で形成されている場合、不活性ガスイオ
ンの照射、超音波洗浄、拭き取りによって除去すること
ができる。具体的には不活性ガスイオンの照射による除
去は、不活性ガスの存在する0.001〜0.1Torr、
好ましく0.005〜0.05Torrの真空度で高周波ま
たは直流の印加放電によって電離した不活性ガスイオン
を加圧成形後のレンズに照射し、物理的に微粉末をたた
きだし除去するものである。また超音波洗浄は界面活性
剤などを含む洗浄液による超音波洗浄であり、拭き取り
は柔らかい布等で微粉末をぬぐい去ることである。
【0022】薄層が上記Ib族あるいはVIII族金属
で形成されている場合、上記方法に加えて化学的エッチ
ングも利用できる。化学的エッチングは金属を溶かしか
つガラスにダメージを与えない化合物薬液にレンズをひ
たし金属膜を除去することであり、たとえば塩化ニトロ
シルや強アルカリ性溶液が好ましい。また一般に市販さ
れている蒸着膜剥離液を使用することもできる。
【0023】上記した方法を使用すると、レンズの成形
曲面を損なわずに薄層を除去することができる。
【0024】実施例1 ガラスの素材としてSiO2−B23−La23系ガラス
(転移点:623℃)を図1に示すように円板状のガラス
(11)(直径:18mm、厚さ:3mm)に予備成形した。こ
の円板状のガラス(11)の上下面に1Torrの窒素雰
囲気下、250Å/秒の蒸着レートで真空蒸着により粒
子径約0.01μmの金黒の微粉末層(12)(厚さ:50
0Å)を形成した。得られた成形物を加圧成形の対象の
ガラスプリフォーム(13)とする。なお、金黒とは、
金の低真空での蒸着により粒状になったもののことであ
る。
【0025】本実施例で使用する加圧成形機を図2に示
す。該成形機は凸球面状に精密鏡面加工された型表面を
有する上型(14)(材料:炭化ケイ素)およびそれを保
持する保持型(16A)(材料:炭化ケイ素)と下型(1
5)(材料:炭化ケイ素)およびそれを保持する保持型
(16B)(材料:炭化ケイ素)とを具備する。押し棒
(17)(材料:ステンレス)によって保持型(16A)
は上型(14)と一体になって下移動して、下型(1
5)と一体となった保持型(16B)と嵌合する。透明
石英管(18)の外周に集光ミラーを伴った加熱用光源
(19)を配設している。保持型(16B)内に埋設し
た熱電対(110)により保持型(16B)の温度を測
定することにより、集光ミラーを伴った加熱用光源(1
9)の温度制御をおこなう。
【0026】次に前述したガラスプリフォーム(13)
を窒素雰囲気中の上型(14)・下型(15)内に置
く。集光ミラーを伴った加熱用光源(19)により(1
4)、(15)、(16A)、(16B)と共にガラス
プリフォーム(13)を670℃に加熱した。その状態
下に、押し棒(17)を降下して上型(14)およびそ
れを保持する保持型(16A)に荷重を加えて加圧成形
する(圧力:50kg/cm2、加圧時間:30秒)。その際、
ガラスプリフォーム(13)は、型との間で金黒の微粉
末層が介在していることから、型との融着が防止されて
いる。
【0027】次に、押し棒(17)の圧力を除去して型
(14)、(15)、(16A)、(16B)内に加圧
成形物を残したまま内部ガラス(11)を冷却する。そ
の後加圧成形物を取り出す。この加圧成形物の表面には
前述した金黒の微粉末層が付着している。そこで0.0
2Torrのアルゴン雰囲気で200WのRF電力を印加
することによって得るアルゴンイオンを加圧成形物に1
0分間照射処理することによって金黒の微粉末層を物理
的に除去する。こうして仕上がり形状に成形されたレン
ズを得る。
【0028】得られるレンズは直径18mmの両凹球面レ
ンズである。該レンズは上型(14)・下型(15)の
表面の凸球面形状と対応した凹球面形状がそのまま転写
されて、高面精度を有している。また、透過率や屈折率
などの光学的品質も良好である。
【0029】実施例2 ガラスの素材としてP25−TiO2−Nb25系ガラス
(転移点:598℃)を図3に示すように球状のガラス
(21)(直径:10mm)に予備成形する。この球状ガラ
ス(21)の表面に1Torrの窒素雰囲気でホウ素を真
空蒸着することにより粒子径約0.08μmの窒化ホウ素
の微粉末層(厚さ:1500Å)を形成する。この成形物
を加圧成形の対象のガラスプリフォーム(23)とす
る。
【0030】本実施例で使用する加圧成形機を図4に示
す。該成形機は凹球面状に精密鏡面加工された型表面を
有する上型(24)(材料:超硬)およびそれを保持する
保持型(26A)(材料:高密度炭素)と下型(25)(材
料:超硬)およびそれを保持する保持型(26B)(材料:
高密度炭素)とを具備している。押し棒(27)(材料:
ステンレス)によって保持型(26A)は上型(24)
と一体になって下移動して、下型(25)と一体となっ
た保持型(26B)と嵌合する。
【0031】さらにセラミック管(28)の外周に高周
波コイルを伴った誘導加熱源(29)が配設されてい
る。保持型(26B内)に埋設した熱電対(210)に
より型温度を測定して、高周波コイルを伴った誘導加熱
源(29)の温度制御をおこなう。
【0032】次に前述したガラスプリフォーム(23)
を上型(24)・下型(25)内に置き、アルゴン雰囲
気にして、高周波コイルを伴った誘導加熱源(29)に
より(24)、(25)、(26A)、(26B)と共
にガラスプリフォーム(23)を650℃に加熱する。
この状態下で、押し棒(27)を降下して上型(24)
および保持型(26A)に荷重を加えて加圧成形する
(圧力:50kg/cm2, 加圧時間60秒)。
【0033】その際、ガラスプリフォームは、型との間
で窒化ホウ素の微粉末層が介在していることから、型と
の融着が防止されている。
【0034】次に、押し棒(27)の圧力を除去して型
(24)、(25)、(26A)、(26B)内に加圧
成形物を残したまま内部ガラスを冷却し、加圧成形物を
取り出す。この加圧成形物の表面に付着している窒化ホ
ウ素の微粉末層を、界面活性剤を含んだ洗浄液に成形物
を浸して15分間超音波洗浄することによって除去し、
すすぎ洗いをする。このようにして、仕上がり形状に成
形されたレンズを得る。
【0035】得られるレンズは直径15mmの両凸球面レ
ンズである。このレンズは上型(24)・下型(25)
の表面の凹球面形状と対応した凸球面形状がそのまま転
写されて、高面精度を有している。また、得られるレン
ズは透過率や屈折率などの光学的品質を良好に維持して
いる。
【0036】比較例1 特公平2−31012号公報に示す方法で実施例1と同
様の素材、形状のガラスプリフォームの表面に真空蒸着
法で炭素膜を500Å形成した。その後、比較のため実
施例1と同一の条件で加圧形成を行ない、酸素雰囲気中
で400℃で10分間処理することにより、炭素膜を除
去し、両凹球面レンズを得、実施例1および2と比較し
た。
【0037】以上の実施例1、実施例2および比較例1
の結果を下記表1にまとめた。
【表1】
【0038】実施例3 ガラスの素材としてSiO2−B23−La23系ガラ
ス(転移点:623℃)を図1に示すように円板状のガラ
ス(11)(直径:20mm、厚さ:3mm)に予備成形する。
この円板状のガラス(11)の上下面に2×10-5Tor
rの真空度でスパッタ法により金の薄膜(12)(厚さ:
500Å)を形成する。得られる成形物を加圧成形の対
象のガラスプリフォーム(13)とする。
【0039】本実施例で使用する加圧成形機は、実施例
1で使用し、図2に示すものと同一のものを使用し、実
施例1と同一の条件で加圧成形を行う。その際、加圧成
形物は、型との間で金の薄膜が介在していることから、
型との融着が防止される。
【0040】加圧後、押し棒(17)の圧力を除去して
型(14)、(15)、(16A)、(16B)内に加
圧成形物を残したまま内部ガラス(11)を冷却する。
冷却後加圧成形物を取り出す。
【0041】加圧成形物表面上に付着している金の薄膜
に対して、0.02Torrのアルゴン雰囲気下で200
WのRF電力を印加することによって得るアルゴンイオ
ンを10分間照射処理にすることによって薄膜を物理的
に除去し、仕上がり形状に成形されたレンズを得る。
【0042】得られるレンズは直径20mmの両凹球面レ
ンズである。上型(14)・下型(15)の表面の凸球
面形状と対応した凹球面形状がそのまま転写されて、高
面精度を有している。また得られるレンズは透過率や屈
折率などの光学的品質を良好に維持している。
【0043】実施例4 ガラスの素材としてSiO2−B23−BaO系ガラス
(転移点:658℃)、薄膜材料としてプラチナを用い
たこと以外、実施例3と同様にしてガラス(11)にプ
ラチナの薄膜(厚さ:約15Å)を形成したガラスプリ
フォーム(13)を得た。
【0044】本実施例で使用する加圧成形機は、実施例
1で使用し、図2に示すものと同一のものを使用し、実
施例1と同一の条件(但し、成形温度は690℃とす
る)で加圧成形を行う。その際、ガラスプリフォーム
は、型との間でプラチナの薄膜が介在していることか
ら、型との融着が防止される。
【0045】加圧後、押し棒(17)の圧力を除去して
型(14)、(15)、(16A)、(16B)内に加
圧成形物を残したまま内部ガラス(11)を冷却する。
冷却後加圧成形物を取り出す。
【0046】加圧成形物表面上に付着しているプラチナ
の薄膜を、王水(塩化ニトロシルが主成分)を5倍に希
釈した溶液でエッチングすることによって化学的に除去
し、仕上がり形状に成形されたレンズを得る。
【0047】得られるレンズは直径20mmの両凹球面レ
ンズである。上型(14)・下型(15)の表面の凸球
面形状と対応した凹球面形状がそのまま転写されて、高
面精度を有している。また得られるレンズは透過率や屈
折率などの光学的品質を良好に維持している。
【0048】実施例5 ガラスの素材としてP25−TiO2−Nb25系ガラ
ス(転移点:598℃)を図3に示すように球状のガラス
(21)(直径:10mm)に予備成形する。この球状のガ
ラス(21)の表面に2×10-5Torrの真空度で真空
蒸着によりパラジウムの薄膜(22)(厚さ:200Å)
を形成する。得られた成形物を加圧成形の対象のガラス
プリフォーム(23)とする。
【0049】本実施例で使用する加圧成形機は実施例2
で使用した図4に示したものと同一のものを使用し、実
施例2と同一の条件(但し、成形温度は610℃とする)
で加圧成形を行う。その際、加圧成形物は、型との間で
パラジウムの薄膜が介在していることから、型との融着
が防止される。
【0050】加圧後、押し棒(27)の圧力を除去して
型(24)、(25)、(26A)、(26B)内に加
圧成形物を残したまま内部ガラスを冷却する。冷却後、
加圧成形物を取り出す。
【0051】この加圧成形物の表面に付着しているパラ
ジウムの薄膜を、蒸着膜剥離液(市販の強アルカリ性溶
液)によって除去し、仕上がり形状に成形されたレンズ
を得る。
【0052】得られるレンズは直径15mmの両凸球面レ
ンズである。このレンズは上型(24)・下型(25)
の表面の凹球面形状と対応した凸球面形状がそのまま転
写されて、高面精度を有している。また、このレンズは
透過率や屈折率などの光学的品質を良好に維持してい
る。
【0053】実施例6 ガラスの素材としてSiO2−B23−R2O系ガラス
(転移点:557℃)、薄膜材料としてニッケルを用い
たこと以外、実施例5と同様にして、ガラス(21)に
ニッケルの薄膜(厚さ:50Å)を形成したガラスプリ
フォーム(23)を得た。
【0054】本実施例で使用する加圧成形機は実施例2
で使用した図4に示したものと同一のものを使用し、実
施例2と同一の条件(但し、成形温度は620℃とする)
で加圧成形を行う。その際、ガラスプリフォームは、型
との間でニッケルの薄膜が介在していることから、型と
の融着が防止される。
【0055】加圧後、押し棒(27)の圧力を除去して
型(24)、(25)、(26A)、(26B)内に加
圧成形物を包囲したまま内部ガラスを冷却する。冷却
後、加圧成形物を取り出す。
【0056】この加圧成形物の表面に付着しているニッ
ケルの薄膜を、硝酸を5倍に希釈した溶液でエッチング
することによって化学的に除去し、仕上がり形状に成形
されたレンズを得る。
【0057】得られるレンズは直径15mmの両凸球面レ
ンズである。このレンズは上型(24)・下型(25)
の表面の凹球面形状と対応した凸球面形状がそのまま転
写されて、高面精度を有している。また、このレンズは
透過率や屈折率などの光学的品質を良好に維持してい
る。
【0058】実施例7 ガラスの素材としてSiO2−R2O−PbO系ガラス
(転移点:443℃)、薄膜材料としてロジウムを用い
たこと以外、実施例5と同様にして、ガラス(21)に
ロジウムの薄膜(厚さ:150Å)を形成したガラスプ
リフォーム(23)を得た。
【0059】本実施例で使用する加圧成形機は実施例2
で使用した図4に示したものと同一のものを使用し、実
施例2と同一の条件(但し、成形温度は500℃とする)
で加圧成形を行う。その際、加圧成形物は、型との間で
ロジウムの薄膜が介在していることから、型との融着が
防止される。
【0060】加圧後、押し棒(27)の圧力を除去して
型(24)、(25)、(26A)、(26B)内に加
圧成形物を残したまま内部ガラスを冷却する。冷却後、
加圧成形物を取り出す。
【0061】この加圧成形物の表面に付着しているロジ
ウムの薄膜を、0.02Torrのアルゴン雰囲気下で2
00WのRF電力を印加することによって得るアルゴン
イオンを10分間照射処理にすることによって物理的に
除去し、仕上がり形状に成形されたレンズを得る。
【0062】得られるレンズは直径15mmの両凸球面レ
ンズである。このレンズは上型(24)・下型(25)
の表面の凹球面形状と対応した凸球面形状がそのまま転
写されて、高面精度を有している。また、このレンズは
透過率や屈折率などの光学的品質を良好に維持してい
る。
【0063】比較例2 特公平2−31012号公報に示す方法で、実施例3と
同様の素材形状のガラスプリフォームの表面にスパッタ
法で炭素膜を200Åに形成した。その後、比較のため
実施例3と同一の条件で加圧成形を行ない、酸素雰囲気
中で400℃で10分間処理することにより、炭素膜を
除去し、レンズを得、実施例3および4と比較した。
【0064】以上の実施例3〜7の結果を比較例2の結
果と共に下記表2にまとめた。
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明の光学レンズの製造方法によれば
加圧成形時のガラスの型への融着、レンズの変形、変色
あるいは割れ等が問題とならず、型表面形状が忠実にレ
ンズ表面に転写された光学レンズを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1、3および4による被成形
物を示す断面図。
【図2】 本発明の実施例1、3および4による加圧成
形機を示す断面図。
【図3】 本発明の実施例2および5〜7による被成形
物を示す断面図。
【図4】 本発明の実施例2および5〜7による加圧成
形機を示す断面図。
【符号の説明】
11,21 ガラス 17, 27
押し棒 12,22 薄層 18
石英管 13,23 ガラスプリフォーム 28
セラミック管 14,24 上型 19
加熱用光源 15,25 下型 29
誘導加熱源 16A,26A 保持型 110,210
熱電対 16B,26B 保持型

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスプリフォームの表面に金属薄膜を
    形成し、次に、前記金属薄膜を介してガラスプリフォー
    ムをガラスの軟化状態で加圧成形することを特徴とする
    光学レンズの製造方法。
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