JP3340319B2 - 繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物及び繊維状ピロホウ酸マグネシウムの製造方法 - Google Patents

繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物及び繊維状ピロホウ酸マグネシウムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、触媒、抗菌剤の
担体、合成樹脂のフィラー、吸着剤などとして用いられ
る繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物及び繊維状ピロホ
ウ酸マグネシウムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維状のピロホウ酸マグネシウム
を製造するには、まず酸化マグネシウム(MgO)、ホ
ウ酸(H3 BO3 )及び融点よりも低い温度で融解させ
るフラックスとしての塩化カリウム(KCl)を混合す
る。そして、その混合物を水の不存在下に850℃で5
〜6時間反応させた後、冷却する。その後、反応物を水
中へ投入してフラックスとしての塩化カリウムを溶解除
去することにより、繊維状のピロホウ酸マグネシウムが
製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この従来方
法においては、反応原料を融点よりも低い温度で融解さ
せるためのフラックスが必要であり、しかも反応後には
そのフラックスを除去する操作が必要であるという問題
があった。また、水の不存在下に850℃という高温で
長時間反応させるため、ホウ酸や塩化カリウムがガス化
してアルミナ製の反応容器を損傷するという問題があっ
た。さらに、従来方法では、得られる繊維状ピロホウ酸
マグネシウムの収率が低く、製造コストが高くなるとい
う問題があった。
【0004】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、フラックスを用いる必要がなく、反応後
にそのフラックスを除去する工程を必要としない繊維状
ホウ酸マグネシウム水酸化物及び繊維状ピロホウ酸マグ
ネシウムの製造方法を提供することにある。その他の目
的とするところは、反応容器を損傷するおそれがなく、
生成物の収率が良く、しかも製造コストの低減を図るこ
とができる繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物及び繊維
状ピロホウ酸マグネシウムの製造方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の繊維状ホウ酸マグネシウ
ム水酸化物の製造方法では、ホウ酸又はホウ砂と、水酸
化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び酸化マグネシウ
ムからなる群より選ばれる少なくとも1種とを、反応原
料に対して重量で1〜20倍量の水の存在下にオートク
レーブ中で100〜400℃の温度で反応させるもので
ある。
【0006】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記反応を攪拌下に行うものであ
る。請求項3に記載の発明の繊維状ピロホウ酸マグネシ
ウムの製造方法では、請求項1に記載の繊維状ホウ酸マ
グネシウム水酸化物を660〜1100℃で加熱して脱
水反応を行い、繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物を転
位させるものである。
【0007】従って、請求項1に記載の発明において
は、ホウ酸(H3 BO3 )又はホウ砂(Na2 4 7
・10H2 O)に、水酸化マグネシウム〔Mg(OH)
2 〕、炭酸マグネシウム(MgCO3 )及び酸化マグネ
シウム(MgO)からなる群より選ばれる少なくとも1
種と水が加えられる。次いで、これが100〜400℃
の高い温度に加熱される。このとき、ホウ酸又はホウ砂
と水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム又は酸化マグ
ネシウムが反応し、繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化
物〔MgBO2 (OH)〕が得られる。
【0008】請求項2に記載の発明においては、上記1
00〜400℃の温度における反応が攪拌下に行われ
る。このため、ホウ酸マグネシウム水酸化物としてアス
ペクト比、すなわち結晶の縦横比の大きい繊維状のもの
が効率良く合成される。
【0009】請求項3に記載の発明においては、上記の
ようにして得られた繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化
物が660〜1100℃の温度に加熱される。このと
き、ホウ酸マグネシウム水酸化物は脱水反応により転位
され、繊維状のピロホウ酸マグネシウム(Mg2 2
5 )が合成される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。繊維状のピロホウ酸マグネシウム
〔スワナイト(Suanite)、Mg2 2 5 〕を製造する
ためには、その中間体としての繊維状のホウ酸マグネシ
ウム水酸化物〔チチャバライト(Szajbelyite)、MgB
2 (OH)〕を予め製造する。そこで、まず繊維状ホ
ウ酸マグネシウム水酸化物の製造について説明する。
【0011】繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物を合成
するための1つの原料は、ホウ酸(H3 BO3 )又はホ
ウ砂(Na2 4 7 ・10H2 O)である。これらホ
ウ酸又はホウ砂と反応させるための他の原料は、水酸化
マグネシウム〔Mg(OH)2 〕、炭酸マグネシウム
(MgCO3 )及び酸化マグネシウム(MgO)の少な
くとも1種である。
【0012】ホウ酸又はホウ砂に対する水酸化マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム又は酸化マグネシウムのモル比
は、0.5〜2.0の範囲が好ましく、0.7〜1.2
の範囲がさらに好ましい。このモル比が0.5未満の場
合未反応のホウ酸又はホウ砂が多量に残って無駄にな
り、2.0を越える場合反応を効率良く進めることがで
きない。
【0013】さらに、このモル比は、0.7以上1.0
未満であることが特に望ましい。水酸化マグネシウム、
炭酸マグネシウム又は酸化マグネシウムは水に溶けにく
いことから、ホウ酸又はホウ砂に対して過剰に使用する
と過剰分だけ、未反応物として繊維状ホウ酸マグネシウ
ム水酸化物中に残って製品の純度を低下させるからであ
る。なお、ホウ酸又はホウ砂は水に溶けやすいので、過
剰であっても、反応後に濾過により容易に除去すること
ができる。
【0014】両原料の反応に際しては、水が加えられ
る。そして、その反応は水の存在下で加熱することによ
り行われる(いわゆる水熱合成)。用いる水の量は、前
記反応原料に対して重量で1〜20倍量が好ましく、8
〜12倍量がさらに好ましい。この水の量が1倍量未満
では反応に時間を要し、20倍量を越えると水量が多す
ぎて多大な加熱エネルギーや反応後の乾燥エネルギーを
要し、好ましくない。
【0015】また、反応は攪拌下に行うことが望まし
い。攪拌下で反応を行うことにより、結晶成長の異方性
を示し、繊維状結晶のいくつも絡み合った繭状集合体と
なる。すなわち、アスペクト比の大きい繊維状のホウ酸
マグネシウム水酸化物が得られる。攪拌速度は攪拌羽根
の枚数や形状にもよるが、100〜400rpm の範囲が
好ましい。その場合、得られるホウ酸マグネシウム水酸
化物のアスペクト比は30〜100程度となる。攪拌を
しないで反応を行うと、得られるホウ酸マグネシウムの
アスペクト比は3〜5程度の小さいものとなる。
【0016】反応温度は100〜400℃の高い温度で
あることが必要であり、200〜300℃の範囲が好ま
しい。100℃未満では繊維状のホウ酸マグネシウム水
酸化物を得ることはできず、400℃を越えると余分な
加熱エネルギーを要するだけで、反応効率は変わらな
い。
【0017】反応時のpHは、中性領域又は酸性領域と
なるように設定するのが望ましい。pHの高いアルカリ
性領域では反応が進みにくい。反応時間は5〜6時間程
度である。
【0018】前記両原料の反応は、例えば次のような反
応式(1)に基づいて進行する。 H3 BO3 +Mg(OH)2 →MgBO2 (OH)+2H2 O ・・・(1) 次に、繊維状ピロホウ酸マグネシウムは、上記のように
して得られた繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化物から
得られる。
【0019】すなわち、繊維状ホウ酸マグネシウム水酸
化物が660〜1100℃の温度に加熱される。加熱温
度が660℃未満ではホウ酸マグネシウム水酸化物の結
晶水の脱水反応は起こらず、ホウ酸マグネシウム水酸化
物はピロホウ酸マグネシウム(Mg2 2 5 )へ転位
しない。一方、1100℃を越えるとピロホウ酸マグネ
シウムの粒子が異常成長して繊維状とならず不適当であ
る。なお、加熱温度が1100℃を越えると、得られる
BR>ピロホウ酸マグネシウムは粒子状となるが、そのよ
うな粒子状のピロホウ酸マグネシウムはファインセラミ
ックの原料として有用である。
【0020】そして、ホウ酸マグネシウム水酸化物は脱
水反応により脱水されるとともに、ピロホウ酸マグネシ
ウム(Mg2 2 5 )に転位される。反応時間は通常
30分程度である。
【0021】この反応は、例えば次の(2)式に基づい
て進行する。 2MgBO2 (OH) → Mg2 2 5 +H2 O ・・・(2) 得られるピロホウ酸マグネシウムは、所定のアスペクト
比を有する繊維状をなしている。
【0022】前記の実施形態によって発揮される効果に
ついて、以下に記載する。 (1) 上記のような実施形態においては、水の存在下
に所定の加熱温度で反応させることから、従来法の塩化
カリウムのようなフラックスを用いる必要がなく、反応
後にそのフラックスを溶解除去する工程も必要としな
い。 (2) 実施形態においては、従来のように水の不存在
下に850℃という高温で長時間反応させることがない
ため、ホウ酸や塩化カリウムがガス化することがなく、
アルミナ製の反応容器を損傷するおそれがない。 (3) フラックスを用いることなく、水の存在下に1
00〜400℃という高温で効率良く反応させるため、
繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化物を収率良く得るこ
とができる。 (4) 繊維状ホウ酸マグネシウムは水酸化物であるた
め、誘電率が高く、誘電材料等として好適に利用するこ
とができる。 (5) 繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物の生成反応
を攪拌下に行うことにより、得られる繊維状ホウ酸マグ
ネシウム水酸化物の結晶のアスペクト比を大きくするこ
とができる。 (6) 繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化物を660
〜1100℃という所定温度で加熱して脱水反応を行
い、繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物を転位させるこ
とにより、繊維状のピロホウ酸マグネシウムを容易かつ
収率良く製造することができる。 (7) 繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物、さらには
繊維状ピロホウ酸マグネシウムを収率良く得ることがで
きるとともに、水の存在下に反応を容易に行うことがで
きるため、製造コストの低減を図ることができる。 (8) ピロホウ酸マグネシウムは繊維状をなすととも
に、無水物であり、合成樹脂やゴムのフィラーとして好
適に利用される。
【0023】
【実施例】次に、実施例を挙げ、この発明をさらに具体
的に説明する。 (実施例1)500mlのオートクレーブに、水酸化マグ
ネシウム12.14g、ホウ酸13.5g及び水250
gを秤りとった。そして、混合液を150rpm の攪拌速
度で攪拌しつつ、2.1℃/分の昇温速度で200℃ま
で加熱し、その温度を6時間保持して反応を行った。そ
の後、自然放冷により冷却した後、内容物を濾過、水洗
し、105℃にて乾燥した。得られた乾燥物は、繊維状
のホウ酸マグネシウム水酸化物〔MgBO2 (OH)〕
であった。このホウ酸マグネシウム水酸化物の生成量は
17.3gで、ほぼ理論量であった。
【0024】なお、反応温度が100℃ではホウ酸マグ
ネシウム水酸化物の生成は認められず、ホウ酸と水酸化
マグネシウムのままであったが、反応温度が125℃以
上ではホウ酸マグネシウム水酸化物の単一相でほぼ完全
に反応していた。
【0025】次に、ホウ酸マグネシウム水酸化物の乾燥
物を昇温速度100℃/時間で800℃まで加熱し、そ
の温度に30分保持した。その結果、繊維状のホウ酸マ
グネシウム水酸化物が相転移して繊維状ピロホウ酸マグ
ネシウム(Mg2 2 5 )が得られた。この繊維状ピ
ロホウ酸マグネシウムの生成量は、15.4gでほぼ理
論量の収率であった。加熱による相転移は565℃で結
晶水の脱水が生じ、662℃で繊維状ピロホウ酸マグネ
シウムに相転移した。すなわち、565℃以下ではホウ
酸マグネシウム水酸化物、565℃〜662℃までは無
定形、662℃〜1000℃付近までは繊維状のピロホ
ウ酸マグネシウム、1100℃以上では明らかに燐片状
又は粒状となる。 (実施例2、天然原料のほう砂を原料とする場合)ほう
砂(Na2 4 7 ・10H2 O)20.83gを秤り
とり、温水200gを加え、塩酸(1+2)にてpH
1.77或いは6.41に調節した。その溶液に水酸化
マグネシウム12.14gを加え、合計液量を250ml
として500mlのオートクレーブに投入した。そして、
回転数150rpmの攪拌速度で攪拌し、昇温速度2.
1℃/分で200℃まで加熱し、その温度を6時間保持
して反応を行った。
【0026】その後、冷水により強制冷却し、内容物を
濾過、水洗し、105℃にて乾燥した。この乾燥物は、
繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化物〔MgBO2 (O
H)〕であった。このときのホウ酸マグネシウム水酸化
物の生成量はpH1.77のとき17.1g(収率98
%)、pH6.41のとき17.0g(収率97%)で
ほぼ理論量に近い値であった。
【0027】次に、ホウ酸マグネシウム水酸化物の乾燥
物を昇温速度100℃/時間で800℃まで加熱し、そ
の温度に30分保持した。その結果、繊維状のホウ酸マ
グネシウム水酸化物が相転移して繊維状ピロホウ酸マグ
ネシウム(スワナイト、Mg 2 2 5 )が得られた。
この繊維状ピロホウ酸マグネシウムの生成量は、pH
1.77のとき15.3g、pH6.41のとき15.
2gでほぼ理論量に近い収率であった。
【0028】合成温度、加熱による相転移の状況は実施
例と同じであった。しかし、pHを酸性側にして合成を
行わないと未反応の水酸化マグネシウムが残り、繊維状
のホウ酸マグネシウム水酸化物の単一相とはならない。 (実施例3、天然の微粉炭酸マグネシウムを使用した場
合)500mlのオートクレーブに、炭酸マグネシウム1
7.55g、ホウ酸13.50g及び水250gを秤り
とった。そして、これを150rpm の攪拌速度で攪拌
し、2.1℃/分の昇温速度で200℃まで加熱し、そ
の温度を6時間保持して反応を行った。その後、自然放
冷により冷却した後、内容物を濾過、水洗し、105℃
にて乾燥した。得られた乾燥物は、繊維状のホウ酸マグ
ネシウム水酸化物〔MgBO2 (OH)〕であった。こ
のホウ酸マグネシウム水酸化物の生成量は17.3g
で、ほぼ理論量であった。
【0029】なお、反応温度が100℃ではホウ酸マグ
ネシウム水酸化物の生成は認められず、ホウ酸と炭酸マ
グネシウムのままであったが、反応温度が125℃以上
ではホウ酸マグネシウム水酸化物の単一相でほぼ完全に
反応していた。
【0030】次に、ホウ酸マグネシウム水酸化物の乾燥
物を昇温速度100℃/時間で800℃まで加熱し、そ
の温度に30分保持した。その結果、繊維状のホウ酸マ
グネシウム水酸化物が相転移して繊維状ピロホウ酸マグ
ネシウム(Mg2 2 5 )が得られた。この繊維状ピ
ロホウ酸マグネシウムの生成量は、15.4gでほぼ理
論量の収率であった。加熱による相転移は565℃で結
晶水の脱水が生じ、662℃で繊維状ピロホウ酸マグネ
シウムに相転移した。すなわち、565℃以下ではホウ
酸マグネシウム水酸化物、565℃〜662℃までは無
定形、662℃〜1000℃付近までは繊維状のピロホ
ウ酸マグネシウム、1100℃以上では明らかに燐片状
又は粒状となる。 (実施例4、天然原料のほう砂、微粉炭酸マグネシウム
を使用した場合)ほう砂(Na2 4 7 ・10H
2 O)20.83gを秤りとり、温水200gを加え、
塩酸(1+2)にてpH2.00又は5.00に調節し
た。その溶液に炭酸マグネシウム17.55gを加え、
合計液量を250mlとして500mlのオートクレーブに
投入した。そして、回転数150rpmの攪拌速度で攪
拌し、昇温速度2.1℃/分で200℃まで加熱し、そ
の温度を6時間保持して反応を行った。
【0031】その後、冷水により強制冷却し、内容物を
濾過、水洗し、105℃にて乾燥した。この乾燥物は、
繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化物〔MgBO2 (O
H)〕であった。このときのホウ酸マグネシウム水酸化
物の生成量はpH2.00のとき17.0g(収率97
%)、pH5.00のとき16.9g(収率97%)で
ほぼ理論量に近い値であった。
【0032】次に、ホウ酸マグネシウム水酸化物の乾燥
物を昇温速度100℃/時間で800℃まで加熱し、そ
の温度に30分保持した。その結果、繊維状のホウ酸マ
グネシウム水酸化物が相転移して繊維状ピロホウ酸マグ
ネシウム(Mg2 2 5 )が得られた。この繊維状ピ
ロホウ酸マグネシウムの生成量は、pH2.00のとき
15.2g、pH5.00のとき15.1gでほぼ理論
量に近い収率であった。
【0033】合成温度、加熱による相転移の状況は実施
例1と同じであった。しかし、pHを酸性側にして合成
を行わないと未反応の水酸化マグネシウムが残り、繊維
状のホウ酸マグネシウム水酸化物の単一相とはならな
い。 (実施例5、天然原料のほう砂と酸化マグネシウム)ほ
う砂(Na2 4 7 ・10H2 O)20.83gを秤
りとり、温水200gを加え、塩酸(1+2)にてpH
2.00又は5.00に調節した。その溶液に微粉酸化
マグネシウム8.40gを加え、合計液量を250mlと
して500mlのオートクレーブに投入した。そして、回
転数150rpmの攪拌速度で攪拌し、昇温速度2.1
℃/分で200℃まで加熱し、その温度を6時間保持し
て反応を行った。
【0034】その後、自然放冷により冷却し、内容物を
濾過、水洗し、105℃にて乾燥した。この乾燥物は、
繊維状のホウ酸マグネシウム水酸化物〔MgBO2 (O
H)〕であった。このときのホウ酸マグネシウム水酸化
物の生成量はpH2.00のとき17.1g(収率98
%)、pH5.00のとき17.0g(収率97%)で
ほぼ理論量に近い値であった。
【0035】次に、ホウ酸マグネシウム水酸化物の乾燥
物を昇温速度100℃/時間で800℃まで加熱し、そ
の温度に30分保持した。その結果、繊維状のホウ酸マ
グネシウム水酸化物が相転移して繊維状ピロホウ酸マグ
ネシウム(Mg2 2 5 )が得られた。この繊維状ピ
ロホウ酸マグネシウムの生成量は、pH2.00のとき
15.3g、pH5.00のとき15.2gでほぼ理論
量に近い収率であった。
【0036】合成温度、加熱による相転移の状況は実施
例1と同じであった。しかし、pHを酸性側にして合成
を行わないと未反応の炭酸マグネシウムが残り、繊維状
のホウ酸マグネシウム水酸化物の単一相とはならない。
【0037】さらに、前記実施形態より把握される技術
的思想について以下に記載する。 (1) 前記ホウ酸又はホウ砂に対する水酸化マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム及び酸化マグネシウムからなる
群より選ばれる少なくとも1種のモル比は、0.7以上
1.0未満である請求項1又は2に記載の繊維状ホウ酸
マグネシウム水酸化物の製造方法。
【0038】このように構成した場合、マグネシウム化
合物が残存して繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物の品
質を低下させるおそれを防止できる。 (2) 反応時におけるpHを中性領域又は酸性領域に
なるように設定した請求項1又は2に記載の繊維状ホウ
酸マグネシウム水酸化物の製造方法。
【0039】このように構成すれば、繊維状のホウ酸マ
グネシウム水酸化物を容易に製造することができる。 (3) 反応時における攪拌を100〜400rpm で行
う請求項2に記載の繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物
の製造方法。
【0040】このように構成した場合、ホウ酸マグネシ
ウム水酸化物の結晶のアスペクト比を大きくすることが
できる。
【0041】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発
明の繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物の製造方法によ
れば、反応容器を損傷するおそれがなく、繊維状ホウ酸
マグネシウム水酸化物の収率が良く、しかも製造コスト
の低減を図ることができる。
【0042】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加え、得られる繊維状ホウ酸マグ
ネシウム水酸化物の結晶のアスペクト比を大きくするこ
とができる。
【0043】請求項3に記載の発明によれば、繊維状ピ
ロホウ酸マグネシウムを収率良く得ることができるとと
もに、製造コストの低減を図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤吉 加一 岐阜県美濃加茂市加茂野町加茂野27番地 の2 (72)発明者 後藤 義己 岐阜県大垣市赤坂町188の1 矢橋工業 株式会社 内 (72)発明者 加藤 育男 岐阜県大垣市赤坂町2093番地 河合石灰 工業 株式会社 内 (72)発明者 中川 裕之 岐阜県大垣市赤坂東町2番地の1 清水 工業 株式会社 内 (72)発明者 林 弘一郎 岐阜県羽島郡笠松町北及47番地 岐阜県 工業技術センター 内 (72)発明者 林 好夫 岐阜県羽島郡笠松町北及47番地 岐阜県 工業技術センター 内 (56)参考文献 特開 昭64−45714(JP,A) 特開 昭60−204697(JP,A) 特開 平4−285009(JP,A) 特開 平2−75351(JP,A) 特開 平1−215709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/00 - 39/54 CA(STN) JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ酸又はホウ砂と、水酸化マグネシウ
    ム、炭酸マグネシウム及び酸化マグネシウムからなる群
    より選ばれる少なくとも1種とを、反応原料に対して重
    量で1〜20倍量の水の存在下にオートクレーブ中で
    00〜400℃の温度で反応させる繊維状ホウ酸マグネ
    シウム水酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記反応を攪拌下に行う請求項1に記載
    の繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の繊維状ホウ酸マグネシ
    ウム水酸化物を660〜1100℃で加熱して脱水反応
    を行い、繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物を転位させ
    る繊維状ピロホウ酸マグネシウムの製造方法。
JP17126896A 1996-07-01 1996-07-01 繊維状ホウ酸マグネシウム水酸化物及び繊維状ピロホウ酸マグネシウムの製造方法 Expired - Fee Related JP3340319B2 (ja)

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