JP3340306B2 - ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法

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JP3340306B2
JP3340306B2 JP07254896A JP7254896A JP3340306B2 JP 3340306 B2 JP3340306 B2 JP 3340306B2 JP 07254896 A JP07254896 A JP 07254896A JP 7254896 A JP7254896 A JP 7254896A JP 3340306 B2 JP3340306 B2 JP 3340306B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアセタ
ール樹脂溶液の製造方法に関し、より詳細には、沈殿法
を利用したポリビニルアセタール樹脂の製造方法を利用
したものであり、例えば薄膜をひいた場合に透明性に優
れた塗膜を得ることを可能とするポリビニルアセタール
樹脂溶液を効率よく製造し得る方法を提供し得ることに
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアセタール樹脂の製造
方法としては、沈殿法及び溶解法が広く知られている。
【0003】沈殿法では、ポリビニルアルコール水溶液
に酸触媒を添加し、さらにアルデヒド化合物を加えて反
応させ、ポリビニルアセタール樹脂を生成し、該ポリビ
ニルアセタール樹脂を析出させた後、水洗・乾燥などの
工程を経てポリビニルアセタール樹脂を得ている。
【0004】また、溶解法では、ポリビニルアルコール
を有機溶媒に分散させ、酸触媒を添加し、さらにアルデ
ヒド化合物を加えて反応させた後、ポリビニルアセター
ル樹脂を析出させ、さらに水洗・乾燥などの工程を経て
ポリビニルアセタール樹脂を得ている。
【0005】特に、アルデヒド化合物として芳香族アル
デヒドを用いる場合には、上記二種の方法の中でも沈殿
法を用いることが好ましいとされている(特開昭62−
221077号公報等)。これは、溶解法を用いた場合
には、アルデヒド化合物である芳香族アルデヒドが有機
溶媒に非常に溶解し易く、ポリビニルアルコールへの反
応に関与し難いので、アセタール化反応が進行しにくい
ためと考えられている。
【0006】ところで、従来、溶解法や沈殿法によりポ
リビニルアセタール樹脂を製造するに際し、上記酸触媒
は0.5〜4重量%の濃度となるように反応系に加えら
れている。従って、反応終了時に中和剤を添加し反応を
停止した際に、中和により過剰の塩が生成することにな
る。そこで、上記乾燥ポリビニルアセタール樹脂を得る
にあたっては、生成した過剰の塩を水洗により十分に除
去することが必要であった。
【0007】他方、ポリビニルアセタール樹脂溶液の製
造に際しては、上述した沈殿法や溶解法で得られた乾燥
ポリビニルアセタール樹脂を、目的の溶媒に溶解するこ
とにより行われている。
【0008】しかしながら、アセタール化度が10モル
%以下のポリビニルアセタール樹脂の場合には、親水性
が強すぎるため、実際の工業的な製造においては、乾
燥ポリビニルアセタール樹脂を得るにあたっての水洗に
際してポリビニルアセタール樹脂が水とともに流出した
り、あるいは、水洗・乾燥した後ポリビニルアセター
ル樹脂を溶媒に溶解する間に、反応槽や水洗槽にポリビ
ニルアセタール樹脂がかなりの量付着し、収率が低下す
るという問題があった。
【0009】そこで、水洗・乾燥工程を実施せず、ポリ
ビニルアセタール樹脂が析出しているポリビニルアセタ
ール樹脂溶液を、例えば、塗膜を形成するための溶液と
してそのまま用いればよいとも考えられる。この場合に
は、水洗によりポリビニルアセタール樹脂が水とともに
流出したりすることがなく、かつ反応槽や水洗槽へのポ
リビニルアセタール樹脂の付着量を低減することができ
る。しかしながら、得られたポリビニルアセタール樹脂
溶液では、上記酸触媒の中和により生成した過剰の塩が
含まれているため、該溶液で塗膜をひいた場合には、上
記塩の影響により塗膜が白く濁るという問題があった。
【0010】本発明の目的は、沈殿法を利用して効率よ
く生産することができ、しかも塗膜をひいた場合などに
おいて透明性に優れた塗膜を形成し得るポリビニルアセ
タール樹脂溶液の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためになされたものであり、ポリビニルアルコー
ルと芳香族アルデヒドとのアセタール化反応により得ら
れるポリビニルアセタール樹脂が水及びアルコールの混
合溶媒に溶解されているポリビニルアセタール樹脂溶液
の製造方法であって、ポリビニルアルコール水溶液中に
て酸触媒濃度が0.005〜0.03重量%となるよう
に酸触媒を添加してポリビニルアルコールと芳香族アル
デヒドとを反応させてアセタール化度が10モル%以下
ポリビニルアセタール樹脂を生成し、溶液中の水:ア
ルコールの割合が重量比で80:20〜20:80とな
るようにアルコールを加えてポリビニルアセタール樹脂
を溶解することを特徴とするポリビニルアセタール樹脂
溶液の製造方法である。
【0012】本発明のポリビニルアセタール樹脂溶液の
製造方法では、上記のように酸触媒が全系の0.005
〜0.03重量%の濃度となるように加えられており、
従来法に比べて非常に少なくされているため、アセター
ル化反応を停止するための中和により生成する塩の量が
ごく微量となる。よって、水洗工程を行わずとも、過剰
の塩による問題点、すなわち塗膜をひいた場合などの塗
膜の濁りなどを防止することができる。また、水洗工程
を実施しないため、水とともにポリビニルアセタール樹
脂が流出することがなく、従って、アセタール化度が1
0モル%以下の親水性に優れたポリビニルアセタール樹
脂の溶液を効率良く製造することができる。
【0013】以下、本発明の詳細を説明する。本発明に
おいては、まず、ポリビニルアルコール水溶液に、全系
に対して0.005〜0.03重量%濃度となるように
酸触媒を添加する。
【0014】上記ポリビニルアルコールとしては、特に
限定されるものではないが、重合度が200〜350
0、ケン化度が75〜99.8モル%のものを用いるこ
とが好ましい。重合度が200未満の場合にはポリビニ
ルアルコールの合成が難しくなりがちとなり、逆に、重
合度が3500を超えると水溶液としたときに粘度が高
くなりすぎることがある。また、ケン化度が75モル%
未満の場合には、ポリビニルアセタール樹脂の水に対す
る溶解性が十分でないことがあり、逆にケン化度が9
9.8モル%を超えると、ポリビニルアルコールの合成
が難しくなることがある。
【0015】また、本発明においてポリビニルアルコー
ルとしては、2種以上の重合度の異なるポリビニルアル
コールを混合して用いてもよく、その場合、見かけ上の
重合度が上記範囲に含まれる2種以上の重合度の異なる
ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
【0016】上記酸触媒として用い得る酸としては、塩
酸、硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、安息香酸、パラト
ルエンスルホン酸、尿酸、バルビツール酸などの有機酸
などを挙げることができ、これらの酸は単独で用いられ
てもよく、2種以上併用されてもよい。
【0017】酸触媒は、反応の際の全系に対して0.0
05〜0.03重量%となるように加えられる。酸触媒
の量が0.005重量%未満の場合には、ほとんどアセ
タール化反応が進まず、0.03重量%を超えると、後
工程において酸触媒の中和により生成する塩の量が多く
なり、溶液が濁ったり、溶液を用いて塗膜を形成した場
合などに膜が白く濁ったりするからである。
【0018】上記ポリビニルアルコールのアセタール化
に用いる芳香族アルデヒドとしては、特に限定されるも
のではなく、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアル
デヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベン
ズアルデヒド、その他のアルキル置換ベンズアルデヒ
ド;クロルベンズアルデヒド、その他のハロゲン置換ベ
ンズアルデヒド;フェニルアセトベンズアルデヒド、β
−フェニルプロピオンアルデヒド、その他のフェニル置
換アルキルアルデヒドなどを挙げることができ、さらに
芳香環にヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、シア
ノ基などの置換基を有する芳香族系アルデヒドを挙げる
ことができ、これらの芳香族アルデヒドは単独で用いら
れてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0019】上記ポリビニルアルコール水溶液の濃度と
しては、該水溶液の20℃での粘度が10000mPa
・s以下となるような範囲であれば特に限定されない。
これは、該水溶液の20℃での粘度が10000mPa
・sを超えると高粘度となるため合成が困難となるから
である。
【0020】反応に際しては、反応温度は40〜60
℃、反応時間は3〜10時間程度とすることが好まし
い。反応温度が40℃未満の場合には、酸触媒の量が非
常に少ないので、目標のアセタール化度までなかなか反
応が進行しないことがあり、60℃を超えるとアセター
ル化反応が必要以上に進むため、不均一なアセタール化
度のポリビニルアセタール樹脂が生成されることがある
からである。また、反応時間が3時間未満の場合には、
酸触媒の量が非常に少ないのでアセタール化反応がほと
んど進行しないことがあり、10時間を超えると、反応
が全て終了しそれ以上アセタール化反応が進行しないこ
とが多い。
【0021】本発明においては、上記アセタール化反応
を停止させるために、好ましくは、反応系に酸触媒を中
和するための中和剤が添加される。この中和剤としては
特に限定されず、一般的には、アルカリ金属やアルカリ
土類金属などの水酸化物、エチレンオキサイドやプロピ
レンオキサイドなどのようなアルキレンオキサイドが用
いられ、これらの中和剤は単独で用いられてもよく、2
種以上併用されてもよい。
【0022】中和剤の添加量としては、反応溶液のpH
を6〜8とし得る限り、特に限定されず、通常、酸触媒
と等量の中和剤を添加し、中和する。本発明において
は、上記アセタール化によりポリビニルアセタール樹脂
を生成した後、溶液中の水:アルコールの割合が重量比
で80:20〜20:80となるようにアルコールが添
加されてポリビニルアセタール樹脂が溶解される。この
場合のアルコールとしては、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−
ブチルアルコールなどを挙げることができ、これらのア
ルコールは単独で用いられてもよく、2種以上組み合わ
せて用いられてもよい。
【0023】アルコールの添加量は上記のように、溶媒
の水:アルコールの割合が重量比で80:20〜20:
80となるように選ばれる。混合溶媒において、水の含
有割合が80重量%を超えたり、20重量%未満の場合
には、ポリビニルアセタール樹脂を溶解させることがで
きなくなる。
【0024】ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化
度は、単独アルデヒド及び混合アルデヒドの何れを用い
た場合であっても、10モル%以下に限定される。10
モル%を超えると耐水性が比較的に高くなるので、従来
法において水洗したとしても耐水性が高いため水ととも
にポリビニルアセタール樹脂が流出し難い。従って、ア
セタール化度10モル%以下のポリビニルアセタール樹
脂溶液の製造に利用した場合、本発明の効果が大きい。
また、アセタール化度が10モル%を超えると、上記割
合で水及びアルコールを含む混合溶媒にポリビニルアセ
タール樹脂が溶解し難くなる。
【0025】作用 本発明の製造方法では、酸触媒の量が上記のように0.
005〜0.03重量%と非常に少なくされているた
め、得られたポリビニルアセタール樹脂を水洗・乾燥す
ることなく、反応系にアルコールを添加して溶解させた
としても、ポリビニルアセタール樹脂溶液の透明性が損
なわれ難い。また、該ポリビニルアセタール樹脂溶液を
用いて塗膜をひいた場合においても、透明性に優れた塗
膜を得ることができる。
【0026】さらに、ポリビニルアセタール樹脂溶液の
製造に際し、水洗・乾燥工程を省略し得るので、アセタ
ール化度が10モル%以下の親水性の高いポリビニルア
セタール樹脂であるにもかかわらず、流出や反応槽への
付着等による収率の低下も生じ難い。
【0027】すなわち、本発明は、沈殿法を用いてポリ
ビニルアセタール樹脂を製造するにあたり酸触媒の量を
上記のように少なくし、それによって酸触媒の中和によ
り生成される塩の量を低減し、かつ水洗・乾燥工程を省
略したことに特徴を有する。
【0028】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0029】実施例1 重合度2000、ケン化度88モル%のポリビニルアル
コール200gを、純水1500gに加え、90℃の温
度で約2時間攪拌しつつ溶解した。得られた溶液を55
℃に冷却し、濃度35重量%の塩酸0.3gを加え、さ
らに50℃まで冷却し、ベンズアルデヒド27gを1時
間かけて滴下し、45℃で5時間アセタール化反応を行
った。その結果、溶液中にスポンジ状の沈殿物が生成し
た。
【0030】しかる後、液温が20℃となるように冷却
し、攪拌下でイソプロピルアルコール920gを加え、
スポンジ状の樹脂を完全に溶解し、しかる後、濃度10
重量%の水酸化ナトリウム水溶液1.2gを加え、8重
量%のポリビニルアセタール樹脂の水−イソプロピルア
ルコール(水とイソプロピルアルコールの割合は重量比
で6:4)透明溶液を得た。
【0031】得られた透明溶液をポリエチレンフィルム
に塗布し、乾燥した後、ポリエチレンフィルムから剥離
し、透明フィルムを作製した。この透明フィルムを、D
MSO−d6 (ジメチルスルホキシド)に溶解し、13
−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用い、アセタール
化度を測定したところ、アセタール化度は8モル%であ
った。上記実施例1の評価として、上記塗膜の透明性の
評価、並びに収率を算出した。
【0032】(1)塗膜の透明性の評価 上記のようにして得た透明溶液を厚み100μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後の厚みが2
0μmとなるように塗布した。このようにして形成され
たフィルムの透明性を目視により観察した。この目視に
よる観察結果については、以下の記号により3段階評価
した。 ○…濁りや曇りが全くなく、無色透明である。 △…一部が白っぽく曇っている。 ×…全体がかなり曇っている。
【0033】(2)収率 上記のようにして得たポリビニルアセタール溶液の量及
びその固形分から実質的な樹脂量を算出し、該樹脂量と
上記で測定したアセタール化度を用いて、反応したポリ
ビニルアルコール量を算出した。このポリビニルアルコ
ール量を、反応仕込み時に用いたポリビニルアルコール
量で割り、この反応で得られたポリビニルアセタール樹
脂の収率を求めた。上記塗膜の塗膜の透明性の評価及び
収率についての結果を下記の表1に示す。
【0034】実施例2〜6 下記の表1に示すように、ポリビニルアルコール、アル
デヒド及びアルコール並びにこれらの使用量を変更した
こと以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアセター
ル樹脂溶液を作製し、実施例1と同様にして評価した。
結果を下記の表1に示す。
【0035】比較例1 重合度2000、ケン化度88モル%のポリビニルアル
コール200gを純水1500gに加え、90℃の温度
で約2時間攪拌し、溶解した。得られた溶液を、40℃
に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸50gを加え、
さらに30℃まで冷却し、さらにベンズアルデヒド27
gを1時間かけて滴下し、25℃で3時間アセタール化
反応を行った。その結果、スポンジ状の沈殿物が得られ
た。
【0036】しかる後、液温が20℃となるように冷却
し、攪拌下でイソプロピルアルコールを720g加え、
スポンジ状の樹脂を完全に溶解し、しかる後、濃度10
重量%の水酸化ナトリウム水溶液192gを加え、8重
量%濃度のポリビニルアセタール樹脂の水−イソプロピ
ルアルコール溶液(水とイソプロピルアルコールとの割
合は重量比で7:3)を得た。この溶液は白濁してい
た。上記のようにして得られたポリビニルアセタール樹
脂溶液を、実施例1と同様にして評価した。結果を下記
の表1に示す。
【0037】比較例2,3 表1に示すように、ポリビニルアルコール、アルデヒド
及びアルコールの種類及び量を変更したこと以外は、比
較例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を
得、実施例1と同様にして評価した。結果を下記の表1
に示す。
【0038】比較例4 比較例1と同様にして、スポンジ状の沈殿物を得た後、
濃度10重量%の水酸化ナトリウム水溶液192gを加
え、中和した。次に、純水1000gをこれに加え、よ
く攪拌した後、デカンテーションにより水2000gを
除去した。引続き、純水2000gを加えよく攪拌した
後、デカンテーションにより水を除去する工程を合計3
回繰り返した。しかる後、イソプロピルアルコールを加
え、樹脂を完全に溶解し、透明な8重量%のポリビニル
アセタール樹脂の水−イソプロピルアルコール溶液(水
とイソプロピルアルコールの割合は重量比で7:3)を
得た。得られたポリビニルアセタール樹脂溶液につい
て、実施例1と同様に評価した。結果を下記の表1に示
す。
【0039】比較例5,6 表1に示すように、ポリビニルアルコール、アルデヒド
及びアルコールの種類及び量を変更したこと以外は、比
較例4と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作
製し、実施例1と同様にして評価した。結果を下記の表
1に示す。
【0040】比較例7 比較例4と同様にして反応させ、中和及びデカンテーシ
ョンを行った後、ポリビニルアセタール樹脂を乾燥し
た。乾燥後、水−イソプロピルアルコール混合溶媒(水
とイソプロピルアルコールの割合は重量比で6:4)に
乾燥されたポリビニルアセタール樹脂を加え、攪拌下で
完全に溶解し、透明な8重量%の濃度のポリビニルアセ
タール樹脂の水−イソプロピルアルコール溶液(水とイ
ソプロピルアルコールの割合は重量比で6:4)を得
た。得られたポリビニルアセタール樹脂溶液を実施例1
と同様にして評価した。結果を下記の表1に示す。
【0041】比較例8,9 表1に示すように、ポリビニルアルコール、アルデヒド
及びアルコールの量及び種類を変更したこと以外は、比
較例7と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を
得、実施例1と同様にして評価した。結果を下記の表1
に示す。
【0042】
【表1】
【0043】比較例1〜3では、酸触媒の濃度が1.0
重量%と高いため、ポリビニルアセタール樹脂溶液は白
濁しており、従ってフィルムの透明性も大きく損なわれ
ていた。また、収率も96%に留まった。
【0044】比較例4〜6においても、同様に酸触媒と
しての塩酸の濃度が1.0重量%と高く、従って水酸化
ナトリウム水溶液を多量に用いて中和していたため、過
剰の塩が発生したためか、水洗工程を多数回実施しなけ
ればならなかった。そのため、収率が84%以下と低か
った。
【0045】比較例7〜9においても、酸触媒としての
塩酸の濃度が1.0重量%と高く、従って反応後に比較
例4と同様に多量の水酸化ナトリウム水溶液を用いて中
和していた。従って、多量の塩が生成しており、水洗処
理を繰り返したため、収率が77%以下と低下してい
た。
【0046】これに対し、実施例1〜6では、酸触媒の
濃度が0.01重量%以下と低く、従って、中和により
生成した塩が少ないためか、本発明に従ってアルコール
を加えて生成したポリビニルアセタール樹脂を溶解して
得られたポリビニルアセタール樹脂溶液は透明であり、
かつ得られた塗膜の透明性も良好であった。また、水洗
及び乾燥工程を実施していないため、収率も98%と高
かった。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法によれ
ば、酸触媒の量を0.005〜0.03重量%と非常に
少なくして上記特定の条件でアセタール化反応を行って
いるため、得られたポリビニルアセタール樹脂を水洗・
乾燥する必要がない。そのため、水洗・乾燥工程を経る
ことなくアルコールを添加してポリビニルアセタール樹
脂溶液を得ているため、ポリビニルアセタール樹脂溶液
の収率を高めることができ、かつ中和により生成する塩
が少なくなるので、ポリビニルアセタール樹脂溶液の透
明性が高められ、ひいては該ポリビニルアセタール樹脂
溶液を用いて形成される塗膜などの透明性も高められ
る。
【0048】また、アセタール化度10モル%以下のポ
リビニルアセタール樹脂は、単独では水には溶解せず、
アルコール系の有機溶剤単独にも溶解しないが、本発明
の方法により、上記水−アルコール混合溶媒に溶解させ
ることができる。従って、親水性及び耐水性の双方を合
わせ持ったポリビニルアセタール樹脂の溶液を得ること
ができる。
【0049】よって、本発明の製造方法により得られる
ポリビニルアセタール樹脂溶液は、紙やフィルムなどの
支持体上に塗工することにより、プリンタやX−Yプロ
ッターの記録材に好適に用いられることができ、特に、
インクジェット方式やペン方式などで記録するオーバー
ヘッドプロジェクター用として好適な透明記録材、ある
いはその他のスライドや液晶等のカラーディスプレイで
用いられるカラーモザイクフィルター用の透明記録材と
して好適である。また、記録材以外に、ビニルハウスの
防曇材やストリッパブルペイントなどにも好適に用いる
ことができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールと芳香族アルデヒ
    ドとのアセタール化反応により得られるポリビニルアセ
    タール樹脂が水及びアルコールの混合溶媒に溶解されて
    いるポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法であっ
    て、 ポリビニルアルコール水溶液中にて酸触媒濃度が0.0
    05〜0.03重量%となるように酸触媒を添加してポ
    リビニルアルコールと芳香族アルデヒドとを反応させて
    アセタール化度が10モル%以下のポリビニルアセター
    ル樹脂を生成し、 溶液中の水:アルコールの割合が重量比で80:20〜
    20:80となるようにアルコールを加えて、ポリビニ
    ルアセタール樹脂を溶解することを特徴とするポリビニ
    ルアセタール樹脂溶液の製造方法。
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