JP3340231B2 - 合成潤滑油基油 - Google Patents

合成潤滑油基油

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JP3340231B2
JP3340231B2 JP4052594A JP4052594A JP3340231B2 JP 3340231 B2 JP3340231 B2 JP 3340231B2 JP 4052594 A JP4052594 A JP 4052594A JP 4052594 A JP4052594 A JP 4052594A JP 3340231 B2 JP3340231 B2 JP 3340231B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペンタエリスリトール
を原料アルコールとして用いた、流動点が低く、且つ熱
酸化安定性に優れた合成エステルを含有する合成潤滑油
基油に関し、特にエンジン油基油やグリース基油、作動
油基油として適した合成潤滑油基油に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、エンジン油基油やグリース基油、
作動油基油に使用されている潤滑油基油は、鉱物油と合
成油に大別することができる。合成油はさらに主として
合成炭化水素、ジエステル、ヒンダードエステルに分け
られる。これら潤滑油基油に求められる性能としては、
高粘度指数、良好な低温流動性、優れた熱酸化安定性、
低揮発性などが挙げられる。
【0003】鉱物油は安価であり、古くから潤滑油の基
油として広く使用されている。しかし、粘度指数が低
い、低温流動性が悪い、熱酸化安定性が悪い、揮発量が
多いなどの欠点を有している。
【0004】このような鉱物油の欠点を解決するため
に、上記の合成潤滑油基油が開発され、使用されてい
る。合成潤滑油基油は、その種類により、各種性能に利
点や欠点を持つものの、鉱物油と比較して価格の面を除
きほぼ全ての面で優れている。
【0005】例えば合成炭化水素は、鉱物油に比べ揮発
性が低く、また、熱酸化安定性にも優れている。ジエス
テルはさらに揮発性が低く、粘度指数も高く、また低温
流動性も良好であるが、熱酸化安定性は合成炭化水素に
劣る。ヒンダードエステルは、ジエステルと同様に揮発
性が低く、粘度指数、低温流動性はジエステルよりやや
劣るが、鉱物油に比べ十分良好なものである。また、ヒ
ンダードエステルの熱酸化安定性は、これら合成潤滑油
基油の中で最も優れている。
【0006】従って、ヒンダードエステルは、最もトー
タルバランスの優れた合成潤滑油基油であり、高性能な
エンジン油基油として、あるいは高級グリースの基油と
して現在では幅広く使用されている。例えば、特開平2
−214795号公報には、ネオペンチル型ポリオール
から選ばれる2種以上の混合アルコールと、直鎖飽和脂
肪酸及び分岐飽和脂肪酸よりなる混合脂肪酸との合成エ
ステル系潤滑油が開示されている。しかしながら、ここ
で使用される混合アルコール中に占める各アルコールの
割合は、それぞれ5モル%以上のものが好適とされてい
るが(特開平2−214795号公報、第685頁左下
欄第1〜4行)、2種以上のアルコールを使用すること
により熱酸化安定性が充分でないという問題がある。ま
た、特開昭55−105644号公報には、ネオペンチ
ルポリオールと、3,5,5 −トリメチルヘキサン酸および
直鎖飽和脂肪酸よりなる混合脂肪酸との合成エステル系
潤滑油が開示されている。ここでは分岐飽和脂肪酸とし
て、3,5,5 −トリメチルヘキサン酸が用いられている
が、耐加水分解性が充分でないという問題がある。
【0007】エンジンの高性能化や各種機械工業の発展
に伴い潤滑油の使用条件もさらに過酷なものとなってき
ており、耐加水分解性、さらに熱酸化安定性に優れたも
のが望まれている。ヒンダードエステルの熱酸化安定性
を良くする方法としては、特開平3−199295号公
報に述べられているようなネオ酸を導入する方法も開発
されているが、粘度指数が悪く問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来技術におけるヒンダードエステルは、他の合成潤滑
油基油に比べ粘度指数、低温流動性、熱酸化安定性など
の好ましい性能を有し、バランスの取れた性能を有して
いるが、近時の要求に対しては必ずしも十分な物とは言
えない。
【0009】そこで、本発明の目的は、高粘度指数、良
好な低温流動性、優れた熱酸化安定性を有したヒンダー
ドエステル系の合成潤滑油基油を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、鋭意研究を重ねてきた結果、ペンタ
エリスリトールのエステルにおいて、モノカルボン酸の
炭素数分布及び直鎖成分と分岐成分との比率を精緻に制
御する事により、熱酸化安定性を損なうことなく、高粘
度指数、良好な低温流動性など潤滑油基油として必要な
性能を有した合成潤滑油基油を得る事ができることを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明の要旨は、(A)ペンタエリ
スリトールと、(B)カプリル酸及び/又はカプリン酸
と2−エチルヘキサン酸とをその重量比〔(カプリル酸
及び/又はカプリン酸)/2−エチルヘキサン酸〕が
0/20〜50/50となるように混合した酸成分と
合成され、40℃における動粘度が40mm2 /s以
下であり、粘度指数が110以上であり、かつ流動点が
−40℃以下である合成エステルを10〜100重量%
含有することを特徴とする合成潤滑油基油に関するもの
である。
【0012】本明細書において直鎖成分、分岐成分と
それぞれカプリル酸及び/又はカプリン酸、2−エ
チルヘキサン酸を意味する。また、酸の誘導体とは、た
とえば酸クロライド、酸無水物、あるいはメチルエステ
ル、エチルエステル等の炭素数1〜4の低級アルキルエ
ステルを意味する。また、本明細書において「酸成
分」、「アルコール成分」等の表現における「成分」と
は、エステルの合成原料を意味すると同時に、エステル
の当該残基部分の構成を特定する場合にも便宜的に用い
ている。
【0013】本発明における合成エステルは、アルコー
ル成分としてペンタエリスリトールを用いる。ここで、
ペンタエリスリトールとしては、一般に市販されている
高純度品が用いられ、純度として90%以上好ましく
は、95%以上のものであれば、不純物としてペンタエ
リスリトールの二量体、三量体等が含まれていても、本
発明の効果に影響しないので使用できる。
【0014】本発明者らは、ヒンダードエステルを構成
するアルコール成分であるネオペンチルポリオールの中
でも、特に、ペンタエリスリトールを用いたものが、最
も熱酸化安定性が良い事を見い出した。ネオペンチルポ
リオールには、ネオペンチルグリコール、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、更にこれらの二量
体、三量体等がある。しかし、ネオペンチルグリコール
を用いると粘度が低くトリメチロールプロパンを用いる
と熱酸化安定性に劣る。また、二量体、三量体では粘度
が高すぎるため好ましくない。また、これらを二種以上
混合した場合も同様に熱酸化安定性に劣る。
【0015】例えば参考として、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールを用いて得られる合成エステ
ルについて、熱酸化安定性および流動点を評価した結果
を表1に示す。ここで、熱酸化安定性および流動点は、
後述の実施例と同様にホットチューブテストおよびJI
S K2269に準拠する方法により評価したものであ
る。
【0016】
【表1】
【0017】上記表1における略号は、下記の意味を有
する。 TMP:トリメチロールプロパン PET:ペンタエリスリトール nC7 :炭素数 7個の直鎖モノカルボン酸 nC8 :炭素数 8個の直鎖モノカルボン酸 nC9 :炭素数 9個の直鎖モノカルボン酸 iC7 :エクソン化学製,Cekanoic C7 A
cid 2EH:2−エチルヘキサン酸 PP:流動点(℃)
【0018】表1より、トリメチロールプロパンのエス
テルの熱酸化安定性は、ペンタエリスリトールのエステ
ルの熱酸化安定性よりも劣ることがわかる。しかしなが
ら、これらペンタエリスリトールと単一の酸成分とのエ
ステルは、その分子の対称性が良いために、0℃以上で
も結晶化したり、流動性がなくなったりするため、この
ままでは潤滑油基油として不適当である。
【0019】そこで、本発明においては、飽和モノカル
ボン酸の炭素数分布及び直鎖成分と分岐成分との比率を
精緻に制御することによりこれらの点を改善すべく、用
いられる飽和モノカルボン酸は直鎖成分と分岐成分との
混合物とし、このため得られる合成エステルも通常1分
子内に直鎖成分と分岐成分が混在するものとなる。酸成
分が、直鎖成分だけでは分子の対称性により結晶化した
り、低温に於ける流動性が悪かったりする。また、分岐
成分だけでも低温に於ける流動性が悪くなったり、粘度
指数が低くなり好ましくない。
【0020】従って、本発明におけるこれら直鎖飽和モ
ノカルボン酸成分とα分岐飽和モノカルボン酸成分との
混合の重量比は、直鎖成分/分岐成分で80/20〜5
0/50にする事が必要であり、さらに好ましくは70
/30〜60/40である。直鎖成分がこの範囲より多
いと低温流動性が悪くなる傾向があり、この範囲より少
ないと粘度指数が低くなり、また、潤滑性も悪くなる傾
向がある。
【0021】本発明で用いる直鎖飽和モノカルボン酸成
分の炭素数は、通常6〜14であり、好ましくは8〜1
0である。炭素数がこの範囲より短いと酸のまま残留し
た場合に金属を腐食し易い傾向がある。また炭素数は、
潤滑性を考えると長い方が良いが、この範囲より長いと
エステルの粘度が高くなるばかりでなく、低温流動性を
極端に悪くし改善する事が難しい傾向がある。また、添
加剤の溶解性の面から、炭素数が短いとエステルの極性
が高くなり溶け難く、炭素数が長いとエステルの極性は
下がるが、融点が高くなると溶け難くなる。
【0022】本発明に用いられる炭素数6〜14の直鎖
飽和モノカルボン酸としては、カプロン酸、エナント
酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカ
ン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸等が挙
げられる。なかでも入手性の点からも再生が可能な天然
油脂から得られるカプリル酸及びカプリン酸が、最も好
ましい。これら直鎖飽和モノカルボン酸は1種だけで使
用しても2種以上のものを混合使用しても良い。
【0023】一方、α分岐飽和モノカルボン酸成分の炭
素数は、通常6〜10であり、好ましくは7〜9であ
り、特に好ましくは炭素数8のものである。炭素数がこ
の範囲より短いと酸のまま残留した場合に金属を腐食し
易い傾向があり、炭素数がこの範囲よりも長いと粘度を
高くする傾向がある。
【0024】本発明に用いられる炭素数6〜10のα分
岐飽和モノカルボン酸としては、α位に分岐を持つ2−
メチルペンタン酸、2−エチル酪酸、2,4 −ジメチルペ
ンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン
酸、2−エチルヘキサン酸、2,4 −ジメチルヘキサン
酸、2−メチルヘプタン酸、2−プロピルペンタン酸、
2−メチルオクタン酸、2−エチルヘプタン酸、ネオ酸
である2,2 −ジメチル酪酸、2,2 −ジメチルペンタン
酸、2,2 −ジメチルヘキサン酸、2,2 −ジメチルヘプタ
ン酸、2−エチル−2,3,3 −トリメチル酪酸、2,2,4,4
−テトラメチルペンタン酸、2,2,3,3 −テトラメチルペ
ンタン酸、2,2,3,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2 −
ジイソプロピルプロピオン酸等が挙げられる。
【0025】これらのα分岐飽和モノカルボン酸は、1
種だけで使用しても2種以上のものを混合使用しても良
いが、前記のように炭素数が短いと腐食性や添加剤の溶
解性が心配され、また、長いと粘度が高くなりすぎたり
する事から一番バランスの取れたものは炭素数8のもの
である。また、入手性の点から2−エチルヘキサン酸が
好ましい。本発明における分岐飽和モノカルボン酸は、
このようにα位に分岐を持つものであり、前記の3,5,5
−トリメチルヘキサン酸のように、α位に分岐を持たな
い分岐飽和モノカルボン酸とは異なり、耐加水分解性に
問題はない。
【0026】本発明においては、これらの直鎖飽和モノ
カルボン酸成分とα分岐飽和モノカルボン酸成分を混合
した酸成分がエステル合成の酸成分として用いられる
が、それらの混合の態様は特に限定されるものではな
く、前記の各群の中から適宜選択され混合した酸成分と
して使用される。なかでもα分岐飽和モノカルボン酸成
分が2−エチルヘキサン酸又はその誘導体であり、直鎖
飽和モノカルボン酸成分がカプリル酸及び/又はカプリ
ン酸、又はそれらの誘導体であるものは、好適例の一つ
である。例えば、カプリル酸と2−エチルヘキサン酸、
カプリン酸と2−エチルヘキサン酸、カプリル酸及びカ
プリン酸と2−エチルヘキサン酸等の組み合わせが挙げ
られる。
【0027】前述のように、本発明における酸成分に
は、その誘導体、たとえば酸クロライド、酸無水物、あ
るいはメチルエステル、エチルエステル等の炭素数1〜
4の低級アキルエステルが含まれるが、上記の直鎖又は
α分岐飽和モノカルボン酸の炭素数の特定は、アシル基
部分のみの炭素数を考慮して行うものとする。
【0028】本発明におけるこのような酸誘導体の例と
しては、酸クロライドではカプリル酸クロライド、カプ
リン酸クロライド、2−エチルヘキサン酸クロライド、
酸無水物ではカプロン酸無水物、カプリル酸無水物、カ
プリン酸無水物、2−エチルヘキサン酸無水物、低級ア
キルエステルではカプロン酸メチル、カプリル酸メチ
ル、カプリン酸メチル、カプロン酸エチル、カプリル酸
エチル、カプリン酸エチル、カプリル酸プロピル、カプ
リン酸プロピル、カプリル酸ブチル、2−エチルヘキサ
ン酸メチル、2−エチルヘキサン酸エチル等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0029】本発明における合成エステルは、通常のエ
ステル化反応やエステル交換反応によって得られる。エ
ステル化反応後、脱酸、水洗、吸着処理などの一般の精
製工程により精製する事ができる。
【0030】反応時における、酸成分の総使用量は、ペ
ンタエリスリトールに対して通常1.02〜1.20等
量、好ましくは1.03〜1.15等量である。この範
囲より少ないと反応が遅くなる傾向があり、この範囲よ
り多いと酸の環流量が多くなり、温度が上がり難くなっ
たり、脱酸の量が多くなり、エステルの収量が少なくな
る傾向がある。
【0031】得られる合成エステルは、通常1分子内に
直鎖成分と分岐成分が混在するものとなるが、合成エス
テル全体でみると、1分子内に直鎖成分が4つのもの、
直鎖成分が3つで分岐成分が1つのもの、直鎖成分が2
つで分岐成分が2つのもの、直鎖成分が1つで分岐成分
が3つのもの、および分岐成分が4つのものよりなるエ
ステルの混合物であると考えられる。
【0032】得られるエステルの粘度は、40℃の動粘
度で通常40mm2 /s以下である。具体的には20〜
40mm2 /s、好ましくは25〜40である。しか
し、理論的に最低の粘度となる、ペンタエリスリトール
のカプロン酸エステルの粘度が18mm2 /sであるこ
とから、低粘度側は18mm2 /s以上となる。この範
囲より高いと、低温粘度が増大し、低温始動性が悪くな
る傾向がある。
【0033】また、本発明ではこの40℃の動粘度と1
00℃の動粘度から計算で求められる粘度の温度依存性
を表す粘度指数が通常110以上である。具体的には1
10〜160、好ましくは115〜135である。粘度
指数がこの範囲より小さいと温度による粘度の変化が大
きくなる傾向がある。
【0034】また、流動点は通常−40℃以下である。
この範囲より高いと極寒の環境の中で使用、あるいは、
保存した場合に粘度が高く成り過ぎ始動性が悪くなった
り、結晶として析出したりする傾向がある。
【0035】さらに、得られるエステルの酸価は、0.
5mgKOH/g以下であるのが好ましい。具体的には
0.01〜0.5mgKOH/gさらに好ましくは0.
01〜0.3mgKOH/g、より好ましくは0.01
〜0.1mgKOH/g、最も好ましくは0.01〜
0.05mgKOH/gである。酸価がこの範囲より大
きいと添加剤と相互作用し、添加剤の効果が発揮できに
くくなる傾向がある。また、得られるエステルの水酸基
価は、30mgKOH/g以下であるのが好ましい。具
体的には1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは1
〜15mgKOH/g、より好ましくは1〜5mgKO
H/gである。水酸基価がこの範囲より大きいと抗乳化
性が悪化したり、添加剤と相互作用し添加剤の効果が発
揮しにくい傾向がある。
【0036】また、得られるエステルの鹸化価は、23
0〜430mgKOH/gが好ましく、さらに好ましく
は290〜360mgKOH/gである。鹸化価がこの
範囲より大きいと極性が大きく添加剤が溶け難く、添加
剤の効果が発揮できにくくなる傾向がある。この範囲よ
り小さいことは、長鎖のカルボン酸を多く使っているこ
とを意味し、低温流動性が悪くなる傾向がある。
【0037】本発明の合成潤滑油基油は本発明の合成エ
ステルを10〜100重量%含有するものである。即
ち、本発明の合成潤滑油基油として合成エステルを単独
でエンジン油基油やグリース基油、作動油基油として使
用しても良いし、必要に応じて鉱物油、ポリ−α−オレ
フィン、ジエステル、シリコーン等の他の基油と併用し
て使用しても良い。なかでも、鉱物油、ポリ−α−オレ
フィン、ジエステルまたはこれらの混合物と併用するの
が好ましい。具体的にはエンジン油基油における鉱物油
との併用やポリ−α−オレフィンとの併用、グリース油
におけるポリ−α−オレフィンとの併用や、ジエステル
との併用等が挙げられる。ただし、併用して用いる場
合、上記の合成エステルを10重量%以上使用する事が
必要である。即ち、通常10重量%以上100重量%未
満、さらに好ましくは、15重量%以上100重量%未
満である。上記合成エステルの使用量がこの範囲より少
ないと、良好な熱酸化安定性が得られにくい傾向があ
る。なお、他のヒンダードエステルと併用して用いるこ
とは、本発明の合成エステルの特徴が充分に発揮されな
くなるため好ましくない。
【0038】さらに、本発明の合成潤滑油基油には、通
常使用される清浄分散剤、酸化防止剤、極圧剤、防錆
剤、消泡剤、抗乳化剤などの潤滑油添加剤を添加して使
用することもできる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例により更に詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0040】実施例1 2リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。この
フラスコにペンタエリスリトール280g、カプリル酸
720g、2−エチルヘキサン酸480gを取り、窒素
気流下、230℃で10時間エステル化を行った。エス
テル化触媒として酸化錫を全仕込量に対して0.1重量
%用いた。反応終了後、過剰の酸を除去し、精製、ろ過
を行い、表2に示す実施例1のエステルを得た。
【0041】実施例2〜4及び比較例11〜22 実施例1と同様にして表2に示す本発明のエステルを
た。また、同様にして比較例11〜22のエステルを得
た(表3)。実施例1〜4及び比較例11〜22で得ら
れた各エステルの組成と物性値をそれぞれ表2、表3
に、ホットチューブ試験により評価した熱酸化安定性の
結果を表4に示す。加水分解安定性の結果を表5に示
す。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】上記表2、表3における略号は、下記の意
味を有する。 TMP:トリメチロールプロパン PET:ペンタエリスリトール nC6 :炭素数 6個の直鎖モノカルボン酸 nC7 :炭素数 7個の直鎖モノカルボン酸 nC8 :炭素数 8個の直鎖モノカルボン酸 nC10:炭素数10個の直鎖モノカルボン酸 nC12:炭素数12個の直鎖モノカルボン酸 nC14:炭素数14個の直鎖モノカルボン酸 nC16:炭素数16個の直鎖モノカルボン酸 iC6 :2−メチルペンタン酸 iC7 :エクソン化学製,Cekanoic C7 Acid 2EH:2−エチルヘキサン酸 iC9 :2−メチルオクタン酸 iC18:三菱化成製,ダイヤドール18GA V40:40℃の動粘度(mm2 /s) VI:粘度指数 PP:流動点(℃)
【0047】上記の評価は下記の方法で行った。 (粘度及び粘度指数)JIS K2283に規定された
「原油及び石油製品の動粘度試験方法並びに石油製品粘
度指数算出方法」によった。
【0048】(流動点)JIS K2269に規定され
た「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試
験方法」によった。
【0049】(ホットチューブテスト)SAEテクニカ
ルペーパーシリーズ840262に記載されている装置
及び条件(温度のみ修正)でホットチューブテストを実
施した。本装置は垂直に立てられたガラス細管の温度を
所定の温度に保ち、下方より微量の試験油及び空気を各
々所定の流量で16時間流し、ガラス細管内壁に生じる
デポジットの状態を標準カラースケールにより評価する
(0〜10の評価で10点が最も良い)もので、潤滑油
基油の熱酸化安定性もしくは高温清浄性を評価するもの
である。
【0050】(加水分解安定性)試料75gに水25g
を加え、銅触媒存在下で93℃、48時間密閉下に攪拌
した後、油層及び水層の酸価を測定した。
【0051】以上の結果より、次の点が判明した。粘度
指数について、比較例16に示すように、α分岐飽和モ
ノカルボン酸が100%のものでは、粘度指数が90以
下となり、悪い結果であった。また、比較例11、18
に示すようにα分岐飽和モノカルボン酸が70%のもの
であっても、粘度指数は100程度であり好ましくない
ことが分かる。
【0052】流動点について、表1及び比較例13、1
4に示すように、直鎖飽和モノカルボン酸が100%の
場合、流動点が高いことが分かる。また、比較例15に
示すように直鎖飽和モノカルボン酸とα分岐飽和モノカ
ルボン酸を混合しても、α分岐飽和モノカルボン酸の量
が少ないと低い流動点は得られない。さらに、比較例1
7に示すように、α分岐飽和モノカルボン酸の量を増や
しても、炭素数16の直鎖飽和モノカルボン酸を使用す
ると流動点が高くなってしまう。
【0053】40℃の動粘度について、比較例16、1
8に示すようにα分岐飽和モノカルボン酸が50%を越
えると、粘度が高くなる。また、比較例12、17に示
すように、炭素数の長い飽和モノカルボン酸を使用する
と粘度が高くなる。
【0054】熱酸化安定性について、表4に示すよう
に、実施例1、2、比較例19、20のホットチューブ
テストの結果から本発明の実施例1、2の試験油におい
ては熱酸化安定性が良好であることが分かる。また、比
較例22の結果から、アルコールを混合した場合、悪く
なることが分かる。耐加水分解性について、表5に示す
ように、実施例1、2、比較例21の加水分解安定性の
結果から、α位に分岐を持たない 3,5,5−トリメチルヘ
キサン酸を用いた場合、耐加水分解性が不十分であるこ
とが分かる。
【0055】本発明の実施態様を更に挙げれば、以下の
とおりである。 (1)(A)ペンタエリスリトールと、(B)炭素数6
〜14の直鎖飽和モノカルボン酸成分及び炭素数6〜1
0のα分岐飽和モノカルボン酸成分を直鎖成分/分岐成
分の重量比で80/20〜50/50の割合で混合した
酸成分とにより合成される合成エステルであって、40
℃における動粘度が40mm2 /s以下であり、粘度指
数が110以上であり、流動点が−40℃以下であり、
水酸基価が30mgKOH/g以下であり、かつ、鹸化
価が230〜360mgKOH/gである合成エステル
を10〜100重量%含有することを特徴とする合成潤
滑油基油。
【0056】(2)α分岐飽和モノカルボン酸成分が2
−エチルヘキサン酸又はその誘導体であり、直鎖飽和モ
ノカルボン酸成分がカプリル酸及び/又はカプリン酸、
又はそれらの誘導体である前記(1)の合成潤滑油基
油。
【0057】
【発明の効果】本発明の合成潤滑油基油は、高粘度指
数、良好な低温流動性、優れた熱酸化安定性を有したヒ
ンダードエステル系の合成潤滑油基油である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10N 50:10 C10N 50:10 (56)参考文献 特開 昭56−133241(JP,A) 特開 平2−214795(JP,A) 特開 平3−199295(JP,A) 特開 平4−139298(JP,A) 特開 昭55−105644(JP,A) 特開 平6−145104(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 105/38 - 105/40 C10N 20:00 - 20:02 C10N 40:08 C10N 40:25 - 40:28 C10N 50:10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ペンタエリスリトールと、(B)
    カプリル酸及び/又はカプリン酸と2−エチルヘキサン
    酸とをその重量比〔(カプリル酸及び/又はカプリン
    酸)/2−エチルヘキサン酸〕が80/20〜50/5
    となるように混合した酸成分とから合成され、40℃
    における動粘度が40mm2 /s以下であり、粘度指数
    が110以上であり、かつ流動点が−40℃以下である
    合成エステルを10〜100重量%含有することを特徴
    とする合成潤滑油基油。
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