JP3338824B2 - Al又はAl系合金鋳物用フィルター金網 - Google Patents

Al又はAl系合金鋳物用フィルター金網

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はAl又はAl系合金
鋳物を鋳造する際に、溶湯中の酸化Alや種々の介在物
を取り除くために用いるAl又はAl系合金鋳物用フィ
ルター金網に関する。
【0002】
【従来の技術】Al又はAl合金鋳物は、軽量性に優
れ、加えてAl合金では強度的にも良好であることか
ら、輸送機械部品等の主要材料となっているが、その鋳
造にあたっては、製品品質向上の観点から、介在物の混
入防止、ブローホール、引け、湯じわの発生の抑制など
を行う必要がある。特に、金属粒子、金属間化合物、金
属酸化物、あるいは、煉瓦屑などのその他の非金属粒子
からなる介在物の混入防止は、部品の大小や、形状の複
雑さにかかわらず、必ず行う必要がある。
【0003】これらの介在物を除去しないでそのまま鋳
造すると、介在物が鋳物中に随伴され、鋳物中の内部欠
陥、或いは表面欠陥等を引き起こす原因となる。特に、
純Alよりも高強度で割れ感受性の高いAl合金鋳物の
場合には、内部亀裂発生の起点となる内部欠陥はできる
だけ低減する必要がある。
【0004】溶湯中のこれらの不純物の混入を防止する
手段としては、湯口やせきに、軟鋼等の線材を用いた織
金網(以下「鉄製フィルター金網」とする)を設け、該
鉄製フィルター金網を用いて介在物を捕捉し、介在物が
製品側に流れ込まないようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来は、鋳造作業時に
湯口側に大量に残ったAl系合金を再利用するため、鋳
造後には、鉄製フィルター金網を含んだ湯口片を切り離
し、溶解炉で精錬するようにしていたが、該溶解炉で再
溶解された溶湯には、鉄製フィルター金網や不純物が混
在するため、これらを分離し除去する必要があった。
【0006】しかしながら、これらの分離・除去作業に
は、多大な手間と時間がかかり、更に、一度使用した鉄
製フィルター金網は再使用できずに廃棄するしかない、
という問題があった。また、分離・除去できずに溶解炉
の底に取り残された鉄製フィルター金網は、高温加熱で
Al成分と反応して、硬質で脆いFe−Al金属間化合
物を生成し、該Fe−Al金属間化合物が再利用品の製
品品質に悪影響を及ぼす、という問題があった。
【0007】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであり、Al又はAl系合金鋳物の鋳造に際
し、鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯中の不純物を除
去するフィルター金網において、溶解炉内での分離・除
去作業を省略可能なAl又はAl系合金鋳物用フィルタ
ー金網を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、鋳造作業中は金網形状
が保持されてフィルター機能を発揮し、溶解炉で加熱溶
解した際にはフィルター金網もAl又はAl系合金溶湯
中に溶解混入可能なフィルター金網を用いることによっ
て、前述の溶解炉内での分離・廃棄作業が完全に省略可
能であることを見出した。
【0009】そして、金網への加工が容易で、しかも溶
湯中に溶出してもAl合金の品質を劣化させないCu又
はCu合金上に、適切な表面処理皮膜を形成することに
よって、大気圧下における通常の常圧鋳造、歩留まり向
上を目的とした低加圧鋳造のいずれにおいても、鋳造時
間の間は、Cu又はCu合金の溶湯中への溶出が抑制さ
れ、該鋳造時間経過後に溶解炉内のAl合金溶湯中で再
加熱されると、表面処理皮膜は長時間浸漬で浸食されて
Cu又はCu合金素地の保護皮膜としての機能が失わ
れ、その結果、フィルター金網はAl又はAl系合金溶
湯中に溶解混入する、ということを見出したのである。
【0010】特に、表面処理皮膜としては、Ni又はN
i合金皮膜、炭素系皮膜、酸化皮膜が有効であり、ま
た、鋳造時間中の金網溶解抑制に適した、各皮膜の膜厚
範囲や生成条件についても見出すことができ、さらに、
このうちの酸化皮膜の特性向上には、前処理、特にショ
ットブラストが有効であることが判明し、本発明をする
に至ったのである。なお、前記鋳造時間とは、常圧鋳造
では溶湯注入開始から凝固完了までの時間、低加圧鋳造
では溶湯注入開始から加圧保持完了までの時間とする。
【0011】請求項1においては、Al又はAl系合金
鋳物の鋳造に際し、鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯
中の不純物を除去するフィルター金網であって、鋳造作
業における溶湯注入開始から凝固完了までは金網形状が
保持され、鋳造作業後に該フィルター金網を含んだ湯口
片を切り離し、該湯口片に残ったAl又はAl系合金を
再利用すべく溶解炉で加熱溶解した際には、フィルター
金網もAl又はAl系合金溶湯中に溶解混入されるフィ
ルター金網において、該フィルター金網の構成材料とし
てCu又はCu合金からなる線材を用い、該フィルター
金網をNi又はNi合金皮膜よりなる表面処理皮膜で被
覆したものである。
【0012】請求項2においては、請求項1記載のAl
又はAl系合金鋳物用フィルター金網において、前記フ
ィルター金網を被覆するNi又はNi合金皮膜の膜厚
が、20μm〜60μmとしたものである。
【0013】請求項3においては、Al又はAl系合金
鋳物の鋳造に際し、鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯
中の不純物を除去するフィルター金網であって、鋳造作
業における溶湯注入開始から凝固完了までは金網形状が
保持され、鋳造作業後に該フィルター金網を含んだ湯口
片を切り離し、該湯口片に残ったAl又はAl系合金を
再利用すべく溶解炉で加熱溶解した際には、フィルター
金網もAl又はAl系合金溶湯中に溶解混入されるフィ
ルター金網において、該フィルター金網の構成材料とし
てCu又はCu合金からなる線材を用い、該フィルター
金網を炭素系皮膜よりなる表面処理皮膜で被覆したもの
である。
【0014】請求項4においては、請求項3記載のAl
又はAl系合金鋳物用フィルター金網において、前記炭
素系皮膜の膜厚が、5μm〜20μmとしたものであ
る。
【0015】請求項5においては、Al又はAl系合金
鋳物の鋳造に際し、鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯
中の不純物を除去するフィルター金網であって、鋳造作
業における溶湯注入開始から凝固完了までは金網形状が
保持され、鋳造作業後に該フィルター金網を含んだ湯口
片を切り離し、該湯口片に残ったAl又はAl系合金を
再利用すべく溶解炉で加熱溶解した際には、フィルター
金網もAl又はAl系合金溶湯中に溶解混入されるフィ
ルター金網において、該フィルター金網の構成材料とし
てCu又はCu合金からなる線材を用い、該フィルター
金網の表面には、大気中において150℃〜500℃で
20分〜720分加熱して生成させる、酸化皮膜よりな
る表面処理皮膜で被覆したものである。
【0016】請求項6においては、請求項5記載のAl
又はAl系合金鋳物用フィルター金網において、前記酸
化皮膜の前処理として、ショットブラストを適用する
のである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係わるフィルター金網の
構成材料としては、Cu又はCu合金からなる線材を用
いる。これは、Cuは、Al合金鋳物に一般的に最も多
量に含まれる合金元素であり、Al合金溶湯中に溶解し
ても製品品質をそれほど劣化させることがなく、しか
も、細線加工が容易であり、金網の構成材料として好適
だからである。
【0018】なお、Cu合金中の合金元素としてはN
i、Siなどがあるが、材料強度や耐溶出性を向上させ
て金網の溶解をある程度抑制し、あるいは、Al又はA
l合金溶湯中に溶出しても製品の所定品質を阻害しない
化学成分であればよく、特に限定されるものではない。
【0019】本発明に係わる表面処理皮膜としては、N
i又はNi合金皮膜、炭素系皮膜、酸化皮膜が好まし
い。このうちのNi又はNi合金皮膜は、耐溶出性に優
れており、溶湯注入中はCu又はCu合金の溶解を十分
に防止できるからである。さらに、Ni又はNi合金皮
膜の膜厚は特には限定しないが、20μm以上60μm
以下が好ましい。膜厚が20μm未満では耐溶出性が不
十分であり、早めに金網形状が崩れてフィルター機能を
十分に発揮できなくなり、60μmを越えるとCu素地
との密着性が低下して剥がれやすく、また、コスト的に
も割高となるからである。
【0020】なお、Ni又はNi合金皮膜の被覆方法と
しては、電気めっき、無電解めっきなど均一な皮膜を生
成する方法であればよく、特に限定しない。また、Ni
合金の合金元素としてはCo 、Siなどがあるが、前記
Cu合金の場合と同様に、Ni合金皮膜の強度や耐溶出
性を向上させて、金網の溶解を適度に抑制し、あるい
は、Al又はAl合金溶湯中に溶出しても製品の所定品
質を阻害しない化学成分であればよく、特に限定される
ものではない。
【0021】そして、炭素系皮膜は、溶融金属の濡れ性
が悪く、言い換えると溶湯のはじき性に優れるため、A
l又はAl合金溶湯がCu又はCu合金表面に濡れるの
を防止し、溶湯中への金網の溶解を有効に防止すること
ができるのである。この炭素系皮膜の膜厚は特には限定
しないが、5μm以上20μm以下が好ましい。膜厚が
5μm未満では、はじき性が不十分であり、20μm越
えでは皮膜の密着性が悪く、注入中の溶湯の流動で脱落
しやすくなるからである。
【0022】なお、炭素系皮膜の被覆方法としては、単
純に炭素粉末を分散させた水溶液中に浸漬して引上・乾
燥させる方法や、炭素粉末を機械的に押しつける方法な
どがあるが、均一な皮膜が形成でき、しかも鋳造作業中
に皮膜が脱落しない程度の密着性を有する皮膜が得られ
る方法であればよく、特に限定されるものではない。炭
素系皮膜としては、C−Si系、C−Ti系、C−有機
物などがあるが、はじき性に優れており、鋳造中は金網
を保護し、溶解炉で再加熱した際には溶解する程度の耐
溶出性を有するものであればよい。
【0023】また、酸化皮膜も、炭素系皮膜と同様に、
溶融金属のはじき性に優れるために、Al又はAl合金
溶湯がCu又はCu合金表面に濡れるのを防止する効果
を有する。そこで、本発明者らが酸化皮膜形成に適した
温度範囲・加熱範囲について詳細に検討した結果、短時
間で良好な品質及び十分な膜厚を有する酸化皮膜を形成
させる観点からは、300℃〜500℃で20分〜90
分の高温・短時間加熱が好ましいことが判明した。
【0024】さらに、実際の鋳造作業におけるフィルタ
ー金網の鋳型への組み込み時のハンドリングや構造強度
に関しても詳細に調査したところ、前記高温・短時間加
熱の条件においては、Cu又はCu合金が高温により焼
鈍軟化されるため、大径のフィルター金網で短時間に多
量の溶湯を濾過する大型部品の鋳造の際などには、構造
強度が不十分で、取り付け時や注入開始時にフィルター
金網が変形することのあることが明らかとなった。そし
て、この軟化を防止するには、150℃〜300℃の低
温加熱が有効であり、該低温加熱でも十分な膜厚を得る
には、90分〜720分の長時間加熱が必要であること
が判明した。
【0025】以上の検討結果から、大気中での加熱温度
は150℃以上500℃以下、加熱時間は20分以上7
20分以下であることが好ましいといえる。ただし、前
述した如く、適正な加熱温度・加熱時間については、鋳
造条件やフィルター金網の大きさや組み込み位置などの
諸条件に応じて決定する必要がある。なお、加熱温度が
150℃未満では、Cuの酸化が不十分なため、いくら
長時間加熱しても酸化皮膜の成長は小さく、500℃越
えでは、生成する酸化皮膜がポーラスとなり、却って耐
溶出性が劣化する。また、20分未満の加熱時間では、
酸化皮膜の膜厚が十分でなく均一に金網表面を被覆する
ことができず、720分を越えると、酸化皮膜形成に時
間がかかり過ぎるため処理効率が極めて悪くなる。
【0026】このようなNi又はNi合金皮膜、炭素系
皮膜、酸化皮膜などを表面に形成するにあたっては、前
処理として、脱脂、化学エッチング、ショットブラスト
などを施すことで、更に、皮膜の密着性などの諸特性の
向上を図ることができる。特に、酸化皮膜形成前にショ
ットブラストを施した場合の諸特性の向上が顕著である
ことが判明した。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
第一に、フィルター金網の溶解性に及ぼす素地、表面処
理の影響について説明する。まず、本実験に使用したフ
ィルター金網のサンプルの製造方法について説明する。
直径0.5mmのCu素線を交互に編んで、厚さ1.0
mmの14メッシュで金網を形成し、この金網を幅10
0mmに切断してコイル状として、Cu金網を作製す
る。該Cu金網を50mm長さにスリッターで切断した
ものをCu金網サンプルとする。
【0028】そして、前記Cu金網を無電解Niめっき
槽にてめっきした後、50mm長さに切断したものを、
Ni被覆金網サンプルとする。また、前記Cu金網を、
炭素粉末を分散させた水溶液に浸漬して引き上げた後、
乾燥させて50mm長さに切断したものを炭素被覆金網
サンプルとする。さらに、前記Cu金網を、熱処理炉内
で加熱し、炉から引き出して冷却した後、50mm長さ
に切断したものを、表面処理の影響調査用の酸化皮膜被
覆金網サンプルとする。なお、比較材として従来の鉄製
フィルター金網もFe金網サンプルとして実験に供する
こととした。
【0029】次に、実験方法について説明する。Al合
金溶湯を実操業温度の650℃に恒温保持した浴槽内
に、サイズ50mm×100mmの前記各種金網サンプ
ルを複数浸漬し、一定時間経過毎に一枚ずつ引き上げ
て、金網サンプルの溶湯中への溶解の有無を調査した。
この溶解の有無については、付着したAl合金を酸で除
去した後の金網サンプルの重量を、浸漬前の金網サンプ
ルの重量と比較し、その重量差、すなわち減量が、浸漬
前の金網サンプルの重量の5%以上となった場合を溶解
有とした。
【0030】また、各種金網サンプルを実際の鋳造作業
に使用し、溶解炉で湯口片と共に再加熱した場合の結果
についても併記した。なお、本実験に使用したAl合金
としては、JIS AC2B相当品(Cu:2〜4%、
Si:5〜7%、Mg:0.5%以下、Ni:0.35
%以下、Zn:1%以下、Fe:1%以下、残部Al)
のものを使用した。
【0031】調査結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1から分かるように、従来のFe金網サ
ンプルでは、鋳造作業中には溶解せずにフィルター機能
を発揮できるが、溶解炉においてもそのまま残って溶解
しないことがわかる。一方、表面処理を施さないCu金
網サンプルは、一般的な鋳造時間(100秒〜300
秒)浸漬する前に、既に溶解されフィルター機能を失う
が、本発明に係わる表面処理皮膜、特にNi皮膜、炭素
系皮膜、酸化皮膜を表面に形成することにより、鋳造時
間中は金網形状が保持され、溶解炉で再溶解中には溶湯
中に溶解混入することがわかる。とりわけ、本発明の膜
厚、加熱条件においては、長時間側(250秒〜300
秒)での鋳造処理においても、金網形状が保持されて十
分なフィルター機能を発揮できることがわかる。なお、
本浸漬試験は、低加圧下で行ったが、常圧下においても
同様の結果が得られた。
【0034】第二に、酸化皮膜の密着性、耐溶解性に及
ぼす前処理の影響について説明する。まず、本実験の前
処理方法について説明する。前処理条件としては、前処
理なし、脱脂、化学エッチング、ショットブラストの4
種類について調査した。このうち、「前処理なし」と
は、直径0.5mmのCu素線を交互に編んで、厚さ
1.0mmの14メッシュで金網を形成し、この金網を
幅100mmに切断してコイル状のCu金網としたまま
の状態であり、これに対し、「脱脂」とは、該Cu金網
をメタノール中で2分間揺動する処理であり、「化学エ
ッチング」とは、Cu金網を10%塩酸−20%酸化第
二鉄水溶液(浴温50℃)中に5分間浸漬する処理であ
り、「ショットブラスト」とは、Cu金網に空気圧0.
4MPaでアルミナ粒をノズルより吹き付ける処理であ
る。
【0035】以上のような、前処理しないままのCu金
網、及び前記各種前処理を施したCu金網を、熱処理炉
内において、加熱温度400℃、加熱時間50分で加熱
し、炉から引き出して冷却した後、50mm長さに切断
したものを、前処理の影響調査用の酸化皮膜被覆金網サ
ンプルとする。なお、前記の表1に示した酸化皮膜は、
全て「前処理なし」で形成したものである。
【0036】次に、実験方法について説明する。酸化皮
膜の密着性は、酸化皮膜形成後の酸化皮膜被覆金網サン
プル(サイズ50mm×100mm)を、該酸化皮膜被
覆金網サンプルの長手方向略中央部において、曲げ半径
2mmにより一定の曲げ角(内角)で折り曲げ、曲げた
内側の酸化皮膜の剥離の有無を目視によりチェックして
評価し、剥離している場合を剥離発生有とした。
【0037】酸化皮膜の耐溶解性については、前述と同
様に、Al合金溶湯を実操業温度の650℃に恒温保持
した浴槽内に、サイズ50mm×100mmの酸化皮膜
被覆金網サンプルを複数浸漬し、一定時間経過毎に一枚
ずつ引き上げて、酸化皮膜被覆金網サンプルの溶湯中へ
の溶解の有無を調査した。この溶解の有無については、
付着したAl合金を酸で除去した後の酸化皮膜被覆金網
サンプルの重量を、浸漬前の金網サンプルの重量と比較
し、その重量差、すなわち減量が、浸漬前の金網サンプ
ルの重量の5%以上となった場合を溶解有とした。な
お、前処理の影響を明らかにするため、非溶解から溶解
に移行する浸漬時間300秒〜600秒での溶解性につ
いて詳細に調査した。
【0038】次に、調査結果を、表2、表3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】酸化皮膜の密着性については、表2より、
「前処理なし」では、曲げ角90度になると、酸化皮膜
被覆金網サンプルの内側に酸化皮膜の剥離が認められる
のに対し、酸化皮膜形成前に「脱脂」「化学エッチン
グ」「ショットブラスト」を施した酸化皮膜被覆金網サ
ンプルでは、同じ曲げ角90度でも、酸化皮膜の剥離は
認められないことがわかる。とりわけ、「ショットブラ
スト」を施した場合には、曲げ角45度でも酸化皮膜が
剥離せず、曲げ角30度で初めて剥離が発生しており、
酸化皮膜の密着性が著しく向上することがわかる。
【0041】
【表3】
【0042】酸化皮膜の耐溶解性については、表3よ
り、「前処理なし」でも、一般的な鋳造時間(100秒
〜300秒)浸漬する間は、酸化皮膜被覆金網サンプル
の金網形状が保持されて十分なフィルター機能を発揮で
きるが、鋳造時間350秒では溶解され、これに対し
て、酸化皮膜形成前に「脱脂」「化学エッチング」「シ
ョットブラスト」を施した酸化皮膜被覆金網サンプルで
は、同じ鋳造時間350秒でも溶解は認められないこと
がわかる。とりわけ、「ショットブラスト」を施した場
合には、浸漬時間450秒でも酸化皮膜被覆金網サンプ
ルの形状は保持されており、酸化皮膜の耐溶解性が著し
く向上することがわかる。
【0043】本発明では、Al又はAl系合金鋳物の鋳
造に際し、鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯中の不純
物を除去するフィルター金網において、鋳造作業におけ
る溶湯注入開始から凝固完了までは金網形状が保持さ
れ、鋳造作業後に該フィルター金網を含んだ湯口片を切
り離し、該湯口片に残ったAl又はAl系合金を再利用
すべく溶解炉で加熱溶解した際には、フィルター金網も
Al又はAl系合金溶湯中に溶解混入されるようにした
ので、フィルター金網除去のための手間や時間を省略す
ることができ、大幅なコストダウンと作業効率の向上を
図ることができる。さらに、フィルター金網そのものも
Al系合金の構成成分として再利用できるため、省資源
及び産業廃棄物の根絶に大きく貢献することができるの
である。
【0044】また、Al又はAl系合金鋳物の鋳造に際
し、鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯中の不純物を除
去するフィルター金網において、低加圧鋳造作業におけ
る溶湯注入開始から加圧保持完了までは金網形状が保持
され、鋳造作業後に該フィルター金網を含んだ湯口片を
切り離し、該湯口片に残ったAl又はAl系合金を再利
用すべく溶解炉で加熱溶解した際には、フィルター金網
もAl又はAl系合金溶湯中に溶解混入されるようにし
たので、低加圧鋳造適用により鋳造歩留まりを向上でき
るばかりでなく、常圧鋳造と同様に、フィルター金網除
去のための手間や時間を省略して、大幅なコストダウン
と作業効率の向上を図ることができ、さらには、フィル
ター金網そのものもAl系合金の構成成分として再利用
できるため、省資源及び産業廃棄物の根絶に大きく貢献
することができるのである。
【0045】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏する。請求項1においては、
フィルター金網は、Cu又はCu合金を表面処理皮膜で
被覆したので、簡単な処理により、鋳造作業中は溶解せ
ず、溶解炉で再加熱時には溶湯中に溶解混入可能なフィ
ルター金網を得ることができるそして、表面処理皮膜
を、Ni又はNi合金皮膜としたので、簡単な処理によ
り、鋳造作業中は溶解せず、溶解炉で再加熱時には溶湯
中に溶解可能なフィルター金網を得ることができる
【0046】請求項2においては、請求項1記載のNi
又はNi合金皮膜の膜厚が、20μm〜60μmである
ので、長時間の鋳造作業でもフィルター金網の溶解を抑
制することができる
【0047】請求項3においては、表面処理皮膜を、炭
素系皮膜としたので、簡単な処理により、鋳造作業中は
溶解せず、溶解炉で再加熱時には溶湯中に溶解可能なフ
ィルター金網を得ることができる
【0048】請求項4においては、請求項3記載の炭素
系皮膜の膜厚が、5μm〜20μmであるので、長時間
の鋳造作業でもフィルター金網の溶解を抑制することが
できる
【0049】請求項5においては、表面処理皮膜を、酸
化皮膜としたので、簡単な処理により、鋳造作業中は溶
解せず、溶解炉で再加熱時には溶湯中に溶解可能なフィ
ルター金網を得ることができるそして、該酸化皮膜
は、Cu又はCu合金を、大気中において150℃〜5
00℃で20分〜720分加熱して生成させたので、長
時間の鋳造作業でもフィルター金網の溶解を抑制するこ
とができる
【0050】請求項6においては、請求項5記載の酸化
皮膜の前処理として、ショットブラストを適用するの
で、該酸化皮膜の密着性が向上し、皮膜形成後のフィル
ター金網の梱包、運搬、使用時等における酸化皮膜の剥
離を防止することができ、また、酸化皮膜の耐溶解性も
向上し、たとえ、操作ミスなどにより鋳造時間が一般的
な鋳造時間を超えた場合でも、フィルター金網の溶解を
確実に防止することができる
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 芳雄 京都府城陽市奈島フケ37−1 大和金網 株式会社内 (72)発明者 大橋 一夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−207437(JP,A) 特開 平7−223043(JP,A) 特開 昭49−98736(JP,A) 特開 平11−50227(JP,A) 特開 平6−269898(JP,A) 特開2000−312965(JP,A) 特開 平4−99859(JP,A) 実開 平6−83159(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 43/00 B01D 39/10 B22D 21/04 B22C 9/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al又はAl系合金鋳物の鋳造に際し、
    鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯中の不純物を除去す
    るフィルター金網であって、鋳造作業における溶湯注入
    開始から凝固完了までは金網形状が保持され、鋳造作業
    後に該フィルター金網を含んだ湯口片を切り離し、該湯
    口片に残ったAl又はAl系合金を再利用すべく溶解炉
    で加熱溶解した際には、フィルター金網もAl又はAl
    系合金溶湯中に溶解混入されるフィルター金網におい
    て、該フィルター金網の構成材料としてCu又はCu合
    金からなる線材を用い、該フィルター金網をNi又はN
    i合金皮膜よりなる表面処理皮膜で被覆したことを特徴
    とするAl又はAl系合金鋳物用フィルター金網。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のAl又はAl系合金鋳物
    用フィルター金網において、前記フィルター金網を被覆
    するNi又はNi合金皮膜の膜厚が、20μm〜60μ
    mであることを特徴とするAl又はAl系合金鋳物用フ
    ィルター金網。
  3. 【請求項3】 Al又はAl系合金鋳物の鋳造に際し、
    鋳型の湯口やせきに配置されて溶湯中の不純物を除去す
    るフィルター金網であって、鋳造作業における溶湯注入
    開始から凝固完了までは金網形状が保持され、鋳造作業
    後に該フィルター金網を含んだ湯口片を切り離し、該湯
    口片に残ったAl又はAl系合金を再利用すべく溶解炉
    で加熱溶解した際には、フィルター金網もAl又はAl
    系合金溶湯中に溶解混入されるフィルター金網におい
    て、該フィルター金網の構成材料としてCu又はCu合
    金からなる線材を用い、該フィルター金網を炭素系皮膜
    よりなる表面処理皮膜で被覆したことを特徴とするAl
    又はAl系合金鋳物用フィルター金網。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のAl又はAl系合金鋳物
    用フィルター金網において、前記炭素系皮膜の膜厚が、
    5μm〜20μmであることを特徴とするAl又はAl
    系合金鋳物用フィルター金網。
  5. 【請求項5】 Al又はAl系合金鋳物の鋳造に際し、
    鋳型の湯口やせきに 配置されて溶湯中の不純物を除去す
    るフィルター金網であって、鋳造作業における溶湯注入
    開始から凝固完了までは金網形状が保持され、鋳造作業
    後に該フィルター金網を含んだ湯口片を切り離し、該湯
    口片に残ったAl又はAl系合金を再利用すべく溶解炉
    で加熱溶解した際には、フィルター金網もAl又はAl
    系合金溶湯中に溶解混入されるフィルター金網におい
    て、該フィルター金網の構成材料としてCu又はCu合
    金からなる線材を用い、該フィルター金網の表面には、
    大気中において150℃〜500℃で20分〜720分
    加熱して生成させる、酸化皮膜よりなる表面処理皮膜で
    被覆したことを特徴とするAl又はAl系合金鋳物用フ
    ィルター金網。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のAl又はAl系合金鋳物
    用フィルター金網において、前記酸化皮膜の前処理とし
    て、ショットブラストを適用することを特徴とするAl
    又はAl系合金鋳物用フィルター金網。
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