JP3338339B2 - 放電加工機の加工液貯留装置 - Google Patents

放電加工機の加工液貯留装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、放電加工機の加
工液貯留装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は従来の加工液貯留装置を具備した
放電加工機を示している。図8において、10は放電加
工機の基台を、12は基台10上に載置された加工槽
を、14は加工槽12内に設置されて被加工物Wを搭載
されるワークテーブルを、16は加工液供給装置を、1
8は電極(ワイヤ電極)を各々示している。加工液供給
装置16は絶縁性の加工液Lを加工槽12内に供給する
ものであり、加工槽12内において加工物Wは加工液L
中に浸漬される。
【0003】図9に示されているように、加工槽12の
前面部は、加工槽12内に対する被加工物Wの設置等を
容易にするために、全面開口しており、この開口部20
は昇降扉22によって開閉されるようになっている。昇
降扉22は加工槽12の一側壁をなし、昇降扉22の昇
降は流体供給制御手段82によって流体の供給を制御さ
れる流体圧シリンダ装置80(図8参照)により行われ
る。
【0004】図10、図11に示されているように、加
工槽12の開口部20の横転コの字形の周縁部26には
加工液Lの漏れを防ぐためのゴム等の気密用のシール部
材24が取り付けられている。周縁部26の裏面には管
状弾性部材30が取り付けられている。管状弾性部材3
0は、流体供給制御手段32によって流体を選択的に充
満、排出され、管内に流体を供給されることによって図
11に示されているように膨張し、昇降扉22の横転コ
の字形の外縁部に形成されて加工槽12の周縁部26を
取り巻くコの字形折曲部28に作用して昇降扉22を加
工槽12の周縁部26に押し付ける。
【0005】加工液Lを加工槽12内に貯留する場合に
は、流体圧シリンダ装置80によって昇降扉22を上昇
させて開口部20を遮閉し、管状弾性部材30により昇
降扉22を加工槽12の側へ押し付け、昇降扉22をシ
ール部材24に密着させることによって加工液Lの漏れ
を防ぐ状態で、加工液Lを加工槽12に流入する。
【0006】加工液Lの貯留状態から、開口部20を開
放して被加工物Wの設置等する場合には、加工槽12に
充満されている加工液Lを槽外に排出し、管状弾性部材
30から流体を排出し、流体排出が完了した時点で流体
圧シリンダ装置80によって昇降扉22を降下させ、開
口部20を開放する。
【0007】加工工程では、図示しない電源から電極1
8と被加工物Wとにパルス電流を通電し、加工液Lを介
した電極18と被加工物Wとの微小間隙に放電を発生さ
せて加工槽12内の加工液中で加工処理が行われる。加
工により汚濁した加工液Lは加工液供給装置16に回収
され、フィルタ等を介して濾過したのち再度循環させて
供給される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の加
工液貯留装置では、昇降扉22の昇降移動時に、昇降扉
22の昇降が開口部20を完全に遮閉あるいは開放しな
い位置で停止した場合の検出が不可能であり、このため
加工槽12への加工液Lの供給や、自動化によるつぎの
動作の制御に支障を生じる。
【0009】また、加工槽12と昇降扉22の昇降移動
部に異物等が混入し、昇降扉22の昇降移動が妨げられ
るような不意の事態が発生した場合、不意の事態より解
放された後に昇降扉22の飛び出しが発生する。
【0010】また、開口部20を遮閉あるいは開放する
ための昇降扉22の昇降移動過程で、昇降扉22がシー
ル部材24に接触し、シール部材24に損傷が生じる
と、加工槽12外への加工液Lの漏れが発生する。
【0011】この発明は、上述のような問題点を解決す
るためになされたものであり、安全性を向上し、自動化
にも対応できる放電加工機の加工液貯留装置を得ること
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、この発明による放電加工機の加工液貯留装置は、
加工液を貯留する加工槽に設けられた開口部が昇降扉に
より開閉される放電加工機の加工液貯留装置において、
前記昇降扉の昇降位置を検出する扉位置検出手段と、前
記扉位置検出手段によって前記昇降扉が正規の下限位置
か上限位置に位置していることを確認しない限り、前記
昇降扉の昇降移動を開始しない制御手段とを有している
ものである。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】つぎの発明による放電加工機の加工液貯留
装置は、加工液を貯留する加工槽に設けられた開口部が
昇降扉により開閉され、前記開口部の周縁部にはシール
部材が設けられ、前記昇降扉が上限位置に位置している
状態では管状弾性部材に対する流体供給による当該管状
弾性部材の膨張により前記昇降扉がシール部材に押し付
けられることによって前記加工槽の液密を保つ放電加工
機の加工液貯留装置において、前記昇降扉をシール部材
より引き離す方向に駆動するアクチュエータを有し、前
記管状弾性部材の流体排出時に前記アクチュエータによ
って前記昇降扉をシール部材より引き離す方向に駆動
し、前記管状弾性部材より流体を強制的に排出するもの
である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照してこの発
明に係る放電加工機の加工液貯留装置の実施の形態を詳
細に説明する。なお、以下に説明するこの発明の実施の
形態において、上述の従来例と同一構成の部分は、上述
の従来例に付した符号と同一の符号を付してその説明を
省略する。
【0019】実施の形態1.図1〜図3はこの発明によ
る加工液貯留装置の実施の形態1を示している。加工槽
12にはリミットスイッチ等の扉位置検出手段84a、
84bが固定され、昇降扉22には扉位置検出手段84
a、84bを動作させる突起片86が設けられている。
【0020】扉位置検出手段84aは、図2に示されて
いるように、突起片86との接触により昇降扉22の正
規の下限位置を検出し、扉位置検出手段84bは、図3
に示されているように、突起片86との接触により昇降
扉22の正規の上限位置を検出する。
【0021】扉位置検出手段84a、84bは流体供給
制御手段82と接続され、流体供給制御手段82は、扉
位置検出手段84a、84bの何れからの信号によって
昇降扉22が正規の下限位置か上限位置に位置している
ことを確認しない限り、流体圧シリンダ装置80に対す
る新たな流体の供給を開始しない。また、扉位置検出手
段84は加工液供給装置16と接続され、加工液供給
装置16は、昇降扉22が正規の上限位置にあって開口
部20を遮閉した状態を扉位置検出手段84bと突起8
6との接触で検出している時のみ加工槽12に対する加
工液Lの供給を許可する。
【0022】上述の制御により、図2に示されているよ
うに、昇降扉22が正規の下限位置にあって開口部20
開放した状態を扉位置検出手段84aと突起86との
接触で検出している時のみ流体供給制御手段82は流体
圧シリンダ装置80に昇降扉22が上昇移動する方向に
流体を供給することを許可し、図3に示されているよう
に、昇降扉22が正規の上限位置にあって開口部20を
遮閉した状態を扉位置検出手段84bと突起86との接
触で検出している時のみ流体供給制御手段82は流体圧
シリンダ装置80に昇降扉22が下降移動する方向に流
体を供給することを許可する。
【0023】これにより、昇降扉22の昇降移動時に、
昇降扉22の昇降が開口部20を完全に遮閉あるいは開
放しない位置で停止したことが検出でき、昇降扉22が
加工槽12の開口部20を遮閉あるいは開放する正規の
位置にないと、流体圧シリンダ装置80に新たに流体が
供給されず、昇降扉22の昇降移動は開始されない。こ
のことにより、昇降扉22の不完全な位置からの昇降動
作を防止でき、また昇降扉22の位置検出により自動化
による被加工物Wの搬入ミスを防止できる。
【0024】昇降扉22が正規の上限位置にあって開口
部20を遮閉した状態を扉位置検出手段84bと突起8
6との接触で検出している時のみ加工槽12に対する加
工液Lの供給を許可するから、昇降扉22が加工槽12
の開口部20を遮閉する正規の位置に位置してないと、
加工槽12へ加工液Lが供給されない。このことによ
り、昇降扉22が不完全な昇降位置にある状態で、加工
槽12への加工液Lの供給を開始するミスが防止され
る。
【0025】実施の形態2.図4はこの発明による加工
液貯留装置の実施の形態2を示している。流体供給制御
手段82より流体圧シリンダ装置80に対して流体の給
排を行う流路の途中に3位置電磁弁88と、減圧弁90
とが設けられている。
【0026】3位置電磁弁88は、ソレノイド88aに
通電が行われることによってa位置に切り替わり、流体
圧シリンダ装置80の上側のシリンダ室80aに圧力流
体を供給して昇降扉22を下降させ、ソレノイド88b
に通電が行われることによってb位置に切り替わり、流
体圧シリンダ装置80の下側のシリンダ室80に圧力
流体を供給して昇降扉22を上昇させ、ソレノイド88
aとソレノイド88bの何れにも通電が行われない非通
電時にはc位置に位置してシリンダ室80aとシリンダ
室80bの何れにも圧力流体を供給する。
【0027】減圧弁90は昇降扉22を下降させるシリ
ンダ室80aへの圧力流体を減圧するものであり、3位
置電磁弁88の非通電時には、シリンダ室80aとシリ
ンダ室80bの両方に圧力流体が供給され、減圧器90
によって昇降扉22の自重分が減圧されることにより、
昇降扉22は、中立状態となり、昇降移動範囲のどの位
置でも停止し、その停止位置を維持することができる。
これにより、昇降扉22の昇降移動中に停電が発生した
こと等によって3位置電磁弁88に対する通電が停止さ
れても、昇降扉22は現状の位置で停止する。
【0028】また、扉位置検出手段84aがオフして扉
位置検出手段84bがオンするまでの経過時間(昇降扉
の上昇時間)、および扉位置検出手段84bがオフして
扉位置検出手段84aがオンするまでの経過時間(昇降
扉の降下時間)を計測し、昇降扉22の上昇中あるいは
下降中に異物等の混入により昇降扉22の昇降が妨げら
れるような不意の事態が発生したことによって、扉位置
検出手段84aがオフして扉位置検出手段84bがオン
するまでの経過時間が一定時間を超える場合、あるい
は、扉位置検出手段84bがオフして扉位置検出手段8
4aがオンするまでの経過時間が一定時間を超える場合
には、3位置電磁弁88を非通電とし、昇降扉22の昇
降を停止し、昇降扉22を現状位置に停止させることが
できる。これにより、不意の事態が解放された後の昇降
扉22の急な飛び出し等の未然に防止できる。
【0029】実施の形態3.図5はこの発明による加工
液貯留装置の実施の形態3を示している。加工槽12に
は昇降扉22のコの字形折曲部28に裏面に転動可能に
低摺動抵抗で接触するガイドローラ92が設けられお
り、ガイドローラ92はばね部材94によってコの字形
折曲部28に押し付けられている。ばね部材94は昇降
扉22をシール部材24より引き離す方向に付勢してお
り、このばね部材94による押付力は、管状弾性部材3
0の膨張によって昇降扉22を加工槽12の周縁部26
に押し付ける押付力より小さい値に設定されている。
【0030】この実施の形態では、管状弾性部材30に
流体が供給されると、管状弾性部材30が膨張し、ばね
部材94のばね力に抗して昇降扉22が従来通り加工槽
12の周縁部26に押し付けられ、昇降扉22がシール
部材24に密着し、加工液Lの漏れを防ぐ状態になる。
【0031】これに対し、昇降扉22の昇降時に、管状
弾性部材30に対する流体の供給が停止されると、ばね
部材94のばね力によりガイドローラ92を介して昇降
扉22が加工槽12の周縁部26より離れる方向に押さ
れ、昇降扉22がシール部材24より確実に離間する。
【0032】これにより、昇降扉22はシール部材24
より必ず離間した状態で昇降し、昇降扉22の昇降過程
で、昇降扉22がシール部材24を擦ることによってシ
ール部材24に損傷が生じることが回避され、シール部
材24の損傷による加工液Lの漏れを防止できる。
【0033】実施の形態4. 図6、図7はこの発明による加工液貯留装置の実施の形
を示している。この実施の形態では、ガイドローラ
92がリニアソレノイドや流体圧シリンダ装置のような
リニアアクチュエータ96により前後進駆動されるよう
になっている。
【0034】この実施の形態においては、昇降扉22の
昇降過程および加工槽12の開口部20を開放にした状
態下では、図6に示されているように、リニアアクチュ
エータ96によってガイドローラ92を前進移動させて
昇降扉22を加工槽12の周縁部26より離れる方向に
強制移動させ、管状弾性部材30に流体を供給して管状
弾性部材30を膨張させる過程では、管状弾性部材30
の膨張を阻害しないよう、図7に示されているように、
リニアアクチュエータ96によってガイドローラ92を
後退移動させる。
【0035】これにより、昇降扉22はシール部材24
より強制的に離間された状態で昇降し、昇降扉22の昇
降過程で、昇降扉22がシール部材24を擦ることによ
ってシール部材24に損傷が生じることが確実に回避さ
れ、シール部材24の損傷による加工液Lの漏れを防止
できる。
【0036】なお、リニアアクチュエータ96の駆動
は、管状弾性部材30の内圧を検出して行うことがで
き、管状弾性部材30の内力が所定値以下になれば、リ
ニアアクチュエータ96を前進駆動すればよい。
【0037】また、管状弾性部材30の収縮開始と同時
にリニアアクチュエータ96を前進駆動し、ガイドロー
ラ92を前進させることにより、昇降扉22が管状弾性
部材30を圧迫し、管状弾性部材30の流体を強制的に
排出することができる。これにより、管状弾性部材30
よりの流体排出時間が短縮され、一連の動作の時間短
縮が図れる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から理解される如く、この発
明による放電加工機の加工液貯留装置によれば、扉位置
検出手段によって昇降扉が正規の下限位置か上限位置に
位置していることを確認しない限り、昇降扉の昇降移動
を開始しないから、昇降扉の不完全な昇降位置からの昇
降動作を防止でき、また自動化による被加工物の搬入ミ
スを防止できる。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】つぎの発明による放電加工機の加工液貯留
装置によれば、管状弾性部材の流体排出時にアクチュエ
ータによって昇降扉をシール部材より引き離す方向に駆
動し、管状弾性部材より流体を強制的に排出するから、
管状弾性部材よりの流体排出時間が短縮され、一連の動
作の時間短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
1を示す斜視図である。
【図2】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
1を昇降扉降下状態について示す側面図である。
【図3】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
1を昇降扉上昇状態について示す側面図である。
【図4】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
2を示す構成図である。
【図5】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
3を示す要部の平面図である。
【図6】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
4を示す要部(シール解放時)の平面図である。
【図7】 この発明による加工液貯留装置の実施の形態
4を示す要部(シール時)の平面図である。
【図8】 従来における加工液貯留装置を具備した放電
加工機を示す正面図である。
【図9】 従来における加工液貯留装置の概略構成を示
す斜視図である。
【図10】 従来における加工液貯留装置(シール解放
時)を示す平面図である。
【図11】 従来における加工液貯留装置(シール時)
を示す平面図である。
【符号の説明】
12 加工槽,16 加工液供給装置,18 電極,2
0 開口部,22 昇降扉,24 シール部材,30
管状弾性部材,32 流体供給制御手段,80流体圧シ
リンダ装置,82 流体供給制御手段,84a,84b
扉位置検出手段,86 突起片,88 3位置電磁
弁,90 減圧弁,92 ガイドローラ,94 ばね部
材,96 リニアアクチュエータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−319725(JP,A) 特開 昭63−295326(JP,A) 特開 平4−115818(JP,A) 特開 昭62−102924(JP,A) 特開 平2−298431(JP,A) 特開 昭61−136729(JP,A) 特開 昭60−108228(JP,A) 特公 平6−88173(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23H 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工液を貯留する加工槽に設けられた開
    口部が昇降扉により開閉される放電加工機の加工液貯留
    装置において、 前記昇降扉の昇降位置を検出する扉位置検出手段と、 前記扉位置検出手段によって前記昇降扉が正規の下限位
    置か上限位置に位置していることを確認しない限り、前
    記昇降扉の昇降移動を開始しない制御手段と、 を有していることを特徴とする放電加工機の加工液貯留
    装置。
  2. 【請求項2】 加工液を貯留する加工槽に設けられた開
    口部が昇降扉により開閉され、前記開口部の周縁部には
    シール部材が設けられ、前記昇降扉が上限位置に位置し
    ている状態では管状弾性部材に対する流体供給による当
    該管状弾性部材の膨張により前記昇降扉がシール部材に
    押し付けられることによって前記加工槽の液密を保つ放
    電加工機の加工液貯留装置において、 前記昇降扉をシール部材より引き離す方向に駆動するア
    クチュエータを有し、前記管状弾性部材の流体排出時に
    前記アクチュエータによって前記昇降扉をシール部材よ
    り引き離す方向に駆動し、前記管状弾性部材より流体を
    強制的に排出することを特徴とする放電加工機の加工液
    貯留装置。
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