JP3336905B2 - アクチュエータ駆動回路 - Google Patents

アクチュエータ駆動回路

Info

Publication number
JP3336905B2
JP3336905B2 JP12223697A JP12223697A JP3336905B2 JP 3336905 B2 JP3336905 B2 JP 3336905B2 JP 12223697 A JP12223697 A JP 12223697A JP 12223697 A JP12223697 A JP 12223697A JP 3336905 B2 JP3336905 B2 JP 3336905B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
capacitor
current
voltage
series
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12223697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10311239A (ja
Inventor
以清 延原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP12223697A priority Critical patent/JP3336905B2/ja
Publication of JPH10311239A publication Critical patent/JPH10311239A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3336905B2 publication Critical patent/JP3336905B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は例えばインジェク
タソレノイド等のアクチュエータを駆動するアクチュエ
ータ駆動回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、 燃焼効率の向上を図るため、 ガソ
リンエンジンのシリンダにインジェクタ(燃料噴射弁)
を配設し、 シリンダ内に燃料を直接噴射することが試み
られている。 このシリンダ内への燃料の直接噴射によれ
ば、 インジェクタから供給されるガソリン燃料は全てシ
リンダ内に供給されるので、より理論値に近い燃焼を実
現することが可能となり、 燃費の向上、排気ガス中のN
Ox 、HC等の低減を実現することができる。
【0003】しかし直接噴射の場合、 ガソリン燃料が噴
射される空間はシリンダブロック、ピストン及びシリン
ダヘッドによって構成される空間であり、 圧縮行程中で
の噴射を考えるとインテークマニホルド内に噴射される
場合と比較して、非常に高い圧力下で噴射を行わなけれ
ばならない。また、燃料噴射後において燃料が充分拡散
される空間的、 時間的余裕がない。従って、このような
条件下において、 従来と同等の燃焼条件を得るために
は、 インジェクタに供給されるガソリン燃料の燃圧を高
くして、シリンダ内に噴射された瞬間から燃料を充分に
拡散させる必要がある。そのためには、 高い燃圧に抗し
てインジェクタを高速駆動させるとともに、燃料噴射時
間を正確にコントロールする必要があり、 その駆動回路
としても、アクチュエータ(インジェクタソレノイド)
に短時間に高電圧を印加して、 インジェクタのニードル
バルブを高速で開閉動作させる必要がある。
【0004】ここで、上述したような直接噴射インジェ
クタ用のアクチュエータ駆動回路としては、例えば図1
1に示すようなものが考えられている。以下、その構成
について説明する。
【0005】バッテリBの両端子には昇圧回路51が接
続され、昇圧回路51の出力端子にはスイッチSW3を
介してコンデンサC51が接続されている。コンデンサ
C51の両端子間には、スイッチSW1、インジェクタ
ソレノイドL、抵抗Rが直列に接続されている。
【0006】一方、バッテリBのプラス端子には降圧回
路52、定電流回路53、スイッチSW2とツェナーダ
イオードZDとの並列回路、 及び逆流防止ダイオードD
が直列に接続され、該ダイオードDのカソード端子が上
記インジェクタソレノイドLとスイッチSW1との接続
点に接続されている。前記逆流防止ダイオードDは、コ
ンデンサC51の充電電流が同コンデンサC51からス
イッチSW2側へ流れるのを防止するものである。な
お、前記各スイッチSW1〜SW3は図示しない制御装
置によってオン/オフ(ON/OFF)制御されるトラ
ンジスタ、トライアック等のスイッチング素子によって
構成されている。また、ツェナーダイオードZDはスイ
ッチSW2を構成するそれらスイッチング素子を過電圧
から保護するために設けられている。
【0007】次に、図12を併せ参照して、上記のよう
に構成されたアクチュエータ駆動回路の動作を説明す
る。いま、コンデンサC51が昇圧回路51により予め
充電され、そのコンデンサ電圧Vc51が、図12(e)
に示す態様で高電圧状態にあるとすると、まず、インジ
ェクタソレノイドLの駆動時期並びに駆動時間情報が含
まれるアクチュエータ駆動信号がONとなる時刻t1に
スイッチSW1をONとして、この充電による高電圧を
インジェクタソレノイドLに印加する。このときLCR
共振によりインジェクタソレノイド電流ISOL はピーク
値に達するとともにインジェクタのニードルバルブが全
開する。そして、このスイッチSW1をそのままONし
続けることにより、コンデンサ電圧Vc51はゼロクロス
して、インジェクタソレノイド電圧VSOL も図12
(f)に示す態様で負電圧になる。
【0008】次に、時刻t2に、 図12(b)及び
(c)に示す態様でスイッチSW1をOFFするととも
にスイッチSW2をONし、上記ピーク値に比べ小さな
インジェクタソレノイド電流ISOL (保持電流)を降圧
回路52及び定電流回路53を通じてインジェクタソレ
ノイドLに供給する。 この保持電流は、上記ニードルバ
ルブを所定時間開状態に維持するための定電流である。
そしてその値は、同ニードルバルブを開くための必要最
小限の電流値とし、インジェクタソレノイドLの発熱を
防止している。
【0009】続いて、上記アクチュエータ駆動信号のO
FFタイミングとなる時刻t3で、スイッチSW2をO
FFし、上記保持電流の供給を停止する。これによりニ
ードルバルブは閉弁され、当該インジェクタによる燃料
の噴射も停止される。
【0010】その後、適当なタイミングである時刻t4
にスイッチSW3をONし、昇圧回路51による昇圧の
もとに、図12(e)に示す態様でコンデンサC51を
再充電する。充電完了後は時刻t5にスイッチSW3を
OFFとして、次にスイッチSW1がONとされるタイ
ミング(t1)まで待機する。
【0011】図11に示したアクチュエータ駆動回路を
通じてこうした動作が繰り返し実行されることにより、
インジェクタソレノイドLには、図12(g)に示され
る態様でその駆動電流が供給されるようになる。すなわ
ち上述のように、こうした回路では、高い燃圧に抗して
ニードルバルブを高速駆動させるとともに、燃料噴射時
間を正確にコントロールする必要があるため、図12の
時刻t1,t2間においてインジェクタソレノイド電流
SOL のピーク部分(10〜20A)が必要となる。 と
ころが、インジェクタソレノイドLにこのピーク電流を
流してニードルバルブを高速駆動させるためには、車載
バッテリBの電圧12Vでは不足である。そのため、昇
圧回路51で約180V〜250Vの電圧を発生させ、
それをコンデンサC51に充電し、所定タイミングで一
気にインジェクタソレノイドLに印加して上記所望のピ
ーク電流値を得ている。また、一旦ニードルバルブを開
弁した後は、インジェクタソレノイド電流ISOL 値を上
記保持電流に切替えて同ニードルバルブの開状態を所定
時間維持している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記駆動回
路にあっては、エンジンの回転数によらない常に安定し
た燃料噴射を実現すべく、昇圧回路51及びコンデンサ
C51を複数ある気筒の各気筒に対応して共通に設ける
構成とした場合、それら昇圧回路51及びコンデンサC
51の電力容量も自ずと大きくする必要がある。そのた
め、昇圧回路51及びコンデンサC51としてそれぞれ
大型のものを使用する必要が生じ、同回路を小型化する
ことが困難となっている。
【0013】また、上記駆動回路にあっては、上記降圧
回路52が各気筒に対応して配される構成となるため、
それら気筒毎に専用の降圧回路52,定電流回路53,
スイッチSW2及び逆流防止ダイオードD等を設ける必
要がある。そのため、回路構成が複雑であるとともに部
品点数も自ずと多いものとならざるを得なかった。
【0014】なお、上述したインジェクタ用アクチュエ
ータ駆動回路に限らず、複数のアクチュエータに対し、
図12(g)に例示した態様で駆動電流を供給する回路
にあっては、こうした実情も概ね共通したものとなって
いる。
【0015】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、複数のアクチュエータ
に上記態様の電流を供給する場合であれ、小型化、簡素
化の可能なアクチュエータ駆動回路を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明は、複数のアクチュエータを
構成する複数のソレノイドをその各駆動当初のみ大電流
駆動し、その後の所定時間はより小さな電流にて定電流
駆動するアクチュエータ駆動回路において、前記大電流
駆動信号の生成時にオンされるスイッチング素子を介し
て昇圧回路と共振回路とを直列接続するとともに、これ
ら昇圧回路及び共振回路の直列回路と前記定電流駆動信
号を生成する降圧回路とを逆流電流を阻止するダイオー
ドを介して共通接続し、その共通接続点に、前記各ソレ
ノイドとそれらソレノイドに対する通電の有無を選択す
るスイッチング回路との直列回路を並列接続したことを
その要旨とする。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載のア
クチュエータ駆動回路において、前記共振回路は前記ス
イッチング素子に直列接続されたインダクタンス素子と
キャパシタンス素子との直列回路を有して構成され、前
記降圧回路は降圧用スイッチング素子と降圧用インダク
タンス素子との直列回路を有して構成されるとともに、
降圧用インダクタンス素子の出力端が前記逆流電流を阻
止するダイオードを介して前記共振回路のインダクタン
ス素子とキャパシタンス素子との接続点に共通接続され
てなることをことをその要旨とする。
【0018】上記請求項1及び2の構成によれば、昇圧
回路及び降圧回路をアクチュエータに対して共有化する
ことができ、アクチュエータ駆動回路を小型化、簡素化
できるとともに低コスト化できる。また、昇圧回路に接
続された共振回路により昇圧回路の出力電圧がさらに昇
圧されるため、昇圧回路の負担が軽減され昇圧回路のス
イッチング素子が小型化される。また同構成によれば、
大電流駆動信号の生成時にオンされる前記スイッチング
素子を設けたことにより前記昇降圧回路を連続駆動する
ことが可能となるため、同駆動回路に必要な制御信号も
簡素化される。
【0019】請求項3記載の発明は、請求項1記載のア
クチュエータ駆動回路において、前記共振回路は前記ス
イッチング素子に直列接続されたインダクタンス素子と
キャパシタンス素子との直列回路を有して構成され、前
記降圧回路は降圧用スイッチング素子が前記逆流電流を
阻止するダイオードを介して前記共振回路のインダクタ
ンス素子に直列接続され、該インダクタンス素子を降圧
用インダクタンス素子として共用することをその要旨と
する。
【0020】同構成によれば、直列共振回路のインダク
タンス素子と降圧用のインダクタンス素子が共用される
ため、アクチュエータ駆動回路をさらに小型化、簡素化
できるとともに低コスト化できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]以下、本発明をエンジンのインジ
ェクタソレノイドを駆動する回路に具体化した第1の実
施の形態を図1〜図5にしたがって説明する。
【0022】図1は、第1の実施の形態である4気筒エ
ンジンのインジェクタソレノイドを駆動するアクチュエ
ータ駆動回路10を示している。図1において、バッテ
リBaは駆動回路10の電源であり、その出力電圧は1
2Vである。この出力電圧が印加される昇圧コンバータ
回路(以下、昇圧コンバータ)11は、インダクタンス
素子であるコイルL1、昇圧スイッチングトランジスタ
(以下、昇圧トランジスタ)Q1、フリーホイールダイ
オード(逆流防止も兼ねる)D1、コンデンサC1等で
構成されている。なお、昇圧トランジスタQ1は、ベー
ス端子b1に入力される図2に示すコントロール信号発
生部17からの制御信号によりデューティ制御される。
【0023】一方、同じくバッテリBaからその出力電
圧が印加される降圧コンバータ回路(以下、降圧コンバ
ータ)12は、降圧スイッチングトランジスタ(以下、
降圧トランジスタ)Q2、フリーホイールダイオードD
2、インダクタンス素子であるコイルL2等で構成され
ている。なお、降圧トランジスタQ2も、前記昇圧トラ
ンジスタQ1と同様に、そのベース端子b2に入力され
る図2に示すコントロール信号発生部17からの制御信
号によりデューティ制御される。
【0024】また、前記昇圧コンバータ11の出力は直
列共振回路13に接続されている。同直列共振回路13
は逆阻止3端子サイリスタ(以下、サイリスタ)Q3、
コイルL3及び高電圧印加用コンデンサ(以下、コンデ
ンサ)C2で構成されている。なお、サイリスタQ3
は、ゲート端子Gに入力される図2に示すコントロール
信号発生部17からの制御信号によりそのターンオンが
制御される。
【0025】前記直列共振回路13と降圧コンバータ1
2とは、逆流防止ダイオードD3の出力端と逆流防止ダ
イオードD4の出力端とにおいて共通接続され負荷(イ
ンジェクタソレノイド)に対して共通化されている。
【0026】また、気筒切替回路14A〜14Dは、そ
れぞれ噴射制御スイッチングトランジスタ(以下、噴射
制御トランジスタ)Q4A〜Q4D及び消弧回路(ダイ
オードD5A〜D5D及びツェナーダイオードD6A〜
D6Dのそれぞれの直列接続よりなる)を備えている。
この噴射制御トランジスタQ4A〜Q4Dのコレクタに
は各インジェクタソレノイドINJA 〜INJD が直列
に接続されている。
【0027】なお、前記インジェクタソレノイドINJ
A 〜INJD は、図示しないインジェクタ(燃料噴射弁
装置)に内蔵されるアクチュエータソレノイドである。
前記インジェクタは周知のように、インジェクタソレノ
イドINJA 〜INJD 内を摺動するプランジャと、 プ
ランジャに固定されたニードルバルブと、 そのニードル
バルブを閉弁方向に付勢するスプリングを備えている。
そして、インジェクタソレノイドINJA 〜INJD
所定の電圧が印加され同ソレノイドINJA 〜INJD
に所定の電流が流れると、同ソレノイドINJA 〜IN
D の電磁作用によりプランジャがニードルバルブに付
与されている前記スプリングの弾性力及び燃圧に抗して
開弁方向に移動し、 ニードルバルブ先端にて閉塞されて
いた噴射孔が開放され燃料が気筒内に噴射される。
【0028】図2に示す制御回路15は、電子制御ユニ
ット(以下「ECU」という)16、コントロール信号
発生部17を備えている。 ECU16は図示しない中央
処理装置(CPU)を備えている。またECU16に
は、エンジンの作動状態を検出するために、各種センサ
(図示しない)が接続されている。すなわち、ECU1
6には、例えばエアーフローメータ、吸気温センサ、ス
ロットルセンサ、水温センサ、酸素センサ、エンジン回
転数センサ等からの検出信号が入力される。ここでエア
ーフローメータはエンジンが吸入する吸入空気量を計測
するものであり、吸気温センサは吸気通路を流通する吸
入空気の温度変化を検出する。吸気温は、インジェクタ
の先端部の周囲の雰囲気温度に相当する。スロットルセ
ンサは吸気通路に設けられたスロットル弁の開度(スロ
ットル開度)を検出する。水温センサはエンジンのウォ
ータアウトレット部に取付けられ、エンジンの冷却水の
温度(冷却水温)を検出する。酸素センサは排気マニホ
ルド内の排気ガス中の酸素濃度を検出する。
【0029】また前記ECU16には、コントロール信
号発生部17が信号線18を介して接続されている。前
記CPUは図示しないROMに格納した制御プログラム
に従い前記各センサからの検出信号に基づいてエンジン
の運転状態を判断し、その運転状態に対応した制御信号
をこのコントロール信号発生部17に対して信号線18
を介して入力する。コントロール信号発生部17は、前
記昇圧トランジスタQ1及び降圧トランジスタQ2の各
ベース端子b1,b2、サイリスタQ3のゲート端子G
及び噴射制御トランジスタQ4A〜Q4Dの各ベース端
子b4A〜b4Dに対して各信号線を介して接続されて
いる。そして、このコントロール信号発生部17は、E
CU16から入力される制御信号に基づいて、 所定タイ
ミンング毎に昇圧トランジスタQ1、降圧トランジスタ
Q2及び各噴射制御トランジスタQ4A〜Q4Dを個別
にオン/オフ(ON/OFF)制御するとともにサイリ
スタQ3をオン制御する。
【0030】次に、上記構成による駆動回路10の動作
を制御回路15の動作とともに図3〜図5に従って説明
する。駆動回路10の動作に先立って、昇圧コンバータ
11及び降圧コンバータ12の動作を図3及び図4に基
づいて説明する。
【0031】まず昇圧コンバータ11の動作を図3に基
づいて説明する。同図3(a)〜図3(c)に示すよう
に、連続的にデューティ制御されている昇圧トランジス
タQ1のON期間において、コイルL1に流れる電流I
L1( 以下、コイル電流IL1)は昇圧トランジスタQ1に
流れる電流IQ1と同様の波形で時間経過とともにほぼ直
線状に増加する。そして、昇圧トランジスタQ1のター
ンOFFに同期してコイルL1に蓄積された電磁エネル
ギーは、フリーホイールダイオードD1を経由しコンデ
ンサC1を充電しながら放出される。そのため、コンデ
ンサC1の電圧VC1(以下、コンデンサ電圧VC1)は図
3(d)に示すように、昇圧トランジスタQ1のターン
OFFのたびに階段状に増加し所定電圧に達する。そし
て、コンデンサ電圧VC1は、充電により常時ほぼ一定の
電圧に維持されている。
【0032】なお、コンデンサC1の充電期間τcは、
トランジスタQ1のターンOFFからコイル電流IL1が
ゼロになるまでの期間であり、無負荷の場合は以下に示
すコイルL1とコンデンサC1の共振周期T、すなわち T=2π√(L1・C1) の1/4の期間となる。
【0033】また、一充電当たりのコンデンサ電圧VC1
の電圧上昇ΔVは ΔV=IL1p√( L1/C1) である。
【0034】ここで、L1はコイルL1のインダクタン
ス、C1はコンデンサC1のキャパシタンス、IL1pは
コイル電流IL1のピーク値とする。次に、降圧コンバー
タ12の動作を図4に基づいて説明する。
【0035】図4(a)及び(d)に示すように、同じ
く連続的にデューティ制御されている降圧トランジスタ
Q2のON期間において、いま例えば噴射制御トランジ
スタQ4AがON制御されているとすると、コイルL2
には、バッテリBa、降圧トランジスタQ2、コイルL
2、逆流防止ダイオードD4、インジェクタソレノイド
INJA 、及びこれに直列接続される噴射制御トランジ
スタQ4Aの閉ループに対応した電流IL2( 以下、コイ
ル電流IL2)が流れる。このコイル電流IL2は、図4
(b)及び(d)に示すように、降圧トランジスタQ2
に流れる電流IQ2と同様の波形で時間経過とともにほぼ
直線状に増加する。一方、降圧トランジスタQ2のOF
F期間では、コイル電流IL2は、コイルL2、逆流防止
ダイオードD4、インジェクタソレノイドINJA 、こ
れに直列接続される噴射制御トランジスタQ4A、及び
フリーホイールダイオードD2の閉ループで流れる。そ
してこのとき、コイルL2に蓄積された電磁エネルギー
はインジェクタに放出されるため、コイル電流IL2は、
図4(c)及び(d)に示すように、フリーホイールダ
イオードD2に流れる電流ID2と同様の波形で時間経過
とともにほぼ直線状に減少する。ただし、全ての噴射制
御トランジスタQ4A〜Q4DがOFFの場合は、バッ
テリBa、コイルL2を含む閉ループが形成されないた
めコイル電流IL2は流れない。降圧トランジスタQ2
は、前記コントロール信号発生部17からの制御信号に
よりダイオードD4の負荷側電圧が所定値を維持あるい
はコイル電流IL2のピーク値が所定値となるよう連続的
にデューティ制御される。
【0036】次に、図5に基づいて駆動回路10の動作
を説明する。なお、各気筒において動作は同じであるた
め、ここでは便宜上、A気筒に関する動作についてのみ
説明する。また、図5(a)及び(k)に示すように、
昇圧トランジスタQ1及び降圧トランジスタQ2は、コ
ントロール信号発生部17からの制御信号により連続的
にデューティ制御されている。
【0037】昇圧コンバータ11の動作によりコンデン
サ電圧VC1は、図5(e)に示すように、常時ほぼ一定
の直流電圧に保たれている。この状態で、図5(b)に
示すように、時刻t1においてサイリスタQ3のゲート
Gに前記コントロール信号発生部17からトリガ(O
N)信号Q3VGKが印加されると、サイリスタQ3がO
Nし、コンデンサC1、サイリスタQ3、コイルL3及
びコンデンサC2による閉ループが形成される。そして
このとき、コイルL3とコンデンサC2による直列共振
により、サイリスタQ3には図5(c)に示すような正
弦半波状の共振電流IQ3が流れる。なおこのとき、コイ
ルL3により、コンデンサC2への充電時の突入電流が
低減されるとともに、サイリスタQ3のターンONロス
も低減される。また、サイリスタQ3は図5(c)及び
(d)に示すように、トリガ信号Q3VGKの消失後も共
振電流IQ3が流れていればON状態を保持し、共振電流
IQ3がゼロクロスする時刻t2でターンOFFする。こ
のことは、コンデンサC2からコンデンサC1への充電
電流(逆転電流)が流れず、共振による昇圧が効率的に
行われることを意味する。コンデンサC2の充電電圧
(以下、コンデンサ電圧VC2)の最大値VC2max は、共
振インダクタンスの損失や負荷への放電がない場合、コ
ンデンサ電圧VC1とコンデンサ電圧VC2の電圧初期値を
各々VC10 、VC20 として VC2max =2×(VC10 −VC20 )+VC20 で表わされる。
【0038】従って、コンデンサ電圧VC2の最大値VC2
max として、コンデンサ電圧VC2の初期値VC20 が0V
の場合にはコンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の2倍、
また、同コンデンサ電圧VC2の初期値VC20 が負でその
値がコンデンサ電圧VC1の初期値VC10 と絶対値が等し
い場合には、同コンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の3
倍の電圧が得られることになる。本実施の形態の場合、
コンデンサC2の充電エネルギがダイオードD3を介し
てインジェクタソレノイドINJA に放電されるとき、
コンデンサC2とインジェクタソレノイドINJA によ
りここでも直列共振回路が形成される。そして図5
(f)に示すように、時刻t1におけるコンデンサ電圧
VC2をその初期値VC20 とした場合、同初期値VC20 は
−100Vで、その値は同コンデンサ電圧VC1の同時刻
t1における初期値VC10 (110V)とほぼその絶対
値が等しい。従って、前述したコンデンサ電圧VC2の初
期値VC20 が負でその値がコンデンサ電圧VC1の初期値
VC10 と絶対値が等しい場合に相当し、同図5(f)に
示すように、コンデンサ電圧VC2の最大値VC2max とし
て、コンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の3倍の電圧で
ある、ほぼ300Vの高電圧が得られる。
【0039】このように、コンデンサC2にコンデンサ
電圧VC1の初期値VC10 の約3倍に昇圧された電圧が充
電された後の時刻t3には、図5(g)に示すように、
コントロール信号発生部17がA気筒の噴射制御トラン
ジスタQ4AをONとする。このトランジスタQ4Aの
ターンON直後、コンデンサC2とA気筒のインジェク
タソレノイドINJA は直列共振状態になり、インジェ
クタソレノイドINJ A の電圧VINJA(以下、インジェ
クタソレノイド電圧VINJA)は図5(h)に示すよう
に、短期間で時刻t4にゼロクロスする。そしてそのと
き、図5(i)及び(l)に示すように、ダイオード電
流ID3として共振による大電流がインジェクタソレノイ
ドINJA に流れ、噴射ニードルバルブが確実に開かれ
る。タイオード電流ID3はその後、短時間で減衰する。
【0040】ここで逆流阻止ダイオードD3は、コンデ
ンサ電圧VC2を負電圧にしてコンデンサC2及びコイル
L3の直列共振の昇圧電圧を大きくするとともに次の作
用も行う。すなわち前述したように、インジェクタソレ
ノイドINJA とコンデンサC2との直列共振により大
電流が流れるが、そのときインジェクタソレノイドIN
A に余分な電磁エネルギーが蓄積されないように、共
振後においてはその電流ID3をゼロにした状態で、すな
わちインジェクタソレノイドINJA の蓄積エネルギー
が完全に放出された状態で共振を終了させる。
【0041】コンデンサ電圧VC2がゼロクロスする直
前、すなわち時刻t4の直前には、図5(j)に示すよ
うに、バッテリBaから降圧コンバータ12を介して直
流定電流ID4がインジェクタソレノイドINJA に供給
される。このとき、逆流阻止ダイオードD3がOFFす
る時刻t5までは共振によるダイオード電流ID3がまだ
流れ続けるが、このダイオード電流ID3の方が直流定電
流ID4に比べて圧倒的に大きいため、直流定電流ID4が
上記共振動作に影響を与えることはない。
【0042】この定電流ID4は、共振による大電流でバ
ルブを開いた後、同バルブを開状態に維持するための保
持電流であり、その値は必要最低限の値である。そのた
め、インジェクタソレノイドINJA の温度上昇が低減
されるとともに、不必要な電磁エネルギー投入による噴
射制御トランジスタQ4AのOFF後のバルブ閉動作遅
れ等も防止される。
【0043】また、噴射制御トランジスタQ4Aのター
ンOFF時(時刻t6)には、ダイオードD5A及びツ
ェナーダイオードD6Aによる一時的な動作電圧の維持
によって噴射制御トランジスタQ4Aがサステイン動作
し、インジェクタソレノイドINJA の蓄積電磁エネル
ギーを短時間で放出させるため、同時刻t6には確実に
噴射ニードルバルブが閉じられる。
【0044】以上説明した第1の実施の形態により得ら
れる効果について以下に記載する。 ・コイルL3及びコンデンサC2の共振作用によりコン
デンサ電圧VC2の最大値VC2max として、コンデンサ電
圧VC1の初期値VC10 の3倍の電圧が得られる。このた
め、昇圧コンバータ11の発生要求電圧が大幅に低減で
き、昇圧トランジスタQ1やコンデンサC1の定格電圧
が低くてすむ。すなわち、低耐圧、高速でかつ低コスト
のトランジスタQ1及び、低耐圧、小型でかつ低コスト
のコンデンサC1の使用が可能となる。
【0045】・コンデンサC2の充電はコンデンサC1
の充電エネルギーの一部放出により行うので、短時間に
必要電圧が得られる。このため、エンジン回転数が高い
領域まで昇圧コンバータ11が1個で対応可能となる。
【0046】・高電圧印加用コンデンサC2の充電経路
にコイルL3が介挿されているため、コンデンサC2充
電時の突入電流が低減される。また、サイリスタQ3の
ターンONロスも低減される。
【0047】・インジェクタソレノイドINJA に流れ
るダイオード電流ID3の波形は正弦波状であるため、高
周波成分が少なく放射電磁雑音を低減できる。 ・コストが高く実装面積の大きいコンバータ部分(昇圧
コンバータ11及び降圧コンバータ12)を複数気筒で
共有化するため、アクチュエータ駆動回路10の低コス
ト、小型化が実現される。
【0048】・エンジン回転に同期した制御信号はサイ
リスタQ3のターンON信号及び各噴射制御トランジス
タQ4A〜Q4DのON/OFF信号のみであり、同駆
動回路10に必要な制御信号も簡素化される。
【0049】・サステイン動作は噴射制御トランジスタ
Q4A〜Q4Dにおいて各別に行われるため、発熱が分
散され放熱設計が容易となる。 ・インジェクタソレノイドINJA 〜INJD の蓄積電
磁エネルギーは噴射制御トランジスタQ4A〜Q4Dの
ターンOFF後急速に放出されるため、燃料噴射制御性
も良い。
【0050】[第2の実施の形態]次に本発明を具体化
した第2の実施の形態について、上記第1の実施の形態
との相違点を中心に説明する。なお、第2の実施の形態
の説明において、第1の実施の形態と同様の構成につい
ては同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0051】図6は第2の実施の形態である4気筒エン
ジンのインジェクタソレノイドを駆動するアクチュエー
タ駆動回路20を示している。 本実施の形態と第1の実
施の形態との相違点は、前記直列共振回路13のコイル
L3を本実施の形態においては降圧コンバータ回路22
のコイルL2で共用するようにした点である。
【0052】すなわち、本実施の形態の昇圧コンバータ
21は、第1の実施の形態と同様コイルL1、昇圧トラ
ンジスタQ1、フリーホイールダイオード(逆流防止も
兼ねる)D1、コンデンサC1等で構成される。一方、
降圧コンバータ22は、降圧トランジスタQ2、逆流防
止ダイオードD4、フリーホイールダイオードD2及び
コイルL2等で構成される。
【0053】また、前記昇圧コンバータ21の出力は直
列共振回路23に接続され、同直列共振回路23は、逆
阻止3端子サイリスタ(以下、サイリスタ)Q3、コイ
ルL2及び高電圧印加用コンデンサ(以下、コンデン
サ)C2で構成される。なお、このコイルL2及びコン
デンサC2は直列共振回路を構成するとともに、インジ
ェクタ共通接続線の高周波電位に対してローパスフィル
タも構成しており、放射電磁雑音が低減される。
【0054】前記直列共振回路23と降圧コンバータ2
2とは、コイルL2のバッテリBa側端において共通接
続され、負荷(インジェクタソレノイド)に対して共通
化されている。
【0055】以下、これら昇圧コンバータ21、降圧コ
ンバータ22及び直列共振回路23の動作を順次説明す
る。まず、昇圧コンバータ21の動作を図7に基づいて
説明する。
【0056】同図7(a)〜図7(c)に示すように、
デューティ制御されている昇圧トランジスタQ1のON
期間において、コイルL1に流れる電流IL1( 以下、コ
イル電流IL1)は昇圧トランジスタQ1に流れる電流I
Q1と同様の波形で時間経過とともにほぼ直線状に増加す
る。そして、昇圧トランジスタQ1のターンOFFに同
期してコイルL1に蓄積された電磁エネルギーは、フリ
ーホイールダイオードD1を経由しコンデンサC1を充
電しながら放出される。そのため、コンデンサC1の電
圧VC1(以下、コンデンサ電圧VC1)は図7(d)に示
すように、昇圧トランジスタQ1のターンOFFのたび
に階段状に増加し、所定電圧に達する。そして、コンデ
ンサ電圧VC1は、充電により常時ほぼ一定の電圧に維持
されている。
【0057】なお、コンデンサC1の充電期間τcは、
トランジスタQ1のターンOFFからコイル電流IL1が
ゼロになるまでの期間であり、無負荷の場合は以下に示
すコイルL1とコンデンサC1との共振周期T、すなわ
ち T=2π√(L1・C1) の1/4の期間となる。
【0058】また、一充電当たりのコンデンサ電圧VC1
の電圧上昇ΔVは ΔV=IL1p√( L1/C1) となる。ここで、L1はコイルL1のインダクタンス、
C1はコンデンサC1のキャパシタンス、IL1pはコイ
ル電流IL1のピーク値とする。
【0059】次に、降圧コンバータ22の動作を図8に
基づいて説明する。図8(a)及び(d)に示すよう
に、同じくデューティ制御されている降圧トランジスタ
Q2のON期間において、いま例えば噴射制御トランジ
スタQ4AがON制御されているとすると、コイルL2
には、バッテリBa、降圧トランジスタQ2、逆流防止
ダイオードD4、コイルL2、インジェクタソレノイド
INJ A 、及びこれに直列接続される噴射制御トランジ
スタQ4Aの閉ループに対応した電流IL2( 以下、コイ
ル電流IL2)が流れる。このコイル電流IL2は、図8
(b)及び(d)に示すように、降圧トランジスタQ2
に流れる電流IQ2と同様の波形で時間経過とともにほぼ
直線状に増加する。一方、降圧トランジスタQ2のOF
F期間では、コイル電流IL2は、コイルL2、インジェ
クタソレノイドINJA 、これに直列接続される噴射制
御トランジスタQ4A、及びフリーホイールダイオード
D2の閉ループで流れる。そしてこのとき、コイルL2
に蓄積された電磁エネルギーはインジェクタに放出され
るため、コイル電流IL2は、図8(c)及び(d)に示
すように、フリーホイールダイオードD2に流れる電流
ID2と同様の波形で時間経過とともにほぼ直線状に減少
する。ただし、全ての噴射制御トランジスタQ4A〜Q
4DがOFFの場合は、バッテリBa、コイルL2を含
む閉ループが形成されないためコイル電流IL2は流れな
い。降圧トランジスタQ2は、前記コントロール信号発
生部17からの制御信号によりD4の負荷側電圧が所定
値を維持あるいはコイル電流IL2のピーク値が所定値と
なるよう連続的にデューティ制御される。
【0060】次に、図9に基づいて駆動回路20の動作
を説明する。なお、各気筒において動作は同じであるた
め、ここでは便宜上、A気筒に関する動作についてのみ
説明する。また、図9(a)及び(k)に示すように、
昇圧トランジスタQ1及び降圧トランジスタQ2は、コ
ントロール信号発生部17からの制御信号により連続的
にデューティ制御されている。
【0061】昇圧コンバータ21の動作によりコンデン
サ電圧VC1は、図9(e)に示すように、常時ほぼ一定
の直流電圧に保たれている。この状態で、図9(b)に
示すように、時刻t1においてサイリスタQ3のゲート
Gに前記コントロール信号発生部17からトリガ(O
N)信号Q3VGKが印加されると、サイリスタQ3がO
Nし、コンデンサC1、サイリスタQ3、コイルL2及
びコンデンサC2による閉ループが形成される。そして
このとき、コイルL2とコンデンサC2による直列共振
により、サイリスタQ3には図9(c)に示すような正
弦半波状の共振電流IQ3が流れる。なおこのとき、コイ
ルL2により、コンデンサC2充電時の突入電流が低減
されるとともに、さらにサイリスタQ3のターンONロ
スも低減される。また、サイリスタQ3は図9(c)及
び(d)に示すように、トリガ信号Q3VGKの消失後も
共振電流IQ3が流れていればON状態を保持し、共振電
流IQ3がゼロクロスする時刻t2でターンOFFする。
このことは、コンデンサC2からコンデンサC1への充
電電流(逆転電流)が流れず、共振による昇圧が効率的
に行われることを意味する。コンデンサC2の充電電圧
(以下、コンデンサ電圧VC2)の最大値VC2max は、共
振インダクタンスの損失や負荷への放電がない場合、コ
ンデンサ電圧VC1とコンデンサ電圧VC2の電圧初期値を
各々VC10 、VC20 として VC2max =2×(VC10 −VC20 )+VC20 で表わされる。
【0062】従って、コンデンサ電圧VC2の最大値VC2
max として、コンデンサ電圧VC2の初期値VC20 が0V
の場合にはコンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の2倍、
また、同コンデンサ電圧VC2の初期値VC20 が負でその
値がコンデンサ電圧VC1の初期値VC10 と絶対値が等し
い場合には、同コンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の3
倍の電圧が得られることになる。本実施の形態の場合、
コンデンサC2の充電エネルギがダイオードD3を介し
てインジェクタソレノイドINJA に放電されるとき、
コンデンサC2とインジェクタソレノイドINJA によ
りここでも直列共振回路が形成される。そしてこの共振
系にはインジェクタソレノイドINJAの電気抵抗成分
及びA気筒インジェクタのバルブ移動に伴なう機械電気
変換抵抗分が負荷として接続されている。コンデンサ電
圧VC2は、無負荷であれば負電圧まで低下するが、前記
負荷により共振回路のQが低下するとともに同コンデン
サ電圧VC2のゼロクロス後はフリーホイールダイオード
D2及びコイルL2がダンパ(クランプ)として作用す
るため、図9(f)に示すように(負電圧への大きなオ
ーバーシュートなしに)ゼロ付近の電圧で収束しそのま
ま保持される。従って、同図9(f)に示すように、時
刻t1におけるコンデンサ電圧VC2をその初期値VC20
とした場合、同初期値VC20 は0Vであり、コンデンサ
電圧VC2の最大値VC2max として、コンデンサ電圧VC1
の同初期値VC10 (110V)の2倍の電圧である、ほ
ぼ200Vの電圧が得られる。このように、コンデンサ
C2にコンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の約2倍に昇
圧された電圧が充電された後の時刻t3には、図9
(g)に示すように、コントロール信号発生部17がA
気筒の噴射制御トランジスタQ4AをONとする。この
トランジスタQ4AのターンON直後、コンデンサC2
とA気筒のインジェクタソレノイドINJA は直列共振
状態になり、インジェクタソレノイドINJ A の電圧V
INJA(以下、インジェクタソレノイド電圧VINJA)は図
9(h)に示すように、短期間で0V付近まで減衰す
る。そしてそのとき、図9(i)及び(l)に示すよう
に、共振による大電流がインジェクタソレノイドINJ
A に流れ、噴射ニードルバルブが確実に開かれる。イン
ジェクタソレノイド電流IINJAはその後、短時間で減衰
する。
【0063】コンデンサ電圧VC2がバッテリBa電圧以
下になった後は、バッテリBaから降圧コンバータ12
を介して直流定電流がインジェクタソレノイドINJA
に供給される。この直流定電流は、図8(c)及び図9
(j)に示すダイオード電流ID2がコイルL2により平
滑された電流(IL2)としてインジェクタソレノイドI
NJA に供給される。
【0064】この直流定電流は共振による大電流でバル
ブを開いた後、同バルブを開状態に維持するための保持
電流であり、その値は必要最低限の値である。そのた
め、インジェクタソレノイドINJA の温度上昇が低減
されるとともに、不必要な電磁エネルギー投入による噴
射制御トランジスタQ4AのOFF後のバルブ閉動作遅
れ等も防止される。
【0065】また、噴射制御トランジスタQ4Aのター
ンOFF時(時刻t4)には、ダイオードD5A及びツ
ェナーダイオードD6Aによる一時的な動作電圧の維持
によって噴射制御トランジスタQ4Aがサステイン動作
し、インジェクタソレノイドINJA の蓄積電磁エネル
ギーを短時間で放出させるため、同時刻t4には確実に
噴射ニードルバルブが閉じられる。
【0066】以上説明した第2の実施の形態により得ら
れる効果について以下に記載する。 ・コイルL2はコンデンサC2とによる直列共振作用
と、降圧コンバータ22の平滑コイルとしての作用を兼
用するため、コイルが1個少なくてすみ回路がより簡素
化される。
【0067】・コイルL2及びコンデンサC2の共振作
用によりコンデンサ電圧VC2の最大値VC2max として、
コンデンサ電圧VC1の初期値VC10 の2倍の電圧が得ら
れるため、昇圧コンバータ21の発生要求電圧が半減で
きる。そのため、昇圧トランジスタQ1やコンデンサC
1の定格電圧が低くてすむ。すなわち低耐圧、高速でか
つ低コストのトランジスタQ1及び、低耐圧、小型でか
つ低コストのコンデンサC1の使用が可能となる。
【0068】・コンデンサC2の充電はコンデンサC1
の充電エネルギーの一部放出により行うので、短時間に
必要電圧が得られる。このため、エンジン回転数が高い
領域まで昇圧コンバータ21が1個で対応可能となる。
【0069】・高電圧印加用コンデンサC2の充電経路
にコイルL2が介挿されているため、コンデンサC2充
電時の突入電流が低減される。また、サイリスタQ3の
ターンONロスも低減される。
【0070】・インジェクタソレノイド電流IINJAは正
弦波状であるため、高周波成分が少ない。さらに、各気
筒に分配される高電圧ラインはコイルL2及びコンデン
サC2を介して給電がなされることとなるが、同コイル
L2及びコンデンサC2によりローパスフィルタが形成
されるため、高電圧ラインからの高周波の輻射も抑制さ
れる。そのため、放射電磁雑音を低減できる。
【0071】・コストが高く実装面積の大きいコンバー
タ部分(昇圧コンバータ21及び降圧コンバータ22)
を複数気筒で共有化するため、アクチュエータ駆動回路
20の低コスト、小型化が実現される。
【0072】・エンジン回転に同期した制御信号はサイ
リスタQ3のターンON信号及び各噴射制御トランジス
タQ4A〜Q4DのON/OFF信号のみであり、同駆
動回路20に必要な制御信号も簡素化される。
【0073】・サステイン動作は噴射制御トランジスタ
Q4A〜Q4Dにおいて各別に行われるため、発熱が分
散され放熱設計が容易となる。 ・インジェクタソレノイドINJA 〜INJD の蓄積電
磁エネルギーは噴射制御トランジスタQ4A〜Q4Dの
ターンOFF後急速に放出されるため、燃料噴射制御性
も良い。
【0074】なお、前記各実施の形態は次のように構成
を変更して具体化することもできる。 ・前記第2の実施の形態においては、逆流防止ダイオー
ドD4がフリーホイールダイオードD2と降圧トランジ
スタQ2のコレクタの間に介挿されている例を示した
が、図10に示すように同逆流防止ダイオードD4はフ
リーホイールダイオードD2とコイルL2との間に介挿
される構成としてもよい。
【0075】この場合、逆流防止ダイオードD4に逆バ
イアスが印加される周波数は昇圧コンバータ21の動作
周期で決まり、一般的に同昇圧コンバータ21のスイッ
チング周波数の1/10以下となる。このため、同逆流
防止ダイオードD4には高速スイッチング性能は要求さ
れず、同逆流防止ダイオードD4として逆回復時間の遅
い一般の整流用ダイオードを使用することができるよう
になる。また、高電圧印加時は逆流防止ダイオードD4
のカットオフによりフリーホイールダイオードD2には
高電圧が印加されないため、フリーホイールダイオード
D2として低耐圧で逆回復性能の良い高速タイプを使用
することができるようになり、スイッチング損失も低減
される。
【0076】・同じく第2の実施の形態においては、ス
イッチング素子であるサイリスタQ3を、図10に示す
ようにトランジスタQ3a及びダイオードD5の直列回
路により構成してもよい。
【0077】・前記両実施の形態においては、噴射制御
トランジスタQ4A〜Q4Dをインジェクタソレノイド
INJA 〜INJD と接地間に設けたが、同じく図10
に示すように、同噴射制御トランジスタQ4A〜Q4D
はインジェクタソレノイドINJA 〜INJD とその給
電ライン(各コンバータ出力端)との間に設けるように
してもよい。これによっても上記と同様の効果が得られ
る。
【0078】・前記両実施の形態においては、昇降圧用
スイッチング素子及び噴射制御スイッチング素子として
トランジスタを使用する例を示したがこれに限定される
ものではない。例えば、FET、IGBT(絶縁ゲート
型バイポーラトランジスタ)等を使用してもよい。
【0079】・前記両実施の形態においては、アクチュ
エータ駆動回路としてエンジンのインジェクタソレノイ
ドを駆動する回路に具体化した例を示したが、これに限
定されるものではない。要は、複数のアクチュエータに
対し、図5(i)及び(j)、図9(i)、あるいは図
12(g)に示される態様で駆動電流を供給する回路で
あればよい。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、アクチュエータの駆動
回路において、昇圧回路及び降圧回路を小型化、簡素化
でき、ひいてはシステムを小型化して低コストにでき
る。また、昇圧回路の負担が軽減され昇圧回路のスイッ
チング素子が小型化される。さらに、同駆動回路に必要
な制御信号も簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のアクチュエータ駆動回路の第1の実
施の形態を示す回路図。
【図2】同駆動回路の制御回路のブロック図。
【図3】第1の実施の形態の昇圧コンバータの動作態様
を示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施の形態の降圧コンバータの動作態様
を示すタイミングチャート。
【図5】第1の実施の形態の動作態様を示すタイミング
チャート。
【図6】この発明のアクチュエータ駆動回路の第2の実
施の形態を示す回路図。
【図7】第2の実施の形態の昇圧コンバータの動作態様
を示すタイミングチャート。
【図8】第2の実施の形態の降圧コンバータの動作態様
を示すタイミングチャート。
【図9】第2の実施の形態の動作態様を示すタイミング
チャート。
【図10】この発明のアクチュエータ駆動回路の他の実
施の形態を示す回路図。
【図11】従来例のアクチュエータ駆動回路の回路図。
【図12】同じくその動作態様を示すタイミングチャー
ト。
【符号の説明】
10,20…インジェクタソレノイド(アクチュエー
タ)駆動回路、11,21…昇圧コンバータ、12,2
2…降圧コンバータ、13,23…直列共振昇圧回路、
14A〜14D…気筒切替回路、15…制御回路、16
…ECU、17…コントロール信号発生部、Ba…バッ
テリ、C1,C2…コンデンサ、INJA 〜INJD
インジェクタソレノイド、L1,L2,L3…コイル、
Q1…昇圧トランジスタ、Q2…降圧トランジスタ、Q
3…サイリスタ、Q4A〜Q4D…噴射制御トランジス
タ。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/20 325

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のアクチュエータを構成する複数のソ
    レノイドをその各駆動当初のみ大電流駆動し、その後の
    所定時間はより小さな電流にて定電流駆動するアクチュ
    エータ駆動回路において、 前記大電流駆動信号の生成時にオンされるスイッチング
    素子を介して昇圧回路と共振回路とを直列接続するとと
    もに、これら昇圧回路及び共振回路の直列回路と前記定
    電流駆動信号を生成する降圧回路とを逆流電流を阻止す
    るダイオードを介して共通接続し、その共通接続点に、
    前記各ソレノイドとそれらソレノイドに対する通電の有
    無を選択するスイッチング回路との直列回路を並列接続
    したことを特徴とするアクチュエータ駆動回路。
  2. 【請求項2】請求項1記載のアクチュエータ駆動回路に
    おいて、 前記共振回路は前記スイッチング素子に直列接続された
    インダクタンス素子とキャパシタンス素子との直列回路
    を有して構成され、 前記降圧回路は降圧用スイッチング素子と降圧用インダ
    クタンス素子との直列回路を有して構成されるととも
    に、降圧用インダクタンス素子の出力端が前記逆流電流
    を阻止するダイオードを介して前記共振回路のインダク
    タンス素子とキャパシタンス素子との接続点に共通接続
    されてなることを特徴とするアクチュエータ駆動回路。
  3. 【請求項3】請求項1記載のアクチュエータ駆動回路に
    おいて、 前記共振回路は前記スイッチング素子に直列接続された
    インダクタンス素子とキャパシタンス素子との直列回路
    を有して構成され、 前記降圧回路は降圧用スイッチング素子が前記逆流電流
    を阻止するダイオードを介して前記共振回路のインダク
    タンス素子に直列接続され、該インダクタンス素子を降
    圧用インダクタンス素子として共用することを特徴とす
    るアクチュエータ駆動回路。
JP12223697A 1997-05-13 1997-05-13 アクチュエータ駆動回路 Expired - Fee Related JP3336905B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12223697A JP3336905B2 (ja) 1997-05-13 1997-05-13 アクチュエータ駆動回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12223697A JP3336905B2 (ja) 1997-05-13 1997-05-13 アクチュエータ駆動回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10311239A JPH10311239A (ja) 1998-11-24
JP3336905B2 true JP3336905B2 (ja) 2002-10-21

Family

ID=14830957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12223697A Expired - Fee Related JP3336905B2 (ja) 1997-05-13 1997-05-13 アクチュエータ駆動回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3336905B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7168413B2 (en) 2003-12-16 2007-01-30 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Fuel injector control apparatus for cylinder injection type internal combustion engine

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112746908B (zh) * 2021-01-15 2021-11-12 无锡职业技术学院 柴油机高压共轨压电陶瓷喷油器驱动控制系统

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7168413B2 (en) 2003-12-16 2007-01-30 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Fuel injector control apparatus for cylinder injection type internal combustion engine

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10311239A (ja) 1998-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5160581B2 (ja) インジェクタ駆動装置
US7540264B2 (en) Initialization of electromechanical valve actuator in an internal combustion engine
US4767959A (en) Method and apparatus for driving capacitive-type load
EP0793334B1 (en) Dc-dc converter circuit and inductive load driver using it
JP3534167B2 (ja) インジェクタ駆動方法及び駆動回路
US6760212B2 (en) Piezoelectric injector drive circuit
JP2002371895A (ja) インジェクタ駆動制御装置
KR20070057092A (ko) 하나 이상의 용량성 부하를 충전 및 방전하기 위한 회로장치 및 방법
US20020179059A1 (en) Driving circuitry for electromagnetic fuel injection valve
JPH11501768A (ja) 少なくとも1つの電磁的負荷の制御装置
JPH09115727A (ja) 電磁的な負荷を制御する装置および方法
KR20210054181A (ko) 스위칭 전력 손실을 개선한 dc-dc컨버터 및 그 제어 방법
JP3336905B2 (ja) アクチュエータ駆動回路
JP2004197629A (ja) 電磁負荷駆動装置
JP3699481B2 (ja) 電流供給回路
JP3478054B2 (ja) アクチュエータ駆動回路
US20050017583A1 (en) Circuit for controlling inductive loads, in particular of electro actuators, at high efficiency
JP3765286B2 (ja) ピエゾアクチュエータ駆動回路
JP2005344684A (ja) 電磁弁駆動装置
JP4118432B2 (ja) 電磁弁駆動回路
JP3622418B2 (ja) 燃料噴射装置用インジェクタの駆動回路
JPH1153038A (ja) アクチュエータ駆動回路
JPH09144622A (ja) インジェクタ駆動回路
JPH09306732A (ja) アクチュエータ駆動回路
JPH0965652A (ja) Dc−dcコンバータ

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070809

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080809

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080809

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090809

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100809

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees