JP3336385B2 - 農産物冷却冷蔵装置 - Google Patents

農産物冷却冷蔵装置

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JP3336385B2 JP2000160452A JP2000160452A JP3336385B2 JP 3336385 B2 JP3336385 B2 JP 3336385B2 JP 2000160452 A JP2000160452 A JP 2000160452A JP 2000160452 A JP2000160452 A JP 2000160452A JP 3336385 B2 JP3336385 B2 JP 3336385B2
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寿志 小綿
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農産物冷却冷蔵装
置に関し、特に、氷蓄熱式冷房システムと夜間の大気放
射冷却を利用した水蓄熱式冷房システムを兼ね備えるこ
とにより、多種の農産物に対して、エネルギー消費量が
小さく、低コストで、かつそれぞれに最適の低温保存環
境で貯蔵することを可能とした農産物冷却冷蔵装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、野菜などの農産物は鮮度保持の
目的のために冷蔵倉庫内で冷却あるいは冷蔵して保存す
ることが行われる。すなわち、収穫直後の野菜は温度が
高く、呼吸作用並びに蒸散作用が旺盛なため、常温で放
置すれば急速に鮮度が低下する。そのために、野菜の鮮
度を保持する目的で、野菜を消費地へ輸送する前に産地
において冷蔵倉庫にて低温下に冷却する予冷と呼ばれる
操作が広く行われている。その際に、普通の電気冷房装
置で用いられる冷却器では氷点下の温度のブライン(不
凍液)が循環しており、冷蔵倉庫内の空気温度(例えば
5〜20℃程度の範囲)との温度差が大きいために、冷
却器の熱交換器部分に結露や氷結が生じ冷蔵倉庫内の空
気は除湿される。この結果、野菜の温度が目標温度に低
下したとしてもしおれが大きくなり、商品価値を損ねる
ことになる場合が往々にしてみられる。一旦冷却(予
冷)された野菜を0〜5℃程度の低温で冷蔵する場面に
おいても、庫内空気の湿度低下に関して同様の問題があ
る。
【0003】改良された農産物冷却冷蔵装置として、電
気冷房装置を備え、冷媒により0゜近くに冷却した水を
空気調整室内でシャワーとし、送風機からの空気を前記
シャワーを通過させて低温高湿にし、これを冷蔵庫内に
送風循環するようにした農産物冷却冷蔵装置が知られて
いる(例えば、特開昭56−113227号公報な
ど)。このシステムによれば、高湿度条件下で野菜など
の農産物を予冷あるいは冷蔵ができる利点があり、しお
れに対する問題はある程度解決される。さらに改良され
た他のシステムとして、前記のようなシャワー式空気調
整室を冷蔵庫内に設置が可能なように小型化してシャワ
ー式冷却器とし、これをいわゆる氷蓄熱槽を備えた氷蓄
熱式冷房システムの冷却器として採用した農産物冷却冷
蔵装置が提案されている(例えば、特開平6−2652
54号公報など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般に用いら
れているファンコイルユニット型の冷却器では必ずしも
満足した野菜の低温保存環境が得られない場合が多い。
野菜の場合、冷蔵に最適な温湿度環境は、多くの野菜で
0〜5℃、相対湿度90〜95%程度の低温・高湿度環
境であるとされている。低温で高湿度の環境を創出する
ため、前記のように、電気冷房機にシャワー(加湿手
段)を組み合わせて使用している例もあるが、一般に
は、微細な水粒子を噴霧する方式の加湿器が使用され、
この場合、低温における加湿は容易ではなく、加湿器か
ら発せられた水粒子が蒸発することなく空中に浮遊し、
野菜の表面に付着して腐敗の原因となったりする。
【0005】他方、野菜や青果物の中には0〜5℃程度
の低温におくと低温障害を起こす品目(ナス、キュウリ
など)もあり、それらの品目については7〜10℃程度
の温度で冷蔵した方が鮮度は保持されるが、その場合も
適正な湿度環境は90〜95%である。また、予冷にお
いては、野菜の種類によっては急激な温度変化が野菜に
生理的ストレスを与え、鮮度の低下を助長する場合もあ
る。
【0006】従って、低温障害を起こす品目および10
℃程度以上の高温域にある野菜の冷却・冷蔵を高湿度を
維持しながら行おうとする場合、氷点下の温度のブライ
ンや氷蓄熱で得られる極めて0℃に近い冷水を用いるこ
とは必ずしも適正な方法とはいえないとともに、より温
度の高い水を用いても、必要とされる冷房の目的は果た
すことは可能である。そして、このような場面の冷房に
対して、電気冷房機のようないわゆるチラーユニットを
備えた冷房システムを用いることは電力すなわちエネル
ギーの浪費ともなる。
【0007】現在、ビルや店舗の冷房用に急速に普及し
ている氷蓄熱式冷房システムを農産物の冷蔵に利用した
場合、従来の電気冷房機と加湿器による方法よりも容易
に低温で高湿度の環境が得られ、しかも霜取り運転の必
要がないので安定した環境を維持できる。しかし、氷蓄
熱式冷房のみで所要の冷房システムを構築することは、
品目によっては前記した急冷に伴う不都合が起こりうる
ことに加えて、比較的高温の野菜を冷却する際には、大
きな消費電力量すなわちエネルギー消費量を必要とす
る。
【0008】さらに、電気冷房装置においては、冷媒と
してフロン系冷媒が多く用いられるが、地球の温暖化お
よび環境破壊の抑制策として、また将来のフロン全廃へ
の対応策として、フロン系冷媒を用いた電気冷房の容量
を小さく抑えることは社会的要請でもある。また、消費
電力の絶対量を低減するために、自然エネルギーを利用
して冷房熱源の一部を電力に由来しないエネルギーで補
うことも考慮すべき課題である。
【0009】本発明は上記のような問題点に鑑みなされ
たものであり、同一の農産物冷蔵空間内に品目の違う多
種類の農産物を、いずれもが低温障害を起こすことなく
最適な温湿度で貯蔵することができると同時に、低温保
存に伴うエネルギーとコストを低減でき、かつ、自然環
境を損なうこともない改良された農産物冷却冷蔵装置を
提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明による農産物冷却冷蔵装置は、農産物を貯蔵
するための空間が氷蓄熱式冷房システムによる冷房を可
能とした第1の空間と水蓄熱式冷房システムによる冷房
を可能とした第2の空間とに分けられており、かつ、前
記第1の空間と第2の空間とは互いに独立した状態と連
続した状態とに切り替え自在とされていることを特徴と
する。
【0011】本発明に係わる農産物冷却冷蔵装置では、
第1の空間と第2の空間とが異なった冷房システムによ
って冷房されるようにしており、該2つの貯蔵空間は、
それぞれの冷房システムを最も普通の運転態様で稼働さ
せることにより、容易に異なった温度環境に維持するこ
とができる。
【0012】そのために、低温障害の起きない品目につ
いては、氷蓄熱式冷房システムによる冷房を可能とした
より低温に維持される第1の空間(低温室)に貯蔵し、
0〜5℃程度の低温におくと低温障害を起こす品目(ナ
ス、キュウリなど)については、水蓄熱式冷房システム
による冷房を可能とした前記第1の空間よりは高温状態
に維持される第2の空間(中温室)に貯蔵するようにす
る。それにより、貯蔵倉庫のような同一の農産物貯蔵空
間内に品目の異なる多種類の農産物を、いずれもが低温
障害を起こすことなく最適の低温高湿度環境下で貯蔵す
ることが可能となる。
【0013】前記のように、農産物、特に野菜の場合に
は、最適な低温貯蔵環境が品目によって異なることか
ら、本発明による農産物冷却冷蔵装置は実用上大きな利
点をもたらす。また、季節により収穫される野菜の品目
に偏りが生じるが、そのようなときにも、第1の空間と
第2の空間の占有比率を変更したり、あるいは、第1の
空間と第2の空間とを連続した状態に切り替えるなどに
より、収穫あるいは入荷される野菜の品目の多寡に応じ
た最適の低温貯蔵環境を確立することができる。
【0014】前記第1の空間と第2の空間の目標とする
低温温度領域は、貯蔵の対象となる農産物の種類や量に
応じて最適の範囲を設定すればよいが、各冷房システム
が発揮し得る性能とコストとの兼ね合い並びに日本の野
菜の作付け態様及び品目を考慮すると、互いに独立した
状態において、第1の空間は15℃程度以下の温度帯で
の冷房を行うように、第2の空間は10℃程度以上の温
度帯での冷房を行うように、それぞれ設定することは、
汎用化の点から効率的なものとなる。
【0015】好ましい態様において、氷蓄熱式冷房シス
テムは、少なくとも、チラーユニット、氷蓄熱槽、及び
第1の空間の室内空気と熱交換を行う冷却器を備えてお
り、前記水蓄熱式冷房システムは、少なくとも、主に大
気放射冷却による冷水の製造を行う大気放射冷却器(ス
カイラジエータ)、冷水を貯留する水蓄熱槽、及び第2
の空間の室内空気と熱交換を行う冷却器を備えているこ
とを特徴とする。これにより、容易かつ省エネルギー、
低コストでのシステム運転が可能となる。
【0016】運転において、氷蓄熱式冷房システムにつ
いては夜間に安価な夜間電力を使用して翌1日の冷房負
荷を賄うことが可能な量の氷を製造し、第1の空間(低
温室)の設定温度に応じて昼夜を通じて温度調節器によ
り冷却器の運転を制御し、これにより室内温度を所定温
度範囲に維持するようにする。大気放射冷却利用の水蓄
熱式冷房システムについては、主に夜間大気放射冷却が
効いてスカイラジエータの放熱面の温度が水蓄熱槽の温
度以下に下がる時間帯に水蓄熱槽の水をポンプでスカイ
ラジエータに循環させて、水蓄熱槽の温度低下を図るよ
うにする(なお、この種のシステムは、例えば特開昭6
0−243435号公報などに示された方法であってよ
い)。第2の空間(中温室)の設定温度に応じて昼夜を
通じて温度調節器により冷却器の運転を制御し、これに
より水蓄熱槽の蓄熱量が十分な場合には、室内温度が設
定値に維持される。
【0017】大気放射冷却による冷却能力は最大でも1
当たり100W程度であり、曇天時や大気が高湿度
の場合は冷却能力が低下する。従って、好ましい態様に
おいて、上記農産物冷却冷蔵装置は、水蓄熱式冷房シス
テムの蓄熱能力を補うために、氷蓄熱式冷房システムか
らの冷熱を水蓄熱式冷房システム側に導入するための補
助冷却システムをさらに備える。このような補助冷却シ
ステムを備えることにより、水蓄熱槽の蓄熱量が不足し
中温室の温度が所定温度に達しない場合、氷蓄熱槽の冷
水を水蓄熱槽の水中に設置した熱交換器に通して水蓄熱
槽の水を冷却することが可能となり、外気温度など外的
要因の変動に左右されることなく、農産物冷却冷蔵装置
全体を所望の低温貯蔵環境で運転することが確保され
る。
【0018】本発明によれば、夜間の大気放射冷却と寒
冷大気を利用した自然冷熱エネルギーの蓄熱利用が図ら
れ、氷蓄熱式冷房システムと併用することにより、従来
のフロン系冷媒による電気冷房の一部を自然エネルギー
で代替することが可能となり、これにより環境負荷物質
の排出抑制に寄与するとともに化石エネルギー消費の削
減に効果があり、同時に冷房コストの低減が図られ農産
物低温流通の低コスト化がもたらされる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形
態に係わる農産物冷却冷蔵装置100を示す概略図であ
る。本実施の形態に係わる農産物冷却冷蔵装置100
は、好ましくは、周囲に夜間の大気放射冷却を妨げる建
物や林木が少ない場所に設置される。
【0020】農産物冷却冷蔵装置100は、野菜などの
農産物の収容場所となる冷蔵倉庫10と、氷蓄熱式冷房
システムS1、水蓄熱式冷房システムS2及び水蓄熱補
助冷却システムS3とを備えて構成される。冷蔵倉庫1
0は、取り外し及び横方向への移動が可能な断熱隔壁1
1により、低温室12と中温室13に分けられており、
低温室12は氷蓄熱式冷房システムS1により15℃以
下、好ましくは、1〜15℃程度の範囲の冷房が可能な
部屋とされ、中温室13は水蓄熱式冷房システムS2に
より10℃程度以上の比較的温度の高い冷房を行う部屋
とされる。
【0021】氷蓄熱式冷房システムS1は既存のシステ
ムであってよく、冷凍機(チラーユニット)20、製氷
コイル21を内蔵した氷蓄熱槽22、ブライン循環ポン
プ23、低温室12に設置した冷却器24、氷蓄熱槽2
2の冷水を冷却器24に循環させるポンプ25などで構
成される。好ましくは、冷凍機20及びブライン循環ポ
ンプ23は電力料金の廉価な夜間電力を用いて運転さ
れ、製氷コイル21の周りに氷が製造される。低温室1
2が設定温度になるように温度センサ26及び温度調節
器(不図示)により冷却器24の送風ファンと冷水循環
ポンプ25の運転が制御され、極めて0℃に近い氷蓄熱
槽22の冷水が低温室12の冷却器24で熱交換される
ことにより設定温度の冷房が行われる。
【0022】冷却器24には、例えば、前記特開平6−
265245号公報に記載されるようなシャワー式の冷
却器を用いる。すなわち、冷却器24内でシャワー状に
噴出され自由落下する冷水に、低温室12内の空気をフ
ァンにより直接吹き付けて空気−水熱交換を行う。この
冷却器24の使用により、農産物の冷蔵に不可欠な低温
で高湿度の空気が別途加湿装置を設けることなく容易に
得られる。
【0023】一方の水蓄熱式冷房システムS2は、冷蔵
庫10の屋上に水抜きのために若干の傾斜をつけて天空
に向けて設置され、夜間の大気放射冷却と寒冷な外気を
利用して冷水の製造を行うスカイラジエータ30、冷水
を貯留する水蓄熱槽31、水蓄熱槽の冷水をスカイラジ
エータ30へ循環させるポンプ32、中温室13内に設
置され冷水と室内空気との熱交換を行う冷却器33、水
蓄熱槽31の冷水を冷却器33へ循環させるポンプ34
などで構成される。スカイラジエータ30及び水蓄熱槽
31には、それぞれ温度センサ35、36が備えられ
る。スカイラジエータ30の形態に特に制限はないが、
好ましくは、従来知られた平板型太陽熱温水集熱器から
そのガラスカバーを取り外し、その放熱面に長波放射率
の高い塗料を塗布した態様のものは好適であり、高い熱
交換効率が得られる。
【0024】温度センサ35によりスカイラジエータ3
0の放熱面温度を、温度センサ36により水蓄熱槽31
の温度を、それぞれ検知する。そして、温度調節器(不
図示)を用いて、スカイラジエータ30の放熱面温度が
水蓄熱槽31の温度より低くなる主に夜間の時間帯にポ
ンプ32を運転し、水蓄熱槽31の水をスカイラジエー
タ30に循環させて冷水の製造を行う。
【0025】なお、スカイラジエータ30は無風時には
被覆がない方が放熱量は大きくなるが、外気温が比較的
高く風が強い場合には長波放射(赤外線)に対して透明
な資材で被覆した方が外気から放熱面への対流熱伝達が
小さくなり放熱量が大きくなる。このため、特に図示し
ないが、条件に応じてスカイラジエータ30の放熱面上
に一定厚さの空気層を作るように透明ポリエチレンフィ
ルムなどの資材で被覆することができるようにすること
は、好ましい態様である。
【0026】中温室13に設置された冷却器33は低温
室12の冷却器24と同一の型式であり、氷蓄熱式冷房
システムS1の場合と同様に、中温室13が設定温度に
なるように温度センサ37及び温度調節器(不図示)に
より冷却器33の送風ファンと冷水循環ポンプ34の運
転が制御され、水蓄熱槽31の冷水が中温室13の冷却
器で熱交換されることにより設定温度の冷房が行われ
る。
【0027】水蓄熱補助冷却システムS3は水蓄熱槽3
1の蓄熱量不足を補うためのものであり、氷蓄熱槽22
の冷水を通して水蓄熱槽31を冷却する水蓄熱槽31内
に内蔵された熱交換器40、氷蓄熱槽22の冷水を熱交
換器40に循環させるポンプ41を備える。
【0028】水蓄熱式冷房システムS2の水蓄熱槽31
の水温は季節により設定を変更する必要があるが、夜間
のスカイラジエータによる放熱が終わる朝方において1
0〜15℃程度以下になることを目標とする。しかし、
曇天時や外気が高湿度で大気放射冷却があまり効かない
場合や雨天時、また、真夏で夜間の外気温の低下が小さ
い場合などにおいては、スカイラジエータによる放熱量
が不足して目標温度の冷水が得られないこともあり得
る。そのような場合には温度センサ36及び温度調節器
(不図示)によりポンプ41が運転され、前記熱交換器
40に氷蓄熱槽22から冷水が導かれて熱交換が行わ
れ、水蓄熱槽31の水温が目標温度まで下げられる。ま
た、中温室の冷房負荷が大きく、水蓄熱槽31の水温が
設定温度より上昇した場合も同様である。
【0029】水蓄熱槽31の温度は、水を蓄熱媒体とす
る限りにおいては有効な蓄熱量に比例した温度となり、
一定温度の冷水を供給することは不可能である。そこ
で、例えば、9℃あるいは13℃で固体−液体間の相変
化を伴う潜熱蓄熱剤をプラスチックカプセルに封入した
潜熱蓄熱資材42を水蓄熱槽31に投入することは好ま
しく、それにより、潜熱蓄熱剤が相変化を起こしている
時間帯については潜熱蓄熱剤に固有の一定温度で冷水の
貯留および供給を行うことが可能となる。これにより水
蓄熱槽の容量も縮小することができる。
【0030】なお、氷蓄熱槽および水蓄熱槽の水は冷蔵
庫内の空気の加湿に用いられるため、時間の経過に伴い
水量が減少する。そのために、特に図示しないが、各水
槽には、水位が下がると例えばボールタップの作用によ
り水道水が自動的に供給されるように手段が施される。
【0031】上記の農産物冷却冷蔵装置100におい
て、0〜5℃程度の低温におくと低温障害を起こす品目
(ナス、キュウリなど)については、中温室13内で低
温保存を行い、そのような低温障害を起こさない品目に
ついては、低温室12内で低温保存を行う。また、夏場
での収穫野菜のように、収穫時に高温度環境下にあった
農産物は、0〜5℃程度の低温下で低温障害を起こさな
い場合であっても、それを直接低温室12内に持ち込む
と、急激な温度変化により野菜に生理的ストレスを生じ
させ、後の流通過程において鮮度の低下を助長すること
が起こりうる。そのような場合には、例えば10〜15
℃程度以上の温度帯での冷房を行うよう設定されている
中温室13を予冷庫として使用する。すなわち、中温室
13内に一旦野菜類を持ち込み、そこである程度品温を
下げた後に、低温室12に移すようにする。それによ
り、ストレスによる鮮度の低下は回避できる。
【0032】さらに、上記のように、低温室12と中温
室13はそれぞれ設定温度の違う冷蔵庫として使用でき
るほか、断熱隔壁11を外して1つの冷蔵庫として使う
こともできる。断熱隔壁11を外した場合、前記のよう
に予冷庫として使用する場合には、温度の高い野菜など
を収納した直後には水蓄熱式冷房システムS2で冷房を
行い、ある程度野菜の温度が低下した時点で氷蓄熱式冷
房システムS1に切り替える。また、冷蔵庫として使用
する場合であって水蓄熱式冷房システムS2で冷房能力
が足りるような温度設定の場合は、水蓄熱式冷房システ
ムS2を主に稼働させて氷蓄熱式冷房システムS1を補
助的に用いるような制御を行うこともできる。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、第
1の空間と第2の空間とが異なった冷房システムによっ
て冷房されるようにしており、それぞれの冷房システム
を最も普通の運転態様で稼働させることにより、該2つ
の貯蔵空間は容易に異なった温度環境に維持できるよう
にされているので、運転コストを低く抑えた状態で、低
温障害の起きない品目については、より低温に維持され
る第1の空間(低温室)に、低温障害を起こす品目につ
いては、第1の空間よりは高温状態に維持される第2の
空間(中温室)にそれぞれ貯蔵でき、同一の倉庫内に品
目の違う多種類の農産物を、いずれもが低温障害を起こ
すことない最適の低温高湿度環境下で貯蔵することが可
能となる。また、比較的高い温度帯における野菜などの
冷却の際に、湿度低下によりしおれが生じたり、急激な
冷却により野菜にストレスを与える危険も回避できる。
【0034】また、氷蓄熱式冷房システムによる冷房と
大気放射冷却を利用した水蓄熱式冷房システムによる冷
房とを併用することにより、従来のフロン系冷媒による
電気冷房の一部を自然エネルギーで代替することが可能
となり、これにより環境負荷物質の排出抑制に寄与する
とともに、省エネルギーと冷房コストの低減が図られ農
産物低温流通の低コスト化に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる農産物冷却冷蔵
装置の概略図である。
【符号の説明】
100…農産物冷却冷蔵装置 S1…氷蓄熱式冷房システム S2…水蓄熱式冷房システム S3…補助冷却システム 10…冷蔵倉庫 11…断熱隔壁 12…低温室 13…中温室 20…冷凍機(チラーユニット) 21…製氷コイル 22…氷蓄熱槽 23…ブライン循環ポンプ 24…低温室用冷却器 25…氷蓄熱槽−冷却器系ポンプ 26…低温室温度センサ 30…スカイラジエータ 31…水蓄熱槽 32…水蓄熱槽−スカイラジエータ系ポンプ 33…中温室用冷却器 34…水蓄熱槽−冷却器系ポンプ 35…スカイラジエータ放熱面温度センサ 36…水蓄熱槽水温温度センサ 37…中温室温度センサ 40…熱交換器 41…氷蓄熱槽−水蓄熱槽熱交換器系ポンプ 42…潜熱蓄熱資材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25D 13/04 F25D 16/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農産物を冷蔵するための空間が氷蓄熱式
    冷房システムによる冷房を可能とした第1の空間と水蓄
    熱式冷房システムによる冷房を可能とした第2の空間と
    に分けられており、かつ、前記第1の空間と第2の空間
    とは互いに独立した状態と連続した状態とに切り替え可
    能とされており、さらに、前記水蓄熱式冷房システムの
    蓄熱能力を補うために、前記氷蓄熱式冷房システムから
    の冷熱を前記水蓄熱式冷房システム側に導入するための
    補助冷却システムをさらに備えており、該補助冷却シス
    テムは、前記氷蓄熱式冷房システムの氷蓄熱槽の冷水を
    前記水蓄熱式冷房システムの水蓄熱槽内に配置された熱
    交換器に循環させる循環路を少なくとも備えることを特
    徴とする農産物冷却冷蔵装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の空間と第2の空間とは、互い
    に独立した状態において、第1の空間は1℃から15℃
    程度の温度帯での冷房を行うように、第2の空間は10
    ℃程度以上の温度帯での冷房を行うように、それぞれ設
    定されていることを特徴とする請求項1に記載の農産物
    冷却冷蔵装置。
  3. 【請求項3】 前記氷蓄熱式冷房システムは、少なくと
    も、チラーユニット、氷蓄熱槽、及び第1の空間の室内
    空気と熱交換を行う冷却器を備えており、前記水蓄熱式
    冷房システムは、少なくとも、大気放射冷却による冷水
    の製造を行うスカイラジエータ、冷水を貯留する水蓄熱
    槽、及び第2の空間の室内空気と熱交換を行う冷却器を
    備えていることを特徴とする請求項1または2記載の農
    産物冷却冷蔵装置。
  4. 【請求項4】 前記水蓄熱槽内には、固有の温度で固体
    −液体間の相変化を伴う潜熱蓄熱資材が投入されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の農産
    物冷却冷蔵装置。
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