JP3336083B2 - 飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

飽和ポリエステル樹脂組成物

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JP3336083B2
JP3336083B2 JP22184693A JP22184693A JP3336083B2 JP 3336083 B2 JP3336083 B2 JP 3336083B2 JP 22184693 A JP22184693 A JP 22184693A JP 22184693 A JP22184693 A JP 22184693A JP 3336083 B2 JP3336083 B2 JP 3336083B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、飽和ポリエステル樹脂組
成物に関し、さらに詳しくは、低温耐衝撃性などの機械
的強度、耐加水分解性、成形性などに優れた飽和ポリエ
ステル樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】飽和ポリエステルに各種ポリオレ
フィンをブレンドすることにより機械的強度に優れる樹
脂組成物が得られることが古くから知られている。この
ような樹脂組成物としては、たとえば、飽和ポリエステ
ルとエチレン・不飽和カルボン酸共重合体金属塩とから
なる組成物、飽和ポリエステルとグラフト変性エチレン
・α-オレフィン共重合ゴムとからなる組成物、また
は、飽和ポリエステルとポリカーボネート樹脂とからな
る組成物などが知られている。
【0003】また、飽和ポリエステルは、空気中の水分
により加水分解し、成形体の機械的強度などが低下する
ことが知られている。このような問題を解決するための
方法として、特公昭55-50509号公報には、飽和
ポリエステルにカルボジイミド基を有する化合物を少量
配合することにより、耐加水分解性を改良できることが
記載されている。
【0004】本発明者らは、上記のような従来技術に鑑
み鋭意検討したところ、飽和ポリエステルと、エチレン
・不飽和カルボン酸共重合体またはその金属塩とからな
る組成物、あるいは飽和ポリエステルと、エチレン・不
飽和カルボン酸共重合体またはその金属塩と、1分子内
に、カルボキシル基、無水カルボン酸基、水酸基および
グリシジル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する
熱可塑性エラストマーとからなる組成物に、カルボジイ
ミド系化合物を特定量配合することにより機械的強度、
特に低温衝撃性に優れ、かつ耐加水分解性、成形性に優
れた飽和ポリエステル樹脂組成物が得られることを見い
出して、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明は、低温衝撃性、耐加水分解性、
成形性に優れた飽和ポリエステル樹脂組成物を提供する
ことを目的としている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係る第1の飽和ポリエステル樹
脂組成物は、 (Ia) (A)飽和ポリエステル:50〜99重量部と、(B)
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはその金属
塩:50〜1重量部とからなる組成物と、 (II) (D)カルボジイミド系化合物:前記組成物(Ia)10
0重量部に対し0.01〜5重量部とからなることを特
徴としている。
【0007】本発明に係る第2の飽和ポリエステル樹脂
組成物は、 (Ib) (A)飽和ポリエステル:40〜99重量部と、(B)
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはその金属
塩:30〜0.5重量部と、(C)1分子内に、カルボ
キシル基、無水カルボン酸基、水酸基およびグリシジル
基から選ばれる少なくとも1種の基を有する熱可塑性エ
ラストマー:30〜0.5重量部とからなる組成物と、 (II) (D)カルボジイミド系化合物:前記組成物(Ib)10
0重量部に対し0.01〜5重量部とからなることを特
徴としている。
【0008】本発明では、前記飽和ポリエステルの極限
粘度[η]が0.5〜1.4dl/gの範囲にあることが望
ましい。また、前記飽和ポリエステルが、 (i)ポリエチレンテレフタレート (ii)テレフタル酸単位と、イソフタル酸単位および/
またはオルソフタル酸単位とからなるジカルボン酸成分
単位と、エチレングリコール単位と、ジエチレングリコ
ール単位および/またはシクロヘキサンジメタノール単
位とからなるジヒドロキシ化合物成分単位とからなる飽
和ポリエステルかなる群より選ばれる少なくとも1種の
飽和ポリエステルであることが望ましい。
【0009】本発明では、前記(B)エチレン・不飽和
カルボン酸共重合体またはその金属塩を形成する不飽和
カルボン酸単位が、アクリル酸単位およびメタクリル酸
単位から選ばれる少なくとも1種の成分単位であること
が望ましい。
【0010】本発明では、前記(C)熱可塑性エラスト
マーが、エチレン・α-オレフィン共重合ゴムにマレイ
ン酸単位、無水マレイン酸単位もしくはグリシジル基が
グラフト共重合されてなる変性エチレン・α-オレフィ
ン共重合ゴムであることが望ましく、エチレン・プロピ
レン共重合ゴムにマレイン酸単位、無水マレイン酸単位
もしくはグリシジル基がグラフト共重合されてなる変性
エチレン・プロピレン共重合ゴムであることが特に望ま
しい。また前記エチレン・プロピレン共重合ゴムは、エ
チレン単位の含有量が50〜95モル%であることが望
ましい。
【0011】本発明では、前記(D)カルボジイミド系
化合物が、分子内に少なくとも2つ以上のカルボジイミ
ド基を有する化合物であることが望ましい。
【0012】
【発明の具体的説明】以下本発明に係る飽和ポリエステ
ル樹脂組成物について、より具体的に説明する。
【0013】本発明に係る飽和ポリエステル樹脂組成物
は、(A)飽和ポリエステルと、(B)エチレン・不飽
和カルボン酸共重合体またはその金属塩と、必要に応じ
て、(C)1分子内に、カルボキシル基、無水カルボン
酸基、水酸基およびグリシジル基から選ばれる少なくと
も1種の基を有する熱可塑性エラストマー(以下単に
「熱可塑性エラストマー」ということがある。)からな
る組成物と、(D)カルボジイミド系化合物とから形成
されている。
【0014】まず、本発明の飽和ポリエステル樹脂組成
物を形成する各成分について説明する。(A)飽和ポリエステル 本発明で用いられる飽和ポリエステルは、テレフタル酸
またはそのエステル形成性誘導体(たとえば低級アルキ
ルエステル、フェニルエステルなど)などのジカルボン
酸と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘
導体(たとえばモノカルボン酸エステルエチレンオキサ
イドなど)などのジヒドロキシ化合物と、必要に応じて
多官能性化合物とから得られる飽和ポリエステルであ
る。
【0015】この飽和ポリエステルには、前記以外の他
のジカルボン酸および/または他のジヒドロキシ化合物
から誘導される構成単位を40モル%以下の量で含有し
ていてもよい。
【0016】テレフタル酸またはそのエステル形成誘導
体以外の他のジカルボン酸から誘導される構成単位とし
て、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸
などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸などから誘導される構成単
位が挙げられる。
【0017】これらジカルボン酸から誘導される構成単
位は、1種または2種以上含有されていてもよく、特に
イソフタル酸、オルソフタル酸から誘導される構成単位
であることが好ましい。
【0018】またエチレングリコールまたはそのエステ
ル形成誘導体以外の他のジヒドロキシ化合物から誘導さ
れる構成単位として、具体的には、トリメチレングリコ
ール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ルなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノー
ルなどの脂環族グリコール;ビスフェノール類、ハイド
ロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパンなどの芳香族ジオール類などから誘導され
る構成単位が挙げられる。
【0019】これらジヒドロキシ化合物から誘導される
構成単位は、1種または2種以上含有されていてもよ
く、特に、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメ
タノールから誘導される構成単位であることが好まし
い。
【0020】また、本発明で用いられる飽和ポリエステ
ルは、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタ
ン、ペンタエルスリトールなどの多官能化合物から誘導
される構成単位を少量、たとえば2モル%以下の量で含
有していてもよい。
【0021】本発明では、(A)飽和ポリエステルとし
て、(i)ポリエチレンテレフタレート、または(ii)
テレフタル酸単位70〜99.5モル%と、イソフタル
酸単位および/またはオルソフタル酸単位30〜0.5
モル%とからなるジカルボン酸成分単位と、エチレング
リコール単位50〜99.5モル%と、ジエチレングリ
コール単位および/またはシクロヘキサンジメタノール
単位50〜0.5モル%とからなるジヒドロキシ化合物
成分単位とからなる飽和ポリエステルが、好ましく用い
られる。
【0022】このような(A)飽和ポリエステルは、エ
チレンテレフタレート成分単位単独で、あるいは該エチ
レンテレフタレート成分単位およびジオキシエチレンテ
レフタレート成分単位がランダムに配列してエステル結
合を形成することによりポリエステルを形成している。
【0023】この飽和ポリエステルのo-クロロフェノー
ル中で25℃で測定した極限粘度[η]は、0.5〜1.
4dl/g、好ましくは0.55〜1.2dl/g、より好
ましくは0.6〜1.1dl/gの範囲にあることが望まし
い。
【0024】飽和ポリエステルの極限粘度[η]が上記
のような範囲にあると、溶融成形性および機械的強度に
優れる。また、飽和ポリエステルの融点は、通常210
℃〜270℃、好ましくは220〜265℃の範囲にあ
ることが望ましく、ガラス転移温度は、通常50〜12
0℃、好ましくは60〜100℃の範囲にあることが望
ましい。
【0025】(B)エチレン・不飽和カルボン酸共重合
体またはその金属塩 本発明で用いられるエチレン・不飽和カルボン酸共重合
体とは、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であ
り、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の金属塩(以
下「アイオノマー」ということがある)とは、エチレン
と1価または2価の金属塩を含む不飽和カルボン酸のイ
オン性塩との共重合体である。
【0026】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体とし
て、具体的には、エチレンと、アクリル酸、メタクリル
酸などのα,β-不飽和カルボン酸とのランダム共重合
体、あるいは、エチレンと、マレイン酸、イタコン酸な
どの不飽和ジカルボン酸とのランダム共重合体が挙げら
れ、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の金属塩とし
て、具体的には、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重
合体のカルボキシル基の一部または全部がナトリウム、
カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム
などの1価または2価の金属で中和された共重合体が挙
げられる。本発明では、カルボキシル基の一部が1価ま
たは2価の金属で中和され、残余のカルボキシル基の一
部が低級アルコールでエステル化されたものも使用でき
る。
【0027】金属で中和する前のエチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体中の不飽和カルボン酸成分の含有量は、
1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%の範囲にあ
ることが望ましい。カルボキシル基の中和度は、15〜
100%、好ましくは20〜80%、より好ましくは3
0〜70%の範囲内にあることが望ましく、カルボキシ
ル基の中和度が、20〜80%の範囲内にあると得られ
る組成物は、溶融押出性に優れる。
【0028】これらアイオノマーの代表例としては、エ
チレンと、アクリル酸またはメタクリル酸との共重合体
(不飽和カルボン酸成分の割合が、2〜15モル%)で
あって、カルボキシル基の30〜70%が、ナトリウ
ム、亜鉛などの金属で中和されたものを挙げることがで
きる。
【0029】このようなエチレン・不飽和カルボン酸共
重合体としては、商品名「ニュクレル」(三井・デュポ
ン ポリケミカル社製)として市販されているものを使
用することができる。またアイオノマーとしては、商品
名「ハイミラン」(三井・デュポン ポリケミカル社
製)として市販されているものを使用することができ
る。
【0030】(C)熱可塑性エラストマー 本発明で用いられる熱可塑性エラストマーは、1分子内
に、カルボキシル基、無水カルボン酸基、水酸基および
グリシジル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する
熱可塑性エラストマーであり、このような熱可塑性エラ
ストマーとしては、エチレン・α-オレフィン共重合ゴ
ムに、不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれる
モノマーから導かれる成分単位、あるいはグリシジル基
がグラフト共重合されている変性エチレン・α-オレフ
ィン共重合ゴム、不飽和カルボン酸またはその誘導体か
ら選ばれるモノマーから導かれる成分単位、あるいはグ
リシジル基がグラフト共重合されている変性スチレン系
ブロック共重合体、およびポリエステル系エラストマー
を好適な例として挙げることができる。
【0031】本発明で用いられる変性エチレン・α-オ
レフィン共重合ゴムを構成する基材共重合体であるエチ
レン・α-オレフィン共重合ゴムは、プロピレン、1-ブ
テン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどのエチレン
以外のα-オレフィンと、エチレンとから得られる低結
晶性共重合体である。本発明では、基材共重合体である
エチレン・α-オレフィン共重合ゴムは、エチレン・プ
ロピレン共重合ゴムであることが望ましい。
【0032】このエチレン・α-オレフィン共重合ゴム
中の、エチレン単位含有率は、通常50〜95モル%、
好ましくは55〜93モル%の範囲にあることが望まし
い。結晶化度は、通常40%以下、好ましくは30%以
下であることが望ましく、極限粘度[η]は、通常0.
5〜7dl/g、好ましくは0.7〜5dl/gの範囲
にあることが望ましい。また、ガラス転移温度は、通常
−10℃以下、好ましくは−20℃以下であることが望
ましい。
【0033】変性エチレン・α-オレフィン共重合ゴム
を構成するグラフトモノマー成分としては、たとえばア
クリル酸、メタクリル酸、α-メチルアクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テト
ラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸などの
不飽和ジカルボン酸、または前記不飽和ジカルボン酸の
酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステルなど
の不飽和ジカルボン酸の誘導体、塩化グリシジルなどの
グリシジル基を有するエポキシ誘導体から導かれる成分
単位が挙げられ、具体的には、塩化マレニル、マレイミ
ド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モ
ノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート
などから導かれる成分単位が例示される。
【0034】これらの中では、不飽和ジカルボン酸また
はその酸無水物から導かれる成分単位であることが好ま
しく、特にマレイン酸、ナジツク酸またはこれらの酸無
水物から導かれる成分単位であることが好ましい。
【0035】このような変性エチレン・α-オレフィン
共重合ゴムの中では、エチレン・プロピレン共重合ゴム
に、マレイン酸、ナジツク酸またはこれらの酸無水物か
ら導かれる成分単位がグラフト共重合されている変性エ
チレン・プロピレン共重合ゴムが特に好ましい。
【0036】本発明で用いられる変性スチレン系ブロッ
ク共重合体を構成する基材共重合体は、一般にポリスチ
レンブロックとゴム中間ブロックとを有するスチレン系
ブロック共重合体である。このようなスチレン系ブロッ
ク共重合体としては、ゴム中間ブロックにポリブタジエ
ンを有するスチレン系ブロック共重合体(S−B−
S)、ゴム中間ブロックにポリイソプレンを有するスチ
レン系ブロック共重合体(S−I−S)、ゴム中間ブロ
ックにポリ(エチレン−ブテン)を有するスチレン系ブ
ロック共重合体(S−EB−S)などが挙げられる。
【0037】変性スチレン系ブロック共重合体を構成す
るグラフトモノマー成分としては、上記と同様のものが
挙げられる。このような変性スチレン系共重合体の中で
は、スチレン系ブロック共重合体(S−EB−S)に、
マレイン酸、ナジツク酸またはこれらの酸無水物から導
かれる成分単位がグラフト共重合されている変性スチレ
ン系共重合体が特に好ましい。
【0038】本発明で用いられるポリエステル系エラス
トマーとしては、ポリエステル−ポリエーテルエラスト
マー、ポリエステル−ポリエステルエラストマーなどが
挙げられる。
【0039】本発明では、熱可塑性エラストマーは、2
種以上混合して用いることができる。また、変性エチレ
ン・α-オレフィン共重合ゴムと、未変性のエチレン・
α-オレフィン共重合ゴムとを混合して用いることもで
きる。
【0040】(D)カルボジイミド系化合物 本発明で用いられるカルボジイミド系化合物としては、
分子内に1つまたは2つ以上のカルボジイミド基を有す
るカルボジイミド系化合物が使用されるが、特に分子内
に2つ以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド
系化合物が好ましい。
【0041】分子内に1つのカルボジイミド基を有する
カルボジイミド系化合物としては、ジシクロヘキシルカ
ルボジイミドなどのアルキル置換カルボジイミド、ジフ
ェニルカルボジイミドなどのアリル置換カルボジイミド
が挙げられる。
【0042】分子内に2つ以上のカルボジイミド基を有
するカルボジイミド系化合物としては2つ以上のイソシ
アネート基を持つ単量体から誘導されるポリカルボジイ
ミドが挙げられる。
【0043】具体的には、
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】これらのうちポリ(トリルカルボジイミ
ド)、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミ
ド)、ポリ(2,2',6,6'-テトライソプロピル4,4'-ビフ
ェニルカルボジイミド)および、ビス(2,4,6-トリイソ
プロピルフェニル)カルボジイミドの高分子量体が好ま
しい。
【0047】これら分子内に2つ以上のカルボジイミド
基を有するカルボジイミド系化合物の重合度(nの値)
については特に制限がなく、オリゴマータイプから、高
分子量タイプまで用いることができる。
【0048】これらカルボジイミド系化合物は、2種以
上混合して用いることができる。本発明に係る第1の飽
和ポリエステル樹脂組成物は、 (Ia) (A)飽和ポリエステル:50〜99重量部、好ましく
は60〜99重量部と、(B)エチレン・不飽和カルボ
ン酸共重合体またはその金属塩:50〜1重量部、好ま
しくは40〜1重量部、特に好ましくは30〜5重量%
とからなる組成物と、 (II) (D)カルボジイミド系化合物:前記組成物(Ia)10
0重量部に対し0.01〜5重量部、好ましくは0.05
〜3.5重量部とから形成されている。
【0049】組成物(Ia)中の(B)エチレン・不飽和
カルボン酸共重合体またはその金属塩の量が50重量部
を超えると、射出成形中にゲル化が進行し、成形が困難
となることがある。一方、組成物(Ia)中の(B)エチ
レン・不飽和カルボン酸共重合体またはその金属塩の量
が1重量部未満では、成形物の低温でのアイゾット衝撃
強度が不充分なことがある。
【0050】また、(D)カルボジイミド系化合物の量
が組成物(Ia)100重量部に対し5重量部を超える
と、飽和ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度が上昇し、
射出成形が困難となることがある。一方、(D)カルボ
ジイミド系化合物の量が組成物(Ia)100重量部に対
し0.01重量部未満では、成形物の低温でのアイゾッ
ト衝撃強度が不充分なことがある。
【0051】本発明に係る第2の飽和ポリエステル樹脂
組成物は、 (Ib) (A)飽和ポリエステル:40〜99重量部、好ましく
は50〜99重量部と、(B)エチレン・不飽和カルボ
ン酸共重合体またはその金属塩:30〜0.5重量部、
好ましくは25〜0.5重量部、特に好ましくは20〜
1重量%と、(C)1分子内に、カルボキシル基、無水
カルボン酸基、水酸基およびグリシジル基から選ばれる
少なくとも1種の基を有する熱可塑性エラストマー:3
0〜0.5重量部、好ましくは25〜0.5重量部、特に
好ましくは20〜1重量%とからなる組成物と、 (II) (D)カルボジイミド系化合物:前記組成物(Ib)10
0重量部に対し0.01〜5重量部、好ましくは0.05
〜3.5重量部とから形成されている。
【0052】(D)カルボジイミド系化合物の量が組成
物(Ib)100重量部に対し5重量部を超えると、飽和
ポリエステル樹脂組成物の溶融粘度が上昇し、射出成形
が困難となることがある。一方、(D)カルボジイミド
系化合物の量が組成物(Ib)100重量部に対し0.0
1重量部未満では、成形物の低温でのアイゾット衝撃強
度が不充分なことがある。
【0053】本発明の組成物を調製する方法としては、
公知の任意の方法を採用でき、たとえば、(A)飽和ポ
リエステルと、(B)エチレン・不飽和カルボン酸共重
合体またはその金属塩と、(D)カルボジイミド系化合
物と、必要に応じて(C)熱可塑性エラストマーを、タ
ンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどの混合機
で混合し、次いで押出機、ニーダーなどを用いて溶融混
練する方法が挙げられる。
【0054】また本発明では、目的とする飽和ポリエス
テル樹脂組成物よりも(D)カルボジイミド系化合物を
多く配合した樹脂組成物(以下「マスターバッチ」とい
う。)をあらかじめ調製しておき、このマスターバッチ
と、(A)飽和ポリエステルと、(B)エチレン・不飽
和カルボン酸共重合体またはその金属塩と、必要に応じ
て(C)熱可塑性エラストマーを混合し、次いで溶融混
練して飽和ポリエステル樹脂組成物を調製してもよい。
【0055】さらに本発明では、(A)飽和ポリエステ
ルと、(B)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体また
はその金属塩と、必要に応じて(C)熱可塑性エラスト
マーからなる組成物と、前記マスターバッチとを混合
し、次いで溶融混練して飽和ポリエステル樹脂組成物を
調製してもよい。
【0056】本発明の飽和ポリエステル樹脂組成物に
は、必要に応じて、耐候安定剤、顔料、染料、滑剤、熱
安定剤、帯電防止剤など、またはこれらを配合した樹脂
組成物を必要量ブレンドしてもよい。さらに本発明で
は、上記以外の他の樹脂、たとえばポリオレフィン(ポ
リエチレン、ポリプロピレン)などを必要に応じてブレ
ンドしてもよい。
【0057】本発明に係る飽和ポリエステル樹脂組成物
からポリエステル樹脂射出成形物を成形する際には、公
知の方法が採用できる。たとえば、射出成形機を用い
て、飽和ポリエステル樹脂組成物を、飽和ポリエステル
樹脂の融点以上の温度、たとえば220〜350℃、好
ましくは240〜300℃の温度に加熱して溶融し、金
型内に射出成形、冷却、固化することにより成形でき
る。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る飽和ポリエステル樹脂組成
物は、機械的特性、特に低温耐衝撃性に優れると共に、
耐加水分解性および成形性に優れている。
【0059】このような本発明の飽和ポリエステル樹脂
組成物は、たとえば、パレット、自動車用外装材、自動
車用内装材、コンテナー、電気部品、植木鉢などの園芸
用品などの射出成形体用として好適に用いることができ
る。
【0060】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0061】
【実施例1】 (A)飽和ポリエステル(ホモPET、[η]=0.8
1、三井ペット樹脂(株)製):80重量部と、(B)
アイオノマー(エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
ナトリウム塩、三井・デュポン ポリケミカル(株)
製):10重量部と、(C)熱可塑性エラストマー(マ
レイン酸変性エチレン・プロピレン共重合ゴム):10
重量部とからなる組成物に、(D)カルボジイミド系化
合物(スタバクゾールPTM(ビス(2,4,6-トリイソプロ
ピルフェニル)カルボジイミドの高分子量体、平泉洋行
(株)製):前記組成物100重量部に対し0.1重量
部をドライブレンドした後、2軸押出機にて造粒した。
各成分の配合割合を第1表に示す。
【0062】得られた飽和ポリエステル樹脂組成物につ
いて、アイゾット衝撃試験、成形性の評価、耐加水分解
性の評価を行った。結果を第1表に示す。なお、アイゾ
ット衝撃試験、成形性の評価、耐加水分解性の評価は下
記のようにして行った。
【0063】[アイゾット衝撃試験]得られた飽和ポリ
エステル樹脂組成物を用い、射出成形機にてアイゾット
衝撃試験用サンプル(幅3mm、ノッチあり)を成形
し、成形物を180℃、10分間アニール処理した。
【0064】このサンプルを用い、ASTMD256−
78に従いアイゾット衝撃試験を行った。なお、試験片
は−20℃で20分以上放置し、−20℃で測定した。
結果を第1表に示す。
【0065】[成形性の評価]成形性の評価は、肉厚2
mm、底の径が15cm、上部の径が15cm、高さが
14cmの円柱状の植木鉢を成形することにより評価し
た。
【0066】なお、評点は下記の通りである。 ○:問題なく成形可能であり、連続成形も可能 ×:成形可能であるが、連続成形が不可能 ××:離型性が悪く、成形時に金型からの取り出しが困
難であり、成形不可能 [耐加水分解性の評価]耐加水分解性の評価は、試験片
を沸水中に7日間つける前の曲げ応力に対する沸水中に
7日間つけた後の曲げ応力で評価した。
【0067】曲げ試験を行う際の試験片(63.5mm
×12.7mm×3mm)は射出成形し、ASTMD−
790に従い、曲げ試験を行い曲げ応力を測定した。な
お、評点は下記の通りである。
【0068】
【数1】
【0069】の値が、 ○:85%以上 △:50%以上 ×:50%未満 とした。
【0070】
【実施例2〜13、参考例1〜3、比較例1〜11】
(A)飽和ポリエステル、(B)エチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体またはその金属塩、(C)熱可塑性エラ
ストマーおよび(D)カルボジイミド系化合物の種類お
よび配合量を第1表に示すように変更した以外は、実施
例1と同様にして飽和ポリエステル樹脂組成物を製造し
た。
【0071】得られた飽和ポリエステル樹脂組成物につ
いて、実施例1と同様にしてアイゾット衝撃試験、成形
性の評価、耐加水分解性の評価を行った。結果を第1表
に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−14251(JP,A) 特開 昭61−235455(JP,A) 特開 昭61−221260(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(Ib) (A)飽和ポリエステル:40〜99重量部と、 (B)エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはその
    金属塩:30〜0.5重量部と、 (C)1分子内に、カルボキシル基、無水カルボン酸
    基、水酸基およびグリシジル基から選ばれる少なくとも
    1種の基を有する熱可塑性エラストマー:30〜0.5
    重量部と からなる組成物と、 (II) (D)カルボジイミド系化合物:前記組成物(Ib)10
    0重量部に対し0.01〜5重量部とからなることを特
    徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記飽和ポリエステルの極限粘度[η]
    が0.5〜1.4dl/gの範囲にある請求項1に記載の飽
    和ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記飽和ポリエステルが、 (i)ポリエチレンテレフタレート (ii)テレフタル酸単位と、イソフタル酸単位および/
    またはオルソフタル酸単位とからなるジカルボン酸成分
    単位と、 エチレングリコール単位と、ジエチレングリコール単位
    および/またはシクロヘキサンジメタノール単位とから
    なるジヒドロキシ化合物成分単位とからなる飽和ポリエ
    ステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の飽和ポ
    リエステルである請求項1または2に記載の飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記(B)エチレン・不飽和カルボン酸共
    重合体またはその金属塩を形成する不飽和カルボン酸単
    位が、アクリル酸単位およびメタクリル酸単位から選ば
    れる少なくとも1種の成分単位であることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の飽和ポリエステル
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】前記(C)熱可塑性エラストマーが、エチ
    レン・α-オレフィン共重合ゴムにマレイン酸単位、無
    水マレイン酸単位もしくはグリシジル基がグラフト共重
    合されてなる変性エチレン・α-オレフィン共重合ゴム
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載の飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記エチレン・α-オレフィン共重合ゴ
    ムが、エチレン・プロピレン共重合ゴムである請求項5
    に記載の飽和ポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記エチレン・プロピレン共重合ゴムに
    おけるエチレン単位の含有量が50〜95モル%である
    請求項6に記載の飽和ポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】前記(D)カルボジイミド系化合物が、分
    子内に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有する
    化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の飽和
    ポリエステル樹脂組成物。
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