JP3334399B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP3334399B2
JP3334399B2 JP1295795A JP1295795A JP3334399B2 JP 3334399 B2 JP3334399 B2 JP 3334399B2 JP 1295795 A JP1295795 A JP 1295795A JP 1295795 A JP1295795 A JP 1295795A JP 3334399 B2 JP3334399 B2 JP 3334399B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、吸、排気バルブの開
閉時期を内燃機関の運転状態に応じて制御する内燃機関
のバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の内燃機関のバルブタイミ
ング制御装置として、特開昭63−131808号公報
に提示されるものが公知である。
【0003】このバルブタイミング制御装置では、カム
シャフトの先端部にタイミングプーリが設けられ、カム
シャフト及びタイミングプーリの間には筒状のリングギ
ヤが設けられている。同リングギヤはヘリカル歯により
前記カムシャフト及びタイミングプーリと噛合されると
ともに、その前後側には進角側油圧室及び遅角側油圧室
が形成されている。かかる構成を備えた同装置では、両
油圧室に作用する油圧を変化させることにより、前記リ
ングギヤをカムシャフト軸方向に移動させる。そして、
同リングギヤの移動に伴って、カムシャフトはタイミン
グプーリに対して相対回動するため、バルブ開閉時期
(バルブタイミング)が調整されるようになっている。
【0004】さて、同装置において、前記両油圧室の作
動油(エンジン潤滑系の潤滑油)はカムシャフトのカム
ジャーナルを介して供給されるようになっている。かか
る構成について図12を参照して詳細に説明すると、同
装置においては、カムシャフト61のカムジャーナル6
1aがシリンダヘッド62の軸受部62aとベアリング
キャップ63とにより回転可能に支持されている。ま
た、カムジャーナル61aには周方向に延びる2本のジ
ャーナル溝64a,64bが形成されている。カムシャ
フト61内部には、軸方向に延びる進角側油通路65a
及び遅角側油通路65bが形成され、進角側油通路65
aは進角側油圧室(図示しない)と連通される一方で、
遅角側油通路65bは遅角側油圧室(図示しない)と連
通されている。そして、進角側油通路65aはカムシャ
フト61の先端側(図中左側)に形成されたジャーナル
溝64aと油孔66aを介して連通されている。これに
対して、遅角側油通路65bはカムシャフト61の基端
側(図中右側)に形成されたジャーナル溝64bと油孔
66bにより連通されている。
【0005】また、シリンダヘッド62にはカムジャー
ナル61aの摺動面に相対する開口部を有する進角側油
供給路67aが設けられ、同油供給路67aはカムシャ
フト61の先端側に設けられたジャーナル溝64aと連
通されている。一方、ベアリングキャップ63にも同様
に遅角側油供給路67bが設けられ、同油供給路67b
はカムシャフト61の基端側に設けられたジャーナル溝
64bと連通されている。また、前記進角側油供給路6
7a及び遅角側油供給路67bは制御弁(図示しない)
を介して油圧ポンプ(図示しない)に接続されている。
したがって、油圧ポンプ(図示しない)より圧送された
作動油は、両油供給路67a,67bからジャーナル溝
64a,64b、油孔66a,66b及び両油通路65
a,65bを介してそれぞれの油圧室(図示しない)に
供給される。
【0006】以上の構成を備えた従来技術のバルブタイ
ミング制御装置では、油圧ポンプ(図示しない)から潤
滑油が両油圧室(図示しない)に供給されるとともに、
油供給路67a,67bの開口部あるいはジャーナル溝
64a,64bからカムジャーナル61aの摺動面に潤
滑油が供給されることになる。すなわち、上記構成によ
ればカムジャーナル61aへ潤滑油を供給するための潤
滑系油路を別途設ける必要がなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来技
術においてカムシャフトの先端部に設けられたタイミン
グプーリには、タイミングベルトが掛装され、同タイミ
ングベルトを介してクランクシャフトの回転駆動力がタ
イミングプーリに伝達されている。かかる際、タイミン
グベルトの張力によってカムジャーナルはシリンダヘッ
ドの軸受部に押圧された状態となっている。これに加
え、カムシャフト先端部にはタイミングプーリ等のバル
ブタイミング制御装置を構成する部品が設けられている
ため、これらに作用する重力によっても同様に、カムジ
ャーナルはシリンダヘッドの軸受部に押圧されている。
したがって、カムジャーナルは軸受部との摺動面におい
て、前述した張力及び重力の大きさに応じた反力を受け
ることになる。
【0008】さらに、前記反力はカムジャーナルの摺動
面全体において一定ではなく、カムシャフト基端側と比
較して、先端側にあるカムジャーナルの摺動面にはより
大きな反力が作用している。すなわち、カムジャーナル
の摺動面における面圧はカムシャフト先端部側が基端部
側より大きくなっている。
【0009】したがって、カムシャフト先端側にあるカ
ムジャーナルの摺動面は、前記油供給路の開口部及びジ
ャーナル溝から十分な潤滑油が供給されることにより良
好な潤滑状態とされ、潤滑不良による油膜切れあるいは
焼き付き等のトラブルを未然に防止する必要がある。
【0010】ところが、前記従来技術においては以下に
示す問題点があった。従来のバルブタイミング制御装置
ではエンジンがアイドリング状態にあるとき、バルブ開
閉時期は遅角制御されるようになっている。かかる状態
では、前記遅角側油圧室へ潤滑油が供給される一方で、
前記進角側油圧室の潤滑油はオイルパン側へ排出され
る。すなわち、アイドリング時に遅角側油圧室の油圧は
高圧となる一方で、進角側油圧室の油圧は略「0」の状
態となる。その結果、カムシャフト基端側にあるカムジ
ャーナルの摺動面(図12のD。以下、基端側摺動面D
という)には遅角側油圧室と連通された油供給路の開口
部から潤滑油が供給されるのに対して、カムシャフト先
端側にあるカムジャーナルの摺動面(図12のC。以
下、先端側摺動面Cという)には潤滑油は供給されない
ことになる。
【0011】ここで、エンジンの回転数が高回転であっ
て油圧ポンプの吐出圧力が増加している場合には、基端
側摺動面Dに十分な潤滑油が供給され、その潤滑油によ
ってカムジャーナルの摺動面全体が潤滑される。したが
って、先端側摺動面Cに潤滑油が供給されなくても問題
が生じるおそれは少ない。
【0012】ところが、エンジンがアイドリング状態で
あって油圧ポンプの圧力が低下している場合には、基端
側摺動面Dにのみ潤滑油が供給され、前述したように良
好な潤滑状態に維持する必要がある先端側摺動面Cの潤
滑油が不足するようになる。その結果、同先端側摺動面
Cには油膜切れによる焼き付き、温度上昇、偏磨耗等が
生じるおそれがあった。
【0013】この発明は、こうした実情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、カムジャーナルの摺動面に
おける潤滑性を向上させることにあり、特に内燃機関が
アイドリング状態にある場合における前記先端側摺動面
の潤滑状態を改善することのできる内燃機関のバルブタ
イミング制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、内燃機関のバルブ駆動用
カムシャフトの外周に設けられたプーリと、前記カムシ
ャフト及びプーリ間において両者と噛合されるととも
に、内外周面に歯を有し、かつ、少なくともその一方が
ヘリカル歯である円筒状のリングギヤと、油圧供給源か
らの油をリングギヤの両端に設けられた進角側油圧室及
び遅角側油圧室へ導入し、その油圧を前記リングギヤの
両端側に作用させるための進角制御用油路及び遅角制御
用油路と、を備え、油圧供給源からの油圧の付勢力によ
り、リングギヤをカムシャフトの軸方向へ移動させるこ
とによりプーリとカムシャフトとを相対回転させ、バル
ブ開閉時期を可変とした内燃機関のバルブタイミング制
御装置において、前記進角制御用油路及び遅角制御用油
路はカムシャフトのスラスト軸受に対するカムジャーナ
ルにおいて開口され、遅角制御用油路の開口は進角制御
用油路の開口よりも前記プーリ側に配置され、更にそれ
ら各制御用油路のうち少なくとも遅角制御用油路はカム
シャフトのカム摺動面へ潤滑油を供給するためにカムシ
ャフト内に形成されたカム潤滑油路と連通路によって連
通されていることをその要旨とするものである。
【0015】
【0016】請求項に記載の発明は、請求項に記載
の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、連通
路内には絞りが形成されていることをその要旨とするも
のである。
【0017】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、進角制御用油
路及び遅角制御用油路の開口より、カムジャーナルには
油が供給される。遅角制御用油路は内燃機関がアイドリ
ング状態であるときにその内圧が増加している。したが
って、内燃機関がアイドリング状態であるときは、遅角
制御用油路の開口からカムジャーナルの先端側に油が供
給される。更に、少なくとも遅角制御用油路から連通路
を通じてカム潤滑油路に油が供給される。内燃機関の運
転状態に応じてバルブ開閉時期を変化させる際、遅角制
御用油路は進角制御用油路と比較してその油圧が低圧と
なる状態が少ない。したがって、遅角制御用油路から連
通路を通じてカム潤滑油路に安定して油が供給される。
【0018】
【0019】請求項2に記載の発明によれば、上記作用
に加え、連通路内における油の移動が同連通路に設けら
れた絞りによって規制されるようになる。
【0020】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明におけるバルブタイミング
制御装置を自動車用のエンジンに具体化した第1実施例
について図1〜図5に従って説明する。
【0021】図1〜図3はこの実施例におけるバルブタ
イミング制御装置の構造とその作用を示す断面図であ
る。この装置はエンジンの図示しない吸気バルブを開閉
するための吸気側カムシャフトに備えられているもので
ある。
【0022】同装置はカムシャフト1の先端部に設けら
れたタイミングプーリ2等により構成されるバルブタイ
ミング機構(以下、VVTという)3と、そのVVT3
に対する油圧の供給を制御するための油圧制御弁(以
下、OCVという)4とを備えている。前記タイミング
プーリ2は本発明のプーリを構成している。
【0023】カムシャフト1はそのカムジャーナル5が
シリンダヘッド6の軸受部7とベアリングキャップ8と
により回転可能に支持されている。カムジャーナル5に
はその外周に沿って延びる2本のジャーナル溝9,10
が形成されている。また、シリンダヘッド6には、進角
側ヘッド油路11及び遅角側ヘッド油路12がそれぞれ
形成され、両油路11,12のカムジャーナル5側開口
部11a,12aは、前記両ジャーナル溝9,10と相
対するように配設されている。
【0024】この実施例では、オイルパン13、オイル
ストレーナ14、オイルポンプ15及びオイルフィルタ
16等によりエンジンの潤滑装置が構成されている。そ
して、エンジンに連動して油圧供給源としてのオイルポ
ンプ15が駆動されることにより、オイルパン13から
オイルストレーナ14を通じて潤滑油が吸い上げられて
オイルポンプ15から吐出される。吐出された潤滑油は
オイルフィルタ16を通過した後、エンジンの各部潤滑
系へ圧送されると共に、OCV4を介して各ヘッド油路
11,12へ圧送される。この実施例では、OCV4に
導入される潤滑油を浄化するために、オイルフィルタ1
6とは別のOCV用オイルフィルタ16Aが設けられて
いる。
【0025】タイミングプーリ2はプーリ本体17と、
同プーリ本体17の一側面及びカムシャフト1の先端を
覆うように組付けられたカバー18とを備えている。プ
ーリ本体17は略円板状をなし、その外周には複数の外
歯17aが形成され、中央にはボス17bが形成されて
いる。プーリ本体17はそのボス17bにてカムシャフ
ト1に対し相対回動可能に挿着されている。プーリ本体
17はその外歯17aに掛装されたタイミングベルト1
9を介して図示しないクランクシャフトに駆動連結され
ている。カバー18は有底円筒状をなし、その外周には
フランジ18aが形成され、底部中央には連通孔18b
が形成されている。カバー18の内周には、複数の内歯
18cが形成されている。カバー18はそのフランジ1
8aにて、複数のボルト20及びピン21によりプーリ
本体17の側面に固定されている。連通孔18bには蓋
22が取外し可能に装着されている。
【0026】プーリ本体17とカバー18とで囲まれた
空間は環状の収容空間23となっている。同収容空間2
3において、カムシャフト1の先端にインナキャップ2
4が中空ボルト25により固定され、ピン26により回
り止めされている。また、インナキャップ24の周壁2
4aの外周には、複数の外歯24bが形成されている。
【0027】タイミングプーリ2とカムシャフト1との
間にはリングギヤ27が介在され、同リングギヤ27に
より両者2,1が連結されている。リングギヤ27は環
状をなし、収容空間23にてカムシャフト1の軸方向に
沿って往復動可能に収容されている。このリングギヤ2
7はその内外周に設けられた複数の歯27a,27bの
両方がヘリカル歯となっており、軸方向への移動によっ
てカムシャフト1と相対回動可能になっている。そし
て、リングギヤ27の内周の歯27aはインナキャップ
24の外歯24bに、リングギヤ27の外周の歯27b
はカバー18の内歯18cにそれぞれ噛合されている。
したがって、タイミングプーリ2が回転されることによ
り、リングギヤ27によって連結されたプーリ本体17
とインナキャップ24とが一体的に回転され、カムシャ
フト1がタイミングプーリ2と一体的に回転される。
【0028】収容空間23においてリングギヤ27の軸
方向一端とカバー18の底壁との間には、進角側油圧室
28が形成されている。同じく、収容空間23において
リングギヤ27の軸方向他端とプーリ本体17との間に
は、遅角側油圧室29が形成されている。
【0029】進角側油圧室28に対して潤滑油による油
圧を導入するために、カムシャフト1にはその軸方向に
沿って延びる進角側シャフト油路30が形成されてい
る。同進角側シャフト油路30の先端側は中空ボルト2
5の中心孔25aを通じて進角側油圧室28に連通され
ている。また、同油路30の基端側は、カムシャフト1
の径方向に延びる油孔31を通じて一方のジャーナル溝
9に連通されている。
【0030】一方、遅角側油圧室29に対して潤滑油に
よる油圧を導入するために、カムシャフト1には前記進
角側シャフト油路30と平行に延びる遅角側シャフト油
路32が形成されている。また、カムシャフト1の先端
寄りの位置には、その外周に沿って延びる1つの周溝3
3が形成されている。この周溝33の一部は前記遅角側
シャフト油路32に連通されている。プーリ本体17の
ボス17bの一部には、前記周溝33と遅角側油圧室2
9とを連通する油孔34が形成されている。また、遅角
側シャフト油路32の基端側は他方のジャーナル溝10
に連通されるとともに、その先端側は前記インナキャッ
プ24によって閉塞されている。
【0031】上記構成において、進角側ヘッド油路1
1、ジャーナル溝9、油孔31、進角側シャフト油路3
0及び中心孔25a等により、進角側油圧室28に油圧
を導入する進角制御用油路が構成されている。
【0032】これに対して、遅角側ヘッド油路12、ジ
ャーナル溝10、遅角側シャフト油路32、周溝33及
び油孔34等により、遅角側油圧室29に油圧を導入す
る遅角制御用油路が構成されている。
【0033】また、前記ジャーナル溝9はカムジャーナ
ル5において設けられた進角制御用油路の開口を構成し
ている。同様に、前記ジャーナル溝10はカムジャーナ
ル5において設けられた遅角制御用油路の開口を構成し
ている。
【0034】本実施例において、遅角側ヘッド油路12
の開口部12a及び同油路12に連通されているジャー
ナル溝10は、進角側ヘッド油路11の開口部11a及
び同油路11に連通されているジャーナル溝9よりカム
シャフト1の先端側に配設されている。そして、両ヘッ
ド油路11,12に設けられた開口部11a,12a及
びジャーナル溝9,10からカムジャーナル摺動面に潤
滑油が供給されるようになっている。
【0035】前記各ヘッド油路11,12より上流側に
は、各油圧室28,29に対する油圧の供給を制御する
ために、前述したOCV4が設けられている。同OCV
4はスリーブ36、スプール37及びリニアソレノイド
38を備えている。スリーブ36は筒状をなし、オイル
ポンプ15からの潤滑油を導入するための供給ポート3
9を備えている。さらに、前記スリーブ36は進角及び
遅角側油圧室28,29のそれぞれへ油圧を供給するた
めの進角及び遅角側吐出ポート40,41と、各油圧室
28,29から戻る油をオイルパン13へドレンするた
めの進角及び遅角側ドレンポート42,43とを備えて
いる。前記進角側吐出ポート40は進角側ヘッド油路1
1に連通され、遅角側吐出ポート41は遅角側ヘッド油
路12に連通されている。進角及び遅角側ドレンポート
42,43はオイルパン13に通じており、供給ポート
39は両オイルフィルタ16A,16を介してオイルポ
ンプ15の吐出口に連通されている。
【0036】スプール37は円筒状の4つの弁体37
a,37b,37c,37dを有する串状をなし、スリ
ーブ36の内周に沿って軸方向へ往復動可能に設けられ
ている。弁体37b,37cの軸方向の長さは、進角側
吐出ポート40、遅角側吐出ポート41の開口部におけ
る軸方向の長さより大きく設定されている。したがっ
て、弁体37b,37cにより、前記進角及び遅角側吐
出ポート40,41のそれぞれの開口部の閉塞が可能で
ある。ここで、図4(d)に示すように、スプール37
がスリーブ36の中央に配置され、進角及び遅角側吐出
ポート40,41の両開口部を閉塞する状態において、
スリーブ36と弁体37b,37cとのラップ代の関係
はδ1=δ2>δ3=δ4、で表される。したがって、
リニアソレノイド38により、スプール37が図中左方
に移動すると、まず、進角側吐出ポートが開口40さ
れ、所定の遅延時間の後、遅角側吐出ポート41が開口
される。逆に、リニアソレノイド38により、スプール
37が図中右方に移動すると、まず、遅角側吐出ポート
41が開口され、所定の遅延時間の後、進角側吐出ポー
ト40が開口される。このように、スリーブ36と弁体
37b,37cとのラップ代δ1,δ2,δ3,δ4が
δ1=δ2>δ3=δ4の関係となるように形成された
スプール37によって、後述するようにバルブ開閉時期
を中間位相としたときの両油圧室28,29の油圧が高
められることになる。
【0037】また、前記リニアソレノイド38は通電に
より作動するものであり、スプール37を移動するため
にスリーブ36の一端に取り付けられている。スリーブ
36の他端には、スプール37をリニアソレノイド38
へ向けて付勢するためのスプリング44が取り付けられ
ている。
【0038】上記構成を備えたバルブタイミング制御装
置の作用は以下に示すようになる。図2に示すように、
リングギヤ27がカムシャフト1の先端側に保持されて
いるとき、すなわちバルブ開閉時期が最遅角状態とされ
ているとき、OCV4のスプール37は図4(a)に示
す状態に保持されている。同図に示すように、遅角側吐
出ポート41と供給ポート39とは連通され、遅角側ヘ
ッド油路12に潤滑油が供給されている。したがって、
遅角側油圧室29及び遅角制御用油路12,10,3
2,33,34の油圧は高圧の状態となっている。
【0039】これに対して、進角側吐出ポート40と進
角側ドレンポート42は連通されているため、進角側油
圧室28内の潤滑油は進角側ドレンポート42を介して
オイルパン13側へ排出されている。したがって、進角
側油圧室28及び進角制御用油路11,9,31,3
0,25aの油圧は略「0」の状態となっている。
【0040】かかる際、リニアソレノイド38を励磁す
る励磁電圧のデューティ比(励磁電圧のON/OFF比
を示す)は定常状態(50%)と比較して減少してい
る。尚、このデューティ比は図示しないECUによって
制御されている。
【0041】かかる状態から、リングギヤ27をカムシ
ャフト1の基端側に移動させる、すなわちバルブ開閉時
期を進角制御するには、まず、リニアソレノイド38を
励磁する励磁電圧のデューティ比を50%より増加させ
る。スプール37はデューティ比の増加に伴い、スプリ
ング44の付勢力に抗して図4(a)の左方に移動し、
図4(b)に示す状態となる。したがって、進角側吐出
ポート40と供給ポート39とが連通され、進角側ヘッ
ド油路11に潤滑油が供給される。そして、潤滑油はジ
ャーナル溝9、油孔31、進角側シャフト油路30及び
中空ボルト25の中心孔25aを通じて進角側油圧室2
8に供給される。
【0042】これに対して、遅角側吐出ポート41と遅
角側ドレンポート43は連通されているため、遅角側油
圧室29の潤滑油は油孔34、周溝33、遅角側シャフ
ト油路32、ジャーナル溝10及び遅角側ヘッド油路1
2を通じてオイルパン13へと排出される。その結果、
進角側油圧室28及び進角制御用油路11,9,31,
30,25aの油圧は高圧となるのに対して、遅角側油
圧室29及び遅角制御用油路12,10,32,33,
34の油圧は略「0」となる。
【0043】このため、リングギヤ27の一端に加えら
れた進角側油圧室28の油圧によって、同リングギヤ2
7は遅角側油圧室29に油圧に抗して軸方向に移動す
る。リングギヤ27が軸方向へ移動すると、同リングギ
ヤ27の内外周に設けられたヘリカル歯27a,27b
と、インナキャップ24の外歯24b、カバー18の内
歯18cとの噛合により、リングギヤ27は回動され、
カムシャフト1に捩じりが付与される。
【0044】その結果、カムシャフト1とタイミングプ
ーリ2との回転方向における相対位置が変えられ、吸気
バルブの作動タイミングが進角されることになる。次
に、バルブ開閉時期を進角制御している状態から、中間
位相の状態に保持する場合について説明する。尚、ここ
で「中間位相の状態」とは、前記リングギヤ27がバル
ブ開閉時期を最遅角状態とする位置(図2に示す)ある
いは最進角状態とする位置(図3に示す)以外に停止し
ている状態をいうものとする。また、「進角制御時」あ
るいは「遅角制御時」とはバルブ開閉時期を進角あるい
は遅角させるために前記両油圧室28,29に油圧を作
用させ、前記リングギヤ27を移動させている途中の状
態をいうものとする。
【0045】前述したように進角制御時において、リニ
アソレノイド38を励磁する励磁電圧のデューティ比は
増加しており、スプール37は図4(b)に示すように
左方に移動した状態となっている。
【0046】ここで、デューティ比を50%にまで減少
させると、スプール37はスプリング44の付勢力によ
り図中右方に、図4(c)の位置まで移動し、最初に遅
角側吐出ポート41と遅角側ドレンポート43との連通
が遮断される。かかる状態では、進角側吐出ポート40
は供給ポート39と連通されており、進角側油圧室28
の油圧は上昇している。一方、遅角側油圧室29には潤
滑油が残留しているため、遅角側油圧室29の油圧も進
角側油圧室28とともに上昇する。
【0047】さらに、スプール37は、図4(d)の位
置まで移動し、両吐出ポート40,41は閉じられる。
したがって、バルブ開閉時期が中間位相の状態となった
とき、進角及び遅角側油圧室28,29内の油圧は高圧
の状態に保持されることになる。また、進角制御用油路
11,9,31,30,25a及び遅角制御用油路1
2,10,32,33,34の油圧も高圧の状態に保持
される。この時、最初に遅角側吐出ポート41と遅角側
ドレンポート43との連通が遮断されるため、遅角側油
圧室29に空気が混入するおそれはない。
【0048】続いて、図3に示すようにリングギヤ27
がカムシャフト1の最も基端側に保持されている状態、
すなわちバルブ開閉時期が最進角状態となっている状態
から、これを遅角制御する場合について説明する。かか
る場合には、まず、リニアソレノイド38を励磁する励
磁電圧のデューティ比を減少させる。すると、スプール
37はデューティ比の減少に伴い、図5(a)に示す状
態からスプリング44の付勢力によって図5(a)の右
方に移動し、図5(b)に示す状態となる。したがっ
て、遅角側吐出ポート41と供給ポート39とが連通さ
れ、遅角側ヘッド油路12に潤滑油が供給される。そし
て、潤滑油はジャーナル溝10、遅角側シャフト油路3
2、周溝33及び油孔34を通じて遅角側油圧室29に
供給される。これに対して、進角側吐出ポート40と進
角側ドレンポート42は連通されているため、進角側油
圧室28の潤滑油は中空ボルト25の中心孔25a、進
角側シャフト油路30、油孔31、ジャーナル溝9及び
進角側ヘッド油路11を通じてオイルパン13へと排出
される。
【0049】したがって、遅角側油圧室29及び遅角制
御用油路12,10,32,33,34の油圧は高圧と
なるのに対して、進角側油圧室28及び進角制御用油路
11,9,31,30,25aの油圧は略「0」とな
る。このため、リングギヤ27の一端に加えられた遅角
側油圧室29の油圧によって、同リングギヤ27は進角
側油圧室28に油圧に抗して軸方向に移動する。リング
ギヤ27が軸方向へ移動すると、同リングギヤ27の内
外周に設けられたヘリカル歯27a,27bと、インナ
キャップ24の外歯24b、カバー18の内歯18cと
の噛合により、リングギヤ27は回動され、カムシャフ
ト1に捩じりが付与される。
【0050】その結果、カムシャフト1とタイミングプ
ーリ2との回転方向における相対位置が変えられ、吸気
バルブの作動タイミングが遅角されることになる。次
に、バルブ開閉時期を遅角制御している状態から、中間
位相の状態に保持する場合について説明する。前述した
ように遅角制御時において、リニアソレノイド38を励
磁する励磁電圧のデューティ比は減少しており、スプー
ル37は図5(b)に示すように右方に移動した状態と
なっている。
【0051】ここで、デューティ比を50%に戻すと、
スプール37はスプリング44の付勢力に抗して図中左
方に、図5(c)の位置まで移動する。そして、最初に
進角側吐出ポート40と進角側ドレンポート42との連
通が遮断される。かかる状態では、遅角側吐出ポート4
1は供給ポート39と連通されており、遅角側油圧室2
9の油圧は上昇している。一方、進角側油圧室28には
潤滑油が残留しているため、進角側油圧室28の油圧も
遅角側油圧室29とともに上昇する。
【0052】さらに、スプール37は、図5(d)の位
置まで移動し、両吐出ポート40,41は閉じられる。
したがって、バルブ開閉時期が中間位相の状態となった
とき、進角及び遅角側油圧室28,29内の油圧は高い
状態に保持されることになる。また、進角制御用油路1
1,9,31,30,25a及び遅角制御用油路12,
10,32,34,33の油圧も高圧の状態に保持され
る。この時、最初に進角側吐出ポート40と進角側ドレ
ンポート42との連通が遮断されるため、進角側油圧室
28に空気が混入するおそれはない。
【0053】さて、本実施例におけるバルブタイミング
装置では、前述したようなバルブ開閉時期の制御をエン
ジンの運転状態に応じておこなっている。例えば、エン
ジンがアイドリング状態にある場合にはバルブ開閉時期
を最大限に遅角させる最遅角状態とする。そして、アイ
ドリング状態からエンジンの回転数が増加するに従っ
て、最遅角状態からバルブ開閉時期を進角制御する。さ
らに、高回転時において再びバルブ開閉時期を最遅角状
態に変化させるようにしている。そして、上記のように
バルブ開閉時期を制御することにより、燃焼の安定性、
あるいは燃費の向上等が図られている。
【0054】以上説明したバルブ開閉時期の制御と両油
圧室28,29の内圧及びエンジンの運転状態との関係
を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示すように進角側油圧室28の油圧
はバルブ開閉時期が最遅角状態となっている場合及び遅
角制御時である場合を除き、高圧の状態となっている。
これに対して、遅角側油圧室29の油圧はバルブ開閉時
期が最進角状態となっている場合及び進角制御時である
場合を除き、高圧の状態となっている。また、エンジン
がアイドリング状態である場合及び高回転である場合に
バルブ開閉時期は最遅角状態とされ、このとき遅角側油
圧室28の油圧は高圧の状態となっていることがわか
る。
【0057】さて、本実施例のバルブタイミング制御装
置において、バルブ開閉駆動は前記カムシャフト1によ
ってなされている。また、同カムシャフト1の回転駆動
力はその先端部にあるプーリ本体17に掛装されたタイ
ミングベルト19により伝達されている。ここで、カム
シャフト1の先端側はタイミングベルト19の張力によ
って図11における矢印の方向に付勢され、カムジャー
ナル5はシリンダヘッド6の軸受部7に押圧される。ま
た、カムシャフト1の先端側にはタイミングプーリ2等
のVVT3を構成する部品が備えられているため、それ
らの部品に作用する重力によっても同様に、カムジャー
ナル5はシリンダヘッド6側に押圧されている。したが
って、カムジャーナル5は前記軸受部7との摺動面にお
いて、前述した張力及び重力の大きさに応じた反力を受
けることになる。
【0058】さらに、前記反力はカムジャーナル5全体
において一定ではなく、前記張力及び重力の作用点に近
い側、すなわち、カムシャフト1の先端側にあるカムジ
ャーナル5の摺動面(図11のA。以下、先端側摺動面
Aという)にはより大きな反力が作用している。したが
って、先端側摺動面Aの面圧は増加しているため、同摺
動面は十分な潤滑油が供給されることにより良好な潤滑
状態に維持されていなければならない。とくに、アイド
リング状態においては、エンジンの回転数の低下に伴い
オイルポンプ15の吐出圧力が減少しているため、先端
側摺動面Aに供給される潤滑油を十分に確保する必要が
ある。
【0059】本実施例では遅角側ヘッド油路12の開口
部12a及びジャーナル溝10をカムシャフト1の先端
側に配設することにより先端側摺動面Aの潤滑状態を良
好な状態に維持している。すなわち、エンジンがアイド
リング状態にある場合、前記リングギヤ27は遅角側油
圧室29の油圧によって図2に示すように左方に移動し
た状態となり、バルブ開閉時期が最遅角状態となってい
る。かかる際、遅角側油圧室29及び遅角制御用油路1
2,10,32,33,34の油圧は増加しているた
め、遅角側ヘッド油路12の開口部12a及びジャーナ
ル溝10から十分な潤滑油が先端側摺動面Aに供給され
る。さらに、同開口部12aからカムジャーナル5に供
給された潤滑油はカムジャーナル5の回転に伴い、その
全周に供給され潤滑作用を奏することになる。
【0060】以上のように本実施例においては、エンジ
ンがアイドリング状態にあり、オイルポンプ15の吐出
圧力が低下している場合においても、先端側摺動面Aの
潤滑油量を十分に確保することができ、同摺動面を良好
な潤滑状態とすることができる。
【0061】また、本実施例では、エンジンが高回転と
なった場合にバルブ開閉時期は最遅角状態となってい
る。したがって、エンジンの高回転時においても前記遅
角側ヘッド油路12及びジャーナル溝10の油圧は増加
しており、先端側摺動面Aには十分な潤滑油が供給され
ている。その結果、カムシャフト1の回転速度の増加と
ともに、前記先端側摺動面Aにおける摺動速度が増加し
ても潤滑不良によるカムジャーナル5の焼き付き、磨耗
等が発生することがなく、同部分の温度が上昇し高温と
なるおそれもない。以上のように本実施例では、先端側
摺動面Aが良好な潤滑状態となっている必要があるエン
ジンのアイドリング時及び高回転時において、同摺動面
に十分な潤滑油が供給されているわけである。
【0062】さらに、本実施例では、スプール37の弁
体37b,37cに設けられたラップ代にはδ1=δ2
>δ3=δ4の関係がある。したがって、前述したよう
な作用により、バルブ開閉時期を中間位相の状態とした
場合、進角側油圧室28及び遅角側油圧室29の内圧は
いずれも高圧の状態に保持されることになる。すなわ
ち、バルブ開閉時期が最進角及び最遅角状態である場
合、あるいはバルブ開閉時期を変化させる途中の過渡的
な状態にある場合(進角制御時または遅角制御時)を除
いて、進角制御用油路11,9,31,30,25a及
び遅角制御用油路12,10,32,33,34の内圧
は高圧となっている。そのため、進角及び遅角側ヘッド
油路11,12の開口部11a,12a及びジャーナル
溝9,10からカムジャーナル5の摺動面に対して安定
して潤滑油を供給することができ、潤滑性が更に向上し
ている。
【0063】次に、本発明を具体化した第2実施例およ
び第3実施例について説明する。尚、第1実施例と同様
な構成については同一符号を付し、その説明を省略す
る。 (第2実施例)第2実施例において、VVT3、OCV
4等の構成については第1実施例と略同様であるため、
両者の相違点を中心に図6及び図8を参照して説明す
る。
【0064】第2実施例におけるバルブタイミング制御
装置では、図6に示すようにカムシャフト1内に前記進
角側シャフト油路30と同軸上に延びるカム潤滑油路4
5が設けられている。このカム潤滑油路45はエンジン
動弁系へ潤滑油を供給するための潤滑油路を構成してい
る。同カム潤滑油路45によりカムシャフト1の基端側
にあるカム摺動面等に潤滑油が供給されている。また、
カム潤滑油路45の先端側にはシール材46が設けら
れ、同シール材46により進角側シャフト油路30内の
潤滑油がカム潤滑油路45側に流入しないようになって
いる。
【0065】前記遅角側シャフト油路32の基端側には
カムシャフト1の軸方向に延びる絞り通路47が開口し
て設けられている。同絞り通路47は遅角側シャフト油
路32よりその通路断面積が縮小されているため同通路
47の流路抵抗は増加している。また、カムシャフト1
には前記絞り通路47と略等しい通路断面積を有する油
孔48がカムシャフト1の外周面より径方向内部に穿設
されている。同油孔48の一端は前記カム潤滑油路45
に開口して接続されるとともに、他端はシール材49に
より閉塞されている。また、前記絞り通路47の基端側
は同油孔48の途中に開口して接続されている。したが
って、前記遅角側シャフト油路32は絞り通路47及び
油孔48を介してカム潤滑油路45と連通されている。
前記絞り通路47及び油孔48により本発明の連通路及
び絞りが構成されている。
【0066】かかる構成を備えた第2実施例の作用につ
いて説明する。図8は本実施例における潤滑油路系の概
略構成を示している。同図に示すように、オイルパン1
3からオイルストレーナ14を介してオイルポンプ15
に導入された潤滑油は同オイルポンプ15によりオイル
フィルタ16側に圧送される。同オイルフィルタ16を
通過した潤滑油はエンジンの潤滑系51に供給されると
ともに、OCV用オイルフィルタ16Aに供給される。
そして、同OCV用オイルフィルタ16Aを通過した潤
滑油はOCV4に導入される。
【0067】ここで、OCV4のスプール37が図8の
右側に移動すると、その潤滑油は遅角制御用油路12,
10,32,33,34を通じて遅角用油圧室29に供
給されるとともに、前記絞り通路47及び油孔48を介
してカム潤滑油路45に供給される。一方、進角側油圧
室28内の潤滑油は進角制御用油路11,9,31,3
0,25a及びOCV4を介してオイルパン13に戻さ
れる。
【0068】これに対して、前記スプール37が左側に
移動すると、潤滑油は進角制御用油路11,9,31,
30,25aを通じて進角側油圧室28に供給されると
ともに、遅角用油圧室28内の潤滑油は遅角制御用油路
12,10,32,33,34及びOCV4を介してオ
イルパン13に戻される。この時、カム潤滑油路45内
の潤滑油は絞り通路によりオイルパン13側に戻ること
が規制される。
【0069】また、スプール37が図8に示す位置にあ
る場合にも遅角用油圧室29及び遅角制御用油路12,
10,32,33,34内の油圧は高圧であるため、絞
り通路47及び油孔48を介してカム潤滑油路45には
潤滑油が供給される。
【0070】かかるように本実施例では、遅角側油圧室
29に潤滑油が供給される一方で、その潤滑油は遅角側
シャフト油路32から前記絞り通路47及び油孔48を
介してカム潤滑油路45にも供給されるようになってい
る。従来、カムジャーナル5に開口部を設けて、同開口
部から前記カム潤滑油路45に対して潤滑油を供給する
構造とする必要があったが、本実施例によれば同開口部
を省略することができる。
【0071】その結果、カムジャーナル5幅及びシリン
ダヘッド6全長を縮小することができるとともに、エン
ジン潤滑系が複雑化することを防止することができる。
また、遅角側油圧室29の油圧はバルブ開閉時期が最進
角状態である場合、あるいは進角制御を行っている過渡
的な状態にある場合を除いて高圧の状態となっているた
め、前記カム潤滑油路45に供給される潤滑油量を十分
確保することができる。
【0072】また、遅角側シャフト油路32からカム潤
滑油路45に至る潤滑油流路は流路面積が前記絞り通路
47及び油孔48により縮小されているため、その部分
において大きな流路抵抗を有している。したがって、絞
り通路47及び油孔48の流路抵抗によって遅角側シャ
フト油路32からカム潤滑油路45側へ過大な潤滑油が
供給されることが抑止されるようになっている。かかる
構成としたのは、第1に、遅角側シャフト油路32から
大量の潤滑油がカム潤滑油路45側に流出することによ
り遅角制御用油路12,10,32,33,34内の油
圧が低下して、バルブ開閉時期制御の応答性が悪化する
ことを防止するためであり、第2に、カム潤滑等は少量
の潤滑油によって行うことが可能であるからである。
【0073】また、上記作用とは逆に、遅角側シャフト
油路32の油圧が低下した場合、すなわち遅角側油圧室
29の潤滑油が排出される場合においては、絞り通路4
7及び油孔48の流路抵抗によりカム潤滑油路45内に
ある潤滑油が遅角側シャフト油路32側に逆流すること
が抑止されることになるようになっている。
【0074】(第3実施例)次に、第3実施例について
上記第2実施例との相違点を中心に図7、図9及び図1
0を参照して説明する。
【0075】第3実施例では第2実施例において進角側
シャフト油路30とカム潤滑油路45との間に設けられ
ていたシール材46に代えて絞り管50が配設されてい
る。同絞り管50は略円筒状をなし、その中央部分の内
径は前記進角側シャフト油路30の径より小さくなって
いる。また、絞り管50の両側部分はその中央部分から
連続的に拡径されるとともに、その両端面は進角側シャ
フト油路30の内周壁面に当接されている。そして、進
角側シャフト油路30内は同絞り管50を介してカム潤
滑油路45内と連通されている。
【0076】絞り管50の外周面と遅角側シャフト油路
32の内周壁面とによって囲まれる空間は筒状の油通路
50aとされ、同油通路50aに前記油孔48の一端部
が開口している。また、油通路50a内は絞り管50に
設けられた開口部50bにより絞り管50内部と連通さ
れている。尚、絞り管50は本発明の連通路及び絞りを
構成している。
【0077】かかる構成を備えた第3実施例の作用につ
いて説明する。図9は潤滑油路系の概略構成を示してい
る。同図に示すように本実施例におけるカム潤滑油路4
5は前記絞り通路47、油孔48及び絞り管50によっ
て進角制御用油路11,9,31,30,25a及び遅
角制御用油路12,10,32,33,34の双方と連
通され、潤滑油が供給されるようになっている。
【0078】ここで、前述したように進角制御用油路1
1,9,31,30,25a及び遅角制御用油路12,
10,32,33,34のいずれか一方の油路はバルブ
開閉時期制御の状態に関わらず高圧の状態となってい
る。したがって、カム潤滑油路45には進角あるいは遅
角側シャフト油路30,32から常に安定して潤滑油が
供給されることになる。また、前記絞り通路47と同様
に、絞り管50の流路抵抗によって進角側シャフト油路
30の潤滑油がカム潤滑油路45側へ大量に流出するこ
とが抑止されるとともに、潤滑油の逆流が防止されてい
る。
【0079】尚、本発明は上記実施例以外にも、以下の
ように構成を変更して実施することも可能である。 (1)上記実施例では、リングギヤ27の内外周にヘリ
カル歯27a,27bを備える構成としたがこれを一方
のみをヘリカル歯としてもよい。
【0080】(2)上記実施例におけるジャーナル溝
9,10を、シリンダヘッド6及びベアリングキャップ
8に設けられた油溝により置き換えた構成としてもよ
い。 (3)第2実施例において、遅角側シャフト油路32か
らカム潤滑油路45へ潤滑油を供給する絞り通路47及
び油孔48に換え、途中の通路断面積が縮小されること
により絞りが形成されている油路を採用してもよい。
【0081】(4)第3実施例において、油孔48は絞
り管50の外周にある油通路に開口して設けられている
が、これをカム潤滑油路45側に開口するように変更し
てもよい。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、内燃機
関がアイドリング状態にあって油圧供給源の吐出圧力が
低下している場合でも、カムシャフト先端側にあるカム
ジャーナルの摺動面を良好な潤滑状態とすることができ
る。したがって、同カムジャーナルの摺動面において、
潤滑不良による焼き付き、偏磨耗等のトラブルを未然に
防ぐことが可能となる。
【0088】更に、カムシャフトのカム摺動面へ潤滑油
を供給するためにカムシャフト内に形成されたカム潤滑
油路に対して、カムジャーナルを介して潤滑油を供給す
る油供給路を別途設ける必要がない。したがって、カム
ジャーナル幅、ひいてはシリンダヘッド全長を縮小する
ことができるとともに、内燃機関潤滑系が複雑化するこ
とを防止することができる。さらに、遅角制御油路はバ
ルブ開閉時期制御において低圧の状態となることが少な
いため、同遅角制御油路から連通路を通じてカム潤滑油
路に油が十分に供給される。したがって、カムシャフト
のカム摺動面に対して安定した油の供給を行うことが可
能となる。
【0089】請求項2に記載の発明によれば、上記効果
に加えて、連通路に絞りが設けられているため、バルブ
開閉時期制御のための油路から大量の油が潤滑油路側に
流出することがない。したがって、バルブ開閉時期制御
における応答性の低下を防止することができる。加え
て、潤滑油路から絞りを通じて油が逆流することを防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例におけるバルブタイミング制御装
置を示す断面図。
【図2】 同じく、最遅角状態におけるバルブタイミン
グ制御装置を示す断面図。
【図3】 同じく、最進角状態におけるバルブタイミン
グ制御装置を示す断面図。
【図4】 (a)〜(d)は各バルブタイミング制御時
における油圧制御弁の状態を示すものであり、(a)は
最遅角状態、(b)及び(c)は進角制御中、(d)は
中間位相状態をそれぞれ示す断面図。
【図5】 (a)〜(d)は各バルブタイミング制御時
における油圧制御弁の状態を示すものであり、(a)は
最進角状態、(b)及び(c)は遅角制御中、(d)は
中間位相状態をそれぞれ示す断面図。
【図6】 第2実施例におけるバルブタイミング制御装
置を示す断面図。
【図7】 第3実施例におけるバルブタイミング制御装
置を示す断面図。
【図8】 第2実施例における潤滑油路系の概略構成を
示す図。
【図9】 第3実施例における潤滑油路系の概略構成を
示す図。
【図10】 第3実施例において絞り管が配設された状
態を示す断面図。
【図11】 第1実施例におけるカムジャーナル周辺を
示す断面図。
【図12】 従来技術におけるカムジャーナル周辺を示
す断面図。
【符号の説明】
1…カムシャフト、2…タイミングプーリ、3…バルブ
タイミング機構、4…油圧制御弁、5…カムジャーナ
ル、6…シリンダヘッド、9…ジャーナル溝(進角制御
用油路及び開口)、10…ジャーナル溝(遅角制御用油
路及び開口)、11…進角用ヘッド油路(進角制御用油
路)、11a…開口部、12…遅角用ヘッド油路(遅角
制御用油路)、12a…開口部、25a…中心孔(進角
制御用油路)、28…リングギヤ、28…進角側油圧
室、29…遅角側油圧室、30…進角側シャフト油路
(進角制御用油路)、31…油孔(進角制御用油路)、
32…遅角側シャフト油路(遅角制御用油路)、33…
周溝(遅角制御用油路)、34…油孔(遅角制御用油
路)。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のバルブ駆動用カムシャフトの
    外周に設けられたプーリと、 前記カムシャフト及びプーリ間において両者と噛合され
    るとともに、内外周面に歯を有し、かつ、少なくともそ
    の一方がヘリカル歯である円筒状のリングギヤと、 油圧供給源からの油をリングギヤの両端に設けられた進
    角側油圧室及び遅角側油圧室へ導入し、その油圧を前記
    リングギヤの両端側に作用させるための進角制御用油路
    及び遅角制御用油路と、 を備え、油圧供給源からの油圧の付勢力により、リング
    ギヤをカムシャフトの軸方向へ移動させることによりプ
    ーリとカムシャフトとを相対回転させ、バルブ開閉時期
    を可変とした内燃機関のバルブタイミング制御装置にお
    いて、 前記進角制御用油路及び遅角制御用油路はカムシャフト
    のスラスト軸受に対するカムジャーナルにおいて開口さ
    れ、遅角制御用油路の開口は進角制御用油路の開口より
    も前記プーリ側に配置され、更にそれら各制御用油路の
    うち少なくとも遅角制御用油路はカムシャフトのカム摺
    動面へ潤滑油を供給するためにカムシャフト内に形成さ
    れたカム潤滑油路と連通路によって連通されていること
    を特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 【請求項2】 前記連通路内には絞りが形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置。
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