JP3334291B2 - 横形ブローチ盤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は横形ブローチ盤に係わ
り、更に詳しくは、ブローチに対してワークをシフトで
きる横形ブローチ盤に関する。

【０００２】

【従来の技術】ブローチ加工は、各種断面形状の穴や表
面を多段の切れ刃からなる工具（ブローチ）で断面に垂
直又は斜めに運動させ、荒削りから仕上削りまでを連続
的に行う加工手段であり、高速、高精度かつ経済的な生
産手段として広く用いられている。このブローチ加工
は、タービンのロータのように円周部に複雑な溝（例え
ばブレード取付溝）を複数加工するのに特に適してい
る。

【０００３】かかる複数の溝を円周部に加工する従来の
横形ブローチ盤は、図２（Ａ）に例示するように、ワー
クＷを加工するブローチ１を水平に保持し水平移動する
水平ビーム２と、ブローチ１の通過する高さに中心軸Ｃ
をもった円弧面を有する支持部材３と、円弧面に沿って
移動可能に取り付けられたクレードル４と、クレードル
４に取り付けられ、ワークＷを保持しその軸芯を中心に
所定の角度づつ回転させる割出盤５とを備え、クレード
ル４を円弧面に沿って傾斜させ、ワークＷと割出盤５と
の間に調整板６を挟持してワークＷの加工位置を中心軸
Ｃに一致させてワークの円周部に複数の斜め溝を加工し
ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の横形ブローチ盤では、ワークの形状がわずかでも異な
ると加工位置が中心軸Ｃに一致するようにワーク毎に調
整板６を準備する必要がある問題点があった。また、図
２（Ｂ）に例示するように、ワークの取り付け面から加
工位置までの距離が大きいと、調整板６では加工位置Ｍ
を中心軸Ｃに一致させることができず、加工位置Ｍと中
心軸Ｃの高さに差ｅが生じ、所望の溝加工ができない問
題点があった。

【０００５】本発明はかかる問題点を解決するために創
案されたものである。すなわち、本発明の目的は調整板
を用いることなく種々のワーク形状に対応することがで
き、かつワークの加工位置が変動しても調整板を用いる
ことなくブローチ加工できる横形ブローチ盤を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、ワーク
（Ｗ）を加工するブローチ（１）を水平に保持し水平移
動する水平ビーム（２）と、前記ブローチ（１）の通過
する高さに中心軸（Ｃ）をもった円弧面（３ａ）を有す
る支持部材（３）と、前記円弧面（３ａ）に沿って移動
可能に取り付けられ中心軸（Ｃ）に対して平行な取付面
（４ａ）を有するクレードル（４）と、該クレードル
（４）の取付面（４ａ）にボルト等の締結手段により固
定された固定台（１３）と、該クレードル（４）の取付
面（４ａ）に沿って中心軸（Ｃ）に直交する方向に移動
可能な移動台（１２）とから成るシフト装置（１４）
と、前記移動台（１２）に取り付けられかつワーク
（Ｗ）を保持し、該ワーク（Ｗ）をその軸芯（Ｚ）を中
心に回転させる割出盤（５）と、を備えたことを特徴と
する横形ブローチ盤が提供される。

【０００７】

【作用】上記本発明の構成では、シフト装置（１４）
が、クレードル（４）と割出盤（５）との間に挟持さ
れ、該クレードル（４）の取付面（４ａ）に沿って移動
可能な移動台（１２）により、割出盤（５）を中心軸
（Ｃ）に直交する方向に移動することができるので、ワ
ーク（Ｗ）の形状がわずかに異なっても、従来のような
調整板を用いることなく移動台（１２）の移動によりワ
ーク（Ｗ）の加工位置を中心軸（Ｃ）の高さに一致させ
ることができる。また、ワーク（Ｗ）の取り付け面から
加工位置までの距離が大きく、加工位置と中心軸（Ｃ）
の高さに差が生じる場合でも、移動台（１２）の移動に
よりワーク（Ｗ）の加工位置を中心軸（Ｃ）の高さに一
致させることができる。従って、クレードル（４）を円
弧面（３ａ）に沿って傾斜させ、従来のような調整板を
用いることなく、ワーク（Ｗ）の加工位置と中心軸
（Ｃ）の高さとを一致させて水平ビーム（２）を水平移
動させることにより、ワーク（Ｗ）の円周部に所望の複
数の斜め溝を加工することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。なお、各図において、共通する部分には
同一の符号を付して使用する。

【０００９】図１は、本発明による横形ブローチ盤の部
分斜視図である。この図において、本発明の横形ブロー
チ盤１０は、ワークＷを加工するブローチ１を水平に保
持し水平移動する水平ビーム２と、ブローチ１の通過す
る高さに中心軸Ｃをもった円弧面３ａを有する支持部材
３と、円弧面３ａに沿って移動可能に取り付けられ、中
心軸Ｃに対して平行な取付面４ａを有するクレードル４
と、クレードル４に取り付けられ取付面４ａに沿って中
心軸Ｃに直交する方向（図に斜めの矢印で示す）に移動
可能な移動台１２を有するシフト装置１４と、移動台１
２に取り付けられ、かつワークＷを保持しその軸芯Ｚを
中心に所定の角度づつ回転させる割出盤５とを備えてい
る。

【００１０】図１において、シフト装置１４は移動台１
２と固定台１３とからなり、固定台１３はボルト等の締
結手段によりクレードル４の取付面４ａに固定され、移
動台１２はボルト穴の変更、長穴、送りネジ等により、
取付面４ａに沿って中心軸Ｃに直交する方向（斜めの矢
印）に移動できるようになっている。すなわち、この移
動は、長穴、送りネジ等による連続的な移動が好ましい
がこれに限られず、ボルトの取外し・再取付けによる取
付位置の変更であってもよい。また、本発明のシフト装
置１４は図１に例示したものに限定されず、例えばクレ
ードルの取付面４ａに複数のボルト穴、長穴、送りネジ
等を備え、一体の板で構成される移動台１２を移動させ
てもよい。

【００１１】上述した本発明の構成によれば、シフト装
置１４がクレードル４と割出盤５との間に挟持され、こ
のシフト装置１４の移動台１２により、割出盤５を中心
軸Ｃに直交する方向（斜めの矢印）に移動することがで
きるので、ワークＷの形状がわずかに異なっても調整板
を用いることなく移動台１２の移動によりワークＷの加
工位置を中心軸Ｃの高さに一致させることができる。ま
た、ワークＷの取り付け面から加工位置までの距離が大
きく、加工位置と中心軸Ｃの高さに差が生じる場合で
も、移動台１２の移動によりワークＷの加工位置を中心
軸Ｃの高さに一致させることができる。従って、調整板
を用いることなく、ワークの加工位置と中心軸Ｃの高さ
とを一致させ、かつクレードル４を円弧面に沿って傾斜
させ、水平ビームを水平移動させることにより、ワーク
の円周部に所望の複数の斜め溝を加工することができ
る。

【００１２】

【発明の効果】上述したように、本発明の横形ブローチ
盤は、調整板を用いることなく種々のワーク形状に対応
することができ、かつワークの加工位置が変動しても調
整板を用いることなくブローチ加工できる優れた効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による横形ブローチ盤の部分斜視図であ
る。

【図２】従来の横形ブローチ盤の全体構成図である。

【符号の説明】

１ ブローチ ２ 水平ビーム ３ 支持部材 ３ａ 円弧面 ４ クレードル ４ａ 取付面 ５ 割出盤 ６ 調整板 １０ 横形ブローチ盤 １２ 移動台 １３ 固定台 １４ シフト装置 Ｃ 中心軸 ｅ 高さの差 Ｍ 加工位置 Ｗ ワーク

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワーク（Ｗ）を加工するブローチ（１）
   を水平に保持し水平移動する水平ビーム（２）と、前記 ブローチ（１）の通過する高さに中心軸（Ｃ）をも
   った円弧面（３ａ）を有する支持部材（３）と、前記 円弧面（３ａ）に沿って移動可能に取り付けられ中
   心軸（Ｃ）に対して平行な取付面（４ａ）を有するクレ
   ードル（４）と、 該クレードル（４）の取付面（４ａ）にボルト等の締結
   手段により固定された固定台（１３）と、該クレードル
   （４）の取付面（４ａ）に沿って中心軸（Ｃ）に直交す
   る方向に移動可能な移動台（１２）とから成るシフト装
   置（１４）と、前記移動台（１２）に取り付けられかつ
   ワーク（Ｗ）を保持し、該ワーク（Ｗ）をその軸芯
   （Ｚ）を中心に回転させる割出盤（５）と、を備えたこ
   とを特徴とする横形ブローチ盤。