JP3333930B2 - 地山削孔装置 - Google Patents

地山削孔装置

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JP3333930B2
JP3333930B2 JP19476498A JP19476498A JP3333930B2 JP 3333930 B2 JP3333930 B2 JP 3333930B2 JP 19476498 A JP19476498 A JP 19476498A JP 19476498 A JP19476498 A JP 19476498A JP 3333930 B2 JP3333930 B2 JP 3333930B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば不良地山
に掘削した山岳トンネル等において、これの壁面に、地
山を補強するために固化材等を施工するための挿入孔を
削孔する地山削孔装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地山削孔装置として特開平9−2
50287号公報に記載されたものがある。この地山削
孔装置は、図20に示すように、油圧削岩機1と、これ
に連結器2を介して接続された、アウターケーシング3
及びインナーロッド4からなる2重管5とからなるもの
であり、これらが、クローラ式油圧ドリルジャンボ(図
示しない)のガイドシェル6に搭載されている。
【0003】上記アウターケーシング3の先端にはリン
グビット3aが、また、インナーロッド4の先端にはク
ロスビット4aがそれぞれ固定されており、これらに、
削岩機1による回転力と打撃力を与え、同時に、ガイド
シェル6によって押進力を加えて地山に挿入孔を削孔す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の地
山削孔装置では、アウターケーシング3とインナーロッ
ド4双方を回転駆動させることにより挿入孔の削孔を行
っているので、アウターケーシング自体に、削孔に耐え
られる剛性を保持させるととともに、それの前端部にリ
ングビットを取り付けるための加工を必要とするために
コスト高になる。
【0005】また、一般に、膨張性あるいは崩落性等の
ある不良地山のように、地山に削孔した挿入孔の孔壁が
崩落しやすい場合には、アウターケーシングを挿入孔内
に応力材として残置したまま、そのアウターケーシング
を介して挿入孔内に固化材等を圧入する工法が行われる
が、上記のような高価なアウターケーシングを挿入孔内
に残置するのでは施工コストも高くなるという欠点があ
る。
【0006】さらに、アウターケーシング3の内周面と
インナーロッド4の外周面との間に形成される間隙に
は、2重管5の前端部で発生した、削孔により発生する
スライムを排出するためのフラッシング水を返戻させる
排出路7が形成されているが、削孔しようとする挿入孔
の口径が小さく、また、その挿入孔の全長が長くなるに
つれて排出路7も狭くなり、スライムを含んだフラッシ
ング水の排出が困難になることが懸念される。
【0007】そこで本発明は、安価なアウターケーシン
グを採用することができるとともに、挿入孔の口径やそ
の全長の如何に拘わらず、スライムを含むフラッシング
水の排出を良好に行え、しかも、施工時間を短縮するこ
とができる地山削孔装置を提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明地
山削孔装置は、次の構成からなる。
【0009】(1)アウターケーシング12内にインナー
ロッド13を回転自在に収容してなる削孔用2重管C
が、そのインナーロッド13に対してのみ回転力を伝達
する連結器Bを介して削岩機11に連結されるととも
に、上記アウターケーシング12の前側に配置されかつ
該アウターケーシング12の外径と等しいかやや大きい
直径の刃部15aを本体15bの前端面に有する削孔ビ
ット15が、シャンクデバイス14を介して上記インナ
ーロッド13の前端に取り付けられていること。
【0010】(2)上記連結器Bは、削岩機11のシャン
クロッド11aにインナーロッド13を連結するロッド
アダプタ16と、このロッドアダプタ16に対して回転
自在に嵌装されかつ上記アウターケーシング12を支持
するとともにフラッシング水wを排出する排出孔17d
を有するフロントアダプタ17とを備えるとともに、こ
れらロッドアダプタ16とフロントアダプタ17との間
に、削岩機11からアウターケーシング12に加えられ
る打撃力を緩和するリング形の緩衝部材19を介挿して
いること。
【0011】(3)上記シャンクデバイス14は、その中
心にフラッシング水wを上記削孔ビット15に供給する
送給孔14gを形成するとともに、その周壁にフラッシ
ング水wを排出するための複数の排出用溝14dを形成
し、さらに、一端を上記送給孔14gに開口するととも
に他端をその開口よりも後側において上記排出用溝14
dに開口した複数のフラッシング水噴出孔14hを備え
ていること。
【0012】(4)上記削孔ビット15は、本体15bに
フラッシング水wを送給する送給孔15fを形成すると
ともに、その本体15bの周壁後端部に、上記アウター
ケーシング12の前端辺縁に設けた係止用凸部12a,
12a等の係止部と係合する回止め用凹部15d,15
d等の回止め部を形成していること。
【0013】(5)上記シャンクデバイス14と削孔ビッ
ト15とが、これらを削孔時の回転方向とは逆方向に回
転させたとき緩む逆ねじで螺合していること。
【0014】請求項2記載の本発明地山削孔装置は、請
求項1記載の発明の上記(1)〜(5)の構成中(4)の構成に
ついて、(4)′上記削孔ビット15を、本体15bにフ
ラッシング水wを送給する送給孔15fを形成するとと
もに、外径を拡縮でき、アウターケーシング内に引き込
める径可変ビットととするとともに、上記(5)の構成に
よる限定をしていないことにおいて、請求項1記載の発
明と相違するが、その他の構成は上記発明と同じであ
る。
【0015】請求項3の発明は、アウターケーシング1
2を合成樹脂製としてなる請求項1または2記載の地山
削孔装置である。
【0016】請求項4記載の発明は、中継用2重管とし
て、上記アウターケーシング22と、前端に他のインナ
ーロッドと螺合できる雌ねじを形成してなる連結部23
aを設けるとともに、後端に前記ロッドアダプタ16に
取り付けたシャンクロッド11aに取り付けられたカッ
プリングスリーブ18に螺合できる雄ねじを形成してな
る連結部23bを設けてなるインナーロッド23とから
なり、その前端側の連結部23aが多角形に形成されて
いる中継用2重管Dを備えてなる請求項1,2または3
記載の地山削孔装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下には、本発明をその一実施形
態について図面を参照しながら詳説する。
【0018】本発明の地山削孔装置Aは、図1,2に示
すように、トンネル8内を走行できる油圧ドリルジャン
ボ9のガイドシェル10に搭載されており、油圧削岩機
11、これに連結器Bを介して連結された、アウターケ
ーシング12及びインナーロッド13からなる削孔用2
重管C、及びそのインナーロッド13にシャンクデバイ
ス14を介して取り付けられた削孔ビット15を備えて
なる。
【0019】連結器Bは、図4に示すように、ロッドア
ダプタ16、フロントアダプタ17、カップリングスリ
ーブ18及び緩衝部材としての緩衝リング19からな
る。
【0020】上記ロッドアダプタ16は、図5にも示す
ように、円柱形の取付け部16aの前端に、これよりも
小径のロッド部16bを一体に突設したものである。取
付け部16aには、これの中心に油圧削岩機11のシャ
ンクロッド11aを螺合する雌ねじ16cが形成されて
おり、また、ロッド部16bの前半部には、雄ねじ16
dが形成されている。
【0021】ロッド部16bの前端面16eと雌ねじ1
6cの内奥面16fとの間には、油圧削岩機11を介し
て供給されるフラッシング水Wを送給するための送給孔
16gが形成されている。なお、16hはレンチフラッ
トである。
【0022】上記フロントアダプタ17は、図4,6,
7に示すように、後端壁17a内にロッドアダプタ16
のロッド部16bに摺接自在に嵌装する嵌装孔17bを
形成した円筒体であり、油圧削岩機11によってロッド
アダプタ16に加えられる回転力がフロントアダプタ1
7には伝達されないようになっている。
【0023】このフロントアダプタ17の前端面には、
アウターケーシング12の後端部を嵌合する段差部17
cが形成されており、また、周壁の前端部側には、スラ
イムを含んだフラッシング水を排出させる排出孔17
d,17dが互いに対向して形成されている。
【0024】上記カップリングスリーブ18は、ロッド
アダプタ16にインナーロッド13を連結するためのも
のであり、図8(A),(B)に示すように、フロント
アダプタ17内に遊挿できる外径からなる所定長の四角
筒体である。
【0025】このカップリングスリーブ18の内周面の
中央には、ロッドアダプタ16のロッド部16bの前端
及びインナーロッド13の後端に当接するストッパ部1
8aがリング状に突出形成されている。また、内周面の
両端部のうちの一方には、ロッド部16bの雄ねじ16
dを螺合する雌ねじ18bが形成され、他方にはインナ
ーロッド13の後述する連結部としての雄ねじ13aに
螺合する雌ねじ18cが形成されている。
【0026】上記緩衝リング19は、図9(A),
(B)に示すように、ロッドアダプタ16のロッド部1
6bを挿入できる遊挿孔19aを中央に形成したもので
あり、油圧削岩機11からロッドアダプタ16を介して
アウターケーシング12に加えられる打撃力を緩和させ
ることができる材質、具体的には塩化ビニール等の合成
樹脂で形成されている。
【0027】アウターケーシング12は、全長3000
mm、外径60.5mm、肉厚5.5mm程度に形成された、
図3,4に示すような細長い円筒体であり、たとえば合
成樹脂又は鋼鉄等で形成される。このアウターケーシン
グ12は、これの前端部に、前述したリングビットを取
り付けて地山の掘削に耐えられる強度を有していること
は必ずしも必要ではなく、地山に削孔した挿入孔に残置
したときに、これに加わる外力に耐えられる程度の強度
を有しているものであればよい。
【0028】アウターケーシング12の周壁には、これ
の内部に圧入された固化材を地山に注入させる複数の注
入用孔(図示しない)がたとえば千鳥格子状配列にして
形成されている。また、前端辺縁には、インナーロッド
13に取り付けた削孔ビット15を係止するための係止
用凸部12a,12aが形成されている。
【0029】インナーロッド13は、全長3050mm、
直径32mm程度に形成された、図3,4に示すような細
長い棒状体であり、外周面の両端部には連結部としての
雄ねじ13a,13aがそれぞれ形成されており、ま
た、中心には、前記油圧削岩機11を介して供給される
フラッシング水を送給する送給孔13bが形成されてい
る。
【0030】上記シャンクデバイス14は、図3,1
0,11に示すように、シャンク部14aの前端にビッ
ト保持部14bを一体に突設したものである。シャンク
部14aは、これの後端側の中心にインナーロッド13
の雄ねじ13aに螺合する雌ねじ14cを形成した円柱
形のものである。また、シャンク部14aの外周面に
は、スライムを含むフラッシング水を排出させるための
3つの排出用溝14d…が、これの前端から後端にかけ
て互いに平行かつ120度間隔で形成されている。
【0031】上記ビット保持部14bは、シャンク部1
4aよりも小径の円柱形のものであり、これの外周面に
は、削孔ビット螺合用の雄ねじ14eが螺刻されてい
る。雄ねじ14eは、挿入孔を削孔するときのインナー
ロッド13の回転方向に回すことにより締まり、その逆
方向に回転させることで緩む逆ねじにして螺刻されてい
る。また、シャンクデバイス14の前端面と雌ねじ14
cの内奥面14fとの間には、これの中心に送給孔14
gが形成されている。
【0032】シャンク部14aの肉厚内には、送給孔1
4gに一端を開口し、かつ、その開口よりも後側に位置
した排出用溝14dの底面に他端を開口した3つのフラ
ッシング水噴出孔14h…が互いに120度間隔で形成
されている。すなわち、フラッシング水噴出孔14h…
は、送給孔14g内を流れるフラッシング水の一部を、
排出用溝14d内に噴き出させて、削孔ビット15の周
囲で発生するスライムを含むフラッシング水を強制的に
排出させる機能を有している。
【0033】削孔ビット15は、図12,13に示すよ
うに、アウターケーシング12の外径と等しいかやや大
きい直径の刃部15aを、本体15bの前端面に一体に
形成したものであり、その本体15b内には、シャンク
デバイス14のビット保持部14bの雄ねじ14eに螺
合する雌ねじ15cが形成されている。さらに、この削
孔ビット15と、シャンクデバイス14とは、削孔時の
回転方向とは逆方向に回転させることにより、それらは
互いに離脱するようになっている。
【0034】また、本体15bの周壁後端部には、アウ
ターケーシング12の前記係止用凸部12a,12aに
係止する回止め用凹部15d,15d(一方は図示しな
い)が形成されている。
【0035】さらに、上記雌ねじ15cの前壁面15e
と刃部15a前面との間にはフラッシング水の送給孔1
5fが形成されており、かつ、その送給孔15fには、
刃部15aの前面にフラッシング水を吐出する2つの分
岐孔15g,15gが形成されている。
【0036】上記ロッドアダプタ16に、カップリング
スリーブ18を介してインナーロッド13を連結し、ま
た、そのインナーロッド13にシャンクデバイス14を
介して削孔ビット15を螺合することにより、それらの
内部に各々形成された送給孔16g,13b,14g及
び15fは連続した1本の送給路を形成する。従って、
油圧削岩機11を介してロッドアダプタ16に供給され
たフラッシング水は、上記送給路を通じて削孔ビット1
5の刃部15aの前面に吐出される。
【0037】また、シャンクデバイス14の排出用溝1
4d…、アウターケーシング12の内壁面とインナーロ
ッド13の外周面との間に形成される環状の間隙により
連続した排出路が形成される。従って、削孔用2重管C
の前端部、すなわち、削孔ビット15の前面で発生した
スライムを含むフラッシング水は、その排出路を通じて
フロントアダプタ17の排出孔17d,17dから外部
に排出されることになる。
【0038】さらに、上記送給路内を流れるフラッシン
グ水の一部が、シャンクデバイス14のフラッシング水
噴出孔14h…を通じて排出路に噴出し、その排出路の
スライムを含んだフラッシング水を強制的に排出させる
ように機能する。
【0039】上記の構成からなる地山削孔装置により、
切羽に挿入孔を削孔する本発明の地山削孔方法につい
て、主に図14〜18を参照して説明する。たとえば固
化材の注入位置に合わせて油圧ドリルジャンボ9をトン
ネル8の所要位置に移動するとともに、それのブーム2
1(図1)を操作して、図14に示すように、ガイドシ
ェル10をほぼ水平に支持して、削孔ビット15を切羽
面Kに対向させる。
【0040】油圧削岩機11の駆動により、インナーロ
ッド13が回転駆動されるとともに削孔用2重管Cに対
して打撃力が加えられる。このとき、アウターケーシン
グ12を支持しているフロントアダプタ17と、ロッド
アダプタ16の間には緩衝リング19が介挿されている
ので、アウターケーシング12には、油圧削岩機11か
らの打撃力が緩衝リング19によって緩和された状態で
伝達される。従って、たとえばアウターケーシング12
自体を合成樹脂で形成している場合にも支障はない。
【0041】さらに、削孔用2重管Cには、油圧削岩機
11のフィード機構(図示しない)によって切羽面Kに
向かう押進力が加えられて、図15に示すように、挿入
孔K1の削孔が行われるとともに、油圧削岩機11には
図示しないポンプユニットからのフラッシング水が供給
される。
【0042】フラッシング水は、送給孔16g,13
b,14g及び15fからなる前述の送給路を通じて削
孔ビット15の前面に送給され、その削孔ビット15の
周囲で発生するスライムを洗い出すとともに、前述した
排出路を通じて、連結器Bの排出孔17d,17dから
外部に排出される。
【0043】図16に示すように、所定の削孔長までの
削孔が完了したなら、図17に示すように、アウターケ
ーシング12を挿入孔K1内に残置したまま、インナー
ロッド13を削孔時の回転方向とは逆方向に回転させな
がら抜き出す。
【0044】インナーロッド13を逆方向に回転させな
がら抜き出すと、その途中で、削孔ビット15の回止め
用凹部15dがアウターケーシング12の係止用凸部1
2aに係合する。係合後、引き続きインナーロッド13
を同方向に回転させると、削孔ビット15がアウターケ
ーシング12に係止された状態のまま、シャンクデバイ
ス14及びインナーロッド13だけが回転する。
【0045】これにより、削孔ビット15がシャンクデ
バイス14から、すなわち、インナーロッド13から離
脱し、削孔ビット15をアウターケーシング12の前端
部に残した状態で、インナーロッド13だけをアウター
ケーシング12から抜き出すことができる。
【0046】その後、挿入孔K1に残置したアウターケ
ーシング12内に固化材Lを注入する。アウターケーシ
ング12内に注入された固化材Lは、図18に示すよう
に、そのアウターケーシング12に形成された注入用孔
(図示しない)から地山内に注入され、挿入孔K1の周
囲の地盤を固化補強する。
【0047】なお、本発明は上述した実施形態のものに
限るものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形実施
が可能である。
【0048】たとえば削孔予定の挿入孔が深く、上記の
削孔用2重管Cだけでは削孔できない場合には、図19
(A),(B)に示すような本発明の中継用2重管Dを
必要数だけ連結して使用する。
【0049】この中継用2重管Dは、上記削孔用2重管
Cと同じく、アウターケーシング22とインナーロッド
23とからなるが、インナーロッド23の構成が異なっ
ている。
【0050】このインナーロッド23は、上記のインナ
ーロッド13と同じく全長3050mm、直径32mm程度
に形成された細長い棒状体であるが、インナーロッド1
3の雄ねじ13aに螺合する雌ねじを形成してなる連結
部23aが前端に形成され、また、カップリングスリー
ブ18の雌ねじ18cに螺合する雄ねじを形成してなる
連結部23bが後端に形成されている。なお、23cは
送給孔である。
【0051】前端側の連結部23aは、これの周壁面と
アウターケーシング22の内周面との間に十分な空隙が
形成されるように、換言すると、スライムを含むフラッ
シング水を排出するのに十分な排出路が形成されるよう
に、90度間隔で平坦面23d…を形成した四角形に形
成されている。
【0052】上記においては、削孔ビットを挿入孔内に
残置する例について説明したが、外径を拡縮できる径可
変ビットを使用し、インナーロッドを挿入孔から抜き出
すときには、アウターケーシング内に引き込めるように
径可変ビットを縮径して、インナーロッドとともに抜き
出すようにしてもよい。これにより、施工コストをさら
に低減できる。
【0053】
【発明の効果】本発明地山削孔装置によれば、アウター
ケーシングの前端にリングビット等を取り付ける必要が
ないので、アウターケーシング自体を、従来のものより
も剛性が低くすること、例えば合成樹脂製等とし、しか
も、単純な構造にすることができるので、コストを低減
させることが可能であり、従って、地山に削孔した挿入
孔内にそのアウターケーシングを残置する工法を低コス
トで行うことができる。
【0054】また、本発明におけるアウターケーシング
は、リングビットを取り付けていた従来のアウターケー
シングに比較し、肉厚を薄くかつ小径に形成できるの
で、より小口径の挿入孔を迅速に削孔することができ
る。
【0055】さらに、連結器が、削岩機のシャンクロッ
ドにインナーロッドを連結するロッドアダプタと、この
ロッドアダプタに対して回転自在に嵌装され、かつ、ア
ウターケーシングを支持するフロントアダプタとを備え
た構成にしているので、簡易な構成にしながらも、アウ
ターケーシングを回転させずインナーロッドだけを確実
に回転駆動することができ、その上、削岩機からアウタ
ーケーシングに加えられる打撃力を緩和する緩衝部材を
ロッドアダプタとフロントアダプタとの間に介挿してい
るので、アウターロッドに加わる打撃力を有効に低減が
できる。
【0056】アウターケーシングの前端辺縁には係止部
を形成するとともに、削孔ビットには回止め部を形成
し、シャンクデバイスと削孔ビットとが、削孔時の回転
方向とは逆方向に回転したときに緩む逆ねじにして螺合
することにより、インナーロッドを削孔時の回転方向と
逆方向に回転させながら、アウターケーシングから抜き
出すという簡単な操作だけで、削孔ビットをシャンクデ
バイスから容易に離脱させることができる。
【0057】シャンクデバイスの中心には、フラッシン
グ水を削孔ビットに供給するための送給孔が形成されて
おり、また、周壁には、フラッシング水を排出するため
の複数の排出用溝が形成されているので、挿入孔の口径
や長さの如何に拘わらず、送給孔を通じて削孔ビットに
供給されたフラッシング水を良好に排出することができ
る。
【0058】シャンクデバイスには、送給孔に一端を開
口し、かつ、その開口よりも後側に位置した排出用溝内
に他端を開口した複数のフラッシング水噴出孔が形成さ
れているので、そのフラッシング水噴出孔から噴き出し
たフラッシング水によって、排出路内のスライムを含む
フラッシング水を強制的に排出することができる。
【0059】中継用2重管は、前端に雌ねじを形成して
なる連結部を設けるとともに、後端に雄ねじを形成して
なる連結部を設けたインナーロッドを備えているので、
この中継用2重管を削孔用2重管に連結して使用すると
きにも、アウターロッドの内壁面と連結部との間に、ス
ライムを含むフラッシング水を流通させるのに十分な排
出路を形成することができ、これにより、スライムを含
むフラッシング水を良好に排出させることができる。
【0060】本発明装置によれば、削孔用2重管を削岩
機により押進しながら、そのインナーロッドだけを回転
させて挿入孔を削孔し、削孔完了後、削孔ビットとアウ
ターケーシングを挿入孔内に残置したまま、インナーロ
ッドを削孔ビットから離脱させて挿入孔から抜き出すこ
とにより、アウターケーシング自体を応力材として活用
できるとともに、アウターケーシングを抜き出さないの
で、経済的であるとともに施工時間を大幅に短縮でき
る。
【0061】また、削孔用2重管を削岩機により押進し
ながら、そのインナーロッドだけを回転させて挿入孔を
削孔し、削孔完了後、アウターケーシングを挿入孔内に
残置したまま、径可変ビットを縮径させて、これをイン
ナーロッドとともに挿入孔から抜き出すことにより、ア
ウターケーシングだけを挿入孔内に残置することができ
るようになり、施工コストをさらに低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地山削孔装置を搭載した油圧ドリルジ
ャンボをトンネル内に配置した状態の側面図である。
【図2】その地山削孔装置の側面図である。
【図3】削孔用2重管の前半部の拡大断面図である。
【図4】その後半部の拡大断面図である。
【図5】ロッドアダプタの一部を破断して示す側面図で
ある。
【図6】フロントアダプタの断面図である。
【図7】それの正面図である。
【図8】カップリングスリーブを示しており、(A)は
それの断面図、(B)はそれの正面図である。
【図9】緩衝リングを示しており、(A)はそれの一部
を断面にした側面図、(B)はそれの正面図である。
【図10】シャンクデバイスの断面図である。
【図11】図10のI−I線断面図である。
【図12】削孔ビットの一部を破断して示す側面図であ
る。
【図13】それの正面図である。
【図14】削孔用2重管を切羽面に対向させた状態の側
面図である。
【図15】その削孔用2重管による削孔途中の側面図で
ある。
【図16】その削孔用2重管による削孔が完了した側面
図である。
【図17】アウターケーシングを挿入孔に残置するとと
もに削孔ビットを離脱させて、インナーロッドだけを挿
入孔から抜き出した側面図である。
【図18】アウターケーシングを介して固化材を地山内
に注入した状態を示す側面図である。
【図19】中継用2重管を示しており、(A)はそれの
断面図、(B)はそれの正面図である。
【図20】従来の地山削孔装置の要部を破断して示す側
面図である。
【符号の説明】
11 削岩機 11a シャンクロッド 12 アウターケーシング 12a 係止用凸部 13 インナーロッド 14 シャンクデバイス 14h フラッシング水噴出孔 14d 排出用溝 14g 送給孔 15 削孔ビット 15a 回止め用凹部 16 ロッドアダプタ 17 フロントアダプタ 19 緩衝部材として緩衝リング 23 インナーロッド 23a 前端側の連結部 23b 後端側の連結部 A 地山削孔装置 B 連結器 C 削孔用2重管 D 中継用2重管 K 切羽面 K1 挿入孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E21D 20/02 E21C 1/00 (56)参考文献 特開 平5−280033(JP,A) 特開 平9−100688(JP,A) 特開 平2−289788(JP,A) 特開 平9−250287(JP,A) 特開 平6−50085(JP,A) 実公 昭41−12162(JP,Y1) 特表 平4−504150(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21B 3/00 E21B 7/20 E21B 10/60 E21B 17/04 E21D 20/00 E21D 20/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)アウターケーシング内にインナーロッ
    ドを回転自在に収容してなる削孔用2重管が、そのイン
    ナーロッドに対してのみ回転力を伝達する連結器を介し
    て削岩機に連結されるとともに、上記アウターケーシン
    グの前側に配置されかつ該アウターケーシングの外径と
    等しいかやや大きい直径の刃部を本体の前端面に有する
    削孔ビットが、シャンクデバイスを介して上記インナー
    ロッドの前端に取り付けられていること、 (2)上記連結器は、削岩機のシャンクロッドに上記イン
    ナーロッドを連結するロッドアダプタと、このロッドア
    ダプタに対して回転自在に嵌装されかつ上記アウターケ
    ーシングを支持するとともにフラッシング水を排出する
    排出孔を有するフロントアダプタとを備えるとともに、
    これらロッドアダプタとフロントアダプタとの間に、削
    岩機から上記アウターケーシングに加えられる打撃力を
    緩和するリング形の緩衝部材を介挿していること、 (3)上記シャンクデバイスは、その中心にフラッシング
    水を上記削孔ビットに供給する送給孔を形成するととも
    に、その周壁にフラッシング水を排出するための複数の
    排出用溝を形成し、さらに、一端を上記送給孔に開口す
    るとともに他端をその開口よりも後側において上記排出
    用溝に開口した複数のフラッシング水噴出孔を備えてい
    ること、 (4)上記削孔ビットは、本体にフラッシング水を送給す
    る送給孔を形成するとともに、その本体の周壁後端部
    に、上記アウターケーシングの前端辺縁に設けた係止用
    凸部等の係止部と係合する回止め用凹部等の回止め部を
    形成していること、 (5)上記シャンクデバイスと削孔ビットとが、これらを
    削孔時の回転方向とは逆方向に回転させたとき緩む逆ね
    じで螺合していることを特徴とする地山削孔装置。
  2. 【請求項2】(1)アウターケーシング内にインナーロッ
    ドを回転自在に収容してなる削孔用2重管が、そのイン
    ナーロッドに対してのみ回転力を伝達する連結器を介し
    て削岩機に連結されているとともに、上記アウターケー
    シングの前側に配置されかつ該アウターケーシングの外
    径と等しいかやや大きい直径の刃部を本体の前端面に有
    する削孔ビットが、シャンクデバイスを介して上記イン
    ナーロッドの前端に取り付けられていること、 (2)上記連結器は、削岩機のシャンクロッドに上記イン
    ナーロッドを連結するロッドアダプタと、このロッドア
    ダプタに対して回転自在に嵌装されかつ上記アウターケ
    ーシングを支持するとともにフラッシング水を排出する
    排出孔を有するフロントアダプタとを備えるとともにこ
    のロッドアダプタに対して回転自在に嵌装されかつ上記
    アウターケーシングを支持するフロントアダプタとを備
    えるとともに、これらロッドアダプタとフロントアダプ
    タとの間に、削岩機から上記アウターケーシングに加え
    られる打撃力を緩和するリング形の緩衝部材を介挿して
    いること、 (3)上記シャンクデバイスは、その中心にフラッシング
    水を上記削孔ビットに供給する送給孔を形成するととも
    に、その周壁にフラッシング水を排出するための複数の
    排出用溝を形成し、さらに、一端を上記送給孔に開口す
    るとともに他端をその開口よりも後側において上記排出
    用溝に開口した複数のフラッシング水噴出孔を備えてい
    ること、 (4)上記削孔ビットは、本体にフラッシング水を送給す
    る送給孔を形成するとともに、外径を拡縮でき、アウタ
    ーケーシング内に引き込める径可変ビットであることを
    特徴とする地山削孔装置。
  3. 【請求項3】アウターケーシングが合成樹脂製であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の地山削孔装置。
  4. 【請求項4】アウターケーシングと、前端に他のインナ
    ーロッドと螺合できる雌ねじを形成してなる連結部を設
    けるとともに、後端に前記ロッドアダプタに取り付けた
    シャンクロッドに取り付けられたカップリングスリーブ
    に螺合できる雄ねじを形成してなる連結部を設けてなる
    インナーロッドとからなり、その前端側の連結部が多角
    形に形成されている中継用2重管を備えてなることを特
    徴とする請求項1,2または3記載の地山削孔装置。
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