JP3332702B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3332702B2
JP3332702B2 JP00271196A JP271196A JP3332702B2 JP 3332702 B2 JP3332702 B2 JP 3332702B2 JP 00271196 A JP00271196 A JP 00271196A JP 271196 A JP271196 A JP 271196A JP 3332702 B2 JP3332702 B2 JP 3332702B2
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面伝導型電子放
出素子及び表面伝導型電子放出素子を用いた電子源を有
する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子においては、大
別して熱電子放出素子を用いたものと冷陰極電子放出素
子を用いたものとの2種類が知られている。
【0003】冷陰極電子放出素子には電界放出型(以
下、「FE型」と称す)、金属/絶縁層/金属型(以
下、「MIM型」と称す)や表面伝導型電子放出素子等
がある。
【0004】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dor
an "Field Emission",Advance in Electron Physics,8,
89(1956)あるいは、C.A.Spindt "Physical Properties
of thin-film emission cathodes with molybdenium co
nes",J.Appl.Phys.,47,5248(1976)等に開示されたもの
が知られている。
【0005】一方、MIM型の例としては、C.A.Mead,"
Operation of Tunnel-Emission Devices",J.Appl.Phy
s.,32,646(1961)等に開示されたものが知られている。
【0006】また、表面伝導型電子放出素子型の例とし
ては、M.I.Elinson,Radio Eng.Electron Phys.,10,1290
(1965)等に開示されたものが知られている。
【0007】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる。この表面伝導型電子放出素子
としては、前記エリンソン等によるSnO2薄膜を用い
たもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:Thin Solid F
ilms,9,317(1972)]、In23/SnO2薄膜によるも
の[M.Hartwell and C.G.Fonstad:IEEE Trans.ED Con
f.,519(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久
他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等
が報告されている。
【0008】図14は、従来の表面伝導型電子放出素子
の一例を示す模式図である。
【0009】本従来例は図14に示すように、絶縁性の
基板1501と、基板1501上に合い対向して所定の
間隔を有して配設された素子電極1502,1503
と、素子電極1502,1503上及び素子電極150
2,1502に渡ってH型形状のパターンにスパッタ法
により形成された金属膜酸化物からなる導電性薄膜15
04と、導電性薄膜1504上に通電フォーミングと呼
ばれる通電処理により形成され、電子を放出する電子放
出部1505とから構成されている。なお、素子電極1
502,1503の間隔Lは0.5〜1mm、導電性薄
膜1504の素子電極1502,1503に渡る部分の
幅W’は0.1mmに設定されている。
【0010】従来、図14に示した表面伝導型電子放出
素子においては、電子放出を行う前に、予め導電性薄膜
504に対して通電フォーミングと呼ばれる通電処理が
行われ、電子放出部505が形成されるのが一般的であ
った。ここで、通電フォーミングとは、導電性薄膜50
4の電子放出部1505が形成される部分の両端に直流
電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧を印加、通電
させ、導電性薄膜1504を局所的に破壊、変形もしく
は変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部
1505を形成することである。なお、電子放出部50
5においては、導電性薄膜504の一部に亀裂が発生
し、その亀裂付近から電子の放出が行われる。
【0011】上述した通電フォーミング処理が施された
表面伝導型電子放出素子においては、導電性薄膜504
に電圧が印加され、素子に電流が流れることにより電子
放出部505から電子が放出する。
【0012】上述した表面伝導型電子放出素子において
は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積に
わたって多数素子を配列、形成することができるという
利点がある。そこで、この特徴を活かした荷電ビーム
源、表示装置等の応用研究がなされている。
【0013】多数の表面伝導型電子放出素子を配列、形
成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子を配
列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)に
よりそれぞれ結線した行を多数行配列した電子源があげ
られる(特開昭64−031332号公報、特開平1−
283749号公報、特開平2−257552号公報参
照)。なお、上述した配置ははしご型配置と呼ばれるも
のである。
【0014】また、特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置がCRTに
代わって普及してきたが、自発光型でないため、バック
ライトを設けなければならない等の問題点があり、自発
光型の表示装置の開発が望まれてきた。
【0015】自発光型の表示装置としては、表面伝導型
電子放出素子を多数配置した電子源と、電子源より放出
された電子によって可視光を発光せしめる蛍光体とを組
み合わせた表示装置である画像形成装置があげられる
(例えば、USP5066883号)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】図15は、従来の画像
形成装置の一構成例を示す断面図である。
【0017】図15に示す画像形成装置は、リアプレー
トとフェースプレートと枠とから構成され、画像が表示
される表示パネル1510と、リアプレートの背面上に
設けられた放熱フィン付きのヒートシンク基板である放
熱板1520とから主に構成されており、放熱板152
0においては、熱歪みによる画像の劣化や色ムラを防ぐ
ために、放熱量を増加させるよう凹凸を多数設けること
等により表面積を増やす工夫がされている(特開平3−
196782号公報参照)。
【0018】しかしながら、画像の劣化や色ムラは、基
板とフェースプレートの熱歪みによる位置ずれに起因し
ており、単純に放熱量を大きく増加しても完全に画質劣
化を防ぐことができない。なぜならば、放熱量を大きく
増加させた場合においても、温度分布が生じるために熱
歪みが場所に依存して存在し、あるところでは位置ずれ
が起こるため画像劣化が生じ、あるところでは生じない
という現象が発生するためである。
【0019】また、熱歪みが生じた場合は、熱応力によ
る強度低下の懸念もある。
【0020】さらに、平板型画像形成装置においては、
薄型ヘの要望が強いため、表示パネル背面の熱交換領域
を大きく取ることが困難である。
【0021】本発明は、上述したような従来の技術が有
する問題点に鑑みてなされたものであって、薄型であり
ながら表示パネルの温度を均一化することができる画像
表示装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、電子放出素子が搭載された基板と、該基板
と対向して配置され、前記基板上の電子放出素子から放
射された電子線の照射により画像が形成されるフェース
プレートと、前記基板の前記フェースプレートとは反対
側に設けられ、前記基板及び前記フェースプレートにお
いて発生した熱を放熱するための放熱手段と、前記基
板、前記フェースプレート及び前記放熱手段を収容する
筺体と、該筺体に設けられ、外部の空気を前記筺体の内
部に導入するための吸気孔と、前記筺体に設けられ、前
記筺体の内部の空気を外部に排気するための排気孔とを
有してなる画像形成装置において、前記放熱手段は、表
面積をAとし、前記吸気孔から前記排気孔への方向にお
ける位置をxとした場合に、位置xにおける表面積A
が、式dA(x)/dx>0を満たすことを特徴とす
る。
【0023】また、前記放熱手段は、フィン構造を具備
することを特徴とする。
【0024】また、前記吸気孔近傍に設けられ、外部の
空気を前記筺体の内部に導入するためのファンを具備す
ることを特徴とする。
【0025】また、前記フィン構造は、前記吸気孔側か
ら前記排気孔側に向かって数が増加して設けられている
ことを特徴とする。
【0026】また、前記フィン構造は、前記吸気孔側か
ら前記排気孔側に向かって高さが増加して設けられてい
ることを特徴とする。
【0027】また、前記フィン構造は、前記吸気孔側か
ら前記排気孔側に向かって幅が増加して設けられている
ことを特徴とする。
【0028】また、前記フィン構造は、前記吸気孔側か
ら前記排気孔側に向かって長さが増加して設けられてい
ることを特徴とする。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】また、前記電子放出素子は、表面伝導型電
子放出素子であることを特徴とする。
【0035】(作用)上記のように構成された本発明に
おいては、基板及びフェースプレートにおいて発生した
熱を放熱させるための放熱手段が、表面積をAとし、吸
気孔から排気孔への方向における位置をxとした場合
に、位置xにおける表面積Aが、式dA(x)/dx>
0を満たすような構成となって設けられているので、吸
気孔から導入される冷却用の空気が基板及びフェースプ
レートにおいて発生する熱によって温められた排気孔側
の放熱手段の表面積が、吸気孔から導入される冷却用の
空気が温められていない吸気孔側の放熱手段の表面積よ
りも大きくなり、筺体内における温度むらが減少する。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照して説明する。
【0037】(第1の実施の形態)図1は、本発明の画
像形成装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【0038】本形態は図1に示すように、電子放出素子
が搭載された基板1と、基板1と対向して配置され、蛍
光体(不図示)が搭載されて基板1上の電子放出素子か
ら放射された電子線の照射により画像が形成されるフェ
ースプレート6と、フェースプレート6を支持する支持
枠7と、基板1のフェースプレート6とは反対側に設け
られ、基板1及びフェースプレート6において発生した
熱を放熱するための放熱板10と、基板1、フェースプ
レート6、支持枠7及び放熱板10を収容する筺体9
と、筺体9の基板1と垂直な一面に設けられ、外部の空
気を筺体9の内部に導入するための吸気孔8と、筺体9
の吸気孔8と反対側の面に設けられ、筺体9の内部の空
気を外部に排気するための排気孔13と、放熱板10上
の吸気孔8側に設けられ、吸気孔8から導入された空気
を排気孔13側に送るためのファン14と、放熱板10
に設けられ、ファン14によって送られた空気の流れを
整えるとともに、放熱作用をもたらすフィン11とから
構成されている。
【0039】ここで、フィン11においては、吸気孔8
側から排気孔13側への空気の流れ方向の位置をx、放
熱板10及びフィン11からなる放熱手段の表面積をA
とすると、表面積Aが吸気孔8側から排気孔13側に向
かうにしたがって増加する(dA(x)/dx>0)よ
うに、数が増加している。
【0040】また、ファン14においては、基板1、フ
ェースプレート6及び駆動回路基板(不図示)の発熱量
の大小により省略し、自然対流を利用した自然空冷とす
ることも可能である。
【0041】さらに、上述したフィン11の数のみなら
ず、フィン11の高さ、幅、長さを増加させたり、フィ
ン11に貫通孔を設けて、貫通孔の数、径を増加させた
りすることによって、吸気孔8側から排気孔13側に向
かうにしたがって放熱手段の表面積Aを増加させてもよ
い。
【0042】また、フィン11上に、吸気孔8から導入
された冷却空気の流れをできるだけ妨げないように、吸
気孔8側から排気孔13側に向かう長手方向を有する凹
凸を設け、その凹凸の表面積を吸気孔8側から排気孔1
3側に向かうにしたがって増加させてもよい。
【0043】さらには、上述したフィン11の数、高
さ、幅、長さ、貫通孔数・径、凹凸面積などを任意に組
み合わせてもよい。本発明の表面伝導型電子放出素子の
基本的な構成には大別にして、平面型及び垂直型の2つ
がある。
【0044】まず、平面型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0045】図2は、平面型表面伝導型電子放出素子の
一構成例を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)
は断面図である。
【0046】平面型表面出伝導型電子放出素子は図2に
示すように、絶縁層からなる基板501と、基板501
上に合い対向するように所定の間隔を有して配設された
金属膜からなる素子電極502,503と、素子電極5
02,503に渡って設けられた微粒子からなる導電性
薄膜504と、薄膜504内に設けられた導電性微粒子
からなる電子放出部505とから構成されている。
【0047】基板501としては、石英ガラスや、Na
等の不純物含有量を低減させたガラスや、青板ガラス
や、スパッタ法等によりSiO2が推積されたガラス基
板及びアルミナ等のセラミックス基板等が用いられる。
【0048】また、合い対向する素子電極502,50
3の材料としては、一般的な導電材料が用いられ、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,
Pd等の金属あるいは合金及びPd,As,Ag,A
u,RuO2,Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物
とガラス等から構成される印刷導体、In23−SnO
2等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体材料等か
ら選択される。
【0049】素子電極502,503の間隔L、素子電
極502,503の長さW、導電性薄膜504の形状等
は、応用される形態等を考慮して設計される。
【0050】素子電極502,503の間隔Lは、好ま
しくは数千Å〜数百μmの範囲が適当であり、より好ま
しくは素子電極間に印加される電圧等を考慮して1μm
〜100μmの範囲が適当である。
【0051】素子電極502,503の長さWは、電極
の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μ
mの範囲が適当であり、素子電極502,503の膜厚
dは、100Åから1μmの範囲が適当である。
【0052】なお、図2に示した構成だけでなく、基板
501上に、導電性薄膜504が形成され、導電性薄膜
504上に、合い対向する素子電極502,503が積
層された構成とすることもできる。
【0053】導電性薄膜504においては、良好な電子
放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を
用いるのが好ましい。その膜厚は素子電極502,50
3へのステップカバレージ、素子電極502,503間
の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適
宜設定されるが、通常は数Å〜数千Åの範囲とするのが
好ましく、より好ましくは10Å〜500Åの範囲とす
るのが良く、そのときの抵抗値(Rs)は102〜107
Ωの値である。なおRsは、厚さがt、幅がwで長さが
lの薄膜の抵抗Rを、R=Rs(l/w)とおいたとき
に現れる値で、薄膜材料の抵抗率をρとするとRs=ρ
/tで表される。
【0054】本願明細書において、フォーミング処理に
ついては、通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミ
ング処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生
じさせて高抵抗状態を形成する方法であればいかなる方
法でも良い。
【0055】導電性薄膜504を構成する材料はPd,
Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,F
e,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,S
nO,2In23,PbO,Sb23等の酸化物、Hf
2,ZrB2,LaB6,CeB,6YB4,GdB4等の
硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,W
C等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の窒化物、S
i,Ge等の半導体、カーボン等の中から適宜選択され
る。
【0056】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、数Å〜1μmの範囲、好ましくは
10Å〜200Åの範囲が適当である。
【0057】電子放出部505は、導電性薄膜504の
一部に形成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性
薄膜504の薄膜、膜質、材料及び後述する通電フォー
ミング等の手法等に依存したものとなる。また、電子放
出部505の内部には、1000Å以下の粒径の導電性
微粒子を含む場合もある。この導電性微粒子は、導電性
薄膜504を構成する材料の元素の一部、あるいは全て
の元素を含有するものとなる。電子放出部505及びそ
の近傍の導電性薄膜504には、炭素あるいは炭素化合
物が含まれる場合もある。
【0058】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0059】図3は、垂直型表面伝導型電子放出素子の
一構成例を示す模式図である。
【0060】図3においては、図2に示した部位と同じ
部位には図2に付した符号と同一の符号を付している。
【0061】垂直型表面伝導型電子放出素子においては
図3に示すように、基板501上に素子電極502が形
成され、素子電極502上の一部に段差形成部600が
形成され、段差形成部600上に素子電極503が形成
され、素子電極502と素子電極503とが導電性薄膜
504により接続され、導電性薄膜504上に電子放出
部505が形成されている。
【0062】段差形成部600は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO 2等の絶縁性材料
で構成されており、段差形成部600の膜厚は、上述し
た平面型表面伝導型電子放出素子の素子電極502,5
03の間隔Lに対応し、数千Å〜数十μmの範囲が適当
である。この膜厚は、段差形成部600の製法及び素子
電極502,503間に印加する電圧を考慮して設定さ
れるが、数百Å〜数μmの範囲が好ましい。
【0063】また、導電性薄膜504は、素子電極50
2,503及び段差形成部600が形成された後に、素
子電極502,503の上に積層される。
【0064】電子放出部505は、図3においては、段
差形成部600に形成されているが、作製条件、フォー
ミング条件等に依存し、形状、位置ともこれに限られる
ものでない。
【0065】上述した表面伝導型電子放出素子の製造方
法については様々な方法があるが、以下に、その一例に
ついて説明する。
【0066】図4は、図2に示した表面伝導型電子放出
素子の製造方法を示す図である。
【0067】まず、基板501を、洗剤、純水及び有機
溶剤等を用いて十分に洗浄し、洗浄した基板501上に
真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積さ
せ、その後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて
素子電極502,503を形成する(図4(a))。
【0068】次に、素子電極502,503が設けられ
た基板501に、有機金属溶液を塗布して、有機金属薄
膜を形成する。有機金属溶液には、導電性薄膜504の
材料の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液を用い
ることができる。その後、有機金属薄膜を加熱焼成処理
し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングを行
い、導電性薄膜504を形成する(図4(b))。な
お、ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明した
が、導電性薄膜504を形成法はこれに限られるもので
なく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分
散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いるこ
ともできる。
【0069】次に、フォーミング処理を施す。このフォ
ーミング処理方法の一例として通電処理による方法を説
明する。
【0070】素子電極502,503間に、不図示の電
源を用いて通電を行い、導電性薄膜504の一部に構造
の変化した電子放出部505を形成する(図4
(c))。通電フォーミングによれば導電性薄膜504
に局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造変化した部
位が形成される。該部位が電子放出部505となる。
【0071】図5は、通電フォーミングの電圧波形の例
を示す図であり、(a)はパルス波高値を定電圧とした
パルスを連続的に印加した際の電圧波形を示す図、
(b)はパルス波高値を増加させながら電圧パルスを印
加した際の電圧波形を示す図である。
【0072】ここで、電圧波形においてはパルス波形が
好ましいが、これには図5(a)に示すようなパルス波
高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する手法と、
図5(b)に示すようなパルス波高値を増加させながら
電圧パルスを印加する手法がある。
【0073】図5(a)においては、電圧波形のパルス
幅T1は1μs〜10ms、電圧波形のパルス間隔T2
は、10μs〜100msの範囲で設定される。三角波
の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、表面
伝導型電子放出素形態に応じて適宜選択される。上記の
ような条件のもと、例えば、数秒〜数十分間電圧を印加
する。なお、パルス波形は三角波に限定されるものでは
なく、矩形波など所望の波形を採用することができる。
【0074】図5(b)においても、電圧波形のパルス
幅T1及び電圧波形のパルス間隔T2は、図5(a)に
おけるものと同様とすることができる。三角波の波高値
(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1
Vステップ程度づつ増加させることができる。
【0075】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に導電性薄膜504を局所的に破壊、変形しな
い程度の電圧を印加し、電流を測定することにより検知
することができる。例えば0.1V程度の電圧印加によ
り流れる素子電流を測定し、抵抗値を求め、1MΩ以上
の抵抗を示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0076】フォーミングを終えた素子には活性化処理
を施するのが好ましい。活性化処理を施すことにより、
素子電流If、放出電流Ieが著しく変化する。
【0077】活性化処理は、例えば有機物質のガスが含
有される雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことにより行うことができる。この
雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなど
を用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留す
る有機ガスを利用して形成することができる他、イオン
ポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有
機物質のガスを導入することによっても得られる。この
ときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形
態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異な
るため、場合に応じて適宜設定される。適当な有機物質
としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化
水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド
類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン酸、ス
ルホン酸等の有機酸類等を挙げることができ、具体的に
は、メタン、エタン、プロパンなどCnH2+2で表さ
れる飽和炭化水素、エチレン、プロピレン等CnH2
等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トル
エン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、ア
セトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プ
ロピオン酸等が使用できる。上記処理により雰囲気中に
存在する有機物質から炭素あるいは炭素化合物が素子上
に堆積し、素子電流If,放出電流Ieが著しく変化す
る。
【0078】活性化工程の終了判定は、素子電流If
放出電流Ieを測定しながら行う。なお、パルス幅、パ
ルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0079】炭素あるいは炭素化合物とは、HOPG(H
ighly Oriented Pyrolytic Graphite),PG(Pyrolytic
Graphite),GC(Glassy Carbon)などのグラファイト
が挙げられる(HOPGはほぼ完全な結晶構造をもつグ
ラファイト、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造が
やや乱れたグラファイト、GCは結晶粒が20Å程度で
結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す)非晶
質カーボン(アモルファスカーボン及びアモルファスカ
ーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を含むカー
ボン)であり、その膜厚は500Å以下にするのが好ま
しく、300Å以下であればより好ましい。
【0080】活性化工程を経て得られた電子放出素子
は、安定化処理を行うことが好ましい。この処理は真空
容器内の有機物質の分圧が、1×10-8torr以下、
望ましくは1×10-10torr以下で行なうのが良
い。真空容器内の圧力は、10-6. 5〜10-7torrが
好ましく、特に、1×10-8torr以下が好ましい。
真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生する
オイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを
使用しないものを用いるのが好ましい。具体的にはソー
プションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げ
ることができる。さらに、真空容器内を排気するときに
は、真空容器全体を加熱して真空容器内壁や電子放出素
子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ま
しい。このときの加熱した状態での真空排気条件は、8
0〜200℃で5時間以上が望ましいが、特にこの条件
に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放
出素子の構成などの諸条件により変化する。なお、上記
有機物質の分圧測定においては、質量分析装置により質
量数が10〜200の炭素と水素を主成分とする有機分
子の分圧を測定し、それらの分圧を積算することにより
求める。
【0081】安定化工程を経た後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することができる。
【0082】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
結果として素子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0083】電子放出素子の配列については種々のもの
が採用できる。
【0084】一例として、並列に配置した多数の電子放
出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数
個配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放
出素子からの電子を制御駆動するはしご状配置のものが
ある。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向
に行列状に複数個配置し、同じ行に配置された複数の電
子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続
し、同じ列に配置された複数の電子放出素子の電極の他
方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられ
る。このようなものは所謂単純マトリクス配置である。
まず、単純マトリクス配置について以下に詳述する。
【0085】図6は、電子放出素子が複数個マトリクス
状に配置されて得られる電子源基板について説明するた
めの図である。
【0086】図6に示す電子源基板は、電子源基板90
1と、電子源基板901上にマトリックス状に形成され
たX方向配線902及びY方向配線903と、X方向配
線902とY方向配線903とを接続する結線905
と、結線905上に形成され、電子を放出する表面伝導
型電子放出素子904とから構成されており、X方向配
線902とY方向配線903とは不図示の層間絶縁膜に
より電気的に分離されている。なお、表面伝導型電子放
出素子904においては、前述した平面型あるいは垂直
型のどちらであっても良い。
【0087】また、X方向配線902は、Dx1、D
2、…Dxmのm本の配線からなり、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等によ
り構成され、配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計され
る。また、Y方向配線903は、Dy1、Dy2、…Dy
nのn本の配線からなり、X方向配線902と同様に形
成される。
【0088】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2等により
構成される。例えば、X方向配線902が形成された電
子源基板901の全面あるいは一部に所望の形状で形成
され、特に、X方向配線902とY方向配線903の交
差部の電位差に耐え得るように膜厚、材料、製法が設定
される。X方向配線902及びY方向配線903は、そ
れぞれ外部端子として引き出されている。
【0089】表面伝導型放出素子904を構成する一対
の電極(不図示)は、m本のX方向配線902、n本の
Y方向配線903及び導電性金属等からなる結線905
によって電気的に接続されている。
【0090】X方向配線902及びY方向配線903を
構成する材料、結線905を構成する材料、並びに一対
の素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部ある
いは全部が同一であっても、またそれぞれ異なってもよ
い。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料より適
宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同
一である場合には、素子電極に接続された配線は素子電
極ということもできる。
【0091】X方向配線902には、X方向に配列され
た表面伝導型放出素子904の行を選択するための走査
信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続され、
Y方向配線903にはY方向に配列された表面伝導型放
出素子904の各列を入力信号に応じて、変調するため
の不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出
素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走
査信号と変調信号との差電圧として供給される。
【0092】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0093】以下に、上記のような単純マトリクス配置
の電子源を用いて構成された画像形成装置について説明
する。
【0094】図7は、本発明の画像形成装置の表示パネ
ルの一構成例を示す図である。
【0095】本形態は図7に示すように、電子源基板9
01と、電子源基板901上にマトリックス状に形成さ
れたX方向配線902及びY方向配線903と、X方向
配線902とY方向配線903とを接続する結線905
と、結線905上に形成され、電子を放出する表面伝導
型電子放出素子904と、表面伝導型電子放出素子90
4から放出された電子を映し出すフェースプレート10
06と、上記各部材を固定するための外囲器1008
と、外部から高電圧が印加されるための高圧端子100
7と、容器外端子1404,1405とから構成されて
おり、フェースプレート1006は、ガラス基板100
3と、ガラス基板1003上に形成された蛍光膜100
4と、蛍光膜1004上に形成されたメタルバック10
05とから構成されており、外囲器1008は、電子源
基板901を固定するためのリアプレート1001と、
フェースプレート1006とリアプレート1001とを
一定の間隔を有して固定するための支持枠1002とか
ら構成されている。なお、外囲器1008は、例えば大
気中あるいは窒素中で400〜500度の温度範囲で1
0分以上焼成され、封着される。
【0096】また、リアプレート1001は主に電子源
基板901の強度を補強する目的で設けられるため、電
子源基板901自体で十分な強度を持つ場合は別体のリ
アプレート1001は不要とすることができる。即ち、
電子源基板901に直接支持枠1002を封着し、フェ
ースプレート1006、支持枠1002及び電子源基板
901で外囲器1008を構成しても良い。一方、フェ
ースプレート1006、リアプレート1001間に、ス
ペーサー(耐大気圧支持部材)とよばれる不図示の支持
体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を
もつ外囲器1008を構成することもできる。
【0097】図8は、図7に示した画像形成装置の表示
パネルに使用される蛍光膜の一例を示す模式図であり、
(a)はストライプ状のものを示す図、(b)は円形状
のものを示す図である。
【0098】図8に示すように、蛍光膜1004はモノ
クロームの場合は蛍光体1102のみから構成すること
ができる。
【0099】また、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の
配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリ
クスなどと呼ばれる黒色部材1101と蛍光体1102
とから構成することができる。ブラックストライプ、ブ
ラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、
必要となる三原色蛍光体の各蛍光体1102間の塗り分
け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、
外光反射によるコントラストの低下を抑制することにあ
る。
【0100】ブラックストライプの材料としては、通常
用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、光の透過
及び反射が少ない材料であればこれを用いることができ
る。
【0101】ガラス基板1003に蛍光体1102を塗
布する方法は、モノクローム、カラーによらず、沈澱
法、印刷法等を採用することができる。蛍光膜1004
の内面側には、通常、メタルバック1005が設けられ
る。メタルバック1005を設ける目的は、蛍光体の発
光のうち内面側への光をフェースプレート1006側へ
鏡面反射させることにより輝度を向上させること、電子
ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させる
こと、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメー
ジから蛍光体を保護すること等である。メタルバック1
005は、蛍光膜1004作製後、蛍光膜1004の内
面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ば
れる。)を行い、その後、Alを真空蒸着等を用いて堆
積させることにより作製することができる。
【0102】フェースプレート1006には、さらに蛍
光膜1004の導電性を高めるため、蛍光膜1004の
外面側(ガラス基板1003側)に透明電極(不図示)
を設けてもよい。
【0103】上記封着を行う際には、カラーの場合は各
色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十
分な位置合わせが不可欠となる。
【0104】図7に示した画像形成装置の表示パネル
は、例えば以下のようにして製造される。
【0105】外囲器1008は、前述の安定化工程と同
様に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープション
ポンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示
の排気管を通じて排気し、1×10-7torr程度の真
空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止され
る。
【0106】外囲器1008の封止後の真空度を維持す
るために、ゲッタ処理を行なうこともできる。これは、
外囲器1008の封止を行う直前あるいは封止後に、抵
抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲
器1008内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッ
ターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッタ
は、通常、Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用
により、例えば1×10 -5ないしは1×10-7torr
真空度を維持するものである。
【0107】次に、図7に示した画像形成装置の表示パ
ネルを、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジ
ョン表示を行うための駆動回路に適用した例について説
明する。
【0108】図9は、NTSC方式のテレビ信号に応じ
てテレビジョン表示を行うための駆動回路の一構成例を
示す図である。
【0109】図9に示す駆動回路は、表示パネル120
1と、内部にスイッチング素子が内蔵され、表示パネル
1201の走査を行う走査回路1202と、外部から入
力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と
輝度信号成分とを分離する同期分離回路1206と、同
期分離回路1206において分離された輝度信号成分を
画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するシフト
レジスタ1204と、シフトレジスタ1204から出力
された画像の1ライン分のデータを必要時間だけ記憶す
るラインメモリ1205と、表示パネル1201の表面
伝導型電子放出素子のそれぞれを駆動変調するための信
号を発生させる変調信号発生器1207と、シフトレジ
スタ1204、ラインメモリ1205及び走査回路12
02を制御する制御回路1203と、直流電圧源Vx
aとから構成されている。
【0110】表示パネル1201は、端子Dox1乃至D
xm、端子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hvを介し
て外部の電気回路と接続している。端子Dox1及至Do
xmには、表示パネル内に設けられている電子源、即ち、
M行N列の行列状にマトリクス配線された表面伝導型電
子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動する為の走
査信号が印加される。
【0111】端子Doy1乃至Doynには、走査信号によ
り選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の
出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。
高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kV
の直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子放出
素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起するのに
十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0112】走査回路1202は、内部にM個のスイッ
チング素子を備えたものであり(図中、S1ないしSm
模式的に示している)、各スイッチング素子は、直流電
圧源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベル)の
いずれか一方を選択し、表示パネル1201の端子Do
x1ないしDoxmと電気的に接続される。S1乃至Smの各
スイッチング素子は、制御回路1203が出力する制御
信号TSCANに基づいて動作するものであり、例えばFE
Tのようなスイッチング素子を組み合わせることにより
構成することができる。
【0113】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子
放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力する
よう設定されている。
【0114】制御回路1203は、外部より入力される
画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部
の動作を整合させる機能を有する。制御回路1203
は、同期信号分離回路1206より送られる同期信号T
SYNCに基づいて、各部に対してTSCAN,TSFT及びTMRY
の各制御信号を発生する。
【0115】同期信号分離回路1206は、外部から入
力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と
輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数
分離(フィルタ)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路1206により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜
上TSYNC信号として図示した。前記テレビ信号から分離
された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表し
た。DATA信号はシフトレジスタ1204に入力され
る。
【0116】シフトレジスタ1204は、時系列的にシ
リアルに入力されるDATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、制御回路
1203より送られる制御信号TSFTに基づいて動作す
る(即ち、制御信号TSFTは、シフトレジスタ1204
のシフトクロックであるということもできる。)。シリ
アル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素
子N素子分の駆動データに担当)のデータは、ld1
至ldnのN個の並列信号としてシフトレジスタ120
4より出力される。
【0117】ラインメモリ1205は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路1203より送られる制御信号TMRYに従
って便宜ld1乃至ldnの内容を記録する。記録された
内容は、ld’1及至ld’nとして出力され、変調信号
発生器1207に入力される。
【0118】変調信号発生器1207は、画像データl
d’1乃至ld’nの各々に応じて表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その
出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル
1201内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0119】本発明の電子放出素子は、放出電流Ie
対して以下の基本特性を有している。即ち、電子放出に
は明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印
加された時のみ電子放出が生じる。電子放出しきい値以
上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて
放出電流も変化する。このことから、本素子にパルス状
の電圧を印加する場合、例えば電子放出しきい値以下の
電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出しき
い値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力さ
れる。その際、パルスの波高値Vmを変化させる事によ
り出力電子ビームの強度を制御することが可能である。
また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力され
る電子ビームの電荷の総量を制御する事が可能である。
【0120】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器1207として、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて便宜パルスの
波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いるこ
とができる。
【0121】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器1207として、一定の波高値の電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用い
ることができる。
【0122】シフトレジスタ1204やラインメモリ1
205においては、画像信号のシリアル/パラレル変換
や記憶が所定の速度で行なわれれば良いため、デジタル
信号式のものをもアナログ信号式のものも採用すること
ができる。
【0123】デジタル信号式のものを用いる場合には、
同期信号分離回路1206の出力信号DATAをデジタ
ル信号化する必要があるが、これには同期信号分離回路
1206の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これ
に関連してラインメモリ1205の出力信号がデジタル
信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器1207
に用いられる回路が若干異なったものとなる。即ち、デ
ジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生
器1207には、例えばD/A変換回路を用い、必要に
応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変調方式の場
合、変調信号発生器1207には、例えば高速の発振
器、発振器の出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用い
る。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調され
た変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで
電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0124】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器1207には、例えばオペアンプな
どを用いた増幅回路を採用することができ、必要に応じ
てレベルシフト回路などを付加することもできる。パル
ス幅変調方式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路
(VCO)を採用することができ、必要に応じて表面伝
導型電子放出素子の駆動電圧まで電圧増幅するための増
幅器を付加することもできる。
【0125】上記のような構成をとり得る本発明の画像
表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子D
x1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧を印加
することにより、電子放出が生じ、高圧端子Hvを介し
てメタルバック1005(図8参照)、あるいは透明電
極(不図示)に高圧が印加されて電子ビームが加速す
る。加速された電子は、蛍光膜1004(図7参照)に
衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0126】ここで述べた画像形成装置の構成は一例で
あり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能で
ある。入力信号については、NTSC方式を挙げたが入
力信号はこれに限られるものではなく、PAL,SEC
AM方式など他、これよりも多数の走査線からなるTV
信号(例えば、MUSE方式をはじめとする高品位T
V)方式をも採用することができる。
【0127】以下に、はしご配置型電子源基板及びこれ
を用いた画像形成装置の表示パネルについて説明する。
【0128】図10は、はしご配置型電子源基板の一構
成例を示す図である。
【0129】図10に示すはしご配置型電子源基板は、
電子源基板1301と、電子源基板1301上に形成さ
れた共通配線1303と、共通配線1303に接続さ
れ、電子を放出する電子放出素子1302とから構成さ
れている。
【0130】電子放出素子1302は、基板1301上
に、X方向に並列に複数個配置されており(以下、「素
子行」と称す)、この素子行が複数個配置されて、電子
源が構成されている。各素子行の共通配線1303間に
駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動させ
ることができる。即ち、電子ビームを放出させたい素子
行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子ビームを
放出しない素子行には、電子放出しきい値以下の電圧を
印加する。各素子行間の共通配線Dx1〜Dx9において
は、例えばDx2,Dx3を同一配線とすることもできる。
【0131】図11は、図10に示したはしご配置型電
子源を備えた画像形成装置の表示パネルの一構成例を示
す模式図である。
【0132】本形態は図11に示すように、電子源基板
1404と、電子源基板1404上に形成され電子を放
出する電子放出素子1302と、電子放出素子1302
から放出された電子を変調するグリッド電極1400
と、電子放出素子1302から放出された電子を映し出
すフェースプレート1006と、外部から高電圧が印加
されるための高圧端子1007と、容器外端子140
2,1403とから構成されており、フェースプレート
1006には蛍光膜1004が設けられており、グリッ
ド電極1400には電子放出素子1302から放出され
た電子が通過するための開口1401が設けられてい
る。
【0133】なお、グリッド電極1400は、容器外端
子1402,1403とそれぞれ接続されている。
【0134】また、開口1401においては、はしご配
置型の素子行と直交して設けられたストライプ状の電極
に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して1個
ずつ設けられている。ここで、グリッドの形状や設置位
置は図10に示したものに限定されるものではない。例
えば、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設けるこ
ともでき、グリッドを表面伝導型放出素子の周囲や近傍
に設けることもできる。
【0135】容器外端子1402,1403は、不図示
の制御回路とそれぞれ電気的に接続されている。
【0136】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0137】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置としての画像形成装置等としても用いること
ができる。
【0138】(第2の実施の形態)図12は、本発明の
画像形成装置の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【0139】本形態は図12に示すように、電子放出素
子が搭載された基板101と、基板101と対向して配
置され、蛍光体(不図示)が搭載されて基板101上の
電子放出素子から放射された電子線の照射により画像が
形成されるフェースプレート106と、フェースプレー
ト106を支持する支持枠107と、基板101のフェ
ースプレート106とは反対側に設けられ、基板101
及びフェースプレート106において発生した熱を放熱
するための放熱板110と、基板101、フェースプレ
ート106、支持枠107及び放熱板110を収容する
筺体109と、放熱板110の中央に設けられ、外部の
空気を筺体109の内部に導入するための吸気孔108
と、筺体109の基板101と垂直な全ての面に設けら
れ、筺体109の内部の空気を外部に排気するための排
気孔113と、吸気孔108と一体として設けられ、吸
気孔108から導入された空気を排気孔113側に送る
ためのファン114と、放熱板110に設けられ、ファ
ン114によって送られた空気の流れを整えるととも
に、放熱作用をもたらすフィン111とから構成されて
いる。
【0140】ここで、フィン111においては、吸気孔
108側から排気孔113側への空気の流れ方向の位置
をx、放熱板110及びフィン111からなる放熱手段
の表面積をAとすると、表面積Aが吸気孔108側から
排気孔113側に向かうにしたがって増加する(dA
(x)/dx>0)ように、数と高さが増加している。
【0141】(第3の実施の形態)図13は、本発明の
画像形成装置の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【0142】本形態は図13に示すように、電子放出素
子が搭載された基板201と、基板201と対向して配
置され、蛍光体(不図示)が搭載されて基板201上の
電子放出素子から放射された電子線の照射により画像が
形成されるフェースプレート206と、フェースプレー
ト206を支持する支持枠207と、基板201のフェ
ースプレート206とは反対側に設けられ、基板201
及びフェースプレート206において発生した熱を放熱
するための放熱板210と、基板201、フェースプレ
ート206、支持枠207及び放熱板210を収容する
筺体209と、放熱板210の中央に設けられ、外部の
空気を筺体209の内部に導入するための吸気孔208
と、筺体209の基板201と垂直な全ての面に設けら
れ、筺体209の内部の空気を外部に排気するための排
気孔213と、吸気孔208と一体として設けられ、吸
気孔208から導入された空気を排気孔213側に送る
ためのファン214と、放熱板210に設けられ、ファ
ン214によって送られた空気の流れを整えるととも
に、放熱作用をもたらすフィン211とから構成されて
いる。
【0143】ここで、フィン211においては、吸気孔
208側から排気孔213側への空気の流れ方向の位置
をx、放熱板210及びフィン211からなる放熱手段
の表面積をAとすると、表面積Aが吸気孔208側から
排気孔213側に向かうにしたがって増加する(dA
(x)/dx>0)ように、フィン211に貫通孔を設
けて、貫通孔の数、径を増加させ、さらに、吸気孔20
8側から排気孔213側に向かう長手方向を有する凹凸
を設け、その凹凸の表面積が吸気孔208側から排気孔
213側に向かうにしたがって増加するような構造とな
っている。
【0144】
【実施例】以下に、上述した実施の形態について実施例
を挙げて詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0145】(第1の実施例)第1の実施の形態におけ
る実施例について説明する。
【0146】本実施例においては、図1に示した画像形
成装置の放熱板10に板厚2mmのアルミ板を用い、フ
ィン11に長さ5mm、幅2mm、高さ3mmのアルミ
板を用い、ファン14に流量1.3m3/minの軸流
ファンを用いた。
【0147】なお、放熱板10の板厚は、基板1のサイ
ズと発熱量によって適時設定され、0.5〜数mm程度
が好ましい。
【0148】以下に、本実施例における放熱機構につい
て説明する。
【0149】画像表示動作が行われると、基板1及びフ
ェースプレート6において熱が発生する。
【0150】そのため、基板1及びフェースプレート6
において発生した熱を放熱する必要があるが、基板1側
においては、平板型画像形成装置の薄型化に伴い、放熱
空間を広く取ることが困難となっている。
【0151】そこで、図1に示すように、フィン11の
数を、吸気孔8側から排気孔13側に向かって増加させ
ることにより、吸気孔8から導入される冷却空気の流れ
方向下流に向かって放熱板10とフィン11とからなる
放熱手段の表面積が増加し、基板1の面内温度分布が平
坦化される。
【0152】上記のように構成された画像形成装置にお
いて、図1中のa−a’断面における温度分布を調べた
ところ、従来の、冷却空気の流れ方向に一様面積の放熱
フィンを使用した場合の温度分布に比ベ、最高温度と最
低温度との温度差が小さくなっていた。
【0153】上述した効果は以下に示すことに起因す
る。
【0154】一般に、放熱手段からの放熱量qは次のよ
うに表される。
【0155】
【数1】 ここに、αは冷却空気の流れ状態に依存した定数である
熱伝達率、Aは放熱手段の表面積、TW,Taはそれぞ放
熱手段の表面温度、冷却空気の温度である。
【0156】熱伝達率αがほぼ一定であると考えると、
放熱量qは、放熱手段の表面積A及び、放熱手段の表面
温度TWと冷却空気の温度Taとの温度差に比例すること
になる。
【0157】一般に、冷却空気の温度は、熱交換を行う
ことによって流れ方向下流ヘ行くに従って上昇するた
め、放熱手段の表面温度TWと冷却空気の温度Taとの温
度差が小さくなる。そのため、放熱量を一定に保つため
には、吸気孔8から導入される冷却空気の流れ方向下流
ヘ行くに従って放熱手段の表面積Aを増加させること
が、必要となる。
【0158】さらに、放熱量qが流れ方向の位置xによ
って変化しないように、数値シミュレーション等によ
り、次式を満足するような放熱手段の表面積を決定し、
フィン11の数を設計することが望ましい。
【0159】
【数2】 本実施例では、放熱手段の表面積Aが上式をほぼ満足す
るように、数値シミュレーションを行ってフィン11の
数を決定した。
【0160】上記のように作製した画像形成装置を長時
間(数十時間)駆動させたところ、基板1の面内温度差
が減少し、特に、基板1及びフェースプレート6の周辺
部での画質の劣化が検知されなくなった。
【0161】なお、フィン11のサイズにおいては、本
実施例に限定されるものではなく、基板1及びフェース
プレート6の発熱量、サイズ及び重量などを鑑みて決定
される。
【0162】また、ファン14の流量は、放熱量に応じ
て適時設定されるため、本実施例に限定されるものでは
なく、さらに、ファン14の種類についても、軸流ファ
ンに限らず、遠心ファン、横流ファンでもよい。また、
ファン14の配置については、少なくとも基板1の背面
上の放熱板10とフィン11の熱を送風により放熱する
ことが可能であれば、本実施例に限定されるものではな
い。
【0163】ここで、冷却方法においては、基板1、フ
ェースプレート6及び駆動回路基板の発熱量が比較的小
さな場合には、ファン14を設けなくても、温度差によ
り生じる密度差を利用した自然対流による自然冷却も可
能である。この場合の自然対流の流れ方向は、時間平均
的に吸気孔8側から排気孔13側となり、フィン11の
数を図1に示したものと同様に、吸気孔8側から排気孔
13側に向かって増加させることにより、放熱手段の表
面積Aが吸気孔8から導入される冷却空気の流れ方向下
流に向かって増加することになり、均一放熱が可能とな
る。
【0164】(第2の実施例)第2の実施の形態におけ
る実施例について説明する。
【0165】本実施例においては、図12に示した画像
形成装置の放熱板110に板厚2mmのアルミ板を用
い、フィン111に長さ5mm、幅2mm、高さ3〜8
mmのアルミ板を用い、ファン114に流量1.3m3
/minの軸流ファンを用い、吸気孔108には防塵用
のフィルタを設けた。
【0166】なお、フィン111の高さにおいては、吸
気孔108側から排気孔113側に向かって増加するよ
うに設定され、それにより、吸気孔108から導入され
る冷却空気の流れ方向下流に向かって放熱手段の表面積
が増加するように構成されている。
【0167】以下に、本実施例における放熱機構につい
て説明する。
【0168】画像表示動作が行われると、基板101及
びフェースプレート106において熱が発生する。
【0169】そのため、基板101及びフェースプレー
ト106において発生した熱を放熱する必要があるが、
基板101側においては、平板型画像形成装置の薄型化
に伴い、放熱空間を広く取ることが困難となっている。
【0170】そこで、図12に示すように、フィン11
1の数を、フィン114が設けられている基板101の
中央部から放射状に増加させることにより、吸気孔10
8から導入される冷却空気の流れ方向下流に向かって放
熱板110とフィン111とからなる放熱手段の表面積
が増加し、基板101の面内温度分布が平坦化される。
【0171】上記のように構成された画像形成装置にお
いて、図12中のa−a’断面における温度分布を調べ
たところ、従来の、冷却空気の流れ方向に一様面積の放
熱フィンを使用した場合の温度分布に比ベ、最高温度と
最低温度との温度差が小さくなっていた。
【0172】上述した効果は以下に示すことに起因す
る。
【0173】一般に、放熱手段からの放熱量qは次のよ
うに表される。
【0174】
【数3】 ここに、αは冷却空気の流れ状態に依存した定数である
熱伝達率、Aは放熱手段の表面積、TW,Taはそれぞ放
熱手段の表面温度、冷却空気の温度である。
【0175】熱伝達率αがほぼ一定であると考えると、
放熱量qは、放熱手段の表面積A及び、放熱手段の表面
温度TWと冷却空気の温度Taとの温度差に比例すること
になる。
【0176】一般に、冷却空気の温度は、熱交換を行う
ことによって流れ方向下流ヘ行くに従って上昇するた
め、放熱手段の表面温度TWと冷却空気の温度Taとの温
度差が小さくなる。そのため、放熱量を一定に保つため
には、吸気孔108から導入される冷却空気の流れ方向
下流ヘ行くに従って放熱手段の表面積Aを増加させるこ
とが必要となる。
【0177】さらに、放熱量qが流れ方向の位置xによ
って変化しないように、数値シミュレーション等によ
り、次式を満足するような放熱手段の表面積を決定し、
フィン111の数を設計することが望ましい。
【0178】
【数4】 本実施例では、放熱手段の表面積Aが上式をほぼ満足す
るように、数値シミュレーションを行ってフィン111
の数を決定した。
【0179】上記のように作製した画像形成装置を長時
間(数十時間)駆動させたところ、基板101の面内温
度差が減少し、特に、基板101及びフェースプレート
106の周辺部での画質の劣化が検知されなくなった。
【0180】なお、フィン111のサイズにおいては、
本実施例に限定されるものではなく、基板101及びフ
ェースプレート106の発熱量、サイズ及び重量などを
鑑みて決定される。
【0181】また、ファン114の流量は、放熱量と圧
力損失を決定する冷却部構造に応じて適時設定されるた
め、本実施例に限定されるものではなく、さらに、ファ
ン114の種類についても、軸流ファンに限らず、遠心
ファン、横流ファンでもよい。また、ファン114の配
置については、少なくとも基板101の背面上の放熱板
110とフィン111の熱を送風により放熱することが
可能であれば、本実施例に限定されるものではない。
【0182】上述したように、放熱手段の表面積を増す
ためには、フィン111の高さを基板101の中央部か
ら外周部ヘ向かって離散的(不連続)に変化させること
が望ましいが、中央部から外周部ヘ向かって高さを連続
的に増加させた一体型のフィンとしても、ほぼ同様の効
果がある。
【0183】さらに、本実施例においては、フィン11
1の数と高さを変化させたが、その他にフィン111の
幅、長さ、そしてそれらの組み合わせ等を吸気孔108
側から排気孔113側に向かって増加させても、放熱手
段の表面積を増加させることが可能であり、それによっ
ても同様の効果が得られる。
【0184】また、冷却方法においては、基板101、
フェースプレート106及び駆動回路基板の発熱量が比
較的小さな場合には、ファン114を設けなくても、温
度差により生じる密度差を利用した自然対流による自然
冷却も可能である。この場合の自然対流の流れ方向は、
時間平均的に吸気孔108側から排気孔113側とな
り、フィン111の数を図12に示したものと同様に、
吸気孔108側から排気孔113側に向かって増加させ
ることにより、放熱手段の表面積Aが吸気孔108から
導入される冷却空気の流れ方向下流に向かって増加する
ことになり、均一放熱が可能となる。
【0185】(第3の実施例)第3の実施の形態におけ
る実施例について説明する。
【0186】本実施例においては、図13に示した画像
形成装置の放熱板210に板厚2mmのアルミ板を用
い、フィン211に長さ5mm、幅2mm、高さ3〜8
mmのアルミ板を用い、ファン214に流量1.3m3
/minの軸流ファンを用い、吸気孔208には防塵用
のフィルタを設けた。
【0187】ここで、フィン211においては、吸気孔
208側から排気孔213側に向かう長手方向を有する
凹凸構造が設けられており、また、貫通孔も設けられて
いる。そして、吸気孔208から導入される冷却空気の
下流方向に向かって放熱手段の表面積が増加するよう
に、フィン211の高さ、数、凹凸構造数、貫通孔数及
び貫通孔直径が増加するような構造となっている。
【0188】以下に、本実施例における放熱機構につい
て説明する。
【0189】画像表示動作が行われると、基板201及
びフェースプレート206において熱が発生する。
【0190】そのため、基板201及びフェースプレー
ト206において発生した熱を放熱する必要があるが、
基板201側においては、平板型画像形成装置の薄型化
に伴い、放熱空間を広く取ることが困難となっている。
【0191】そこで、図13に示すように、フィン21
1の数を、フィン214が設けられている基板201の
中央部から放射状に増加させることにより、吸気孔20
8から導入される冷却空気の流れ方向下流に向かって放
熱板210とフィン211とからなる放熱手段の表面積
が増加し、基板201の面内温度分布が平坦化される。
【0192】上記のように構成された画像形成装置にお
いて、図13中のa−a’断面における温度分布を調べ
たところ、従来の、冷却空気の流れ方向に一様面積の放
熱フィンを使用した場合の温度分布に比ベ、最高温度と
最低温度との温度差が小さくなっていた。
【0193】上述した効果は以下に示すことに起因す
る。
【0194】一般に、放熱手段からの放熱量qは次のよ
うに表される。
【0195】
【数5】 ここに、αは冷却空気の流れ状態に依存した定数である
熱伝達率、Aは放熱手段の表面積、TW,Taはそれぞ放
熱手段の表面温度、冷却空気の温度である。熱伝達率α
がほぼ一定であると考えると、放熱量qは、放熱手段の
表面積A及び、放熱手段の表面温度TWと冷却空気の温
度Taとの温度差に比例する。
【0196】一般に、冷却空気の温度は、熱交換を行う
ことによって流れ方向下流ヘ行くに従って上昇するた
め、放熱手段の表面温度TWと冷却空気の温度Taとの温
度差が小さくなる。そのため、放熱量を一定に保つため
には、吸気孔208から導入される冷却空気の流れ方向
下流ヘ行くに従って放熱手段の表面積Aを増加させるこ
とが必要となる。
【0197】さらに、放熱量qが流れ方向の位置xによ
って変化しないように、数値シミュレーション等によ
り、次式を満足するような放熱手段の表面積を決定し、
フィン211の数を設計することが望ましい。
【0198】
【数6】 本実施例では、放熱手段の表面積Aが上式をほぼ満足す
るように、数値シミュレーションを行ってフィン211
の数を決定した。
【0199】上記のように作製した画像形成装置を長時
間(数十時間)駆動させたところ、基板201の面内温
度差が減少し、特に、基板201及びフェースプレート
206の周辺部での画質の劣化が検知されなくなった。
【0200】なお、フィン211のサイズにおいては、
本実施例に限定されるものではなく、基板201及びフ
ェースプレート206の発熱量、サイズ及び重量などを
鑑みて決定される。
【0201】また、ファン214の流量は、放熱量と圧
力損失を決定する冷却部構造に応じて適時設定されるた
め、本実施例に限定されるものではなく、さらに、ファ
ン214の種類についても、軸流ファンに限らず、遠心
ファン、横流ファンでもよい。また、ファン214の配
置については、少なくとも基板201の背面上の放熱板
210とフィン211の熱を送風により放熱することが
可能であれば、本実施例に限定されるものではない。
【0202】上述したように、放熱手段の表面積を増す
ためには、フィン211の高さを基板201の中央部か
ら外周部ヘ向かって離散的(不連続)に変化させること
が望ましいが、中央部から外周部ヘ向かって高さを連続
的に増加させた一体型のフィンとしても、ほぼ同様の効
果がある。
【0203】さらに、本実施例においては、フィン21
1の数と高さを変化させたが、その他にフィン211の
幅、長さ、そしてそれらの組み合わせ等を吸気孔208
側から排気孔213側に向かって増加させても、放熱手
段の表面積を増加させることが可能であり、それによっ
ても同様の効果が得られる。
【0204】また、本実施例においては、フィン211
の数と高さ、凹凸構造数、貫通孔数及び貫通孔直径を全
て組み合わせて変化させたが、これらを単独で変化させ
てもよく、また、任意の組み合わせによって、放熱手段
の表面積を吸気孔208から導入される冷却空気の下流
方向に増加させることも可能であり、それによっても同
様の効果が得られる。また、冷却方法においては、基板
201、フェースプレート206及び駆動回路基板の発
熱量が比較的小さな場合には、ファン214を設けなく
ても、温度差により生じる密度差を利用した自然対流に
よる自然冷却も可能である。この場合の自然対流の流れ
方向は、時間平均的に吸気孔208側から排気孔213
側となり、フィン211の高さ、数、凹凸構造数、貫通
孔数及び貫通孔直径を図13に示したものと同様に、吸
気孔208側から排気孔213側に向かって増加させる
ことにより、放熱手段の表面積Aが吸気孔208から導
入される冷却空気の流れ方向下流に向かって増加するこ
とになり、均一放熱が可能となる。
【0205】
【発明の効果】上述したように本発明においては、基板
及びフェースプレートにおいて発生した熱を放熱させる
ための放熱手段を、表面積をAとし、前記吸気孔から前
記排気孔への方向における位置をxとした場合に、位置
xにおける表面積Aが、式dA(x)/dx>0を満た
すような構成として設けたため、吸気孔から導入される
冷却用の空気が基板及びフェースプレートにおいて発生
する熱によって温められた排気孔側の放熱手段の表面積
が、吸気孔から導入される冷却用の空気が温められてい
ない吸気孔側の放熱手段の表面積よりも大きくなり、冷
却空気の温度上昇に伴う筺体内における温度むらが減少
する。
【0206】それにより、筺体内部の温度を均一化する
ことができ、薄型であっても、熱歪みによる画質劣化の
ない画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の第1の実施の形態を示
す斜視図である。
【図2】平面型表面伝導型電子放出素子の一構成例を示
す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図であ
る。
【図3】垂直型表面伝導型電子放出素子の一構成例を示
す模式図である。
【図4】図2に示した表面伝導型電子放出素子の製造方
法を示す図である。
【図5】通電フォーミングの電圧波形の例を示す図であ
り、(a)はパルス波高値を定電圧としたパルスを連続
的に印加した際の電圧波形を示す図、(b)はパルス波
高値を増加させながら電圧パルスを印加した際の電圧波
形を示す図である。
【図6】電子放出素子が複数個マトリクス状に配置され
て得られる電子源基板について説明するための図であ
る。
【図7】本発明の画像形成装置の表示パネルの一構成例
を示す図である。
【図8】図7に示した画像形成装置の表示パネルに使用
される蛍光膜の一例を示す模式図であり、(a)はスト
ライプ状のものを示す図、(b)は円形状のものを示す
図である。
【図9】NTSC方式のテレビ信号に応じてテレビジョ
ン表示を行うための駆動回路の一構成例を示す図であ
る。
【図10】はしご配置型電子源基板の一構成例を示す図
である。
【図11】図10に示したはしご配置型電子源を備えた
画像形成装置の表示パネルの一構成例を示す模式図であ
る。
【図12】本発明の画像形成装置の第2の実施の形態を
示す斜視図である。
【図13】本発明の画像形成装置の第3の実施の形態を
示す斜視図である。
【図14】従来の表面伝導型電子放出素子の一例を示す
模式図である。
【図15】従来の画像形成装置の一構成例を示す断面図
である。
【符号の説明】
1,101,201,501 基板 6,106,206 フェースプレート 7,107,207,1002 支持枠 8,108,208 吸気孔 9,109,209 筺体 10,110,210 放熱板 11,111,211 フィン 13,113,213 排気孔 14,114,214 ファン 502,503 素子電極 504 導電性薄膜 505 電子放出部 600 段差形成部 901,1301,1404 電子源基板 902 X方向配線 903 Y方向配線 904 表面伝導型電子放出素子 905 結線 1001 リアプレート 1003 ガラス基板 1004 蛍光膜 1005 メタルバック 1006 フェースプレート 1007 高圧端子 1008 外囲器 1101 黒色部材 1102 蛍光体 1202 走査回路 1203 制御回路 1204 シフトレジスタ 1205 ラインメモリ 1206 同期信号分離回路 1207 変調信号発生器 1302 電子放出素子 1303 共通配線 1400 グリッド電極 1401 開口 1402,1403,1404,1405 容器外端
子 Vx,Va 直流電圧源

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子が搭載された基板と、該基
    板と対向して配置され、前記基板上の電子放出素子から
    放射された電子線の照射により画像が形成されるフェー
    スプレートと、前記基板の前記フェースプレートとは反
    対側に設けられ、前記基板及び前記フェースプレートに
    おいて発生した熱を放熱するための放熱手段と、前記基
    板、前記フェースプレート及び前記放熱手段を収容する
    筺体と、該筺体に設けられ、外部の空気を前記筺体の内
    部に導入するための吸気孔と、前記筺体に設けられ、前
    記筺体の内部の空気を外部に排気するための排気孔とを
    有してなる画像形成装置において、前記放熱手段は、表
    面積をAとし、前記吸気孔から前記排気孔への方向にお
    ける位置をxとした場合に、位置xにおける表面積A
    が、式dA(x)/dx>0を満たすことを特徴とする
    画像形成装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の画像表示装置におい
    て、前記放熱手段は、フィン構造を具備することを特徴
    とする画像形成装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の画像形成装置におい
    て、前記吸気孔近傍に設けられ、外部の空気を前記筺体
    の内部に導入するためのファンを具備することを特徴と
    する画像形成装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の画像形
    成装置において、前記フィン構造は、前記吸気孔側から
    前記排気孔側に向かって数が増加して設けられているこ
    とを特徴とする画像形成装置。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の
    画像形成装置において、前記フィン構造は、前記吸気孔
    側から前記排気孔側に向かって高さが増加して設けられ
    ていることを特徴とする画像形成装置。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の
    画像形成装置において、前記フィン構造は、前記吸気孔
    側から前記排気孔側に向かって幅が増加して設けられて
    いることを特徴とする画像形成装置。
  7. 【請求項7】 請求項2乃至6のいずれか1項に記載の
    画像形成装置において、前記フィン構造は、前記吸気孔
    側から前記排気孔側に向かって長さが増加して設けられ
    ていることを特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
    画像形成装置において、前記電子放出素子は、表面伝導
    型電子放出素子であることを特徴とする画像形成装置。
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