JP3331842B2 - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶表示装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置のセルの厚さを制御する方
法には、基板の全面にわたってスペーサを散布する方
法、およびシール剤中にスペーサを混入する方法が開
示されている。そして近年では、直視型液晶表示デバイ
ス(以下、液晶表示デバイスをLCDという、LCDは
Liquid Crystal Device の略)やプロジェクタ用LCD
の高精細化、すなわち表示素子の微細化が進んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように、基板上の全面にわたってスペーサを散布する
方法では、微細な画素上にスペーサが存在すると表示欠
陥の原因になる。
【0004】またシール剤中にスペーサを混入する方
法では、図に示すように、基板111に形成された表
示画素101の周囲におけるこの基板111上にシール
剤121を塗布する。そして図に示すように、シール
剤121中のスペーサ131によって、基板111,1
21間の間隔、すなわちセルの厚さTが決定される。そ
のため、小型LCDでは問題とはならない基板の反り
が、パネルサイズが大きくなればなるほど基板の反りに
よって、セル中央部付近におけるセルの厚さTの制御が
困難になる。すなわち図に示すように、シール剤12
1を塗布した付近のセル厚T1 はスペーサ(図示省略)
の径とほぼ同等になるが、スペーサが混入されているシ
ール剤121から離れているセル中央付近のセル厚T2
は、基板111,112の反りによって、スペーサの径
よりも大きくなるかあるいは小さくなる。なお、基板1
11,112は片面のみに複数層の薄膜が形成されるた
めに反り易くなる。
【0005】本発明は従来では制御が困難であったセ
ル中央付近のセル厚の制御を可能にし、また基板上の全
面にわたってスペーサを散布する方法が使用できないよ
うな高精細LCDのセル厚の制御を可能にすることを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされた液晶表示装置の製造方法である。
【0007】本発明の液晶表示装置の製造方法は、第1
のガラス基板と、この第1のガラス基板より熱膨張率が
小さく撓み易い第2のガラス基板とを用い、加熱によっ
て第1のガラス基板と第2のガラス基板とを接着するた
めの接着剤を硬化させる際に、第1のガラス基板側に第
2のガラス基板を相対的に引き寄せることで、セルの厚
さの均一化を図る。
【0008】上記液晶表示装置の製造方法では、第1の
ガラス基板と、この第1のガラス基板より熱膨張率が小
さく撓み易い第2のガラス基板とを用いているため、加
熱によって、熱膨張率が大きい第1のガラス基板は接着
剤を介して熱膨張率が小さい第2のガラス基板を外側に
引っ張るようになる。そのため、第2のガラス基板は伸
ばされる状態になり、その撓み量の減少量は第1のガラ
ス基板の新たなる撓みの増加量よりも多くなる。そのた
め、第2のガラス基板は相対的に第1のガラス基板側に
引き寄せられたことになるので、セルの厚さは小さくな
る。
【0009】
【発明の実施の形態】発明に係わる実施形態の一例
を、図1の製造工程図によって説明する。
【0010】図の(1)に示すように、接着剤22を
塗布した第1のガラス基板31および第2のガラス基板
32同志を貼り合わせる。上記第2のガラス基板32
と、上記第1のガラス基板31より熱膨張率が小さく撓
み易い性質を有している。また上記接着剤22には、例
えば熱硬化樹脂を含むものを用いる。
【0011】そして図の(2)に示すように、第1,
第2のガラス基板31,32を加熱することによって、
上記接着剤22を硬化させる。その際、第2のガラス基
板32は、第1のガラス基板31より熱膨張率が小さく
撓み易い性質を有しているので、第1のガラス基板31
は第2のガラス基板32よりも膨張(矢印ア,ア’方向
に膨張)して加熱前の状態(2点鎖線で示す状態)より
も伸びる。一方、第2のガラス基板32は加熱前の状態
(1点鎖線で示す状態)よりも相対的に第1のガラス基
板31側(矢印イ方向側)に引き寄せられる。
【0012】次に一例として、液晶表示装置の製造方法
において、シール剤の硬化工程で、空セル状態における
セルの厚さTの制御を行う場合を、以下に説明する。こ
こでは、薄膜トランジスタ(以下TFTという、TFT
はThin Film Toransistor の略)基板41に上記第1の
ガラス基板(31)を用い、カラーフィルタ基板42に
上記第2のガラス基板(32)を用いた。
【0013】まず図に示すように、TFT基板41は
板ガラス43の片面にトランジスタ等の素子を形成する
ための複数層の膜44が形成されているため、一般的に
膜44の形成面側に反っている。同様にカラーフィルタ
基板42も板ガラス45の片面にカラーフィルタを形成
するための複数層の膜46が形成されているため、一般
的に膜46の形成面側に反っている。したがって、TF
T基板41とカラーフィルタ基板42とをシール剤21
を用いて貼り合わせた時に、セルの厚さTの制御が十分
にできない場合には、TFT基板41とカラーフィルタ
基板42との間隔で決まるセルの厚さTにむらが生じ
る。このようにむらが生じるような場合には、ガラスの
熱膨張率の違いを利用することによって、セルの厚さT
の制御が可能になる。すなわち、熱膨張率の異なるガラ
ス基板を、TFT基板41とカラーフィルタ基板42と
に使用する。
【0014】例えば、TFT基板41にAなる熱膨張率
を有するガラス基板を用い、カラーフィルタ基板42に
Bなる熱膨張率を有するガラス基板を用いる。ここで、
上記熱膨張率はA>Bなる関係を有する。また、TFT
基板41に用いるガラス基板よりもカラーフィルタ基板
42に用いるガラス基板のほうが撓み易い性質を有して
いる。上記のような性質を有するガラス基板として、例
えばTFT基板41には石英ガラス基板を用い、カラー
フィルタ基板42には結晶化ガラス基板を用いる。結晶
化ガラスの一例としては、例えばネオセラムと呼ばれる
ものがある。このネオセラムは、加熱すると収縮すると
いう特徴的な性質を有するガラスである。なお、本発明
は、ネオセラムに限定されるものではなく、上記性質を
有するガラスもしくは結晶化ガラスであればよい。
【0015】まず図の(1)に示すように、スペーサ
(図示省略)を混入したシール剤21を塗布してTFT
基板41とカラーフィルタ基板42とを貼り合わせた
後、シール剤21を硬化させるためにTFT基板41と
カラーフィルタ基板42とを加熱する。この加熱では温
度上昇を急激に行うことにより、焼成後のパネル中央部
のセルの厚さは焼成前よりも狭くなる。このように上記
シール剤21は接着剤として作用するものである。
【0016】その結果を図の(2)に示す。この図に
示すように、セルの厚さは制御される。すなわち、加熱
によって、カラーフィルタ基板42は、TFT基板41
より熱膨張率が小さく撓み易い性質を有しているので、
TFT基板41はカラーフィルタ基板42よりも膨張
(矢印ウ,ウ’方向に膨張)して加熱前の状態(2点鎖
線で示す状態)よりも伸びる。一方、カラーフィルタ基
板42は加熱前の状態(1点鎖線で示す状態)よりも相
対的にTFT基板41側(矢印エ方向側)に引き寄せら
れる。そのため、セル中央部の厚さは、加熱前よりも小
さくなり、セルの厚さTが全面にわたって均一になる方
向に改善される。
【0017】ここで上記加熱プロセスを、図によって
簡単に説明する。なお図の縦軸は加熱温度を示し、そ
の横軸は加熱時間を示す。
【0018】図の破線で示すように、温度上昇を緩や
かに行うと焼成前後でのパネル中央部のセルの厚さに大
きな差は生じない。しかし図の実線で示すように、温
度上昇を急激に行うと焼成後のパネル中央部のセルの厚
さは焼成前よりも狭くなることがわかった。そのため、
TFT基板41およびカラーフィルタ基板42に対して
熱損傷を起こさない範囲で急速加熱することが好まし
い。
【0019】
【発明の効果】以上、説明したように発明によれば、
第1のガラス基板と、この第1のガラス基板より熱膨張
率が小さく撓み易い第2のガラス基板とを用いているの
で、加熱による熱膨張率の差によって、第2のガラス基
板を第1のガラス基板側に相対的に引き寄せることがで
きる。そのため、セルの厚さ分布を均一な状態に近づけ
ることが可能になる。よって、セルを形成した後であっ
ても、セル厚の制御が可能になるので、歩留りの向上が
図れる。また表示部領域にスペーサを散布せず、セル厚
を均一にすることが可能になるので、高精細LCDにお
けるスペーサによる画質品位の低下が起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施形態に係わる製造工程図であ
る。
【図2】TFT基板とカラーフィルタ基板の説明図であ
る。
【図3】セルの厚さの制御方法の説明図である。
【図4】加熱プロセスの説明図である。
【図5】シール剤の塗布の説明図である。
【図6】スペーサの作用の説明図である。
【図7】課題の説明図である。
【符号の説明】第1のガラス基板第2のガラス基板 2 接着
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 G02F 1/1333 G02F 1/1339

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶表示装置の製造方法において、 第1のガラス基板と、 前記第1のガラス基板より熱膨張率が小さく撓み易い第
    2のガラス基板とを用い、 加熱によって前記第1のガラス基板と前記第2のガラス
    基板とを間隔を置いて接着するための接着剤を硬化させ
    る際に、該第1のガラス基板側に該第2のガラス基板を
    相対的に引き寄せることを特徴とする液晶表示装置の製
    造方法。
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