JP3330949B2 - マルチプルグレードフラッシュ吸着分離プロセス - Google Patents

マルチプルグレードフラッシュ吸着分離プロセス

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は、多成分系流体混合物から1種以上の成分を
分離する方法に関する。より詳細に述べると、移動床の
ような吸着装置又はシミュレートされた移動床吸着装
置、或いはそのような装置を含む系によって、そのよう
な流体混合物から有機化合物を分離する方法に関する。
関連技術の説明 多成分系流体混合物の成分を分離するために現在様々
な方法が利用できる。各成分の密度が十分に異なる場
合、経時的な重力効果がそのような成分を分離するのに
適切であるかもしれない。含まれる成分の量にもよる
が、遠心分離を異なる密度を有する成分をより速く分離
するのに使用できる。或いは、異なる沸点を有する成分
を分離するのに蒸留を使用できる。しかしながら、同様
な沸点を有する成分を含む流体混合物も存在し、そのよ
うな場合、蒸留による分離は困難でありこのような成分
を分離するには非効率的な方法である。所望の成分と一
緒に蒸発する汚染物、例えば、望ましくない成分の量も
多すぎるかもしれないし(或いは、望ましくない成分を
所望の成分から蒸発させることができないかもしれない
し)、或いは所望の分離の程度或いは純度を達成するの
に必要な蒸留プロセスを通しての再循環のために高いエ
ネルギー消費を必要とするかもしれない。従って、これ
らのプロセスの欠点から見て、吸着が、多成分系流体混
合物から成分を分離して比較的純粋な生成物を得るため
の方法として好ましいことが多かった。
吸着装置又は吸着系は、流体混合物を例えば吸着剤固
体のような吸着剤物質と接触させて分離を行うことによ
り作動する。流体と吸着剤物質との接触時に、物理的引
力が生じ、吸着剤物質と流体の選択された成分(1種又
は複数種)との間に結合が形成する。典型的には、吸着
剤物質はビーズ状の固体であり、そのような固体は球体
であることが多く、それによって取扱いや吸着分離プロ
セス(以下「吸着プロセス」という)において使用する
ための、シーブチャンバー(sieve chamber)のような
容器への充填が容易になる。
吸着プロセスの効率は、流体混合物との接触に利用で
きる吸着剤固体の表面積の大きさに部分的に依存する。
利用できる表面積は固体の表面の外側表面だけよりは大
きいかもしれない。適する固体は内部空間も有すること
ができる。そのような内部空間は固体の表面中に細孔
(pore)、チャンネル、又は孔(hole)を含むことがで
き、まさにスポンジのように固体全体にわたって走るこ
とができる。従って、流体は外側の表面と接触するだけ
でなく、固体内部に侵入する。シーブチャンバーは、流
体と固体を限られた空間内に集中させることによって、
吸着プロセス中の流体と固体の接触面積を増加させる。
そのような構造はしばしばモレキュラーシーブと呼ば
れ、モレキュラーシーブによって吸着される成分の体積
量はモレキュラーシーブ容量(molecular sieve capaci
ty)と呼ばれる。
吸着プロセスにおいては、吸着剤物質が混合物中の1
種以上の成分に対してその他の成分よりも強い物理的引
力を有するので、流体成分の分離を行うことができる。
混合物の全ての成分が様々な程度で吸着剤物質に引き付
けられるが、プロセスにおいて設計された優先性が存在
し、そのため、所望の成分が主に引き付けられ、その他
の成分よりも優先的に吸着剤物質上に残ることができ
る。従って、混合物の比較的望ましくない成分が初めに
吸着剤物質の一部と接触したとしても、混合物の所望の
成分に対する吸着剤物質のより強い引力のために、比較
的望ましくない成分は所望のより強く引かれる成分によ
って吸着剤物質から置換される。従って、シーブチャン
バーに入る流体混合物は複数の成分から成ったとして
も、その容器を初めに出る流体混合物は吸着剤物質に優
先的に吸着されなかった成分から主に成るだろう。
吸着剤固体を使用する吸着プロセスにおいては、分離
は特定の期間起こるが、固体上又は固体内の利用可能な
表面部位の全てが最終的には所望の成分によって占めら
れるか又は望ましくない成分の濃縮によってブロックさ
れる。その時点では、混合物からの成分の有意の追加の
吸着はほとんど起こらず、シーブチャンバーから抜き出
される流体混合物はさらにそれらの固体にさらすことに
よってはほとんど変化しないかもしれない。従って、こ
のプロセスの吸着段階は終了し、分離を行い固体の再使
用を可能にするために、固体によって吸着された成分は
固体から除去されなければならない。
適する吸着装置又は系は、吸着剤固体による所望の成
分を含む生成物の吸着を初めに可能にし、その後固体を
処理して生成物を遊離させ、この生成物の回収を可能に
する。そのような吸着装置又は系は「移動床(moving b
ed)」を含むことができ、これはチャンバーを通しての
固体のトレー又は床の移動を可能にし、そのため異なる
場所において固体は吸着プロセスの異なる工程、例え
ば、吸着、精製、及び脱着にさらされる。これらの工程
は以下でより詳細に説明する。しかしながら、吸着装置
を通しての固体の移動は難しいこともあり、トレー又は
床を移動させるための複雑な装置が必要とされるかもし
れない。それはまた消耗による固体の損失をもたらすか
もしれない。これらの問題を解決するために、各々の位
置、例えば、吸着プロセスの異なる工程の領域へのトレ
ー又は床の移動を「シミュレート」するための幾つかの
吸着装置又は系が設計された。トレー又は床の移動のシ
ミュレーションは、異なる時刻に異なる領域でチャンバ
ーに流体の流れを向けること及び向け直すことができる
導管の系を使用することによって行うことができる。こ
れらの流れの変化が起こると、固体がチャンバーを通し
て移動するかのように、固体を吸着プロセスの異なる工
程で使用することができる。
吸着装置又は系内の異なる領域は、各々の領域内で行
われる吸着プロセスの特定の工程、例えば、(1)吸着
領域中の吸着工程、(2)浄化領域中の浄化工程、
(3)脱着領域中の脱着工程によって定義される。吸着
プロセスのこれらの領域のより詳細な説明は以下の通り
である。
吸着領域 多成分系流体供給物流れが吸着装置又は系に供給され
るとき、供給物流れが供給される装置又は系の部分を
「吸着領域(adsorption zone)」と呼ぶ。吸着領域に
おいて、流体は吸着剤物質と接触し、所望の成分が吸着
剤物質によって吸着される。上述したように、その他の
成分も吸着されるかもしれないが、好ましいことにその
程度は比較的少ない。この優先的な吸着は、所望の成分
を多成分系の供給物流れから優先的に吸着する吸着剤物
質、例えば、吸着剤固体の選択によって達成できる。所
望の成分のみが固体に吸着されたとしても、流体混合物
のその他のより好ましくない成分が固体間の空隙及びお
そらく固体内部の細孔、チャンネル、又は孔中に依然と
して残っている可能性がある。所望の成分を固体から回
収する前にこれらの望ましくない成分を固体から除去し
て、これらの成分が生成物と一緒に回収されないように
するのが好ましい。
浄化領域 吸着後、次の工程はチャンバー中の流体と吸着剤物質
の浄化である。この工程においては、トレー又は床を移
動させるか又は導管内の流れを変化させて、多成分系供
給物流れがもはや吸着剤領域に供給されないようにする
ことができる。トレー或いは床は移動していないが、吸
着剤物質はここで「浄化領域(purification zone)」
中にあるということができる。なぜならば、流体流れ、
例えば、浄化流れが吸着剤物質に供給され、望ましくな
い成分を吸着剤物質から、例えば、固体内部及び固体間
の隙間領域から、流出させるからである。従って、望ま
しくない成分を含む流れ、即ち、ラフィネート(raffin
ate)は、望ましくない成分を、所望の成分又はより許
容可能であると見なされるその他の成分を含む流れで置
換することによって、浄化領域から流し出される。望ま
しくない成分はラフィネート流れ中に引き出すことがで
きる。吸着プロセスの目的は所望の成分を含む生成物
を、所望の成分とほぼ同じ沸点又は密度を有するその他
の成分から分離することなので、浄化は望ましくない成
分を押しのけ、例えば、蒸留のようなその他の手段でよ
り簡単に分離できる別の流体で置換することができる。
脱着領域 固体を浄化流れにさらした後、導管内の流れを再び変
化させて脱着剤流れをチャンバーに導入し生成物を遊離
させる。脱着剤流れは、所望の成分を含む生成物よりも
固体によって優先的に吸着される脱着剤を含む。選択さ
れる脱着剤は、所望の成分、吸着剤物質、及び脱着剤と
生成物との分離の容易さに部分的に依存する。脱着剤流
れをチャンバーに導入すると、生成物をチャンバーから
引き出すことができる。
同時の運転が行われる場合、各々そして全ての工程及
び領域が吸着装置又は系のどこかに存在する。しかしな
がら、これらの工程は連続的に又は時間をずらして行う
ことができる。さらに、幾つかの吸着プロセスにおいて
は、望ましくない成分を吸着させ、そして望ましい成分
を含む生成物を吸着装置又は系に通過させることができ
る。従って、ラフィネートと抽出物(extract)という
用語は相対的なものであり、分離される成分の特定の性
質、固体の優先性、及び装置又は系の性質に依存する。
本発明は生成物が吸着剤固体によって吸着される装置及
び系に関して主に説明されるが、本発明はそのような配
列に限定されるものではない。
上述したように、本発明の吸着プロセスを実施するの
に適する装置はシミュレートされた移動床吸着装置であ
る。典型的には、そのような吸着装置は垂直のチャンバ
ー中に収容することができる。そのようなチャンバーに
は吸着剤固体を充填でき、おそらく、チャンバー内に積
み重ねられたトレー又は床中に充填できる。1種以上の
吸着剤固体も使用できる。チャンバーは上述の工程の各
々をチャンバー内の異なる場所、例えば、領域で同時に
行う能力を有することもできる。従って、これらの領域
を完全に分離する構造は存在しないかもしれないが、チ
ャンバー内の流体の組成は領域間で異なることができ
る。これは、バルブ及びポンプのような関連手段を含む
流体伝達導管(fluid communication conduits)の連続
的及び循環的に相互に連絡されたマトリックスを使用す
ることによって達成できる。これは、流れをチャンバー
内の異なる領域に向けたり向け直したりすること、及び
チャンバー内の異なる領域の吸着剤固体を通るこれらの
液体の向きの変更を可能にする。プロセスが実施される
とき、チャンバー内の異なる領域は常に移動する境界を
有することができる。
吸着剤固体を通しての流れの循環的な前進は、流体を
吸着剤固体に対して向流方式で流すマニホールド配列を
使用することによって達成できる。マニホールド内のバ
ルブを連続的に操作して、複数の流れを、固体吸着剤の
隅から隅までの全体としての流体の流れと同じ方向にシ
フトさせることができる。固体吸着剤において向流を生
じさせるもう1つの方法は回転円盤バルブ(rotating d
isc valve)であり、それによって、複数の流れ、例え
ば、供給物、抽出物、脱着剤、及びラフィネート、並び
にラインフラッシュ(line flush)が吸着剤固体を通し
て同じ方向に循環的に流される。適するマニホールド配
列及び回転円盤バルブは本技術分野で公知である。例え
ば、米国特許第3706812号、第3040777号、及び第342284
8号を参照のこと。
多くの例において、1つの領域がその他の領域よりも
多量の吸着剤物質を含むことができる。さらに、上述の
領域以外の領域も存在できる。例えば、ある設計におい
ては、吸着領域と脱着領域との間にバッファー領域が存
在してもよく、バッファー領域はそれをとりまく領域と
比較して少量の吸着剤物質を含むことができる。さら
に、吸着剤物質から抽出物を容易に脱着できる脱着剤が
使用される場合、脱着領域中において存在しなければな
らない吸着剤物質の量はその他の領域と比較して少量で
ある。さらに、脱着剤は単一のチャンバー中に配置され
ている必要はなく、多数のチャンバー又は連続するチャ
ンバー中に配置されてもよい。
シミュレートされた移動床装置又は系においては、流
体を導入する手段及び引き出す手段は複数の流体伝達導
管を含むことができる。しかしながら、同じ流体伝達導
管を最初は供給物流れを装置又は系に導入するのに使用
して、後で抽出物流れを引き出すのに使用できる。これ
は引き出された生成物の汚染によって純度の低下した生
成物をもたらす可能性があった。流体伝達導管は、流れ
の以前の添加又は引き出しから導管中に残っている残渣
のような望ましくない成分を含んでいる可能性がある。
この問題は、各々の流れに対して別々の導管を使用する
か、又は流体伝達導管中に残っている望ましくない成分
ほど生成物の純度に対して悪影響を与えない媒体で洗い
流すことによってそのような残渣を導管から除去するこ
とによって解決できる。しかしながら、フラッシング
(洗い流し)媒体(flushing medium)が望ましくない
成分にもなり得るので、好ましいフラッシング媒体は生
成物又は脱着剤であった。これらはチャンバーの下流に
おいて残渣よりもより容易に分離できた。米国特許第40
31156号を参照のこと。しかしながら、生成物による導
管の洗い流しは吸着プロセスの生産量を減少させる。
本発明の1つの実施態様の方法は、米国特許第320149
1号、第3761533号、及び第4029717号に記載された、シ
ミュレートされた向流プロセスを使用する。移動床が多
成分系供給物流れと向流的に接触する吸着剤物質を含む
移動床吸着装置が吸着プロセスにおいて使用されると
き、高度の生成物純度が達成できる。吸着剤物質が静止
したままであるとき、そのようなプロセスはシミュレー
トされた向流系と呼ばれる。本質的に、この系内の「向
流」は、真の向流が生じたかのように、チャンバー内の
吸着剤物質を異なる領域で流体流れと接触させることに
よって生じる。
シミュレートされた向流系においては、チャンバーは
幾つかの領域に分割され、特に、以下の3つの領域を含
む:吸着領域、(精流)浄化領域、及び脱着領域。各々
の領域は連続的に連結された複数の区画(sections)に
さらに分割されてもよく、各々の区画に吸着剤物質を充
填することができる。これらの領域はこの順で連続的に
結合されており、流体流れはこれらの領域を通して連続
的に循環する。流れは、精流領域における出口からの流
出液流れを吸着領域における入り口に再循環させること
によって維持される。流体流れを導入する点及び引き出
す点の全ては下流の方向に予め決められたインターバル
で同時に移動し、このようにしてシミュレートされた向
流が生成される。
流体流れは、3つの連続した循環的に連結された領域
を通して流され、そして供給物流れの少なくとも1種の
成分、例えば、所望の成分が吸着剤物質との接触によっ
て吸着される。その後、脱着剤流れが脱着領域の第1の
区画に導入される。供給物流れは吸着領域の第1の区画
に導入され、同時に、より少ない吸着された成分と過剰
の脱着剤、例えば、供給物流れの望ましくない成分を含
むラフィネート流れが吸着領域から引き出される。その
後、流体流れの導入点と引き出し点を移動させることが
できる。
しかしながら、流体流れは脱着領域と精流領域との間
の点で中断される。脱着流れの最初の部分は脱着領域の
最後の区画から流れるが、それはチャンバーから引き出
される。この最初の部分は脱着剤をほとんどか又は全く
含まないが、所望の成分を含有する生成物を含む。同じ
点でチャンバーから引き出される第2の部分は多量の所
望の成分を含むが、最初の部分と比較して脱着剤中の濃
度は低い。この第2の部分は蒸留塔に導入してそこから
所望の成分を生成物として回収することができ、留出物
はチャンバーに戻すことができる。
発明の要約 吸着分離プロセスにおいてマルチプルグレードフラッ
シュ(multiple grade flush)を使用することによっ
て、導管中の望ましくない成分の存在によって生じる問
題を防ぐことができる。さらに、本発明の方法は、吸着
プロセスの能力と効率を改善することができる。
本発明の方法は、吸着装置に送られる少なくとも1種
の所望の成分を含む多成分系供給物流れから生成物を分
離する。従って、本発明によれば、吸着装置又は吸着剤
物質を含む系に送られる多成分系供給物流れから所望の
成分を含む生成物を分離する方法であって、 (1)吸着装置又は系に流体伝達導管を通して供給物流
れを導入する工程; (2)初期濃度で所望の成分を含む十分な量の初期フラ
ッシング媒体で導管を洗い流し、初期フラッシング媒体
で導管から装置又は系へ供給物流れ残渣を洗い流す工
程; (3)最終濃度で所望の成分を含む十分な量の最終フラ
ッシング媒体で導管を洗い流し(ここで、最終濃度は初
期濃度より高く)、最終フラッシング媒体で導管から装
置又は系へ初期フラッシング媒体残渣を洗い流す工程;
及び (4.1)装置から生成物を引き出す工程、又は (4.2)系からラフィネート流れを引き出す工程; 脱着剤流れを系に導入する工程; 系から生成物と脱着剤から成る組み合わせを引
き出す工程;及び 組み合わせから生成物を取り出す工程 を含む方法が提供される。
生成物は1種以上の所望の成分を含有できること、1
つ以上の導管が存在してよいこと、あるいは1つ以上の
初期流体媒体が存在してよいことは理解されるだろう。
所望の成分は有機化合物でよく、例えば、メタキシレ
ン、オルトキシレン、又はパラキシレンのようなC8芳香
族異性体でよい。
装置又系は移動床吸着装置又はシミュレートされた移
動床吸着装置を含むことができる。さらに、初期媒体の
量は、導管から供給物流れ残渣の実質的に全てを洗い流
すのに十分な量以上であるのが好ましい。さらに、装置
又は系は、例えば、チャコール、イオン交換樹脂、又は
シリカゲルのような吸着剤固体のような吸着剤物質を含
むシーブチャンバーを含むことができ、初期媒体の量は
シーブチャンバー容量(sieve chamber capacity)まで
装置又は系を満たすのに十分でよい。
上述のプロセスのいかなる実施態様においても、初期
媒体は装置又は系から誘導することができる。より詳細
に述べると、初期媒体は装置又は系の複数の領域のうち
の1つから誘導することができる。しかしながら、初期
媒体は典型的には装置又は系から離れた源から誘導され
る。好ましい実施態様においては、導管は2回洗い流す
ことができ、2回目のフラッシング媒体が最終媒体であ
る。最終媒体は生成物を含んでなるのが好ましい。
別の実施態様においては、初期媒体の濃度は、その濃
度が最終濃度に等しくなるまで導管のフラッシング中に
連続的に増加する。これは、初期媒体に添加する生成物
の量を徐々に増加させ、それに比例して初期媒体の源か
らの流れの量を減少させることによって達成できる。
本発明は吸着装置又は系の効率を改善することができ
る。供給物流れ中の所望の成分の濃度よりも高い濃度で
生成物の所望の成分を含むフラッシング媒体で導管から
装置又は系へ汚染物を洗い流すことによって、供給物流
れ残渣のような汚染物が流体伝達導管から除去できるの
は本発明の方法の特徴の1つである。シミュレートされ
た移動床吸着装置の場合のように、供給物流れを運んだ
のと同じ導管を通して生成物を引き出す場合に、抽出物
が供給物流れ残渣で汚染されないのは本発明の利点であ
る。
さらに、本発明は吸着装置又は系の能力を改善するこ
とができる。フラッシング媒体で吸着剤固体を浄化する
こと及び所望の成分を含む媒体で導管を洗い流すことに
よって装置又は系の余分の容量をより完全に利用できる
ことは本発明の利点である。供給物流れ中の所望の成分
の濃度よりも高い濃度の所望の成分を含む媒体で流体伝
達導管を洗い流すことができるのは本発明の方法の特徴
の1つであり、媒体は装置以外の源から誘導することが
できる。
本発明はまた吸着装置又は系から得られる生成物の純
度を改善することができる。汚染物が導管及び吸着剤固
体中の細孔、チャンネル、及び孔から除去され、導管が
生成物で充填されるのは本発明の特徴の1つである。生
成物を装置又は系を通して再循環させることができ、生
成物中に残留している供給物流れのその他の望ましくな
い成分をさらに分離するために余分の装置又は系の容量
を利用できることは本発明の利点の1つである。
発明の詳細な説明及び図面を見れば、その他の利点及
び特徴が明らかになるだろう。
図面の簡単な説明 第1図は、シミュレートされた移動床吸着プロセス中
の相対流れ及び吸着剤固体と流体の組成を示す流れ図と
組成図を組み合わせたものである。
第2図は、吸着プロセス用の回転バルブを含む簡略化
されたシミュレートされた移動床装置を表している。
第3A図及び第3B図は本発明の好ましい実施態様の工程
を表す流れ図である。
第4A図及び第4B図は、回転バルブをサブ領域(sub−z
ones)を有する実施態様において使用したときの流体伝
達導管の相対配置を表す。
本発明の好ましい実施態様の説明 第1図を参照すると、流体流れの主要な成分が、所望
の生成物A、汚染物B、及び脱着剤Cとして表されてい
る。汚染物Bは多成分系流体混合物でもよい。脱着剤C
はチャンバー100に流体伝達導管101を通して入る。所望
の生成物Aと汚染物Bから成る供給物流れはチャンバー
100に流体伝達導管105を通して入る。所望の生成物Aと
脱着剤Cから成る抽出物はチャンバー100から流体伝達
導管103を通して引き出される。脱着剤Cからの所望の
生成物Aの分離は今述べている操作のさらに下流で行う
ことができる。汚染物Bと脱着剤Cから成るラフィネー
トはチャンバー100から流体伝達導管107を通して引き出
される。流体伝達導管109は、流体をチャンバー100の底
から頂上に移動させる輸送流体伝達導管である。固体再
循環流れ111はチャンバー100の頂上から底に流れるよう
にシミュレートされる。流体と固体の流れのシミュレー
トされた流れは種々の流れ113によってチャンバー100内
で示され、本質的に向流である。
チャンバー100は4つの操作領域、領域I〜IV、に分
割されている。領域Iは吸着領域であり、そこでは所望
の生成物Aが固体によって流体から吸着される。領域II
は浄化領域であり、そこでは汚染物Bが固体中の細孔、
チャンネル、又は孔及び固体間の隙間から除去される。
領域IIIは脱着領域であり、そこでは所望の生成物Aが
固体から脱着される。領域IVはバッファー領域も含むこ
とができ、そこでは汚染物Bが領域IIIに入るのを防
ぐ。第1図中のグラフは、0から100%までの液体組成
を示し、さらにチャンバー100を通して移動する流体中
の上記3成分の相対パーセンテージの変化を示す流体組
成図である。チャンバー100内の流体の組成はチャンバ
ー100とグラフの間で対応する部分の参照によって表さ
れる。領域の境界は水平な直線によって表されている
が、領域の境界は実際にはプロセスの間に変化する曲線
の境界を含むこともある。
回転バルブ1を有する簡略化されたシミュレートされ
た移動床装置を示している第2図を参照すると、流体の
流れに対して向流的な固体の移動が回転バルブの使用に
よってシミュレートされている。バルブが回転するに連
れて、バルブを通る流れ(脱着剤(2)、抽出物
(3)、供給物(4)、及びラフィネート(5)として
示されている)の変化によって、上述の領域I〜IVは段
階的な順序で塔を通して移動する。本発明を実施するの
に好ましい回転バルブは米国特許第3205166号に記載さ
れている。この配列においては、チャンバーに接続され
た各流体伝達導管は回転バルブの段階的な回転ごとに異
なる機能で作用する。第2図はさらに流体伝達導管の4
つの機能の使用によるチャンバーの4つの領域への分割
を示している。従って、回転バルブの第1の位置は、示
されている接続とラインのような、別々の流体伝達導管
を通る流れの内容と向きを指示する。回転バルブの次の
位置は、図中で5「ラフィネート」と表示されたライン
が逆の流れ方向で「供給物」用に使用でき、そのため
「供給物」はバルブからチャンバーに流れる。前に4
(「供給物」ライン)として示されていたラインは次に
「抽出物」ラインとして使用できる。そのような領域の
変化は回転バルブの位置が新しくなるごとに生じる。そ
の結果は、流れのパターンの変化に従って領域I、II、
III、及びIVがチャンバー内部で移動するということで
ある。回転バルブの操作の詳細な説明については、米国
特許第3040777号、第3422848号、及び第3706812号を参
照のこと。第2図中には、わずか4つの流体伝達導管の
使用、即ち、供給物導管、抽出物導管、ラフィネート導
管、及び脱着剤導管としての使用しか記載されていな
い。上述したように、導管から残渣を洗い流すための使
用のような、その他の使用も可能である。
第3A図を参照すると、その流れ図は、本発明の方法の
実施態様の工程と、第1〜2図に開示されているものの
ようなシミュレートされた移動床吸着装置300の各領域
との関係を示している。工程310(吸着領域への供給物
流れの入力)においては、多成分系供給物流れは流体伝
達導管(示されていない)を経由して装置300の吸着領
域300Aに入力される。吸着領域300Aにおいてはパラキシ
レンのような少なくとも1種の所望の成分を含む生成物
(示されていない)が、装置300内部に収容された、結
晶性アルミノシリケート吸着剤のような吸着剤固体(示
されてしない)によって吸着される。
工程320(フラッシング媒体による導管からの供給物
流れ残渣の洗い流し)においては、供給物流れからの残
渣が第1のフラッシング媒体によって導管から洗い流さ
れる。第1のフラッシング媒体の十分量を使用して導管
から全ての供給物流れ残渣を洗い流し、装置300のシー
ブチャンバー(示されていない)をその容量まで満た
す。工程330(生成物による導管からのフラッシング媒
体残渣の洗い流し)においては、生成物を使用して第1
のフラッシング媒体の残渣を導管から装置300に洗い流
す。これら3つの工程は幾つかの機能を達成する。上述
したように、供給物流れと第1のフラッシング媒体の残
渣の全てが導管から除去され、導管は生成物で充填され
ている。第1のフラッシング媒体が所望の成分を含み、
フラッシング媒体の吸着領域300Aへの添加が固体内部の
細孔、チャンネル、又は孔、及び固体間の隙間からの望
ましくない成分の追い出し、そして第1のフラッシング
媒体の所望の成分によって少なくとも部分的置換させる
のが好ましい。このように、第1のフラッシング媒体の
シーブチャンバーへの添加は、工程330に示されている
ように、装置300から望ましくない成分を追い出す。
所望の成分を含む生成物が固体によって吸着される
と、領域300C(「浄化/ラフィネート領域」)及び工程
340(装置からのラフィネートの引き出し)を通して、
ラフィネートが装置300から引き出され、生成物を回収
できる。工程350(脱着領域への脱着剤の入力)におい
ては、パラジエチルベンゼン(PDEB)又はトルエンのよ
うな脱着剤が脱着領域300Cにおいて装置300に入力され
る。脱着剤は固体とより強く結合し、固体中の生成物を
置換する。十分な脱着剤を入れて、生成物のほとんど又
は全てが固体から遊離されるようにしなければならな
い。
工程380(脱着剤と生成物の抽出及び生成物−抽出物
からの脱着剤の蒸留)においては、生成物と全ての過剰
な脱着剤、即ち、抽出物が装置300から除去される。脱
着剤が沸点又は密度、或いはその両方の点で生成物と十
分に異なり、生成物と全ての過剰な脱着剤とをお互いに
容易に分離できるのが好ましい。さらに、脱着剤の沸点
が生成物の沸点と十分に異なり、脱着剤又は生成物を抽
出物から容易に蒸留できるのが好ましい。しかしなが
ら、別法として、過剰な脱着剤の量が回収された生成物
の量と比較して無視できる程度の場合があり、又は過剰
な脱着剤が生成物の無害な成分を構成できるかもしれな
い。しかしながら、脱着剤が抽出物から蒸留される場
合、脱着剤を工程350において使用するために再循環さ
せるのが好ましい。
同様に、抽出物から取り出された生成物は工程390
(生成物の再循環?)において再循環させることがで
き、ここで(+)はyesを意味し、(−)はnoを意味す
る。導管から第1のフラッシング媒体の残渣を洗い流す
のに使用するために生成物が再循環されない場合、生成
物は工程400(下流での使用のための生成物の輸送)に
示されているように、下流での使用のために送られる。
第3B図を参照すると、この流れ図も本発明の方法の工
程を示しているが、特定の吸着装置に関するものではな
い。第3A図と第3B図に対して共通の工程はそのように番
号付けされている。しかしながら、第3B図中のこれらの
工程の配置はそれらの間の関係を明らかにしている。第
3A図と同様に、第3B図に示されているプロセスも、工程
310に示されているように、流体伝達導管を経由しての
吸着領域への多成分系供給物流れの入力で始まる。供給
物流れの入力に続いて、導管を2回洗い流すが、最初
は、工程320に示されているように、導管から供給物流
れ残渣を除去するための第1のフラッシング媒体による
ものであり、2回目は、工程330に示されているよう
に、導管から第1のフラッシング媒体の残渣を除去する
ための生成物によるものである。
導管の洗い流しは吸着領域内に保持されている吸着剤
固体の浄化を生じさせ、そして吸着系への流体の添加
は、工程340(吸着領域の浄化及び系からの引き出し)
で示されているように、系からラフィネートを追い出
す。第1のフラッシング媒体は吸着系の外の源から誘導
され、望ましい成分を供給物流れよりも高いが生成物よ
りも低い濃度で含むのが好ましい。従って、第1のフラ
ッシング媒体は吸着剤物質中に保持されている望ましく
ない成分の多くを置換し、これらの望ましくない成分を
系から追い出すことによって生成物の純度を改善する。
最後に、導管に生成物を充填することによって、プロセ
スのサイクルの間で運ばれる望ましくない成分の量が減
少する。
洗い流しが終了しラフィネートが引き出された後、工
程350で示されているように、脱着剤を系に導入して吸
着剤物質から生成物を脱着させる。上述したように、十
分な脱着剤を導入して、できるだけ多くの生成物が吸着
剤物質から遊離されるようにしなければならない。工程
360(脱着剤と生成物の抽出)と工程370(生成物からの
脱着剤の蒸留)において示されているように、生成物と
全ての過剰な脱着剤はその後系から引き出され、蒸留に
よって分離できる。その他の分離方法も可能であるが、
蒸留が好ましい。生成物と脱着剤が分離されると、工程
375(脱着剤の再循環)に示されているように、脱着剤
を工程350に再循環させることができる。同様に、工程3
90(ここで(+)はyesを意味し、(−)はnoを意味す
る)に示されているように、生成物も再循環させること
ができるが、その場合、生成物は、工程330に示されて
いるように、導管から第1のフラッシング媒体の残渣を
洗い流すために使用できる。生成物を再循環させない場
合、生成物は工程400に示されているように下流での使
用のために輸送される。
第4A図及び第4B図を参照すると、回転バルブがサブ領
域の実施態様で使用されるときの流体伝達導管の相対的
配置が示されている。第4A図において、チャンバー500
は、供給物流体伝達導管401、脱着剤流体伝達導管403、
及びフラッシング流体伝達導管407によって供給され
る。抽出物流体伝達導管405、フラッシング流体伝達導
管411、及びラフィネート流体伝達導管413がチャンバー
500から出ている。これらの追加の3つの流体伝達導管
は2つのサブ領域、領域II A及びIII Aを形成する。チ
ャンバー500のようなチャンバーは流体をチャンバーか
ら出し入れするより多くの流体伝達導管を持つことがで
きるが、第4A図に示されているように、6機能回転バル
ブは6本の流体伝達導管を通して流体を操作する。一
方、第4B図に示されているように、第2のフラッシング
流体伝達導管409をチャンバー500に繋ぐことができ、7
機能回転バルブが7本の導管を通して流体を操作する。
第2のフラッシング流体伝達導管409の追加は追加のサ
ブ領域II Bも形成する。
回転バルブはラチェットのステップ方式での操作とし
て思いうかべることができる。しかしながら、そのよう
な複数のバルブ単独又はその他のバルブの操作と組み合
わされたそのようなバルブは、それらが単独で与えるこ
とができるステップの変化だけでなく、連続的な流れ又
は連続的な濃度の変化を与えることができた。第4A図の
実施態様の操作中に、第1のバルブの位置においては、
流体伝達導管407がフラッシング流体を供給し開けられ
る。導管407に繋がったバルブ手段は開けられるか又は
閉じられて導管407を通る物質の流れを変化させること
ができた。従って、回転バルブと独立して操作できるこ
れらのバルブ手段の操作によって、導管407を通る流体
の濃度と流れ速度を動的、即ち、回転バルブの各々の単
一のシフトの間に変化するようにできた。回転バルブが
シフトするに連れて、導管の各々に割り当てられた特定
の用途も、上述したように、循環又は変化した。
図面を参照しながら説明した上記の実施態様はマルチ
グレード(multi−grade)のパラキシレンの分離に特に
適している。しかしながら、本発明の利点がパラキシレ
ンの用途に限定しなくても得られることは当業者に理解
されるだろう。そのようなプロセスに含まれる媒体又は
生成物は有機化合物でよく、特にアリール化合物である
有機化合物でよく、少なくとも1つのアルキル基を有す
るアリール化合物でよい。従って、その他のC8化合物は
本発明の方法において使用できる。しかしながら、多成
分系供給物流れからパラキシレンを分離することを目的
とする吸着プロセスにおいては、パラキシレンフラッシ
ング媒体は比較的低いグレード(初期媒体)においては
少なくとも約80%の純度が好ましく、比較的高いグレー
ド(最終媒体)においては実質的に所望のパラキシレン
生成物の純度であるのが好ましい。相対的濃度の順番は
逆転できるが、この順番が好ましい。供給、洗い流し、
及び引き出し工程の流れ速度を含む、プロセスにおける
その他の要因も最適化のために調整できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 15/00 - 15/02

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸着装置、又は吸着剤物質を含む系に送ら
    れる多成分系供給物流れから生成物としての成分を分離
    する方法であって、 (1)吸着装置又は系に流体伝達導管を通して供給物流
    れを導入する工程; (2)生成物としての成分を初期濃度で含む初期フラッ
    シング媒体で導管を洗い流し、初期フラッシング媒体で
    導管から装置又は系へ供給物流れ残渣を洗い流す工程; (3)生成物としての成分を最終濃度で含む最終フラッ
    シング媒体で導管を洗い流し(最終濃度は前記初期濃度
    より高く)、最終フラッシング媒体で導管から装置又は
    系へ前記初期フラッシング媒体残渣を洗い流す工程;及
    び (4.1)装置から生成物を引き出す工程、又は (4.2)系からラフィネート流れを引き出す工程; 脱着剤流れを系に導入する工程; 系から生成物と脱着剤から成る組み合わせを引き出す工
    程;及び 組み合わせから生成物を取り出す工程 を含む方法。
  2. 【請求項2】生成物が有機化合物である、請求項1の方
    法。
  3. 【請求項3】有機化合物がC8芳香族異性体である、請求
    項2の方法。
  4. 【請求項4】C8芳香族異性体がメタキシレン、オルトキ
    シレン、又はパラキシレンから成る群から選択される、
    請求項3の方法。
  5. 【請求項5】初期フラッシング媒体が導管から供給物流
    れ残渣を洗い流すのに十分な量よりも多く使用される、
    請求項1乃至4のいずれか1請求項の方法。
  6. 【請求項6】装置又系がシーブチャンバー容量を有し、
    初期フラッシング媒体の量はシーブチャンバー容量まで
    装置又系を満たすのに十分である、請求項1乃至5のい
    ずれか1請求項の方法。
  7. 【請求項7】初期フラッシング媒体が装置又は系から誘
    導される、請求項1乃至6のいずれか1請求項の方法。
  8. 【請求項8】最終フラッシング媒体が生成物を含んでな
    る、請求項1乃至7のいずれか1請求項の方法。
  9. 【請求項9】導管を2回洗い流し、2回目のフラッシン
    グ媒体が最終フラッシング媒体である、請求項1乃至8
    のいずれか1請求項の方法。
  10. 【請求項10】初期フラッシング媒体の初期濃度が、初
    期濃度が最終濃度に等しくなるまで連続的に増加する、
    請求項1乃至8のいずれか1請求項の方法。
  11. 【請求項11】装置が移動床吸着装置であるか、又は系
    が移動床吸着装置を含む、請求項1乃至10のいずれか1
    請求項の方法。
  12. 【請求項12】装置がシミュレートされた移動床吸着装
    置であるか、又は系がシミュレートされた移動床吸着装
    置を含む、請求項1乃至10のいずれか1請求項の方法。
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