JP2015501723A - 擬似移動床吸着を用いて生成物を回収するためのシステムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

供給原料流内の成分を擬似向流吸着分離によって分離するための方法において、種々の態様による方法は、残留流体を含む1つの移送ラインを通して、抽出物流を吸着分離チャンバから離して引き出すステップを含む。また、方法は、1つの移送ラインを通して引き出された残留流体の少なくとも一部を含む抽出物流の初期部分を、第1の送り先へ向けるステップを含む。方法は、1つの移送ラインを通して引き出された抽出物流の次の部分を、第2の送り先へ向けるステップをさらに含む。【選択図】図1

Description

優先権の記述
[0001]本出願は、2011年12月15日に出願された米国特許仮出願第61/570,938号および第61/570,940号の優先権を主張するものである。
[0002]本発明は、優先的に吸着された成分を供給原料流から吸着分離するための方法に関する。より詳細には、本発明は、芳香族炭化水素を連続して擬似向流吸着分離するための方法に関する。
[0003]パラキシレンおよびメタキシレンは、化学産業および繊維産業における重要な原料である。パラキシレンから抽出されるテレフタル酸は、現在広く使用されているポリエステル織布および他の商品の製造に使用される。メタキシレンは、殺虫剤およびイソフタル酸を含む複数の有用な製品を製造するための原料である。吸着分離、結晶化、および分別蒸留のうちの1つまたは組合せを使用してこれらのキシレン異性体を得ているが、吸着分離が、主要なパラキシレン異性体のために新たに建設された設備の市場占有率の大部分を占めている。
[0004]吸着分離のプロセスは、文献に広く記載されている。たとえば、パラキシレンの回収に向けた概括的な説明が、Chemical Engineering Progressの1970年9月版(66巻、第9号)の70ページに示されている。入手可能な文献には、古くから、有用な吸着剤および脱着剤、液体流を分配するための回転弁を含む擬似移動床システムの機械部分、吸着剤チャンバおよび制御システムの内部についての説明が存在する。擬似移動床を使用して、固体吸着剤に接触することにより流体混合物の成分を連続分離する原理が、米国特許第2,985,589号に記載されている。米国特許第3,997,620号は、擬似移動床の原理を、C芳香族を含む供給原料流からのパラキシレンの回収に適用し、米国特許第4,326,092号は、C芳香族流からのメタキシレン回収を教示する。
[0005]C芳香族を処理する吸着分離ユニットは、一般に、吸着剤および供給原料流の擬似向流移動を使用する。この擬似は、確立された商業用技術を使用して実行され、ここでは、吸着剤が1つまたは複数の円筒形吸着剤チャンバ内で定位置に保持され、プロセスに関与する流れがチャンバに出入りする位置は、床の長さに沿ってゆっくりと移動する。典型的な吸着分離ユニットが図8に示され、この手順で使用される少なくとも4つの流れ(供給原料、脱着剤、抽出物およびラフィネート)を含み、供給原料流および脱着剤流がチャンバに入り、抽出物流およびラフィネート流がチャンバから出る位置が、設定された間隔で同一方向に同時に移動する。移送点の位置のそれぞれの移動により、チャンバ内の異なる床に液体を送り、または床から液体を除去する。一般に、チャンバ内の流体流に対して吸着剤の向流移動を擬似するために、流れがチャンバ内で流体流の一般的な方向、すなわち下流方向に移動して、反対、すなわち上流方向へ移動する固体吸着剤を擬似する。これらの移送点のラインは、各流れが関連する床に出入りするときに再利用されるため、各ラインはサイクルの一部の時点の間に、4つのプロセス流のうちの1つを運ぶ。
[0006]当技術分野では、移送ラインに残留化合物があると擬似移動床プロセスに悪影響を与えるおそれがあることを認識している。米国特許第3,201,491号、米国特許第5,750,820号、米国特許第5,884,777号、米国特許第6,004,518号、および米国特許第6,149,874号は、供給原料流を吸着剤チャンバに送るために使用されるラインを、回収された抽出物または収着成分の純度を高める手段としてフラッシュすることを教示している。このようなフラッシングにより、抽出物流をチャンバから引き出すためにラインを続けて使用するときに、このラインに残っている供給原料のラフィネート成分によって抽出物流が汚染されることを避ける。米国特許第5,912,395号は、供給原料流を吸着剤チャンバに送るためにこのラインを使用するときに供給原料がラフィネートで汚染されることを避けるために、ラフィネート流を除去するためだけに使用されるラインのフラッシングを教示している。これらの文献はすべて、このようなラインを吸着剤チャンバ内に戻すようにフラッシュすることにより、チャンバ内での分離負荷を高めることを教示している。米国特許第7,208,651は、供給原料混合物および吸着ゾーンから引き出された材料の一方または両方によりラフィネート流を除去するために以前から使用されていた移送ラインの内容物を、吸着剤チャンバから離してフラッシュすることを開示している。移送ライン内の残留ラフィネートをフラッシュして、供給原料としてのラフィネート流をラフィネートカラムに合流させる。米国特許第6,149,874号は、流体分配管の共通部分からブースタ回路へ残留供給原料をフラッシュすることを開示している。
[0007]1つの以前の例示的なシステムは、移送ラインに残っている残留流体を扱うために最大3つのフラッシュを使用するものであった。一次フラッシュは、脱着剤流の直下のチャンバの脱着ゾーンからの流体によって抽出物流を除去するために使用される残留抽出物を、移送ラインから変位させ、回転弁を通して、供給原料流を注入するためのみに使用される移送ラインに向ける。移送ラインの容積が等しいため、抽出物および脱着剤流体は、移送ライン内に以前からあった残留供給原料を、現在の供給原料流位置の直上の吸着剤チャンバ内へ変位させて、残留供給原料が吸着分離チャンバ内で供給原料流により分離され得るようにし、抽出物流が供給原料流によって以前から占められていた移送ラインに次いで移動するときに、移送ラインに残っている残留供給原料によって抽出物流が汚染されることを避ける。さらに、供給原料を変位させるために使用される一次フラッシュからの残留抽出物は、移送ラインに残って、抽出物流により続いて引き出され、抽出物生成物の収量を増加させる。
[0008]例示的なシステムは、時として、二次フラッシュを含むものであった。二次フラッシュは、移送ラインを通って抽出物ライン直下のチャンバ内へ入る流体、通常、脱着剤のフラッシュを使用する。二次フラッシュは、一次フラッシュ後に、脱着剤によりこの移送ラインの「洗浄」を行って、ラフィネート、供給原料、および移送ラインに残っている可能性のある他の成分を含む汚染物の量を最小限にして、これらの材料が抽出物により移送ラインから引き出されないようにする。この移送ラインは一次フラッシュを介して脱着剤および抽出物により予めフラッシュされているため、二次フラッシュは高純度の抽出物を必要とする適用例において通常使用される。二次フラッシュは、予め移送ラインにある抽出物および脱着剤材料を吸着分離チャンバ内へ押し戻す。二次フラッシュは、抽出物生成物の高純度要求を満たすために使用されるオプションのフラッシュである。
[0009]一部のシステムでは、三次フラッシュも使用された。三次フラッシュは、ラフィネート引出流によって以前から占められていた移送ラインのフラッシュを含む。三次フラッシュを使用して、残留ラフィネートをこの移送ラインから除去し、供給原料流が次いで移送ラインに到着したときに、このラフィネートが供給原料によって吸着剤チャンバへ戻って注入されるのを制限する。ラフィネート流から所望の抽出物成分がなくなるため、三次フラッシュは、残留ラフィネートが吸着分離チャンバ内へ戻って注入されないように実施される。そうでなければ、この追加のラフィネート材料を除去するために、分離要求が増加することになる。三次フラッシュは、移送ラインに隣接したチャンバのポートからの流体により、移送ラインを吸着分離チャンバから離してフラッシュすることによって達成される。
[0010]種々の手法によれば、供給原料流内の成分を擬似向流吸着分離によって分離するための方法が提供される。方法は、多床吸着分離チャンバに沿った2つの異なる対応する移送ラインを介して2つの異なるポートに供給原料流および脱着剤流を導入するステップを含む。供給原料流は、少なくとも1つの優先的に吸着された成分と、少なくとも1つの非優先的に吸着された成分とを含む。多床吸着分離チャンバは複数の床を有し、この床は、流体連通して直列に接続され、かつ吸着分離チャンバ内へ流体を導入し、吸着分離チャンバから流体を除去するための、対応する移送ラインが流体連通する所定数の離間したポートを備える。方法は、2つの異なる対応する移送ラインを介して多床吸着分離チャンバの2つの異なるポートを通して抽出物流およびラフィネート流を引き出すステップをさらに含む。本手法による方法は、抽出物流およびラフィネート流のうちの一方を、残留流体を含む1つの移送ラインを通して、吸着分離チャンバから離して引き出すステップを含む。方法は、1つの移送ラインを通して引き出された残留流体の少なくとも一部を含む、抽出物流およびラフィネート流のうちの一方の初期部分を、第1の送り先に向けるステップをさらに含む。方法は、1つの移送ラインを通して引き出された抽出物流およびラフィネート流のうちの一方の次の部分を、第2の送り先へ向けるステップをさらに含む。
[0011]一態様によれば、第2の送り先が、抽出物分別カラムおよびラフィネート分別カラムのうちの一方の入口である。別の態様によれば、第1の送り先が、抽出物分別カラムの入口またはラフィネート分別カラムの入口以外の送り先である。このように、方法は、残留流体の少なくとも一部が抽出物分別カラムおよびラフィネート分別カラムのうちの一方に入ることを制限する。そうでないと、分別カラムからの生成物を汚染しエネルギー消費を増加させることになり得る。一態様によれば、第1の送り先は、抽出物流およびラフィネート流のうちの一方と残留流体の一部とを吸着分離チャンバに再循環させてエネルギー必要量を減らすための再循環ラインである。
[0012]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0013]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0014]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0015]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0016]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0017]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0018]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。 [0019]本発明の種々の実施形態による擬似移動床吸着分離チャンバ内の流体の組成図である。 [0020]本発明の種々の実施形態による回転弁の斜視図である。 [0021]本発明の種々の実施形態による、移送ラインを通る流体の体積流量を示すグラフである。 本発明の種々の実施形態による、移送ラインを通る流体の体積流量を示すグラフである。 本発明の種々の実施形態による、移送ラインを通る流体の体積流量を示すグラフである。 [0022]従来技術の擬似移動床吸着プロセスの簡易図である。
[0023]図中の要素は簡潔かつ明確であるように示されたものであり、必ずしも一定の縮尺ではないことを当業者なら理解するであろう。たとえば、本発明の種々の実施形態の理解向上を助けるために、図中の要素の一部の寸法および/または相対位置が他の要素に対して誇張されていてもよい。また、本発明のこれらの種々の実施形態の図示を妨げないようにするために、商業上実現可能な実施形態において有用または必要な、一般的かつ十分理解された要素は描かれていないことが多い。さらに、ある動作および/またはステップが特定の発生順に記載され得ることが理解されるが、このような順序に関する特異性が実際には必要でないことを当業者なら理解するであろう。また、本明細書で使用される用語および表現は、本明細書で異なる特定の意味が説明される場合を除いて、前述した技術分野の当業者によるこのような用語および表現に一致する、通常の技術的意味を有することは理解されるであろう。
[0024]吸着分離は、種々の炭化水素および他の化学生成物の回収に適用される。開示された本手法を使用する化学分離は、芳香族混合物の特定の芳香族異性体への分離、非線形脂肪族およびオレフィン炭化水素からの線形脂肪族およびオレフィン炭化水素の分離、芳香族およびパラフィンの両方を含む供給原料混合物からのパラフィンまたは芳香族の分離、薬剤および精化学薬品に使用するキラル化合物の分離、アルコールおよびエーテル等の酸素化物の分離、ならびに糖等の炭水化物の分離を含む。芳香族の分離は、ジアルキル置換単環芳香族およびジメチルナフタレンの混合物を含む。先行文献および本発明の以下の説明の焦点となる主な商業上の用途は、限定されないが、C芳香族の混合物からのパラキシレンおよび/またはメタキシレンの回収である。このような生成物についての純度要件が一般的に高いためである。このようなC芳香族は通常、ナフサの触媒改質に続く抽出および分別により、または、芳香族錯体中の芳香族を多く含む流れのトランスアルキル化または異性化により、芳香族錯体内で抽出される。C芳香族は、一般に、キシレン異性体およびエチルベンゼンの混合物を含む。擬似移動床吸着を使用するC芳香族の処理は、一般に、高純度パラキシレンまたは高純度メタキシレンの回収に向けたものである。高純度とは、通常、所望の生成物の少なくとも99.5重量%、好ましくは少なくとも99.7重量%と定義される。以下の詳細な説明は、キシレンおよびエチルベンゼンの混合流からの高純度パラキシレンの回収に焦点を置いているが、本発明はこれに限定されず、2つ以上の成分を含む流れから他の成分を分離するために適用してもよいことを理解されたい。本明細書で使用されるように、優先的に吸着された成分という用語は、供給原料流の1つまたは複数の非優先的に吸着された成分よりも優先的に吸着された供給原料流の1つまたは複数の成分を指す。
[0025]本発明は、通常は、前述したように吸着剤および周りの液体の向流移動を擬似する吸着分離プロセスで使用されるが、米国特許第4,402,832号および米国特許第4,478,721号に開示されたような並流連続プロセスでも実施され得る。液体成分のクロマトグラフ分離における吸着剤および脱着剤の機能および特性はよく知られており、このような吸着原理の追加の説明に関して、本明細書に組み込まれている米国特許第4,642,397号を参照することができる。向流移動床または擬似移動床向流システムは、連続した供給原料流および抽出物およびラフィネートの連続生成により吸着および脱着動作が連続して行われるため、固定床システムよりもこのような分離についてはるかに高い分離効率を有する。擬似移動床プロセスの完全な説明は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyの563ページ、Adsorptive Separationの項に示される。
[0026]図1は、一態様による擬似移動床吸着プロセスの概略図である。プロセスは、供給原料流5を容器に含まれる吸着剤および脱着剤流10に順に接触させて、抽出物流15およびラフィネート流20を分離させる。擬似移動床向流システムでは、複数の液体供給原料および生成物アクセス点またはポート25を吸着剤チャンバ100、105の下方へ徐々に移動させることにより、チャンバに含まれる吸着剤の上方への移動を擬似する。擬似移動床吸着プロセスの吸着剤は、1つもしくは複数の容器またはチャンバの多床に含まれる。直列の2つのチャンバ100、105が図1に示されるが、図13に示すように単一のチャンバ902または直列の他の数のチャンバを使用してもよい。各容器100、105は、処理空間に吸着剤の多床を含む。各容器は吸着剤の床の数に関連する複数のポート25を有し、供給原料流5、脱着剤流10、抽出物流15、およびラフィネート流20の位置が、ポート25に沿って移動して移動吸着剤床を擬似する。脱着剤、抽出物およびラフィネートを含む循環液体は、ポンプ110、115をそれぞれ通ってチャンバを循環する。循環液体の流れを制御するシステムが米国特許第5,595,665号に記載されるが、このようなシステムの詳細は本発明に必須ではない。たとえば米国特許第3,040,777号および米国特許第3,422,848号で特徴付けられた回転円板型の弁300は、吸着剤チャンバに沿って流れを移動させて、向流を擬似する。本明細書では回転円板弁300が記載されているが、たとえば、米国特許第6,149,874号に記載されたような、複数の弁を使用して吸着剤チャンバ100および/または105に対して流入および流出する流れを制御するシステムを含む、吸着剤チャンバに沿って流れを移動させるための他のシステムおよび装置も本明細書で検討される。
[0027]図9を参照すると、吸着分離システムおよびプロセスで使用する例示的な回転弁300の簡易分解図が示される。底板474は複数のポート476を有する。ポート476の数は、(1つまたは複数の)チャンバ上の移送ラインの総数に等しい。また、底板474は複数のトラック478を含む。トラック478の数は、吸着分離ユニット(図9には示さず)の正味の入力ライン、出力ライン、およびフラッシュラインの数に等しい。正味の入力ライン、出力ライン、およびフラッシュラインは、専用のトラック478にそれぞれ流体連通する。交差ライン470が、所与のトラック478を所与のポート476に流体連通させる。一例では、正味の入力が供給原料入力および脱着剤入力を含み、正味の出力が抽出物出力およびラフィネート出力を含み、フラッシュラインが1〜4本のフラッシュラインを含む。図示したようにロータ480が回転すると、各トラック478が、交差ライン470によって次の連続ポート476に流体連通される。密閉シート472も設けられる。
[0028]本明細書に記載の本発明の種々の態様に関して図示し以下でさらに説明する擬似移動床吸着に含まれる種々の流れは、以下の通り特徴付けされ得る。「供給原料流」は、プロセスにより分離される1つもしくは複数の抽出物成分または優先的に吸着された成分と、1つもしくは複数のラフィネート成分または非優先的に吸着された成分とを含む混合物である。「抽出物流」は、吸着剤によってより選択的または優先的に吸着される抽出物成分、通常は所望の生成物を含む。「ラフィネート流」は、あまり選択的に吸着されないか非優先的に吸着される1つまたは複数のラフィネート成分を含む。「脱着剤」は、概して、供給原料流の成分に不活性であり、たとえば、蒸留によって抽出物およびラフィネートから容易に分離可能である、抽出物成分を脱着可能な材料を指す。
[0029]図示した方式による抽出物流15およびラフィネート流20は、プロセスによるそれぞれの生成物に対して0%〜100%の濃度の脱着剤を含む。脱着剤は、概して、図1に示すラフィネートカラム150および抽出物カラム175のそれぞれにおける従来の分別によりラフィネート成分および抽出物成分から分離され、ラフィネートカラム塔底物ポンプ160および抽出物カラム塔底物ポンプ185による流れ10’に再循環されてプロセスに戻される。図1は、脱着剤が抽出物またはラフィネートよりも重いことを示す、各カラムからの塔底物としての脱着剤を示す。C芳香族を分離するための異なる商用ユニットは、軽脱着剤または重脱着剤を使用するため、一部の適用例では、分別カラム150、175に沿った異なる位置で脱着剤を分離することができる。プロセスによるラフィネート生成物170および抽出物生成物195は、カラム150、175のそれぞれのラフィネート流および抽出物流から回収される。C芳香族の分離による抽出物生成物195は、通常、パラキシレンおよびメタキシレンの一方または両方を主に含み、ラフィネート生成物170は主に非吸着C芳香族およびエチルベンゼンである。
[0030]有効な液体アクセス点またはポート25を介して吸着剤チャンバ100、105に出入りする液体流、たとえば、供給原料5、脱着剤10、ラフィネート20、および抽出物15の流れが、吸着剤チャンバ100、105を別個のゾーンに効果的に分割し、このゾーンは、流れがポート25に沿って移動するときに移動する。本明細書の説明の多くが図1および図1の流れの位置に言及しているが、通常、流れは、サイクルの異なるステップで下流へ移動するため、図1は、プロセスの単一のステップまたは断片における流れの現在の位置のみを示すことに注目されたい。流れが下流へ移動すると、その流れによって流体組成および対応するゾーンが下流へ移動する。1つの手法では、吸着分離チャンバ100、105のアクセス点またはポート25に関する流れの位置は、流れがポート25に沿って同期して下流へ進むため、概して互いに対して一定のままである。一例では、流れがそれぞれ、各ステップについて単一のポート25を下流へ進めて、全サイクル中に1回、各流れが各ポート25を占める。一例によれば、回転弁300を回転させることによって、流れが次のポート25へ同時に進められ、特定のポート25またはステップで所定のステップ時間間隔だけ維持される。1つの手法では4〜100のポート25、別の手法では12〜48のポート、さらに別の手法では20〜30のポート、および等しい数の対応する移送ラインがある。一例では、1つまたは複数の吸着分離チャンバ100、105は24のポートを含み、各流れが全サイクル中に24のポート25のそれぞれに移動して、サイクル中に各流れが各ポート25および対応する移送ラインを占めるようにする。本例では、サイクルは、1つの手法では20〜40分、別の手法では22〜35分であり得る。1つの手法では、ステップ時間間隔が30秒〜2分である。別の手法では、ステップ時間間隔が45秒〜1分30秒である。さらに別の手法では、ステップ時間間隔が50秒〜1分15秒である。典型的なステップ時間間隔の例は1分であり得る。
[0031]これを考慮に入れて、図8は、吸着分離チャンバ(簡単にするために、単一の吸着分離チャンバ100が図8に示される)内の流体の組成プロファイルの断片と、吸着分離チャンバ100が分割された対応するゾーンとを示す。吸着ゾーン50は、供給原料入口流5とラフィネート出口流20との間に位置する。このゾーンでは、供給原料流5が吸着剤に接触し、抽出物成分が吸着され、ラフィネート流20が引き出される。図示するように、ラフィネート流20を、組成がラフィネート流体454と、あるとしてもわずかな抽出物流体450とを含む位置で引き出すことができる。流体流に対してすぐ上流は、抽出物出口流15と供給原料入口流5との間の吸着剤として画定される浄化ゾーン55である。浄化ゾーン55では、脱着ゾーン60から出る抽出物流材料の一部を通すことにより、ラフィネート成分が吸着剤の非選択的な空隙容積から変位され、気孔容積またはこのゾーン内へ移動する吸着剤の表面から脱着される。浄化ゾーン55上流の脱着ゾーン60は、脱着剤流10と抽出物流15との間の吸着剤として画定される。このゾーンに入る脱着剤は抽出物成分を変位させ、この抽出物成分は吸着ゾーン50内における供給原料との前の接触により吸着される。抽出物流15を、抽出物流体450と、あるとしてもわずかなラフィネート流体454とを含むチャンバ100の位置で引き出すことができる。ラフィネート出口流20と脱着剤入口流10との間の緩衝ゾーン65により、脱着剤流の一部が緩衝ゾーンに入って、ゾーン内にあるラフィネート材料を吸着ゾーン50に戻して変位させる点で、抽出物の汚染を防止する。緩衝ゾーン65は、ラフィネート成分が脱着ゾーン60に入って抽出物流15を汚染することを防止するのに十分な吸着剤を含む。
[0032]前記ゾーンのそれぞれは、概して、米国特許第2,985,589号に記載の複数の区画または「床」を通してもたらされる。記載された種々の流れの位置は、水平液体収集/分配格子によって互いに構造的に分離される。各格子は、プロセス流が吸着剤チャンバに出入りする移送点を画定する移送ラインに接続される。この配置は、チャネリングおよび他の非効率をなくすことによってチャンバ内の流体の分配を容易にし、一次流体流と反対方向の流体の対流逆混合を防止し、かつチャンバを通る吸着剤の移動を防止する。前記ゾーンのそれぞれは、通常、複数の2〜10、より通常には3〜8の床を備える。典型的な擬似移動床吸着ユニットは、吸着剤の24の床を備える。
[0033]特定の流れを吸着剤チャンバ内外へ運ぶために使用されるアクセス点25の移送ラインがステップ終了時に遊休状態にされるときに、移送ラインは、その流れを形成する化合物が第2の流れ流によってラインから除去されるまで、これらの化合物で満たされたままとなることが、図1から容易に明らかになる。これに関し、動作状態の移送ライン、すなわち内部を通る流体の流れを現在促進しているラインのみが図1に示されるが、チャンバ100、105に沿ったポート25のそれぞれに中間移送ラインが存在して、次のポート25に流体流を移動させるときに流体流を促進することに注目されたい。したがって、流れが次の移送ラインに移動した後に現在使用されていない移送ラインに残る残留流体または化合物が、プロセスから除去されたプロセス流の初期部分としてプロセスから引き出されるか、または移送ラインが流れを吸着剤チャンバ内へ運ぶときに吸着剤チャンバに押し込まれる。図13は以前のシステムを示し、使用されていない移送ラインを破線で示し、流れ、たとえば流れ920により現在占められている移送ラインを、吸着分離チャンバ902のポートから延びる実線で示す。
[0034]図1に戻り、前述したように、移送ラインに残留流体があると、擬似移動床吸着分離プロセスの性能に悪影響を与えるおそれがある。たとえば、ラフィネート流20を吸着剤チャンバから除去するために以前から使用されていた移送ライン内の残留ラフィネートは、次のステップでその移送ラインへ移動するときに、供給原料流5により吸着剤チャンバ105内へフラッシュされ得る。同様に、供給原料流5を吸着剤チャンバに導入するために以前から使用されていた移送ライン内の残留供給原料は、次のステップでその移送ラインへ移動するときに、抽出物流15により移送ラインから除去され得る。同様に、抽出物流を吸着剤チャンバから除去するために以前から使用されていた移送ライン内の残留抽出物は、次にその移送ラインに到達したときに、脱着剤流10により吸着剤チャンバ100内へ戻してフラッシュされ得る。
[0035]一態様によれば、プロセスおよびシステムの一次フラッシュは、供給原料流5によって以前から占められていた移送ライン内の残留供給原料を吸着分離チャンバ105内へ、特に浄化ゾーン55内へフラッシュする一次フラッシュイン30を含む。一次フラッシュイン30は、有利には、供給原料流5により現在占められている移送ライン近くの浄化ゾーン55の移送ラインに向けられて、残留供給原料を供給原料流5近くの吸着分離チャンバ105に導入し、残留供給原料が吸着分離チャンバ105内で分離され得るようにすることができる。一例では、図1に示すように、一次フラッシュイン30が、供給原料流5の2つの移送ライン内の浄化ゾーン55の移送ライン、より好ましくは、供給原料流5に隣接する移送ラインに向けられ得る。1つの手法では、一次フラッシュイン30が、優先的に吸着された成分、脱着剤、および/または不活性成分を主に含むフラッシュ流体を使用する。言い換えると、フラッシュ流体は、好ましくは、供給原料の、あるとしてもわずかな非優先的に吸着された成分を含んで、抽出物流が次のステップ中に移送ラインに到達したときに抽出物流15の汚染を制限する。
[0036]プロセスおよびシステムの一次フラッシュは、抽出物流によって以前から占められていた移送ラインからの残留抽出物流体を、吸着剤チャンバから離してフラッシュする一次フラッシュアウト35を含むことができる。その後、抽出物流体は、流体をフラッシュする一次フラッシュに伴って、フラッシュ流体として一次フラッシュイン30移送ラインに移送され、前述したように、供給原料流によって以前から占められていた移送ラインからの残留供給原料を吸着分離チャンバ105の浄化ゾーンにフラッシュするために使用される。1つの手法では、一次フラッシュアウト35は、チャンバ100の脱着ゾーン60からの流体を使用して、脱着剤を主に含む移送ラインをフラッシュする。このように、一次フラッシュアウト35が、抽出物流15によって以前から占められていた移送ライン内の残留抽出物流体をフラッシュした後には、抽出物流体が移送ライン内にほとんど残らない。有利には、一次フラッシュアウト35を一次フラッシュイン30につなげることにより、移送ライン内の残留流体を使用して、前述した移送ラインフラッシングの目的を達成しながら、他の移送ラインをフラッシュし、プロセスにより必要とされる流体の全体量を減少させ、これらの流体を捕捉することによるプロセス収量を増加させることができる。加えて、一次フラッシュのペアリングにより、脱着剤と残留抽出物流体から優先的に吸着された成分とを主に含む、一次フラッシュイン30のためのフラッシュ流体を供給する。同様に、これにより、非優先的に吸着された成分をほとんど含まない、一次フラッシュイン30のためのフラッシュ流体を供給する。一例では、一次フラッシュイン30のための流体が、99重量%超の脱着剤と優先的に吸着された成分とを含む。別の例では、フラッシュ流体が0.005重量%未満の(1つまたは複数の)非優先的に吸着された成分を含む。
[0037]1つの手法によれば、二次フラッシュ40を使用して、次に抽出物流15によって占められる移送ラインから残留流体をフラッシュすることにより、移送ラインから汚染物を除去する。有利には、二次フラッシュ40が、移送ラインを使用して抽出物流15を引き出す前に汚染物を移送ラインから除去することにより、抽出物流の純度を高める。以前のシステムは、脱着剤を移送ライン内および吸着分離チャンバ側へフラッシュすることを用いて、移送ラインの内容物をフラッシュし、この内容物は次いで抽出物流を引き出すために使用される。このフラッシュは、移送ラインを通して吸着分離チャンバ側および吸着分離チャンバの浄化ゾーン内へ送られて、吸着分離チャンバを浄化する。
[0038]前述した以前のシステムの二次フラッシュが有用性またはエネルギーの損失を生じさせることが特定されている。すなわち、二次フラッシュ40が脱着剤を使用して、移送ライン内の残留する優先的に吸着された成分/脱着剤流体を吸着分離チャンバ内へフラッシュするため、この移送ラインは二次フラッシュ後に略脱着剤のみを含む。この移送ライン内の残留脱着剤は、次いで抽出物の除去前に抽出物流による流体の初期サージとして引き出される。この残留脱着剤のサージを含む抽出物流は、抽出物分別カラム175に向けられ、ここで塔底物生成物として分別され、脱着剤再循環流により第1のチャンバ100へ再循環される。しかしながら、カラム175に入るためには、抽出物の除去開始時における移送ライン内の残留脱着剤のサージを、分別のために抽出物カラム175に入る前に加熱しなればならない。たとえば、パラキシレンが混合キシレンの供給原料流から分離されるときには、抽出物流により引き出される脱着剤が150℃〜300℃に加熱されるため、エネルギーまたは有用性の損失を生じさせる。言い換えると、この脱着剤の初期スラグは、あるとしても非常にわずかな所望の抽出物生成物しか含まないため、温度を抽出物分別カラムの塔底物出口温度まで増加させるにはかなりのエネルギー入力を必要とし、抽出物生成物収量の増加に関して利点をもたらすことがない。
[0039]この有用性およびエネルギーの損失を避けるために、一態様によれば、以前のシステムとは反対に、二次フラッシュ40が移送ライン45からの残留流体を、吸着分離チャンバ100から離してフラッシュして、残留脱着剤が移送ライン45内に蓄積されないようにする。図1に示すステップで移送ライン45が二次フラッシュ40のために使用されるが、前または次のステップ中に、二次フラッシュ40が流れに伴って移動して、残留流体を他の移送ラインから除去するように使用され得ることに注目されたい。より詳細には、脱着剤流を使用して、優先的に吸着された成分と一次フラッシュイン30後に移送ラインに残っている脱着剤とを主に含み得る残留流体を移送ライン45からフラッシュするのではなく、移送ラインに対応する移送ラインポート45’に隣接する浄化ゾーンからの流体を使用して、残留流体を吸着剤チャンバ100から離してフラッシュする。その後、二次フラッシュ流がさらなる処理のために移送され得る。1つの手法では、二次フラッシュはライン40’によって流体再循環ライン10’に送られる。流体再循環ライン10’は主に脱着剤を含むことができ、脱着剤は分別カラム150、175を介して分離され、吸着分離チャンバ100へ再循環されて、プロセスで再利用される。1つの手法では、二次フラッシュ流が、ライン40’を介してラフィネート分別カラム150の塔底物部分155に送られ、そこでラフィネート分別カラム150によって分離された脱着剤と組み合わされて、ラフィネート塔底物ポンプ160を介して流体再循環ライン10’に送られる。別の手法では、二次フラッシュ流がライン40’を介して抽出物分別カラム175の塔底物部分180に送られて、そこで抽出物分別カラム175により分離された脱着剤と組み合わされて、抽出物塔底物ポンプ185を介して流体再循環ライン10’に送られる。
[0040]この浄化ゾーン55からの流体の組成が、次いで移送ライン45から引き出される抽出物流15の組成と同様であるため、修正された二次フラッシュ40後に床ラインに残っている残留流体の組成が、所望の抽出物組成と同様になることが有利である。このために、一例では、抽出物ライン15により現在占められている移送ラインからの2つの移送ラインまたはポート内、より好ましくは、抽出物ライン15により現在占められている移送ラインからの1つの移送ラインまたはポート内の二次フラッシュ40によって、移送ライン45がフラッシュされる。これは、抽出物移送ライン近くのポートに隣接する浄化ゾーン流体の組成が、抽出物流15の組成に最も類似しているからである。一例では、浄化ゾーン流体が99%超の脱着剤および優先的に吸着された成分を有する。別の例では、浄化ゾーン流体が、0.005%未満の(1つまたは複数の)非優先的に吸着された成分を含む。さらに、一次フラッシュイン30が使用されて、前述したように残留供給原料をフラッシュすると、抽出物流15により現在占められている移送ラインと一次フラッシュイン30により現在占められている移送ラインとの間に、1つの手法による二次フラッシュ40が位置決めされて、移送ライン45が、供給原料流5ではなく一次フラッシュイン30からの残留流体で主に充填される。有利には、この手法は、残留供給原料による抽出物流15の汚染の程度を低下させる。
[0041]さらに、1つの手法では、次いで抽出物流15内で引き出される移送ライン45内の流体が、抽出物分別カラム175に送られて、蒸留によって分離される。抽出物流により抽出物分別カラム175に送られる移送ライン45内の残留流体は、抽出物分別カラム175内で加熱される。この残留流体の組成は抽出物流15の組成と同様であるため、この流体の分別によって所望の抽出物生成物195の回収が増加する。したがって、従来技術のシステムと異なり、次に抽出物流15で占められ抽出物分別カラム175に送られる二次フラッシュ40からの移送ライン45に残っている流体は、不要な有用性の損失を生じさせることがない。この流体の蒸留により、主に脱着剤ではなく所望の抽出物生成物195の追加の収量を生じさせるからである。
[0042]図2に示す別の態様によれば、前述したように、ステップ中に抽出物流15が移送ラインを通して引き出され得る。本手法では、抽出物流15が移送ラインに残っている残留流体に伴って引き出されて、抽出物流が残留流体を移送ラインから離してフラッシュするようにする。残留流体の少なくとも一部を含む抽出物流の初期スラグは、移送ラインを通して第1の送り先へ向けられる。その後、抽出物流の次の部分が移送ラインを通して第2の送り先へ向けられる。移送ライン内の残留流体の少なくとも一部が第1の送り先へ向けられる。一例では、残留流体の少なくとも90%が第1の送り先へ向けられる。別の例では、残留流体の少なくとも95%が第1の送り先へ向けられる。1つの手法では、第2の送り先が抽出物分別カラム175の入口190である。第1の送り先は、抽出物流および残留流体の一部を吸着分離チャンバ100に再循環させるための再循環ライン10’であってもよい。
[0043]図2に示すように、一次フラッシュイン30を使用して、前述したように供給原料流5によって以前から占められていた移送ライン内に残っている残留供給原料流体を吸着分離チャンバ105内へフラッシュすることによって、残留供給原料流体が、抽出物流によって、抽出物流15が次のステップで移送ラインに到達するときの移送ライン内の残留流体として引き出されることを制限する。フラッシング流体は、好ましくは、脱着剤および/または優先的に吸着された成分を主に含み、非優先的に吸着された成分をほとんど含まず、一次フラッシュイン30後に移送ラインに残っている残留流体が非優先的に吸着された成分をほとんど含まないようにする。1つの手法では、フラッシング流体が1%未満の非優先的に吸着された成分を含み、別の例では0.005%未満の非優先的に吸着された成分を含む。前述したように、抽出物流15によって以前から占められていた移送ラインに残っている残留抽出物が、一次フラッシュアウト35を介して移送ラインからフラッシュされ得、残留抽出物流体が一次フラッシュイン30移送ラインに移送されて、一次フラッシュイン30のためのフラッシング流体として使用され得る。残留抽出物流体は、一次フラッシュアウト35移送ラインに連通するポート25に隣接する脱着ゾーン60から流体を引き出すことにより、一次フラッシュアウト35を介してフラッシュされ得る。これに関し、抽出物流15が移送ラインへ移動されるときの移送ライン内の残留流体は、一次フラッシュアウト35を介して脱着ゾーン60から引き出される残留抽出物およびフラッシング流体、たとえば残留抽出物および脱着剤を含むことができる。
[0044]図2の詳細をさらに参照すると、本手法によれば、抽出物流15が残留流体を含む移送ラインを通して引き出されて、抽出物流の初期スラグが、抽出物流15の到着前に移送ラインに残っていた残留流体を含むようにする。前述したように、この抽出物流の初期スラグは、再循環ライン10’に送られて、吸着分離チャンバ100へ戻って再循環され得る。このために、抽出物流の初期スラグは、ラフィネート分別カラム塔底物部分155へ送られ得る。ラフィネートカラム塔底物部分155では、流体のスラグが、ラフィネート分別カラム150の底部にある、一例ではラフィネート分別カラム150で分離された脱着剤を主に含む流体と組み合わされる。ラフィネートカラム塔底物ポンプ160を使用して、この流体のスラグおよび脱着剤を、再循環ライン10’を通して吸着分離チャンバ100に戻すことができる。あるいは、抽出物流の初期スラグは、抽出物分別カラム塔底物部分180に送られ得る。抽出物カラム塔底物部分180で、流体のスラグが、抽出物分別カラム175の底部にある、一例では抽出物分別カラム175で分離された脱着剤を主に含む流体と組み合わされる。抽出物カラム塔底物ポンプ185を使用して、この流体のスラグおよび脱着剤を、再循環ライン10’を通して吸着分離チャンバ100に戻すことができる。
[0045]このように、抽出物流15により引き出された残留流体の少なくとも一部は、抽出物分別カラム入口190に向けられない。一次フラッシュ30からの移送ライン内の残留流体が、抽出物流15よりも大きい割合の脱着剤を含むため、この過剰な脱着剤が抽出物分別カラム175内で分離されないことが有利である。抽出物分別カラム入口190に入る流体が加熱されるため、残留流体の過剰な脱着剤が抽出物分別カラム175に導入された場合に、抽出物生成物の追加の収量をもたらすことなく脱着剤が塔底物出口温度まで加熱され、これによりエネルギー損失を招く。したがって、過剰な脱着剤が抽出物分別カラム175へ導入されないように流体の初期スラグを逸らすことにより、システムによって必要とされるエネルギーの量が減少する。
[0046]一態様によれば、抽出物流15が吸着分離チャンバ100から引き出されて、移送ライン15’に沿って送られる。1つの手法では、回転弁300が設けられて、抽出物流15が移送ラインを通って引き出されて回転弁に向けられ、そこで図2に示すように単一の抽出物移送ライン15’と組み合わされるようにする。しかし、吸着分離チャンバ100、105の各移送ラインについて専用の抽出物移送ライン15’を設けるステップを含む他の構成も本明細書で考えられる。移送ライン15’は、抽出物分別カラム入口190と流体連通する1つの抽出物入口ライン205を有することができる。移送ライン15’は、抽出物カラム塔底物部分180およびラフィネートカラム塔底物部分155の一方または両方と連通する別の塔底物部分ライン210を有することができる。抽出物カラム入口ライン205と抽出物カラム塔底物部分ライン210との間の抽出物流15の流れを逸らすために、弁215が設けられていてもよい。このように、方法は、弁215を第1の位置へ移動させて、残留流体の少なくとも一部を含む初期部分抽出物流15を、抽出物カラム塔底物部分ライン210を通して、抽出物カラム塔底物部分180およびラフィネートカラム塔底物部分155の一方に向けるステップを含む。本例では、方法が、弁215を第2の位置へ逸らして、抽出物流15を抽出物カラム入口ライン205を通して抽出物分別カラム入口190側へ向けて、抽出物分別カラム入口190内で抽出物流15を分離するステップを含む。
[0047]一態様によれば、抽出物流によって移送ラインからフラッシュされた残留流体の少なくとも一部を含む抽出物流が、第1の送り先、たとえば、抽出物カラムおよびラフィネートカラム塔底物部分180、155の一方または両方に、第1の所定時間またはステップ時間間隔の所定部分(抽出物流が現在の移送ラインを占めるとき)だけ向けられる。その後、抽出物流は第2の送り先、たとえば、抽出物分別カラム175の入口に、第2の所定時間またはステップ時間間隔の所定部分だけ向けられる。第1の所定時間は抽出物流の流量に基づいて選択されて、移送ライン内の所定量の残留流体を第2の送り先へ、または所定量の流体を第2の送り先へフラッシュする。一例では、第1の所定時間が、移送ラインおよび関連する弁手段の体積の50%〜250%の流体の体積、ならびに別の例では、移送ラインおよび関連する弁手段の体積の80%〜150%を第1の送り先へ向けるのに十分であり得る。1つの手法では、第2の所定時間が、ステップ時間間隔の残りであって、抽出物流15が、ステップ時間間隔の残りだけ抽出物カラム入口190に向けられて、抽出物分別カラム175内で抽出物流15を分離するようにしてもよい。また、移送ライン内の残留流体の全部または少なくとも一部を第1の送り先へ向けるように所定時間を選択して、残留流体が抽出物分別カラムに導入されないようにしてエネルギーを節約することもできる。同様に、第1の所定体積の抽出物流を第1の送り先に向け、第2の所定体積の抽出物流を第2の送り先へ向けることができる。第1の所定体積は第1の所定時間について前述したものと同一であり得る。第2の所定体積は、ステップ時間間隔中に移送ラインを通して引き出される抽出物流の残りの体積であり得る。一例では、第1の所定時間がステップ時間間隔の10%〜90%である。本例における第2の所定時間は、ステップ時間間隔の10%〜90%である。別の例では、第1の所定時間がステップ時間間隔の20%〜40%である。この他の例における第2の所定時間は、ステップ時間間隔の60%〜80%である。
[0048]別の手法では、方法が、任意の残留流体を含む抽出物流の組成をモニタして、組成内の成分の量または割合を判定するステップを含む。たとえば、成分は、優先的に吸着された成分、脱着剤成分、または非優先的に吸着された成分の1つであり得る。本手法による方法は、組成が第1の所定のレベルの成分を含むときに、抽出物流15および任意の残留流体を第1の送り先へ向けるステップと、組成が第2の所定のレベルの成分を含むときに抽出物流15を第2の送り先へ向けるステップとを含む。たとえば、方法は、抽出物流15の組成をモニタして、流れにある脱着剤の量を判定するステップを含むことができる。本例によれば、方法は、脱着剤の量が閾値レベルよりも多いときに抽出物流を第1の送り先へ向けるステップと、脱着剤の量が閾値レベルよりも少ないときに抽出物流を第2の送り先へ向けるステップとを含むことができる。このように、抽出物分別カラム入口190に送られる脱着剤の量を減少させることができる。
[0049]有利には、本手法によれば、以前のシステムの二次フラッシュ40を省くことができる。このように、プロセスを1つ少ない有効移送ラインと共に使用することができる。たとえば、プロセスは、以前のシステムで必要とされていた7または8本の移送ラインではなく6または7本のみの移送ラインのみを使用することができる。1つの手法では、プロセスは、抽出物、ラフィネート、供給原料、および脱着剤流用のトラックを含む6または7本のみのトラックを有する回転弁300、さらに一次フラッシュアウト35、一次フラッシュイン30、ならびに場合によって三次フラッシュ46を使用することができる。有利には、本手法により、6および7本のトラックの回転弁を有する既存の吸着分離システムを後付けして、本手法により本発明を使用することができる。
[0050]次に図3を参照すると、別の態様による吸着分離システムおよびプロセスが示される。本態様によれば、前述したステップ中に、移送ラインを通してラフィネート流20を引き出すことができる。本手法では、ラフィネート流20がラフィネート流移送ラインに残っている残留流体に伴って引き出されて、ラフィネート流20が残留流体を移送ラインから離してフラッシュするようにする。本態様は、ラフィネート流の初期スラグが第1の送り先に向けられる点で、前述し図2に示したものと同様である。その後、ラフィネート流の次の部分が第2の送り先に向けられる。移送ライン内の残留流体の少なくとも一部が、第1の送り先に向けられる。一例では、残留流体の少なくとも90%が第1の送り先に向けられる。別の例では、残留流体の少なくとも95%が第1の送り先に向けられる。一態様では、第2の送り先がラフィネート分別カラム150の入口165である。第1の送り先が、ラフィネート流および残留流体の一部を吸着分離チャンバ100に再循環させるための再循環ライン10’であってもよい。これに関し、流体の一部を吸着分離チャンバ100に再循環させることにより、流体の量がラフィネート分別カラム150により処理される。
[0051]図3に示すように、1つの手法では、ラフィネート流20により占められた移送ラインが、脱着剤流10によって以前から占められる。これに関し、移送ラインは、ラフィネート流が次のステップで移送ラインに到達するときに、残留脱着剤流体を主に含むことができる。
[0052]特に図3をさらに参照し、本態様によれば、ラフィネート流20が残留流体を含む移送ラインを通して引き出されて、ラフィネート流の初期スラグが、ラフィネート流20の到着前に移送ラインに残っていた残留流体を含むようにする。前述したように、このラフィネート流の初期スラグが再循環ライン10’に送られて、吸着分離チャンバ100に再循環され得る。このために、図2に関して前述した手法と同様に、ラフィネート流20の初期スラグがラフィネート分別カラム塔底物部分155に送られてもよい。ラフィネートカラム塔底物部分155で、流体のスラグが、ラフィネート分別カラム150の底部にある、一例ではラフィネート分別カラム150内で分離された脱着剤を主に含む流体と組み合わされる。ラフィネートカラム塔底物ポンプ160を使用して、この流体のスラグおよび脱着剤を、再循環ライン10’を通して吸着分離チャンバ100に戻すことができる。あるいは、ラフィネート流20の初期スラグが、抽出物分別カラム塔底物部分180に送られてもよい。抽出物カラム塔底物部分180では、流体のスラグが、抽出物分別カラム175の底部にある、一例では抽出物分別カラム175で分離された脱着剤を主に含む流体と組み合わされる。同様に、抽出物カラム塔底物ポンプ185を使用して、この流体のスラグおよび脱着剤を、再循環ライン10’を通して吸着分離チャンバ100に戻すことができる。
[0053]このように、ラフィネート流20によって引き出される残留流体の少なくとも一部は、ラフィネート分別カラム入口165に向けられない。移送ライン内の残留流体がラフィネート流の流体よりも大きい割合の脱着剤を含むため、有利には、この過剰な脱着剤がラフィネート分別カラム150に送られず、ラフィネート分別カラム15内で分離されない。ラフィネート分別カラム入口165に入る流体がカラムで加熱されるので、残留流体の過剰な脱着剤がラフィネート分別カラム150に導入されると、抽出物生成物の追加の収量をもたらすことなく脱着剤が加熱されて、エネルギー損失を招く。したがって、流体の初期スラグを逸らして過剰な脱着剤がラフィネート分別カラム150に導入されないようにすることによって、システムにより必要とされるエネルギーの量が減少する。
[0054]1つの手法では、ラフィネート流20が吸着分離チャンバ100から引き出されて、移送ライン20’に沿って送られる。1つの手法では、回転弁300が設けられて、ラフィネート流20が移送ラインを通して引き出されて回転弁300に向けられ、そこで図3に示すように単一のラフィネート移送ライン20’と組み合わされる。しかし、吸着分離チャンバ100、105の各移送ラインについて専用のラフィネート移送ライン20’を設けるステップを含む他の構成も考えられる。移送ライン20’は、ラフィネート分別カラム入口165と流体連通する1つのラフィネート入口ライン305を有することができる。移送ライン20’は、抽出物カラム塔底物部分180およびラフィネートカラム塔底物部分155の一方または両方と流体連通する別の塔底物部分ライン310を有することができる。弁315が、ラフィネートカラム入口ライン305とラフィネートカラム塔底物部分ライン310との間のラフィネート流20の流れを逸らすために設けられていてもよい。このように、方法は、弁315を第1の位置に移動させて、残留流体の少なくとも一部を含む初期部分ラフィネート流20をラフィネートカラム塔底物部分ライン310を通して抽出物カラム塔底物部分180およびラフィネートカラム塔底物部分155の一方に向けるステップを含む。本例では、方法が、弁315を第2の位置へ移動させて、ラフィネート流20をラフィネートカラム入口ライン305を通してラフィネート分別カラム入口165側へ向け、ラフィネート分別カラム入口165内でラフィネート流20を分離するステップを含む。
[0055]一態様では、ラフィネート流により移送ラインからフラッシュされた残留流体の少なくとも一部を含むラフィネート流20が、第1の送り先、たとえば抽出物カラムおよびラフィネートカラム塔底物部分180、155の一方または両方に、第1の所定時間またはステップ時間間隔の所定部分(ラフィネート流が現在の移送ラインを占めるとき)だけ向けられる。その後、ラフィネート流が第2の送り先、たとえばラフィネート分別カラム入口165に、第2の所定時間またはステップ時間間隔の所定部分だけ向けられる。第1の所定時間は、ラフィネート流20の流量に基づいて選択されて、移送ライン内の所定量の残留流体を第2の送り先へ、または所定量の全流体を第2の送り先へフラッシュすることができる。一例では、第1の所定時間が、移送ラインおよび関連する弁手段の体積の50%〜250%の流体の体積、ならびに別の例では、移送ラインおよび関連する弁手段の体積の80%〜150%を第1の送り先へ向けるのに十分であり得る。1つの手法では、第2の所定時間がステップ時間間隔の残りであって、ラフィネート流20がステップ時間間隔の残りだけラフィネートカラム入口165に向けられて、ラフィネート分別カラム150内でラフィネート流20を分離するようにする。また、移送ライン内の残留流体の全部または少なくとも一部を第1の送り先へ向けるために所定時間を選択して、残留流体がラフィネート分別カラム150に導入されないようにしてエネルギーを節約することもできる。一例では、第1の所定時間はステップ時間間隔の10%〜90%である。本例における第2の所定時間はステップ時間間隔の10%〜90%である。一例では、第1の所定時間がステップ時間間隔の10%〜30%である。本例における第2の所定時間はステップ時間間隔の70%〜90%である。同様に、ラフィネート流の第1の所定体積を第1の送り先へ向けることができ、ラフィネート流の第2の所定体積を第2の送り先へ向けることができる。第1の所定体積は、第1の所定時間について前述した移送ラインおよび関連する弁手段の体積と同一の割合であり得る。第2の所定体積は、ステップ時間間隔中に移送ラインを通して引き出されるラフィネート流の残りの体積であり得る。
[0056]別の態様では、方法が、任意の残留流体を含むラフィネート流20の組成をモニタして、組成内の成分の量または割合を判定するステップを含む。たとえば、成分は、優先的に吸着された成分、脱着剤成分、または非優先的に吸着された成分の1つであり得る。本手法による方法は、組成が第1の所定のレベルの成分を含むときに、ラフィネート流20および任意の残留流体を第1の送り先へ向けるステップと、組成が第2の所定のレベルの成分を含むときにラフィネート流20を第2の送り先へ向けるステップとを含む。たとえば、方法は、ラフィネート流の組成をモニタして、流れにある脱着剤の量を判定するステップを含むことができる。本例によれば、方法は、脱着剤の量が閾値レベルよりも多いときにラフィネート流を第1の送り先へ向けるステップと、脱着剤の量が閾値レベルよりも少ないときにラフィネート流を第2の送り先へ向けるステップとを含むことができる。このように、ラフィネート分別カラム入口165に送られる脱着剤の量を減少させることができる。
[0057]図4を参照し、別の態様によれば、吸着分離プロセスが、供給原料流5により占められた移送ラインと抽出物流15により占められた移送ラインとの間の浄化ゾーン55の中間移送ライン内の残留流体を、吸着分離チャンバ100、105から離してフラッシュして、残留流体の少なくとも一部を中間移送ラインから除去するための一次フラッシュアウト405を含む。本態様による方法は、中間移送ラインからフラッシュされた残留流体を浄化ゾーン55の移送ラインではない別の移送ラインへ向けて、残留流体が浄化ゾーン55に導入されるのを制限するステップをさらに含む。このように、残留流体の成分が分離されるが、浄化ゾーン55の上部で抽出物流15を介して引き出される前に浄化ゾーン55全体を通って流れるという利点を有していない以前のシステムのように、中間移送ライン内の残留流体が浄化ゾーン内へ戻って注入されることはない。
[0058]一態様では、一次フラッシュアウト405によりフラッシュされた残留流体が、供給原料流5に移送されて、供給原料流5と組み合わされ、供給原料流移送ラインを介して供給原料流5により吸着分離チャンバ105に導入される。このように、供給原料流により導入された残留流体の成分を、供給原料流5を介して導入された供給原料流体により吸着分離ユニット内で分離することができる。これは、残留流体が中間移送ラインを通して浄化ゾーン55内へ直接導入された場合よりも完全な成分分離をもたらす。残留流体の成分が、抽出物流15を介して引き出される前に、供給原料流5と抽出物流15との間の浄化ゾーン55全体を通って流れることができるからである。この手法は、残留流体の成分のより完全な分離によって抽出物流15の純度を高めることができる。
[0059]1つの手法により一次フラッシュアウト405を介してフラッシュされた中間移送ラインに残っている残留流体は、残留供給原料流体を含むことができる。このために、中間移送ラインは供給原料流5によって以前から占められて、ステップの終了時に供給原料流が中間移送ラインから離れて移動するときに、中間移送ラインが残留供給原料流体を含むようにすることができる。有利には、残留供給原料流体が、供給原料流5と組み合わされ、供給原料流移送ラインおよびポートを介して浄化ゾーンに注入されるため、残留供給原料流体の成分が、供給原料流5自体の成分と同程度まで分離される。
[0060]一次フラッシュアウト405移送ラインの圧力が供給原料流移送ラインの圧力より低くてもよいため、圧力差を克服するために一次フラッシュ流体を汲み上げて、供給原料流5と組み合わせる必要があり得る。これに関し、ポンプ410は、中間移送ラインを通る一次フラッシュ流体を汲み上げて、供給原料流405と組み合わせるために設けられ得る。1つの手法では、システムが回転弁を備えることができ、一次フラッシュが中間移送ラインを通して回転弁300にフラッシュされて、供給原料流5と組み合わされる。しかしながら、2つ以上の吸着分離チャンバ100、105が使用される吸着分離チャンバ100、105に沿ったある移送ラインまたはポート25で、供給原料流5の圧力が、一次フラッシュアウト流405の圧力より高くてもよく、一次フラッシュアウト流405は、吸着分離チャンバ100、105の底部近くの移送ライン間に移送されて、吸着分離チャンバ100、105の他方の上部近くの供給原料流5と合流する。これらの位置では、隣接する移送ラインが、回転弁300を使用するプロセスで互いに流体連通することが多いため、ライン内の残留供給原料が抽出物流に押し寄せる可能性がある。したがって、1つの手法では、図4に示すようにポンプ410が回転弁の下流へ位置決めされて、吸着分離チャンバ100、105に沿ったある位置に流れがあるときに、中間移送ライン内の残留供給原料が抽出物流15内へ逆フラッシュするのを制限する。
[0061]一態様によれば、一次フラッシュアウト405は、移送ライン415のポート25を通して吸着分離チャンバ100の浄化ゾーン55から流体を引き出すステップを含む。中間移送ライン内の残留流体を吸着分離チャンバ100から離してフラッシュするために、浄化ゾーン流体は、ポート25に隣接する浄化ゾーン55の位置から引き出されて、中間移送ラインに移送される。有利には、中間移送ライン415を浄化ゾーン流体によりフラッシュすることにより、非優先的に吸着された成分よりも優先的に吸着された成分の濃度が高い流体で移送ライン415を充填して、抽出物流15が次のステップで中間移送ライン415に到達したときに抽出物流15の汚染を減少させる。1つの手法では、浄化ゾーン材料は、抽出物流15により現在占められている移送ライン近くの位置で移送ライン内へ引き出されて、引き出される浄化ゾーン55内の流体の組成が抽出物流の流体の組成と同様になるようにする。1つの手法では、浄化ゾーン流体が、ポート25を通して、抽出物流15により現在占められている移送ラインから2つの移送ライン内の移送ライン内へ引き出される。別の手法では、浄化ゾーン流体が、ポート25を通して、抽出物流15により現在占められている移送ラインに隣接する浄化ゾーン55の中間移送ライン内へ引き出される。このように、一次フラッシュアウト後に移送ライン内に残ったままになる中間移送ラインをフラッシュするために使用される浄化ゾーン流体の組成は、抽出物流の流体の組成と同様であり、次のステップ中に中間移送ラインに到達したときに抽出物流15を汚染することになる、供給原料流からの非優先的に吸着された成分のいずれかを少量しか含まない。一例では、吸着分離チャンバから引き出された浄化ゾーン流体は、0.5%未満の非優先的に吸着された成分を含む。別の例では、一次フラッシュアウト405のために使用される浄化ゾーン材料が、0.005%未満の非優先的に吸着された成分を含む。容易に理解されるように、本態様によれば、一次フラッシュアウト405を移送し供給原料流5と組み合わせることによって、残留流体を一次フラッシュアウトから別の中間移送ラインへ移送するシステムと比べて1つ少ない移送ラインが必要となり得る。
[0062]別の態様による供給原料流からの成分を吸着分離するためのプロセスおよびシステムが、図5に示される。本態様によるプロセスは、図4に関して前述したものと同様の一次フラッシュアウト505を含むことができる。しかしながら、前記一次フラッシュアウト405とは対照的に、本態様による一次フラッシュアウト505は、供給原料流5と組み合わされるのではなく、浄化ゾーン55の別の移送ラインに向けられる。特に、方法は、供給原料流5移送ラインと抽出物流15移送ラインとの間の浄化ゾーン55の中間移送ライン510内の残留流体を、吸着分離チャンバ100または105から離してフラッシュして、残留流体の少なくとも一部を一次フラッシュアウト505を介して中間移送ライン510から除去するステップを含む。方法は、中間移送ライン510からフラッシュされた残留流体を浄化ゾーン55の別の中間移送ライン515へ向けて、この別の中間移送ライン515内の残留流体を、一次フラッシュイン520を介してこの別の中間移送ライン515に隣接する浄化ゾーン内へフラッシュするステップをさらに含む。
[0063]一態様によれば、他の中間移送ライン515は、前のステップ中に中間移送ライン515を占めた供給原料ライン5からの中間移送ライン515内に残っている残留供給原料流体を含む。したがって、フラッシング流体が一次フラッシュイン520中に中間移送ライン515に導入されると、残留供給原料流体が吸着分離チャンバ100または105の浄化ゾーン55に導入される。しかしながら、供給原料流が一次フラッシュイン移送ライン515の下流へすでに移動しているため、残留供給原料は浄化ゾーンの中間位置に導入される。したがって、1つの手法では、浄化ゾーン55内の残留供給原料材料で生じる成分の分離量を増加させるために、一次フラッシュアウト移送ライン510と供給原料流5により現在占められている移送ラインとの間に一次フラッシュイン移送ライン515が位置決めされて、残留供給原料流体が供給原料流近くの浄化ゾーンの一部に導入される。一例では、一次フラッシュイン移送ライン515が供給原料流移送ラインの2つの移送ライン内に位置決めされ、別の例では、供給原料流移送ラインの1つの移送ライン内に位置決めされて、浄化ゾーン55内で生じる残留供給原料流体の成分の分離量を増加させる。
[0064]中間移送ラインの残留流体が一次フラッシュイン520のための移送ライン515に移送されるため、前記一次フラッシュアウト405の場合のように一次フラッシュアウトが始まるときに中間移送ライン510が供給原料流体を主に含まないことを除いて、図4についての一次フラッシュアウト405に関する上記説明は、図5に示す態様による一次フラッシュアウト505にも当てはまる。これに関し、中間移送ライン510内の残留流体が、前のステップ中に一次フラッシュアウト移送ライン510から一次フラッシュイン移送ライン515へ予めフラッシュされた流体を代わりに含むため、一次フラッシュアウト405に関して前述した浄化ゾーン55から引き出された浄化ゾーン流体を主に含む。
[0065]図6を参照すると、別の態様による供給原料流の成分を吸着分離するためのプロセスが示される。本態様によれば、前述したように、抽出物流15が吸着分離チャンバ100から引き出される。抽出物流15は、抽出物分離デバイス、たとえば優先的に吸着された成分を抽出物流15から分離するための抽出分別カラム175に移送され得る。抽出物流15は、抽出物流除去ライン15’を介して抽出物分別カラム入口190に向けられていてもよい。
[0066]本態様による方法は、抽出物流15移送ラインと脱着剤流10移送ラインとの間の脱着ゾーン60の中間移送ライン610を、二次フラッシュ605を介して吸着分離チャンバ100から離してフラッシュして、残留流体を中間移送ライン610から除去するステップを含む。方法は、中間移送ライン610からフラッシュされた残留流体を下流の分離装置へ向けて、残留流体の成分を分離するステップをさらに含む。一態様によれば、中間移送ライン610が抽出物流15によって以前から占められるため、中間移送ライン610内の残留流体は、二次フラッシュ605が始まるときに抽出物流体を主に含む。これに関し、残留抽出物流体が下流の分離装置に向けられて、優先的に吸着された成分を抽出物流体から分離し、優先的に吸着された成分の収量を増加させることができる。
[0067]一態様によれば、中間移送ライン610からフラッシュされた残留抽出物流体が抽出物分別カラム入口175に向けられて、優先的に吸着された成分が残留抽出物流体から蒸留によって分離されて、抽出物生成物195の収量を増加させることができる。
[0068]一態様により、二次フラッシュ605は、中間移送ライン610の対応するポートを介して吸着分離チャンバ100の脱着ゾーン60から引き出される脱着ゾーンフラッシング流体により、中間移送ライン610内の残留流体をフラッシュするステップを含む。一例では、中間移送ライン610が、脱着剤流10により現在占められている移送ラインの2つの移送ライン内にあり、別の例では、脱着剤流10により現在占められている移送ラインの1つの移送ライン内にあって、脱着ゾーンフラッシング流体の組成が脱着剤流10の組成と同様になるようにする。このように、脱着ゾーンフラッシング流体は、二次フラッシュ605が生じた後に中間移送ライン610に残る。次のステップで脱着剤流を中間移送ライン610に移動させると、中間移送ライン610に残っている残留脱着ゾーン流体が、脱着剤流により吸着分離チャンバ100に導入されて、脱着剤ゾーン流体の組成が脱着剤流10の組成と同様になるようにする。
[0069]別の態様によれば、供給原料流5、抽出物流15、脱着剤流10、およびラフィネート流20の2つの間に位置する中間移送ラインをフラッシュして、残留流体を中間移送ラインから除去するステップを含む、供給原料流の成分を吸着分離するためのプロセスが設けられる。本態様による方法は、概して、ステップ時間間隔の少なくとも2つの異なる部分の間に、動的または非定常体積流量で中間移送ラインをフラッシュするステップを含む。
[0070]前述したように、本発明の種々の態様によれば、向流吸着分離は、少なくとも1つの優先的に吸着された成分および少なくとも1つの非優先的に吸着された成分を含む供給原料流5、ならびに脱着剤流10を、多床吸着分離チャンバに沿った2つの異なる対応する移送ラインを介して2つの異なるポート25内へ導入することであって、多床吸着分離チャンバが複数の床を有し、この床が、流体連通して直列に接続され、かつ流体を吸着分離チャンバ内へ導入し、吸着分離チャンバから除去する対応する移送ラインが流体連通する所定数の離間したポートを備える、導入することと、2つの異なる対応する移送ラインを介して多床吸着分離チャンバの2つの異なるポートを通して抽出物流15およびラフィネート流20を引き出すこととを行うステップを含む。吸着分離チャンバ100、105に導入され、これらから引き出される種々の流れは、次のポートまで順に下流へ移動され、または進められる。種々の流れは、典型的には、たとえば回転弁300を回転させることによって次のポート25まで同時に進められ、特定のポート25またはステップで所定のステップ時間間隔だけ維持される。前述したように、1つの手法では4〜100個のポート25、別の手法では12〜48個のポート、さらに別の手法では20〜30個のポート、および等しい数の対応する移送ラインがある。一例では、1つまたは複数の吸着分離チャンバ100、105が24個のポートを含み、各流れが全サイクル中に24個のポート25のそれぞれに移動して、サイクル中に各流れが各ポート25および対応する移送ラインを占めるようにする。本例では、サイクルは、1つの手法では20〜40分、別の手法では22〜35分であり得る。1つの手法では、ステップ時間間隔が30秒〜2分である。別の手法では、ステップ時間間隔が45秒〜1分30秒である。さらに別の手法では、ステップ時間間隔が50秒〜1分15秒である。
[0071]これに関し、方法は、供給原料流5、脱着剤流10、抽出物流15、およびラフィネート流20を含む典型的な流れのうちの2つにより現在占められている2つのライン間の中間移送ラインを、ステップ時間間隔中に非定常または動的体積流量でフラッシュするステップを含む。一態様によれば、方法は、ステップ時間間隔の第1の部分について、第1の流量で中間移送ラインをフラッシュするステップを含む。方法は、ステップ時間間隔中の第1の部分よりも後のステップ時間間隔の第2の部分について、第2の流量で中間移送ラインをフラッシュするステップを含む。このように、ステップ時間間隔の第1の部分および第2の部分の一方の間に、他の部分の間よりも大きい体積の流体が中間移送ラインからフラッシュされる。非定常流量で移送ラインをフラッシュするステップにより、中間移送ライン内へ、または中間移送ラインからフラッシュされた流体の組成、および流体を中間移送ラインに対して導入および導出するタイミングに関して、性能の利点をもたらすことができる。
[0072]一態様では、非定常流量が、ステップ時間間隔の少なくとも一部の間に増減する、傾斜流量、すなわち指数関数的に増減する流量を含むことができる。これに関し、傾斜流量は、ステップ時間間隔の一部の間に増減し得、その時間中に線形または非線形に、たとえば指数関数的に変化し得る。別の態様により、非定常流量は、第1の流量および第2の流量の一方または両方が一定であり、第1の流量および第2の流量の一方が他方とは異なるように、流量のステップ増減を含むことができる。さらに別の態様では、非定常流量が、傾斜部分と体積流量のステップ増減との組合せを含み得る。また、非定常流量は、ステップ時間間隔の追加部分の間に追加の流量を含み得る。流量は、任意の特定のステップ中に増加、減少することができ、または変化しないままとどまることができる。加えて、ステップの終わりに流量を初期値からより高い値、低い値、またはゼロに変化させることができる。図10〜12は、本発明の種々の態様による非定常流量の例を示す。図10は、ステップ時間間隔の少なくとも一部の間に時間1020と共に増加する傾斜流量1015を示す。本例では、ステップ時間間隔の第1の部分の間よりも第2の部分の間により大きい体積の流体がフラッシュされるように、第1の流量1005が第2の流量1010よりも低い。別の例では、第1の流量が第2の流量よりも多くなり、ステップ時間間隔の第2の部分の間よりも第1の部分の間により大きい体積の流体がフラッシュされるように、傾斜流量が時間と共に減少する。一方、図11は、非定常段付き流量の一例を示す。本例では、流量1115が、ステップ時間間隔1120の第1の部分の間に第1の概ね一定の流量1105であり、ステップ時間間隔1120の第2の部分の間に第2の概ね一定のより大きい流量1110まで増加する。別の例では、段付き流量は、第1の流量よりも小さいステップ時間間隔の第2の部分の間に第2の概ね一定の流量を有して、ステップ時間間隔の第1の部分の間に、より大きい体積の流体がフラッシュされるようにする。第1および第2の部分の一方の間の体積流量は、種々の態様によれば、ゼロであり得る。図12に示すさらに別の例では、ステップ時間間隔1220の第1の部分の流量1215は、第1の流量1205で始まり、その後、ステップ時間間隔1220の第2の部分の間に時間と共に指数関数的に減少する第2の流量1210を含む。本発明の種々の態様により、ステップ時間間隔の対応する第1および第2の部分の間に異なる第1および第2の流量を有する他の流量プロファイルも考えられ、さらに他の流量を有するステップ時間間隔の追加の部分があってもよい。
[0073]一態様によれば、第1および第2の流量の一方が、フラッシュされる移送ラインおよび関連する弁手段の体積の50%〜400%をフラッシュするのに十分であり、移送ライン内の残留流体の大部分またはすべてが、ステップ時間間隔の第1または第2の部分の間にフラッシュされるようになっている。別の態様によれば、第1および第2の流量の一方が、ステップ時間間隔の第1または第2の部分の間に移送ラインおよび関連する弁手段の体積の75%〜200%をフラッシュするのに十分である。さらに別の態様では、第1および第2の流量の一方が、ステップ時間間隔の第1または第2の部分の間に移送ラインおよび関連する弁手段の体積の90%〜150%をフラッシュするのに十分である。種々の態様による第1および第2の流量の他方は、1つの手法では移送ラインおよび弁手段の体積の0%〜75%、別の手法では移送ラインおよび弁手段の体積の0%〜50%、さらに別の手法では、移送ライン弁手段の体積の0%〜25%をフラッシュするのに十分であり得る。
[0074]一態様によれば、第1の流量が第2の流量よりも高く、ステップ時間間隔の第1の部分の間に、ステップ時間間隔の第2の部分の間よりも大きい体積の流体がフラッシュされるようになっている。中間移送ライン内の残留流体を吸着分離チャンバ100、105にフラッシュするステップを方法が含み、流量がステップ時間間隔中に一定である場合、または第2の流量が第1の流量よりも大きい場合よりも、残留流体が、次に引き出される前にチャンバ100内での滞留時間が長くなるようにするときに、本態様による方法は、特に有利となり得る。
[0075]別の態様によれば、第2の流量が第1の流量よりも多く、ステップ時間間隔の第2の部分の間に、ステップ時間間隔の第1の部分の間よりも大きい体積の流体がフラッシュされるようになっている。本態様による方法は、吸着分離チャンバ100、105から引き出されたフラッシング流体により残留流体が吸着分離チャンバ100、105から離れてフラッシュされる場合に特に有用となり得る。これに関し、フラッシング流体は、一定の流量が使用されるとき、または第1の流量が第2の流量よりも大きいときよりも、吸着分離チャンバ内での滞留時間が長くなる。有利には、これにより、フラッシング流体中の成分の分離が多くなって、フラッシング流体が、吸着分離チャンバ100、105から引き出され、またはこれらに導入される次の流れよりも類似した組成になるようにする。
[0076]詳細をさらに参照すると、以下の例は概して、供給原料流5および脱着剤流10が、吸着分離チャンバ100、105の異なる移送ラインを介して異なるポート25に導入されるプロセスを含む。抽出物流15およびラフィネート流20は、吸着分離チャンバ100、105の2つの異なる移送ラインを介して2つの他のポート25を通して引き出される。一態様によれば、たとえば図7に示すように、一次フラッシュイン720は、ステップ中に供給原料流5により現在占められている移送ラインとステップ中に抽出物流15により現在占められている位相ラインとの間の中間移送ライン715をフラッシュするステップを含む。移送ライン715内の残留流体は、残留供給原料流体を主に含むことができる。本態様による方法は、ステップ時間間隔の第2の部分の間の第2の体積流量よりも大きい、ステップ時間間隔の第1の部分の間の第1の体積流量で、移送ライン715をフラッシュするステップを含む。このように、ステップ時間間隔の初期の第1の部分の間に、次の第2の部分よりも大きい体積の残留供給原料流体が吸着分離チャンバ100または105にフラッシュされる。これに関し、吸着分離チャンバ100または105にフラッシュされた残留供給原料流体には、次のステップで抽出物流15を通して引き出される前に、吸着分離チャンバ100、105内におけるより長い滞留時間と、非優先的に吸着された成分を分離するための吸着剤へのアクセスとがもたらされる。別の態様によれば、プロセスは、前述したように吸着分離チャンバ100または105から引き出された流体によって、中間移送ライン705を吸着分離チャンバ100または105から離してフラッシュするステップを含む一次フラッシュアウト710を含む。一例では、方法は、移送ライン705をフラッシュするステップを含み、移送ライン705は、ステップ時間間隔の第2の次の部分の間の第2の体積流量よりも少ない、ステップ時間間隔の第1の部分の間の第1の体積流量で、抽出物流によって以前から占められた残留抽出物流体を含み得る。このように、脱着ゾーン60から引き出されたフラッシング流体は、脱着剤流10の組成と同様の組成の流体を含み得る。方法は、残留抽出物流体を中間移送ライン705から中間移送ライン715へフラッシュして、中間抽出物流715内の残留供給原料流体を浄化ゾーン55内へフラッシュするするステップを含むことができる。1つの手法では、方法が、ステップ時間間隔の第2の部分の間の第2の流量よりも大きい、ステップ時間間隔の第1の部分の第1の流量で流体をフラッシュして、ステップ時間間隔の初期部分の間により大きい体積の残留供給原料流体が浄化ゾーン55へ導入され、抽出物流15の前に、供給原料流体のより多くの分離を浄化ゾーン55内で達成することができ、次いで中間移送ライン715に到達し、これを通して引き出されて、抽出物流の純度を高めるようにするステップを含む。
[0077]同様に、前述したように、図6を簡単に参照すると、方法が、中間移送ライン610をフラッシュして、中間移送ライン610からフラッシュされた残留流体を下流の分離装置へ向けるステップを含む二次フラッシュ605を代わりに備えることができる。この分離装置は、一例では、優先的に吸着された成分を中間移送ライン610の残留抽出物流体から分離するための抽出物分離カラム175を含む。本態様による方法は、ステップ時間間隔の第2の次の部分の間の第2の体積流量よりも少ない、ステップ時間間隔の第1の部分の間の第1の体積流量で中間移送ライン610をフラッシュするステップを含むことができる。このように、脱着ゾーン60から引き出されるフラッシング流体は、脱着剤流10と同様の組成の流体を含むことができる。
[0078]別の態様によれば、中間移送ライン725は、フラッシング流体によりフラッシュされて、中間移送ライン内の残留流体を浄化ゾーン55へ導入することができる。本態様によれば、方法は、ステップ時間間隔の次の第2の部分の間の第2の流量よりも大きい、ステップ時間間隔の第1の部分の間の第1の流量で中間移送ライン725をフラッシュして、ステップ時間の第1の部分の間に、第2の部分の間よりも大きい体積の、移送ライン725内の残留流体が浄化ゾーン55にフラッシュされるステップを含むことができる。このように、残留流体は、次のステップで中間移送ライン725に到達するときに抽出物流15により引き出される前に、成分を分離するために、より長い滞留時間、浄化ゾーンに存在する。
[0079]別の態様では、中間移送ライン735が、フラッシング流体により吸着分離チャンバ100または105から離れてフラッシュされて、残留流体を中間移送ライン735から除去する。1つの手法では、中間移送ラインは、サイクルの前のステップ中に中間移送ライン735を占めるラフィネート流20からの残留ラフィネートを含む。本態様によれば、方法は、ステップ時間間隔の第2の部分よりも短いステップ時間間隔の第1の部分の間の第1の流量で吸着ゾーン50から引き出されるフラッシング流体により、中間移送ライン735をフラッシュするステップを含む。このように、フラッシング流体は、残留供給原料流体を中間移送ラインからフラッシュするために中間移送ラインを通して引き出される前に、より長い時間、吸着分離チャンバ100または105内に存在する。したがって、吸着ゾーン55からのフラッシング流体は、供給原料流と同様の組成を有し、ラフィネート流の非優先的に吸着された成分をより少なく含む。中間移送ラインのフラッシュ後、供給原料流5が次のステップ中に中間移送ライン735を通して導入されるときに、フラッシング流体は供給原料流5により導入される残留流体として中間移送ライン内に残り、非優先的に吸着された成分の過剰分による供給原料流の汚染を減少させる。
[0080]図1、4、および5を参照し、前述したような種々の態様によれば、中間移送ライン45、415、または510が吸着分離チャンバ100または105から離れてフラッシュされて、残留流体を吸着分離チャンバ100から除去する。中間移送ライン45、415、または510は、フラッシング流体を浄化ゾーン55から中間移送ライン内へ引き出すことによりフラッシュされて、残留流体を吸着分離チャンバ100または105から離して変位させることができ、次いで、浄化ゾーン55からの残留フラッシング流体で充填される。一態様によれば、方法は、ステップ時間間隔の第1の部分の間に第1の流量で、かつステップ時間間隔の次の第2の部分の間に、第1の流量よりも大きい第2の流量で、中間移送ライン45、415、または510をフラッシュするステップを含む。このように、浄化ゾーン55内での追加の時間と、非優先的に吸着された成分を分離するための吸着剤へのアクセスとがフラッシング流体にもたらされて、浄化ゾーン流体が中間移送ライン45、415、または510をフラッシュするために引き出されるときに、浄化ゾーン流体は、次のステップ中に通して引き出される抽出物流15と同様の組成になる。有利には、本態様による方法は、引出し中に抽出物流15を汚染することになる、中間移送ライン45、405、または510内の残留流体に残る非優先的に吸着された成分の量を減少させることにより、抽出物流15の純度を高める。1つの手法では、前述したように、中間移送ライン415が供給原料流移送ラインに連通して、中間移送ラインからフラッシュされた残留流体が供給原料流5と組み合わされるようにする。別の手法では、前述したように、中間移送ライン510が別の中間移送ライン515に連通して、中間移送ライン510内の残留流体がこの別の中間移送ライン515へフラッシュされることにより、内部の残留供給原料流体を浄化ゾーン55の下流部分へフラッシュするようにする。
[0081]種々の態様によれば、動的フラッシング中に移送ラインを通る流体の体積流量が、弁手段およびコントローラを使用して制御され得る。弁手段は、移送ライン自体に組み込まれて、移送ラインを流れる流体の体積流量を制御または制限することができる。コントローラは、弁および移送ラインを通る流体の流量を制御するために設けられていてもよい。流体をシステムの下流部品に移送するための下流ライン、たとえば、流体を抽出物分別カラム175またはラフィネート分別カラム150にそれぞれ移送するためのライン15’、20’に回転弁300が組み込まれているときに、弁手段が、システム内の他の位置、たとえば回転弁300の下流側に組み込まれていてもよい。
[0082]本擬似移動床プロセスのために吸着剤を選択する際に、唯一の制限となるのは、所望の分離における特定の吸着剤/脱着剤の組合せの有効性である。吸着剤の重要な特徴は、供給原料混合物材料の抽出物成分のための脱着剤の交換速度、言い換えると、抽出物成分の脱着の相対速度である。この特徴は、吸着剤から抽出物成分を回収するためにプロセスで使用されなければならない脱着剤材料の量に直接関係する。交換速度が速いほど、抽出物成分の除去に必要な脱着剤材料の量が減少するため、プロセスの運転費を低下させることができる。交換速度が速いほど、プロセスを通して、より少ない脱着剤材料を汲み上げ、プロセスで再利用するために抽出物流から分離しなければならない。
[0083]したがって、本発明の実施は、異なる篩/脱着剤の組合せが異なる分離に使用されるため、特定の吸着剤または吸着剤/脱着剤の組合せの使用に関連するものではなく、あるいはこれに限定されるものではない。吸着剤はゼオライトであっても、そうでなくてもよい。本発明のプロセスで使用され得る吸着剤の例として、炭素系分子篩を含む非ゼオライト分子篩、シリカライト、ならびにX型およびY型ゼオライトとして分類される結晶アルミノケイ酸塩分子篩が挙げられる。これらの微小孔分子篩の多くの組成および合成についての詳細が、この教示のために本明細書に組み込まれている米国特許第4,793,984号に示される。吸着剤についての情報は、米国特許第4,385,994号、米国特許第4,605,492号、米国特許第4,310,440号、および米国特許第4,440,871号からも得られる。
[0084]概して略一定の圧力および温度で連続して動作されて液相を確保する吸着分離プロセスでは、複数の基準を満たすように脱着剤材料が選択されなければならない。第1に、脱着剤材料は、抽出物成分が次の吸着サイクルで脱着剤材料を変位させるのを過度に妨げるほど強く吸着されることなく、吸着剤から抽出物成分を適度な質量流量で変位させるべきである。選択性に関して述べると、ラフィネート成分に対する脱着剤材料よりもラフィネート成分に対する抽出物成分のすべてについて、吸着剤がより選択的であることが好ましい。第2に、脱着剤材料は、特定の吸着剤および特定の供給原料混合物と親和性がなければならない。より詳細には、ラフィネート成分に対する抽出物成分についての吸着剤の能力または吸着剤の選択性を低下させたり、損なったりしてはならない。加えて、脱着剤材料は、抽出物成分もしくはラフィネート成分と化学反応すべきではなく、または抽出物成分もしくはラフィネート成分の化学反応を生じさせるべきではない。抽出物流およびラフィネート流が、典型的には、脱着剤材料との混合物の吸着剤空隙容量から除去され、脱着剤材料および抽出物成分またはラフィネート成分または両方を伴う化学反応は、生成物回収を複雑にするか、または妨げる。また、脱着剤は、抽出物成分およびラフィネート成分から、分別によって容易に分離されるべきである。最後に、脱着剤材料は、容易に使用可能であり、費用が妥当であるべきである。脱着剤は、特定の適用例に応じて、重または軽脱着剤を含むことができる。重および軽という用語は、C芳香族、すなわち、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレンおよびエチルベンゼンに対する脱着剤の沸点に関連する。指示子「C」が、8の炭素原子を含む化合物を指すことを当業者なら理解するであろう。ある実施形態では、重脱着剤が、パラジエチルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン、テトラリン等、およびこれらの組合せから構成された群から選択される。ある実施形態では、トルエン等を軽脱着剤として使用することができる。パラジエチルベンゼン(p−DEB)は、C芳香族異性体よりも高い沸点を有し、そのため、p−DEBは、分別蒸留カラムにおいてC異性体から分離されるときの塔底(すなわち、重)生成物である。同様に、トルエンはC芳香族異性体よりも低い沸点を有し、そのため、トルエンは、分別蒸留カラムにおいてC異性体から分離されるときの塔頭(すなわち、軽)生成物である。p−DEBは、パラキシレンの分離において脱着剤として使用するための商業規格を有する。
[0085]概して、吸着条件は、20℃〜250℃の温度範囲を含み、60℃〜200℃がパラキシレン分離に好ましい。また吸着条件は、液相を維持するのに十分な圧力を含み、これは大気〜2MPaであり得る。脱着条件は、概して、吸着条件に使用されるものと同一の温度および圧力範囲を含む。他の抽出物化合物については、異なる条件も好ましい。
[0086]上記の説明および例は、範囲を限定することなく本発明を示すものである。本発明の図示し説明した特定の実施形態があるが、当業者は多くの変更形態および修正形態を想到することが理解され、添付の特許請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲に含まれるそれらすべての変更形態および修正形態を包含することが意図される。

Claims (10)

  1. 供給原料流内の成分を擬似向流吸着分離によって分離するための方法であって、
    少なくとも1つの優先的に吸着された成分および少なくとも1つの非優先的に吸着された成分を含む供給原料流、ならびに脱着剤流を、多床吸着分離チャンバに沿った2つの異なる対応する移送ラインを介して2つの異なるポートに導入することであって、前記多床吸着分離チャンバが複数の床を有し、前記床が、流体連通して直列に接続され、かつ前記吸着分離チャンバ内へ流体を導入し、前記吸着分離チャンバから流体を除去する対応する移送ラインが流体連通する所定数の離間したポートを備える、導入することと、2つの異なる対応する移送ラインを介して前記多床吸着分離チャンバの2つの異なるポートを通して抽出物流およびラフィネート流を引き出すこととを行うステップと、
    前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの一方を、残留流体を含む1つの移送ラインを通して、前記吸着分離チャンバから離して引き出すステップと、
    前記1つの移送ラインを通して引き出された前記残留流体の少なくとも一部を含む、前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方の初期部分を、第1の送り先へ向けるステップと、
    前記1つの移送ラインを通して引き出された前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方の次の部分を、第2の送り先へ向けるステップと
    を含む方法。
  2. 前記第1の送り先が、前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方と前記残留流体の前記一部とを前記吸着分離チャンバへ再循環させるための再循環ラインである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方が前記抽出物流であり、前記第2の送り先が抽出物分別カラムの入口であり、前記第1の送り先が、前記抽出物分別カラムの入口以外の送り先であって、前記残留流体の少なくとも前記一部が前記抽出物分別カラムに入って抽出物生成物を汚染することを制限する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記供給原料流の濃度よりも高い濃度の前記優先的に吸着された成分と前記供給原料流の濃度よりも低い濃度の前記非優先的に吸着された成分とを含むフラッシング流体により、供給原料流移送ラインと以前の抽出物流移送ラインとの間に位置決めされた前記1つの移送ラインを、前記移送ラインを通して前記抽出物流を引き出す前にフラッシュして、残留供給原料を前記1つの移送ラインから変位させ、前記抽出物流が前記移送ラインを通して次に引き出されるときに前記1つの移送ラインにある前記残留流体が、前記フラッシング流体を主に含むようにするステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記脱着剤流が前記吸着分離チャンバに導入されるポートと前記抽出物流が前記吸着分離チャンバから引き出されるポートとの間の前記吸着分離チャンバの領域として画定される脱着ゾーンに隣接する、前記抽出物流によって以前から占められていた移送ラインから、前記フラッシング流体が引き出される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記1つの移送ラインを通る前記残留流体の少なくとも一部を含む前記抽出物流が、前記吸着分離チャンバに戻って再循環するために、前記第1の送り先としての抽出物分別カラムおよびラフィネート分別カラムのうちの少なくとも一方の塔底物部分に送られて、前記残留流体が抽出物分別カラム入口およびラフィネート分別カラム入口のうちの少なくとも一方に導入されて分別カラムから生成される生成物を汚染することがないようにする、請求項3に記載の方法。
  7. 前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方が前記ラフィネート流であり、前記第2の送り先がラフィネート分別カラムの入口であり、前記第1の送り先が前記抽出物分別カラムの入口以外の送り先であって、前記残留流体の少なくとも前記一部が前記ラフィネート分別カラムに入ることを制限してエネルギー消費量を減らす、請求項1に記載の方法。
  8. 前記1つの移送ラインが、前記脱着剤流によって以前から占められて、前記1つの移送ライン内の前記残留流体が脱着剤を主に含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記1つの移送ラインを通して引き出される、前記残留流体の少なくとも一部を含む前記ラフィネート流が、前記吸着分離チャンバに戻って再循環するために、前記第1の送り先としてのラフィネート分別カラムおよび抽出物分別カラムのうちの一方の塔底物部分に送られて、前記残留流体の前記一部が前記ラフィネート分別カラムおよび前記抽出物分別カラム入口のうちの前記一方に導入されないようにしてエネルギー消費量を減らす、請求項7に記載の方法。
  10. 前記1つの移送ラインからの任意の残留流体を含む前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方の組成をモニタするステップと、前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方が所定量を超える残留流体成分を含むときに、前記抽出物流および前記ラフィネート流のうちの前記一方を前記第1の送り先に向けるステップと、前記流体が前記所定量未満の残留流体成分を含むときに、前記流体を前記第2の送り先に向けるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
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