JP3330044B2 - 半導体発光ダイオード - Google Patents

半導体発光ダイオード

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JP3330044B2 JP2420297A JP2420297A JP3330044B2 JP 3330044 B2 JP3330044 B2 JP 3330044B2 JP 2420297 A JP2420297 A JP 2420297A JP 2420297 A JP2420297 A JP 2420297A JP 3330044 B2 JP3330044 B2 JP 3330044B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体発光ダイオー
ドに関わり、特に光の外部への取り出し効率を高めるた
めに光反射多層膜を有する発光ダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】AlGaInP系材料は、窒化物を除く
III−V族化合物半導体材料の中で最大の直接遷移型
バンドギャップを有し、波長が0.5〜0.6μm帯の
発光素子材料として注目されている。特に、GaAsを
基板とし、これに格子整合するAlGaInP系材料に
よる発光部(活性層を含む積層構造)をGaAs基板上
に成長させて形成されているpn接合型発光ダイオード
(以下、単にLEDと記す)は、従来のGaPやAlG
aAsなどの間接遷移型の材料を用いたものに比べて、
赤色から緑色に相当する波長域でより高輝度の発光が可
能である。
【0003】また、高輝度のLEDを形成するために
は、発光効率を高めることに加えて、発光部への電流注
入効率の向上や、素子外部への光の効率的な取り出しを
実現することが重要である。
【0004】図16(a)は、AlGaInP系材料を
用いた発光部を有する、従来技術によるLED100の
断面図、図16(b)は図(a)のA部拡大図である。
LED100においては、n型GaAs基板101の上
に、n型GaAsバッファ層102が形成され、その上
に、n型AlInP層103a及びn型GaInP層1
03bを1つのペアとして、これを多数ペア(例えば1
0ペア)積層してなる光反射多層膜(分布ブラッグリフ
レクター:以下、DBRと記す)103が形成されてい
る。
【0005】ここで、n型AlInP層103a及びn
型GaInP層103b各々の厚さは、その屈折率を各
々n1,n2とすると、発光波長λに対して例えばλ/4
1、λ/4n2として設計される。
【0006】そしてさらにその上に、n型AlGaIn
Pクラッド層104、AlGaInP活性層105、p
型AlGaInPクラッド層106及びp型GaP電流
拡散層107が順次積層されている。さらに、p型Ga
P電流拡散層107の上にはp型電極108が形成さ
れ、n型GaAs基板101の下面にはn型電極109
が形成され、これによってLED100が構成されてい
る。
【0007】光半導体多層膜が無い構造のLEDでは活
性層から発する光の内、下方向(GaAs101基板方
向)へ向かう光はGaAs基板により吸収されるため外
部へ取り出すことが出来ないのに比べ、上記LED10
0では、光反射多層膜103を備えているため、活性層
105から下方向へ向かう光もこの光反射多層膜103
で反射されて上方向へ出射するため、光の取り出し効率
を向上できる。
【0008】また、図16の実施例より構造は複雑とな
るが、光反射多層膜の反射波長領域を広げるために、例
えば特開平5−37017号公報に、以下のようなLE
Dが提案されている。図17(a)は上記公開公報に開
示されているLED200の構成を示す断面図、図17
(b)は図17(a)のB部拡大図である。
【0009】LED200では、n型GaAs基板20
1の上に、n型AlAs202a及びn型GaAs20
2bを1つのペアとして、これを多数ペア(例えば10
ペア)積層してなるDBR202が形成されている。さ
らにその上に、下部クラッド層203、活性層204、
上部クラッド層205によってダブルヘテロ構造が構成
されている。そして、その上にさらにキャップ層20
6、p型電極207が形成され、n型GaAs基板20
1の下面にはn型電極208が形成され、これによって
LED200が構成されている。
【0010】このLED200ではDBR202の層の
構成は、図18のように、中心反射波長に対応する膜厚
Tに対して長波長、短波長に各々DDの割合だけ膜厚を
チャープ状に徐々に変化させた構成となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図16
及び図17に示した各実施例においては以下のような問
題点がある。まず、図16に示した実施例について述べ
る。この図16の実施例におけるDBRのペア数と平均
反射強度の関係は図19に示すとおりである。ここで、
波長は0.59μmとした。なお、縦軸の平均反射強度
とは、反射面から各方位に向かってどの程度光が反射さ
れるかを平均した強度を示す。
【0012】図19から明らかなように、ペア数を多く
するほど平均反射強度は向上していくが、途中で飽和す
る傾向が見られる。20ペア以上では、平均反射強度は
0.47付近から殆ど向上していない。
【0013】また、図17に示した実施例における反射
率の波長依存性を図20及び図21に示す。図20及び
図21はぞれぞれ、中心反射波長の設計を0.9μm及
び0.6μmとした場合の特性であり、各々、P1、P
2が単一周期のDBRの特性を、また、Q1、Q2がチ
ャープ状に変化させたDBRの特性を示している。な
お、図20、図21の縦軸の反射率は、反射面から垂直
方向に対する反射率を示している。
【0014】図20では、単一周期、チャープ状いづれ
のDBRでも高い反射率を持ち、また、チャープ状とす
ることで反射波長領域を長波長側、短波長側いずれにも
広くすることができる。しかし、図21ではいづれのD
BRでも反射強度が弱く、さらに、チャープ状としても
長波長側へ波長領域を広げることができていない。つま
り、波長によっては特性が極めて劣化する場合がある。
【0015】発明者は、上記両構造の各問題点について
検討した結果、いづれの問題点も両構造の共通点である
ところの、DBRを構成する層が発光層からの光を吸収
する特性を有している点によって引き起こされているこ
とを見い出した。
【0016】即ち、図16の実施例においては、DBR
103を構成する層の内、GaInP103bが反射波
長領域において光を吸収する特性を持っているため、D
BRの中でも発光層から離れた部分の反射が反射強度に
寄与しにくくなるためであると考えられる。図17の実
施例においても、DBR202を構成するn型GaAs
層202bが光を吸収する特性があるために、図16の
実施例と同様、単一周期でも反射率が低く、さらにチャ
ープ状DBRでは、DBRの下層になる程、即ち発光層
から離れるほど長波長の光を反射する設計となっている
ために、長波長領域での反射強度が低くなっていると考
えられる。
【0017】なお、上記問題点は他の材料系のLED、
例えば、光通信や表示器等に使用される波長0.7〜
1.0μm帯の発光素子材料として知られるAlGaA
s系やAlGaInAs系のLEDにも見られることを
確認している。
【0018】そこで、本発明の目的は上記点に鑑み、D
BRが発光層の光を吸収しないようにして、ペア数を増
加させても平均反射率が飽和することなく、ペア数の増
加に応じて有効に平均反射率を向上でき、特にチャープ
状のDBRを有する場合においては、広い反射波長領域
を確保しつつ、中心波長の反射強度を向上できるような
半導体発光ダイオードを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、半導体基板上に、活性層と、前記半導体基
板と前記活性層との間に配置され前記活性層から前記半
導体基板方向に向かう光を反射させる光反射多層膜とを
少なくとも有する半導体発光ダイオードにおいて、前記
光反射多層膜は、互いに異なる屈折率を有する2種類の
膜を一対として、この対が複数積層されてなり、且つ前
記複数の対が活性層からの発光波長を反射する層厚より
も薄い層厚から厚い層厚まで前記半導体基板側から前記
活性層側に厚くなるように一定割合で連続的に変化して
積層されてなり、前記光反射多層膜が、前記活性層のバ
ンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する半導
体材料により形成されてなることを特徴とする。
【0020】このように、光反射多層膜の材料を活性層
のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する
半導体材料としているので、従来構造のように活性層か
ら発した光が光反射多層膜の途中で吸収されるというこ
とがなく、活性層から離れた位置にある多層膜でも反射
に寄与できるため、光の取り出し効率を向上できる。
【0021】
【0022】
【0023】前記半導体基板はGaAs基板からなり、
前記活性層はAlGaInP系材料からなり、且つ前記
光反射多層膜はAlInP系材料とAlGaInP系材
料とを交互に積層してなることを特徴とする。ここで、
前記光反射多層膜は、AlInP系材料からなる膜とA
lGaInP系材料からなる膜とを一対として、少なく
とも20対以上積層されてなることを特徴とする。
【0024】また、前記半導体基板はGaAs基板から
なり、前記活性層はAlGaAs系材料からなることを
特徴とする。
【0025】また、前記半導体基板はGaAs基板から
なり、前記活性層はAlGaInAs系材料からなるこ
とを特徴とする。
【0026】ここで、上記光反射多層膜は、少なくとも
5対以上積層されてなることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の一参考例について、図1
(a)及び(b)を参照して説明する。図1(a)は本
参考例による半導体発光ダイオード(LED、以下LE
Dと記す)の断面図、図1(b)は図1(a)のC部拡
大図である。
【0028】本参考例のLED1は、図1(a)に示す
ように、n型GaAs基板11の上に、光反射多層膜
(以下、DBRと記す)12を形成するのであるが、こ
こで、DBR12を構成する膜の材料として、後述の活
性層14からの発光に対して光吸収が小さい材料を用い
る。
【0029】このような材料を使用する理由は、従来構
造の問題点に対する以下のような発明者の考察に基づい
ている。即ち、従来構造において、DBRを構成するペ
ア数を増加させていくとある程度以上のペア数では平均
反射率が飽和してしまい、それ以上の反射率の向上は期
待できなかったが、これは従来構造のDBRを構成する
層には反射波長領域において光を吸収する特性を有する
ものを使用していたため、DBRの中でも特に発光層か
ら離れた部分の反射が反射強度に寄与しにくくなるため
であると考えられる。そこで、発光層から離れた部分の
ペアも反射強度に寄与できるよう構成した点に本構造の
特徴がある。
【0030】具体的には、図1(b)のように、n型A
0.51In0.49P層12aとn型(AlXGa1-X0.51
In0.49P(0≦X≦1)層12bを1ペアとして多数
ペア(ここでは40ペア)で構成された光反射多層膜
(以下、DBRと記す)12を積層している。
【0031】ここで、n型Al0.51In0.49P層12
a及びn型(AlXGa1-X0.51In0.49P(0≦X≦
1)層12bの各層の厚さd1及びd2は、各々の屈折率
をn1及びn2、活性層からの発光波長をλとした場合
に、例えば次式によって決定される。
【0032】d1=λ/4n1・・・式(1) d2=λ/4n2・・・式(2) 次いで、DBR12の上に、n型(AlXGa1-X0.51
In0.49P(0≦X≦1)下部クラッド層13(例えば
X=1.0、厚さ1.0μm)、(AlXGa1-X0.51
In0.49P(0≦X≦1)活性層14(例えばX=0.
3、厚さ0.5μm)、p型(AlXGa1-X0.51In
0.49P(0≦X≦1)上部クラッド層15(例えばX=
1.0、厚さ1.0μm)を順次積層し、さらに、p型
(AlXGa1-X0.51In0.49P(0≦X≦1)上部ク
ラッド層15の上に、p型GaP電流拡散層16を形成
する。
【0033】次に、p型GaP電流拡散層16の上に例
えばAu−Zn膜を蒸着して、これを例えば円形にパタ
ーニングしてp型電極17を形成する。一方、GaAs
基板11の下面には、例えばAu−Zn膜からなるn型
電極18を蒸着により形成する。以上のようにして本
例のLED1が完成する。
【0034】上記参考例では、DBR12として活性層
14からの発光に対して光吸収係数が小さいものを使用
しているので、DBR12を構成するペア数を大きくす
るほど平均反射率は上昇し所望の平均反射率を得ること
ができる。この点について、本参考例によるDBRのペ
ア数と平均反射率との関係を図2の特性図を参照して説
明する。
【0035】図16の従来構造の特性を示す図19の特
性図と比較すると、図19においては、ペア数を40ペ
アとしても平均反射率は0.5に満たなかったが、本
例によれば、図2から明らかなように、40ペアで平
均反射率は0.7強に達していることがわかる。発光輝
度を比較しても、図16の従来構造に比べ、本参考例の
方が約1.3倍の輝度を有することを確認できた。
【0036】なお、ペア数が20未満の場合には、むし
ろ従来例の方が平均反射率は高く、本参考例の構造が特
に有効なのは20ペア以上であることがわかる。しかし
今後さらに高輝度化が要請される中にあって、ペア数の
増加によって従来得られなかったような平均反射率を達
成できる本構造は極めて有用である。
【0037】図3(a)は、本発明の他の参考例による
LEDの断面図、図3(b)は図3(a)のD部拡大図
である。
【0038】本参考例のLED2は図3(a)に示すよ
うに、n型GaAs基板21の上に、光反射多層膜(以
下、DBRと記す)22を形成するのであるが、ここ
で、DBR22を構成する膜の材料として、後述の活性
層24からの発光に対して光吸収が小さい材料を用い
る。
【0039】具体的には、図3(b)のように、n型A
0.51In0.49P層22aとn型(AlXGa1-X0.51
In0.49P(0≦X≦1)層22b(例えばX=0.3
5)とを1つのペアとして多数ペア(ここでは40ペ
ア)で構成されたDBR22を積層する。本参考例にお
けるDBR22は、その層厚が下層から上層に向かうに
従って徐々に変化するチャープ状のDBRとなってお
り、n型Al0.51In0.49P層22aとn型(AlX
1-X0.51In0.49P(0≦X≦1)層22bの厚さ
は、各々の屈折率をn1、n2、活性層24からの発光波
長をλとすると、例えば次のように設計される。
【0040】即ち、図4に示すように、n型Al0.51
0.49P層22aについては、その最下層、最上層の層
厚を各々、(λ/4n1)×(1+DD1)、(λ/4n
1)×(1−DD2)とし、同様に、n型(AlX
1-X0.51In0.49P(0≦X≦1)層22bの最下
層、最上層の層厚を各々、(λ/4n2)×(1+D
1)、(λ/4n2)×(1−DD2)とし、最下層と
最上層の間の層については等間隔となるように層厚を決
定する。
【0041】次いで、DBR22の上に、n型(AlX
Ga1-X0.51In0.49P(0≦X≦1)下部クラッド層
23(例えばX=1.0、厚さ1.0μm)、n型(A
XGa1-X0.51In0.49P(0≦X≦1)活性層24
(例えばX=0.3、厚さ0.5μm)、p型(AlX
Ga1-X0.51In0.49P(0≦X≦1)上部クラッド層
25(例えばX=1.3、厚さ1.0μm)を順次積層
し、さらにこの上にp型GaP電流拡散層26を形成す
る。
【0042】次に、p型電流拡散層26の上に例えばA
u−Zn膜を蒸着して、これを例えば円形にパターニン
グしてp型電極27を形成する。一方、GaAs基板2
1の下面には、例えばAu−Zn膜からなるn型電極2
8を蒸着により形成する。このようにしてLED2が完
成する。
【0043】図5はLED2におけるDBR22の反射
スペクトルを示した図(本参考例の特性を図中Rで示
す)である。図5では比較のためにDBRを構成する材
料としてGa0.51In0.49P及びAl0.51In0.49Pを
用いてLED2と同じ層厚で作製したDBRの反射スペ
クトルを示している(この比較例の特性を図中、Sで示
す)。
【0044】図5から明らかなように、本参考例Rの特
性に比較してSの特性では、長波長側で反射強度が低い
ことがわかる。これは、Sの特性のDBRではGa0.51
In0.49Pが活性層からの光に対して吸収特性をもって
いるために下側に位置するDBRの層まで光が届かず、
結果的に下側に位置するDBRの層が反射特性に対して
寄与できないためである。LED2に示したような層厚
構成ではDBRの下側ほど長波長の光を反射する構成と
なっているため、特性EのDBRでは長波長側で反射強
度が低くなっている。
【0045】これに対して、LED2のDBR22は、
その材料に活性層24からの光を吸収しない組成を用い
ているため、下側に位置するDBRの層も反射強度に対
して寄与でき、長波長側でも高い反射強度を確保でき、
図5に示すような良好な反射特性が得られる。
【0046】このように、チャープ状DBRを構成する
場合においても、DBRを構成する材料に活性層からの
光に対して光吸収が小さい材料を用いることでDBRの
反射波長領域を広げることができ、これにより本参考
のLED2は従来構造のLED200に比較して約1.
2倍の発光輝度を得ることができる。
【0047】なお、本参考例においては上層に向かって
薄くなる層厚構成のDBRとなっているが、逆に上層に
向かって厚くなる層厚構成のDBRにおいても、長波
長、短波長の関係が逆になるだけで、同様に反射波長領
域を広げる効果があり、ほぼ同等の発光輝度の向上が可
能である。
【0048】また、本参考例においても、図1の参考
と同様、DBRを構成する総数が20ペア以上の時に従
来構造にない顕著な反射強度が得られる。
【0049】図6(a)は、本発明のさらに他の参考
によるLEDの断面図、図6(b)は図6(a)のE部
拡大図である。本参考例は、本発明をAlGaAs系材
料のLEDに適用したものである。
【0050】図6に示すように、LED3はn型GaA
s基板31の上に、n型AlAs32aとn型Alx
1-xAs(0≦x≦1)32b(例えばx=0.1)
をペアとして多数ペア(例えば20ペア)で構成された
光反射多層膜(DBR)32を積層する。
【0051】ここで、n型AlAs32aとn型AlG
aAs(0≦x≦1)32bの厚さd1、d2は、各々の
屈折率をn1、n2、活性層からの発光波長をλとする
と、例えば次式に基づいて設計される。
【0052】d1=λ/4n1・・・(1) d2=λ/4n2・・・(2) 次いで、DBR32の上に、n型AlxGa1-xAs(0
≦x≦1)下部クラッド層33(例えばx=0.7、厚
さ1.0μm)、AlxGa1-xAs(0≦x≦1)活性
層34(例えばx=0、厚さ0.5μm)、p型Alx
Ga1-xAs(0≦x≦1)上部クラッド層35(例え
ばx=0.7、厚さ1.0μm)を順次積層し、この上
にさらにp型GaAsコンタクト層36を形成する。
【0053】次に、p型GaAsコンタクト層36の上
に例えばAu−Be膜を蒸着して、これを例えば円形に
パターニングしてp型電極37を形成する。一方、Ga
As基板31の下面には、例えばAu−Zn膜からなる
n型電極38を蒸着により形成してLED1を完成す
る。
【0054】図7は本参考例によるDBR32の平均反
射強度のペア数依存性を示す図である。DBRを構成す
る層の材料として活性層からの発光に対して光吸収依存
性の大きいものを使った従来のLEDでは、DBRのペ
ア数を多くする程、平均反射強度は向上するものの飽和
する傾向がある。それに対して、本参考例ではDBRを
構成する材料に活性層からの発光に対して光り吸収係数
が小さいものを使用していることで、ペア数を多くする
ほど平均反射強度を高くでき、反射率を100%に近づ
けることができる。本参考例によれば従来技術によるL
EDに比べて約1.3倍の発光輝度を得ることができ
た。
【0055】図8(a)は本発明のさらに他の参考例に
よるLEDの断面図、図8(b)は図8(a)のF部拡
大図である。図8に示すように本参考例のLED4は、
n型GaAs基板41の上に、n型AlAs層42aと
n型InXGa1-XAs層(0≦x≦1)42b(例えば
x=0.0)をペアとして多数ペア(例えば20ペア)
で構成された光反射多層膜(DBR)42を積層する。
n型AlAs層42a及びn型InXGa1-XAs層42
bの厚さは、前述の図6の参考例と同様の手法によって
決定する。
【0056】次いで、DBR42の上に、n型Alx
1-xAs(0≦x≦1)下部クラッド層43(例えば
x=0.0、厚さ1.0μm)、(AlxGa1-xy
1-yAs(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層44(例
えばx=0.0、y=0.8及び厚さ100Å)、p型
AlxGa1-xAs(0≦x≦1)上部クラッド層45
(例えばx=0.0及び厚さ1.0μm)を順次積層
し、さらにこの上にp型GaAsコンタクト層46を形
成する。
【0057】次に、p型GaAsコンタクト層46の上
に例えばAu−Be膜を蒸着して、これを例えば円形に
パターニングしてp型電極47を形成する。一方、Ga
As基板41の下面には、例えばAu−Zn膜からなる
n型電極48を蒸着により形成してLED4を完成す
る。
【0058】図9は上記のように形成されたLED4に
おける、DBRの平均反射強度のペア数依存性を示す図
である。本参考例によるLED4も、図6の参考例と同
様、DBRを構成する層の材料として、活性層からの発
光に対して光吸収係数の小さいものを用いているため、
ペア数を多くするほど平均反射強度を高くでき反射率を
100%に近くすることができる。本参考例によっても
従来技術によるLEDに比べて約1.3倍の発光輝度を
得ることができた。
【0059】図10(a)は本発明のさらに他の参考
によるLEDの断面図、図10(b)は図10(a)の
G部拡大図である。図10に示すように、LED5は、
n型GaAs基板51の上にn型AlAs層52aとn
型AlXGa1-XAs層(0≦x≦1)52b(例えばx
=0.1)をペアとして多数ペア(例えば40ペア)で
構成された光反射多層膜(DBR)52を積層する。本
参考例におけるDBR52は、その膜厚が下層から上層
に向かうに従って徐々に変更するチャープ状のDBRと
なっており、n型AlAs層52aとn型AlXGa1-X
As層(0≦x≦1)52bの厚さは、各々の屈折率を
1、n2、活性層からの発光波長をλとすると、例えば
次のように設計される。
【0060】図11にn型AlAs層52aの層厚を例
に示すように、n型AlAs52aについてはその最下
層、最上層の層厚を各々、 (λ/4n1)×(1+DD1)、(λ/4n1)×(1
−DD2) とし、同様に、n型AlxGa1-xAs層(0≦x≦1)
52bの最下層、最上層の層厚を各々、 (λ/4n2)×(1+DD1)、(λ/4n2)×(1
−DD2) とし、最下層と最上層の間の層については、すべて等間
隔となるように層厚を決定する。
【0061】次いで、DBR52の上に、n型Alx
1-xAs(0≦x≦1)下部クラッド層53(例えば
x=0.7及び厚さ1.0μm)、AlxGa1-xAs
(0≦x≦1)活性層54(例えばx=0.0及び厚さ
0.5μm)、p型AlxGa1-xAs(0≦x≦1)上
部クラッド層55(例えばx=0.7及び厚さ1.0μ
m)を順次積層し、さらにこの上にp型GaAsコンタ
クト層56を形成する。
【0062】次に、p型GaAsコンタクト層56の上
に例えばAu−Be膜を蒸着して、これを例えば円形に
パターニングしてp型電極57を形成する。一方、Ga
As基板51の下面には、例えばAu−Zn膜からなる
n型電極58を蒸着により形成して、LED5を得る。
【0063】図12はLED5におけるDBRの反射ス
ペクトルを示した図である。図12においては、比較の
ために、DBRを構成する材料として、AlAs及びG
aAsを用いてLED5と同じ層厚構成で作成したDB
Rの反射スペクトルを示している(この比較例の特性を
図中、S’で示す)。図12から明らかなように、本
例R’の特性に比較して長波長側で反射強度が低いこ
とがわかる。
【0064】これは、比較例SのDBRでは、GaAs
が活性層からの光に対して吸収特性を有しているため
に、下側に位置するDBRの層が反射特性に対して寄与
できないためである。LED5の層構成ではDBRの下
側ほど長波長の光りを反射する構成となっているため、
長波長側での反射強度が低くなっている。
【0065】これに対して本参考例のDBRの材料とし
ては、活性層からの光を吸収しない材料を組成を用いて
いるため、下側に位置するDBRも反射強度に対して寄
与できる、この結果、長波長側でも高い反射強度を保っ
ており良好な反射特性を有している。
【0066】このようにチャープ状DBRを構成する場
合において、DBRを構成する材料として活性層からの
発光に対して光吸収が小さい材料を用いることでDBR
の反射波長領域を広げることができる。これにより本
例によれば、従来技術によるLEDに比較して約1.
4倍の発光輝度を得ることができた。
【0067】なお、上記参考は上層ほど層厚が薄くな
るDBR構造としているが、本発明の実施例は、逆に上
層ほど厚くなる層厚構成のDBR構造としたものであ
、長波長、短波長の関係が逆になるだけで、同様に反
射波長領域を広げる効果があり、ほぼ同等の発光輝度の
向上が可能である。
【0068】図13(a)は、本発明のさらに他の参考
例によるLEDの断面図、図13(b)は及び図13
(a)のH部拡大図である。
【0069】図13に示すように、LED6は、n型G
aAs基板61の上にn型AlAs層62aとn型In
XGa1-XAs層(0≦x≦1)62b(例えばx=0.
0)をペアとして多数ペア(例えば40ペア)で構成さ
れた光反射多層膜(DBR)62を積層する。本参考
におけるDBR62は、その膜厚が下層から上層に向か
うに従って徐々に変更するチャープ状のDBRとなって
おり、n型AlAs層62aとn型InXGa1-XAs層
(0≦x≦1)62bの厚さは、各々の屈折率をn1
2、活性層からの発光波長をλとすると、例えば以下
のように設計される。
【0070】図14にn型AlAs層62aの層厚を例
に示すように、n型AlAs62aについてはその最下
層、最上層の層厚を各々、 (λ/4n1)×(1+DD1)、(λ/4n1)×(1
−DD2) とし、同様に、n型InxGa1-xAs層(0≦x≦1)
62bの最下層、最上層の層厚を各々、 (λ/4n2)×(1+DD1)、(λ/4n2)×(1
−DD2) とし、最下層と最上層の間の層についてはすべて等間隔
となるように層厚を決定する。
【0071】次いで、DBR62の上に、n型Alx
1-xAs(0≦x≦1)下部クラッド層63(例えば
x=0.7及び厚さ1.0μm)、(AlxGa1-xy
In1-yAs(0≦x≦1、0≦y≦1)活性層64
(例えばx=0.0、y=0.8及び厚さ100Å)、
p型AlxGa1-xAs(0≦x≦1)上部クラッド層6
5(例えばx=0.7及び厚さ1.0μm)を順次積層
し、さらにこの上にp型GaAsコンタクト層66を形
成する。
【0072】次に、p型GaAsコンタクト層66の上
に例えばAu−Be膜を蒸着して、これを例えば円形に
パターニングしてp型電極67を形成する。一方、Ga
As基板61の下面には、例えばAu−Zn膜例えばA
u−Zn膜からなるn型電極68を蒸着により形成し
て、LED6を得る。
【0073】図15はLED6におけるDBRの反射ス
ペクトルを示した図である。図15においては、比較の
ために、DBRを構成する材料として、AlAs及びI
XGa1-XAs(x=0.25)を用いてLED6と同
じ層厚構成で作成したDBRの反射スペクトルを示して
いる(この比較例の特性を図中、S”で示す)。図15
から明らかなように、本参考例R”の特性に比較して長
波長側で反射強度が低いことがわかる。
【0074】このような特性となっているのは、図10
参考例で説明したのと同じ理由による。即ち、比較例
S”のDBRでは、GaAsが活性層からの光に対して
吸収特性を有しているために、下側に位置するDBRの
層が反射特性に対して寄与できないためである。LED
6の層構成ではDBRの下側ほど長波長の光を反射する
構成となっているため、長波長側での反射強度が低くな
っている。
【0075】これに対して本参考例のDBRの材料とし
ては、活性層からの光を吸収しない材料を組成を用いて
いるため、下側に位置するDBRも反射強度に対して寄
与でき、この結果、長波長側でも高い反射強度を保って
おり良好な反射特性を有している。
【0076】このようにチャープ状DBRを構成する場
合において、DBRを構成する材料として活性層からの
発光に対して光吸収が小さい材料を用いることでDBR
の反射波長領域を広げることができる。これにより本
例によれば、従来技術によるLEDに比較して約1.
4倍の発光輝度を得ることができた。
【0077】ところで、本参考は上層ほど層厚が薄く
なるDBR構造としているが、本発明の実施例は、逆に
上層ほど厚くなる層厚構成のDBR構造としたものであ
、長波長、短波長の関係が逆になるだけで、同様に反
射波長領域を広げる効果があり、ほぼ同等の発光輝度の
向上が可能である。
【0078】なお、以上に説明した本発明の実施例とし
ては、DBRの層厚構成として単一周期のものと、チャ
ープ状構成のものについて述べたが、屈折率差を利用し
て反射を意図する多層反射膜であればその層厚構成によ
らず、本発明を適用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による半導
体発光ダイオードでは、光反射多層膜の材料として、活
性層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有
する半導体を用いるため、光反射多層膜において発光部
からの発光に対して吸収が少ない。このためにDBRの
反射強度を高めることができ、また、チャープ状DBR
を構成する場合には反射波長領域を広くすることがで
き、このことにより活性層から発した光の外部への取り
出し効率を高めることができ、発光ダイオードとしての
輝度向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の一参考
例による半導体発光ダイオードの断面図及び(a)のC
部拡大図。
【図2】図1の半導体発光ダイオードの光反射多層膜の
層数と平均反射率との関係を示す特性図。
【図3】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の他の
例による半導体発光ダイオードの断面図及び(a)の
D部拡大図。
【図4】図3の半導体発光ダイオードの光反射多層膜の
層厚と層の位置との関係を示す特性図。
【図5】図3の半導体発光ダイオードの波長と反射率と
の関係を示す特性図。
【図6】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明のさらに
他の参考例による半導体発光ダイオードの断面図及び
(a)のE部拡大図。
【図7】図6の半導体発光ダイオードの光反射多層膜の
層数と平均反射率との関係を示す特性図。
【図8】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明のさらに
他の参考例による半導体発光ダイオードの断面図及び
(a)のF部拡大図。
【図9】図8の半導体発光ダイオードの光反射多層膜の
層厚と層の位置との関係を示す特性図。
【図10】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明のさら
に他の参考例による半導体発光ダイオードの断面図及び
(a)のG部拡大図。
【図11】図10の半導体発光ダイオードの光反射多層
膜の層厚と層の位置との関係を示す特性図。
【図12】図10の半導体発光ダイオードの波長と反射
率との関係を示す特性図。
【図13】(a)及び(b)はそれぞれ、本発明のさら
に他の参考例による半導体発光ダイオードの断面図及び
(a)のH部拡大図。
【図14】図13の半導体発光ダイオードの光反射多層
膜の層厚と層の位置との関係を示す特性図。
【図15】図13の半導体発光ダイオードの波長と反射
率との関係を示す特性図。
【図16】(a)及び(b)はそれぞれ、従来例による
半導体発光ダイオードの断面図及び(a)のA部拡大
図。
【図17】(a)及び(b)はそれぞれ、他の従来例に
よる半導体発光ダイオードの断面図及び(a)のB部拡
大図。
【図18】図17の半導体発光ダイオードの光反射多層
膜の層厚と層の位置との関係を示す特性図。
【図19】図16の半導体発光ダイオードの光反射多層
膜の層数と平均反射率との関係を示す特性図。
【図20】図17の半導体発光ダイオードの波長と反射
率との関係を示す特性図。
【図21】図17の半導体発光ダイオードの波長と反射
率との関係を示す他の特性図。
【符号の説明】
1、2 半導体発光ダイオード 11、21 半導体基板 12、22 光反射多層膜 14、24 活性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−114277(JP,A) 特開 平4−328877(JP,A) 特開 平4−361572(JP,A) 特開 平4−86638(JP,A) 特開 平5−243612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、活性層と、前記半導体
    基板と前記活性層との間に配置され前記活性層から前記
    半導体基板方向に向かう光を反射させる光反射多層膜と
    を少なくとも有する半導体発光ダイオードにおいて、 前記光反射多層膜は、互いに異なる屈折率を有する2種
    類の膜を一対として、この対が複数積層されてなり、且
    つ前記複数の対が活性層からの発光波長を反射する層厚
    よりも薄い層厚から厚い層厚まで前記半導体基板側から
    前記活性層側に厚くなるように一定割合で連続的に変化
    して積層されてなり、 前記光反射多層膜が、前記活性層のバンドギャップより
    も大きなバンドギャップを有する半導体材料により形成
    されてなることを特徴とする半導体発光ダイオード。
  2. 【請求項2】 前記半導体基板はGaAs基板からな
    り、前記活性層はAlGaInP系材料からなり、且つ
    前記光反射多層膜はAlInP系材料とAlGaInP
    系材料とを交互に積層してなることを特徴とする請求項
    1に記載の半導体発光ダイオード。
  3. 【請求項3】 前記光反射多層膜は、AlInP系材料
    からなる膜とAlGaInP系材料からなる膜とを一対
    として、少なくとも20対以上積層されてなることを特
    徴とする請求項に記載の半導体発光ダイオード。
  4. 【請求項4】 前記半導体基板はGaAs基板からな
    り、前記活性層はAlGaAs系材料からなることを特
    徴とする請求項1に記載の半導体発光ダイオード。
  5. 【請求項5】 前記半導体基板はGaAs基板からな
    り、前記活性層はAlGaInAs系材料からなること
    を特徴とする請求項1に記載の半導体発光ダイオード。
  6. 【請求項6】 前記光反射多層膜は、少なくとも5対以
    上積層されてなることを特徴とする請求項4または5の
    いずれかに記載の半導体発光ダイオード。
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