JP3330011B2 - 高周波用誘電体磁器組成物 - Google Patents

高周波用誘電体磁器組成物

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JP3330011B2 JP04161396A JP4161396A JP3330011B2 JP 3330011 B2 JP3330011 B2 JP 3330011B2 JP 04161396 A JP04161396 A JP 04161396A JP 4161396 A JP4161396 A JP 4161396A JP 3330011 B2 JP3330011 B2 JP 3330011B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波、ミリ
波等の高周波領域において高い誘電率及び高いQ値を有
する新規な誘電体磁器組成物であって、例えば誘電体共
振器、誘電体基板、誘電体導波線路、誘電体アンテナ、
コンデンサ等に最適な誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波やミリ波等の高周波領域にお
いて、誘電体磁器は誘電体共振器やMIC用誘電体基板
等に広く利用されている。
【0003】従来より、この種の誘電体磁器としては、
例えばMgTiO3 −CaTiO3系材料がが知られて
いる。このような材料は、誘電率が20程度、1GHz
に換算したQ値が20000程度の特性を有している。
【0004】また、例えば特公昭59−48483号公
報に開示されるように、モル比による組成式をxBaO
・yZnO・zNb2 5 と表した時、0.50≦x≦
0.75、0.10≦y≦0.30、0.10≦z≦
0.30を満足するものがある。このような誘電体磁器
では,誘電率が30〜36、1GHzに換算したQ値が
36000〜39000という特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年で
は使用機器の多様化により使用周波数がより高くなり、
このような高周波領域での誘電特性、特に高Q値が要求
されるようになっているが、前述したような従来の誘電
体材料では今だ実用的レベルの高Q値が得られていない
のが現状であった。
【0006】従って、本発明は高周波領域において高い
Q値及び高い比誘電率を有する新規な誘電体磁器組成物
を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波用誘電体
磁器組成物は、金属元素として少なくともBa,Y,Z
n,Nb,W,Taを含有し、これらの金属元素のモル
比による組成式をaBaO・bY2 3 ・cZnO・d
Nb2 5 ・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記
a,b,c,d,e,fが、 0.40≦a≦0.70 0 <b≦0.30 0 <c≦0.35 0 ≦d≦0.30 0 <e≦0.35 0 ≦f≦0.30 0.20≦(b+c)/(d+e+f)≦1.66 a+b+c+d+e+f=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてLi、ま
たはLi及びBをそれぞれLi2 CO3 ,B2 3 換算
で0.001〜0.8重量%含有することを特徴とする
ものである。
【0008】本発明の誘電体磁器組成物において、Ba
Oのモル比を0.40≦a≦0.70に設定したのは、
aが0.40よりも小さい場合にはQ値が低下したり、
焼結が困難になる傾向があり、0.70よりも大きい場
合には焼結が困難となる傾向にあるからである。特に
0.45≦a≦0.65とすることが好ましい。
【0009】また、Y2 3 のモル比を0<b≦0.3
0としたのは、bが0.30よりも大きい場合にはQ値
が低下するからである。このY2 3 は0.030≦b
≦0.20であることが望ましい。
【0010】ZnOのモル比を0<c≦0.35に設定
したのは、cが0.35よりも大きい場合にはQ値が低
下したり、焼結が困難になるからである。特に0.10
≦c≦0.30とすることが好ましい。
【0011】Nb2 5 のモル比を0≦d≦0.30と
したのは、dが0.30よりも大きい場合にはQ値が低
下し、焼結が困難となるからである。特に0.010≦
d≦0.25、さらには0.030≦d≦0.20とす
ることが好ましい。
【0012】WO3 のモル比を0<e≦0.35とした
のは、eが0.35よりも大きい場合にはQ値が低下
し、焼結不良となるからである。特に0.010≦e≦
0.30、さらには0.030≦e≦0.25とするこ
とが好ましい。
【0013】さらに、Ta2 5 のモル比を0≦f≦
0.30としたのは、fが0.30よりも大きい場合に
はQ値が低下するからである。特に0≦f≦0.25、
さらには0.05≦f≦0.23とすることが好まし
い。
【0014】また、0.20≦(b+c)/(d+e+
f)≦1.66としたのは、この範囲外となるとQ値が
低下したり、焼結不良となるからである。
【0015】さらに、金属元素としてLi、またはLi
及びBをそれぞれLi2 CO3 ,B2 3 換算で0.0
01〜0.8重量%含有させたのは、0.001重量%
未満であると焼結しにくく、0.8重量%より多いとQ
値が低下するからである。特に0.01〜0.6重量%
の範囲とすることが好ましい。なお、上記LiやBは焼
成過程で蒸発することがあるが、最終的な焼結体におけ
る含有量が上記範囲内となっていれば良い。
【0016】したがって、本発明の高周波用誘電体磁器
組成物は、組成式をaBaO・bY2 3 ・cZnO・
dNb2 5 ・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前
記a,b,c,d,e,fが、 0.48 ≦a≦0.62 0.030≦b≦0.20 0.030≦c≦0.25 0.030≦d≦0.20 0.030≦e≦0.25 0.05 ≦f≦0.23 0.20 ≦(b+c)/(d+e+f)≦1.66 a+b+c+d+e+f=1.00 を満足し、金属元素としてLi、またはLi及びBをそ
れぞれLi2 CO3 ,B2 3 換算で0.01〜0.6
重量%含有することが望ましい。
【0017】また、本発明の誘電体材料は、Ba,Y,
Zn,Nb,W,Taを含有する複合酸化物であり、主
にペロブスカイト型結晶相からなるものであって、他に
ペロブスカイト型結晶相以外のものを含んでも良い。こ
のような結晶を有する材料は、それ自体焼結体等の多結
晶体或いは単結晶体のいずれかの形態でも良い。
【0018】本発明に基づき磁器を作製する方法として
は、例えばBa,Y,Zn,Nb,W,Taの酸化物あ
るいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の
金属塩を原料として用い、これらを前述した範囲になる
ように秤量した後、ボールミルで湿式粉砕し、脱水乾燥
する。このとき、上記成分の他にMg,Ni,Co,A
l,Fe,Pb,V,Zr,La,Sb,Ca等の酸化
物等を全量に対して10モル%以下添加しても良い。こ
の後、混合物を500〜1500℃で0.1〜100時
間仮焼処理し、仮焼物及び前述の範囲となるLi、また
はLi及びBの酸化物の少なくとも一種以上をボールミ
ルに入れ、溶媒及び有機バインダーとともに混合粉砕
し、造粒あるいは整粒する。
【0019】あるいは、Ba,Y,Nb,Taの酸化物
あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等
の金属塩を加えた原料粉末と、Ba,Zn,Wの酸化物
あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等
の金属塩、それぞれ別々に調合、粉砕、仮焼し、これら
の仮焼物及び前述の範囲となるLi、またはLi及びB
の酸化物の少なくとも一種以上をボールミルに共に入
れ、溶媒及び有機バインダーとともに混合粉砕し、造粒
あるいは整粒する。
【0020】そして、例えば、所定の圧力で、プレス成
形して所定の形状に成形し、大気中において1100〜
1750℃で0.1〜200時間焼成することにより、
相対密度90%以上の誘電体磁器を得ることができる。
なお、Li、またはLi及びBの酸化物は、仮焼前及び
/又は仮焼後に添加すれば良い。
【0021】
【実施例】実施例1 原料として純度99%以上のBaCO3 ,Y2 3 ,Z
nO,Nb2 5 ,WO3 及びTa2 5 の粉末を用い
て、これらを表1に示す割合に秤量し、これをゴムで内
張りしたボールミルに水とともに入れ、直径10mmの
ZrO2 ボールを用いて湿式混合した。次いで、この混
合物を脱水、乾燥した後、1100℃で2時間仮焼し、
当該仮焼物に純度95%以上のLi、またはLiおよび
Bの化合物を表1の含有量となるように添加し、ボール
ミルに水、有機バインダーと共に入れ、湿式粉砕した。
【0022】その後、この粉砕物を乾燥した後、50番
メッシュの網を通して造粒し、得られた粉末を1ton
/cm2 の圧力で20mmφ×10mmの寸法からなる
円板状に成形した。さらに、この円板を1300〜15
00℃×2時間の条件で焼成して磁器試料を得た。この
磁器試料を加工して13mmφ×7mmの寸法からなる
円柱を得た。
【0023】かくして得られた磁器試料について、周波
数4〜7GHzにおける比誘電率(εr )、Q値を誘電
体共振器法で測定し、また25℃から85℃までの温度
範囲における共振周波数の温度変化を測定し、共振周波
数の温度係数(τf )を計算した。Q値はマイクロ波誘
電体において一般に成立するQ値×測定周波数f=一定
の関係から1GHzでのQ値に換算した。それらの結果
を表1に示した。
【0024】表1によれば、配合組成が本発明の範囲を
逸脱する試料No.21〜34は焼結不良となったり、
比誘電率やQ値が測定不可であったり、Q値が低かっ
た。
【0025】これに対して、本発明の試料No.1〜2
0は、比誘電率21〜37、Q値42000〜8600
0が達成された。
【0026】
【表1】
【0027】また、本発明者等は、Ba,Y,Nb,T
aの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸
塩、硝酸塩等の金属塩を加えた原料粉末と、Ba,Z
n,Wの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭
酸塩、硝酸塩等の金属塩を、それぞれ別々に調合、粉
砕、仮焼し、これらの仮焼物及び表1に示した純度95
%以上のLi、またはLi及びBの化合物をボールミル
に共にいれ、溶媒および有機バインダーとともに混合粉
砕し、所定の形状に成形し、大気中において焼成した。
この場合でも、本発明の範囲内であれば優れた誘電特性
を有することを確認した。
【0028】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、高
周波領域において高い誘電率および高いQ値を得ること
ができる。それにより、マイクロ波やミリ波領域におい
て使用される共振器結用材料やMIC用誘電体基板材
料、誘電体導波線路、誘電体アンテナ、その他の各種電
子部品等に充分適用することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素として少なくともBa,Y,Z
    n,Nb,W,Taを含有し、これらの金属元素のモル
    比による組成式をaBaO・bY2 3 ・cZnO・d
    Nb2 5 ・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記
    a,b,c,d,e,fが、 0.40≦a≦0.70 0 <b≦0.30 0 <c≦0.35 0 ≦d≦0.30 0 <e≦0.35 0 ≦f≦0.30 0.20≦(b+c)/(d+e+f)≦1.66 a+b+c+d+e+f=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてLi、ま
    たはLi及びBをそれぞれLi2 CO3 ,B2 3 換算
    で0.001〜0.8重量%含有することを特徴とする
    高周波用誘電体磁器組成物。
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