JP3329980B2 - 高周波用誘電体磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents

高周波用誘電体磁器組成物及びその製造方法

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JP3329980B2
JP3329980B2 JP03732095A JP3732095A JP3329980B2 JP 3329980 B2 JP3329980 B2 JP 3329980B2 JP 03732095 A JP03732095 A JP 03732095A JP 3732095 A JP3732095 A JP 3732095A JP 3329980 B2 JP3329980 B2 JP 3329980B2
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molar ratio
dielectric ceramic
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ceramic composition
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善裕 大川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波、ミリ波等
の高周波領域において高い誘電率及び高いQ値を有する
新規な誘電体磁器組成物であって、例えば、誘電体共振
器,誘電体基板,誘電体導波線路,誘電体アンテナ、コ
ンデンサ等に最適な誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来技術】マイクロ波やミリ波等の高周波領域におい
て、誘電体磁器は誘電体共振器やMIC用誘電体基板等
に広く利用されている。
【0003】従来より、この種の誘電体磁器としては、
例えば、MgTiO3 −CaTiO3 系材料が知られて
いる。このような材料は、誘電率が20程度、1GHz
に換算したQ値が20000程度の特性を有している。
【0004】また、例えば、特公昭59−48483号
公報に開示されるように、モル比による組成式をxBa
O・yZnO・zNb2 5 と表わした時、0.50≦
x≦0.75、0.10≦y≦0.30、0.10≦z
≦0.30を満足するものがある。このような誘電体磁
器では、誘電率が30〜36、1GHzに換算したQ値
が36000〜39000という特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年で
は使用機器の多用化により使用周波数がより高くなり、
このような高周波領域での誘電特性、特に高Q値が要求
されるようになっているが、前述したような従来の誘電
体材料では未だ実用的レベルの高Q値が得られていない
のが現状であった。
【0006】従って、本発明は高周波領域において高い
Q値および高い比誘電率を有する新規な誘電体磁器組成
物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波用誘電体
磁器組成物は、金属元素として少なくともBa、Zn、
Nb、Wを含有し、これらの金属元素のモル比による組
成式をaBaO・bZnO・cNb2 5 ・dWO3
表した時、前記a,b,c,dが、0.40≦a≦0.
70、0.10≦b≦0.35、0<c≦0.30、0
<d≦0.35、0.14≦c+d≦0.36、a+b
+c+d=1.00を満足する複合酸化物に対し、金属
元素としてB,Mn,Siのうち少なくとも一種以上を
2 3,MnO2 ,SiO2 換算で0.001〜1重
量%含有するものである。
【0008】また、金属元素として少なくともBa、Z
n、Nb、W、Taを含有し、これらの金属元素のモル
比による組成式をaBaO・bZnO・cNb2 5
dWO3 ・eTa2 5 と表した時、前記a,b,c,
d、eが0.40≦a≦0.70、0.10≦b≦0.
35、0<c≦0.30、0<d≦0.35、0<e≦
0.30、0.16≦c+e≦0.31、a+b+c+
d+e=1.00を満足する複合酸化物に対し、金属元
素としてB,Mn,Siのうち少なくとも一種以上をB
2 3 ,MnO2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量
%含有するものである。
【0009】本発明の誘電体磁器組成物において、Ba
Oのモル比を0.40≦a≦0.70に設定したのは、
aが0.40よりも小さい場合にはQ値が低下したり、
焼結が困難になる傾向があり、0.70よりも大きい場
合には焼結が困難となる傾向にあるからである。特に、
0.44≦a≦0.63とすることが好ましい。
【0010】また、ZnOのモル比を0.10≦b≦
0.35としたのは、bが0.10よりも少ない場合に
は焼結が困難となり、或いはQ値が低下するからであ
り、0.35より大きい場合にはQ値が低下したり、焼
結が困難になるからである。特に、0.16≦b≦0.
35とすることが好ましい。
【0011】Nb2 5 のモル比を0<c≦0.30と
したのは、cが0.30よりも大きい場合にはQ値が低
下し、焼結が困難となるからである。
【0012】WO3 のモル比を0<d≦0.35とした
のは、dが0.35より大きい場合にはQ値が低下し、
焼結不良となるからである。特に0.003<d≦0.
25とすることが好ましい。
【0013】さらに、Ta2 5 のモル比を0<e≦
0.30としたのは、eが0.30よりも大きい場合に
は焼結が困難となるからである。
【0014】また、c+dの値を0.14≦c+d≦
0.36、c+eの値を0.16≦c+e≦0.31と
したのは、c+dやc+eの値がこの範囲外となるとQ
値が低下したり、焼結不良となるからである。
【0015】さらに、金属元素としてB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上をB2 3,MnO2 ,SiO
2 換算で0.001〜1重量%含有させたのは、0,0
01重量%未満であると焼結しにくく、1重量%より多
いとQ値が低下するからである。特に0.01〜0.7
重量%とすることが好ましい。
【0016】したがって、本発明の高周波用誘電体磁器
組成物は、組成式をaBaO・bZnO・cNb2 5
・dWO3 ・eTa2 5 と表した時、a,b,c,
d、eが0.44≦a≦0.63、0.16≦b≦0.
35、0<c≦0.30、0.003<d≦0.25、
0<e≦0.30、0.16≦c+e≦0.31、a+
b+c+d+e=1.00を満足し、金属元素として
B,Mn,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3
MnO2 ,SiO2 換算で0.01〜0.7重量%含有
することが望ましい。
【0017】また、本発明の誘電体材料は、Ba、Z
n、Nb、W或いはBa、Zn、Nb、W、Taを含有
する複合酸化物であり、主にペロブスカイト型結晶相か
らなるものであって、他にペロブスカイト型結晶相以外
のものを含んでも良い。このような結晶を有する材料
は、それ自体焼結体等の多結晶体でも或いは単結晶体の
いずれの形態でも良い。
【0018】本発明に基づき磁器を作製する方法として
は、例えばBa、Zn、Nb、W或いはTaの酸化物あ
るいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の
金属塩を原料として用い、これらを前述した範囲になる
ように秤量した後、ボールミルで湿式粉砕し、脱水乾燥
する。この後、混合物を500〜1500℃で0.1〜
100時間仮焼処理し、仮焼物及び前述の範囲となる
B,Mn,Siの酸化物の少なくとも一種以上をボール
ミルに入れ,溶媒および有機バインダーとともに混合粉
砕し、造粒あるいは整粒する。或いは、Ba、Zn、N
bの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸
塩、硝酸塩等の金属塩、またはこれにTaの酸化物ある
いは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金
属塩を加えた原料粉末と、Ba、Zn、Wの酸化物ある
いは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金
属塩を、それぞれ別々に調合、粉砕、仮焼し、これらの
仮焼物及び前述の範囲となるB,Mn,Siの酸化物の
少なくとも一種以上をボールミルに共に入れ,溶媒およ
び有機バインダーとともに混合粉砕し、造粒あるいは整
粒する。そして、例えば、所定の圧力でプレス成形し所
定の形状に成形し、大気中において1100〜1750
℃で0.1〜200時間焼成することにより相対密度9
0%以上の誘電体磁器を得ることができる。なお、B,
Mn,Siの酸化物の少なくとも一種は、仮焼前及び/
又は仮焼後に添加すれば良い。
【0019】また、本発明の高周波用誘電体磁器組成物
は、金属元素として少なくともBa、Zn、Nb、M
g、W、Taを含有し、これらの金属元素のモル比によ
る組成式をaBaO・bZnO・cNb2 5 ・dMg
O・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記a,b,
c,d,e,fが、0.43≦a≦0.68、0.01
≦b≦0.30、0≦c≦0.30、0<d≦0.3
5、0<e≦0.35、0<f≦0.30、0.50≦
(b+d)/(c+e+f)≦1.60、a+b+c+
d+e+f=1.00を満足する複合酸化物に対し、金
属元素としてB,Mn,Siのうち少なくとも一種以上
をB2 3 ,MnO2 、SiOに換算で0.001〜1
重量%含有するものである。
【0020】本発明の誘電体磁器組成物において、Ba
Oのモル比を0.43≦a≦0.68に設定したのは、
aが0.43よりも小さく、0.68よりも大きい場合
には焼結不良となるからである。特に、0.52≦a≦
0.62とすることが好ましい。
【0021】また、ZnOのモル比を0.01≦b≦
0.30としたのは、bが0.01よりも小さい場合に
は、Q値が低下し、0.30よりも大きい場合には、焼
結不良となるからである。このZnOは、0.08≦b
≦0.21であることが望ましい。
【0022】Nb2 5 のモル比を0≦c≦0.30と
したのは、0.30より大きい場合には焼結不良となる
からである。特に、Nb2 5 のモル比cは0.001
≦c≦0.11とすることが好ましい。
【0023】MgOのモル比を0<d≦0.35とした
のは、dが0.35よりも大きい場合には焼結不良とな
るからであり、d=0ではQ値や比誘電率が低下するか
らである。このMgOは、特に、0.001≦d≦0.
150とすることが好ましい。
【0024】WO3 のモル比を0<e≦0.35とした
のは、eが0.35より大きい場合には焼結不良となる
からであり、e=0ではQ値や比誘電率が低下するから
である。特に0.001≦e≦0.150とすることが
好ましい。
【0025】Ta2 5 のモル比を0<f≦0.30と
したのは、fが0.30より大きい場合には焼結不良と
なるからであり、f=0ではQ値や比誘電率が低下する
からである。特に0.08≦f≦0.20とすることが
好ましい。
【0026】また、0.50≦(b+d)/(c+e+
f)≦1.60としたのは、この範囲外ではQ値が低下
したり、焼結不良となるからである。
【0027】さらに、金属元素としてB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上をB2 3,MnO2 ,SiO
2 換算で0.001〜1重量%含有させたのは、0,0
01重量%未満であると焼結しにくく、1重量%より多
いとQ値が低下するからである。特に0.01〜0.7
重量%とすることが好ましい。
【0028】したがって、本発明の高周波用誘電体磁器
組成物は、組成式をaBaO・bZnO・cNb2 5
・dMgO・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、a,
b,c,d,e,fが、0.52≦a≦0.62、0.
08≦b≦0.21、0.001≦c≦0.11、0.
001≦d≦0.150、0.001≦e≦0.15
0、0.08≦f≦0.20、0.50≦(b+d)/
(c+e+f)≦1.60、a+b+c+d+e+f=
1.00を満足する複合酸化物に対し、金属元素として
B,Mn,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3
MnO2 ,SiO2 換算で0.01〜0.7重量%含有
することが望ましい。
【0029】本発明の誘電体材料は、Ba、Zn、N
b、Mg、W、Taを含有し、さらにB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上を含有する複合酸化物であり、
主にペロブスカイト型結晶相からなるものであって、他
にペロブスカイト型結晶相以外のものを含んでも良い。
このような結晶を有する材料は、それ自体焼結体等の多
結晶体或いは単結晶体のいずれの形態でも良い。本発明
の誘電体磁器中にペロブスカイト型結晶相以外のものを
含む場合は、X線回折により同定されるペロブスカイト
型結晶相の主ピークに対するペロブスカイト型結晶相以
外の結晶相の主ピークの強度比は10%以下であること
が望ましい。
【0030】本発明に基づき磁器を作製する方法として
は、例えば、Ba、Zn、Nb、Mg、W、Taの酸化
物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩
等の金属塩を原料として用い、これらを前述した範囲に
なるように秤量した後、ボールミルで湿式粉砕し、脱水
乾燥する。この後、混合物を500〜1500℃で0.
1〜100時間仮焼処理し、仮焼物及び前述の範囲とな
るB,Mn,Siの酸化物等のうち少なくとも一種以上
をボールミルに入れ、溶媒および有機バインダーととも
に混合粉砕し、造粒あるいは整粒する。そして、例え
ば、所定の圧力でプレス成形し所定の形状に成形し、酸
素を1体積%以上含有する雰囲気中において1100〜
1750℃で0.1〜200時間焼成することにより本
発明の誘電体磁器を得ることができる。なお、B,M
n,Siの酸化物等のうち少なくとも一種は、仮焼前及
び/又は仮焼後に添加すれば良い。
【0031】本発明の高周波用誘電体磁器組成物は、金
属元素として少なくともBa、Y、Nb、Mg、W、T
aを含有し、これらの金属元素のモル比による組成式を
aBaO・bY2 3 ・cNb2 5 ・dMgO・eW
3 ・fTa2 5 と表した時、前記a,b,c,d,
e,fが、0.40≦a≦0.76、0<b≦0.2
6、0<c≦0.26、0≦d≦0.35、0≦e≦
0.35、0≦f≦0.25、0.60≦(b+d)/
(c+e+f)≦1.50、d+e+f>0、a+b+
c+d+e+f=1.00を満足する複合酸化物に対
し、さらに金属元素としてB,Mn,Siのうち少なく
とも一種以上をB2 3 ,MnO2 ,SiO2換算で
0.001〜1重量%含有するものである。
【0032】本発明の誘電体磁器組成物において、Ba
Oのモル比を0.40≦a≦0.76に設定したのは、
aが0.40よりも小さい場合にはQ値が低下したり、
焼結が困難になる傾向があり、0.76よりも大きい場
合には焼結が困難となるからである。特に、0.45≦
a≦0.71とすることが好ましい。
【0033】また、Y2 3 のモル比を0<b≦0.2
6としたのは、bが0.26より大きい場合にはQ値が
低下したり、焼結が困難になるからである。特に、0.
002≦b≦0.210とすることが好ましい。
【0034】Nb2 5 のモル比を0<c≦0.26と
したのは、cが0.26よりも大きい場合にはQ値が低
下し、焼結が困難となるからである。特に、0.001
≦c≦0.210とすることが好ましい。
【0035】MgOのモル比を0≦d≦0.35とした
のは、dが0.35より大きい場合にはQ値が低下し、
焼結不良となるからである。特に0.030≦d≦0.
300とすることが好ましい。
【0036】WO3 のモル比を0≦e≦0.35とした
のは、eが0.35より大きい場合にはQ値が低下し、
焼結不良となるからである。特に0.030≦e≦0.
300とすることが好ましい。
【0037】Ta2 5 のモル比を0≦f≦0.25と
したのは、fが0.25よりも大きい場合には焼結不良
となるからである。特に0.01≦f≦0.21とする
ことが好ましい。
【0038】さらに、本発明においては、0.60≦
(b+d)/(c+e+f)≦1.50であることが必
要である。この範囲外となるとQ値が低下したり、焼結
不良となるからである。
【0039】さらに、金属元素としてB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上をB2 3,MnO2 ,SiO
2 換算で0.001〜1重量%含有させたのは、0,0
01重量%未満であると焼結しにくく、1重量%より多
いとQ値が低下するからである。特に0.01〜0.7
重量%とすることが好ましい。
【0040】したがって、本発明の高周波用誘電体磁器
組成物は、モル比による組成式をaBaO・bY2 3
・cNb2 5 ・dMgO・eWO3 ・fTa2 5
表した時、a,b,c,d,e,fが、0.45≦a≦
0.71、0.002≦b≦0.210、0.001≦
c≦0.210、0.030≦d≦0.300、0.0
30≦e≦0.30、0.01≦f≦0.21、0.6
0≦(b+d)/(c+e+f)≦1.50、d+e+
f>0、a+b+c+d+e+f=1.00を満足する
複合酸化物に対して、金属元素としてB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO2 ,SiO
2 換算で0.01〜0.7重量%含有することが望まし
い。
【0041】また、本発明の誘電体材料は、Ba、Y、
Nb、Mg、W、Taを含有し、さらにB,Mn,Si
の酸化物等のうち少なくとも一種以上を含有する複合酸
化物であり、主にペロブスカイト型結晶相からなるもの
であって、他にペロブスカイト型結晶相以外のものを含
んでも良い。このような結晶を有する材料は、それ自体
焼結体等の多結晶体でも或いは単結晶体のいずれの形態
でも良い。
【0042】本発明に基づき磁器を作製する方法として
は、例えばBa、Y、Nb、Mg、W、Taの酸化物あ
るいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の
金属塩を原料として用い、これらを前述した範囲になる
ように秤量した後、ボールミルで湿式粉砕し、脱水乾燥
する。この後、混合物を500〜1500℃で0.1〜
100時間仮焼処理し、仮焼物及び前述の範囲となる
B,Mn,Siの酸化物等のうち少なくとも一種以上を
ボールミルに入れ,溶媒および有機バインダーとともに
混合粉砕し、造粒あるいは整粒する。或いは、Ba、
Y、Nb、Taの酸化物あるいは焼成により酸化物を生
成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩と、Ba、Mg、Wの
酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝
酸塩等の金属塩を、それぞれ別々に調合、粉砕、仮焼
し、これらの仮焼物及び前述の範囲となるB,Mn,S
iの酸化物等のうち少なくとも一種以上をボールミルに
共に入れ,溶媒および有機バインダーとともに混合粉砕
し、造粒あるいは整粒する。そして、例えば、所定の圧
力でプレス成形し所定の形状に成形し、酸素を含む雰囲
気において1100〜1750℃で0.1〜200時間
焼成することにより本発明の誘電体磁器を得ることがで
きる。なお、B,Mn,Siの酸化物等のうち少なくと
も一種以上は仮焼前及び/又は仮焼後に添加すれば良
い。
【0043】本発明の高周波用誘電体磁器組成物は、金
属元素として少なくともBa、Y、Zn、Nb、W、T
aを含有し、これらの金属元素のモル比による組成式を
aBaO・bY2 3 ・cZnO・dNb2 5 ・eW
3 ・fTa2 5 と表した時、a,b,c,d,e,
fが、0.40≦a≦0.70、0<b≦0.30、0
<c≦0.35、0≦d≦0.30、0<e≦0.3
5、0≦f≦0.30、0.20≦(b+c)/(d+
e+f)≦1.66、a+b+c+d+e+f=1.0
0を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてB,M
n,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO
2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量%含有する高周
波用誘電体磁器組成物である。
【0044】本発明の誘電体磁器組成物において、Ba
Oのモル比を0.40≦a≦0.70に設定したのは、
aが0.40よりも小さい場合にはQ値が低下したり、
焼結が困難になる傾向があり、0.70よりも大きい場
合には焼結が困難となる傾向にあるからである。aは、
0.45≦a≦0.65とすることが望ましく、特には
0.48≦a≦0.62とすることが望ましい。
【0045】また、Y2 3 のモル比を0<b≦0.3
0としたのは、bが0.30よりも大きい場合には、Q
値が低下するからである。このY2 3 は、0.010
≦b≦0.25であることが望ましく、さらには、0.
030≦b≦0.20であることが望ましい。
【0046】ZnOのモル比を0<c≦0.35とした
のは、0.35より大きい場合にはQ値が低下したり、
焼結が困難になるからである。cは、0.010≦c≦
0.30とすることが好ましく、特には0.030≦c
≦0.25とすることが望ましい。
【0047】Nb2 5 のモル比を0≦d≦0.30と
したのは、dが0.30よりも大きい場合にはQ値が低
下し、焼結が困難となるからである。dは0.010≦
d≦0.25、さらには0.030≦d≦0.20とす
ることが最適である。
【0048】WO3 のモル比を0<e≦0.35とした
のは、eが0.35より大きい場合にはQ値が低下し、
焼結不良となるからである。eは0.010≦e≦0.
30、特には0.030≦e≦0.25とすることが最
適である。
【0049】Ta2 5 のモル比を0≦f≦0.30と
したのは、fが0.30よりも大きい場合にはQ値が低
下するからである。fは0≦f≦0.25であることが
望ましく、特には0.05≦f≦0.23が最適であ
る。
【0050】0.20≦(b+c)/(d+e+f)≦
1.66としたのは、この範囲外となると、Q値が低下
したり、焼結不良となるからである。
【0051】さらに、金属元素としてB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上をB2 3,MnO2 ,SiO
2 換算で0.001〜1重量%含有させたのは、0,0
01重量%未満であると焼結しにくく、1重量%より多
いとQ値が低下するからである。特に0.01〜0.7
重量%とすることが好ましい。
【0052】したがって、本発明の誘電体磁器組成物
は、組成式をaBaO・bY2 3 ・cZnO・dNb
2 5 ・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、a,b,
c,d,e,fが0.48≦a≦0.62、0.03≦
b≦0.20、0.030≦c≦0.25、0.03≦
d≦0.20、0.03≦e≦0.25、0.05≦f
≦0.23、0.20≦(b+c)/(d+e+f)≦
1.66を満足する複合酸化物に対し、金属元素として
B,Mn,Siのうち少なくとも一種以上をB23
MnO2 ,SiO2 換算で0.01〜0.7重量%含有
することが望ましい。
【0053】また、本発明の誘電体材料は、Ba、Y、
Zn、Nb、W、Taを含有し、さらにB,Mn,Si
のうち少なくとも一種以上を含有する複合酸化物であ
り、主にペロブスカイト型結晶相からなるものであっ
て、他にペロブスカイト型結晶相以外のものを含んでも
良い。このような結晶を有する材料は、それ自体焼結体
等の多結晶体でも或いは単結晶体のいずれの形態でも良
い。
【0054】本発明に基づき磁器を作製する方法として
は、例えばBa、Y、Zn、Nb、W,Taの酸化物あ
るいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の
金属塩を原料として用い、これらを前述した範囲になる
ように秤量した後、ボールミルで湿式粉砕し、脱水乾燥
する。Ba、Y、Zn、Nb、W,Taの他に、Mg,
Ni,Co,Al,Fe,Pb,V,Zr,La,S
b,Ca等の酸化物等を全量に対して10モル%以下添
加しても良い。この後、混合物を500〜1500℃で
0.1〜100時間仮焼処理し、仮焼物及び前述の範囲
となるB,Mn,Siの酸化物等のうち少なくとも一種
以上をボールミルに入れ,溶媒および有機バインダーと
ともに混合粉砕し、造粒あるいは整粒する。或いは、B
a、Y、Nb、Taの酸化物あるいは焼成により酸化物
を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を加えた原料粉末
と、Ba、Zn、Wの酸化物あるいは焼成により酸化物
を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を、それぞれ別々
に調合、粉砕、仮焼し、これらの仮焼物及び前述の範囲
となるB,Mn,Siの酸化物等のうち少なくとも一種
以上をボールミルに共に入れ,溶媒および有機バインダ
ーとともに混合粉砕し、造粒あるいは整粒する。そし
て、例えば、所定の圧力でプレス成形し所定の形状に成
形し、大気中において1100〜1750℃で0.1〜
200時間焼成することにより本発明の誘電体磁器を得
ることができる。なお、B,Mn,Siの酸化物等のう
ち少なくとも一種は、仮焼前及び/又は仮焼後に添加す
れば良い。
【0055】また、本発明の高周波用誘電体磁器組成物
は、金属元素として少なくともBa、Zn、Nb、M
g、W、Taを含有する複合酸化物であって、これらの
金属元素のモル比による組成式をaBaO・bZnO・
cNb2 5 ・dMgO・eWO3 ・fTa2 5 と表
した時、前記a,b,c,d,e,fが、0.50≦a
≦0.65、0.05≦b≦0.25、0≦c≦0.2
0、0<d≦0.10、0<e≦0.10、0.09≦
f≦0.25、0.70≦(b+d)/(c+e+f)
≦1.25、a+b+c+d+e+f=1.00であっ
て、吸水率0.5%以下、密度6.0g/cm3 以上を
満足するものである。
【0056】本発明の誘電体磁器組成物において、Ba
Oのモル比を0.50≦a≦0.65に設定したのは、
aが0.50よりも小さく、0.65よりも大きい場合
には焼結不良となるからである。
【0057】また、ZnOのモル比を0.05≦b≦
0.25としたのは、bが0.05よりも小さい場合に
は、Q値が低下し、0.25よりも大きい場合には、焼
結不良となるからである。
【0058】Nb2 5 のモル比を0≦c≦0.20と
したのは、0.20より大きい場合にはQ値が低下した
り、焼結不良となるからである。
【0059】MgOのモル比を0<d≦0.10とした
のは、dが0.10よりも大きい場合には焼結不良とな
るからであり、d=0ではQ値や比誘電率が低下するか
らである。
【0060】WO3 のモル比を0<e≦0.10とした
のは、eが0.10より大きい場合には焼結不良となる
からであり、e=0ではQ値や比誘電率が低下するから
である。
【0061】Ta2 5 のモル比を0.09≦f≦0.
25としたのは、fが0.25より大きい場合には焼結
不良となるからであり、fが0.09未満ではQ値や比
誘電率が低下するからである。
【0062】また、0.70≦(b+d)/(c+e+
f)≦1.25としたのは、この範囲外ではQ値が低下
したり、焼結不良となるからである。
【0063】さらに、吸水率を0.5%以下としたの
は、0.5%より大きいとQ値が低下したり、耐湿性が
低下するからである。望ましくは0.3%以下である。
【0064】また、密度を6.0g/cm3 以上とした
のは、6.0g/cm3 未満では焼結不良となりQ値が
低下したり耐湿性が低下するからである。なお、密度と
は嵩密度または見掛密度である。
【0065】上記のような吸水率と密度を有する磁器を
作製する方法としては、例えば、Ba、Zn、Nb、M
g、W、Taの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成
する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を原料として用い、これ
らを前述した範囲になるように秤量した後、ボールミル
で湿式粉砕し、脱水乾燥する。このとき、Ba,Zn,
Nb,Mg,W,Taの他に、例えばLi,Ni,C
o,Y,Al,Fe,Pb,V,La,Sb,Ca,Z
r等の元素またはこれらの化合物のうち少なくとも一種
以上を全量に対して10モル%以下添加しても良い。
【0066】この後、混合物を1000〜1300℃で
10分以上仮焼処理し、仮焼物をボールミルに入れ、溶
媒および有機バインダーとともに混合粉砕し、平均粒径
0.3〜2μmに粉砕した後、造粒あるいは整粒する。
そして、例えば、所定の圧力でプレス成形し所定の形状
に成形し、酸素を1体積%以上含有する雰囲気中におい
て、MgO,Al2 3 ,ZrO2 等のセラミック製匣
鉢内で、昇温速度20〜1000℃/Hrで昇温し、1
350〜1650℃で10分以上保持して焼成する。ま
た、焼成の際匣鉢内にZnOまたは成形体と同じかそれ
に近い組成の粉等を入れて埋め焼きしても良い。
【0067】上記製造方法において、1000〜130
0℃で10分以上仮焼するのは、1000℃より低いか
又は1300℃より高いとQ値が低下し、10分より短
いと仮焼が不十分となってQ値が低下するからである。
望ましくは10分以上100時間以下である。
【0068】また、仮焼物を平均粒径0.3〜2μmに
粉砕するのは、0.3μm未満であると成形あるいは焼
成時にクラックが入りQ値が低下し、2μmより大きい
とQ値が低下したり耐湿性が低下するからである。望ま
しくは0.4〜1.5μmである。なお平均粒径とは、
粒径分布の累積を100%とした場合、50%に相当す
る粒径である。
【0069】焼成を1350〜1650℃で10分以上
保持するのは、1350℃より低いと焼結せずQ値が低
下し、1650℃より高いと焼結不良となりQ値が低下
し、保持時間が10分より短いと焼結せずQ値が低下す
るからである。望ましくは保持時間は10分以上100
時間以下である。
【0070】また、セラミック製匣鉢で成形体を焼成す
るのは、匣鉢に入れないと焼結不良、Q値の低下、共振
周波数のばらつきが大きくなるからである。成形体は匣
鉢に入れて密閉し焼成する。
【0071】本発明の誘電体材料は、Ba、Zn、N
b、Mg、W、Taを含有し、さらにB,Mn,Siの
うち少なくとも一種以上を含有する複合酸化物であり、
主にペロブスカイト型結晶相からなるものであって、他
にペロブスカイト型結晶相以外のものを含んでも良い。
このような結晶を有する材料は、それ自体焼結体等の多
結晶体或いは単結晶体のいずれの形態でも良い。本発明
の誘電体磁器中にペロブスカイト型結晶相以外のものを
含む場合は、X線回折により同定されるペロブスカイト
型結晶相の主ピークに対するペロブスカイト型結晶相以
外の結晶相の主ピークの強度比は10%以下であること
が望ましい。
【0072】
【作用】本発明の高周波用誘電体磁器組成物では、高周
波領域において比較的高い誘電率を維持した状態で高い
Q値を得ることができる。また、共振周波数の温度係数
τfも0近傍の一定の範囲内に抑えることができる。
【0073】
【実施例】実施例1 原料として純度99%以上のBaCO3 、ZnO、Nb
2 5 およびWO3 の粉末を用いて、これらを表1に示
す割合に秤量し、これをゴムで内張りしたボールミルに
水と共に入れ、直径10mmのZrO2 ボールを用いて
湿式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥した
後、1200℃で2時間仮焼し、当該仮焼物及び表1に
示した純度95%以上のB,Mn,Siの化合物をボー
ルミルに水、有機バインダーと共に入れ湿式粉砕した。
【0074】その後、この粉砕物を乾燥した後、50番
メッシュの網を通して造粒し、得られた粉末を1ton
/cm2 の圧力で20mmφ×10mmの寸法からなる
円板に成形した。更に、この円板を1350〜1550
℃×6時間の条件で焼成して磁器試料を得た。この磁器
試料を加工して13mmφ×6mmの寸法からなる円柱
を得た。
【0075】かくして得られた磁器試料について、周波
数4〜7GHzにおける比誘電率(εr),Q値を誘電
体共振器法にて測定し、また25℃から85℃までの温
度範囲における共振周波数の温度変化を測定し共振周波
数の温度係数(τf)を計算した。Q値はマイクロ波誘
電体において一般に成立するQ値×測定周波数f=一定
の関係から1GHzでのQ値に換算した。それらの結果
を表1に示した。
【0076】表1によれば、配合組成が本発明の範囲を
逸脱する試料No.13〜21は焼結不良やQ値の低下
を生じた。これに対して、本発明の試料No.1〜12
は比誘電率22〜40、Q値45000以上が達成され
た。
【0077】
【表1】
【0078】実施例2 原料として純度99%以上のBaCO3 、ZnO、Nb
2 5 、WO3 、Ta2 5 および純度95%以上の表
2に示したB,Mn,Siの化合物の粉末を用いて、こ
れらを表2に示す割合に秤量し、後は実施例1と同様に
して磁器試料を得た。この磁器試料を上記実施例1と同
様にして比誘電率、共振周波数の温度係数(τf)、Q
値を求め、これらを表2に示した。
【0079】この表2によれば、配合組成が本発明の範
囲を逸脱する試料No.9〜17は焼結不良やQ値の低
下を生じた。これに対して、本発明の試料No.1〜8
は比誘電率25〜39、Q値42000以上が達成され
た。
【0080】
【表2】
【0081】また、本発明者等は、Ba、Zn、Nb、
Taの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸
塩、硝酸塩等の金属塩を加えた原料粉末と、Ba、Z
n、Wの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭
酸塩、硝酸塩等の金属塩を、それぞれ別々に調合、粉
砕、仮焼し、これらの仮焼物および表2に示した純度9
5%以上のB,Mn,Siの化合物をボールミルに共に
入れ,溶媒および有機バインダーとともに混合粉砕し、
所定の形状に成形し、大気中において焼成した場合で
も、本発明の範囲内であれば、優れた誘電特性を有する
ことを確認した。
【0082】実施例3 原料として純度99%以上のBaCO3 、ZnO、Nb
2 5 、MgCO3 、WO3 、Ta2 5 の粉末を用い
て、これらを表3,4,5に示す割合に秤量し、これを
ゴムで内張りしたボールミルに水と共に入れ、直径10
mmのZrO2ボールを用いて湿式混合した。次いで、
この混合物を脱水、乾燥した後、1200℃で2時間仮
焼し、当該仮焼物および純度95%以上の表3〜5に示
したB,Mn,Siの化合物をボールミルに入れ、水、
有機バインダーと共に湿式粉砕した。
【0083】その後、この粉砕物を乾燥した後、50番
メッシュの網を通して造粒し、得られた粉末を1ton
/cm2 の圧力で12mmφ×8mmの寸法からなる円
板に成形した。更に、この円板を大気中において148
0〜1600℃で焼成して磁器試料を得た。この磁器試
料を加工して8mmφ×5mmの寸法からなる円柱を得
た。
【0084】かくして得られた磁器試料について、周波
数6〜10GHzにおける比誘電率(εr),Q値を誘
電体共振器法にて測定し、また25℃から85℃までの
温度範囲における共振周波数の温度変化を測定し共振周
波数の温度係数(τf)を計算した。Q値はマイクロ波
誘電体において一般に成立するQ値×測定周波数f=一
定の関係から1GHzでのQ値に換算した。それらの結
果を表3,表4および表5に示した。
【0085】表3,表4および表5によれば、配合組成
が本発明の範囲を逸脱する試料No.27及びNo.6
6〜79は焼結不良を生じたり、比誘電率やQ値が低く
なった。これに対して、本発明の試料No.1〜26、
28〜65は比誘電率19〜38、Q値50000〜2
30000、共振周波数の温度係数τfが−42〜+3
0ppm/℃が達成された。
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】実施例4 原料として純度99%以上のBaCO3 、Y2 3 、N
2 5 、MgCO3、WO3 、Ta2 5 の粉末およ
び純度95%以上の表6に示したB,Mn,Siの化合
物からなる粉末を用いて、これらを表6に示す割合に秤
量し、これをゴムで内張りしたボールミルに水と共に入
れ、直径10mmのZrO2 ボールを用いて湿式混合し
た。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、1200
℃で2時間仮焼し、当該仮焼物をボールミルに水、有機
バインダーを入れ湿式粉砕した。
【0090】その後、この粉砕物を乾燥した後、50番
メッシュの網を通して造粒し、得られた粉末を1ton
/cm2 の圧力で20mmφ×11mmの寸法からなる
円板に成形した。更に、この円板を1550〜1700
℃で焼成して磁器試料を得た。この磁器試料を加工して
13mmφ×7mmの寸法からなる円柱を得た。
【0091】かくして得られた磁器試料について、周波
数4〜7GHzにおける比誘電率(εr),Q値を誘電
体共振器法にて測定し、また25℃から85℃までの温
度範囲における共振周波数の温度変化を測定し共振周波
数の温度係数(τf)を計算した。Q値はマイクロ波誘
電体において一般に成立するQ値×測定周波数f=一定
の関係から1GHzでのQ値に換算した。それらの結果
を表6に示した。
【0092】表6によれば、配合組成が本発明の範囲を
逸脱する試料No.27〜36は焼結不良やQ値の低下
を生じた。これに対して、本発明の試料No.1〜26
は比誘電率17〜36、Q値40000以上が達成され
た。尚、表中において焼結不良とは、クラック、変形、
未焼結、蒸発、その他の焼結不良を示す。
【0093】
【表6】
【0094】また、本発明者等は、Ba、Y、Nb、T
aの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸
塩、硝酸塩等の金属塩を加えた原料粉末と、Ba、M
g、Wの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭
酸塩、硝酸塩等の金属塩を、それぞれ別々に調合、粉
砕、仮焼し、これらの仮焼物および表6に示した純度9
5%以上のB,Mn,Siの化合物をボールミルに共に
入れ,溶媒および有機バインダーとともに混合粉砕し、
所定の形状に成形し、酸素を含む雰囲気下で焼成した場
合でも、本発明の範囲内であれば、優れた誘電特性を有
することを確認した。
【0095】実施例5 原料として純度99%以上のBaCO3 、Y2 3 、Z
nO、Nb2 5 、WO3 およびTa2 5 の粉末を用
いて、これらを表7に示す割合に秤量し、これをゴムで
内張りしたボールミルに水と共に入れ、直径10mmの
ZrO2 ボールを用いて湿式混合した。次いで、この混
合物を脱水、乾燥した後、1200℃で2時間仮焼し、
当該仮焼物および表7に示した純度95%以上のB,M
n,Siの化合物粉末をボールミルに入れ、水、有機バ
インダーと共に湿式粉砕した。
【0096】その後、この粉砕物を乾燥した後、50番
メッシュの網を通して造粒し、得られた粉末を1ton
/cm2 の圧力で20mmφ×11mmの寸法からなる
円板に成形した。更に、この円板を大気中で1450〜
1550℃×2時間の条件で焼成して磁器試料を得た。
この磁器試料を加工して13mmφ×7mmの寸法から
なる円柱を得た。
【0097】かくして得られた磁器試料について、周波
数4〜7GHzにおける比誘電率(εr),Q値を誘電
体共振器法にて測定し、また25℃から85℃までの温
度範囲における共振周波数の温度変化を測定し共振周波
数の温度係数(τf)を計算した。Q値はマイクロ波誘
電体において一般に成立するQ値×測定周波数f=一定
の関係から1GHzでのQ値に換算した。それらの結果
を表7に示した。
【0098】表7によれば、配合組成が本発明の範囲を
逸脱する試料No.21〜34は焼結不良となったり、
比誘電率やQ値が測定不可であったり、Q値が低かっ
た。これに対して、本発明の試料No.1〜20は比誘
電率21〜37、Q値42000〜81000が達成さ
れた。
【0099】
【表7】
【0100】また、本発明者等は、Ba、Y、Nb、T
aの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸
塩、硝酸塩等の金属塩を加えた原料粉末と、Ba、Z
n、Wの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭
酸塩、硝酸塩等の金属塩を、それぞれ別々に調合、粉
砕、仮焼し、これらの仮焼物および表7に示したB,M
n,Siの化合物粉末をボールミルに共に入れ,溶媒お
よび有機バインダーとともに混合粉砕し、所定の形状に
成形し、大気中において焼成した場合でも、本発明の範
囲内であれば、優れた誘電特性を有することを確認し
た。
【0101】実施例6 原料として純度99%以上のBaCO3 、ZnO、Nb
2 5 、MgCO3 、WO3 およびTa2 5 の粉末を
用いて、これらを表8に示す割合に秤量し、これをゴム
で内張りしたボールミルに水と共に入れ、直径10mm
のZrO2 ボールを用いて湿式混合した。次いで、この
混合物を脱水、乾燥した後、表9に示す条件で仮焼し、
当該仮焼物をボールミルに水、有機バインダーを入れ各
々粉砕条件を変えて湿式粉砕し、粒径の異なる粉砕物を
得た。
【0102】その後、この粉砕物を乾燥した後、50番
メッシュの網を通して造粒し、得られた粉末を1ton
/cm2 の圧力で12mmφ×8mmの寸法からなる円
板に成形した。更に、この円板を大気中において焼結し
たセラミック匣鉢にいれて密閉し、1350〜1650
℃で焼成して磁器試料を得た。この磁器試料を加工して
8mmφ×5mmの寸法からなる円柱を得た。
【0103】かくして得られた磁器試料について、周波
数6〜11GHzにおける比誘電率(εr),Q値を誘
電体共振器法にて測定し、また25℃から85℃までの
温度範囲における共振周波数の温度変化を測定し共振周
波数の温度係数(τf)を計算した。Q値はマイクロ波
誘電体において一般に成立するQ値×測定周波数f=一
定の関係から1GHzでのQ値に換算した。それらの結
果を表9に示した。
【0104】表8、9によれば、配合組成、仮焼条件、
仮焼物の粉砕粒度、焼成条件が本発明の範囲を逸脱する
試料No.27〜45は吸水率が大きくなって焼結不良
を生じたり、比誘電率やQ値が低くなった。
【0105】これに対して、本発明の試料No.1〜2
6は比誘電率23〜39、Q値5000〜200000
が達成された。
【0106】
【表8】
【0107】
【表9】
【0108】さらに実験を重ねた結果、原料にBa,Z
n,Nb,Mg,W,Taの化合物、例えばBaO,水
酸化バリウム,ZnO,ZnCO3 ,Zn(OH)2
Nb2 5 ・H2 O,MgO,Mg(OH)2 ,WO3
・H2 O,Ta2 5 ・H2O等を用いても、本発明の
組成、仮焼条件、仮焼後の粉砕粒度、焼成条件、吸水
率、密度の範囲内であれば、比誘電率19〜39、1G
Hzに換算した時のQ値50000〜200000、共
振周波数の温度係数τf−43〜28ppm/℃が得ら
れた。
【0109】また、仮焼及び焼成は同一温度ではなく、
仮焼は1000〜1300℃、焼成は1350〜165
0℃の範囲内で10分以上保持すれば、比誘電率19〜
39、1GHzに換算した時のQ値50000〜200
000、共振周波数の温度係数τf−43〜28ppm
/℃が得られた。
【0110】また、本発明者等は、Ba、Zn、Nb、
Taの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸
塩、硝酸塩等の金属塩を加えた原料粉末と、Ba、M
g、Wの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭
酸塩、硝酸塩等の金属塩を、それぞれ別々に調合、粉
砕、仮焼し、これらの仮焼物ボールミルに共に入れ,溶
媒および有機バインダーとともに混合粉砕し、所定の形
状に成形し、大気中において焼成した場合でも、本発明
の範囲内であれば、優れた誘電特性を有することを確認
した。
【0111】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、高
周波領域において高い誘電率および高いQ値を得ること
ができる。それにより、マイクロ波やミリ波領域におい
て使用される共振器用材料やMIC用誘電体基板材料,
誘電体導波線路,誘電体アンテナ等、その他の電子部品
等に充分適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01P 7/10 C04B 35/00 J

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素として少なくともBa、Zn、N
    b、Wを含有し、これらの金属元素のモル比による組成
    式をaBaO・bZnO・cNb2 5 ・dWO3 と表
    した時、前記a,b,c,dが 0.40≦a≦0.70 0.10≦b≦0.35 0 <c≦0.30 0 <d≦0.35 0.14≦c+d≦0.36 a+b+c+d=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてB,M
    n,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO
    2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量%含有すること
    を特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】金属元素として少なくともBa、Zn、N
    b、W、Taを含有し、これらの金属元素のモル比によ
    る組成式をaBaO・bZnO・cNb2 5・dWO
    3 ・eTa2 5 と表した時、前記a,b,c,d、e
    が 0.40≦a≦0.70 0.10≦b≦0.35 0 <c≦0.30 0 <d≦0.35 0 <e≦0.30 0.16≦c+e≦0.31 a+b+c+d+e=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてB,M
    n,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO
    2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量%含有すること
    を特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】金属元素として少なくともBa、Zn、N
    b、Mg、W、Taを含有し、これらの金属元素のモル
    比による組成式をaBaO・bZnO・cNb2 5
    dMgO・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記
    a,b,c,d,e,fが 0.43≦a≦0.68 0.01≦b≦0.30 0 ≦c≦0.30 0 <d≦0.35 0 <e≦0.35 0 <f≦0.30 0.50≦(b+d)/(c+e+f)≦1.60 a+b+c+d+e+f=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてB,M
    n,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO
    2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量%含有すること
    を特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】金属元素として少なくともBa、Y、N
    b、Mg、W、Taを含有し、これらの金属元素のモル
    比による組成式をaBaO・bY2 3 ・cNb2 5
    ・dMgO・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記
    a,b,c,d,e,fが 0.40≦a≦0.76 0 <b≦0.26 0 <c≦0.26 0 ≦d≦0.35 0 ≦e≦0.35 0 ≦f≦0.25 0.60≦(b+d)/(c+e+f)≦1.50 d+e+f>0 a+b+c+d+e+f=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてB,M
    n,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO
    2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量%含有すること
    を特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】金属元素として少なくともBa、Y、Z
    n、Nb、W、Taを含有し、これらの金属元素のモル
    比による組成式をaBaO・bY2 3 ・cZnO・d
    Nb2 5 ・eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記
    a,b,c,d,e,fが 0.40≦a≦0.70 0 <b≦0.30 0 <c≦0.35 0 ≦d≦0.30 0 <e≦0.35 0 ≦f≦0.30 0.20≦(b+c)/(d+e+f)≦1.66 a+b+c+d+e+f=1.00 を満足する複合酸化物に対し、金属元素としてB,M
    n,Siのうち少なくとも一種以上をB2 3 ,MnO
    2 ,SiO2 換算で0.001〜1重量%含有すること
    を特徴とする高周波用誘電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】金属元素として少なくともBa、Zn、N
    b、Mg、W、Taを含有する複合酸化物であって、こ
    れらの金属元素のモル比による組成式をaBaO・bZ
    nO・cNb2 5 ・dMgO・eWO3 ・fTa2
    5 と表した時、前記a,b,c,d,e,fが 0.50≦a≦0.65 0.05≦b≦0.25 0 ≦c≦0.20 0 <d≦0.10 0 <e≦0.10 0.09≦f≦0.25 0.70≦(b+d)/(c+e+f)≦1.25 a+b+c+d+e+f=1.00 であって、吸水率0.5%以下、密度6.0g/cm3
    以上を満足することを特徴とする高周波用誘電体磁器組
    成物。
  7. 【請求項7】Ba、Zn、Nb、Mg、W、Taの酸化
    物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩
    等の金属塩を原料とし、上記金属元素のモル比による組
    成式をaBaO・bZnO・cNb2 5 ・dMgO・
    eWO3 ・fTa2 5 と表した時、前記a,b,c,
    d,e,fが 0.50≦a≦0.65 0.05≦b≦0.25 0 ≦c≦0.20 0 <d≦0.10 0 <e≦0.10 0.09≦f≦0.25 0.70≦(b+d)/(c+e+f)≦1.25 a+b+c+d+e+f=1.00 となるように原料を混合した後、1000〜1300℃
    で10分以上仮焼し、得られた仮焼物を平均粒径0.3
    〜2μmとなるように粉砕した後、成形し、1350〜
    1650℃で10分以上保持してセラミック製匣鉢内で
    焼成する工程からなる請求項6記載の高周波用誘電体磁
    器組成物の製造方法。
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