JP3329909B2 - 部分放電検出装置 - Google Patents

部分放電検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は受変電設備における経年
劣化に起因する絶縁物の部分放電を検出する部分放電検
出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】受変電設備における設備の監視、診断は
事故発生時の障害波及の重大性を考えるときわめて重要
性が高く、信頼性の高いシステムが望まれている。そこ
で、絶縁破壊に至る部品や装置類の劣化状況を早期に発
見し、事故を未然に防止するために絶縁物の部分放電を
検出する部分放電検出装置が実用されている。
【0003】以下、この種の部分放電検出装置について
図4を参照して説明する。劣化した絶縁物から発生した
超音波をセンサ101が検出して電気信号に変換された
出力は、中心周波数が数10kHzのバンドパスフィル
タ102を通ることにより雑音成分が除去される。増幅
回路103で増幅された信号は平均値回路104へ入力
される。平均値回路104は入力された交流信号を平滑
化して直流信号に変換することによりセンサが検出した
超音波波動の平均値を出力する。変換回路105は平均
値出力を所定のレベルの電気信号に変換して外部へ出力
する。したがって、外部に接続された装置が部分放電検
出装置からの出力により、放電が発生していることを知
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の部分放電検出装置では、次のような問題があった。 (1)センサ101から出力される電気信号が微弱なた
めに、電気的外部ノイズに対するマージンが不十分とな
り、誤動作をすることがある。 (2)平均値回路104によって入力交流信号を平滑化
しているが、短時間の放電現象の発見と、音響的な耐ノ
イズ性の強化とは平滑回路の時定数の決め方に関して相
反する要求であるから、両方の要求を満足させることが
できない。 (3)スイッチギヤ内部などでは、センサ101および
バンドパスフィルタ102、増幅回路103、平均値回
路104、変換回路105から成る信号処理部106を
多数個取り付けるためのスペースが十分確保できないこ
とがある。 (4)警報出力が用意されていないために、PCなどの
上位機が必要である。 (5)入力信号および出力信号レベルを表示する表示器
がついていないので、現地調整をする場合は別途測定器
が必要である。 (6)バンドパスフィルタの特性が適切でないために外
部ノイズの影響を受けやすい。 本発明はこのような従来の問題を解決するためになされ
たものであり、上述した問題を解決することができる部
分放電検出装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の部分放電検出装置では、部分放電現
象に伴って発生する超音波を検出して電気信号に変換す
るセンサと、このセンサから出力される電気信号を増幅
するプリアンプとから成る放電検出手段と、複数個の前
記放電検出手段からの出力を順次切り換えて入力するマ
ルチプレクサ手段と、このマルチプレクサ手段の出力を
フィルタリング、増幅、A/D変換する入力手段と、こ
の入力手段の出力をサンプリングしたデータに対して、
ノイズと放電現象による超音波信号成分との弁別、およ
び弁別された前記超音波信号成分の平均値算出を行って
ディジタル処理をする演算処理手段と、この演算処理手
段においてディジタル処理された前記複数個の放電検出
手段の各々に対応する複数個の信号をアナログ信号に変
換し、各アナログ信号を保持するとともに外部へ絶縁し
て出力するアナログ出力手段とを備えたことを要旨とす
る。
【0006】また、請求項2記載の部分放電検出装置で
は、前記入力手段から出力された信号レベルおよび前記
演算処理手段においてディジタル処理された信号レベル
を前記マルチプレクサ手段の入力チャネルに対応して選
択的に表示することが可能な表示出力手段を請求項1記
載の部分放電検出装置に付加したことを要旨とする。
【0007】また、請求項3記載の部分放電検出装置で
は、前記演算処理手段においてディジタル処理された信
号を予め設定される設定値と比較して異常と判断した場
合に警報信号を出力する警報出力手段を備えたことを請
求項1記載の部分放電検出装置に付加したことを要旨と
する。また、請求項4記載の部分放電検出装置では、前
記入力手段におけるフィルタリングの通過周波数帯域の
ゲインをフラットな特性とし、減衰の傾きを10dB/
オクターブ以上の傾きとしたことを要旨とする。
【0008】
【作用】請求項1記載の発明はマルチプレクサ手段を設
けたことにより、従来の信号処理部に相当する機能を集
合化でき装置を小型化することができる。また、A/D
変換回路によりアナログ信号をディジタル化し、このデ
ィジタル信号についてノイズと放電現象による超音波信
号成分との弁別を行い、弁別された超音波信号成分の平
均値算出等を行う演算処理手段を設けたことにより、平
均値処理やノイズ処理の高度化が可能になる。
【0009】また、請求項2記載の発明では、入力信号
レベルおよびディジタル処理された信号レベルを前記マ
ルチプレクサ手段の入力チャネルに対応して選択的に表
示することができるので、装置の調整が容易になる。
【0010】また、請求項3記載の発明では、ディジタ
ル処理された信号を予め設定される設定値と比較して異
常と判断した場合に警報信号を出力することができるの
で、PCなどの上位機種を使用する必要がない。また、
請求項4記載の発明では、バンドパスフィルタによるフ
ィルタリングの特性として、通過周波数帯域のゲインを
フラットな特性とし、減衰の傾きを10dB/オクター
ブ以上の急峻な傾きとすることにより、ノイズなどの妨
害信号を減少させて放電に起因する超音波信号を効率的
に検出することが可能になる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の一実施例における構成を示すブロ
ック図である。同図において、1は部分放電現象に伴っ
て発生する超音波波動を検出して電気信号に変換するセ
ンサ11と、このセンサから出力される電気信号を増幅
するプリアンプ12とから成る放電検出手段、2は複数
個の放電検出手段1からの出力を順次切り換えて入力す
るマルチプレクサ手段、3はマルチプレクサ手段2の出
力をフィルタリング、増幅、A/D変換する入力手段、
4は入力手段3の出力を所定の手順に従ってディジタル
処理をする演算処理手段、5は演算処理手段4において
ディジタル処理された信号をアナログ信号に変換して複
数個の放電検出手段1にそれぞれ対応する複数個のアナ
ログ信号として出力するアナログ出力手段、6は入力手
段3から出力された信号レベルおよび演算処理手段4に
おいてディジタル処理された信号レベルをマルチプレク
サ手段2の入力チャネルに対応して選択的に表示するこ
とが可能な表示出力手段、7は演算処理手段4において
ディジタル処理された信号を設定値と比較して異常と判
断した場合に警報信号を出力する警報出力手段、8は電
源部である。
【0012】次に、以上のように構成された装置の動作
について説明する。放電検出手段1の近傍で絶縁破壊に
よる放電が発生すると、放電現象に伴って発生した超音
波波動をセンサ11が検出して電気信号に変換する。セ
ンサ11に直結されているプリアンプ12はセンサ11
の出力信号を増幅して放電検出手段1から出力する。マ
ルチプレクサ手段2は常時複数個の放電検出手段1−i
(i=1,…,n)からの出力を順次切り換えて入力手
段3へ渡す。入力手段3はバンドパスフィルタ31、ア
イソレーションアンプ32、直流変換回路33、および
A/D変換回路34から構成されている。バンドパスフ
ィルタ31はノイズなどの妨害信号を減少させて放電に
起因する超音波信号成分のみを効率的に通過させ、アイ
ソレーションアンプ32がバンドパスフィルタ31を通
過した信号を増幅する。次に、直流変換回路33は入力
された交流信号を平滑化して直流に変換することによ
り、センサが検出した超音波波動の平均値をA/D変換
回路34へ出力する。A/D変換回路34は入力された
直流電圧のアナログ信号をディジタル信号に変換し、入
力手段3から出力する。演算処理手段4は時計部43か
らのタイミングに基づいてマルチプレクサ手段2の入力
切り換え、A/D変換回路34のスタート、入力手段3
からの出力サンプリング、およびRAM51への保存を
実行する。演算処理手段4はまた、サンプリングしたデ
ータに所定の演算処理を行い、ノイズと放電現象による
信号成分との弁別、信号成分の平均値算出などを行い、
その結果をRAM51に保存するとともに、アナログ出
力手段5へ出力する。アナログ出力手段5は演算処理手
段4から出力されたデータを一時、ホールド回路52に
保持してD/A変換回路53によってアナログ信号への
変換を実施する。このアナログ信号はアイソレータ回路
54にこれまで保持されていた信号に代わって新しく保
持されるとともに、所定の出力端子から外部へ出力され
る。表示出力手段6では演算処理前および演算処理後
の、任意の入力チャネルに接続されている放電検出手段
1のデータを表示出力回路61を介して表示器62に表
示させることができる。演算処理手段4はまた、警報出
力手段7の警報設定器72の設定値を入出力回路71を
通して読み取り、演算処理後のデータがこの設定値の範
囲内であるかを調べ、異常と判断した場合は入出力回路
71を介して補助継電器73を動作させて外部へ警報接
点を出力する。
【0013】図2は動作の順序を端的に表示するフロー
チャートである。ステップ201で周辺回路の初期化を
実施し、つぎに、ステップ202で入力手段3からの出
力サンプリング、およびRAM51への保存を実行す
る。ステップ203で演算処理手段4はノイズと放電現
象による信号成分との弁別、信号成分の平均値算出など
を行いその結果をRAM51に保存し、ステップ204
でD/A変換回路53によってアナログ信号への変換を
実施し、アイソレータ回路54から所定の出力端子へ出
力する。つぎに、ステップ205で演算処理後のデータ
と設定値を比較し、異常と判断した場合は補助継電器7
3を動作させて外部へ警報接点を出力する。ステップ2
06では演算処理前および演算処理後のデータを表示器
62に表示させる。以上の処理が終了すると、ステップ
202へ戻り、上述の動作を繰り返す。
【0014】また、図3はバンドパスフィルタの特性図
である。その特性としては、例えば、バンドパスフィル
タの通過周波数帯域の下限値αを数十kHzに、また帯
域の上限値βを数百kHz以下に設定し、α〜β間のゲ
インはフラットな特性とし、減衰の傾きは、10dB/
オクターブ以上の急峻な傾きとしている。これにより、
ノイズなどの妨害信号を減少させて放電に起因する超音
波信号を効率的に検出することができる。
【0015】したがって、以上のような実施例の構成に
よれば、装置の小型化、ノイズ除去処理の高度化、装置
調整の効率化、PCなど上位機の使用を省略することが
できる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、マルチプレクサ手段を設けたことにより、従
来の信号処理部に相当する機能を集合化でき装置を小型
化することができる。また、A/D変換回路によりアナ
ログ信号をディジタル化し、このディジタル信号につい
てノイズと放電現象による超音波信号成分との弁別を行
い、弁別された超音波信号成分の平均値算出等を行う演
算処理手段を設けたことにより、平均値処理やノイズ処
理の高度化が可能になる。
【0017】また、請求項2記載の発明によれば、入力
信号レベルおよびディジタル処理された信号レベルを前
記マルチプレクサ手段の入力チャネルに対応して選択的
に表示することができるので、装置の調整を効率化する
ことができる。
【0018】更に、請求項3記載の発明によれば、ディ
ジタル処理された信号を予め設定される設定値と比較し
て異常と判断した場合に警報信号を出力することができ
るので、PCなどの上位機種を使用する必要が無く経済
性を高めることができる。また、請求項4記載の発明に
よれば、フィルタリングの特性として、通過周波数帯域
のゲインをフラットな特性とし、減衰の傾きを10dB
/オクターブ以上の傾きとすることにより、ノイズなど
の妨害信号を減少させて放電に起因する超音波信号を効
率的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における構成を示すブロック
図である。
【図2】本発明の動作順序を説明する流れ図である。
【図3】バンドパスフィルタの特性図である。
【図4】従来例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 放電検出手段 2 マルチプレクサ手段 3 入力手段 4 演算制御手段 5 アナログ出力手段 6 表示出力手段 7 警報出力手段 8 電源部 11 センサ 12 プリアンプ 31 バンドパスフィルタ 32 アイソレーションアンプ 33 直流変換回路 41 CPU 43 時計部 52 ホールド回路 54 アイソレータ回路 61 表示出力回路 62 表示器 71 入出力回路 72 警報設定器 73 補助継電器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 5/00 G01H 17/00 G01R 31/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分放電現象に伴って発生する超音波を
    検出して電気信号に変換するセンサと、 このセンサから出力される電気信号を増幅するプリアン
    プとから成る放電検出手段と、 複数個の前記放電検出手段からの出力を順次切り換えて
    入力するマルチプレクサ手段と、 このマルチプレクサ手段の出力をフィルタリング、増
    幅、A/D変換する入力手段と、この入力手段の出力をサンプリングしたデータに対し
    て、ノイズと放電現象による超音波信号成分との弁別、
    および弁別された前記超音波信号成分の平均値算出を行
    ってディジタル処理をする演算処理手段と、 この演算処理手段においてディジタル処理された前記複
    数個の放電検出手段の各々に対応する複数個の信号をア
    ナログ信号に変換し、各アナログ信号を保持するととも
    に外部へ絶縁して出力するアナログ出力手段とを備えた
    ことを特徴とする部分放電検出装置。
  2. 【請求項2】 前記入力手段から出力された信号レベル
    および前記演算処理手段においてディジタル処理された
    信号レベルを前記マルチプレクサ手段の入力チャネルに
    対応して選択的に表示することが可能な表示出力手段を
    備えたことを特徴とする請求項1記載の部分放電検出装
    置。
  3. 【請求項3】 前記演算処理手段においてディジタル処
    理された信号を予め設定される設定値と比較して異常と
    判断した場合に警報信号を出力する警報出力手段を備え
    たことを特徴とする請求項1記載の部分放電検出装置。
  4. 【請求項4】 前記入力手段におけるフィルタリングの
    通過周波数帯域のゲインをフラットな特性とし、減衰の
    傾きを10dB/オクターブ以上の傾きとしたことを特
    徴とする請求項1記載の部分放電検出装置。
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