JP3329181B2 - ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置 - Google Patents

ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置

Info

Publication number
JP3329181B2
JP3329181B2 JP10487596A JP10487596A JP3329181B2 JP 3329181 B2 JP3329181 B2 JP 3329181B2 JP 10487596 A JP10487596 A JP 10487596A JP 10487596 A JP10487596 A JP 10487596A JP 3329181 B2 JP3329181 B2 JP 3329181B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
wheel
valve
vibration
brake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10487596A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09290726A (ja
Inventor
和也 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10487596A priority Critical patent/JP3329181B2/ja
Publication of JPH09290726A publication Critical patent/JPH09290726A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3329181B2 publication Critical patent/JP3329181B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はギヤ入り振動判定装
置及びそれを用いた制動力制御装置に関し、ABS(ア
ンチロック・ブレーキ・システム)搭載の車両でABS
制御時にギヤ入り振動が発生したことを判定するギヤ入
り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、路面状態(例えば、乾燥した
路面、濡れた路面、凍結した路面等)によって制動時の
制動力を制御して、特に滑りやすい路面での急制動によ
り車輪がロックすることを防止するABS(アンチロッ
ク・ブレーキ・システム)が採用されている。このAB
Sでは、運転者がブレーキをかけて各車輪にブレーキ圧
力が供給される際、各車輪が回転していれば増圧モード
または保持モードにして車輪の制動力を増大させ、車輪
がロックする直前であれば減圧モードにして車輪がロッ
クすることを防止するように制御する。
【0003】上記のABS制御時には駆動輪系でギヤ入
り振動が発生する場合がある。ギヤ入り振動とは路面の
摩擦係数μが低い、いわゆる低μ路では駆動輪に対する
路面抵抗が小さく、変速機のギヤのバックラッシュやド
ライブシャフトのねじれによる振動、又はエンジンの振
動等が駆動輪の車輪速の振動として現われる現象であ
り、ABS制御によるブレーキ圧力の増減変化と同期し
たときに共振により増幅される。
【0004】例えば特開平6−32222号公報には、
駆動輪の車輪速に、所定時間に所定大きさの加速度及び
減速度が交互に所定回数検出された場合に駆動輪毎に単
独でギヤ入り振動の発生と判定し、ギヤ入り振動と判定
した場合にはABS制御のブレーキ圧力の増圧制御を停
止し、減圧制御だけを実行することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】悪路等の荒れた路面の
走行中には、各輪の接地している路面が起振源となって
各輪の車輪速が変動し、駆動輪の車輪速に、所定時間に
所定大きさの加速度及び減速度が交互に所定回数検出さ
れる場合がある。従来装置では、この場合、前述の如く
駆動輪毎に単独で判定しているため、悪路走行に起因し
て発生する車輪速の振動をギヤ入り振動と誤判定する可
能性がある。従って、ギヤ入り振動と誤判定された場
合、ABS制御中であればブレーキ圧力の減圧制御が行
われ、車体の減速が遅れるという問題が生じる。
【0006】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
駆動輪夫々の車輪加減速度が所定時間内に所定パターン
で変化し、この所定パターンの変化が各駆動輪で所定時
間内に現われたときギヤ入り振動と判定することによ
り、ギヤ入り振動の誤判定を防止するギヤ入り振動判定
装置を提供することを目的とする。
【0007】また、ギヤ入り振動判定時に駆動輪の車輪
速ピーク時のスリップ率が増大しているときにのみブレ
ーキ圧力の減圧制御を行うことにより、車体の減速遅れ
を抑制できる制動力制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、図1(A)に示す如く、複数の駆動輪夫々の車輪速
を検出する車輪速検出手段M1と、上記各駆動輪毎に車
輪速から得られる駆動輪夫々の車輪加減速度が所定時間
内に所定パターンで変化し、かつ、上記車輪加減速度の
所定パターンの変化が上記各駆動輪で所定時間内に同期
して現われたときギヤ入り振動の発生と判定するギヤ入
り振動判定手段M2とを有する。
【0009】悪路走行時に各駆動輪の車輪加減速度が所
定時間内に所定パターンで変化することがあっても、こ
の所定パターンの変化が所定時間内に同期して現われる
ことはきわめて稀であり、所定パターンの変化が同期し
て現われるギヤ入り振動を高精度に判定できる。
【0010】請求項2に記載の発明は、図1(B)に示
す如く、複数の車輪夫々の車輪速と、基準となる車体速
度とに基づいて各車輪の制動力を制御する制動力制御装
置において、請求項1記載のギヤ入り振動判定装置と、
ギヤ入り振動判定時における、各駆動輪毎の車輪速ピー
ク時のスリップ率が増大してるか判定するスリップ率判
定手段M3と、上記スリップ率の増大と判定されたとき
にのみ駆動輪のブレーキ圧力の減圧制御を行う減圧制御
手段M4とを有する。
【0011】このように、車輪速ピーク時のスリップ率
が増大して、ギヤ入り振動の影響を除いてもブレーキ圧
力が高すぎることが明らかな場合にのみブレーキ圧力の
減圧が行われるので、ブレーキ圧力の過減圧を防止で
き、車体の減速遅れを抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図2は本発明を適用したダイアゴ
ナル2系統式のアンチロックブレーキシステムの構成図
を示す。同図中、10はマスタシリンダを示している。
マスタシリンダ10は互いに独立した2つの加圧室が直
列に並んだタンデム型である。このマスタシリンダ10
は、ブースタ12を介してブレーキ操作部材としてのブ
レーキペダル14に連携させられており、運転者による
ブレーキペダル14の踏込みに応じて2つの加圧室に互
いに等しい高さの液圧をそれぞれ機械的に発生させる。
【0013】マスタシリンダ10の一方の加圧室には、
左前輪の液圧作動式のブレーキシリンダ(以下、単に
「ブレーキシリンダ」という)と右後輪のブレーキシリ
ンダとがそれぞれ接続され、他方の加圧室には、右前輪
のブレーキシリンダと左後輪のブレーキシリンダとがそ
れぞれ接続されている。マスタシリンダ10の各加圧室
から延びる2つのブレーキ系統が互いに独立してダイヤ
ゴナルに構成されているのである。以下、一方のブレー
キ系統のみを詳細に説明し、他のブレーキ系統について
は、互いに構成が共通するため、説明を省略する。
【0014】マスタシリンダ10の一方の加圧室は前輪
ブレーキ通路20により前輪ブレーキシリンダ22に接
続されている。その前輪ブレーキ通路20の途中から後
輪ブレーキ通路24が分岐させられており、その先端に
後輪ブレーキシリンダ26が接続されている。
【0015】前輪ブレーキ通路20のうち後輪ブレーキ
通路24の接続位置よりマスタシリンダ10の側の部分
には常開の第一開閉弁100が設けられている。前輪ブ
レーキ通路20にはまた、第一開閉弁100をバイパス
する戻り通路102が接続されており、その途中に逆止
弁104が設けられている。逆止弁104は、マスタシ
リンダ10から前輪ブレーキシリンダ22に向かう向き
のブレーキ液の流れを阻止するがその逆向きの流れを実
質的に0である開弁圧以上で許容するものとされてい
る。
【0016】後輪ブレーキ通路24にプロポーショニン
グバルブ(以下、単に「Pバルブ」という)110が設
けられている。このPバルブ110は図3に示すよう
に、有底円筒状のハウジング112を有する。ハウジン
グ112には、大径部114と小径部116とを有する
段付状のシリンダボア118が形成されており、それに
大径部120と小径部122とを有する段付状のバルブ
ピストン124が摺動可能に嵌合されている。バルブピ
ストン124は付勢手段としてのスプリング126によ
り、大径部120の先端面がハウジング112の、小径
部116の側の底面に当接する非作用位置に常時付勢さ
れている。シリンダボア118とバルブピストン124
との間にはシール部材としてのカップシール128が配
設されている。このカップシール128によりシリンダ
ボア118内の空間が2つに仕切られており、シリンダ
ボア118の大径部114の側の空間が入力室130、
小径部116の側の空間が出力室132とされている。
入力室130はマスタシリンダ10、出力室132は後
輪ブレーキシリンダ26にそれぞれ接続されている。
【0017】カップシール128は一方向シール部13
4と双方向シール部136とを備えている。一方向シー
ル部134は、シリンダボア118の大径部114の表
面に密着して入力室130から出力室132へ向かう向
きのブレーキ液の流れを阻止し、大径部114の表面か
ら離間してその逆向きの流れを許容する。一方、双方向
シール部136は、非作用位置から作用位置に向かって
前進(図において右方に移動)したバルブピストン12
4の、大径部120と小径部122との間の肩面に座着
して入力室130と出力室132との間の双方向の流れ
を阻止し、その肩面から離間して双方向の流れを許容す
る。
【0018】なお、カップシール128のうち入力室1
30に対向する側の面と出力室132に対向する側の面
とにはそれぞれ、複数の半球状の突起がバルブピストン
124と同心の円周に沿って形成されている。入力室1
30の側の突起は、カップシール128がバルブピスト
ン124に完全に密着することを阻止し、一方、出力室
132の側の突起は、カップシール128がシリンダボ
ア118の肩面に完全に密着することを阻止する。
【0019】図2に示すように、後輪ブレーキ通路24
のうちPバルブ110の接続位置よりマスタシリンダ1
0の側の部分に常開の第二開閉弁140が接続されてい
る。また、後輪ブレーキ通路24のうちその第二開閉弁
140の接続位置とPバルブ110の接続位置との間の
部分にはリザーバ通路142が接続されている。リザー
バ通路142はリザーバ144から延びており、その途
中に常閉の第三開閉弁146が設けられている。
【0020】リザーバ144からはまた、ポンプ通路1
48も延びている。ポンプ通路148の途中にはリザー
バ144からブレーキ液を汲み上げるポンプ150が設
けられている。ポンプ150はブレーキ液を間欠的に吐
き出す形式の一例であるプランジャ式であり、モータ1
52によって駆動される。ポンプ通路148のブレーキ
液の吐出口は、後輪ブレーキ通路24のうち第二開閉弁
140の接続位置よりマスタシリンダ10の側の部分に
接続されている。
【0021】後輪ブレーキ通路24のうち第二開閉弁1
40の接続位置とPバルブ110の接続位置との間の部
分は戻り通路154によって、前輪ブレーキ通路20の
うちマスタシリンダ10の接続位置と第一開閉弁100
の接続位置との間の部分に接続されている。この戻り通
路154には逆止弁156が設けられている。逆止弁1
56は、マスタシリンダ10から後輪ブレーキシリンダ
26に向かう向きのブレーキ液の流れを阻止するがその
逆向きの流れを実質的に0である開弁圧以上で許容する
ものである。
【0022】後輪ブレーキ通路24のうちポンプ通路1
48の接続位置よりマスタシリンダ10の側には減圧弁
160が設けられている。この減圧弁160は、開弁圧
が実質的に0でない第一逆止弁162と開弁圧が実質的
に0である第二逆止弁164とが互いに逆向きかつ並列
に接続された構成とされている。本実施例においては、
アンチロック制御状態では原則としてホンプ150が圧
力源とされるため、減圧弁160は、減圧用の第一逆止
弁162がポンプ150から前輪ブレーキシリンダ22
に向かう向きのブレーキ液の流れを設定開弁圧以上で許
容する逆止弁として機能するように配置されているので
ある。
【0023】マスタシリンダ10,ポンプ150,前輪
ブレーキシリンダ22および後輪ブレーキシリンダ26
の間でのブレーキ液の流れを図4に基づいて説明する。
なお、この図にはブレーキ液圧回路の主要部がPバルブ
110および常開の第二開閉弁140の双方の存在を無
視して概念的に表わされている。
【0024】本実施例においては、ポンプ150が作動
しない通常ブレーキ状態では、マスタシリンダ10から
のブレーキ液が第一開閉弁100を経て前輪ブレーキシ
リンダ22に供給されるとともに、第一開閉弁100お
よび第二逆止弁164を経て後輪ブレーキシリンダ26
にも供給される。第二逆止弁164の開弁圧は実質的に
0であるから、結局、前輪ブレーキシリンダ22と後輪
ブレーキシリンダ26とに互いに等しいブレーキ圧が発
生することになる。
【0025】これに対し、ポンプ150が作動している
状態では、第一開閉弁100が閉じられており、ポンプ
150から吐き出されたブレーキ液が第一逆止弁162
を経て前輪ブレーキシリンダ22に供給されるととも
に、そのまま後輪ブレーキシリンダ26に供給される。
第一逆止弁162の開弁圧は実質的に0ではないから、
結局、前輪ブレーキシリンダ22に後輪ブレーキ圧より
第一逆止弁162の開弁圧だけ低い圧力が供給されるこ
ととなる。
【0026】すなわち、通常ブレーキ状態ではマスタシ
リンダ10が圧力源(図において「第二の圧力源」で表
わす)として機能し、前輪ブレーキシリンダ22と後輪
ブレーキシリンダ26とに等圧のブレーキ圧をそれぞれ
発生させ、これに対し、ポンプ作動状態ではポンプ15
0が圧力源(図において「第一の圧力源」で表わす)と
して機能し、前輪ブレーキシリンダ22と後輪ブレーキ
シリンダ26とに前輪ブレーキ圧が後輪ブレーキ圧より
低い関係となるブレーキ圧をそれぞれ発生させることに
なるのである。
【0027】以上説明した第一開閉弁100,第二開閉
弁140および第三開閉弁146は図2に示すように、
それぞれのソレノイドにおいてコントローラ170と接
続されている。コントローラ170はCPU,ROM,
RAMおよびバスを含むコンピュータ,A/Dコンバー
タ,ドライバ等を主体として構成されており、それら開
閉弁100,140,146の開閉状態を制御する。
【0028】コントローラ170はまた、左右前輪の車
輪速と左右後輪の車輪速とをそれぞれ検出する車輪速セ
ンサ171,172,173,174とも接続され、そ
れら車輪速センサ172,174からの信号に基づいて
開閉弁100,140,146を制御する。上記の車輪
速センサ171,172が車輪速検出手段M1に対応す
る。
【0029】コントローラ170はさらに、車両の操作
パネル上に設けられた警告灯194とも接続されてい
る。警告灯194は、減圧弁160に異常があるからア
ンチロック型ブレーキシステムが所期の性能を発揮する
ことができない旨を運転者に視覚的に報知するために点
灯される。
【0030】コントローラ170はさらにまた、前記モ
ータ152とも接続され、モータ152の駆動状態すな
わちポンプ150の駆動状態も制御する。ポンプ150
は原則としてリザーバ144が空である場合には、駆動
が禁止される。ABS制御中は全期間駆動し続けるよう
にすることは可能であるが、本実施例においては、ポン
プ150等の作動音の極力低減化のため、汲み上げるべ
きブレーキ液がない場合にはポンプ150等が停止させ
られるようにされているのである。
【0031】なお、リザーバ144が空になった状態を
検出する方法としては、例えば、リザーバ144におい
て摺動可能に嵌合されるとともに付勢手段としてのスプ
リング175によって付勢されるピストン176の軸方
向位置をセンサ(例えば、近接スイッチ等)によって検
出して空の状態を直接に検出する方法としたり、モータ
152の電流値を検出してモータ152にかかる負荷が
設定値より小さくなったか否か、モータ152の連続運
転時間が設定値より長くなったか否か等を判定すること
によって空の状態を間接に検出する方法とすることがで
きる。
【0032】以下、コントローラ170による開閉弁1
00,140,146の制御を詳しく説明する。コント
ローラ170は、車両制動中、各速度センサ172,1
74からの信号に基づく各輪の回転状況(例えば、車輪
減速度,スリップ量,スリップ比等)に基づき、各輪に
ロック傾向が生じたか否かを判定する。一方、開閉弁1
00,140,146の開閉状態の組み合わせにより実
現可能なモードは、次のモード表に示すように7種類あ
る。表1において、Oはオープン、Cはクローズ、M/
Cはマスタシリンダを表わす。
【0033】
【表1】 したがって、コントローラ170は、(a) 2つのブレー
キ系統のうち前輪および後輪の少なくとも一つにでもロ
ック傾向が生じたと判定したものの各々につき、各輪ご
とにそれの回転状況に基づいて減圧要求を出すべきか、
保持要求を出すべきか、または増圧要求を出すべきかを
決定し、(b) 次に、7種類のモードのうち、前輪と後輪
とについてそれぞれ決定した液圧制御要求に合致するモ
ードを今回のモードに決定し、(c) その後、その決定し
た今回のモードを実行する。そのため、ROMに、各輪
ごとに、それの回転状況に基づいてその各輪に対して出
すべき液圧制御要求を決定するための図示しないルーチ
ンや、各開閉弁100,140,146ごとに、各輪に
対して出された液圧制御要求に基づいて各開閉弁10
0,140,146のソレノイドのON/OFF状態を
制御するための図示しないルーチンが予め記憶されてい
る。
【0034】以下、ABS制御の内容を具体的に説明す
る。まず、前輪および後輪のうちの前輪に最初にロック
傾向が生じた場合について説明する。この場合、前輪ブ
レーキ圧をまず減圧する必要がある。ただし、前記モー
ド表から明らかなように、前輪ブレーキ圧のみ減圧する
モードは存在しない。したがって、まず、第七モードす
なわち双方減圧モードが実行される。
【0035】この第七モードでは、まず、第一開閉弁1
00のソレノイドがONされて第一開閉弁100が閉じ
られて、前輪ブレーキシリンダ22および後輪ブレーキ
シリンダ26双方がマスタシリンダ10から切り離され
る。それに伴い、第三開閉弁146のソレノイドがON
されて第三開閉弁146が開かれ、これにより、前輪ブ
レーキシリンダ22は第二逆止弁164,常開の第二開
閉弁140および現在開状態の第三開閉弁146を得て
リザーバ144に連通させられ、前輪ブレーキシリンダ
22内のブレーキ液がリザーバ144内に排出されて前
輪ブレーキ圧が低下させられる。一方、後輪ブレーキシ
リンダ22については、Pバルブ110および現在開状
態の第三開閉弁146を得てリザーバ144に連通させ
られ、これにより、後輪ブレーキ圧が低下させられる。
すなわち、この第七モードが「双方減圧モード」なので
ある。
【0036】前輪ブレーキ圧の減圧の結果、前輪のロッ
ク傾向が解消されたかまたは解消傾向が生じた後には、
この第七モードの今回の実行が終了し、その後、前輪お
よび後輪のその後のロック傾向に応じ、それが解消され
るように第四〜第七モードが択一的に実行される。
【0037】第四モードでは、第一開閉弁100および
第三開閉弁146がともに閉じられ、第二開閉弁140
のみ開かれる。したがって、ポンプ150から吐き出さ
れたブレーキ液は、第一逆止弁162を得て前輪ブレー
キシリンダ22に供給され、その結果、前輪ブレーキ圧
が増圧され、一方、現在開状態にある第二開閉弁140
およびPバルブ110を得て後輪ブレーキシリンダ26
にも供給され、その結果、後輪ブレーキ圧も増圧され
る。すなわち、第四モードは、双方増圧モードなのであ
る。このとき、前輪ブレーキシリンダ22にはポンプ1
50の吐出圧が第一逆止弁162の開弁圧だけ減圧され
て伝達されるため、ABS制御による減圧制御およびP
バルブ110による減圧制御の双方の影響を受けない元
のブレーキ圧配分として、前輪ブレーキ圧が後輪ブレー
キ圧に対して第一逆止弁162の開弁圧だけ低い関係を
有するブレーキ圧配分が実現されることになる。このブ
レーキ圧配分に対応する制動力配分が図6において第二
基本配分線として表わされている。
【0038】一方、第五モードでは、開閉弁100,1
40,146がいずれも閉じられるため、前輪ブレーキ
圧については、第四モードにおけると同様に、ポンプ1
50によって増圧されるが、後輪ブレーキ圧について
は、保持される。すなわち、このモードは「前輪ポンプ
増圧・後輪保持モード」なのである。
【0039】この第五モードにおいては、ポンプ150
から吐き出されたブレーキ液は後輪ブレーキシリンダ2
6には供給されず、前輪ブレーキシリンダ27にのみ供
給される。これに対し、上記の第四モードでは、後輪ブ
レーキシリンダ26にも供給される。したがって、この
第五モードにおける方が第四モードにおけるより、前記
ブレーキ圧の増圧勾配が急になる。すなわち、図5にグ
ラフで概念的に表すように、前輪ブレーキ圧の変化にの
み着目すれば、第四モードは緩増圧モード、第五モード
は急増圧モードとなり、一方、後輪ブレーキ圧の変化に
のみ着目すれば、第四モードは増圧モード、第五モード
は保持モードとなるのである。
【0040】また、第六モードでは、第一開閉弁100
および第二開閉弁140がともに閉じられ、第三開閉弁
146のみ開かれるため、前輪ブレーキ圧については、
第四モードにおけると同様に、ポンプ150によって増
圧されるが、後輪ブレーキ圧については、減圧される。
すなわち、このモードは「前輪ポンプ増圧・後輪減圧モ
ード」なのである。
【0041】なお、前輪についてのABS制御中は原則
として第一〜第三モードは実行されない。第一〜第三モ
ードは第一開閉弁100を開かせるものであるが、AB
S制御中は前輪ブレーキシリンダ22および後輪ブレー
キシリンダ26をマスタシリンダ10から切り離し、ポ
ンプ150の吐出圧低下,脈動軽減等を図るためであ
る。ただし、ポンプ150がリザーバ144内のブレー
キ液すべてを汲み上げてリザーバ144が空になった後
に、前輪ブレーキ圧または後輪ブレーキ圧を増圧する必
要が生じた場合には、それら第一〜第三モードのいずれ
かに適宜切り換え、マスタシリンダ10からのブレーキ
液によって前輪ブレーキ圧または後輪ブレーキ圧を増圧
する。
【0042】また、第四モードまたは第五モードにより
前輪ブレーキ圧がポンプ150によって増圧される際に
は、逆止弁104がリリーフ弁として機能するため、前
輪ブレーキ圧がマスタシリンダ圧より高くなることが防
止されている。以上、前輪に最初にロック傾向が生じた
場合について説明したが、次に、後輪に最初にロック傾
向が生じた場合について説明する。
【0043】この場合、後輪ブレーキ圧のみまず減圧す
れば足りる。したがって、まず第三モードが実行され
る。第一開閉弁100と開状態のままとされ、第二開閉
弁140は閉じられ、第三開閉弁146は開かれるので
あり、これにより、前輪ブレーキ圧については、ABS
制御が実質的には行われずにマスタシリンダ10によっ
て増圧され、一方、後輪ブレーキ圧については、現在開
状態にある第三開閉弁146により減圧されることにな
る。
【0044】その後、第一〜第七モードが択一的に実行
されることになるが、前輪にロック傾向が生じない期間
については、第一〜第三モードが択一的に実行されるこ
とによって後輪についてのみABS制御が行われ、一
方、前輪にもロック傾向が生じるか、または後輪につい
てはロック傾向が解消され、前輪のみロック傾向が生じ
る場合には、前記の、前輪に最初にロック傾向が生じた
場合に準じて前輪または後輪についてABS制御が行わ
れることになる。
【0045】後輪に最初にロック傾向が生じるのは、例
えば、車両制動がまたぎ路上で行われる場合であって、
路面のうち摩擦係数が高い部分に前輪、低い部分に後輪
が接する場合である。この場合、前輪については、ロッ
クしない範囲でできる限り前輪ブレーキ圧を高めること
が路面の利用率を高めて制動距離の短縮を図る上で望ま
しく、一方、後輪については、タイヤのコーナリングフ
ォースをできる限り大きくし、車両の方向安定性の向上
を図ることが望ましい。すなわち、後輪ブレーキ圧の増
圧なしで前輪ブレーキ圧を増圧するか、または前輪ブレ
ーキ圧の減圧なしで後輪ブレーキ圧を減圧することがで
きるようになっていることが望ましいのである。本実施
例においては、第五または第六モードにより、後輪ブレ
ーキ圧の増圧なしで前輪ブレーキ圧の増圧が達成され、
また、第六モードにより、前輪ブレーキ圧の減圧なしで
後輪ブレーキ圧の減圧が達成される。したがって、本実
施例によれば、前輪が路面の摩擦係数の高い側、後輪が
路面の摩擦係数の低い側に接するまたぎ路上の車両制動
時に、制動距離の短縮と車両の方向安定性の向上とを両
立させることができる。
【0046】ここで、制動力配分を図6に示すグラフに
基づいて具体的に説明する。通常ブレーキ状態において
は、運転者がブレーキペダル14の踏込みを開始すれ
ば、ポンプ150ではなくマスタシリンダ10が圧力源
として機能するため、減圧弁160の存在とは無関係
に、マスタシリンダ圧が減圧なしで前輪ブレーキシリン
ダ22に伝達される。したがって、制動力配分点はグラ
フにおいて点0から第一基本配分線およびPバルブ11
0の第一折れ線に沿って移動する。
【0047】車両が現在、軽積載状態の一例である空車
状態にあると仮定すれば、ブレーキ操作力の増加により
前輪がロックする直前の状態に至ったときは、制動力配
分点は点aに至る。そして、この状態でブレーキ操作力
がさらに増加させられ、前輪ブレーキ圧が上昇させられ
たため、前輪のロック傾向が過大になり、ABS制御が
開始されたと仮定すると、前輪ブレーキ圧および後輪ブ
レーキ圧の双方に対して減圧モードが実行され、その結
果、制動力配分点はグラフにおいて点aから左側に移動
し、第一基本配分線または第一折れ線上の点に到達す
る。今回はその点が点bであると仮定する。
【0048】その後、前輪のロック傾向が解消され、前
輪ブレーキ圧および後輪ブレーキ圧双方に対してポンプ
増圧モードの実行が開始されたと仮定すると、このころ
にはリザーバ144にブレーキ液が存在するのが普通で
あるから、ポンプ150の吐出圧が第一逆止弁162の
開弁圧だけ減圧されて前輪ブレーキシリンダ22に伝達
され、後輪ブレーキシリンダ26には減圧なしで伝達さ
れる。ポンプ150からのブレーキ液の吐出しが開始さ
れれば、第一逆止弁162が開かれるまでは前輪ブレー
キ圧がそのままに維持されて前輪制動力もそのままに維
持され、後輪ブレーキ圧すなわち後輪制動力のみが上昇
する。したがって、制動力配分点はグラフにおいて点b
から後輪制動力の座標軸の正の向きに移動し、その後、
制動力配分点は第二基本配分線またはPバルブ110の
第二折れ線との交点に到達する。なお、第二基本配分線
および第二折れ線は、第一基本配分線および第一折れ線
をそれぞれ、前輪制動力の座標軸の負の方向に、後輪制
動力の座標軸との交点が第一逆止弁162の開弁圧に対
応する点となるまで平行移動させることによって作成さ
れる。今回は、第二折れ線との交点が点cであると仮定
する。その後、制動力配分点はグラフにおいて点cから
第二折れ線に沿って上昇し、空車時後輪ロック線との交
点である点dに到達する。その後は後輪ロックが解消さ
れるようにABS制御が実行される。
【0049】これに対し、車両は現在、重積載状態の一
例である積車状態にあると仮定すれば、ブレーキ操作力
の増加により前輪がロックする直前の状態に至ったとき
は、制動力配分点は点eに至る。そして、この状態でブ
レーキ操作力がさらに増加させられたためにABS制御
が開始され、その結果、制動力配分点は点bに移動した
と仮定する。
【0050】その後、前輪のロック傾向が解消され、前
輪ブレーキ圧および後輪ブレーキ圧双方に対してポンプ
増圧モードの実行が開始されたと仮定すると、前記の場
合と同様に、制動力配分点がグラフにおいて点bから後
輪制動力の座標軸の正の向きに移動して点cに到達す
る。その後、さらにポンプ増圧モードの実行が継続さ
れ、制動力配分点がグラフにおいて点cから第二折れ線
に沿って上昇し、積載時前輪ロック線との交点である点
fに到達する。その後は前輪ロックが解消されるように
アンチロック制御が実行される。
【0051】したかって、本実施例においては、積載時
であるにもかかわらず第一基本配分線の下にABS制御
を行った場合に比較して、前輪駆動力と後輪駆動力との
和すなわち車両全体としての制動力が増加し、制動距離
が短縮されるという効果が得られる。さらに、本実施例
によれば、グラフから明らかなように、積車状態におい
て、Pバルブ110の折れ点以下の領域である軽制動領
域から後輪ブレーキ圧すなわち後輪制動力の有効な増加
が可能となり、このことによっても制動距離が短縮され
る効果が得られる。
【0052】図7はコントローラ170が実行するギヤ
入り振動判定ルーチンの一実施例のフローチャートを示
す。このルーチンはメインルーチンの一部であり、例え
ば6msec等の所定時間毎に繰り返し実行される。図7に
おいて、ステップS10では右側駆動輪がギヤ入り振動
判定許可状態か否かを判別する。
【0053】ここで、ギヤ入り振動判定許可状態とは、
図8に示す如く、その車輪のABS制御中であり、か
つ、その車輪のABS制御開始から所定時間内で車輪加
速度DVW −10G(Gは重力加速度)以下となる段差
走行状態ではなく、かつ、車輪加速度DVW >αであり
(αは例えば4G)、かつ、その車輪のABS制御開始
から所定時間T1 以内であるか、又はその時点から所定
時間T2 以内で車輪加速度DVW が−α(αは例えば4
G)未満になったことがあるという条件を満足した状態
である。右側駆動輪が図8の条件を満足した場合はギヤ
入り振動の可能性が高いのでギヤ入り判定許可状態とし
てステップS20に進み、ギヤ入り判定許可状態でなけ
ればステップS50に進む。
【0054】図8の3番目の条件と、4番目の条件と
で、駆動輪の車輪加速度DVW が−α未満となって所定
時間T1 内に+α以上となるパターンで変化したことを
判定している。ステップS20では左側駆動輪がギヤ入
り振動判定許可状態か否かをステップS10と同様にし
て判別する。左側駆動輪がギヤ入り振動判定許可状態の
場合はステップS30に進み、そうでなければステップ
S50に進む。なお、ステップS10又はS20でギヤ
入り振動判定許可状態となった場合、ギヤ入り振動判定
許可状態はその後所定時間T2 だけ持続する。ステップ
S30では左右夫々の駆動輪がギヤ入り振動判定許可状
態となったタイミングが互いに所定時間T3 内であるか
否かを判別し、所定時間T3 内であれば左右駆動輪の振
動が同期しており、ギヤ入り振動であると判定してステ
ップS40でギヤ入り振動判定フラグ1を設定する。一
方、所定時間T3 内でなければ左右駆動輪の振動が同期
しておらずギヤ入り振動ではなく、例えば悪路走行によ
るものと判定して、ステップS50に進み、ギヤ入り振
動判定フラグに0を設定する。上記のステップS40、
又はS50を実行して、この処理サイクルを終了する。
上記のステップS10〜S30がギヤ入り振動判定手段
M2に対応する。
【0055】ここで、悪路走行時に各駆動輪の車輪加減
速度が所定時間内に所定パターンで変化することがあっ
ても、この所定パターンの変化が所定時間内に同期して
現われることはきわめて稀であり、所定パターンの変化
が同期して現われるギヤ入り振動を高精度に判定でき
る。
【0056】図9はコントローラ170が実行するギヤ
入り振動抑制ルーチンの一実施例のフローチャートを示
す。このルーチンは図7の処理の後に続く例えば6msec
等の所定時間毎に繰り返し実行される。図9において、
ステップS110では左右駆動輪のABS制御中か否か
を判別し、ABS制御中であればステップS120に進
み、ABS制御中でなければこの処理サイクルを終了す
る。
【0057】ステップS120ではギヤ入り振動判定フ
ラグが1か否かを判別し、このフラグが1でギヤ入り振
動が発生している場合にステップS130に進み、ギヤ
入り振動判定フラグが0であればステップS170に進
み、通常のABS制御を行って処理サイクルを終了す
る。スリップ率判定手段M3に対応するステップS13
0では車輪速度の最新のピーク時のスリップ率が前回の
ピーク時から増大しているかどうかを判別する。このピ
ーク時のスリップ率が増大している場合はブレーキ圧力
が高すぎるため減圧制御手段M4に対応するステップS
140で減圧制御を行う。一方、ピーク時のスリップ率
が増大してなければブレーキ圧力が高すぎることはない
ので、ステップS150で保圧制御を行う。
【0058】例えば前輪駆動の場合、ステップS140
では表1の第7モードで前輪ブレーキ圧力の減圧を行
い、ステップS150では第4モードで前輪ブレーキ圧
力の保圧(実際には緩増圧)を行う。上記のステップS
130〜150は左右の駆動輪で独立に実行され、その
後ステップS160に進む。
【0059】ステップS160ではギヤ入り振動収束判
定を行う。この判定は図10に示す如く、左右駆動輪の
ABS制御が終了した、又はギヤ入り振動判定中となっ
てから所定時間T4 以上経過した、又は、ギヤ入り振動
の制御開始から所定時間T5経過し、かつ所定時間T5
以内に左又は右の駆動輪の車輪加速度DVW <−αとな
ったことがない、又は振動判定中(DVW が正から負に
変化した)で、振動判定から所定時間T6 以内にDVW
<−αとなっていない、又は車輪加速度DVWが前回の
車輪加速度DVW (n−1)を超え、その間にDVW
負のピーク値があるがDVW の負のピーク値≧−αであ
る、又はDVW がDVW (n−1)未満でその間にDV
W の正のピーク値があるが、DVW の正のピーク値<α
であるという6条件のいずれかを満足した場合に行われ
る。ギヤ入り振動収束と判定されなければステップS1
30に進んでステップS130〜S160を繰り返し、
ギヤ入り振動収束と判定された場合にステップS170
に進み、通常のABS制御を行って処理サイクルを終了
する。
【0060】つまり図10の2番目の条件から所定時間
4 以内に再度ギヤ入り振動判定が行われなければギヤ
入り振動制御は解除される。3番目の条件で、ギヤ入り
制御開始から所定時間T5 (T5 <T4 )以内でDVW
が−α未満とならなければギヤ入り振動制御は解除さ
れ、4番目の条件でDVW がゼロクロス後所定時間T6
(T6 <T5 )以内でDVW が−α未満とならなければ
ギヤ入り振動制御は解除され、5番目又は6番目の条件
でDVW の負又は正のピーク値の絶対値がαを越えなけ
ればギヤ入り振動制御は解除される。このように各種条
件でギヤ入り振動制御を解除するのは、ギヤ入り振動制
御ではブレーキ圧力の減圧が行われ、制動力が小さくな
るので、できるだけ早く制動力を元に戻そうとしている
ためである。
【0061】また、車輪速ピーク時のスリップ率が増大
して、ギヤ入り振動の影響を除いてもブレーキ圧力が高
すぎることが明らかな場合にのみブレーキ圧力の減圧が
行われるので、ブレーキ圧力の過減圧を防止でき、車体
の減速遅れを抑制することができる。
【0062】ここで、図11(A)は、右駆動輪(前
輪)の車輪加速度DVWFR を示す。時刻t1 で右駆動輪
のABS制御が開始した後、時刻t2 でDVWFR >αと
なったとき右駆動輪はギヤ入り振動判定許可状態とな
る。また、図11(B)には左駆動輪の車輪加速度DV
WFL を示す。時刻t0 で左駆動輪のABS制御が開始し
た後、時刻t3 でDVWFL >αとなったとき左駆動輪は
ギヤ入り振動許可状態となり、時刻t2 ,t3 間が所定
時間T3 以内であるとギヤ入り振動判定フラグが1に設
定される。
【0063】ところで、図12に左右いずれかの駆動輪
の車輪速と車体速度とを示す。また、A0 ,…A5 夫々
は車輪速ピーク時のスリップ率を示している。時刻t10
でギヤ入り振動判定フラグに1がセットされた後はスリ
ップ率A0 =A1 であるため保圧制御が行われる。次に
時刻t11でスリップ率A1 <A2 となると減圧制御が行
われ、スリップ率A2 <A3 であるために、時刻t12
で減圧制御が行われる。時刻t12でスリップ率A3 >A
4 となると以降は保圧制御が行われる。
【0064】
【発明の効果】上述の如く、請求項1に記載の発明によ
れば、悪路走行時に各駆動輪の車輪加減速度が所定時間
内に所定パターンで変化することがあっても、この所定
パターンの変化が所定時間内に同期して現われることは
きわめて稀であり、所定パターンの変化が同期して現わ
れるギヤ入り振動を高精度に判定できる。
【0065】
【0066】
【0067】また、請求項2に記載の発明によれば、
輪速ピーク時のスリップ率が増大して、ギヤ入り振動の
影響を除いてもブレーキ圧力が高すぎることが明らかな
場合にのみブレーキ圧力の減圧が行われるので、ブレー
キ圧力の過減圧を防止でき、車体の減速遅れを抑制する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】アンチロック型ブレーキシステムの構成図であ
る。
【図3】Pバルブを拡大して示す部分正面断面図であ
る。
【図4】マスタシリンダ,ポンプ,前輪ブレーキシリン
ダ及び後輪ブレーキシリンダ間のブレーキ液の流れを概
念的に示す液圧回路図である。
【図5】ABS制御中に実行される第四モードと第五モ
ードとの特性の相違を前輪ブャーキ圧と後輪ブレーキ圧
とについて説明するためのグラフである。
【図6】制動力配分を説明するためのグラフである。
【図7】ギヤ入り振動判定ルーチンのフローチャートで
ある。
【図8】ギヤ入り振動判定許可条件の内容を示す図であ
る。
【図9】ギヤ入り振動抑制ルーチンのフローチャートで
ある。
【図10】ギヤ入り振動収束条件の内容を示す図であ
る。
【図11】駆動輪の車輪加速度のグラフである。
【図12】駆動輪の車輪速と車体速度とを示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 22 前輪ブレーキシリンダ 26 後輪ブレーキシリンダ 160 減圧弁 162 第一逆止弁 164 第二逆止弁 170 コントローラ 171〜174 車輪速センサ M1 車輪速検出手段 M2 ギヤ入り振動判定手段 M3 スリップ率判定手段 M4 減圧制御手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の駆動輪夫々の車輪速を検出する車
    輪速検出手段と、 上記各駆動輪毎に車輪速から得られる駆動輪夫々の車輪
    加減速度が所定時間内に所定パターンで変化し、かつ、
    上記車輪加減速度の所定パターンの変化が上記各駆動輪
    で所定時間内に同期して現われたときギヤ入り振動の発
    生と判定するギヤ入り振動判定手段とを有することを特
    徴とするギヤ入り振動判定装置。
  2. 【請求項2】 複数の車輪夫々の車輪速と、基準となる
    車体速度とに基づいて各車輪の制動力を制御する制動力
    制御装置において、 請求項1記載のギヤ入り振動判定装置と、 ギヤ入り振動判定時における、各駆動輪毎の車輪速ピー
    ク時のスリップ率が増大してるか判定するスリップ率判
    定手段と、 上記スリップ率の増大と判定されたときにのみ駆動輪の
    ブレーキ圧力の減圧制御を行う減圧制御手段とを有する
    ことを特徴とする制動力制御装置。
JP10487596A 1996-04-25 1996-04-25 ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置 Expired - Fee Related JP3329181B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10487596A JP3329181B2 (ja) 1996-04-25 1996-04-25 ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10487596A JP3329181B2 (ja) 1996-04-25 1996-04-25 ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09290726A JPH09290726A (ja) 1997-11-11
JP3329181B2 true JP3329181B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=14392387

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10487596A Expired - Fee Related JP3329181B2 (ja) 1996-04-25 1996-04-25 ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3329181B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3862482B2 (ja) * 2000-06-29 2006-12-27 株式会社日立製作所 アンチスキッド制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09290726A (ja) 1997-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20150066326A1 (en) Brake System, Brake Apparatus, and Method for Controlling Brake System
US20090095551A1 (en) Anti-skid control device and automatic brake control device
EP0698538B1 (en) Automotive brake fluid pressure control apparatus
EP1125809B1 (en) Vehicular brake control apparatus and vehicular brake control method
JP2002037044A (ja) 車両の前後制動力配分制御装置
US6421598B1 (en) Anti-lock brake control device
US6470255B2 (en) Vehicular braking control apparatus and control method thereof
US5249641A (en) Anti-skid control system for a rear drive vehicle
JP3329181B2 (ja) ギヤ入り振動判定装置及びそれを用いた制動力制御装置
JP3626568B2 (ja) 車両用制動力制御装置における制御方法
JP3522157B2 (ja) 車両の制動操作状態判定手段及び該制動操作状態判定手段を備えた前後制動力配分制御装置
JP3589678B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP3887852B2 (ja) ブレーキ制御装置
JP3250478B2 (ja) 車両制動制御装置
JP3726297B2 (ja) 車両用ブレーキ圧力制御装置
JPH0789426A (ja) 制動力配分制御装置
JP2001138881A (ja) ブレーキ制御装置
JP3238482B2 (ja) 車両のアンチスキッドブレーキ装置
JP2778281B2 (ja) 車両用アンチスキッド制御装置
JPH05116612A (ja) 車両のスリツプ制御装置
KR100751258B1 (ko) 제동시의 노면상태변화 판단방법
JP3275759B2 (ja) ブレーキ装置
JP3221906B2 (ja) 車両のアンチスキッドブレーキ装置
JPH10236298A (ja) 車両の後輪制動力制御装置
JPH1071939A (ja) 車両挙動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees