JP3589678B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車輪のブレーキ時に車輪のロックを防止するアンチスキッド制御装置に関し、特に左右で車輪との摩擦係数が異なる走行路(以下スプリット路という)において制動性と操縦安定性との両立を図るものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンチスキッド制御においては、スプリット路での操縦安定性を重視して、例えば特公昭59−19863号公報に記載のような制御が考えられている。すなわち、左右車輪のブレーキ力を、スリップの大きい側の車輪に合わせて他方の車輪のブレーキ力を制御する所謂セレクトロー制御によって制御するのである。こうすることによって、高摩擦係数側の車輪に大きな制動力が加わるのを防止して、車両の操縦安定性を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、セレクトロー制御を採用した装置において、低摩擦係数側の車輪(以下低μ輪という)には比較的大きいスリップが発生するので、このスリップを吸収すべく低μ輪のブレーキ力を低減する制御が頻繁に行われる。すると、比較的スリップが小さい高摩擦係数側の車輪(以下高μ輪という)のブレーキ力も同様に小さくなるので、車両の制動力が低下してしまう。
【0004】
そこで、従来の車両ではこのセレクトロー制御を後輪のみに採用し、制動時に比較的大きな制動力を発生する前輪には、各車輪のスリップ状態に合わせて各車輪のブレーキ力を独立に制御する所謂独立制御を採用している。独立制御では各車輪のブレーキ力を独立に制御することにより、各車輪が最も大きな制動力を発生するようにすることができる。
【0005】
ところが、前述のように前輪は、後輪に比べて大きな制動力を発生するので、スプリット路走行時などに左右前輪の制動力が相違すると車両に大きなヨートルクが加わる。特にホイールベースの小さい車両では大きなヨートルクが加わり、操縦安定性が損なわれることもあった。また、前輪にセレクトロー制御を採用すると前述したように充分な制動力が得られない。
【0006】
そこで、本発明はスプリット路において車両に加わるヨートルクを抑制しつつ車両の制動性を向上させることのできるアンチスキッド制御装置を提供することを目的としてなされた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明は、左右輪のブレーキ力を個々に調整するブレーキ力調整手段と、
上記各輪のスリップ状態を個々に検出するスリップ状態検出手段と、
該スリップ状態検出手段にて検出された上記各前輪のスリップ状態に基づいて、上記各輪に対するブレーキ力調整手段による上記ブレーキ力の増減量を個々に算出する増減量算出手段と、
上記各前輪に対して算出された上記増減量の差の積分値に応じて左右の上記各前輪のうち、どちら側が高μであるかを判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を基に、上記各前輪のスリップ状態に合わせて上記各前輪のブレーキ力を独立に制御する独立制御、または、スリップの大きい方の前輪により他方の側の輪のブレーキ力増加傾向を制限して制御する独立制限制御、またはスリップの大きい前輪に合わせて他方の側の輪のブレーキ力を制御するセレクトロー制御を順次選択する制御選択手段と、
を備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置を要旨としている。
【0008】
【作用】
このように構成された本発明では、スリップ状態検出手段は左右前輪のスリップ状態を個々に検出し、増減量算出手段は、スリップ状態検出手段にて検出された上記各輪のスリップ状態に基づいて、上記各輪に対するブレーキ力調整手段による上記ブレーキ力の増減量を個々に算出する、そして判断手段では増減量の差の積分値に基づいて左右のどちら側が高μ側であるかを判断する。また、アンチスキッド制御の制御形態を選択する制御選択手段は、この判断手段の判断結果に基づいて独立制御、独立制限制御またはセレクトロー制御のいずれかを選択する。
スプリット路走行時には、アンチスキッド制御の制御形態を変更してヨートルクを抑制することが考えられるが、このヨートルクが一時的に抑制できたとしても、重心が高い車両やホイールベースが短い車両では微妙なヨートルクが残り、車両が不安定な状態に変化し続ける場合がある。そこで、本発明では、スプリット路の状態に対応するパラメータとして左右の上記各前輪に対して算出された上記増減量の差を積分し、その積分値に応じてどちら側が高μかを判断し、アンチスキッド制御の制御形態を選択している。このため、車両に加わるヨートルクを抑制しつつ車両の制動性を向上させるのに最も適した制御形態を選択することが可能となる。
【0009】
このため、路面摩擦係数が左右でほぼ均一な走行路(以下均一路という)走行時、すなわち、左右前輪のスリップ状態がほぼ等しいときは、各前輪の制御に独立制御を選択することにより充分な制動力を得ることができる。なお、このとき車両には、ハンドル操作によるものを除いてヨートルクが殆ど加わらない。
【0010】
また、路面摩擦係数が左右で少し異なるスプリット路走行時、すなわち、左右前輪のスリップ状態が少し相違するときは、各前輪の制御に独立制限制御を選択することにより、次のように車両に加わるヨートルクを抑制しつつ制動力を向上させることができる。
【0011】
ここで独立制限制御とは、スリップの大きい車輪により他方の車輪のブレーキ力増加傾向を制限する制御方法である。このため、低μ輪にはその低μ輪のスリップに対応したブレーキ力が加わるが、高μ輪には、その高μ輪のスリップに対応したブレーキ力よりも小さくかつ低μ輪のブレーキ力より大きいブレーキ力が加わる。
【0012】
高μ輪に発生するスリップは比較的小さいので、高μ輪のブレーキ力を低μ輪のブレーキ力より大きくすることによって制動力が向上する。また、高μ輪のブレーキ力の増加傾向は低μ輪により制限されるので、高μ輪側に大きく偏った制動力が加わるのが防止される。このため、車両に大きなヨートルクが加わるのを防止することができるのである。
【0013】
また、左右の路面摩擦係数が大きく異なるスプリット路走行時は、独立制限制御では充分にヨートルクを抑制しきれない場合がある。なぜならば、独立制限制御では高μ輪のブレーキ力増加傾向が低μ輪により制限されているだけで、同じブレーキ力となっているわけではない。そして、このように左右の路面摩擦係数が大きく異なるスプリット路では、高μ輪と低μ輪との制動力に有為な相違が生じることがあるからである。
【0014】
そこで、左右の路面摩擦係数が大きく異なるスプリット路走行時、すなわち、左右前輪のスリップ状態が大きく異なる場合は、各前輪の制御にセレクトロー制御を選択する。こうすることによって、左右前輪に加わるブレーキ力を同じにして、車両に加わるヨートルクを良好に抑制することができる。
【0015】
【実施例】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明のアンチスキッド制御装置の好適な実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例としてのアンチスキッド制御装置の構成を示す。本実施例は前輪操舵・前輪駆動の四輪車に本発明を適用した例である。
【0016】
図1において、ブレーキペダル20は、真空ブースタ21を介してマスタシリンダ28に連結されている。従って、ブレーキペダル20を踏み込むことによりマスタシリンダ28に油圧が発生し、この油圧は、各車輪(左前輪FL,右前輪FR,左後輪RL,右後輪RR)に設けられたホイールシリンダ31,32,33,34に供給され、ブレーキ力を発生する。
【0017】
マスタシリンダ28は互いに同じ圧力のブレーキ油圧を発生する二つの圧力室(図示せず)を有し、各圧力室にはそれぞれ供給管40,50が接続されている。供給管40は、連通管41,42に分岐している。連通管41は、電磁弁60aを介して、ホイールシリンダ31に連通するブレーキ管43と接続されている。同様に、連通管42は、電磁弁60cを介して、ホイールシリンダ34に連通するブレーキ管44と接続されている。
【0018】
供給管50も供給管40と同様な接続関係にあり、連通管51,52に分岐している。連通管51は、電磁弁60bを介して、ホイールシリンダ32に連通するブレーキ管53と接続されている。同様に、連通管52は、電磁弁60dを介して、ホイールシリンダ33に連通するブレーキ管54と接続されている。
【0019】
またホイールシリンダ33,34に接続されるブレーキ管54,44中には公知のプロポーショニングバルブ59,49が設置されている。このプロポーショニングバルブ59,49は、後輪RL,RRに供給されるブレーキ油圧を制御して前後輪FL〜RRの制動力分配を理想に近づけるものである。
【0020】
各車輪FL〜RRには、電磁ピックアップ式の車輪速度センサ71,72,73,74が設置され、電子制御回路ECUにその信号が入力される。電子制御回路ECUは、入力された各車輪FL〜RRの車輪速度に基づいて各ホイールシリンダ31〜34のブレーキ油圧を制御すべく、電磁弁60a〜60dに対して駆動信号を出力する。
【0021】
電磁弁60a,60c,60b,60dは、3ポート3位置型の電磁弁で、図1のA位置においては、連通管41,42,51,52とブレーキ管43,44,53,54とをそれぞれ連通し、B位置においては、連通管41,42,51,52、ブレーキ管43,44,53,54、枝管47,48,57,58間を全て遮断する。また、C位置においては、ブレーキ管43,44,53,54と、枝管47,48,57,58とをそれぞれ連通する。
【0022】
枝管47,48は共に排出管81に接続され、枝管57,58は共に排出管91に接続される。これら排出管81,91は、それぞれリザーバ93a,93bに接続されている。リザーバ93a,93bは、各電磁弁60a〜60dがC位置のとき、各ホイールシリンダ31〜34から排出されるブレーキ液を一時的に蓄えるものである。このため電磁弁60a〜60dでは、A位置においてはホイールシリンダ31〜34のブレーキ油圧を増圧し、B位置においてはそのブレーキ油圧を保持し、C位置においてはそのブレーキ油圧を減圧することができる。すなわち、電磁弁60a,60bはブレーキ力調整手段に相当する。
【0023】
ポンプ99a,99bは、リザーバ93a,93bに蓄積されたブレーキ液を汲み上げてマスタシリンダ28側に還流させる。また、チェック弁97a,98a,97b,98bはリザーバ93a,93bから汲み上げられたブレーキ液が再びリザーバ93a,93b側に逆流するのを防ぐためのものである。ストップスイッチ100は、運転者がブレーキペダル20を踏んでいるか否かを検出するものである。
【0024】
次に、このように構成された本実施例の装置において実行されるアンチスキッド制御について図2〜7のフローチャートに基づき説明する。先ず、図2は実施例のアンチスキッド制御のメインルーチンを表すフローチャートである。なお、この処理は図示しないイグニッションスイッチがオンされたとき開始される処理である。またこの処理は、各車輪FL〜RR対して順次、例えば左前輪FL→右前輪FR→左後輪RL→右後輪RRの順に実行される。
【0025】
処理を開始すると、先ずステップ201にて、後述する各種フラグや各種カウンタの初期設定を行なう。続くステップ203では、車輪速度センサ71〜74から入力される信号に基づき、制御対象の車輪(FL〜RRのいずれか)の車輪速度および加速度を演算する。更に、続くステップ205では、電磁弁60a,60bの制御モード(後述の処理により電子制御回路ECU内に設定される)が増圧モードとなる時間TupFL,TupFRの差、および電磁弁60a,60bの制御モードが減圧モードとなる時間TdwFL,TdwFRの差をそれぞれ演算する。
【0026】
続いてステップ207へ移行すると、ステップ205の演算結果に基づき、後述の高油圧側輪判定ルーチンにより、前輪FL,FRのいずれが高油圧側輪(ブレーキ油圧の高い側の車輪)であるかを判定する。更に、続くステップ209では、ステップ203にて演算した車輪FL〜RRの車輪速度および加速度に基づき、アンチスキッド制御対象の車輪FL〜RRがロックしないように各電磁弁60a〜60dの制御モード(増圧,保持,減圧)を設定する。なお、この処理は周知の処理であるので詳しい説明を省略する。また、ここで設定される制御モードは、電子制御回路ECU内の単なる数値データである。すなわちこのステップでは、まだ電磁弁60a〜60dを駆動しない。更に、このステップでは、ストップスイッチ100が作動していない通常走行時には電磁弁60a〜60dの制御モードを全て増圧モードとする。
【0027】
続くステップ211では、ヨートルク抑制制御対象の車輪が後輪RL,RRのいずれかであるか否かを判断する。ヨートルク抑制制御対象が後輪RLまたはRRである場合はステップ213へ移行し、後輪RL,RRの制御にセレクトロー制御を選択してステップ215へ移行する。一方、ヨートルク抑制制御対象が前輪FLまたはFRである場合は、続くステップ217へ移行する。
【0028】
ステップ217では、ステップ207での判定結果に基づき、後述の制御切換ルーチンにより前輪FL,FRの制御を切り換える。セレクトロー制御に切り換えたときはステップ213に移行して前輪FL,FRの制御にセレクトロー制御を選択し、独立制御に切り換えたときはステップ221に移行して独立制御を選択し、また、独立制限制御に切り換えたときはステップ219に移行して独立制限制御を選択する。
【0029】
ステップ213〜221にてヨートルク抑制制御対象の車輪FL〜RRの制御を選択した後はステップ215へ移行して、選択された制御に基づいて対応する電磁弁60a〜60dを駆動する。ステップ215の次は再びステップ203へ移行し、上記処理を繰り返す。
【0030】
次に、図3はステップ207の高油圧側輪判定ルーチンを表すフローチャートである。処理を開始すると、先ずステップ301にて、ブレーキペダル20が操作されて、ストップスイッチ100が作動しているか否かを判断する。ストップスイッチ100が作動しておらず否定判断すると、ステップ303へ移行し、右前輪FRが高油圧側輪であることを示す右前輪フラグFFR、および左前輪FLが高油圧側輪であることを示す左前輪フラグFFLを共にリセットしてメインルーチンへ復帰する。前述したように、ストップスイッチ100が作動していないときは左右前輪FL,FRが高油圧側輪であるか否かに関わらず、全ての電磁弁60a〜60dが増圧モードとなるので、ステップ217における制御切換は意味をなさない。そこで、便宜上左右前輪FL,FRがいずれも高油圧側輪ではない(低油圧側輪である)とするのである。
【0031】
ストップスイッチ100が作動しているときはステップ305へ移行する。ステップ305では、ステップ205での演算結果に基づき、電磁弁60bの制御モードが増圧モードとなる時間TupFRと、電磁弁60aの制御モードが増圧モードとなる時間TupFLとの差の総和を求め、これを増圧時間差△Tupとする。続くステップ307では、同様に、電磁弁60b,60aの制御モードが減圧モードとなる時間TdwFR,TdwFLの差の総和を求め、これを減圧時間差△Tdwとする。
【0032】
続いて、ステップ309へ移行すると、増圧時間差△Tupから減圧時間差△Tdwを差し引いた値が所定値Ta以上であるか否かを判断する。Ta以上であるときはステップ311へ移行し、右前輪フラグFFRをセットすると共に左前輪フラグFFLをリセットしてメインルーチンへ復帰する。すなわち、△Tup−△Tdwが大きいことは、電磁弁60bの制御モードが増圧モードとなる時間が電磁弁60aのそれに比べて長い、もしくは電磁弁60bの制御モードが減圧モードとなる時間が電磁弁60aのそれに比べて短いことを表している。このため309にて肯定判断した場合は右前輪FRが高油圧側輪であると判断するのである。また、電磁弁60a,60bの制御モードは、対応する車輪FL,FRがロックしないように設定されるので、右前輪FRが高油圧輪であることは、車両がスプリット路を走行中で、かつその車輪が高μ輪であることを示している。
【0033】
ステップ309にて否定判断し、続くステップ313へ移行すると、△Tup−△Tdwが所定値−Ta以下であるか否かを判断する。−Ta以下であるときは、左前輪FLが高油圧側輪であると判断し、ステップ315にて右前輪フラグFFRをリセットすると共に左前輪フラグFFLをセットしてメインルーチンに復帰する。また、ステップ313でも否定判断すると、左右前輪FL,FRに加わるブレーキ油圧に大きな差はない、すなわち、車両が均一路を走行中であると判断し、ステップ303にて各フラグFFL,FFRをリセットしてメインルーチンに復帰する。
【0034】
次に、図4はステップ217の制御切換ルーチンを表すフローチャートである。なお、この処理は前述したように、メインルーチンの制御対象が前輪FLまたはFRのときにのみ実行される。処理を開始すると、先ずステップ401にて車速Vが所定値Vaより小さいか否かを判断する。ここで車速Vは、ステップ203にて検出した車輪速度から求める方法、車体に車速センサを設ける方法、図示しないスピードメータケーブルにセンサを設ける方法など種々の方法で求めたものを使用することができる。
【0035】
車速Vが所定値Vaより小さいときは、ステップ403にてカウンタCT1をリセットした後図2のステップ221へ移行して独立制御を選択する。すなわち、車速Vが充分に小さい場合は、前輪FL,FRに加わる制動力が左右で異なっても、それによって発生するヨートルクの操縦安定性に与える影響を無視することができる。そこで、対象となる前輪FL,FRの制御に独立制御を選択して制動力を向上させるのである。
【0036】
車速Vが所定値Va以上であるときは続くステップ405へ移行し、制御対象となっている前輪FL(またはFR)が高油圧側輪であるか否かを判断する。低油圧側輪であるとき、すなわち、右前輪フラグFFR(または左前輪フラグFFL)がリセットされているときは、ステップ403を介してステップ221へ移行する。また、高油圧側輪であるとき(フラグFFRまたはFFLがセットされているとき)は続くステップ407へ移行する。ステップ407では、図2のステップ209にて設定した制御モードが増圧モードであるか否かを判断する。増圧モードであるときは続くステップ409へ移行し、増圧モードでないとき、すなわち保持または減圧モードであるときはステップ403を介してステップ221へ移行する。
【0037】
後述するように、セレクトロー制御および独立制限制御は、高油圧側輪の制御モードが増圧モードであるとき、低油圧側輪の制御モードに基づいて、高油圧側輪に実際に加えるブレーキ油圧の増圧を禁止または制限する制御である。そこで、ステップ405および407の処理によって、制御対象の前輪FL(またはFR)が低油圧側輪であるか、またはその前輪FL(FR)の制御モードが増圧モードでないときは独立制御を選択して、制動性を向上させるのである。また、車両が均一路を走行中で、フラグFFL,FFRが共にリセットされているときも、ステップ405にて否定判断して、同様に独立制御を選択するのである。
【0038】
次に、ステップ409へ移行すると、低油圧側輪の制御モードが減圧モードであるか否かを判断する。減圧モードであるときは、続くステップ411にてカウンタCT1をインクリメントした後ステップ413へ移行する。ステップ413ではカウンタCT1の値が所定値K1以上でかつ所定値K2未満の範囲にあるか否かを判断する。カウンタCT1が上記範囲にある場合は、図2のステップ213へ移行してセレクトロー制御を選択し、上記範囲にない場合は図2のステップ219へ移行して独立制限制御を選択する。一方、低油圧側輪の制御モードが増圧モードまたは保持モードであり、ステップ409にて否定判断すると、ステップ415にてカウンタCT1をリセットした後ステップ219へ移行する。
【0039】
すなわち、カウンタCT1は、高油圧側輪の制御モードが増圧モードに保持されると共に、低油圧側輪の制御モードが減圧モードに保持される期間を計量するものである。このような期間は、左右の路面摩擦係数が大きく異なるほど長くなる。そこで、CT1<K1であるときは、左右の路面摩擦係数が少ししか異ならないと判断して独立制限制御を選択し、K1≦CT1となると、左右の路面摩擦係数が大きく異なると判断してセレクトロー制御を選択するのである。また、上記期間が更に長くなりK2≦CT1となると、セレクトロー制御を長時間選択することにより車両の制動性が大きく悪化するのを防止するため、独立制限制御を選択するのである。
【0040】
このように、本実施例の制御切換ルーチンでは、左右の路面摩擦係数が殆ど異ならない均一路では前輪FL,FRの制御に独立制御を選択し、左右の路面摩擦係数が少し異なるスプリット路では独立制限制御を、左右の路面摩擦係数が大きく異なるスプリット路ではセレクトロー制御をそれぞれ選択することができる。
【0041】
次に、図5〜図8はステップ215における電磁弁60a〜60dの駆動ルーチンを表すフローチャートである。ステップ221で独立制御を選択した場合は、図5に示す処理を実行する。すなわち、先ずステップ501にて、ヨートルク抑制制御対象の車輪(FL〜FRのいずれか)(ステップ221でNoの先なので後輪はありえない)にステップ209で設定した制御モードを読み込む。続くステップ503では、その制御モードで対象車輪に対応する電磁弁を駆動してメインルーチンに復帰する。すなわち、制御モードが増圧モードのときは、増圧出力または増圧と保持のデューティ出力を行うために、電磁弁をAまたはB位置に、保持モードのときはB位置に、減圧モードのときは、減圧出力または減圧と保持のデューティ出力を行うためにCまたはB位置に駆動するのである。このように、独立制御では電磁弁をステップ209で設定した制御モードで駆動するので、対象車輪FL〜FRのロックを良好に防止して最大の制動力を得ることができる。
【0042】
ステップ213にてセレクトロー制御を選択した場合は、図6に示す処理を実行する。すなわち、先ずステップ601にて、制御対象の車輪FL〜FRにステップ209で設定した制御モードを読み込む。続くステップ603では、低油圧側輪の制御モードが減圧モードで、かつ高油圧側輪の制御モードが増圧モードであるか否かを判断する。ここで肯定判断すると、続くステップ605にて、対象車輪に対応する電磁弁を減圧モードで駆動して、メインルーチンに復帰する。
【0043】
また、ステップ603にて否定判断すると、ステップ607へ移行する。ステップ607では、低油圧側輪の制御モードが保持モードで、かつ高油圧側輪の制御モードが増圧モードであるか否かを判断する。ここで肯定判断すると、続くステップ609にて、対応する電磁弁を保持モードで駆動して、メインルーチンに復帰する。また、ステップ607にて否定判断するとステップ611へ移行し、対応する電磁弁60a〜60dをステップ209で設定した制御モードで駆動してメインルーチンに復帰する。
【0044】
このように、セレクトロー制御では低油圧側輪(低μ輪)の制御モードで電磁弁を駆動するので、スプリット路での制動時に車両に加わるヨートルクを良好に抑制して操縦安定性を充分に向上させることができる。ステップ221にて独立制限制御を選択した場合は、図7に示す処理を実行する。すなわち、先ずステップ701にて、制御対象の車輪FL,FR(ステップ405で述べたように高油圧側輪)にステップ209で設定された制御モードを読み込む。続くステップ703では、高油圧側輪の制御モードが増圧モードであるか否かを判断する。増圧モードでないときはステップ705へ移行し、対象車輪FL,FRに対応する電磁弁60a,60bをステップ209で設定した制御モードで駆動してメインルーチンに復帰する。
【0045】
また、ステップ703にて肯定判断すると、続くステップ707へ移行する。ステップ707では、低油圧側輪の制御モードが減圧モードであるか否かを判断する。減圧モードであるときは、続くステップ709にて、対応する電磁弁を保持モードで駆動して、メインルーチンに復帰する。また、ステップ707にて否定判断するとステップ711へ移行し、対応する電磁弁を緩やかな増圧モードで駆動してメインルーチンに復帰する。ここで、緩やかな増圧モードで駆動するとは、電磁弁をA位置とB位置との間を所定のデューティ比で移動させることにより、ホイールシリンダ31〜32の油圧を緩やかに増加させるモードである。
【0046】
このように、独立制限制御では低油圧側輪(低μ輪)の制御モードで、高油圧輪側ブレーキ油圧の増圧を制限するので、スプリット路での制動時に車両に加わるヨートルクを抑制して操縦安定性を確保しつつ良好な制動力を得ることができる。
【0047】
なお、上記各処理において、図2のステップ209の処理がスリップ状態検出手段に、図2のステップ217、すなわち図4の制御切換ルーチンの処理が前輪制御選択手段に相当する。このように、本実施例のアンチスキッド制御装置では、均一路走行時には、前輪FL,FRの制御に独立制御を選択することにより充分な制動力を得ることができる。なお、このとき車両にはヨートルクが殆ど加わらない。また、左右の路面摩擦係数が少し異なるスプリット路走行時には、前輪FL,FRの制御に独立制限制御を選択することにより車両に加わるヨートルクを抑制しつつ制動力を向上させることができる。更に、左右の路面摩擦係数が大きく異なるスプリット路走行時には、前輪FL,FRの制御にセレクトロー制御を選択することにより車両に加わるヨートルクを良好に抑制することができる。
【0048】
すなわち、本実施例では種々のスプリット路において車両に加わるヨートルクを充分に抑制しつつ、可能な限りの制動力を得ることができる。従って、本実施例を採用した車両では、ヨートルクが加わるのを抑制して操縦安定性を向上させると共に、車両の制動性を向上させることができる。
【0049】
なお上記実施例では、前輪FL,FRの制御モードに基づいてその前輪FL,FRのスリップ状態を検出しているが、前輪FL,FRのスリップ状態はこの他にも種々の方法で検出することができる。例えば車輪速度センサ71,72によって検出した車輪速度を車体速度と比較することによってスリップ状態を検出してもよい。
【0050】
また、本実施例では、高油圧側輪の制御モードが増圧モードとなると共に低油圧側輪の制御モードが減圧モードとなる期間をカウンタCT1にて計数し、その値に基づいて前輪FL,FRのスリップ状態を比較し制御を選択しているが、スリップ状態の比較はこの他にも種々の方法で行うことができる。例えば図3のステップ305,307で算出した増圧時間差△Tup,減圧時間差△Tdwに基づいて左右前輪FL,FRのスリップ状態を比較してもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のアンチスキッド制御装置では、左右の車輪に対して算出されたブレーキ力の増減量の差を積分し、その積分値に応じてどちら側が高μかを判断し、この判断結果に基づいてアンチスキッド制御形態を選択しているので、車両に加わるヨートルクを抑制しつつ車両の制動性を向上させるのに最も適した制御形態を選択することができる。
【0052】
すなわち、本発明では種々のスプリット路において車両に加わるヨートルクを充分に抑制しつつ、可能な限りの制動力を得ることができる。従って、本発明を採用した車両では、ヨートルクが加わるのを抑制して操縦安定性を向上させると共に、車両の制動性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のアンチスキッド制御装置を表す概略構成図である。
【図2】実施例のアンチスキッド制御のメインルーチンを表すフローチャートである。
【図3】アンチスキッド制御の高油圧側輪判定ルーチンを表すフローチャートである。
【図4】アンチスキッド制御の制御切換ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】独立制御の電磁弁駆動ルーチンを表すフローチャートである。
【図6】セレクトロー制御の電磁弁駆動ルーチンを表すフローチャートである。
【図7】独立制限制御の電磁弁駆動ルーチンを表すフローチャートである。
【図8】本発明の構成例示図である。
【符号の説明】
20…ブレーキペダル
31,32,33,34…ホイールシリンダ
60a,60b,60c,60d…電磁弁
71,72,73,74…車輪速度センサ
100…ストップスイッチ
ECU…電子制御回路
FL,FR…前輪
RL,RR…後輪

Claims (6)

  1. 左右輪のブレーキ力を個々に調整するブレーキ力調整手段と、
    上記各輪のスリップ状態を個々に検出するスリップ状態検出手段と、
    該スリップ状態検出手段にて検出された上記各前輪のスリップ状態に基づいて、上記各輪に対するブレーキ力調整手段による上記ブレーキ力の増減量を個々に算出する増減量算出手段と、
    上記各前輪に対して算出された上記増減量の差の積分値に応じて左右の上記各前輪のうち、どちら側が高μであるかを判断する判断手段と、
    前記判断手段の判断結果を基に、上記各前輪のスリップ状態に合わせて上記各前輪のブレーキ力を独立に制御する独立制御、または、スリップの大きい方の前輪により他方の側の輪のブレーキ力増加傾向を制限して制御する独立制限制御、またはスリップの大きい前輪に合わせて他方の側の輪のブレーキ力を制御するセレクトロー制御を選択する制御選択手段と、
    を備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 前記制御選択手段は、車両の走行速度を検出する車両走行速度検出手段を備え、前記走行速度が所定以下である場合には前記判断手段の判断結果に優先して独立制御を選択することを特徴とする請求項1に記載のアンチスキッド制御装置。
  3. 前記制御選択手段は、前記判断手段によって高μ値でないと判断された上記前輪は独立制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンチスキッド制御装置。
  4. 前記制御選択手段は、前記判断手段によって前記高μ側であると判断された上記前輪に対して増圧モードであるか否かを判定し、増圧モードでなければ、前記独立制御を選択することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置。
  5. 前記制御選択手段は、前記判断手段によって前記高μ側であると判断された上記前輪が増圧モードである場合に、前記判断手段によって高μ値でないと判断された上記前輪が減圧モードであるか否かによってセレクトロー制御か独立制限制御かを選択することを特徴とする請求項4に記載のアンチスキッド制御装置。
  6. 前記制御選択手段は左右前輪のスリップ状態の相違が大きくなるに従って独立制御、独立制限制御、またはセレクトロー制御を順次選択することを特徴する請求項1ないし5に記載のアンチスキッド制御装置。
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