JP3328888B2 - 蓄氷槽からの冷水取り出し方法及び冷房用過冷却水型氷蓄熱システム - Google Patents

蓄氷槽からの冷水取り出し方法及び冷房用過冷却水型氷蓄熱システム

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JP3328888B2
JP3328888B2 JP21065693A JP21065693A JP3328888B2 JP 3328888 B2 JP3328888 B2 JP 3328888B2 JP 21065693 A JP21065693 A JP 21065693A JP 21065693 A JP21065693 A JP 21065693A JP 3328888 B2 JP3328888 B2 JP 3328888B2
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由行 小澤
利雄 林
栄 菊地
正幸 谷野
充 守屋
真武 入部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷房用の熱源を冷
熱として蓄えておく氷蓄熱システムの運転方法にかか
り、特に蓄氷槽から低温の冷水を取り出す冷水取り出し
法に関する。本発明は、更に、上記冷水取り出し方法
を実施するための冷房用過冷却水型氷蓄熱システムに関
する。
【0002】
【従来の技術】以前より行われていた水蓄熱に代わって
近年は、夜間電力で冷凍機を駆動して水を凍らせて、昼
間の冷房運転時に必要な冷熱を氷の形で蓄える氷蓄熱方
式が稼働されるようになってきた。この様に氷の形で冷
熱の蓄熱を行えば、水の固液相変化時の潜熱を利用でき
るので小型の蓄熱槽でも多量の冷熱蓄えられ、冷房
ステム装置全体の小型化に寄与できるので、占有面積の
小規模化、低コスト化等に有利である。
【0003】この様な氷蓄熱方式には製氷方法の相違に
より、ソリッド状の氷塊を作製するソリッド方式と、水
を過冷却してシャーベット状の氷・水スラリーを作製す
る過冷却水型リキッド方式等があり、大規模設備ではそ
の保守管理及び氷充填率の観点や、添加剤が不要な利点
等から後者の過冷却水型氷蓄熱方式が主流となってい
る。
【0004】しかしながらかかる過冷却水型氷蓄熱シ
ステムの氷蓄積時の状態に着目し氷充填率の向上等を図
ったものはあったが、冷房運転時の冷水取り出し方法に
関する研究は多くは成されていなかった。そのため、
負荷がくなって冷水取り出し量が増加すると所定
温度の冷水が得られない場合があり、問題となってい
た。
【0005】一方、充分に低い温度の冷水を得たい場合
には、氷と水とが接触している時間を長くとる必要があ
り、そのため冷房運転時の蓄氷槽内に張られる水の水位
が上昇するので、大きな蓄氷槽を必要とした。従って、
蓄氷槽の製造コスト上昇の要因となっていたばかりでな
、蓄氷槽の据え付けのためのコストが高くつき、解決
が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不利、不便に鑑みて創作されたもので、その目的は、
安定的に低温冷水を取り出すことができる蓄氷槽からの
冷水取り出し方法と、該冷水取り出し方法を実施するた
めの冷房用過冷却水型氷蓄熱システムを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1記載の発明は、冷熱源となる氷・水スラリ
ーが蓄えられる蓄氷槽と、前記蓄氷槽に水を散水する散
水ノズルを有し、前記蓄氷槽から冷水を取り出して冷房
運転を行う過冷却水型氷蓄熱システム蓄氷槽からの冷
水取り出し方法であって、冷房運転開始前にシャーベッ
ト状の氷を前記蓄氷槽に蓄えて、冷房運転開始時に蓄氷
槽内のシャーベット状の氷をその高さの少なくとも3
冷水の水面上に露出させ、冷房運転時には、前記水面
上に露出したシャーベット状の氷に水を散水し、前記
シャーベット状の氷を融解させて冷水を取り出すことを
特徴とする。請求項2記載の発明は、前記蓄氷槽を複数
備え、冷水取り出しに係る蓄氷槽内の水を他の蓄氷槽
に移動させてシャーベット状の氷を水面上に露出させ
ることを特徴とする。請求項3記載の発明に係る冷房用
過冷却水型氷蓄熱システムは、冷熱源となる氷・水スラ
リーが蓄えられる蓄氷槽と、水を過冷却する過冷却器
と、蓄氷槽内に散水する散水ノズルとを備え、 前記過冷
却器は蓄氷槽の下部と配管接続され、前記過冷却器にお
いて過冷却された水を衝撃により過冷却状態を解き、相
変化したシャーベット状の氷を冷水の水面上に露出した
状態で蓄氷槽内に蓄えると共に、前記散水ノズルは冷房
時に取り出される蓄氷槽内の冷水と熱交換する熱交換器
を介して蓄氷槽の下部と配管接 続され、前記蓄氷槽は複
数備えられ各蓄氷槽の下部が互いにポンプを介して配管
接続され、該ポンプを動作させることによって前記水面
上に露出するシャーベット状の氷の高さを制御すること
を特徴とする。
【0008】
【作用】蓄氷槽に冷熱源となる氷・水スラリーを蓄え、
これに水を散水ノズルより散水すれば、前記蓄氷槽内に
蓄えられたシャーベット状氷が融解して冷水を生じ、蓄
氷槽の部に移行するので、この冷水をポンプで取り出
すことができる。
【0009】そして、前記蓄氷槽に蓄えられる氷として
シャーベット状のものを用い、冷房運転開始時に前記蓄
氷槽内のシャーベット状の氷をその高さの少なくとも3
割を冷水の水面上に露出させ、前記水面上に露出したシ
ャーベット状の氷に散水ノズルから水を散水すれば、水
がシャーベット状の氷の中を透過して氷と水との接触が
よく行われるので、氷の融解や熱移動が速やかに進行
し、これにより4℃以下の冷水を取り出すことができ
る。
【0010】又、冷房運転時に冷水の水面を常に制御し
ているので、蓄氷槽内の水位が不用意に上昇することが
ない
【0011】
【実施例】図は、本発明の冷房用過冷却水型氷蓄熱シス
テムの一例を示す。この過冷却水型氷蓄熱システムは、
冷熱源となる氷・水スラリーが蓄えられる蓄氷槽と、蓄
氷槽からの循環水を過冷却する過冷却器と、蓄氷槽から
取り出された冷水を熱交換器を介して蓄氷槽内に散水す
る散水ノズルとを備えている。
【0012】図1はシャーベット状の氷を蓄積している
状態を示し、図2は冷房運転開始前の初期状態を示し、
図3は冷房運転時の状態を示している。
【0013】図1において、本発明の過冷却水型氷蓄熱
システムは複数のユニットから構成されており、本図で
は、ユニットa1、ユニットa2が図示されている。そし
て、各ユニットa1、a2は冷凍機a31、a32、ブライ
ンポンプa81、a82、過冷却器a71、a72、解除分散板
a21、a22、蓄氷槽11、12、水循環ポンプa51、a
52を備えており、割安な夜間電力を利用するために通常
夜間において蓄氷運転を開始する。
【0014】前記過冷却器a71、a72には通常シェル&
チューブ型熱交換器が使用され、そのシェル側に冷凍機
a31、a32で冷却されたブラインをブラインポンプa8
1、a82で流して、水循環ポンプa51、a52の駆動によ
蓄氷槽11、12からチューブ内を流れる水を、該過
冷却器a71、a72の出口における温度が−2℃程度に
冷却し、過冷却水a41、a42を得る。
【0015】そして前記過冷却水a41、a42を解除分配
板a21、a22に放出して衝突させ、その衝撃で過冷却水
a41、a42の過冷却状態を解く。過冷却状態が解かれた
前記過冷却水a41、a42は相変化を起こして氷・水スラ
リー状態となるので、該氷・水スラリーを蓄氷槽11
12内に供給し、密度差により前記シャーベット状氷a
11、a12を蓄氷槽内の水面の上部に蓄積させると共に
水a61、a62を下に集め、更に前記水a61、a62を前
記水循環ポンプa51、a52により再度過冷却器a71、a
72に導いて再度過冷却状態に冷却して分配解除部a21、
a22に放出する過程を繰り返す。この様に、シャーベッ
ト状の氷a11、a12の蓄積を継続して行い、該シャーベ
ット状の氷a11、a12が所定量蓄積したら蓄氷処理を停
止して、冷房運転が開始されるまで待機する。
【0016】なお、前記シャーベット状の氷a11、a12
が所定量蓄積後は、その大部分を水面上に位置する様に
保っておけば、熱伝導現象により前記シャーベット状の
氷a11、a12に伝わる熱量を少なくすることができるの
で、氷のロスがなく、更に後述する冷房運転の初期状
態での水の移動作業が不要であるで本発明の実施に特
に好ましい。
【0017】ユニットa1の蓄氷槽11とユニットa2の
蓄氷槽12とはこれらの下部が互いにポンプ61を介し
てパイプにより配管接続され、複数のユニットの蓄氷槽
間で水の移動ができる様に接続されている。冷熱取り出
しを行うユニットをユニットa1 であるものとして冷房
運転開始前の初期状態での処理を図2を参照して説明す
る。
【0018】該初期状態においては、冷熱取り出しユニ
ットa1 内のシャーベット状の氷a11の水面上に露出し
た部分の高さにより処理が異なる。
【0019】前記シャーベット状の氷a11の高さの3割
以上、望ましくはそのほとんどが水面上に露出していた
場合にはそのまま冷房運転を開始する。
【0020】一方、前記シャーベット状の氷a11の高さ
の3割以上が水面上に露出していなかった場合には、ポ
ンプ61を動作させ、冷熱取り出しに係るユニットa1
の蓄氷槽11内のシャーベット状の氷a11をその高さの
少なくとも3割が水面上に露出する様に、前記ユニット
a1 の蓄氷槽11内に存する冷水7を、他のユニットa
2 の蓄氷槽12内に移動させてから冷房運転を開始す
る。なお、前記他のユニットa2 は、未だ冷熱の取り出
しが行われていないユニットでも、既に冷熱の取り出し
が行われ、シャーベット状の氷a12が解けてしまってい
るユニットでも、あるいは冷水を一時保持するために別
途設けられた蓄氷を行わないユニットであっても良い。
【0021】冷房運転時には図3に示す如く、解氷用ポ
ンプ3を動作させ、前記冷熱取り出しに係るユニットa
1 のシャーベット状の氷a11に、散水ノズル4から還水
5を散水し、前記シャーベット状氷a11が融解して冷却
された冷水8を二次側熱交換器9に導いて図示しない負
荷から供給される二次側ブラインと熱交換を行わせ、温
度が上昇した還水5を再度散水ノズル4から散水する処
理を繰り返す。この様に、還水5を散水ノズル4から散
水すれば、前記シャーベット状の氷a11は解して還水
と混合されて冷水8を生じるので、冷水8を熱交換器9
に導くことにより冷熱を取り出すことができる。
【0022】該冷房運転時には、蓄氷槽11内のシャー
ベット状の氷a11をその高さの少なくとも3割を水面上
に露出させて運転する。この場合、蓄氷槽11の底面か
ら前記シャーベット状の氷a11の上面までの高さをhi
、蓄氷槽11の底面から前記水面までの高さをhwとす
ると、 (hi−hw)/hi≧0. …… (1) なる関係が成立する。この様に3割以上であるが、望ま
しくは7割以上、理想的には殆ど全ての氷を水面上に露
出させて運転するとより効果的である。
【0023】しかしながら、冷房運転により前記シャー
ベット状の氷a11は解し、前記冷水8の水面は運転に
つれて上昇する。そこで、上式(1)の関係が維持され
る様に、余分な冷水は冷熱取り出しユニットa1 以外の
ユニット又は別途冷水を保持するために設けられたユニ
ットに移動させ、上式(1)の関係が保たれるようにす
る。
【0024】この様に、式(1)が成立するように冷水8
の水面の高さhw の制御を行えば、水面上には常にシャ
ーベット状の氷a11が露出するので、この部分に直接還
水5を散布することができるシャーベット状の氷a11
に直接散布された還水は、シャーベット状の氷a11の内
部を透過して、還水と氷との接触がよく行われ、氷の溶
解や熱移動が速やかに進行し、これにより冷水8の温度
を4℃以下にすることができる。
【0025】又、水面の高さhw の制御が常に行われる
ので、水面が不用意に上昇することはなく、これによ
り、前記蓄氷槽11は、前記水面の最高水位よりも下の
構造を鉄筋コンクリート、鋼板製槽、地面に掘った穴の
周囲にビニールシートを張ったもの等の重構造31とし
ておけば足り、その上の構造を、屋外にあっては風雪等
に耐えれば足りるプラスチックパネル等の軽構造32と
することができる。
【0026】この様に冷熱が必要な限り冷房運転を継続
し、そして前記冷水8の温度が所定温度以下に保てなく
なったような場合には、該ユニットa1 の運転を停止
し、冷水取り出しを行っていないユニットがあればその
ユニットからの冷熱取り出し運転を開始する。
【0027】
【発明の効果】本発明の冷水取り出し方法によれば、夜
間に蓄えられる蓄氷槽内のシャーベット状の氷を冷房運
転開始時にその高さの少なくとも3割を冷水の水面上に
露出させるので、この露出したシャーベット状の氷に散
水ノズルから水を散水することにより、水がシャーベッ
ト状の氷の中を透過する。そのため、氷の融解や熱移動
が速やかに進行し、冷房運転中に冷水を安定して蓄氷槽
から取り出すことができる。 又、本発明の過冷却水型氷
蓄熱システムによれば、各蓄氷槽の下部を互いにポンプ
を介して配管接続して、冷水の水面上に露出されたシャ
ーベット状の氷の高さを制御するようにしている。その
ため、冷房運転中に、散水ノズルから常に露出したシャ
ーベット状の氷に水を散水することができ、蓄氷槽から
冷水を安定して取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に用いられる過冷却水型氷蓄熱
システムにおけるシャーベット状の氷が蓄積される状態
を示す図
【図2】 その後冷房運転が行われる前の初期状態を示
した図
【図3】 その後冷房運転が行われている状態を示した
【符号の説明】
a1 冷熱取り出しに係るユニット a2 他
のユニット 11、12 蓄氷槽 4 散水ノズル
8 冷水 hi 蓄氷槽内のシャーベット状の氷の高さ hw 冷水の水面の高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入部 真武 神奈川県厚木市愛甲710−1 コート・ アムールII203号 (72)発明者 中野 一馬 神奈川県川崎市中原区下小山田4−17− 5 セジュール447−B−203 審査官 近藤 裕之 (56)参考文献 特開 平3−55446(JP,A) 特開 平5−52454(JP,A) 特開 平6−174270(JP,A) 特開 平6−281209(JP,A) 実開 平5−79330(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 5/00 102

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷熱源となる氷・水スラリーが蓄えられ
    蓄氷槽と、前記蓄氷槽に水を散水する散水ノズルを有
    し、前記蓄氷槽から冷水を取り出して冷房運転を行う過
    冷却水型氷蓄熱システム蓄氷槽からの冷水取り出し方
    法であって、冷房運転開始前に シャーベット状の氷を前記蓄氷槽に蓄
    えて、冷房運転開始時に蓄氷槽内のシャーベット状の氷
    をその高さの少なくとも3割を冷水の水面上に露出さ
    せ、冷房運転時には、 前記水面上に露出したシャーベット状
    の氷に水を散水し、前記シャーベット状の氷を融解さ
    せて冷水を取り出すことを特徴とする蓄氷槽からの冷水
    取り出し方法。
  2. 【請求項2】 前記蓄氷槽を複数備え、 冷水取り出しに係る蓄氷槽内の水を他の蓄氷槽に移動
    させてシャーベット状の氷を水面上に露出させること
    を特徴とする請求項1記載の蓄氷槽からの冷水取り出し
    方法。
  3. 【請求項3】 冷熱源となる氷・水スラリーが蓄えられ
    る蓄氷槽と、水を過冷却する過冷却器と、蓄氷槽内に散
    水する散水ノズルとを備え、 前記過冷却器は蓄氷槽の下部と配管接続され、前記過冷
    却器において過冷却された水を衝撃により過冷却状態を
    解き、相変化したシャーベット状の氷を冷水の水面上に
    露出した状態で蓄氷槽内に蓄えると共に、 前記散水ノズルは冷房時に取り出される蓄氷槽内の冷水
    と熱交換する熱交換器を介して蓄氷槽の下部と配管接続
    され、 前記蓄氷槽は複数備えられ各蓄氷槽の下部が互いにポン
    プを介して配管接続され、該ポンプを動作させることに
    よって前記水面上に露出するシャーベット状の氷の高さ
    を制御することを特徴とする冷房用過冷却水型氷蓄熱シ
    ステム。
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