JP3328734B2 - フェノキシ置換ベンゾニトリルを製造する方法 - Google Patents

フェノキシ置換ベンゾニトリルを製造する方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は触媒の存在下にフェノキ
シ置換トルエンをアンモニア及び分子状酸素と気相接触
反応(即ち、アンモ酸化)せしめてフェノキシ置換ベン
ゾニトリルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノキシ置換ベンゾニトリルは、医
薬、農薬の中間体として有用な化合物であり、フェノキ
シ置換トルエンのアンモ酸化によるフェノキシ置換ベン
ゾニトリルの製造法としては、Neftekhimiy
a, 1990,30(1),63−68に、バナジウム
−アンチモン−クロム−チタンの酸化物触媒を用いる方
法が開示されている。しかしながら触媒の組成比につい
ての記載は一切なく、目的とするフェノキシ置換ベンゾ
ニトリルの空時収率も18g/(l・Hr)でしかな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フェ
ノキシ置換トルエンのアンモ酸化によって、高い空時収
率でフェノキシ置換ベンゾニトリルを製造することので
きる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、特定の酸化物を触媒として用い、特定の分
子状酸素/フェノキシ置換トルエンのモル比で、フェノ
キシ置換トルエンをアンモニア及び分子状酸素と気相接
触反応せしめると、高い空時収率でフェノキシ置換ベン
ゾニトリルを製造できることを見出し本発明に至った。
【0005】即ち本発明は、式(1): で示されるフェノキシ置換トルエンをアンモニア及び分
子状酸素と、触媒の存在下気相接触反応せしめて、式
(2): で示されるフェノキシ置換ベンゾニトリルを製造するに
あたり、触媒として式(3): Va Sbb Tic d x (3) (式中、Aはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素
及びリンからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の
元素であり、Oは酸素原子を表わす。添字a、b、c、
d及びxはそれぞれバナジウム、アンチモン、チタン、
A及び酸素原子の原子比を表わす実数であり、aを1と
したとき、bは0.5〜10、cは0〜50、dは0〜
5であり、xは酸素原子の原子価、他の元素の原子価及
び原子比から決まる任意の値である。)で示される酸化
物を使用し、分子状酸素/フェノキシ置換トルエンのモ
ル比を1.5〜7とすることを特徴とするフェノキシ置
換ベンゾニトリルの製造法に関する。
【0006】本発明に用いる式(3): Va Sbb Tic d x (3) で示される酸化物触媒において、Aはアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、ホウ素及びリンからなる群から選ばれ
る少なくとも一種以上の元素であり、Oは酸素原子を表
わす。添字a、b、c、d及びxはそれぞれバナジウ
ム、アンチモン、チタン、A及び酸素原子の原子比を表
わす実数であり、aを1としたとき、bは0.5〜1
0、cは0〜50、dは0〜5であり、xは酸素原子の
原子価、他の元素の原子価及び原子比から決まる任意の
値である。
【0007】上記式(3)で示される酸化物触媒の調製
に使用する各元素の原料化合物としては特に限定はな
く、通常用いられる化合物であればいずれも使用でき
る。例えば、バナジウム化合物としてはメタバナジン酸
アンモニウム、五酸化バナジウム、リン酸バナジウム等
が、アンチモン化合物としては金属アンチモン、三二酸
化アンチモン、五二酸化アンチモン、三塩化アンチモン
等が、またチタン化合物としては二酸化チタン、四塩化
チタン等が使用できる。
【0008】アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物
としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、
ルビジウム、マグネシウム、カルシウム等の塩化物、水
酸化物、硝酸塩、硫酸塩等が、ホウ素化合物としてはホ
ウ酸、酸化ホウ素等が、またリン化合物としてはリン
酸、ポリリン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム等が
使用できる。
【0009】本発明に用いる触媒は単独で使用すること
も担体に担持して用いることもできる。担体としてはシ
リカ、アルミナ、シリカアルミナ、炭化ケイ素、ケイソ
ウ土及びゼオライト等が挙げられる。
【0010】触媒の調製法としては、一般に知られてい
る酸化物触媒の調製法が適用できる。例えば、水に上記
バナジウム化合物及びアンチモン化合物等を加えた液を
濃縮した後、乾燥、焼成する方法や、また、担体に担持
した触媒を得るには、上記触媒活性成分を含む液に担体
粉末をさらに加えて濃縮し、乾燥、焼成する方法や、活
性成分を含む液中に担体を浸して含浸担持し、乾燥、焼
成する方法等が採用できる。
【0011】本発明におけるフェノキシ置換トルエンと
しては、オルトフェノキシトルエン、メタフェノキシト
ルエン及びパラフェノキシトルエンが挙げられる。
【0012】本発明において触媒存在下、フェノキシ置
換トルエンをアンモニア及び分子状酸素と気相接触反応
せしめてフェノキシ置換ベンゾニトリルを製造するにあ
たり、反応供給ガス中の分子状酸素/フェノキシ置換ト
ルエンのモル比は1.5〜7である。
【0013】本発明における分子状酸素としては通常空
気を用いるが、純酸素又はこれと空気との混合物を用い
ることもできる。
【0014】原料供給ガス中のフェノキシ置換トルエン
とアンモニアのモル比は特に限定されないが、通常1:
1〜1:100である。
【0015】フェノキシ置換トルエン、分子状酸素及び
アンモニアを含む原料ガスとしては、不活性気体、例え
ば水蒸気あるいは窒素等で希釈したものを用いることも
できる。原料ガス中のフェノキシ置換トルエンの濃度は
通常0.15〜10モル%の範囲である。
【0016】本発明において原料フェノキシ置換トルエ
ンの供給速度(以下、LHSVという。)は、通常0.
01〜1.0g/(ml・Hr)であり、好ましくは
0.03〜0.5g/(ml・Hr)である。原料ガス
の空間速度は通常200〜10000Hr-1であり、好
ましくは300〜5000Hr-1である。反応温度は通
常300〜650℃であり、好ましくは330〜600
℃である。反応は通常常圧で行われるが、減圧又は加圧
下においても実施することができる。反応器は固定床形
式のものや流動床形式のものを用いることができる。
【0017】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高い空時収率で
フェノキシ置換ベンゾニトリルを製造することができ
る。
【0018】
【実施例】次に実施例により本発明を説明するが、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、転
化率、収率、選択率及び空時収率はそれぞれ次の計算式
に従って計算した。
【0019】転化率:%=(反応したフェノキシ置換ト
ルエン:モル)/(供給したフェノキシ置換トルエン:
モル)×100
【0020】収率:%=(生成したフェノキシ置換ベン
ゾニトリル:モル)/(供給したフェノキシ置換トルエ
ン:モル)×100
【0021】選択率:%=(生成したフェノキシ置換ベ
ンゾニトリル:モル)/(反応したフェノキシ置換トル
エン:モル)×100
【0022】空時収率:g/(l・Hr) ={(LHSV:g/ (ml・Hr))×1000/(フェノキシ置
換トルエンの分子量)}×{(収率:%)/100}×
(フェノキシ置換ベンゾニトリルの分子量)
【0023】実施例1 蒸留水300ccに40%メチルアミン水溶液を加えた
溶液中にメタバナジン酸アンモニウム5.0gを加えて
溶解した溶液を90℃に加熱し、これに三酸化アンチモ
ン24.93g、二酸化チタン54.65gを加えた
後、1時間混合し濃縮した。得られた残渣を120℃で
8時間乾燥し、空気中300℃で2時間、更に500℃
で3時間焼成した。このようにしてバナジウム等の原子
比がV1 Sb4 Ti16の酸化物触媒を得た。この触媒の
粒径を10〜16メッシュに揃え、内径22.0mmφ
のパイレックス製反応管に20ml充填した。触媒充填
部を420℃に保持し、メタフェノキシトルエンのLH
SVを0.1g/(ml・Hr)とし、メタフェノキシ
トルエン:アンモニア:空気中の分子状酸素:水蒸気の
モル比が1:15:3:15の混合ガスを通した (空間
速度:560Hr-1) 。反応生成ガスをメタノールに1
5分間吸収して捕集し、ガスクロマトグラフィーで分析
したところ、転化率69%、メタフェノキシベンゾニト
リル収率53%(選択率77%)であり、メタフェノキ
シベンゾニトリルの空時収率は56g/(l・Hr)で
あった。
【0024】実施例2〜6 第4成分として硝酸カリウム0.86g、硝酸セシウム
1.67g、硝酸マグネシウム2.19g、85%リン
酸0.99g又はホウ酸2.64gをそれぞれ添加した
以外は、実施例1と同様な方法で触媒を調製し、表1に
示す酸化物触媒を得た。このようにして得た触媒を用い
て、実施例1と同様にして反応を行い、分析した。結果
を表1に示す。
【0025】 表1 実施 触媒中のバナジウム等 転化 メタフェノキシヘ゛ンソ゛ニトリル 例Noの原子比 収率 選択率 空時収率 2 V1 Sb4 Ti160.2 69 54 78 57 3 V1 Sb4 Ti16Cs0.2 81 47 58 50 4 V1 Sb4 Ti16Mg0.2 64 40 72 42 5 V1 Sb4 Ti160.2 79 52 66 55 6 V1 Sb4 Ti161.0 56 45 81 48
【0026】実施例7 酒石酸水溶液中に三酸化アンチモン4.0gを添加し溶
解した。10%シュウ酸水溶液20g中に五酸化バナジ
ウム0.62gを加え均一な溶液を得た。また、イオン
交換水20g中に硝酸カリウム0.14gを加え均一な
溶液を得た。これらの溶液を混合し35mlまで濃縮
し、これにアルミナ球(住友化学工業株式会社製 NK
HO−24)26.55gを浸し、含浸担持した。その
後時々撹拌しながら120℃で乾燥し、空気中300℃
で2時間、更に500℃で3時間焼成し、アルミナにバ
ナジウム等の原子比がV1 Sb4 0.2 の酸化物15重
量%を担持した触媒を得た。得られた触媒を内径22.
0mmφのパイレックス製反応管に20ml充填し、触
媒充填部を390℃に保持した。メタフェノキシトルエ
ンのLHSVが0.1g/(ml・Hr)で、メタフェ
ノキシトルエン:アンモニア:空気中の分子状酸素:水
蒸気のモル比が1:15:3:15の混合ガスを上記反
応管に通した(空間速度:560Hr-1) 。反応生成ガ
スをメタノールに15分間吸収して捕集し、ガスクロマ
トグラフィーで分析したところ、メタフェノキシトルエ
ン転化率79%、メタフェノキシベンゾニトリル収率4
8%(選択率60%)であり、メタフェノキシベンゾニ
トリルの空時収率は51g/(l・Hr)であった。
【0027】実施例8 メタフェノキシトルエンの代わりにパラフェノキシトル
エンを用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行っ
た。パラフェノキシトルエン転化率72%、パラフェノ
キシベンゾニトリル収率60%(選択率83%)であ
り、パラフェノキシベンゾニトリルの空時収率は64g
/(l・Hr)であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中石 徹 大阪府大阪市城東区放出西2丁目12番13 号 広栄化学工業株式会社内 審査官 穴吹 智子 (56)参考文献 特開 昭47−4556(JP,A) 特開 平2−180637(JP,A) 特開 昭54−100994(JP,A) 特開 平5−293374(JP,A) 特開 昭62−120351(JP,A) 特公 昭45−32423(JP,B1) 特公 昭42−7611(JP,B1) Chemical Abstract s,Vol.113:58636 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 253/28 C07C 255/54 B01J 23/22 B01J 27/198 C07B 61/00 300 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1): で示されるフェノキシ置換トルエンをアンモニア及び分
    子状酸素と、触媒の存在下気相接触反応せしめて、式
    (2): で示されるフェノキシ置換ベンゾニトリルを製造するに
    あたり、触媒として式(3): Va Sbb Tic d x (3) (式中、Aはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素
    及びリンからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の
    元素であり、Oは酸素原子を表わす。添字a、b、c、
    d及びxはそれぞれバナジウム、アンチモン、チタン、
    A及び酸素原子の原子比を表わす実数であり、aを1と
    したとき、bは0.5〜10、cは0〜50、dは0〜
    5であり、xは酸素原子の原子価、他の元素の原子価及
    び原子比から決まる任意の値である。)で示される酸化
    物を使用し、分子状酸素/フェノキシ置換トルエンのモ
    ル比を1.5〜7とすることを特徴とするフェノキシ置
    換ベンゾニトリルの製造法。
  2. 【請求項2】 式(3)の酸化物がシリカ、アルミナ、
    シリカアルミナ、炭化ケイ素、ケイソウ土又はゼオライ
    トに担持されていることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
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JP4686001B2 (ja) * 1999-12-28 2011-05-18 広栄化学工業株式会社 シアノイソキノリン類の製造方法

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