JP3328594B2 - 蓄熱式冷凍サイクル装置およびその制御方法 - Google Patents

蓄熱式冷凍サイクル装置およびその制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱式冷凍サイク
ル装置およびその制御方法に係り、特に、蓄熱運転時に
おける消費電力の削減に好適な蓄熱式冷凍サイクル装置
およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、特開昭64-70654に開示される従
来の蓄熱式冷凍サイクル装置10の回路図を示す。蓄熱
式冷凍サイクル装置10は、夜間電力等を利用して冷熱
(例えば、氷)を蓄え、冷房時に上記冷熱によって冷媒
を過冷却する装置である。蓄熱運転時には、第1開閉弁
12が閉弁状態とされ、第2開閉弁14が開弁状態とさ
れる。その結果、冷媒が蓄熱回路16を循環する状態が
形成される。この冷媒は圧縮機18で圧縮された後、室
外熱交換器20で凝縮され、第2減圧機構22で減圧さ
れた後、蓄熱用熱交換器24で蒸発し再び圧縮機18に
戻る。蓄熱用熱交換器24において冷媒が蒸発する際
に、蓄熱槽26内部の蓄冷熱材(例えば、水)と冷媒と
の間で熱交換が行われ、蓄冷熱材が冷却される。その結
果、氷が生成されることにより、蓄熱槽26の内部に冷
熱が貯えられる。
【0003】冷房運転は、蓄熱槽26に蓄えられている
冷熱を利用して行われる。すなわち、冷房運転時には、
第1開閉弁12が開弁状態、第2開閉弁14が閉弁状態
とされ、冷媒が冷媒回路28を循環する状態が形成され
る。この冷媒は圧縮機18で圧縮された後、室外熱交換
器20で凝縮されて過冷却用熱交換器30に導かれる。
そして、この過冷却用熱交換器30において、冷媒は蓄
熱槽26内の冷熱と熱交換されて過冷却され、その後、
第1減圧機構32で減圧され、室内熱交換器34で蒸発
して再び圧縮機18に戻る。この室内熱交換器34で冷
媒は室内空気と熱交換される。上記の熱交換により冷却
された空気は、図示しないファンにより冷風として室内
に送り出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の構成を有する従
来の蓄熱式冷凍サイクル装置は、以下に示す如く、非蓄
熱式の空気調和装置(以下、非蓄熱式空調装置と称す)
に比較して運転効率が低いという問題を有していた。例
えば、蓄熱材が水(氷)の場合、蓄熱式冷凍サイクル装
置の冷媒の蒸発温度は、蓄熱運転時において−10℃〜
−5℃程度となる。これに対して、非蓄熱式空調装置に
おいて、冷房運転時における冷媒の蒸発温度は5℃〜1
0℃程度である。
【0005】圧縮機18の吸入口に到達する冷媒の密度
は、冷媒の蒸発温度が低いほど低下する。同一の凝縮圧
力の下では、圧縮機18に吸入される冷媒の密度が低い
ほど冷媒の圧縮比が大きくなり、圧縮機18における圧
縮仕事が大きくなる。このため、蓄熱式冷凍サイクル装
置の蓄熱運転時における運転効率は、非蓄熱式空調装置
の冷房運転時における運転効率に比較して30%程度低
い値となる。
【0006】蓄熱式冷凍サイクル装置は、蓄えた冷熱を
利用して昼間の冷房運転を行う。このため、蓄熱式冷凍
サイクル装置の冷房運転中における冷媒循環量は、非蓄
熱式空調装置の冷媒循環量に比して20%程度少量とな
る。その結果、蓄熱式冷凍サイクル装置の冷房運転時に
おける運転効率は、非蓄熱式空調装置の冷房運転時にお
ける運転効率に比して20%程度改善される。
【0007】つまり、ある冷房負荷に対して、非蓄熱式
空調装置の圧縮機に供給すべきエネルギが“1”である
場合、冷凍サイクル装置の圧縮機18に、冷房運転時に
供給すべきエネルギは“0.8”である。この際、残る
“0.2”(20%)のエネルギは、蓄熱槽26に蓄え
られている冷熱により賄われる。昼間の冷房運転の20
%の効率向上に貢献する夜間の蓄熱運転では、30%余
計にエネルギを入力する必要がある。このため、蓄熱式
冷凍サイクル装置の圧縮機18には、全体として、0.
8+0.2×1.3=1.06のエネルギを入力するこ
とが必要である。以上のように、蓄熱材として水(氷)
を用いた場合、蓄熱式冷凍サイクルは非蓄熱式冷凍サイ
クルに比べ1日を総合した運転効率の面では6%程度悪
化していた。
【0008】すなわち、蓄熱式冷凍サイクル装置は、確
かに、昼間の冷房運転時の電力消費量は非蓄熱式空調装
置より少なく電力負荷平準化に寄与はするものの、一日
の冷房運転に必要な冷却熱量を得るために蓄熱式冷凍サ
イクル装置が一日に消費する電力量は非蓄熱式空調装置
が消費する電力量よりも多くなり、ひいては、地球温暖
化の原因となる二酸化炭素の発電所における排出量を増
大させるという問題点を有していた。
【0009】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、一日における消費電力量を全体と
して削減し得る蓄熱式冷凍サイクル装置を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
蓄熱式冷凍サイクル装置であって、低圧冷媒を圧縮して
高温の高圧冷媒を生成する圧縮機と、前記高温の高圧冷
媒の熱を外気に放熱させる室外熱交換器と、放熱後の高
圧冷媒を減圧して蓄熱用の低圧冷媒を生成する蓄熱用減
圧器と、前記蓄熱用の低圧冷媒の冷熱を蓄熱材に蓄えさ
せる蓄熱用熱交換器と、放熱後の高圧冷媒を減圧して冷
房用の低圧冷媒を生成する冷房用減圧器と、前記冷房用
の低圧冷媒と冷房空間の空気との間で熱交換を行わせる
冷房用熱交換器と、高圧側流路および低圧側流路を備え
ると共に、前記蓄熱材に冷熱を蓄熱するための蓄熱運転
時に前記高圧側流路を流れる高圧冷媒と前記低圧側流路
を流れる低圧冷媒との間で熱交換を行わせて、前記低圧
側流路から流出する冷媒を、前記室外熱交換器から流出
する高圧冷媒より低温であり、かつ、前記蓄熱用熱交換
器から流出する低圧冷媒より高温である中温低圧冷媒と
する熱回収用熱交換器と、前記蓄熱運転時に、前記室外
熱交換器から流出した高圧冷媒を、前記高圧側流路を介
して前記蓄熱用減圧器に導くと共に、前記蓄熱用交換器
の前記低圧側流路から流出する低圧冷媒を前記圧縮機へ
還流させる蓄熱時配管と、を備えることを特徴とするも
のである。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の蓄
熱式冷凍サイクル装置であって、前記冷房空間を冷房す
るための冷房運転時に前記室外熱交換機から流出した高
圧冷媒を、前記高圧側流路をバイパスして前記冷房用減
圧器に導く第1バイパス配管と、前記冷房運転時に前記
冷房用熱交換器から流出する低圧冷媒を前記低圧側流路
をバイパスして前記圧縮機へ還流させる第2バイパス配
管とのうち少なくとも一方を備え、冷房運転時には、前
記室外熱交換器から流出する前記高圧冷媒が前記第1バ
イパス配管を流通し、および/または、前記室内熱交換
器から流出する前記低圧冷媒が前記第2バイパス配管を
流通することを特徴とするものである。
【0012】請求項3記載の発明は、蓄熱式冷凍サイク
ル装置であって、低圧冷媒を圧縮して高温の高圧冷媒を
生成する圧縮機と、冷房時は高温の高圧冷媒の熱を外気
に放熱させて、暖房時は外気の熱を低温の低圧冷媒に吸
熱させる室外熱交換器と、冷房時は冷房用の低温の低圧
冷媒と冷房空間の空気との間で熱交換を行わせ、暖房時
は暖房用の高温の高圧冷媒と暖房空間の空気との間で熱
交換を行わせる室内熱交換器と、 高圧側流路および低圧
側流路を備えると共に、前記高圧側流路を流れる高圧冷
媒と前記低圧側流路を流れる低圧冷媒との間で熱交換を
行わせて、前記低圧側流路から流出する冷媒を、前記室
外熱交換器から流出する高圧冷媒より低温であり、か
つ、前記蓄熱用熱交換器から流出する低圧冷媒より高温
である中温低圧冷媒とする熱回収用熱交換器と、一端が
前記室外熱交換器に、他端が前記室内交換器にそれぞれ
連通し、冷房時は前記室外熱交換器で放熱された後の高
圧冷媒を減圧して冷房用の低圧冷媒を生成し、暖房時は
前記室内熱交換器で熱交換された後の高圧冷媒を減圧し
て低圧冷媒を生成する減圧器と、一端が前記室外熱交換
器に、他端が前記蓄熱用熱交換器にそれぞれ連通し、前
記室外熱交換器で放熱された後の高圧冷媒を減圧して蓄
熱用の低圧冷媒を生成する蓄熱用減圧器と、 前記蓄熱材
に冷熱を蓄熱するための蓄熱運転時に、前記室外熱交換
器から流出した高圧冷媒を前記高圧側流路を介して前記
蓄熱用減圧器に導くと共に、前記蓄熱用交換器の前記低
圧側流路から流出する低圧冷媒を前記圧縮機へ還流させ
る蓄熱時配管と、を備える蓄熱式冷凍サイクル装置にお
いて、前記高圧側流路をバイパスして前記室外熱交換器
と前記減圧器とを導通させる第1バイパス配管と、前記
低圧側流路をバイパスして前記圧縮機と前記減圧器とを
導通させる第2バイパス配管とのうち少なくとも一方を
備え、暖房運転時には、前記減圧器から流出する低圧冷
媒が前記第1バイパス配管を流通し、および/または、
前記圧縮機から流出する前記高圧冷媒が前記第2バイパ
ス配管を流通することを特徴とするものである。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項1または3
記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であって、前記室外熱交
換器から流出する高圧冷媒を、前記熱回収用熱交換器の
高圧側流路および低圧側流路の双方を経由して流通させ
る熱回収通路と、前記室外熱交換器から流出する高圧冷
媒を、前記熱回収用熱交換器の高圧側流 路および低圧側
流路の少なくとも一方をバイパスさせて流通させるバイ
パス通路と、前記高圧冷媒が前記熱回収通路を流通する
回収状態と、前記高圧冷媒が前記高圧側流路および低圧
側流路の少なくとも一方のバイパス通路を流通する非回
収状態とを切り換える弁機構とを備え、前記蓄熱時配管
は、前記弁機構によって前記回収状態が実現されること
により形成されることを特徴とするものである。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項4記載の蓄
熱式冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機から吐出さ
れる冷媒の温度を検出する吐出温度検出器を備えると共
に、前記吐出温度検出器の検出値が第1の設定温度に比
して高い場合は、前記非回収状態が実現されるように前
記弁機構を制御し、前記吐出温度検出器の検出値が第2
の設定温度に比して低い場合は、前記回収状態が実現さ
れるように前記弁機構を制御することを特徴とするもの
である。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項4記載の蓄
熱式冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機に吸入され
る冷媒の温度を検出する吸入温度検出器を備えると共
に、前記吸入温度検出器の検出値が第3の設定温度に比
して高い場合は、前記非回収状態が実現されるように前
記弁機構を制御し、前記吸入温度検出器の検出値が第4
の設定温度に比して低い場合は、前記回収状態が実現さ
れるように前記弁機構を制御することを特徴とするもの
である。
【0016】請求項7記載の発明は、請求項1または3
記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であって、前記室外熱交
換器から流出する高圧冷媒を、前記熱回収用熱交換器を
経由して流通させる熱回収通路と、前記室外熱交換器か
ら流出する高圧冷媒を、前記熱回収用熱交換器をバイパ
させて流通させるバイパス通路と、前記熱回収通路を
流通する高圧冷媒と、前記バイパス通路を流通する高圧
冷媒との比率を制御する比率制御機構と、を備えること
を特徴とするものである。
【0017】請求項8記載の発明は、請求項7記載の蓄
熱式冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機から吐出さ
れる冷媒の温度を検出する吐出温度検出器を備えると共
に、前記吐出温度検出器の検出値が第5の設定温度に比
して高い場合は、前記バイパス通路を流通する高圧冷媒
の比率が高まるように前記比率制御機構を制御し、前記
吐出温度検出器の検出値が第6の設定温度に比して低い
場合は、前記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高
まるように前記比率制御機構を制御することを特徴とす
ものである。
【0018】請求項9記載の発明は、請求項7記載の蓄
熱式冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機に吸入され
る冷媒の温度を検出する吸入温度検出器を備えると共
に、前記吸入温度検出器の検出値が第7の設定温度に比
して高い場合は、前記バイパス通路を流通する高圧冷媒
の比率が高まるように前記比率制御機構を制御し、前記
吸入温度検出器の検出値が第8の設定温度に比して低い
場合は、前記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高
まるように前記比率制御機構を制御することを特徴とす
ものである。
【0019】請求項10記載の発明は、請求項1乃至9
の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であって、
前記熱回収用熱交換器は、プレート式熱交換器であるこ
とを特徴とするものである。
【0020】請求項11記載の発明は、請求項1乃至9
の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であって、
前記熱回収用熱交換器は、二重管式熱交換器であること
を特 徴とするものである。
【0021】請求項12記載の発明は、請求項1乃至1
1の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であっ
て、前記熱回収用熱交換器、前記蓄熱用減圧器、およ
び、前記蓄熱用熱交換器を一体的に内蔵する蓄熱ユニッ
トを備えることを特徴とするものである。
【0022】請求項13記載の発明は、請求項1乃至1
1の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であっ
て、前記熱回収用熱交換器を内蔵する熱回収ユニット
と、前記蓄熱用減圧器および前記蓄熱用熱交換器を内蔵
する蓄熱ユニットとを、それぞれ独立した筐体として備
えることを特徴とするものである。
【0023】請求項14記載の発明は、請求項1乃至1
3の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であっ
て、前記冷房用熱交換器を複数備えることを特徴とする
ものである。
【0024】請求項15記載の発明は、請求項1乃至1
4の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であっ
て、前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通する冷媒の状
態値と、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえで好適な前記圧
縮機の運転容量との関係を予め記憶していると共に、前
記蓄熱材に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、前記予め
記憶されている関係に従って、かつ、前記蓄熱用熱交換
器を含む回路を流通する冷媒の状態値に基づいて、前記
圧縮機の運転容量に関する好適値を検出し、更に、前記
圧縮機の運転容量をその好適値に制御することを特徴と
するものである。
【0025】請求項16記載の発明は、請求項1乃至1
4の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であっ
て、前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通する冷媒の状
態値に関して、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえで好適な
目標値を予め記憶していると共に、前記蓄熱材に冷熱を
蓄えるための蓄熱運転時に、前記状態値が前記目標値に
近づくように前記圧縮機の運転容量を制御することを特
徴とするものである。
【0026】請求項17記載の発明は、請求項15また
は16記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であって、前記冷
媒の状態値は、冷媒の蒸発温度であることを特徴とする
ものである。
【0027】請求項18記載の発明は、請求項15また
は16記載の蓄熱式冷凍サイクル装置であって、前記冷
媒の状態値は、前記圧縮機に吸入される段階における前
記冷媒の圧力であることを特徴とするものである。
【0028】請求項19記載の発明は、請求項4記載の
蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方法であって、前記圧縮
機から吐出される冷媒の温度(吐出温度)を検出するス
テップと、前記吐出温度が第1の設定温度に比して高い
場合に、前記非回収状態が実現されるように前記弁機構
を制御するステップと、前記吐出温度が第2の設定温度
に比して低い場合に、前記回収状態が実現されるように
前記弁機構を制御するステップと、を備えることを特徴
とするものである。
【0029】請求項20記載の発明は、請求項4記載の
蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方法であって、前記圧縮
機に吸入される冷媒の温度(吸入温度)を検出するステ
ップと、前記吸入温度が第3の設定温度に比して高い場
合に、前記非回収状態が実現されるように前記弁機構を
制御するステップと、前記吸入温度が第4の設定温度に
比して低い場合に、前記回収状態が実現されるように前
記弁機構を制御するステップと、 を備えることを特徴と
するものである。
【0030】請求項21記載の発明は、請求項7記載の
蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方法であって、前記圧縮
機から吐出される冷媒の温度(吐出温度)を検出するス
テップと、前記吐出温度が第5の設定温度に比して高い
場合に、前記バイパス通路を流通する高圧冷媒の比率が
高まるように前記比率制御機構を制御するステップと、
前記吐出温度が第6の設定温度に比して低い場合に、前
記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高まるように
前記比率制御機構を制御するステップと、を備えること
を特徴とするものである。
【0031】請求項22記載の発明は、請求項7記載の
蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方法であって、前記圧縮
機に吸入される冷媒の温度(吸入温度)を検出するステ
ップと、前記吸入温度が第7の設定温度に比して高い場
合に、前記バイパス通路を流通する高圧冷媒の比率が高
まるように前記比率制御機構を制御するステップと、前
記吸入温度が第8の設定温度に比して低い場合に、前記
熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高まるように前
記比率制御機構を制御するステップと、を備えることを
特徴とするものである。
【0032】請求項23記載の発明は、請求項1乃至1
4の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方
法であって、前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通する
冷媒の状態値と、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえで好適
な前記圧縮機の運転容量との関係を予め記憶するステッ
プと、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、
前記予め記憶されている関係に従って、かつ、前記蓄熱
用熱交換器を含む回路を流通する冷媒の状態値に基づい
て、前記圧縮機の運転容量に関する好適値を検出するス
テップと、前記圧縮機の運転容量をその好適値に制御す
るステップと、 を備えることを特徴とするものである。
【0033】請求項24記載の発明は、請求項1乃至1
4の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方
法であって、前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通する
冷媒の状態値に関して、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえ
で好適な目標値を予め記憶するステップと、前記蓄熱材
に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、前記状態値が前記
目標値に近づくように前記圧縮機の運転容量を制御する
ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。尚、各図において共通す
る要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0035】実施の形態1. 以下、図1および図2を参照して、本発明の実施の形態
1について説明する。図1は、本発明による蓄熱式冷凍
サイクルの一実施形態を示す構成図である。図におい
て、36は圧縮機、38は四方弁、40は室外熱交換
器、42はアキュムレータ、44は室外送風機であり、
これらは室外ユニット46に内蔵されている。四方弁3
8は第1口乃至第4口を備えている。第1口および第2
口は、それぞれ、圧縮機36の吐出側、または、室外熱
交換器40の一端に接続されている。第3口は、アキュ
ムレータ42を介して圧縮機36の吸入側と接続されて
いる。また、第4口は、ガス管として、室外ユニット4
6の第1のガス管側接続口Aを構成している。室外熱交
換器40の他端は液管として室外ユニット46の第1の
液管側接続口Bを構成している。
【0036】48は蓄熱槽、50は蓄熱材、52は蓄熱
槽48内に設置された蓄熱用熱交換器、53は熱回収用
熱交換器、54は蓄熱用減圧装置、56,58および6
0はそれぞれ第1、第2、第3の開閉弁、62および6
4はそれぞれ第1および第2の温度検出器であり、これ
らは蓄熱ユニット66に内蔵されている。蓄熱用熱交換
器52の液側の一端は、蓄熱用減圧装置54および熱回
収用熱交換器53の高圧側流路を介して、室外ユニット
46の第1の液管側接続口Bに接続されている。一方、
蓄熱用熱交換器52のガス側の他端は、熱回収用熱交換
器53の低圧側流路、第1の開閉弁56を介して室外ユ
ニット46の第1のガス管側接続口Aに接続されてい
る。
【0037】第1の液管側接続口Bと熱回収用熱交換器
53の高圧側流路との間には第1の分岐管68の一端が
接続されている。第1の分岐管68の他端は第3の開閉
弁60を介して蓄熱ユニットの第2の液管側接続口Dを
構成している。この第1の分岐管68の途中、第3の開
閉弁60と第2の液管側接続口Dとの間にはさらに別の
第2の分岐管70の一端が接続されている。この第2の
分岐管70の他端は第2の開閉弁58を介して蓄熱用熱
交換器52のガス側の一端に接続されている。一方、第
1のガス管側接続口Aと第1の開閉弁56との間にもさ
らに別の第3の分岐管72が接続されている。第3の分
岐管72は蓄熱ユニット66の第2のガス管側接続口C
を構成している。
【0038】74および76は、それぞれ、第1および
第2の室内熱交換器、78および80はそれぞれ第1お
よび第2の室内送風機、82および84はそれぞれ第1
および第2の減圧装置であり、これらはそれぞれ第1ま
たは第2の室内ユニット86または88内に収納されて
いる。蓄熱ユニット66の第2の液管側接続口Dに接続
された液延長配管は分岐してそれぞれの端が第1および
第2の減圧装置82および84を介して第1および第2
の室内熱交換器74および76の一端に接続されてい
る。第1および第2の室内熱交換器74および76の他
端には蓄熱ユニット66の第2のガス管側接続口Cに接
続されたガス延長配管が分岐した端が接続されている。
【0039】以上のように構成された本実施の形態の蓄
熱式冷凍サイクルにおいて、次に、動作を説明する。ま
ず、主に夜間電力を利用する蓄熱運転時について説明す
る。蓄熱運転時は、室外ユニット46内部の四方弁38
が、第1口と第2口が連通し、第3口と第4口が連通す
るように設定されると共に、蓄熱ユニット66内部の第
1の開閉弁56が開弁状態、第2および第3の開閉弁が
閉弁状態とされる。
【0040】蓄熱運転時には、圧縮機36で圧縮されて
高温高圧となった冷媒が、四方弁38の第1口から第2
口を経て室外熱交換器40に流入する。ここで、冷媒
は、室外送風機44によって送り込まれる図示しない室
外空気に放熱して凝縮液化する。この凝縮液化した中温
高圧の液冷媒は第1の液管側接続口Bから室外ユニット
46を出て蓄熱ユニット66内の熱回収用熱交換器53
の高圧側流路に流入する。中温高圧の液冷媒は、ここ
で、後述の如く蓄熱用熱交換器52から流出する低温低
圧のガス冷媒と熱交換して低温高圧の過冷却液冷媒とな
る。この過冷却液冷媒は蓄熱用減圧装置54で減圧され
て低温低圧の二相冷媒となり、蓄熱用熱交換器52に流
入する。
【0041】蓄熱用熱交換器52に流入した二相冷媒
は、蓄熱槽48内に収納されている蓄熱材50から吸熱
して蒸発ガス化する。上記の処理が継続的に行われる
と、蓄熱用熱交換器52の表面に蓄熱材である水が冷却
されてできた氷が付着成長して、蓄熱槽48の内部に冷
熱が蓄えられる。蓄熱用熱交換器52の内部でガス化し
た低温低圧のガス冷媒は、上述した熱回収用熱交換器5
3の低圧側流路に流入して室外熱交換器40から流入し
てきた液冷媒を過冷却すると共に、自らは加熱されて中
温低圧のガス冷媒となる。中温低圧のガスとなった冷媒
は、その後、第1のガス管側接続口Aを経て室外ユニッ
ト46に戻り、四方弁38(第4口および第3口)およ
びアキュムレータ42を経て圧縮機36の吸入側に戻
る。
【0042】上述した蓄熱運転の過程において、蓄熱用
減圧装置54の開度は、蓄熱用熱交換器52のガス側出
口に設置されている第1の温度検出器62の温度検出値
T62と蓄熱用熱交換器52の液側入口に設置されてい
る第2の温度検出器64の温度検出値T64の差(T6
2−T64)が、あらかじめ設定されている第1の目標
値SH1に近づくように制御される。本実施形態におい
て、第1の目標値SH1は、(1)蓄熱用熱交換器52内
で、圧力損失に伴って冷媒に生ずる温度降下と、(2)蓄
熱用熱交換器52のガス側出口での冷媒の目標状態とに
よって決められる。
【0043】具体的には、冷媒が、(i)ある圧力下での
気液二相状態の流れ場において、液とガスの流量比率
(乾き度)に依らず温度が一意に決まる冷媒(R22、
R134a等のフロン系単一冷媒、R290、R600
A等の炭化水素系冷媒、二酸化炭素、アンモニアなど)
である場合、および、(ii)ある圧力下での気液二相状態
の流れ場において、液とガスの流量比率(乾き度)が変
化するに連れて無視できる程度(飽和液と飽和ガスとで
温度差が0.1℃前後)に微少に温度を変化させる冷媒
(R410A等のフロン系擬似共沸冷媒など)である場
合は、次のように第1の目標値SH1を決定する。
【0044】上記の冷媒が用いられる場合、SH1は、
蓄熱用熱交換器52のガス側出口で冷媒に与えるべき過
熱度から、蓄熱用熱交換器52の入口から出口までの流
通過程で、圧力損失に起因して冷媒に生ずる温度降下量
を減じた値に設定される。例えば、蓄熱用熱交換器52
のガス側出口で確保すべき過熱度が3[deg] 、圧力損失
に伴って生ずる温度降下が2[deg]である場合、SH1
=3−2=1[deg]が第1の目標値となる。
【0045】第1の目標値SH1は、ある圧力下での気
液二相状態の流れ場において、液とガスの流量比率(乾
き度)が変化するに連れて、無視できない程度(飽和液
と飽和ガスとで温度差が数℃)の温度差を生じさせる冷
媒(R407C、R407E等のフロン系非共沸混合冷
媒など)が用いられる場合は、その冷媒が飽和液から飽
和ガスに変化する間に生ずる温度上昇分Tgr[deg]を
考慮して決定される。例えば、蓄熱用熱交換器52の入
口から出口までの圧力損失に伴う温度降下が2[deg]、
蓄熱用熱交換器52のガス側出口で確保すべき冷媒の過
熱度が3[deg]、飽和液から飽和ガスまでの温度上昇分
Tgrが5[deg]である場合、SH1=3−2+5=6
[deg]が第1の目標値となる。
【0046】本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置は、
冷房運転モードとして、蓄熱利用冷房運転モードと通常
冷房運転モードとを備えている。これらの冷房運転モー
ドのうち、先ず、蓄熱利用冷房運転モードについて説明
する。蓄熱利用冷房運転モードでは、四方弁38が蓄熱
運転時と同様の状態に制御される。また、このモードで
は、第1および第3の開閉弁56および60が閉弁状
態、第2の開閉弁58が開弁状態とされると共に、蓄熱
用減圧装置54が全開状態に制御される。
【0047】蓄熱利用冷房運転モードでは、圧縮機36
から吐出される高温高圧の冷媒は、室外熱交換器40で
凝縮液化された後、熱回収用熱交換器53の高圧側流路
を経て蓄熱用熱交換器52に流入する。ここで、冷媒
は、蓄熱用熱交換器52の表面に付着している蓄熱材5
0の氷によって冷却され、低温高圧の過冷却液冷媒とな
って第2の開閉弁58を経て第2の液管側接続口Dから
流出する。この低温高圧の過冷却液冷媒は、第1および
第2の室内ユニット86,88内へ流入し、第1または
第2の減圧装置82,84で減圧されて低温低圧の二相
冷媒となる。
【0048】この二相冷媒は、それぞれ第1または第2
の室内熱交換器74,76で第1または第2の室内送風
機78,80によって送り込まれた室内空気(図示せ
ず)から吸熱し、自らは蒸発ガス化して第2のガス管側
接続口C、第1のガス管側接続口A、四方弁38(第4
口および第3口)を経て、アキュムレータ42から圧縮
機36の吸入側へ戻る。この時、第1および第2の室内
送風機78,80によって室内熱交換器74,76へ送
り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷
却された後、室内へ吹き出されて室内を冷房する。
【0049】この時、第1の減圧装置82の開度は、第
1の室内熱交換器74のガス側出口に設置されている第
1の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値Tin1
と、第1の室内熱交換器74の液側入口に設置されてい
る第2の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値Ti
n2との差(Tin1−Tin2)が、あらかじめ設定
されている第1の室内目標値SHin1に近づくように
制御する。第2の減圧装置84についても全く同様であ
る。また、第1および第2の室内目標値SHin1およ
びSHin2の決定方法は、前述の第1の目標値SH1
の決定方法と同様である。
【0050】次に、通常冷房運転モードについて説明す
る。通常冷房運転モードは、蓄熱槽内の氷が消費された
後、或いは、蓄えられている冷熱の消費量を抑制したい
場合等に使用される。通常冷房運転モード時において、
四方弁38は、蓄熱運転時および蓄熱利用冷房運転モー
ド時と同様に制御される。また、通常冷房運転モードで
は、第1および第2の開閉弁56および58が閉弁状
態、第3の開閉弁60が開弁状態とされると共に、蓄熱
用減圧装置54が全閉状態とされる。このようにするこ
とにより、室外熱交換器40で凝縮液化された冷媒を第
1の液管側接続口Bから第3の開閉弁60および第2の
液管側接続口Dを経て直接第1および第2の減圧装置8
2,84に導くことができる。第1および第2の減圧装
置82,84に導かれた冷媒は、低温低圧の二相冷媒と
なって室内熱交換器74,76に流入して室内空気を冷
却する。
【0051】次に、暖房運転について説明する。この運
転モードでは、蓄熱は利用しない。暖房運転時には、室
外ユニット46内部の四方弁38は、第1口と第4口が
連通し、第2口と第3口が連通するように設定される。
また、暖房運転時には、蓄熱ユニット66内部の第1お
よび第2の開閉弁56および58が閉弁状態、第3の開
閉弁60が開弁状態とされると共に、蓄熱用減圧装置5
4が全開状態に制御される。
【0052】暖房運転中は、圧縮機36で圧縮されるこ
とにより高温高圧となった冷媒は四方弁38(第1口お
よび第4口)、第1のガス管側接続口A、および、第2
のガス管側接続口Cを経て第1および第2の室内熱交換
器74,76に流入する。ここで、この高温高圧の冷媒
は、第1および第2の室内送風機78,80によって送
り込まれる室内空気(図示せず)に放熱して室内を暖房
すると共に、自らは凝縮液化する。
【0053】上記の如く凝縮液化した中温高圧の液冷媒
は第1および第2の減圧装置82,84で減圧され、低
温低圧の気液二相冷媒となって第2の液管側接続口D、
第3の開閉弁60、第1の液管側接続口Bを経て室外熱
交換器40に流入する。低温低圧の気液二相冷媒は、室
外熱交換器40の内部で、室外送風機44によって送り
込まれる外気(図示せず)から吸熱すると共に、自らは
蒸発ガス化して低温低圧のガス冷媒となる。このガス冷
媒は、四方弁38(第2口および第3口)、およびアキ
ュムレータ42を経て圧縮機36の吸入側に戻る。
【0054】次に、蓄熱利用冷房運転モードから通常冷
房運転モードへの運転切り替え方法について説明する。
蓄熱利用冷房運転モードの実行中において、第1温度検
出器62の温度検出値T62と第2温度検出器64の温
度検出値T64との温度差(T64−T62)に、蓄熱
用熱交換器52を流れる冷媒の流量Grを掛けたもの
は、蓄熱槽48内の蓄熱材50から冷媒が吸収した熱量
にほぼ比例する。冷媒の流量Gr[kg/s]は、圧縮機36
の運転容量(インバータ駆動の場合は運転周波数、気筒
数切り換え式の場合は有効気筒数)に基づいておおよそ
推定することができる。従って、ある時間間隔Δt[s]
間に冷媒の流通に伴って使用される熱量Q[kJ]は、冷媒
液の比熱C[kJ/kgK]を用いて次式の如く推定することが
できる。 Q=Gr×C×(T32−T31)×Δt[kJ] …(1)
【0055】蓄熱運転が実行されることにより蓄熱槽4
8に蓄えられた蓄熱量、すなわち、冷房運転が開始され
る時点で蓄えられている蓄熱量は、例えば、蓄熱槽48
内の蓄熱材50の温度から推定することができる。上記
の手法による蓄熱量の検出は、蓄熱材50の温度を検出
する検出器を蓄熱槽48の内部に設けることにより実現
することができる。
【0056】また、上記の蓄熱量は、蓄熱材50の温度
が凍結温度(水の場合0℃)に達した後に蓄熱運転が継
続された時間と、圧縮機36の運転容量等に基づいて推
定することができる。上記の手法によって蓄熱量を検出
するためには、蓄熱運転の実行中に蓄熱材50が凍結温
度に達したことを検出することが必要である。蓄熱材5
0の温度が凍結温度に達すると、蓄熱用熱交換器52の
周囲で蓄熱材50が凍結し始めること等に起因して、例
えば、第1温度検出器62の検出値等に変化が生ずる。
従って、上記の手法による蓄熱量の検出は、蓄熱材50
の中に温度検出器を設ける他、第2温度検出器64の検
出値を監視することによっても実現することができる。
【0057】蓄熱槽48に蓄えられている冷熱の量は、
蓄熱槽48の内部で凍結している蓄熱材50の割合を検
出することによっても検知できる。蓄熱材50の体積
は、その凍結割合に応じて変化する。このため、蓄熱槽
48に蓄えられている冷熱の量は、蓄熱槽48内の蓄熱
材50の界面高さなどを基礎としても推定することがで
きる。
【0058】本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置は、
上述した何れかの手法で冷房運転開始時点の蓄熱量を求
めると共に、ある時間間隔ごとに蓄熱使用量Qを算出
(上記(1)式参照)し、その算出値を順次蓄熱量から
減ずることにより、時々刻々の蓄熱量を検出する。蓄熱
式冷凍サイクル装置は、一般的に電力消費量がピークを
示す時間帯、例えば、午後1時〜3時頃の電力消費量を
抑制することを目的の一つとしている。従って、蓄熱利
用冷房運転は、その時間帯において優先的に実行される
ことが適切である。
【0059】本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置は、
電力消費量がピークとなる時間帯で継続して蓄熱利用冷
房運転を実行するために必要な蓄熱量を記憶している。
そして、ある時点で、その時点以降に必要とされる蓄熱
量が十分に確保されていると判断できる場合には、蓄熱
利用冷房運転モードを選択し、一方、蓄熱槽48に残っ
ている蓄熱量が、その時点以降に必要とされる蓄熱量以
下であると判断される場合には、通常冷房運転モードを
選択する。従って、本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装
置によれば、蓄熱槽48の冷熱を有効に使用しつつ、電
力消費量のピーク時期における消費電力を有効に削減す
ることができる。
【0060】次に、図2を参照して、本実施形態の蓄熱
式冷凍サイクル装置による蓄熱運転時の効率向上効果に
ついて説明する。図2はモリエ線図またはP−h線図と
呼ばれるもので、横軸が冷媒のエネルギ状態である比エ
ンタルピ[kJ/kg]、縦軸が冷媒の圧力[kPa]を表す。図2
(a)および図2(b)に示す曲線は、冷媒の飽和線で
ある。飽和線の内側の領域は、冷媒が気液二相状態とな
る領域である。その二相領域の左右には、それぞれ、冷
媒が液体となる領域、および、冷媒が気体となる領域が
存在している。
【0061】図2(a)に示す台形状の線図は、一般的
な蓄熱式冷凍サイクル装置の蓄熱運転時の冷凍サイクル
を、また、図2(b)に示す台形状の線図(実線)は本
実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置の蓄熱運転時の冷凍
サイクルを示す。図2(a)に示す通常の冷凍サイクル
において、R1は、圧縮機に吸入される時点での冷媒の
状態、R2は、圧縮機から吐出された時点、すなわち、
室外熱交換器の入口に到達した時点での冷媒の状態、R
3は、室外熱交換器の出口から吐出された時点での冷媒
の状態、R4は、減圧装置出口における、すなわち、蓄
熱用熱交換器の入口における冷媒の状態をそれぞれ表し
ている。
【0062】冷房運転時における冷媒の蒸発温度は、通
常5〜10℃程度である。これに対して、蓄熱運転時の
蒸発温度は、蓄熱材50の凍結温度より低い−10〜−
5℃となる。このため、圧縮機に吸入される冷媒の圧力
は、冷房運転時に比べて蓄熱運転時に低下する。一方、
圧縮機から吐出される冷媒の圧力は蓄熱運転時も冷房運
転時もほとんど同一である。従って、蓄熱運転時におけ
る圧縮機の吐出冷媒流量は、圧縮機に吸入される冷媒の
密度が低いため、冷房運転時における吐出流量に比して
少量となる。つまり、蓄熱運転時には、冷房運転時に比
して大きな圧縮比が生ずる。圧縮比は、圧縮機の仕事量
にほぼ比例するパラメータである。一般的な蓄熱式冷凍
サイクル装置においては、その値が大きくなることによ
り、蓄熱運転時の運転効率が、冷房運転時の運転効率に
比して30%程度悪くなっていた。
【0063】これに対し、本実施形態の蓄熱式冷凍サイ
クル装置の場合は、熱回収用熱交換器53において、室
外熱交換器40から流出した中温高圧の液冷媒(R3)
と、蓄熱用熱交換器52から流出した低温低圧のガス冷
媒(R1)との熱交換が行われる。その結果、図2
(b)に示す冷凍サイクルでは、液冷媒R3がR3’ま
で過冷却され、ガス冷媒R1がR1’まで過熱される。
これによって、蓄熱用熱交換器52に流入する冷媒の状
態はR4’となり、従来の冷媒状態R4より比エンタル
ピが小さい状態で流入するので、従来の蓄熱運転時の冷
凍効果(エンタルピ差)R1−R4に対して冷凍効果が
R1−R4’と大きくなる。その結果、同一の蓄熱能力
を発揮するために必要な冷媒流量が従来のZ=(R1−
R4)/(R1−R4’)倍(ただし、Z<1)で良い
ことになり、その分蓄熱運転時に圧縮機36がする冷媒
の圧縮仕事量が減少して、蓄熱冷凍サイクル装置の運転
効率が向上する。
【0064】蓄熱用交換器52から流出する冷媒R1の
温度は、蓄熱材50の凍結温度以下の値である。蓄熱材
が水の場合、通常は、蓄熱運転時における冷媒の蒸発温
度−10℃乃至−5℃にほぼ等しく、その上限は0℃で
ある。また、蓄熱用減圧装置54に流入する冷媒R3’
の温度は、理論的にはR1の温度まで冷却可能である。
一方、この熱源となる低温低圧のガス冷媒R1はR3の
温度まで加熱されることが可能である。
【0065】冷媒R3の温度は、室外熱交換器40の出
口温度であるので、必然的に室外空気温度以上の温度と
なる。室外空気温度が25℃の場合、通常は、R3=3
0℃程度である。熱回収用熱交換器53を流れる冷媒は
高圧側、低圧側とも同一の流量である。このため、(R
1’の比エンタルピ)−(R1の比エンタルピ)=(R
3の比エンタルピ)−(R3’の比エンタルピ)とな
り、(R3’の比エンタルピ)=(R1の比エンタル
ピ)、或いは、(R1’の比エンタルピ)=(R3の比
エンタルピ)となるところまでが熱回収の限界となる。
【0066】蓄熱運転時の室外熱交換器40出口冷媒温
度をR3=30℃、蓄熱用熱交換器52出口冷媒状態が
飽和蒸気状態としてR1=−5℃(蒸発温度)とする
と、熱回収用熱交換器53による効率向上は最大15%
程度と見込まれる。前述のように、ある冷房負荷に対し
て、非蓄熱式空調装置に“1”の圧縮機入力が要求され
る場合に、本実施の形態の蓄熱式冷凍サイクル装置に
は、昼間の圧縮機入力として“0.8”の入力が要求さ
れると共に、残りの“0.2”(20%)を蓄熱で賄う
ことが要求される。20%の効率向上に貢献する夜間の
蓄熱運転で従来は30%余計に入力が必要であったもの
が、本実施形態の装置では最大15%減となる。このた
め、本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置に要求される
圧縮機入力は、全体として、0.8+0.2×1.3×
0.85=1.021となる。従来の蓄熱式冷凍サイク
ルでは、1.06の圧縮機入力が必要であったので、
(1.06−1.021)/1.06×100=3.7
%の効率向上となる。
【0067】上記の効率向上幅を大きくしようとするほ
ど熱回収用熱交換器53の伝熱面積を大きくすることが
必要となり、装置のコストが上昇する。このため、熱回
収用熱交換器53は、コスト上昇分と蓄熱運転時の効率
向上分との比較で適当に設計すれば良い。熱回収用熱交
換器53の構造としては、プレート式熱交換器(積層型
熱交換器)や二重管熱交換器を用いることができる。こ
れらの構造によれば、装置を小型化しつつ所望の能力を
確保することができる。また、熱回収用熱交換器53の
構造は、単に、室外熱交換器40と第1減圧装置54と
をつなぐ液管と、蓄熱用熱交換器52と第3の分岐路7
2とをつなぐガス管とを接触させただけの構造、或い
は、それらの接触部に溶接を施した程度の構造であって
も構わない。尚、中温高圧の液冷媒と低温低圧のガス冷
媒とは、熱回収用熱交換器53の小型化を図るために、
その内部を対向して流れることが望ましい。
【0068】本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置は、
蓄熱運転中に効率よく所望の冷却能力を確保するため
に、圧縮機36の容量を以下に示す何れかの手法で制御
する。 (1)冷媒の蒸発温度に関する目標値Ttg1を予め設定す
る。目標値Ttg1は、効率よく所望の冷却能力を得るう
えで好適な値に設定する。第2の温度検出器64の検出
温度を冷媒の蒸発温度とみなして、その検出温度が目標
値Ttg1に近づくように圧縮機36の容量(回転数、有
効気筒数、バイパス量など)を制御する。 (2)冷媒の蒸発温度をパラメータとして、圧縮機36の
容量を予めマップ等に設定しておく。マップ等の設定値
は、効率よく所望の冷却能力を得うえで好適な値に設定
する。第2の温度検出器64の検出温度を冷媒の蒸発温
度とみなして、圧縮機36の容量を、その蒸発温度に対
応する設定値に制御する。
【0069】(3)圧縮機36の吸入側配管に圧力検出器
を設置し、その検出値を冷媒の吸入圧力として検出す
る。冷媒の吸入圧力に関する目標値Ptg1を予め設定す
る。目標値Ptgは、効率よく所望の冷却能力を得るうえ
で好適な値に設定する。冷媒の吸入圧力が目標値Ptg1
に近づくように圧縮機36の容量を制御する。 (4) 圧縮機36の吸入側配管に圧力検出器を設置し、そ
の検出値を冷媒の吸入圧力として検出する。冷媒の吸入
圧力をパラメータとして、圧縮機36の容量を予めマッ
プ等に設定しておく。マップ等の設定値は、効率よく所
望の冷却能力を得うえで好適な値に設定する。圧縮機3
6の容量を、冷媒の吸入圧力に対応する設定値に制御す
る。
【0070】(5) 圧縮機36の吸入側配管に圧力検出器
を設置し、その検出値を冷媒の吸入圧力として検出す
る。冷媒が気液二相状態となりうる温度、すなわち、冷
媒の飽和温度は、冷媒の圧力に対して一義的に決定され
る。吸入圧力に対応する冷媒の飽和温度に関して、効率
よく所望の冷却能力を得るうえで好適な目標値Ttg2値
を予め設定する。上記の圧力検出器の検出値に基づいて
吸入圧力に対する冷媒の飽和温度を算出する。その飽和
温度が目標値Ttg2に近づくように圧縮機36の容量を
制御する。 (6) 圧縮機36の吸入側配管に圧力検出器を設置し、そ
の検出値を冷媒の吸入圧力として検出する。効率よく所
望の冷却能力を得うえで好適な圧縮機36の容量を、吸
入圧力に対応する冷媒の飽和温度をパラメータとして、
予めマップ等に設定しておく。上記の圧力検出器の検出
値に基づいて吸入圧力に対する冷媒の飽和温度を算出す
る。圧縮機36の容量を、その飽和温度(吸入圧力に対
応する飽和温度)に対応する設定値に制御する。
【0071】(7)蓄熱用熱交換器52の出口側の配管に
圧力検出器を設置し、その検出値を冷媒の蒸発圧力とし
て検出する。蒸発圧力に対応する冷媒の飽和温度に関し
て、効率よく所望の冷却能力を得るうえで好適な目標値
Ttg2値を予め設定する。上記の圧力検出器の検出値に
基づいて、蒸発圧力に対する冷媒の飽和温度を算出す
る。その飽和温度が目標値Ttg2に近づくように圧縮機
36の容量を制御する。 (8)蓄熱用熱交換器52の出口側の配管に圧力検出器を
設置し、その検出値を冷媒の蒸発圧力として検出する。
効率よく所望の冷却能力を得うえで好適な圧縮機36の
容量を、蒸発圧力に対応する冷媒の飽和温度をパラメー
タとして、予めマップ等に設定しておく。上記の圧力検
出器の検出値に基づいて蒸発圧力に対する冷媒の飽和温
度を算出する。圧縮機36の容量を、その飽和温度(蒸
発圧力に対応する飽和温度)に対応する設定値に制御す
る。
【0072】(9)上記の(5)〜(8)では、圧力検出器を圧
縮機36の吸入側、或いは、蓄熱用熱交換器52の出口
側に配置して、冷媒の吸入圧力、または、冷媒の蒸発圧
力を検出することとしているが、圧力検出器を配置する
位置は、これに限定されるものではない。すなわち、圧
力検出器は、蓄熱用減圧装置54の低圧側から圧縮機3
6の吸入側までの間の如何なる位置に設置しても良い。
この場合、圧力検出器の設置位置に応じて適当な目標
値、或いは、マップを設定することで、上記(5)〜(8)と
同様の制御を実現することができる。
【0073】(10)蓄熱槽48の内部(蓄熱用熱交換器5
2の近傍)に温度検出器を配置する。その検出器によっ
て検出される蓄熱材50の温度に応じて圧縮機36の容
量を制御する。蓄熱材50が水の場合、その温度は、凍
結温度(0℃)まで低下した後、0℃のまま一定値に保
たれる。その間、蓄熱用熱交換器52の近傍で氷となっ
た部分の温度は、氷の厚さが増すに連れて、すなわち、
蓄熱材50の蓄熱量が増えるに連れて徐々に低下する。
蓄熱用熱交換器52の近傍の温度が低下すると、その内
部を流れる冷媒の温度が低下して、冷媒の蒸発温度が低
下する。冷媒の蒸発温度が低下すると、圧縮機36に吸
入される冷媒の密度が低下する。このため、上記の如く
蓄熱用熱交換器52の付近に温度検出器を設置して、そ
の検出温度が低下するにしたがって圧縮機36の運転容
量を増加させることによれば、安定した流量を確保する
ことができる。尚、上記の制御手法を用いる場合は、蓄
熱槽48の内部に配置する温度検出器によって凝固した
蓄熱材50の温度を検出することにより、おおよその蓄
熱量を推定することが可能である。
【0074】以上述べたように、本実施の形態によれ
ば、蓄熱用熱交換器52の出口から導出されるガス管と
室外熱交換器40の出口から導出される液管との間で、
熱交換を行わせることができる。このため、蓄熱運転時
に、蓄熱用熱交換器52で蒸発ガス化した低温低圧の冷
媒の冷熱を回収して、室外熱交換器40で凝縮液化した
中温高圧の液冷媒を過冷却し、蓄熱用熱交換器52での
冷凍効果を増大させることができる。その結果、所望の
冷凍能力を得るために圧縮機36が吐出すべき冷媒流量
を減少させることができ、夜間の蓄熱運転時の圧縮機入
力として使用される電力消費量を削減することができ
る。従って、本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置によ
れば、ユーザが支払う夜間の電気料金を減少させると共
に、発電所における二酸化炭素の排出量を減少させて、
地球温暖化の防止にも役立つという効果を得ることがで
きる。
【0075】実施の形態2. 実施の形態1では、室外熱交換器40で凝縮液化して第
1の液管側接続口Bを経て蓄熱ユニット66に流入して
きた中温高圧液冷媒が、蓄熱用熱交換器52のガス側出
口と第1の開閉弁56との間で低温低圧ガス冷媒と熱交
換するように熱回収用熱交換器53が設置されている。
本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置においては、図3
に示す如く、第1の開閉弁56と第1のガス管側接続口
Aとの間で冷媒の熱交換が行われるように熱回収用熱交
換器53が設置されている。
【0076】上記の構造によれば、実施の形態1の装置
と同様に蓄熱運転時の効率向上効果を得ることができる
と共に、蓄熱利用冷房運転の実行中、または、通常冷房
運転の実行中においても室外熱交換器40で凝縮液化し
た中温高圧液冷媒と第1または第2の室内熱交換器7
4,76で蒸発ガス化した低温低圧ガス冷媒との間で熱
交換を行わせることができる。このため、本実施形態の
装置によれば、実施の形態1の装置に比して、冷房運転
中に若干の効率向上を見込むことができる。効率向上の
理由は実施の形態1.の蓄熱運転と同様であるが、冷房
運転の場合は冷媒の蒸発温度が蓄熱運転より高くなり凝
縮温度はさほど変わらないので中温高圧液と低温低圧ガ
スとの温度差は蓄熱運転より小さくなるため、効率向上
効果も蓄熱運転よりは小さくなる。
【0077】以上述べたように、本実施の形態の装置に
よれば、熱回収用熱交換器53によって、蓄熱用熱交換
器52の出口側のガス管と室外熱交換器40の出口側の
液管との間で熱交換を行わせるできる。従って、蓄熱運
転時または冷房運転時に、蓄熱用熱交換器52または室
内熱交換器74,76で蒸発ガス化した低温低圧の冷媒
の冷熱を回収して、室外熱交換器40で凝縮液化した中
温高圧の液冷媒を過冷却し、蓄熱用熱交換器52または
室内熱交換器74,76での冷凍効果を増大させること
ができる。このため、圧縮機36が吐出する冷媒流量を
減少させることができ、夜間蓄熱運転時または昼間冷房
運転時の圧縮機入力として使用される電力消費量が削減
することができる。その結果、本実施形態の装置によれ
ば、ユーザが支払う夜間または昼間の電気料金を減少さ
せると共に、発電所における二酸化炭素の排出量を削減
して地球温暖化の防止にも役立つという効果を得ること
ができる。
【0078】実施の形態3. 実施の形態2では、蓄熱用熱交換器52または室内熱交
換器74,76で蒸発ガス化した低温低圧のガス冷媒と
室外熱交換器40で凝縮液化した中温高圧の液冷媒と
が、蓄熱運転時のみならず冷房運転時も常時熱交換する
ように熱回収用熱交換器53が設置されている。本実施
形態の蓄熱式冷凍サイクル装置は、熱回収用熱交換器5
3が利用される状態と、利用されない状態とを必要に応
じて切り換えることができる。
【0079】図4は、本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図を示す。図4に示す如く、本実施形態の蓄
熱式冷凍サイクル装置は第4の開閉弁90を備えてい
る。第4の開閉弁90は、蓄熱用減圧装置54と蓄熱用
熱交換器52とをつなぐ液配管と、第3の開閉弁60と
接続口Dとをつなぐ液配管との間に設置されている。
【0080】蓄熱運転時は、第1の開閉弁56が開弁状
態、第2乃至第4の開閉弁58,60および90が閉弁
状態とされる。この場合、室外熱交換器40で凝縮液化
した中温高圧の液冷媒は熱回収用熱交換器53の高圧側
流路を流通し、蓄熱用熱交換器52で蒸発ガス化した低
温低圧のガス冷媒は、熱回収用熱交換器53の低圧側流
路を流通する。上記の運転モードによれば、蓄熱用熱交
換器52から流出する低温低圧のガス冷媒の冷熱を回収
することにより、室外熱交換器40から流出する中温高
圧の液冷媒を過冷却状態として、蓄熱用熱交換器52に
おける冷凍効果を増大させることができる。
【0081】蓄熱利用冷房運転時は、第1の開閉弁56
が閉弁状態とされると共に、第2の開閉弁58が開弁状
態とされる。また、室内熱交換器74,76で蒸発ガス
化した低温低圧のガス冷媒の冷熱を回収する場合は、第
3の開閉弁60および第4の開閉弁90が閉弁状態とさ
れ、かつ、蓄熱用減圧装置54が全開とされる。この場
合、室外熱交換器40で凝縮液化した中温高圧の液冷媒
は、熱回収用熱交換器53の高圧側流路を流通し、一
方、室内熱交換器74,76で蒸発ガス化した低温低圧
のガス冷媒は、熱回収用熱交換器53の低圧側流路を流
通する。従って、上記の運転モードによれば、室内熱交
換器74,76から流出する低温低圧のガス冷媒の冷熱
を回収することにより、室外熱交換器40から流出する
中温高圧の液冷媒を過冷却状態として、蓄熱用熱交換器
52における冷凍効果を増大させることができる。
【0082】蓄熱利用冷房運転の実行中に、室内熱交換
器74,76で蒸発ガス化した低温低圧のガス冷媒の冷
熱を回収しない場合は、第3の開閉弁60および第4の
開閉弁90が開弁状態とされ、かつ、蓄熱用減圧装置5
4が全閉状態とされる。この場合、室外熱交換器40で
凝縮液化した中温高圧の液冷媒は、熱回収用熱交換器5
3の高圧側流路に流入しない。従って、上記の運転モー
ドによれば、液冷媒とガス冷媒との間の熱交換を阻止す
ることができる。
【0083】通常の冷房運転時は、第1の開閉弁56お
よび第2の開閉弁58が閉弁状態とされる。室内熱交換
器74,76で蒸発ガス化した低温低圧のガス冷媒の冷
熱を回収する場合は、第3の開閉弁60が閉弁状態、第
4の開閉弁90が開弁状態、かつ、蓄熱用減圧装置54
が全開状態とされる。この場合、室外熱交換器40で凝
縮液化した中温高圧の液冷媒が熱回収用熱交換器53の
高圧側流路を流通し、一方、室内熱交換器74,76で
蒸発ガス化した低温低圧のガス冷媒が蓄熱用減圧装置5
4の低圧側流路を流通する。従って、上記の運転モード
によれば、室内熱交換器74,76から流出する低温低
圧の冷媒の冷熱を回収して、室外熱交換器40で凝縮液
化した中温高圧の液冷媒を過冷却し、室内熱交換器7
4,76での冷凍効果を増大させることができる。
【0084】一方、室内熱交換器74,76で蒸発ガス
化した低温低圧のガス冷媒の冷熱を回収しない場合は、
第3の開閉弁60が開弁状態、第4の開閉弁90が閉弁
状態、かつ、蓄熱用減圧装置54が全閉状態とされる。
上記の運転モードによれば、室外熱交換器40で凝縮液
化した中温高圧の液冷媒は、熱回収用熱交換器53をバ
イパスして直接室内熱交換器74,76に流入する。従
って、上記の運転モードによれば、冷媒の熱交換を阻止
しつつ通常の冷房運転を行うことができる。
【0085】一般に、冷房運転時は冷媒蒸発温度および
外気温度が蓄熱運転時より高いので、熱回収運転をする
と圧縮機36の冷媒吐出温度が高くなりすぎて、運転効
率の悪化等の問題が生ずることがある。本実施の形態に
よれば、外気温度が高い昼間のピーク負荷時や室内空調
温度の設定値が高い場合などには熱回収をしない運転も
選択可能であるので、冷媒吐出温度を適正に保ちつつ、
効率良く冷房運転を行うことができる。
【0086】以上述べたように、本実施の形態によれ
ば、蓄熱用熱交換器52の出口側のガス管と室外熱交換
器40の出口側の液管との間で熱交換を行うための熱回
収用熱交換器53を、必要に応じて稼働状態、および、
非可動状態とすることができる。すなわち、(1)蓄熱運
転時に蓄熱用熱交換器52で蒸発ガス化した低温低圧の
冷媒の冷熱を回収して室外熱交換器40で凝縮液化した
中温高圧の液冷媒を過冷却し、蓄熱用熱交換器52での
冷凍効果を増大させるようにすると共に、冷房運転時に
室内熱交換器74,76で蒸発ガス化した低温低圧の冷
媒の冷熱を回収して室外熱交換器40で凝縮液化した中
温高圧の液冷媒を過冷却し、蓄熱用熱交換器52での冷
凍効果を増大させる運転と、(2)低温低圧の冷媒の冷熱
を回収しない運転と、を切り替えらることができる。
【0087】このため、本実施形態の蓄熱式冷凍サイク
ル装置によれば、圧縮機36が吐出する冷媒流量を効果
的に減少させることにより、夜間蓄熱運転時または昼間
冷房運転時の圧縮機入力として使用される電力消費量を
削減して、ユーザが支払う夜間または昼間の電気料金を
減少させると共に、発電所における二酸化炭素の排出量
を減少させて地球温暖化の防止に役立つ効果を得ること
ができると共に、圧縮機36が吐出する冷媒温度を適正
に保つことにより、圧縮機の信頼性を良好に維持し得る
という効果を得ることができる。
【0088】ところで、上記の実施形態において、第3
の開閉弁60と第4の開閉弁90とは、蓄熱運転時、或
いは、冷房運転時に、冷媒の温度に基づいて自動的に制
御することとしてもよい。すなわち、上記の実施形態に
おいて、例えば圧縮機36の吐出側に温度検出器を設け
ると、圧縮機の吐出温度を検知することができる。圧縮
機の吐出温度は、熱回収用熱交換器53において高圧冷
媒と低圧冷媒との熱交換が行われる場合に、その熱交換
が行われない場合に比して高温となる。
【0089】従って、蓄熱運転時、或いは、冷房運転時
に、圧縮機の吐出温度が所定の目標値に比して高温であ
る場合は、高圧冷媒が熱回収用熱交換器53をバイパス
して流れる状態(第3の開閉弁60:開、かつ、第4の
開閉弁90:閉)を形成することにより、その吐出温度
を目標値に下げることができる。同様に、蓄熱運転時、
或いは、冷房運転時に、圧縮機の吐出温度が所定の目標
値に比して低温である場合は、高圧冷媒が熱回収用熱交
換器53をバイパスして流れる状態(第3の開閉弁6
0:閉、かつ、第4の開閉弁90:開)を形成すること
により、その吐出温度を目標値に上げることができる。
【0090】上述の如く、本実施形態の装置において、
第3および第4の開閉弁60.90を冷媒温度に応じて
適当に制御することによれば、蓄熱運転時、および、冷
房運転時において、装置の内部を循環する冷媒の温度を
適温に維持することができる。この場合、圧縮機36の
信頼性を十分に確保しつつ、高い運転効率を得ることが
可能である。尚、上記の制御において、第3および第4
開閉弁60,90の状態制御の基礎とされるパラメータ
は、圧縮機36の吐出温度に限られるものではなく、圧
縮機36の吸入側で冷媒の温度(吸入温度)を測定し、
その吸入温度をパラメータとしてもよい。
【0091】実施の形態4. 実施の形態1の蓄熱式冷凍サイクル装置は、図2に示す
ように、圧縮機36の冷媒吐出温度を従来の冷凍サイク
ル装置に比して上昇させる特性を有している。このた
め、この装置においては、吐出温度が上昇した分、室外
熱交換器40の冷媒凝縮処理能力を高めることが必要で
ある。換言すると、実施の形態1の装置において、室外
送風機44の送風量が従来の装置と同じであると、室外
熱交換器40を流れる冷媒の圧力が上昇して、運転効率
が若干悪化する事態が生じ得る。
【0092】そこで、本実施の形態4では、室外熱交換
器40の凝縮処理能力を増加させ、その内部を流れる冷
媒の圧力が不必要に上昇するのを防止し、室外熱交換器
40出口の液冷媒の温度を熱回収用熱交換器53を使用
しないものと同等に保つ方法を示す。具体的には、つぎ
のような手段を単独で、または組み合わせで採用するこ
とが考えられる。 (1)室外送風機44の送風量を増加させる。具体的に
は、室外送風機44を駆動するモータの回転数を増加さ
せるか、或いは、送風機の容量そのものを増加させる。 (2)室外熱交換器40の伝熱面積(放熱面積)を大きく
する。 (3)圧縮機36の吐出口から室外熱交換器40の入口に
かけての配管中に放熱フィンを設置する。 (4)圧縮機36の筐体(シェル)に放熱フィンを設置す
る。以上のような手段により、室外熱交換器40の出口
から流出する冷媒の温度および圧力を、熱回収用熱交換
器53を使用しない装置における温度および圧力と同等
とすることができる。このため、本実施形態の装置によ
れば、蓄熱用熱交換器52で蒸発ガス化した低温低圧ガ
ス冷媒の冷熱を熱回収用熱交換器53で回収すると共
に、回収された熱量の全てを蓄熱運転冷凍サイクルの効
率向上に利用することができる。
【0093】実施の形態5. 実施の形態4では、室外ユニット46の内部を改良して
室外熱交換器40出口の液冷媒の温度圧力を熱回収しな
いものと同等に保つ方法を説明した。本実施の形態で
は、室外ユニット46には手を加えずに、熱回収用熱交
換器53の高圧側入口に供給される冷媒の状態を、熱回
収を行わない装置の場合と同等とする方法について説明
する。
【0094】図5は、本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図を示す。図5に示す如く、本実施形態の装
置は、蓄熱ユニット66の接続口Bと第3の開閉弁60
とを接続する配管から分岐する配管92を備えている。
配管92の端部は、熱回収用熱交換器53の高圧側入口
に接続されている。また、配管92の途中には、放熱用
熱交換器94およびこれに付属する放熱用送風機96が
設けられている。
【0095】本実施形態の装置が蓄熱運転中である場合
は、圧縮機36から吐出された高温高圧のガス冷媒は、
先ず室外熱交換器40に流入して、外気に放熱しながら
凝縮液化する。本実施形態の装置においては、蓄熱運転
の実行中に熱回収交換器53による熱回収が行われる。
このため、本実施形態の装置において室外熱交換器40
に流入する冷媒ガスの温度は、通常(熱回収なし)の装
置において蓄熱運転時に室外熱交換器に流入する冷媒の
温度に比して高温である。
【0096】このような高温の冷媒ガスが室外熱交換器
40に流入すると、室外熱交換器40が、冷媒ガスの全
てを凝縮することができず、その一部がガス冷媒として
残存し、気液二相の状態で冷媒が室外熱交換器40から
流出することがある。この気液二相冷媒は、第1の液管
側接続口Bを経て蓄熱ユニット66内の放熱用熱交換器
94に流入し、ここで放熱用送風機96によって送り込
まれた外気に放熱することにより完全に凝縮液化して中
温高圧の液冷媒となる。
【0097】上記の如く生成された液冷媒は、熱回収用
熱交換器53の高圧側流路に流入し、その内部で後述す
る蓄熱用熱交換器52から流出した低温低圧のガス冷媒
と熱交換して低温高圧の過冷却液冷媒となる。この過冷
却液冷媒は蓄熱用減圧装置54で減圧されて低温低圧の
二相冷媒となり、蓄熱用熱交換器52に流入して、蓄熱
槽48内に収納された蓄熱材50から吸熱して蒸発ガス
化する。この時、蓄熱用熱交換器52の表面には蓄熱材
50(水)が冷却されることにより氷が付着成長する。
その結果、蓄熱槽48の内部に冷熱が蓄えられる。
【0098】蓄熱用熱交換器52で生成された低温低圧
のガス冷媒は前述の熱回収用熱交換器53の低圧側流路
に流入して、室外熱交換器40から、より具体的には、
放熱用熱交換器94から流通してきた液冷媒を冷却する
と共に自らは加熱されて中温低圧のガス冷媒となって第
1のガス管側接続口Aを経て室外ユニット46に戻る。
室外ユニット46に戻った冷媒は、四方弁38(第4口
および第3口)、および、アキュムレータ42を経て圧
縮機36の吸入側に戻る。
【0099】放熱用熱交換器94および放熱用送風機9
6は、実施の形態4で室外熱交換器40の凝縮処理能力
を増加させた分に相当する処理能力を持っている。この
ようにすることにより、放熱用熱交換器94から流出す
る液冷媒の温度圧力を、熱回収用熱交換器53が使用さ
れない場合とほぼ同一とすることができる。従って、本
実施形態の装置によれば、実施の形態4の場合と同様
に、蓄熱用熱交換器52で蒸発ガス化した低温低圧ガス
冷媒の冷熱を熱回収用熱交換器53で回収すると共に、
回収した熱量のほぼ全てを、蓄熱運転冷凍サイクルの効
率向上に利用することができる。なお、冷房運転時の動
作は実施の形態1の装置と同一であるので、ここではそ
の説明を割愛する。
【0100】実施の形態6. 実施の形態5では、放熱用熱交換器94、放熱用送風機
96および熱回収用熱交換器53を蓄熱ユニット66内
に設置した例を示した。本実施形態の蓄熱式冷凍サイク
ル装置は、図6に示す如く、それらの機器と、第4およ
び第5の開閉弁90,100とを内部に収納する熱回収
ユニット102を、室外ユニット46と蓄熱ユニット6
6との間に備えている。
【0101】本実施形態の装置において、蓄熱運転時
は、第1および第4の開閉弁56,90が開弁状態とさ
れ、第2、第3および第5の開閉弁58,60,100
が閉弁状態とされる。熱回収用熱交換器53では、蓄熱
用熱交換器52で蒸発ガス化した低温低圧の冷媒の冷熱
を回収して室外熱交換器40で凝縮液化した中温高圧の
液冷媒を過冷却し、蓄熱用熱交換器52での冷凍効果を
増大させる。この時、蓄熱用減圧装置54は、実施の形
態1の場合と同様に、第1および第2の温度検出器6
2,64の検出温度差(T62−T64)が第1の目標
値SH1に近づくように制御される。
【0102】蓄熱利用冷房運転時は、第1、第3および
第5の開閉弁56,60および100が閉弁状態とさ
れ、第2および第4の開閉弁58,90が開弁状態とさ
れる。熱回収用熱交換器53は、室内熱交換器74,7
6で蒸発ガス化した低温低圧の冷媒の冷熱を回収して室
外熱交換器40で凝縮液化した中温高圧の液冷媒を過冷
却し、室内熱交換器での冷凍効果を増大させる。この
時、第1および第2の減圧装置82,84は、実施の形
態1の場合と同様に、室内熱交換器74、76の出入口
温度差が第1および第2の室内目標値SH1、SH2に
近づくように制御される。
【0103】通常冷房運転時は、第1、第2および第5
の開閉弁56,58および100が閉弁状態とされ、第
3および第4の開閉弁60,90が開弁状態とされる。
熱回収用熱交換器53は、室内熱交換器74,76で蒸
発ガス化した低温低圧の冷媒の冷熱を回収して室外熱交
換器40で凝縮液化した中温高圧の液冷媒を過冷却し、
室内熱交換器74,76での冷凍効果を増大させる。こ
の時、第1および第2の減圧装置82,84は、実施の
形態1の場合と同様に、室内熱交換器74、76の出入
口温度差が第1および第2の室内目標値SH1、SH2
に近づくように制御される。
【0104】暖房運転時は、第4の開閉弁90を開弁状
態とし、かつ、第5の開閉弁100を閉弁状態とするこ
とにより、放熱用熱交換器94を、蒸発器として機能す
る室外熱交換器40の補助として使うことができる。こ
のようにすれば、暖房運転時の蒸発側処理能力が増加す
るので、冷媒の蒸発温度が上昇し、暖房運転の冷凍サイ
クルの効率が向上する。なお、この場合、熱回収用熱交
換器53には、高圧側および低圧側の双方に冷媒が流れ
るため、室内熱交換器74、76に流入する冷媒温度が
若干低下してしまう恐れがある。
【0105】上述した冷媒温度の低下は、例えば、放熱
用熱交換器94と熱回収用熱交換器53とを接続する配
管と、熱回収用熱交換器53と第4の開閉弁90とを接
続する配管との間に、第6の開閉弁104を設けると共
に、暖房運転時にその開閉弁104を開弁状態とするこ
とで抑制することができる。上記の構成によれば、暖房
運転中に室内熱交換器74,76から流出した冷媒は、
熱回収用熱交換器53をバイパスして放熱用熱交換器9
4に流入する。このため、上記の構成によれば、冷媒間
で熱交換が行われることにより室内熱交換器74、76
に流入する冷媒の温度が低下するのを有効に防止して、
効率的な加熱運転を維持することができる。
【0106】尚、本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置
によれば、蓄熱運転時、蓄熱利用冷房運転時、通常冷房
運転時、および、暖房運転時の全ての場合において、第
4の開閉弁90を閉弁状態に、かつ、第5の開閉弁10
0を開弁状態に切り換えることにより、熱回収なしの通
常の蓄熱式冷凍サイクル装置と同一の運転状態を選択す
ることができる。
【0107】本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル装置にお
いて、室外ユニット46および蓄熱ユニット66は、熱
回収を行わない従来の装置で用いられていたユニットと
同様の構成を有している。このため、上記の構成によれ
ば、室外ユニット46および蓄熱ユニット66に、従来
のユニットをそのまま流用することができる。従って、
本実施形態の装置によれば、容易に機器の標準化を図る
ことができ、機器価格の高騰を防ぐことができる。
【0108】実施の形態7. 以上、実施の形態1乃至6では、蓄熱材50を水(氷)
としていたが、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ソルビトール、塩化カルシウムなどの溶質を水に
溶かし込んだ水溶液を蓄熱材50として用いてもよい。
蓄熱材50としてこれらの水溶液が用いられると、蓄熱
材50の凍結温度が溶質の濃度に応じて真水の場合より
も低下するので、蓄熱運転時における冷媒の蒸発温度
は、蓄熱材50が真水の場合に比べてさらに低下する。
例えばショーケースや冷蔵庫用蒸発器、或いは、冷凍庫
用蒸発器などのように、室内熱交換器74および76が
より低温の蒸発温度を要求する場合は、蓄熱材50を上
記の如き水溶液とすることで、利用温度に応じた温度で
蓄熱することが可能となり、より一層効果的である。
【0109】これに対して、数千気圧程度の圧力が加え
られた水や、ある種のフロン系冷媒などと共存する水な
どを蓄熱材50として用いることによれば、蓄熱材50
の凍結温度を0℃よりも高い温度に、具体的には、5〜
10℃程度に設定できることが知られている。このよう
な蓄熱材50を用いることによれば、蓄熱運転時におけ
る冷媒の蒸発温度が冷房運転時の蒸発温度とほぼ同等と
なるので、消費電力量を削減することができる。
【0110】ところで、上述した実施の形態1乃至6の
装置は、室内熱交換器を2台備える構成とされている
が、室内熱交換器の台数はこれに限定されるものではな
く、その台数は、1台、或いは、3台以上であってもよ
い。
【0111】また、上述した実施の形態1乃至6では、
消費電力量を削減する手法として、熱回収用熱交換器5
3を利用することのみを記述しているが、消費電力量を
削減する手法はこれに限定されるものではない。例え
ば、蓄熱用熱交換器52を、従来用いられていた機器か
ら、より蓄熱材側の伝熱面積の大きなものに変更した
り、或いは、蓄熱用熱交換器52を、いわゆるダイナミ
ック製氷方式の熱交換器に、すなわち、−2℃程度まで
過冷却された水の過冷却状態を蓄熱槽の付近で解除して
製氷を行う方式の熱交換器に変更したりすると、冷媒の
蒸発温度を上昇させることが可能となる。従って、熱回
収用熱交換器53を用いることに加えて、これらの変更
を施すことによれば、蓄熱運転時における圧縮機36の
吸入冷媒密度の増大に伴って冷媒流量が増加し、装置の
消費電力量を更に削減することができる。
【0112】また、上述した実施の形態1乃至6では、
室外熱交換器40が、冷媒の熱を外気に放熱する例を示
したが、その熱を放熱する媒体は外気に限定されるもの
ではなく、冷却水、河川水、海水、下水、土壌、或い
は、使用しない室内空気等、外気以外の媒体に放熱を図
ることとしてもよい。
【0113】実施の形態8. 実施の形態6では、熱回収用熱交換器53の高圧側流路
と、熱回収用熱交換器53をバイパスする流路とを第4
および第5の開閉弁90,100で切り換えるようにし
ていた。本実施形態の蓄熱式冷凍サイクル総理は、第4
および第5の開閉弁90,100の代わりに、上記2つ
の流路を流れる冷媒の流量比率を制御する三方弁106
を備えている。更に、本実施形態の装置は、第1のガス
側接続口Aから熱回収用熱交換器53の低圧側流路まで
の配管中に、第3の温度検出器108を備えている。
【0114】本実施形態の装置は、第3の温度検出器1
08の温度検出値に基づいて三方弁106を制御する。
具体的には、その温度検出値が予め設定されている第1
の目標ガス温度より高い場合は、熱回収用熱交換器53
をバイパスする冷媒の流量が増加するように三方弁10
8を制御する。逆に、第3の温度検出器33の温度検出
値が、予め設定されている第2の目標ガス温度(≦第1
の目標ガス温度)より低い場合は、熱回収用熱交換器5
3をバイパスする冷媒の流量が減少するように三方弁1
06を制御する。このようにすることにより、室外ユニ
ット46内に設置された圧縮機36に吸入される冷媒ガ
スの温度をある範囲内に制御することができる。従っ
て、本実施形態の装置によれば、圧縮機36の吐出温度
を不当に高温とすることなく、安定的かつ効率的に適正
な運転状態を維持することができる。
【0115】なお、上述した実施の形態8では、冷媒の
温度を検出するために、圧縮機53の吸入口につながる
経路に第3の温度検出器108を設置しているが、これ
を用いずに、圧縮機36の吐出温度を直接検出しても良
い。この場合、圧縮機36の吐出温度が予め設定されて
いる第1の吐出温度目標値より高い場合に熱回収用熱交
換器53をバイパスする冷媒の流量が増加するように三
方弁106を制御し、また、圧縮機36の吐出温度が予
め設定されている第2の吐出温度目標値より低い場合に
熱回収用熱交換器53をバイパスする冷媒の流量が減少
するように三方弁106を制御することで、同様の機能
を実現することができる。
【0116】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。請求項1
記載の発明によれば、蓄熱運転時に、低圧冷媒と高圧冷
媒との間で熱交換を行わせることにより、低圧冷媒の冷
熱を回収して装置の運転効率を高めることができる。こ
のため、本発明によれば、夜間の蓄熱運転時または昼間
の冷房運転時の電力消費量を削減することにより、ユー
ザが支払う電気料金を減少させる効果、および、発電所
における二酸化炭素の排出量を減少させて地球温暖化の
防止に役立つという効果を得ることができる。
【0117】請求項2記載の発明によれば、熱回収用熱
交換器による高圧冷媒との熱交換を、蓄熱用熱交換器か
ら流出する低圧冷媒のみを対象として行うことができ
る。換言すると、本発明によれば、冷房用熱交換器から
流出する低圧冷媒が、熱回収用熱交換器において熱交換
の対象とされるのを避けることができる。冷房用熱交換
器から流出する低圧冷媒は、蓄熱用熱交換器から流出す
る低圧冷媒に比して高温である。そのような高温の低圧
冷媒と、高圧冷媒との間で熱交換が行われると、圧縮機
に吸入される低圧冷媒が不当に高温となる。本発明にお
いては、冷房用熱交換器から流出する高温の低圧冷媒が
熱交換の対象とされないため、圧縮機に吸入される低圧
冷媒の温度が適温に維持される。このため、本発明によ
れば、圧縮機の信頼性を十分に確保することができる。
【0118】請求項3記載の発明によれば、蓄熱運転時
に、低圧冷媒と高圧冷媒との間で熱交換を行わせること
により、低圧冷媒の冷熱を回収して装置の運転効率を高
めることができる。また、本発明によれば、暖房運転時
に、圧縮機から流出する高圧冷媒が、室内熱交換器に到
達する以前に熱回収用熱交換器において熱交換の対象と
されるのを避けることができる。
【0119】請求項記載の発明によれば、高圧冷媒が
熱回収用熱交換器に導かれる状態と、高圧冷媒が熱回収
用熱交換器をバイパスして流れる状態とを容易に切り換
えることができる。このため、本発明によれば、複雑な
構成および制御を必要とすることなく、圧縮機の信頼性
を十分に確保しつつ、効果的に運転効率の向上を図るこ
とができる。
【0120】請求項または19記載の発明によれば、
圧縮機の吐出温度が第1の設定温度より高い場合は、高
圧冷媒がバイパス通路を流れる状態を形成することがで
きる。この場合、熱回収用熱交換器における熱交換が行
われないため、圧縮機から吐出される冷媒の温度が低下
する。また、本発明によれば、圧縮機の吐出温度が第2
の設定温度より低い場合は、高圧冷媒が熱回収通路を流
れる状態を形成することができる。この場合、熱回収用
熱交換器において熱交換が行われて圧縮機に吸入される
低圧冷媒の温度が上昇し、その結果、圧縮機の吐出温度
が上昇する。従って、本発明によれば、装置を循環する
冷媒の温度を適温に制御することができる。
【0121】請求項または20記載の発明によれば、
圧縮機の吸入温度が第3の設定温度より高い場合は、高
圧冷媒がバイパス通路を流れる状態を形成することがで
きる。この場合、熱回収用熱交換器における熱交換が行
われないため、圧縮機の吸入温度が低下する。また、本
発明によれば、圧縮機の吸入温度が第4の設定温度より
低い場合は、高圧冷媒が熱回収通路を流れる状態を形成
することができる。この場合、熱回収用熱交換器におい
て熱交換が行われるため、圧縮機の吸入温度が上昇す
る。従って、本発明によれば、装置を循環する冷媒の温
度を適温に制御することができる。
【0122】請求項載の発明によれば、熱回収用熱交
換器に導かれる高圧冷媒の量と、熱回収用熱交換器をバ
イパスして流れる高圧冷媒の量との比率を容易に切り換
えることができる。このため、本発明によれば、複雑な
構成および制御を必要とすることなく、圧縮機の信頼性
を十分に確保しつつ、効果的に運転効率の向上を図るこ
とができる。
【0123】請求項7または21記載の発明によれば、
圧縮機の吐出温度が第5の設定温度より高い場合は、バ
イパス通路を流れる高圧冷媒の量を増やすことができ
る。この場合、熱回収用熱交換器における熱交換の効率
が下がるため、圧縮機の吐出温度は低下する。また、本
発明によれば、圧縮機の吐出温度が第6の設定温度より
低い場合は、熱回収通路を流れる高圧冷媒の量を増やす
ことができる。この場合、熱回収用熱交換器における熱
交換の効率が上がるため、圧縮機の吐出温度が上昇す
る。従って、本発明によれば、装置を循環する冷媒の温
度を適温に制御することができる。
【0124】請求項9または22記載の発明によれば、
圧縮機の吸入温度が第7の設定温度より高い場合は、バ
イパス通路を流れる高圧冷媒の量を増やすことができ
る。この場合、熱回収用熱交換器における熱交換の効率
が下がるため、圧縮機の吸入温度は低下する。また、本
発明によれば、圧縮機の吸入温度が第8の設定温度より
低い場合は、熱回収通路を流れる高圧冷媒の量を増やす
ことができる。この場合、熱回収用熱交換器における熱
交換の効率が上がるため、圧縮機の吸入温度が上昇す
る。従って、本発明によれば、装置を循環する冷媒の温
度を適温に制御することができる。
【0125】請求項10または11記載の発明によれ
ば、熱回収用熱交換器がプレート式熱交換器、または、
二重管式熱交換器で構成されるため、熱回収用熱交換器
を小型化することができる。
【0126】請求項12記載の発明によれば、蓄熱材に
冷熱を蓄えるために必要な構成要素と、低圧冷媒の冷熱
を回収するために必要な構成要素とを、一体的に収納す
ることができる。このため、本発明によれば、従来と同
様の工事で、運転効率の高い蓄熱式冷凍サイクル装置を
手軽に提供することができる。
【0127】請求項13記載の発明によれば、蓄熱材に
冷熱を蓄えるために必要な構成要素を内蔵する標準的な
蓄熱ユニットと、低圧冷媒の冷熱を回収するために必要
な構成要を収納した熱回収ユニットとを組み合わせて所
望の構成を実現することができる。従って、本発明によ
れば、標準的なユニットを有効に利用しつつ、運転効率
の高い蓄熱式冷凍サイクル装置を手軽に提供することが
できる。
【0128】請求項14記載の発明によれば、冷房用熱
交換器が複数接続されているので、複数の冷房用負荷に
対して、まとめて電力負荷を平準化することができる。
このため、本発明によれば、効果的に電力消費量を削減
することができる。
【0129】請求項15または23記載の発明によれ
ば、圧縮機の運転容量を、冷媒の状態値に基づいて決定
される好適な値に制御することにより、容易に、所望の
冷凍能力を効率良く確保することができる。
【0130】請求項16または24記載の発明によれ
ば、冷媒の状態値が目標値に一致するように圧縮機の運
転容量を制御することにより、容易に、所望の冷凍能力
を効率良く確保することができる。
【0131】請求項17記載の発明によれば、冷媒の蒸
発温度に基づいて圧縮機の運転容量を制御することによ
り、所望の冷凍能力を効率良く確保することができる。
【0132】請求項18記載の発明によれば、冷媒の吸
入圧力に基づいて圧縮機の運転容量を制御することによ
り、所望の冷凍能力を効率良く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の蓄熱式冷凍サイクル
装置のP−h線図である。
【図3】 本発明の実施の形態2の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図である。
【図4】 本発明の実施の形態3の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図である。
【図5】 本発明の実施の形態5の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図である。
【図6】 本発明の実施の形態6の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図である。
【図7】 本発明の実施の形態8の蓄熱式冷凍サイクル
装置の回路図である。
【図8】 従来の蓄熱式冷凍サイクル装置の回路図であ
る。
【符号の説明】
36 圧縮機、 38 四方弁、 40 室外熱交
換器、 42 アキュムレータ、 44 室外送風
機、 46 室外ユニット、 48 蓄熱槽、
50 蓄熱材、 52 蓄熱用熱交換器、 53
熱回収用熱交換器、 54 蓄熱用減圧装置、 5
6 第1の開閉弁、 58 第2の開閉弁、 60
第3の開閉弁、 62 第1の温度検出器、 6
4 第2の温度検出器、 66 蓄熱ユニット、
74 第1の室内熱交換器、76 第2の室内熱交換
器、 78 第1の室内送風機、 80 第2の室
内送風機、 82 第1の減圧装置、 84 第2
の減圧装置、 86第1の室内ユニット、 88
第2の室内ユニット、 90 第4の開閉弁、100
第5の開閉弁、 106 三方弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−241582(JP,A) 特開 平10−47794(JP,A) 特開 平3−28672(JP,A) 特開 平4−263744(JP,A) 実開 昭59−118975(JP,U) 実開 昭61−76263(JP,U) 実開 昭57−60062(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 1/00 F25B 13/00 351 F25B 40/00

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低圧冷媒を圧縮して高温の高圧冷媒を生
    成する圧縮機と、 前記高温の高圧冷媒の熱を外気に放熱させる室外熱交換
    器と、 放熱後の高圧冷媒を減圧して蓄熱用の低圧冷媒を生成す
    る蓄熱用減圧器と、 前記蓄熱用の低圧冷媒の冷熱を蓄熱材に蓄えさせる蓄熱
    用熱交換器と、 放熱後の高圧冷媒を減圧して冷房用の低圧冷媒を生成す
    る冷房用減圧器と、 前記冷房用の低圧冷媒と冷房空間の空気との間で熱交換
    を行わせる冷房用熱交換器と、高圧側流路および低圧側流路を備えると共に、前記蓄熱
    材に冷熱を蓄熱するための蓄熱運転時に前記高圧側流路
    を流れる高圧冷媒と前記低圧側流路を流れる低圧冷媒と
    の間で熱交換を行わせて、前記低圧側流路から流出する
    冷媒を、前記室外熱交換器から流出する高圧冷媒より低
    温であり、かつ、前記蓄熱用熱交換器から流出する低圧
    冷媒より高温である中温低圧冷媒とする 熱回収用熱交換
    器と、前記蓄熱運転時に、前記室外熱交換器から流出した高圧
    冷媒を、前記高圧側流路を介して前記蓄熱用減圧器に導
    くと共に、前記蓄熱用交換器の前記低圧側流路から流出
    する低圧冷媒を前記圧縮機へ還流させる蓄熱時配管と、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置。
  2. 【請求項2】 前記冷房空間を冷房するための冷房運転
    時に前記室外熱交換機から流出した高圧冷媒を、前記高
    圧側流路をバイパスして前記冷房用減圧器に導く第1バ
    イパス配管と、前記冷房運転時に前記冷房用熱交換器か
    ら流出する低圧冷媒を前記低圧側流路をバイパスして前
    記圧縮機へ還流させる第2バイパス配管とのうち少なく
    とも一方を備え、 冷房運転時には、前記室外熱交換器から流出する前記高
    圧冷媒が前記第1バイパス配管を流通し、および/また
    は、前記室内熱交換器から流出する前記低圧冷媒が前記
    第2バイパス配管を流通することを特徴とする請求項1
    記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  3. 【請求項3】 低圧冷媒を圧縮して高温の高圧冷媒を生
    成する圧縮機と、 冷房時は高温の高圧冷媒の熱を外気に放熱させて、暖房
    時は外気の熱を低温の低圧冷媒に吸熱させる室外熱交換
    器と、 冷房時は冷房用の低温の低圧冷媒と冷房空間の空気との
    間で熱交換を行わせ、暖房時は暖房用の高温の高圧冷媒
    と暖房空間の空気との間で熱交換を行わせる室内熱交換
    器と、 高圧側流路および低圧側流路を備えると共に、前記高圧
    側流路を流れる高圧冷媒と前記低圧側流路を流れる低圧
    冷媒との間で熱交換を行わせて、前記低圧側流路から流
    出する冷媒を、前記室外熱交換器から流出する高圧冷媒
    より低温であり、かつ、前記蓄熱用熱交換器から流出す
    る低圧冷媒より高温である中温低圧冷媒とする 熱回収用
    熱交換器と、一端が前記室外熱交換器に、他端が前記室内交換器にそ
    れぞれ連通し、冷房時は前記室外熱交換器で放熱された
    後の高圧冷媒を減圧して冷房用の低圧冷媒を生成し、暖
    房時は前記室内熱交換器で熱交換された後の高圧冷媒を
    減圧して低圧冷媒を生成する減圧器と、 一端が前記室外熱交換器に、他端が前記蓄熱用熱交換器
    にそれぞれ連通し、前記室外熱交換器で放熱された後の
    高圧冷媒を減圧して蓄熱用の低圧冷媒を生成する蓄熱用
    減圧器と、 前記蓄熱材に冷熱を蓄熱するための蓄熱運転時に、前記
    室外熱交換器から流出した高圧冷媒を前記高圧側流路を
    介して前記蓄熱用減圧器に導くと共に、前記蓄熱用交換
    器の前記低圧側流路から流出する低圧冷媒を前記圧縮機
    へ還流させる蓄熱時配管と、 を備える蓄熱式冷凍サイクル装置において、 前記高圧側流路をバイパスして前記室外熱交換器と前記
    減圧器とを導通させる第1バイパス配管と、前記低圧側
    流路をバイパスして前記圧縮機と前記減圧器とを導通さ
    せる第2バイパス配管とのうち少なくとも一方を備え、 暖房運転時には、前記減圧器から流出する低圧冷媒が前
    記第1バイパス配管を流通し、および/または、前記圧
    縮機から流出する前記高圧冷媒が前記第2バイパス配管
    を流通することを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置。
  4. 【請求項4】 前記室外熱交換器から流出する高圧冷媒
    を、前記熱回収用熱 交換器の高圧側流路および低圧側流
    路の双方を経由して流通させる熱回収通路と、 前記室外熱交換器から流出する高圧冷媒を、前記熱回収
    用熱交換器の高圧側流路および低圧側流路の少なくとも
    一方をバイパスさせて流通させるバイパス通路と、 前記高圧冷媒が前記熱回収通路を流通する回収状態と、
    前記高圧冷媒が前記高圧側流路および低圧側流路の少な
    くとも一方のバイパス通路を流通する非回収状態とを切
    り換える弁機構とを備え、 前記蓄熱時配管は、前記弁機構によって前記回収状態が
    実現されることにより形成されることを特徴とする請求
    項1または3記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  5. 【請求項5】 前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を
    検出する吐出温度検出器を備えると共に、 前記吐出温度検出器の検出値が第1の設定温度に比して
    高い場合は、前記非回収状態が実現されるように前記弁
    機構を制御し、前記吐出温度検出器の検出値が第2の設
    定温度に比して低い場合は、前記回収状態が実現される
    ように前記弁機構を制御することを特徴とする請求項4
    記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  6. 【請求項6】 前記圧縮機に吸入される冷媒の温度を検
    出する吸入温度検出器を備えると共に、 前記吸入温度検出器の検出値が第3の設定温度に比して
    高い場合は、前記非回収状態が実現されるように前記弁
    機構を制御し、前記吸入温度検出器の検出値が第4の設
    定温度に比して低い場合は、前記回収状態が実現される
    ように前記弁機構を制御することを特徴とする請求項4
    記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  7. 【請求項7】 前記室外熱交換器から流出する高圧冷媒
    を、前記熱回収用熱交換器を経由して流通させる熱回収
    通路と、 前記室外熱交換器から流出する高圧冷媒を、前記熱回収
    用熱交換器をバイパスさせて流通させるバイパス通路
    と、 前記熱回収通路を流通する高圧冷媒と、前記バイパス通
    路を流通する高圧冷媒との比率を制御する比率制御機構
    と、 を備えることを特徴とする請求項1または3記載の蓄熱
    式冷凍サイクル装置。
  8. 【請求項8】 前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を
    検出する吐出温度検出器を備えると共に、 前記吐出温度検出器の検出値が第5の設定温度に比して
    高い場合は、前記バイパス通路を流通する高圧冷媒の比
    率が高まるように前記比率制御機構を制御し、前記吐出
    温度検出器の検出値が第6の設定温度に比して低い場合
    は、前記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高まる
    ように前記比率制御機構を制御することを特徴とする請
    求項7記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  9. 【請求項9】 前記圧縮機に吸入される冷媒の温度を検
    出する吸入温度検出器を備えると共に、 前記吸入温度検出器の検出値が第7の設定温度に比して
    高い場合は、前記バイパス通路を流通する高圧冷媒の比
    率が高まるように前記比率制御機構を制御し、前記吸入
    温度検出器の検出値が第8の設定温度に比して低い場合
    は、前記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高まる
    ように前記比率制御機構を制御することを特徴とする請
    求項7記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  10. 【請求項10】 前記熱回収用熱交換器は、プレート式
    熱交換器であることを特徴とする請求項1乃至9の何れ
    か1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  11. 【請求項11】 前記熱回収用熱交換器は、二重管式熱
    交換器であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか
    1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  12. 【請求項12】 前記熱回収用熱交換器、前記蓄熱用減
    圧器、および、前記蓄熱用熱交換器を一体的に内蔵する
    蓄熱ユニットを備えることを特徴とする請求項1乃至1
    1の何れか1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  13. 【請求項13】 前記熱回収用熱交換器を内蔵する熱回
    収ユニットと、 前記蓄熱用減圧器および前記蓄熱用熱交換器を内蔵する
    蓄熱ユニットとを、それぞれ独立した筐体として備える
    ことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の
    蓄熱式冷凍サイクル装置。
  14. 【請求項14】 前記冷房用熱交換器を複数備えること
    を特徴とする請求項1乃至13の何れか1項記載の蓄熱
    式冷凍サイクル装置。
  15. 【請求項15】 前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通
    する冷媒の状態値と、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえで
    好適な前記圧縮機の運転容量との関係を予め 記憶してい
    ると共に、 前記蓄熱材に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、前記予
    め記憶されている関係に従って、かつ、前記蓄熱用熱交
    換器を含む回路を流通する冷媒の状態値に基づいて、前
    記圧縮機の運転容量に関する好適値を検出し、更に、前
    記圧縮機の運転容量をその好適値に制御することを特徴
    とする請求項1乃至14の何れか1項記載の蓄熱式冷凍
    サイクル装置。
  16. 【請求項16】 前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通
    する冷媒の状態値に関して、前記蓄熱材に冷熱を蓄える
    うえで好適な目標値を予め記憶していると共に、 前記蓄熱材に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、前記状
    態値が前記目標値に近づくように前記圧縮機の運転容量
    を制御することを特徴とする請求項1乃至14の何れか
    1項記載の蓄熱式冷凍サイクル装置。
  17. 【請求項17】 前記冷媒の状態値は、冷媒の蒸発温度
    であることを特徴とする請求項15または16記載の蓄
    熱式冷凍サイクル装置。
  18. 【請求項18】 前記冷媒の状態値は、前記圧縮機に吸
    入される段階における前記冷媒の圧力であることを特徴
    とする請求項15または16記載の蓄熱式冷凍サイクル
    装置。
  19. 【請求項19】 請求項4記載の蓄熱式冷凍サイクル装
    置の制御方法であって、 前記圧縮機から吐出される冷媒の温度(吐出温度)を検
    出するステップと、 前記吐出温度が第1の設定温度に比して高い場合に、前
    記非回収状態が実現されるように前記弁機構を制御する
    ステップと、 前記吐出温度が第2の設定温度に比して低い場合に、前
    記回収状態が実現されるように前記弁機構を制御するス
    テップと、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置の制
    御方法。
  20. 【請求項20】 請求項4記載の蓄熱式冷凍サイクル装
    置の制御方法であって、 前記圧縮機に吸入される冷媒の温度(吸入温度)を検出
    するステップと、 前記吸入温度が第3の設定温度に比して高い場合に、前
    記非回収状態が実現さ れるように前記弁機構を制御する
    ステップと、 前記吸入温度が第4の設定温度に比して低い場合に、前
    記回収状態が実現されるように前記弁機構を制御するス
    テップと、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置の制
    御方法。
  21. 【請求項21】 請求項7記載の蓄熱式冷凍サイクル装
    置の制御方法であって、 前記圧縮機から吐出される冷媒の温度(吐出温度)を検
    出するステップと、 前記吐出温度が第5の設定温度に比して高い場合に、前
    記バイパス通路を流通する高圧冷媒の比率が高まるよう
    に前記比率制御機構を制御するステップと、 前記吐出温度が第6の設定温度に比して低い場合に、前
    記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高まるように
    前記比率制御機構を制御するステップと、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置の制
    御方法。
  22. 【請求項22】 請求項7記載の蓄熱式冷凍サイクル装
    置の制御方法であって、 前記圧縮機に吸入される冷媒の温度(吸入温度)を検出
    するステップと、 前記吸入温度が第7の設定温度に比して高い場合に、前
    記バイパス通路を流通する高圧冷媒の比率が高まるよう
    に前記比率制御機構を制御するステップと、 前記吸入温度が第8の設定温度に比して低い場合に、前
    記熱回収通路を流通する高圧冷媒の比率が高まるように
    前記比率制御機構を制御するステップと、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置の制
    御方法。
  23. 【請求項23】 請求項1乃至14の何れか1項記載の
    蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方法であって、 前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通する冷媒の状態値
    と、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえで好適な前記圧縮機
    の運転容量との関係を予め記憶するステップと、 前記蓄熱材に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、前記予
    め記憶されている関係に従って、かつ、前記蓄熱用熱交
    換器を含む回路を流通する冷媒の状態値に基づいて、前
    記圧縮機の運転容量に関する好適値を検出するステップ
    と、 前記圧縮機の運転容量をその好適値に制御するステップ
    と、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置の制
    御方法。
  24. 【請求項24】 請求項1乃至14の何れか1項記載の
    蓄熱式冷凍サイクル装置の制御方法であって、 前記蓄熱用熱交換器を含む回路を流通する冷媒の状態値
    に関して、前記蓄熱材に冷熱を蓄えるうえで好適な目標
    値を予め記憶するステップと、 前記蓄熱材に冷熱を蓄えるための蓄熱運転時に、前記状
    態値が前記目標値に近づくように前記圧縮機の運転容量
    を制御するステップと、 を備えることを特徴とする蓄熱式冷凍サイクル装置の制
    御方法。
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